特許第5872689号(P5872689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872689ドレープ成形及びプレス成形工具、並びにプリフォーム及び繊維プラスチック複合部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872689
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ドレープ成形及びプレス成形工具、並びにプリフォーム及び繊維プラスチック複合部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/22 20060101AFI20160216BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20160216BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20160216BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20160216BHJP
【FI】
   B29C39/22
   B29C39/10
   C08J5/04CER
   C08J5/04CEZ
   B29K105:08
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-515070(P2014-515070)
(86)(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-522334(P2014-522334A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】EP2011006361
(87)【国際公開番号】WO2012171548
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】102011104366.0
(32)【優先日】2011年6月16日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・エーベルト
(72)【発明者】
【氏名】ジモン・クルンプ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・コルブ
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ・シュレーダー
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−305719(JP,A)
【文献】 特表2002−538991(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/099825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
C08J 5/04
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に固化されたプリフォーム(2)を製造するための、外面が互いに対面する2つの工具半体(1,1’)を有するドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記工具半体(1,1’)の少なくとも一方が、複数のプランジャセグメント(3,3’)を備え、前記プランジャセグメントは昇降運動を行うもので、個々に調整可能且つ個々に移動可能であり、前記プランジャセグメントは前記プリフォーム(2)を製造するための前記工具半体(1,1’)の成形工具面を形成し、異なる幅及び/又は奥行を有し、及び、油圧、空気圧又は電動式に動作可能であることを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項2】
請求項1に記載のドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記プランジャセグメント(3,3’)を備えた少なくとも一方の前記工具半体(1)が、凸状の成形工具面を備えることを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記ドレープ成形及びプレス成形工具が、個々に調整可能な複数の加熱素子を備える少なくとも1つの加熱装置を備え、前記加熱素子は前記工具半体(1,1’)の少なくとも一方の前記成形工具面内、又はその下に配置され、個々の移動可能な前記プランジャセグメント(3,3’)との連係運動で直線的に移動可能であることを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記ドレープ成形及びプレス成形工具が、空気ノズルを備える冷却装置を含むことを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記ドレープ成形及びプレス成形工具が、固定作業ステーションを形成し、又は制御可能に移動するロボット装置の一部として配置されることを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記ドレープ成形及びプレス成形工具がマトリックス形成プラスチック系用の射出手段を含むことを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のドレープ成形及びプレス成形工具であって、
前記ドレープ成形及びプレス成形工具が、プランジャセグメント(3,3’)なしで実施される複数の下部工具半体(1’)を含み、前記工具半体(1’)が、
前記ドレープ成形及びプレス成形工具内に、且つその外側に移動可能であり、及び、
異なる形状を成形する成形工具面を備えることを特徴とするドレープ成形及びプレス成形工具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のドレープ成形及びプレス成形工具を使用して成形され、少なくとも部分的に固化されたプリフォーム(2)を製造する方法であって、
−前記ドレープ成形及びプレス成形工具内の前記工具半体(1,1’)の間に結合材を含む繊維層を配置するステップであって、前記2つの工具半体(1,1’)のうちの少なくとも1つの工具半体(1,1’)が、昇降運動を行う、個々に調整可能且つ個々に移動可能なプランジャセグメント(3,3’)を備えるステップと、
−前記プランジャセグメント(3,3’)を調整し、前記プランジャセグメント(3,3‘)を、挿入された前記繊維層の方向に局部的且つ連続的に移動させ、その際に局部的な押圧により前記繊維層をスタックとしてドレープ成形するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
−少なくとも1つの加熱装置を動作させ、前記プランジャセグメント(3,3’)の移動と連係して、前記繊維層のスタックを少なくとも局部的に加熱するステップと、
−前記プリフォーム(2)を少なくとも部分的に冷却して又は冷却なしで固化するステップと、を含む方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載のドレープ成形及びプレス成形工具を使用してプリフォーム(2)から繊維プラスチック複合部品を製造する方法であって、
−請求項8又は9に記載の方法で前記プリフォーム(2)を製造するステップと、次いで、
−マトリックス形成プラスチック系を射出し、前記閉鎖されたドレープ成形及びプレス成形工具内に残されたプリフォーム(2)に前記マトリックス形成プラスチック系を含浸するステップと、
−前記マトリックス形成プラスチック系の硬化条件を整えるステップであって、少なくとも一方の前記工具半体(1,1’)の前記プランジャセグメント(3,3’)によりプレス圧を加えて含浸されたプリフォーム(2)を前記マトリックス形成プラスチック系の硬化温度まで加熱するステップと、
−前記繊維プラスチック複合部品を硬化し、取り出すステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に固化されたプリフォームを製造するドレープ成形及びプレス成形工具、並びに製造方法自体、及び更にはプリフォームから繊維プラスチック複合部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
形状がそれによって製造される繊維複合構造に少なくとも類似しているいわゆるプリフォームが形成される繊維一次製品を事前成形することは先行技術から公知である。プリフォームとも呼ばれるこの事前成形は、従来は時間とコストの点で高い手作業の経費を要する作業ステップで行われている。
【0003】
例えば炭素繊維強化エポキシ樹脂系などの複合材から少なくとも一次元湾曲した強化プロファイルを製造するためにこのようなプリフォームを量産するため、特許文献1には、セグメントを反復して堆積し、ドレープ成形することによりコア上に輪郭プリフォームを製造するために基体、特に多軸繊維層、及び/又は強化織物の複数のシート状セグメントを自動的に堆積し、ドレープ成形する装置を開示している。成形工具内で輪郭プリフォームに硬化可能なプラスチック材を含浸させることによって、強化プロファイルが得られる。その際、そこでは個々の織物層がカセットを使用して金型のコアに堆積され、ドレープ成形される。その間に、それぞれの個々の層に粉末結合材が散布され、次いで織物層のスタックの結合材が溶解され、硬化される。圧縮固化はそれ自体が例えば誘導コイル及び冷却装置によって温度調整可能であるため、プリフォームの結合材が迅速に硬化するプレス装置によって行われる。その後、プリフォームは工具から取り出され、金型工具に送られ、そこでプリフォームには公知のRTM技術によって樹脂が浸透され、硬化される。
【0004】
それを前提として、製造プロセスは促進され、そのための装置を汎用に使用可能である必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許第10 2008 042 574B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の先行技術に基づいて、本発明の目的は、製造プロセスを促進でき、しかも同時に装置を汎用に使用可能である装置を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は請求項1の特徴を有する工具によって達成される。
【0008】
本発明の更なる目的は、自動化が向上し、ひいては手作業で行われる作業部分が少なくなるため、高い生産高を高い費用効率で達成できるプリフォーム及びそれから製造可能な繊維プラスチック複合部品の製造方法を作り出すことにある。
【0009】
上記の目的は請求項8の特徴を有する方法によって達成される。
【0010】
その方法及び装置の変形形態はそれぞれの従属請求項に記載されている。
【0011】
最後に、請求項10の特徴を有する発明は、本発明によるドレープ成形及びプレス成形工具を使用してプリフォームから繊維プラスチック複合部品を製造する方法及び装置を開示している。
【0012】
第1の実施形態は、互いに対面する外面が工具面として形成された2つの工具半体を有し、少なくとも部分的に固化されたプリフォームを製造する役割を果たすドレープ成形及びプレス成形工具に関するものである。したがって、プリフォームの製造に使用される、工具半体の間に配置された繊維層を迅速かつ自動的に金型内でドレープ成形できるようにするため、工具半体の一方又は両方は、昇降運動し、個々に制御可能且つ個々に移動可能な複数のプランジャセグメントを有しており、これが対応する工具半体の工具面を形成する。これらの個々に制御可能且つ移動可能なプランジャセグメントにより、繊維層のスタック全体の自動化されたドレープ成形が可能になり、したがって、本発明による装置は、各々の個別層自体がドレープ成形される公知の方法と比較して手順が明らかに迅速である。更に、プランジャセグメントによって、工具半体の工具面の簡単な変更が可能になるため、プランジャセグメントを適宜に調整することによってドレープ成形及びプレス成形工具内で様々な形状のプリフォームを製造することができる。
【0013】
工具半体の一方だけがプランジャセグメントを有しており、これは確実に成形を行う態勢にある工具の上半部でよく、一方、セグメントがない工具の下半部は固定された工具面と共に中実に実施されている。
【0014】
ドレープ成形工程と同時に、又はその直後に、1つ又は複数のセグメントが他のセグメントとは別個に固化されるように結合材を含めて金型内でドレープ成形される繊維層を固化するために、ドレープ成形及びプレス成形工具は、工具半体の一方又は両方の工具面内、又はその下に、すなわちプランジャセグメントを形成する工具面内又はその下に配置されている個々に調整可能な複数の加熱素子を備える加熱装置をそれぞれプランジャセグメント内に含んでいる。セグメントのない工具半体を有する実施形態では、加熱素子はセグメントのない工具面内又はその下に、及び/又はプランジャセグメントを有して実施されている工具半体内に位置している。加熱素子は誘導コイル及び/又は熱当てノズルでよい。閉鎖された工具内で結合材が加熱されることで更なる処理時間が節減され、ドレープ成形、結合材の融解、及び圧縮固化が間断ない工程で続き、ステップを時間的に重ねることができる。
【0015】
加熱素子を含む加熱装置の代わりに、又はこれに加えて、ドレープ成形及びプレス成形工具は、工具半体の間を個々に移動可能なプランジャセグメントと連係した動きで直線的に移動可能な加熱装置を備えることができる。したがって、結合材はプランジャセグメントが繊維層に移動する直前に繊維層内で融解可能である。
【0016】
次いで固化のための迅速な冷却を達成するため、ドレープ成形及びプレス成形工具は冷却装置を備え、それはノズル、特に空気ノズルを有し、それは例えば工具半体の外面上部に配置され、又は側面に配置されることができる。
【0017】
ドレープ成形及びプレス成形工具は更に固定作業ステーションを形成することができ、又は制御可能な可動ロボット装置の一部としてロボットアーム又はロボットハンドに配置されることができる。
【0018】
ドレープ成形及びプレス成形工具が更に、ドレープ成形及びプレス成形工具内でプリフォームを製造した直後にプリフォームからFRP部品を製造するためのRTM工具の役割も果たすことが想定される場合は、ドレープ成形及びプレス成形工具はマトリックス形成プラスチック系用の噴射手段を含むことができる。マトリックス形成プラスチック系の硬化温度を付与する加熱手段、又はプレス圧を加える手段などのRTMプロセスに必要な更なる装置を補足的に組み込むことができ、又、硬化温度及びプレス圧を付与するために既存の加熱装置及びプランジャセグメントを設計することもできる。
【0019】
セグメントのない工具半体を有するドレープ成形及びプレス成形工具の実施形態では、ドレープ成形及びプレス成形工具は、ドレープ成形及びプレス成形工具内に、及び工具外に移動可能な、セグメントなしで実施される複数の工具半体含むようにすることができる。セグメントのない工具半体は更に、下部工具半体の工具面に対応する位置に移動するために上部工具半体のプランジャセグメントをそれぞれ適宜に制御することによって、異なる形状のプリフォーム又はFRP部品を製造するためにそれぞれ使用可能である異なる成形工具面を備えることができる。
【0020】
フレキシブルで適応性のあるドレープ成形及びプレス成形工具は、工具半体、特に上部工具だけがプランジャセグメントを有している場合には凹状の幾何形状で使用でき、両方の工具半体がプランジャセグメントを有している場合には凸状及び凹状の形状で使用できる。
【0021】
最後に、形成される形状の複雑さに応じて異なる幅及び/又は奥行を有することができるプランジャセグメントは、油圧、空気圧又は電動式に移動するプランジャセグメントであってよい。
【0022】
本発明によるドレープ成形及びプレス成形工具によって、同じプランジャセグメントを使用して成形ワーク面の幾何形状を迅速且つフレキシブルに変更することができ、したがって、製造されるプリフォーム、又はそれから製造される繊維プラスチック複合部品の任意の幾何形状が可能になる。
【0023】
本発明の更なる主題は、前述の本発明によるドレープ成形及びプレス成形工具を使用して、成形され少なくとも部分的に固化されたプリフォームを製造する方法に関するものである。方法は、先ず2つの工具半体のうちの少なくとも1つの工具半体が昇降運動可能で個々に調整可能、且つ個々に移動可能なプランジャセグメントを含むドレープ成形及びプレス成形工具内の工具半体の間に結合材、特に粉末結合材を含むスクリム、織物、マット、不織布、編地などの繊維層を配置するステップを含んでいる。次いで、プランジャセグメントが調整され、局部的且つ連続的に挿入された繊維層の方向に移動され、その際に繊維層はスタックとしてプランジャセグメントによる局部的な押圧によりドレープ成形される。プランジャセグメントによりドレープ成形がなされることで処理時間が短縮され、同時に圧縮工程が局部的に制御されることにより特に良好なドレープ成形が達成される。
【0024】
このように、方法ステップの初期の時点で早くもプリフォームは幾何的な表現を得ることができ、工具内の幾何的に画定された個々の強化層の堆積は規定された加力経路をもたらす。連続的に移動するプランジャセグメントを用いて波状的又は局部的に制御された押圧によってドレープ成形工程が支えられる。
【0025】
プランジャセグメントによる方法の前、途中、又は後に、これと連係して加熱装置が作動して、繊維層のスタックが少なくとも局部的に加熱される。特に、繊維層のスタックはプランジャセグメントの長手方向に対して横向きに、プランジャセグメントによってなされるドレープ成形運動によって順次加熱されることができる。ここでプリフォーの少なくとも部分的な固化が補助的な冷却を用いて、又は用いずに行われる。
【0026】
ドレープ成形された繊維層スタックの例えば誘導又は高温空気衝突による局部的又はピンポイント加熱により、プリフォームの部分的に強化された固化がなされ、このことは例えばプリフォームがRTM金型に移送される際に定着及び取扱い作業に利用できる。例えばこの場合も誘導又は熱空気当てによる表面加熱によりプリフォームの表面固化がなされ、これも定着、及び例えば吸着パッドによる取扱作業に利用できる。
【0027】
得られたプリフォームは次いで繊維プラスチック複合部品を製造するためにRTM工具に移送され、そこでマトリクス形成プラスチックが含浸され、その後、含浸されたプリフォームは、使用されるマトリクス形成プラスチック系の種類に左右される規定条件で硬化され、それによって繊維プラスチック複合部品が得られる。
【0028】
あるいは、特に工具を節減する実施形態では、ドレープ成形及びプレス成形工具が補足的にマトリックス形成プラスチック系用の射出装置を装備することによりプリフォームが製造されるドレープ成形及びプレス成形工具を使用することができる。その場合は、プリフォームを製造後に閉鎖されたドレープ成形及びプレス成形工具内に残しておくことができ、マトリックス形成プラスチック系を射出し、それによってプリフォームへのマトリックス形成プラスチック系の含浸をドレープ成形及びプレス成形工具内で行うことができる。次いで工具内でそれぞれのマトリックス形成プラスチックに必要な硬化条件が整えられ、これは特に含浸後のプリフォームをマトリックス形成プラスチック系の硬化温度まで、特にプランジャセグメントによって少なくとも一方の工具半体にプレス圧を加えて加熱することである。硬化後、繊維プラスチック複合部品を金型から取り出すことができる。その際、FRP部品の最終的な輪郭がプリフォームの輪郭と多かれ少なかれ異なるようにすることも考えられる。それは、プラスチックマトリックスを射出する際に空洞を開放する移動可能なスライダを工具半体内に配置することによって達成可能である。更に、スライダの代わりに昇降運動可能なプランジャセグメントを備えることも考えられる。工具の下半部のスライダ又はプランジャセグメントを備え、それによってそれぞれの空洞により形成される金型の空間が設けられる方法によって、部品の輪郭の変更を達成することができる。同様に、上部の空洞を開けて工具下半部のプランジャセグメントを移動させ、それによって部品の形状の変更に役立てることも可能である。この工具又は方法によって特に有利に、スライダ又はプランジャセグメントの異なる作用により改造コストを必要とせずに完全に異なるFRP部品の形状を作り出すことが可能である。
【0029】
これらの利点及びその他の利点は添付図面を参照して以下の詳細な説明で記載される。
【0030】
説明に図面を参照することで説明を支え、主題を理解し易くすることに役立つ。図は単に本発明の実施形態を概略的に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】上部工具がプランジャセグメントを備える本発明によるドレープ成形及びプレス成形工具の概略側断面図である。
図2】両方の工具半体がプランジャセグメントを備える本発明による更に別のドレープ成形及びプレス成形工具の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、繊維プラスチック複合部品、特に炭素繊維複合材から部品を製造する方法及び装置に関する。製造プロセスを促進するため、例えば自動車部品の製造に必要であるような高度の自動化、ひいては高い生産量を実現可能にする本発明によるドレープ成形及びプレス成形工具が使用される。更に、このドレープ成形及びプレス成形工具は汎用に、すなわち複雑な三次元成形された多数の様々なプリフォーム又は部品を製造するために使用可能である。
【0033】
そのため、図1及び2に示されるドレープ成形及びプレス成形工具にはセグメント化されたプレス工具が備えられ、図1では工具半体1だけが、個々に調整可能且つ個々に移動可能なプランジャセグメント3、3’を備えており、それは昇降運動を行うものであり、工具半体1の、この場合は凸形状である成形工具面を形成するように配置可能であり、一方、工具下半部1’は中実に実施されており、工具面は凹状の形状を備えている。図2では、上部工具1も下部工具1’もそれぞれが、個々に調整可能且つ個々に移動可能なプランジャセグメント3を備えており、それは昇降運動を行うものであり、凸状及び凹状の成形工具面を形成するように配置可能である。プランジャセグメント3、3’は好ましくは油圧、空気圧または電動式に動作可能である。図1に示されるように、プランジャセグメント3,3’は更に、例えば複雑な形状を複製できるように異なる幅を有している。このように、幅がより広いプランジャセグメント3は、形状が平坦であるか、僅かな湾曲だけを有する領域に備えることができ、一方より狭いプランジャセグメント3’は複雑な形状を有する個所に使用することができる。
【0034】
ドレープ成形及びプレス成形工具には多軸繊維層、強化織物、スクリム、マット、不織布、編地などの好ましくは粉末結合材を含む織物繊維が工具半体1,1’の間に挿入され、その後、繊維層はスタックとしてプランジャセグメント3、3’の局部的、連続的な移動によってドレープ成形される。
【0035】
繊維層スタックは、ドレープ成形運動に続いて、すなわちプランジャセグメント3、3’の長手方向に対して横向きに加熱され、それによって最適なドレープ成形が可能になり、既に融解している結合材に起因するせん断による層の変位が起こり得なくなる。任意選択で、又はマッピングされる形状に応じて、ドレープ成形運動は金型の中心から径方向又は両側の外側に向かって、又は左から右に、又は右から左になされることができる。
【0036】
プリフォーム2は加熱によって少なくとも部分的に固化され、次いで形状を変えずに工具から取り出され、RTM工具に送られることができ、RTM工具内で樹脂が含浸され、硬化されて繊維プラスチック複合部品が製造される。
【0037】
あるいは、固化したプリフォーム2に同じ工具内でRTM法が施されることもでき、その場合は図1に示すように下部工具1’は中実に実施される必要がある。
【0038】
RTMステップがドレープ成形及びプレス成形工具で実施される場合、プリフォーム2を固化し、場合によっては繊維プラスチック複合部品を硬化するためのドレープ成形及びプレス成形工具内での加熱は、例えばセグメントのない下部工具1’内に配置可能な加熱素子によって行うことができる。加熱素子はドレープ成形動作に従って接続される。あるいは、他方の工具半部1のプランジャセグメント3,3’に加熱素子を備えることもできる。両方の工具半体1,1’が加熱素子を備えることも考えられる。個々に接続可能な加熱素子として、特に接触加熱するためのインダクタ、又は無接触で加熱するための熱当てノズルが考えられ、場合に応じてこれらはそれぞれの工具半体の外面又は内部に、すなわち場合によってはセグメント3,3’内に取り付けられる。
【0039】
(工具の長手方向への)ドレープ成形運動に平行に工具半体の間で繊維スタックの上方を移動可能な加熱手段を配置することも考えられよう。
【0040】
表面加熱は特に、繊維層の変位が予期されない場合に実施することができる。
【0041】
繊維層スタックを固化するための冷却は、気流によって、特に工具面の少なくとも1つに配分され、及び/又は側面に配置可能なノズルによって行うことができる。
【0042】
プリフォーム2を固化する際に、取り扱い易い温度になるまで加熱した繊維層スタックを単に残しておくことも考えられる。しかし、ノズルなどの冷却装置はそれよりも製造プロセスを促進する。
【0043】
図2に示すように、工具上半部1と同様に、工具下半部1’もセグメント化することができる。移動可能なプランジャセグメント3,3’でのセグメント化により、単一の工具でFRP部品の形成時に考えられるあらゆる三次元表面形状を極めて迅速に達成可能である。工具は作業ステーションで固定的に設置でき、又はロボットアーム又はロボットハンドの位置であってもよい。
【0044】
本発明による繊維層スタックのドレープ成形は、公知の単層ドレープ成形よりも明らかに迅速に実施することができる。更にプランジャセグメント3,3’によるドレープ成形作業の遂行は処理時間を短縮し、その際に押圧工程を局部的に制御することにより特に良好なドレープ成形が達成される。結合材を閉鎖した工具内で加熱することにより、処理時間が更に節減される。その際、ドレープ成形、結合材の融解、及び圧縮固化は、間断ない工程で続けられ、ステップは時間的に重複して実行可能である。ちなみに局部的な加熱の場合も、処理時間が短縮される。
【0045】
繊維プラスチック複合部品を製造するためにプリフォーム2を製造する工具と同じドレープ成形及びプレス成形工具でRTMプロセスが実施される場合は、FRP部品を形成するために必要な工具の構成部品は単一の工具に最小化され、その際にドレープ成形及びプレス成形工具は工具内の含浸及び硬化のための補助装置を備えている。これは特に例えば樹脂系などのマトリックス形成プラスチック用の1つ(又は複数の)射出装置である。更に、温度調整及び加圧など、硬化に必要な装置を補助的に組み込むことができるが、プリフォーム2を固化するために結合材を融解する加熱素子も、工具が含浸したプリフォーム2をそれぞれのプラスチック系の硬化温度にそれぞれ加熱することができるように設計され、制御可能である。更に、硬化のためのプレス圧を加えるようにプランジャセグメント3、3’及びその駆動機構を設計することができる。
【0046】
完成品のFRP部品を製造するためにドレープ成形及びプレス成形工具で実施されるRTMプロセスによって製造時間が更に最適化される。その場合は好ましくは、下部工具1’は図1の示すように中実であり、すなわちセグメント化されない。
【0047】
サイクル時間を更に促進するため、複数の下部工具1’を備え、部品の製造後にこれらを工具全体から外側に移動することによって、ドレープ成形及びプレス成形工具の外側で新たな繊維層スタックが挿入された下部工具1’が入り込むことができ、一方、製造されたプリフォーム2又はFRP部品を取り出すために下部工具1’をドレープ成形及びプレス成形工具から外側に移動させるようにすることができる。
【0048】
1つの工具半体1だけがセグメント化されたドレープ成形及びプレス成形工具には更に、工具内で様々なプリフォーム/部品の製造を可能にする異なる形状の複数の下部工具1’を備えることができるが、それはセグメント化された工具半体が、調整可能なプランジャセグメントによって成形工具面の形状を変更できるからである。
【0049】
繊維層スタックを局部的に押圧することで、後の部品の加力経路の方向に向けられた1つ又は複数の繊維層を特別の配置及びドレープ成形が可能であるため、機械的負荷に耐えるように特注されたFRP部品を製造することができる。
図1
図2