(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1および1Aは、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスとの置換に好適な天然弁構造を有する哺乳類の心臓の概略図である。
【
図1A】
図1および1Aは、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスとの置換に好適な天然弁構造を有する哺乳類の心臓の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本技術の実施形態による、僧帽弁内に脱出した弁尖を有し、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、心臓の左心室の略図である。
【
図1C】
図1Cは、本技術の実施形態による、心筋症に罹患し、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、患者内の心臓の略図である。
【
図1C-1】
図1C−1は、天然僧帽弁尖の正常閉鎖を示す、心臓の天然僧帽弁の略図である。
【
図1C-2】
図1C−2は、本技術の実施形態による、膨隆した心臓内の天然僧帽弁弁尖の異常閉鎖を示し、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、心臓の天然僧帽弁の略図である。
【
図1D】
図1Dは、本技術の実施形態による、機能不全乳頭筋を有し、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、心臓の左心室内の僧帽弁逆流を図示する。
【
図1E】
図1Eは、本技術の実施形態による、弁輪の寸法を示し、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、心臓の僧帽弁の略図である。
【
図1F】
図1Fは、本技術の種々の実施形態による、静脈血管系から天然僧帽弁への順行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図1G】
図1Gは、本技術の種々の実施形態による、ガイドワイヤにわたったガイドカテーテルの留置によって維持される心房中隔(IAS)を通したアクセスを示す、心臓の概略断面図である。
【
図1H】
図1Hおよび1Iは、本技術の種々の実施形態による、大動脈弁および動脈血管系を通した天然僧帽弁への逆行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図1I】
図1Hおよび1Iは、本技術の種々の実施形態による、大動脈弁および動脈血管系を通した天然僧帽弁への逆行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図1J】
図1Jは、本技術の種々の実施形態による、経心尖穿通を使用する、天然僧帽弁へのアプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図2A1】
図2A1および2A2は、本技術のある実施形態による、弁部分と、送達構成における支持体と、天然僧帽弁の弁尖の背後に到達するように構成される、外向き構成を有する複数のアームとを有する、人工心臓弁デバイスの側面および上面図である。
【
図2A2】
図2A1および2A2は、本技術のある実施形態による、弁部分と、送達構成における支持体と、天然僧帽弁の弁尖の背後に到達するように構成される、外向き構成を有する複数のアームとを有する、人工心臓弁デバイスの側面および上面図である。
【
図2A3】
図2A3は、本技術のある実施形態による、拡張された構成における支持体を伴い、開放された弁を示す、
図2A1および2A2のデバイスの上面図である。
【
図2A4】
図2A4は、本技術のある実施形態による、拡張された構成における支持体を伴い、閉鎖された弁を示す、
図2A1および2A2のデバイスの上面図である。
【
図2A5】
図2A5は、本技術のある実施形態による、個々のアームの側面図である。
【
図2A6】
図2A6は、本技術のある実施形態による、天然僧帽弁の天然弁尖の周囲および腱索間に延在する複数のアームを示す、略図である。
【
図2A7A】
図2A7A−2A7Dは、本技術の種々の実施形態による、個々のアームの先端部分の側面図である。
【
図2A7B】
図2A7A−2A7Dは、本技術の種々の実施形態による、個々のアームの先端部分の側面図である。
【
図2A7C】
図2A7A−2A7Dは、本技術の種々の実施形態による、個々のアームの先端部分の側面図である。
【
図2A7D】
図2A7A−2A7Dは、本技術の種々の実施形態による、個々のアームの先端部分の側面図である。
【
図2A7E】
図2A7Eは、本技術のある実施形態による、支持体の近位端の周囲に天然弁尖を保定するために、支持体に向かって内向きに配向された湾曲先端部分を有するアームを示す、人工心臓弁デバイスの一部の側面図である。
【
図2A8】
図2A8は、本技術のある実施形態による、支持体および複数のアームを示す、人工心臓弁デバイスの上面図であって、アームは、内向き構成にあって、アームの減圧先端部分は、支持体の表面に沿って配向される。
【
図2A9】
図2A9は、本技術のある実施形態に従って構成される支持体から可変広がり角にある、外向き構成におけるアームを示す、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図2A10】
図2A10および
図2A11は、それぞれ、本技術のある実施形態に従って構成される支持体と、支持体の縦軸に対して可変広がり角に配列される、複数のアームとの上面および側面図である。
【
図2A11】
図2A10および
図2A11は、それぞれ、本技術のある実施形態に従って構成される支持体と、支持体の縦軸に対して可変広がり角に配列される、複数のアームとの上面および側面図である。
【
図2B】
図2B−1は、本技術の種々の実施形態による、天然僧帽弁MV領域への送達カテーテルの遠位端に位置付けられる、人工心臓弁デバイスの送達を示す、心臓の概略断面図である。
図2B−2は、本技術のある実施形態に従って構成される、心臓の天然弁領域への送達のためのカテーテルシース内の人工心臓弁デバイスの拡大断面図である。
【
図2C】
図2Cは、本技術のある実施形態に従って構成される、複数のアームから後退されたカテーテルシースを有し、天然弁構造に位置付けるために、支持体から外向きに延在する複数のアームを示す、
図2B−2の人工心臓弁デバイスの等角側面図である。
【
図2C2】
図2C2は、本技術の別の実施形態に従って構成される、可変長を有する、個々のアームの側面図である。
【
図2C3】
図2C3および2C4は、本技術のある実施形態に従って構成される、支持体の拡張に先立った第1の外向き構成と、支持体の拡張後の第2の外向き構成とを示す、それぞれ、個々のアームの側面図である。
【
図2C4】
図2C3および2C4は、本技術のある実施形態に従って構成される、支持体の拡張に先立った第1の外向き構成と、支持体の拡張後の第2の外向き構成とを示す、それぞれ、個々のアームの側面図である。
【
図2C5】
図2C5および2C6は、本技術のある実施形態による、第1の外向き構成(
図2C5)から第2の外向き構成(
図2C6)に遷移するときのアームの捻転移動を図式的に示す、個々のアームの側面図である。
【
図2C6】
図2C5および2C6は、本技術のある実施形態による、第1の外向き構成(
図2C5)から第2の外向き構成(
図2C6)に遷移するときのアームの捻転移動を図式的に示す、個々のアームの側面図である。
【
図2D】
図2Dは、本技術の種々の側面による、天然弁尖の中心部分の背後に位置付けられる複数のアームを有する、人工心臓弁デバイスの上方からの図を示す、略図である。
【
図2E】
図2Eおよび2Fは、本技術の種々の側面による、天然弁内に位置付けられ、拡張された構成における支持体と、支持体から外向きに延在し、天然弁尖の背後に到達し、天然弁輪の弁輪下領域に係合する、複数のアームとを示す、それぞれ、人工心臓弁デバイスの側面および上面図である。
【
図2F】
図2Eおよび2Fは、本技術の種々の側面による、天然弁内に位置付けられ、拡張された構成における支持体と、支持体から外向きに延在し、天然弁尖の背後に到達し、天然弁輪の弁輪下領域に係合する、複数のアームとを示す、それぞれ、人工心臓弁デバイスの側面および上面図である。
【
図2F1】
図2F1−Aおよび2F1−Bは、本技術の別の実施形態による、天然弁の交連に隣接して位置付けられるように構成される封止部材を有する、それぞれ、人工心臓弁デバイスの側面および上面図である。
【
図2F2】
図2F2−Aおよび2F2−Bは、本技術のさらなる実施形態に従って構成される、開放下流端から閉鎖したより狭い上流端にテーパ状になるベル形状のスカートを有する、それぞれ、人工心臓弁デバイスの等角側面および上面図である。
【
図2F3】
図2F3A−2F3Bおよび2F4A−2F4Cは、本技術のさらなる実施形態による、代替スカート構成を有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図2F4】
図2F3A−2F3Bおよび2F4A−2F4Cは、本技術のさらなる実施形態による、代替スカート構成を有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図2F5】
図2F5Aおよび2F5Bは、本技術のある実施形態による、開放または分離された構成に示される弁尖プッシャを有する、それぞれ、人工心臓弁デバイスの上面および断面側面図である。
図2F5Cおよび2F5Dは、本技術のある実施形態による、閉鎖または内向き構成に示される弁尖プッシャを有する、それぞれ、人工心臓弁デバイスの上面および断面側面図である。
【
図2G】
図2Gは、本技術の種々の実施形態による、延在された構成に示される支持体と、腱索間に延在する複数のアームとを有する、人工心臓弁デバイスの側面図の略図である。
【
図2H】
図2H−1は、本技術の別の実施形態に従って構成される、近位上流端に支持体から外向きに延在するフランジを有する、人工心臓弁デバイスの等角側面図である。
図2H−2は、本技術のさらなる実施形態に従って構成される、支持体の近位上流端から半径方向外向きに延在する複数の伸長フィンガを伴う支持体を有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図2I】
図2Iは、本技術の別の実施形態による、天然大動脈弁を位置付けるために構成される、人工心臓弁デバイスの等角側面図である。
【
図2J】
図2Jは、本技術のさらに別の実施形態による、天然大動脈弁の三尖弁交連に向かって延在するように構成される複数の封止部材を有する、人工心臓弁デバイスの上面図である。
【
図3A】
図3Aは、本技術の種々の実施形態による、本デバイスが、送達構成に示される拡張可能支持体を有し、かつ身体の弁に経皮的にアクセスするために好適であるような内向き構成に示される複数のアームを有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図3B】
図3B、3C、および3Dは、
図3Aにおけるように構成される拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3C】
図3B、3C、および3Dは、
図3Aにおけるように構成される拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3D】
図3B、3C、および3Dは、
図3Aにおけるように構成される拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3E】
図3Eは、本技術のさらなる実施形態に従って構成される、送達構成に示される拡張可能支持体と、アームが、アームと拡張可能支持体との間に、天然弁の弁尖を受容するように位置付けられるような外向き構成に示される複数のアームとを有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図3F】
図3F、3G、および3Hは、
図3Eにおけるように構成される拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3G】
図3F、3G、および3Hは、
図3Eにおけるように構成される拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3H】
図3F、3G、および3Hは、
図3Eにおけるように構成される拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3I】
図3Iは、本技術の付加的実施形態に従って構成される、拡張された構成における拡張可能支持体と、本デバイスが、天然弁の弁輪に連結するために好適であるような外向き構成に示される複数のアームとを有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
図3I1は、本技術の側面による、収縮期の間、アームに付与される力を図示し、支持体の支材および支柱への対応する力を示す、力図である。
【
図3J】
図3J、3K、および3Lは、
図3Iにおけるように構成される、拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3K】
図3J、3K、および3Lは、
図3Iにおけるように構成される、拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図3L】
図3J、3K、および3Lは、
図3Iにおけるように構成される、拡張可能支持体および複数のアームを有する、それぞれ、本デバイスの正面、側面、および上面図を示す。
【
図4】
図4Aおよび4Bは、本技術の他の実施形態に従って構成される、第1の内向き構成(
図4A)および複数の長さを有する外向き構成(
図4B)に示される複数のアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図5A1】
図5A1−5A4は、本技術のある実施形態に従って構成される、リング状端を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図5A2】
図5A1−5A4は、本技術のある実施形態に従って構成される、リング状端を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図5A3】
図5A1−5A4は、本技術のある実施形態に従って構成される、リング状端を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図5A4】
図5A1−5A4は、本技術のある実施形態に従って構成される、リング状端を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図5A5】
図5A5は、本技術のある実施形態に従って構成される、アームが、異なる方向における屈曲に対して相対的抵抗を有するように、第1の平坦化された断面寸法および第2の伸長断面寸法を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの部分的側面図である。
【
図5A7】
図5A7−5A8は、本技術の実施形態に従って構成される平面弁輪下界面接触先端を提供するために、屈曲先端部分を有するアーム先端を含むアームを伴う、それぞれ、人工心臓弁デバイスの側面および正面図である。
【
図5A8】
図5A7−5A8は、本技術の実施形態に従って構成される平面弁輪下界面接触先端を提供するために、屈曲先端部分を有するアーム先端を含むアームを伴う、それぞれ、人工心臓弁デバイスの側面および正面図である。
【
図5A9】
図5A9−5A10は、ループおよび2つの支持体取付点を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの部分的側面図である。ループ状アームは、本技術のある実施形態に従って構成される、天然弁構造内に位置付けるために好適な外向き構成(
図5A9)、または送達カテーテル内に保定するために好適な低断面外形を伴う内向き構成(
図5A10)にあることができる。
【
図5A10】
図5A9−5A10は、ループおよび2つの支持体取付点を伴うアームを有する、人工心臓弁デバイスの部分的側面図である。ループ状アームは、本技術のある実施形態に従って構成される、天然弁構造内に位置付けるために好適な外向き構成(
図5A9)、または送達カテーテル内に保定するために好適な低断面外形を伴う内向き構成(
図5A10)にあることができる。
【
図5A11】
図5A11は、本技術の側面による、その上にカバーを有する、人工心臓弁デバイスのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図5A12】
図5A12−5A15は、本技術の側面による、人工心臓弁デバイスのアーム上のカバーの種々の実施形態を示す、部分的側面図である。
【
図5A13】
図5A12−5A15は、本技術の側面による、人工心臓弁デバイスのアーム上のカバーの種々の実施形態を示す、部分的側面図である。
【
図5A14】
図5A12−5A15は、本技術の側面による、人工心臓弁デバイスのアーム上のカバーの種々の実施形態を示す、部分的側面図である。
【
図5A15】
図5A12−5A15は、本技術の側面による、人工心臓弁デバイスのアーム上のカバーの種々の実施形態を示す、部分的側面図である。
【
図6A】
図6A1−6B4は、本技術の付加的実施形態に従って構成される、支持体の第1の側の支持体取付部位から、第1の側と反対の支持体の第2の側に配向される弁尖および/または弁輪係合部位へと交差するアームを示す、人工心臓弁デバイスの底部、正面、側面、および等角図である。
【
図6B】
図6A1−6B4は、本技術の付加的実施形態に従って構成される、支持体の第1の側の支持体取付部位から、第1の側と反対の支持体の第2の側に配向される弁尖および/または弁輪係合部位へと交差するアームを示す、人工心臓弁デバイスの底部、正面、側面、および等角図である。
【
図7A】
図7Aは、本技術のある実施形態に従って構成される、アームを伴う拡張された支持体と、拡張された支持体の内側に保定および位置付けられる別個の人工弁とを有する、人工心臓弁デバイスの上面図である。
図7A1は、本技術のある実施形態に従って構成される、拡張された構成に示され、人工心臓弁デバイスの拡張された支持体と併用するために構成される、別個の人工弁の斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、本技術の別の実施形態に従って構成される、アームを伴う拡張された支持体と、一時的弁構造とを有し、拡張された支持体の内側かつ一時的弁構造内に保定および位置付けられる、別個の人工弁を示す、人工心臓弁デバイスの上面図である。
図7B1−7B3は、本技術の実施形態による、弁尖を備える一時的弁の種々の構成要素および構造を示す。
【
図7C】
図7Cは、本技術のある実施形態に従って構成される、複数のアームを伴う拡張可能支持体と、拡張可能支持体内に搭載可能な一時的弁とを有する、人工心臓弁デバイスの上面図である。
【
図8】
図8A−8Cは、本技術の実施形態に従って構成される、内側シャフトと、内側シャフトにわたって摺動可能な管状中央シャフトと、中央シャフトにわたって摺動するように構成されるシースとを備える、送達カテーテルの拡大断面図である。
【
図9】
図9A−9Dは、本技術の付加的実施形態による、内側シャフトおよび中央シャフトを有する、送達カテーテルの拡大断面図である。
【
図10】
図10は、本技術のさらなる実施形態に従って構成される、第1のシース内に摺動可能に配置される第2のシースを含み、第2のシースが、人工心臓弁デバイスの支持体の外側表面と複数のアームとの間を摺動するように構成される、送達カテーテルの拡大断面図である。
【
図11】
図11A−11Cは、本技術の別の実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイスのための送達システムの遠位部分の側面断面図である。
【
図12A】
図12A−12Cは、本技術の付加的実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイスのための送達システムの種々の構成要素の側面立面図である。
【
図12B】
図12A−12Cは、本技術の付加的実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイスのための送達システムの種々の構成要素の側面立面図である。
【
図12C】
図12A−12Cは、本技術の付加的実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイスのための送達システムの種々の構成要素の側面立面図である。
【
図12D】
図12D−12Gは、本技術のある実施形態による、その中に配置される人工心臓弁デバイスを有し、送達システムからのデバイスの展開の間のデバイスの種々の配列を示す、
図12A−12Cの送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図12E】
図12D−12Gは、本技術のある実施形態による、その中に配置される人工心臓弁デバイスを有し、送達システムからのデバイスの展開の間のデバイスの種々の配列を示す、
図12A−12Cの送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図12F】
図12D−12Gは、本技術のある実施形態による、その中に配置される人工心臓弁デバイスを有し、送達システムからのデバイスの展開の間のデバイスの種々の配列を示す、
図12A−12Cの送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図12G】
図12D−12Gは、本技術のある実施形態による、その中に配置される人工心臓弁デバイスを有し、送達システムからのデバイスの展開の間のデバイスの種々の配列を示す、
図12A−12Cの送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図13】
図13A−13Bは、本技術のある実施形態に従って構成される、拡張可能支持体と複数のアームとの間に連結されるベルトを有する、それぞれ、人工心臓弁デバイスの立面側面および斜景図である。
図13C−13Dは、本技術の側面による、外向き配向(
図13C)および内向き配向または構成(
図13D)におけるアームを示す、
図13A−13Bのデバイスの上面図である。
【
図14】
図14は、本技術の別の実施形態に従って構成される、拡張可能支持体と複数のアームとの間に連結される一対のベルトを有する、人工心臓弁デバイスの立面側面図である。
【
図15】
図15A−15Cは、本技術の種々の実施形態による、人工心臓弁デバイスと関連付けられ、ベルトをアームに連結するための機構を示す、個々のアームの一部の側面図である。
【
図16】
図16A−16Cは、本技術のさらなる実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイスのためのアームの作製を示す、斜景図であって、アームは、ベルトを受容するための小穴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細が、
図1−16Cを参照して、以下に説明される。実施形態の多くは、人工弁デバイスを使用した天然心臓弁の経皮的置換のためのデバイス、システム、および方法に関して後述されるが、本明細書に説明されるものに加え、他の用途および他の実施形態も、本技術の範囲内である。加えて、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書に説明されるものと異なる構成、構成要素、または手順を有することができる。当業者は、したがって、故に、本技術が、付加的要素を伴う他の実施形態を有することができる、または本技術が、
図1−16Cを参照して以下に図示および説明される特徴のいくつかを伴わない、他の実施形態を有することもできることを理解するであろう。
【0053】
本説明内における用語「遠位」および「近位」に関して、別様に規定されない限り、本用語は、オペレータおよび/または血管系または心臓内の場所に対する、人工弁デバイスおよび/または関連付けられた送達デバイスの部分の相対的位置を指すことができる。例えば、本明細書に説明される種々の人工弁デバイスを送達および位置付けるために好適な送達カテーテルを参照すると、「近位」は、本デバイスのオペレータまたは血管系内への切開により近い位置を指すことができ、「遠位」は、本デバイスのオペレータからより離れた、または血管系に沿った切開からより遠い、位置(例えば、カテーテルの端部)を指すことができる。人工心臓弁デバイスに関しては、用語「近位」および「遠位」は、血流の方向に対するデバイスの部分の場所を指すことができる。例えば、近位は、上流位置または血液流入の位置を指すことができ、遠位は、下流位置または血液流出の位置を指すことができる。参照を容易にするために、本開示全体を通して、同じ参照番号および/または文字は、同様または類似構成要素あるいは特徴を識別するために使用されるが、同一の参照番号の使用は、その部品が同じであると解釈されるべきであることを含意するものではない。実際、本明細書に説明される多くの実施例では、同じ番号が付与された部品は、構造および/または機能が異なる。本明細書に提供される見出しは、便宜上のためだけのものである。
【0054】
心臓生理学
図1および1Aは、心臓Hを示す。心臓は、身体から血液を受容し、身体から肺に血液を圧送する、右心房RAおよび右心室RVを備える。左心房は、肺静脈PVを介して、肺から酸素化血液を受容し、僧帽弁MVを通して、左心室LV内に本酸素化血液を圧送する。左心室LVは、大動脈弁AVを通して、大動脈内に血液を圧送し、そこから、血液が、身体全体にわたって流動する。
【0055】
収縮期における正常心臓Hの左心室LVは、
図1Aに図示される。収縮期では、左心室LVは、収縮し、血液は、矢印の方向に、大動脈弁AVを通って外向きに流動する。僧帽弁MVを通る血液の逆行流または「逆流」は、僧帽弁が、「逆止弁」として構成され、左心室内の圧力が、左心房LA内のものを上回ると、逆行流を防止するため、防止される。僧帽弁MVは、
図1Aに図示されるように、均一に衝合する、すなわち、閉鎖するように「接合」する、遊離縁FEを有する、一対の弁尖を備える。弁尖LFの反対端は、弁輪ANと称される、組織の環状領域を介して、周囲心臓構造に付着される。弁尖LFの遊離縁FEは、弁尖LFのそれぞれの下側表面にわたって固着された複数の分岐腱を含む、索CT(以下「腱索」と称される)を通した左心室LVの下側部分に固着される。腱索CTは、順に、左心室および心室中隔IVSの下側壁から上向きに延在する、乳頭筋PMに付着される。
【0056】
次に、
図1Bから1Dを参照すると、心臓内のいくつかの構造欠陥が、僧帽弁逆流を生じさせ得る。断裂した腱索RCTは、
図1Bに示されるように、不適正な張力が、腱索を介して、弁尖に伝達されるため、弁尖LF2を脱出させ得る。他方の弁尖LF1は、正常外形を維持するが、2つの弁尖は、適切に衝合せず、矢印によって示されるように、左心室LVから左心房LA内への漏出が、生じるであろう。
【0057】
逆流はまた、心臓が膨隆され、増加したサイズが、
図1Cに示されるように、弁尖LFが適切に衝合しないように妨害するため、心筋症に罹患する患者においても生じる。心臓の拡大は、僧帽弁輪を拡大させ、遊離縁FEが、収縮期の間、衝合することを不可能にする。前尖および後尖の遊離縁は、通常、
図1C1に示されるように、接合線Cに沿って衝合するが、心筋症に罹患する患者では、
図1C2に示されるように、有意な間隙Gが、残り得る。
【0058】
図1C1、1C2、および1Eはさらに、僧帽弁の弁尖Lの形状および相対的サイズを図示する。全体的弁は、略腎臓状形状を有し、長軸MVA1および短軸MVA2を伴うことを理解できるであろう。健康なヒトでは、長軸MVA1は、典型的には、約33.3mm〜約42.5mmの長さ(37.9+/−4.6mm)範囲内にあって、短軸MVA2は、約26.9〜約38.1mmの長さ(32.5+/−5.6mm)範囲内にある。しかしながら、低下した心臓機能を有する患者では、これらの値は、より大きくなり得、例えば、MVA1は、約45mm〜55mmの範囲内であり得、MVA2は、約35mm〜約40mmの範囲内であり得る。接合線Cは、湾曲またはC形状であって、それによって、比較的に大きな前尖ALおよび実質的により小さい後尖PL(
図1C1)を画定する。両弁尖は、上方または心房側からは、概して、三日月形状に見え、前尖ALは、実質的に、弁の中央が、後尖より広い。接合線Cの対向端では、弁尖は、それぞれ、前交連ACおよび後交連PCと呼ばれる、角で結合する。
【0059】
僧帽弁逆流はまた、
図1Dに図示されるように、乳頭筋PMの機能が損なわれている、虚血性心臓病に罹患する患者においても生じ得る。左心室LVが、収縮期の間、収縮するにつれて、乳頭筋PMは、適切な閉鎖をもたらすために十分に収縮しない。弁尖LF1およびLF2の一方または両方が、したがって、図示されるように、脱出する。再び、漏出が、矢印によって示されるように、左心室LVから左心房LAへと生じる。
【0060】
図1Eは、僧帽弁の弁輪の形状および寸法を示す。弁輪は、弁尖LFのものより厚く、強靱である、線維性組織から成り、心室および心房壁の筋組織と異なる、弁の円周の周囲の環状面積である。弁輪は、頂部間軸IPDに沿って位置する、第1の頂部分PP1および第2の頂部分PP2と、谷部間軸IVDに沿って位置する、第1の谷部分VPIおよび第2の谷部分VP2とを伴う、サドル状形状を備え得る。第1および第2の頂部分PP1およびPP2は、2つの谷部分VP1、VP2の天底を含有する平面と比較して、高度が高く、典型的には、ヒトでは、約8−19mm高く、したがって、弁に全体的サドル状形状を与える。頂部間径間IPDと称される、第1および第2の頂部分PPI、PP2間の距離は、実質的に、第1および第2の谷部分VPI、VP2間の距離である、谷部間径間IVDより短い。
【0061】
当業者は、患者の寸法および生理学が、患者間で変動し得、一部の患者が、異なる生理学を備え得るが、本明細書に説明される教示が、僧帽弁の種々の状態、寸法、および形状を有する、多くの患者によって使用されるために適合されることができることを認識するであろう。例えば、本開示に関連する研究は、一部の患者が、明確に定義された頂部および谷部分を伴わずに、弁輪を横断する長寸法および弁輪を横断する短寸法を有し得るが、本明細書に説明される方法および装置が、適宜、構成されることができることを示唆している。
【0062】
僧帽弁へのアクセス
僧帽弁または他の房室弁へのアクセスは、経皮的様式において、患者の血管系を通して、達成されることができる。経皮的とは、心臓から遠隔の血管系の場所が、典型的には、例えば、Seldinger技法を通して、針アクセスを使用して等、外科的切開手技または低侵襲的手技を使用して、皮膚を通してアクセスされることを意味する。遠隔血管系に経皮的にアクセスする能力は、公知であって、特許および医療文献に説明されている。血管アクセス点に応じて、僧帽弁へのアプローチは、順行性であってもよく、心房中隔を交差することによる左心房内への進入に依拠してもよい。代替として、僧帽弁へのアプローチは、逆行性であることができ、左心室は、大動脈弁を通して進入される。経皮的アクセスが達成されると、介入ツールおよび支持カテーテルが、心臓へと血管内を前進され、本明細書に説明されるように、種々の様式において、標的心臓弁に隣接して位置付けられてもよい。
【0063】
経中隔アプローチの使用では、アクセスは、下大静脈IVCまたは上大静脈SVCを介して、右心房RAを通して、心房中隔IASを横断し、僧帽弁MV上方の左心房LA内へと得られる。
【0064】
図1Fに示されるように、針12を有するカテーテル10が、下大静脈IVCから、右心房RA内へと前進されてもよい。カテーテル10が、心房中隔IASの前方側に到達すると、針12は、例えば、左心房LA内への卵円窩FOまたは卵円孔において、中隔を通して穿通するように前進されてもよい。本点において、ガイドワイヤが、針12と交換され、カテーテル10が抜去されてもよい。
【0065】
図1Gに示されるように、心房中隔IASを通したアクセスは、通常、典型的には、前述のように留置されたガイドワイヤ16にわたる、ガイドカテーテル14の留置によって維持されてもよい。ガイドカテーテル14は、本明細書に以下により詳細に説明されるように、僧帽弁を置換するための装置の導入を可能にするための後続アクセスをもたらす。
【0066】
僧帽弁への順行性または経中隔アプローチは、前述のように、多くの観点において、有利であり得る。例えば、順行性アプローチの使用は、通常、ガイドカテーテルおよび/または人工弁装置のより精密かつ効果的心合および安定化を可能にするであろう。精密な位置付けは、人工弁装置の留置の正確度を促進する。順行性アプローチはまた、カテーテルおよび介入ツールの導入および操作の間、弁下装置を損傷する危険を低減させ得る。加えて、順行性アプローチは、逆行性アプローチにおけるような大動脈弁の横断と関連付けられた危険を減少させ得る。これは、特に、完全に交差されることができない、または実質的損傷の危険を伴うことなく交差されることができない、人工大動脈弁を伴う患者に関連し得る。
【0067】
僧帽弁への例示的逆行性アプローチは、
図1H−1Iに図示される。僧帽弁MVは、大動脈弓AAから、大動脈弁AVを横断して、僧帽弁MVの下方の左心室内へのアプローチによって、アクセスされてもよい。大動脈弓AAは、従来の大腿動脈アクセス経路を通して、ならびに上腕動脈、腋窩動脈、あるいは橈骨または頸動脈を介したより直接的アプローチを通して、アクセスされてもよい。そのようなアクセスは、ガイドワイヤ16の使用によって達成されてもよい。定位置に来ると、ガイドカテーテル14は、ガイドワイヤ16にわたって追従されてもよい。ガイドカテーテル14は、以下により詳細に説明されるように、人工弁装置の留置を可能にするための後続アクセスをもたらす。
【0068】
いくつかの事例では、僧帽弁への逆行動脈アプローチは、その利点のため、好ましくあり得る。逆行性アプローチの使用は、経中隔穿通の必要性を排除することができる。逆行性アプローチはまた、より一般には、心臓専門医によって使用され、したがって、精通しているという利点を有する。
【0069】
僧帽弁への付加的アプローチは、
図11に示されるように、経心尖穿通を介する。本アプローチでは、心臓へのアクセスは、従来の開胸手術または胸骨切開、あるいはより小さい肋間または剣状突起下切開または穿通であり得る、胸部切開を介して得られる。アクセスカニューレが、次いで、穿通を通して留置され、心尖近傍の左心室の壁内に巾着縫合によって封止される。本明細書に開示されるカテーテルおよび人工デバイスが、次いで、本アクセスカニューレを通して、左心室内に導入されてもよい。
【0070】
経心尖アプローチは、僧帽弁または大動脈弁へのより短く、より直線であって、かつより直接的経路を提供するという利点を有する。さらに、血管内アクセスを伴わないため、他の経皮的アプローチのカテーテル挿入を行なうための介入心臓学における必要な訓練を受けていない場合がある外科医によって行なわれることもできる。
【0071】
人工治療装置は、アプローチ専用に設計される、またはアプローチ間で交換可能であってもよい。当業者は、個々の患者のための適切なアプローチを識別し、本明細書に説明される実施形態に従って、識別されたアプローチのための治療装置を設計することができる。
【0072】
人工弁装置の配向および操向は、多くの公知のカテーテル、ツール、およびデバイスと組み合わせられることができる。そのような配向は、所望の場所へ大まかなデバイスの操向、次いで、所望の結果を達成するためのデバイス構成要素の精緻化された操向によって達成されてもよい。
【0073】
大まかな操向は、いくつかの方法によって達成されてもよい。操向可能ガイドワイヤが、ガイドカテーテルおよび人工治療装置を適切な位置に導入するために使用されてもよい。ガイドカテーテルは、例えば、患者の鼠径部における大腿動脈への外科的切開またはSeldingerアクセスを使用して、導入されてもよい。ガイドワイヤを留置後、ガイドカテーテルは、ガイドワイヤにわたって、所望の位置に導入されてもよい。代替として、より短く、かつ異なる形状のガイドカテーテルも、前述の他の経路を通して導入され得る。
【0074】
ガイドカテーテルは、僧帽弁に対する所望の配向を提供するように、予成形されてもよい。経中隔アプローチを介したアクセスの場合、ガイドカテーテルは、それを通してガイドカテーテルが延在する中隔穿通の場所から、僧帽弁に向かって、遠位端を配向するように、その先端に、湾曲、角度付き、または他の好適な形状を有してもよい。逆行性アプローチの場合、
図1Hおよび1Iに示されるように、ガイドカテーテル14は、大動脈弓AAにわたって、かつ大動脈弁AVを通して留置された後、僧帽弁MVに向かって転動するように構成される、予成形されたJ−先端を有してもよい。
図1Hに示されるように、ガイドカテーテル14は、左心室LV内へ下方に延在し、介入ツールまたはカテーテルの配向が、僧帽弁MVの軸とより近接して整合されるように、外転するように構成されてもよい。いずれの場合も、予成形されたガイドカテーテルは、ガイドカテーテルの管腔を通過される、スタイレットまたは靭性ガイドワイヤによって、血管内送達のために直線化されるように構成されてもよい。ガイドカテーテルはまた、より微細な操向調節のために、その形状を調節するための引張ワイヤまたは他の手段も有し得る。
【0075】
心臓弁の治療
本明細書に説明されるような本技術の実施形態は、本明細書に説明される心臓の弁のうちの1つ以上を治療するために使用されることができ、僧帽弁、または他の実施形態では、大動脈弁の治療のために使用されることができる。
【0076】
図2A1および2A2は、送達構成111に配置される、支持体110に搭載された弁150と、僧帽弁の弁尖の背後から天然弁輪の心室側の弁輪下空間内に到達するための外向き構成123における複数のアーム120とを備える、人工治療装置100の側面および上面図を示す。支持体110は、概して、円筒形であって、縦軸110Aの周囲に形成される。支持体110は、拡張可能骨組140を備え、そこから、複数のアーム120が延在する。支持体110はさらに、骨組140の外部および/または内部壁の周囲に配置される被覆(図示せず)を備え、骨組140の壁を通る血流を遮断し、および/または組織の内部成長を助長してもよい。アーム120はまた、コーティングまたは被覆(図示せず)によって被覆され、内部成長を助長してもよい。アーム120は、弁150が、収縮期の間、閉鎖されると、弁150が、弁輪によって支持されるように、天然弁輪に係合するように構成されることができる。複数のアーム120は、本明細書に説明されるように、弁輪に係合することによって、弁150を支持し、天然心臓組織に対して、その一般的位置を維持するための柱強度を有することができる。
【0077】
支持体110は、上流部分112および下流部分114と、外側表面110Sとを備える。本明細書で使用されるように、「上流」は、そこから血液が、通常、該当する心臓または弁を通して流動する方向を意味する一方、「下流」は、そこに向かって、血液が、通常、流動する方向を意味するものとする。僧帽弁の場合、「上流」は、左心房または心臓の上方側面に向かう、あるいはそれにより近接する方向を意味する一方、「下流」は、左心室または心臓の下方側面に向かう、あるいはそれにより近接する、反対方向を意味する。大動脈弁の場合、「上流」は、左心室または心臓の下方端に向かう方向を意味する一方、「下流」は、大動脈または大動脈弓に向かう、あるいはそれにより近接する方向を意味する。一実施形態では、支持体110は、第1の側110S1および第2の側110S2を備える。第1の先端部分122Aを備える、第1の複数のアーム120Aは、第1の側110S1の支持体110に搭載されることができ、第2の先端部分122Bを備える、第2の複数のアーム120Bは、第2の側110S2の支持体110Sに搭載されることができる。第1の正中線110Mは、支持体を第1の側110S1と第2の側110S2との間で略半分に分割し、軸110Aに交差する。第2の正中線110M2は、第1の正中線110Mを横断して延在し、支持体110の中心において、正中線110Mに交差する(
図2A2)。
【0078】
骨組140は、種々の幾何学的パターンに配列される、本明細書では、支材142または支柱144と称される、複数の薄い相互接続部材から成ってもよい。代替として、骨組140は、メッシュまたは織布構造を備えてもよい。一実施形態では、骨組140は、複数の支材142および複数の支柱144を含むことができる。複数の支柱144は、縦軸110Aに略平行な軸方向に沿って、延在することができ、支材142は、縦軸110Aの周囲に円周方向に延在することができる。支材142は、一連のリングを縦軸110Aの周囲に形成することができ、各リングは、円周方向に拡張可能な幾何学形状を有することができる。示される実施例では、支材142は、正弦波構成に形成される。ジグザグ、閉鎖セル、開放セル、または他の拡張可能構成もまた、可能である。複数の支材142は、複数のノード110Nを画定するように、複数の支柱144に取り付けられることができる。複数の支材142および複数の支柱144は、本明細書に説明されるように、変形可能材料あるいは弾性または形状記憶材料を備えてもよい。いくつかの実施形態では、複数のアーム120は、支柱144の下流端114aまたは支材142に沿った場所に取り付けられる、あるいは別様にそれと一体的に形成される、もしくはそれらの組み合わせであってもよい。他の実施形態では、アーム120は、骨組140上の任意の場所、例えば、骨組140の縦軸110Aに沿った支柱144または支材142の外側表面から延在する、またはそれに連結されることができる。
【0079】
複数のアーム120は、弁の弁尖の背後に到達し、天然弁輪に係合するように構成される。複数のアーム120はそれぞれ、弁輪に接触するための先端部分122(例えば、遠位先端)と、アーム120を支持体110に連結するための基部分124とを備えることができる。弁輪との接触は、例えば、心室壁の上方部分と僧帽弁尖の心室表面の根元部分との間の交差点によって画定される、環状溝内で生じ得る。一実施形態では、アーム120は、弁輪に係合すると、アーム120上に付与される荷重が、主に、圧縮軸荷重であるように、弁輪下表面に略直交する、またはそれに対して約45〜135度の斜角にあるように配向される。先端部分122は、代替として、より下流、すなわち、僧帽弁尖の心室表面に沿って、または心室壁に沿って、任意の場所に位置付けられてもよい。同様に、先端部分122は、例えば、複数のアーム120と腱索との係合が、先端部分122が遊離空間内に延在するように位置付けられた複数のアーム120を残す場合、任意の心臓構造と実質的に接触しなくてもよい。
【0080】
複数のアーム120はそれぞれ、弁尖を各アーム120と支持体110の外側表面110Sとの間に受容するように定寸される間隙距離130を伴って、支持体110から分離される。肘部分126は、基部分124から下流方向に延在し、次いで、上流方向に、約120〜180度、折り返す。複数のアーム120はそれぞれ、湾曲肘部分126と先端部分122との間に延在する、延在部分127を備えてもよい。肘部分126は、延在部分127に延在する、U形状の湾曲部126Uを備えてもよい。いくつかの実施形態では、肘部分126は、弓状形状を有することができるが、しかしながら、他の実施形態では、肘部分は、アーム120の下流軌道から上流軌道への再指向を可能にする、より三角形形状または正方形形状を含むことができる。複数のアーム120はそれぞれ、支持体110の下流部分114の下流端114aの下方に、距離139だけ延在することができる。湾曲肘部分126は、支持体110の下流端の下方に位置する軸126Aの周囲に延在することができる。複数のアーム110はそれぞれ、先端122が、天然弁輪に係合することができる一方、湾曲肘部分126が、天然弁尖の下流縁を収容することができるように、湾曲肘部分126の下流端から先端部分122に、距離138だけ、上流に延在する。随意に、アーム120は、先端部分122が、弁輪と係合すると、天然弁尖が、弁輪に向かって、圧縮、折畳、または束化されるように構成されてもよい。
【0081】
複数のアーム120のそれぞれの先端部分122は、弁輪の穿通または傷害を阻止するように成形されることができる。先端部分122は、弁輪に接触するアーム120の先端部分122の表面積が、先端部分122から離れたアーム120の断面積を上回るように成形された減圧先端部分122PRを備えてもよい。
【0082】
先端部分は、支持体110が送達構成111(
図2A2)に配置されるとき、薄型外形を有し、支持体110が拡張された構成113(
図2A3)にあるとき、係合外形を有するように配向されることができる。先端部分122Aは、先端が、第2の正中線110M2(
図2A2)に向かって向くように、軸縦軸110Aに略平行な軸の周囲で湾曲または屈曲されることができる。
【0083】
図2A2、2A3、および2A4をともに参照すると、弁150は、多くの方法で構成されることができ、一時的弁、置換可能弁、可撤性弁、または恒久的弁のうちの1つ以上を備えてもよい。弁150は、複数の弁尖152を備える。一実施形態では、弁150は、三葉弁尖構成を有するが、二葉弁尖構成等、種々の代替弁構成が、使用されてもよい。弁150は、下流方向における血流を可能にし、上流方向における血流を遮断するように適合される。
【0084】
図2A3は、支持体110が拡張された構成113にあって、開放した弁150を伴う、
図2Alおよび2A2の装置を示す。加えて、
図2A3−2A4は、先端部分122Aのための代替構成を図示し、先端部分122Aは、先端122が、概して、支持体110の中心に向かって、または正中線110Mに向かって向くように、縦軸110Aを横断する軸の周囲で屈曲または湾曲される。
【0085】
図2A4は、支持体110が拡張された構成113を備え、閉鎖された弁150を伴う、
図2A1および2A2の装置を示す。
【0086】
図2A5は、個々のアーム120の幾何学形状および寸法を示す。アーム120は、支持体110(
図2A5には図示せず)の下流端の下方に、距離139だけ延在し得る、肘部分126を備える。距離139は、約0〜約15mmの範囲内、例えば、約4mmであることができる。アーム120は、肘部分126の下方端から、先端122aまで、距離137だけ、延在することができる。距離137は、約10mm〜約35mm、例えば、約20mmであることができる。延在部分127は、支持体110の縦軸110Aに対して、延在角度135において延在することができる。延在角度135は、約10度〜約50度の範囲内、例えば、約25度であることができる。延在角度135は、先端部分122と支持体110の外側表面110Sとの間の間隙距離130を決定することができる。
【0087】
図2A6は、心臓内の天然弁場所に埋め込まれた装置100を示す。装置100のアーム120は、僧帽弁の腱索CT間の弁尖LFの周囲に延在する。いくつかの実施形態では、装置100の片側のアーム120は、天然弁尖LFの中心近傍の腱索CT内の間隙を通して延在するように構成することができる。アーム120は、弁輪まで延在し、弁輪を先端部分122と係合させるように定寸されることができる。アーム120は、天然弁輪下表面のより広い面積を横断して、荷重を分散させるように、先端部分122が、天然弁輪に沿って離間されるように、円周方向に広げられる。
【0088】
先端部分122は、力を分散させ、組織傷害または弁輪の穿通を最小限にするように適合される、種々の構成を有してもよい。
図2A7Aは、先端部分122上に一対の湾曲先端122SKを有する、アーム120を示す。先端部分122の対の湾曲先端122SKは、弁輪によって係合されると、下流方向に偏向されるために十分に可撓性である、湾曲先端を備えてもよい。湾曲先端122SKは、弁輪との接触を維持するように、弁輪に向かって、上流方向に付勢されるために十分な弾性を有してもよい。このように、弁輪の可変高度は、アーム120のそれぞれが、弁輪に係合し、支持体110上に付与されるある程度の荷重に耐えることができるように、アーム120によって収容されることができる。代替として、先端部分122は、
図2A7Bに示されるような丸いボール、
図2A7Cに示されるような平坦化された円盤状構造、
図2A7Dに示されるようなリング、または他の構造を備えてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、先端部分122は、支持体110と協働し得るように相互作用し、天然弁尖との係合を強化するように構成される。一構成では、先端部分122は、天然弁尖が、アーム120と支持体110との間に狭入または圧縮され、
図2A7Eに示されるように、支持体110の上流部分112の上流端112aの周囲に折畳されるように、縦軸110Aに向かって、内向きに向き、支持体110の上流端にわたって延在する。
【0089】
図2A8は、装置100の上面図を示し、各減圧先端部分122PRを横断する最大寸法122MDは、支持体110の外側表面110Sに略平行に延在するように配向される。支持体110が、送達構成111にあって、複数のアーム120が、内向き構成121にあるとき、先端部分122は、入れ子になり、外側表面110Sに形状適合し、装置100の断面サイズを減少させることができる。いくつかの実施形態では、隣接する減圧先端部分122PRは、支持体110の外側表面110S上にともに着接または圧接されることができる、または他の実施形態では、減圧先端部分122PRは、各アーム120が、内向き構成121にある間、支持体110に対して、薄型外形を有し得るように、空間122PRAだけ、外側表面110Sに沿って離間されることができる。
【0090】
別の実施形態では、
図2A9−2A10は、複数のアーム120の広がり角を示す。支持体110は、送達構成111に示され、複数のアーム120は、外向き構成123に示される。各アーム120は、複数のアーム120が、相互から離れるように広げられるように、正中線(例えば、第2の正中線110M2)からの一意かつ可変の広がり角において、肘部分126から、先端部分122に向かって延在する。
図2A9および2A10に示される実施例では、第2の正中線110M2に最も近いアーム120(例えば、アーム120z)は、第1の広がり角126SA1を有することができ、正中線110M2から最も遠いアーム120(例えば、アーム120x)は、第1の広がり角126SA1より大きい第2の広がり角126SA2を有することができる。本実施例では、先端部分122は、相互の先端部分122に対して離間されることができ、天然弁輪に接触しながら、より広い距離に及ぶことができる。本実施形態では、第2/下流の心臓内腔が収縮するとき、弁輪下表面上の荷重(例えば、先端部分122との接触点において、天然弁輪の弁輪下表面に対して、装置100上に付与される圧力または力)をより広く分散させることが可能となり得る。別の構成では、広がり角126SA1、126SA2は、支持体110の各側のアーム120の群(例えば、
図2A10に示される列128Aおよび128B)のそれぞれの個々の先端部分122が、正中線110M2の近傍にともに凝集されるように選択される。広がり角はまた、湾曲肘部分126が、螺旋湾曲部を形成するように選択されてもよい。代替として、または組み合わせて、肘部分126は、延在部分127が、選択された広がり角において、先端122まで延在するように、捻転されることができる。当業者は、各アーム120が、異なる形状、サイズ、および耐荷重潜在性を有する、種々の天然構造を収容するために、支持体110上の付加的アーム120の他の広がり角に対して、一意かつ可変の広がり角において、支持体110から突出し得ることを理解するであろう。
【0091】
図2Al0および2A11は、縦軸110Aに対して、僧帽弁等の二葉弁尖または二尖弁の治療のために構成される、複数のアーム120の角度の上面および側面図を示す。支持体110は、送達構成111に、複数のアーム120は、外向き構成123に示される。アーム120は、先端部分122が、第1の正中線110Mの第1の側110Slの第1の列128Aと、第1の正中線110Mの第2の側110S2の第2の列128Bとを形成するように配列される。一実施形態では、側110S1および110S2から略90度オフセットされる、支持体110の他の2つの側は、アームを有していない、あるいは側110S1および110S2より遥かに少ない数またはより低密度のアームを有してもよい。いくつかの実施形態では、列128A内の外側アーム120xと列128B内の外側アーム120yとの間の円周方向距離は、実質的に、同一の列(列128Aまたは128B)内の隣接するアーム(例えば、アーム120xおよびアーム120z)間の空間より大きくあることができる。
【0092】
アーム120の第1および第2の列128A、128Bはそれぞれ、略直線を形成してもよく、または他の配列では、尖頂または矢印状形状を形成してもよい。付加的配列では、アーム120は、天然弁輪の自然曲率に略一致する曲率を伴う、曲線方式で配列されることができる。大きな卵形または腎臓状形状の弁輪を有し得る、僧帽弁を治療するために好適なデバイスのいくつかの実施形態では、拡張された構成における先端部分122は、天然弁輪の卵形または腎臓状形状を模倣する、またはそれに一致するように配列されることができ、実質的に、支持体110の曲率半径より大きい曲率半径を有することができる。例えば、支持体110は、拡張されると、曲率半径約10〜20mmを有してもよい一方、先端部分122は、約15〜30mmの半径を有する湾曲に配列されてもよい。第1の側110S1および第2の側110S2はそれぞれ、第2の正中線110M2によって分割される。集合的複数のアーム120の先端部分122の曲率半径を延在させるために、アームは、前述のように、可変広がり角(例えば、広がり角126SA1および126SA2)を有することができ、アーム120は、縦軸110Aから、可変延在角度135(
図2A11の135aおよび135bとして個々に示される)において、延在されることができる。各アーム120の延在部分127は、縦軸110Aおよび/または支持体110の外側表面110Sに対して、延在角度135で延在することができる。一実施形態では、かつ、
図2A11に示されるように、第2の正中線110M2から最も遠いアームは、縦軸110Aに対して、延在角度135bで延在することができ、第2の正中線110M2に最も近いアームは、縦軸110Aに対して、延在角度135aで延在することができ、延在角度135bは、延在角度135aを上回る。
図2A11を参照すると、正中線110M2に最も近いアーム120zの延在部分127は、縦軸110Aに対して、第1の延在角度135aを伴って延在し、アーム120zより正中線110M2から遠くに位置する、アーム120xの延在部分127は、第2の延在角度135bを伴って延在し、第2の延在角度135bは、第1の側110Slの複数の先端122が、略直線の第1の列128Aを形成し、および/または支持体110の曲率半径を上回る曲率半径を有するように線形に整合されるように、第1の延在角度135aを上回る。三葉弁尖または三尖弁の場合、アーム120は、支持体110の両側の2つの群または列ではなく、支持体110の周囲に円周方向に、相互から約120度だけオフセットされる、3つの群または列に配列されてもよい。他の実施形態では、支持体110は、3つを上回る群または列のアーム120を収容することができる。
【0093】
図2B−1は、人工治療装置100(
図2Alの装置100等)が、僧帽弁MV(腱索は、明確にするために示されない)の治療のための送達カテーテル200の遠位端近傍の管腔101内に連結されている、心臓の概略断面正面立面図を示す。送達カテーテル200は、右心房から、経中隔穿通を通して、左心房LA内に送達されている、ガイド202を通して挿入される。いくつかの実施形態では、ガイド202の遠位部分270は、ガイド202の遠位端272が、心臓Hの天然僧帽弁MVに向かって向くように、湾曲に形状硬化される。
【0094】
図2B−2は、
図2B−1の送達カテーテル200の遠位部分270を示し、人工治療装置100は、送達カテーテル200のシース20で被覆される。本装置100は、拡張可能支持体110および複数のアーム120を含むことができる。シース20の管腔22内に拘束された状態において、拡張可能支持体110は、半径方向に収縮された送達構成111に配置され、複数のアーム120は、僧帽弁MVへの経皮的送達のために、内向き構成121に配列される。送達カテーテル200のシース20は、支持体110が、送達構成111にあって、複数のアーム120が、内向き構成121にあるとき、アーム120にわたって位置することができる。本装置100は、拡張可能部材、例えば、バルーン190を含み、支持体110を拡張させてもよく、または支持体110は、自己拡張式支持体であることができる、またはそれらの組み合わせである。弁150は、拡張可能支持体110の内部に搭載されることができる、または弁150は、支持体110が拡張された構成113にあるとき、埋込後、支持体に連結されることができる、または本明細書に説明されるようなそれらの組み合わせである。
【0095】
図2Cは、本技術のある実施形態に従って構成される、カテーテルシースが複数のアーム120から後退され、天然弁構造に位置付けるための支持体110から延在する、複数のアーム120を示す、
図2B−2の人工心臓弁デバイス(例えば、装置100)の等角側面図である。
図2A1、2B−2、および2Cをともに参照すると、拡張可能支持体110は、支持体110の上流端112aを備える、上流部分112と、支持体110の下流端114aを備える、下流部分114とを備える。支持体110は、布地またはDacron
TM等の他の可撓性かつ生体適合性材料で被覆され、組織と統合し、弁周囲の漏出を最小限にすることができる、外側表面110Sを含む。支持体110は、円形、卵形、楕円形、腎臓形状、または他の好適な断面を伴う、円筒形形状であることができ、上流部分112から下流部分114に延在する、軸110Aを画定する。支持体110は、拘束されていないとき、変形可能または弾性的に配向を変化させる複数の相互接続された支材142から成る、骨組140を備えてもよい。骨組140は、複数の支材142間に延在する、複数の支柱144を備え、支持体110に柱強度を提供してもよい。複数の支柱144および支材142は、装置100に印加される力または荷重を複数のアーム120に伝達するための十分な強度を有する。骨組140は、例えば、ステンレス鋼等の可鍛性のバルーン変形可能材料、あるいはL605またはMP35N等のコバルトクロム合金のうちの1つ以上から形成されることができる。代替として、または組み合わせて、拡張可能支持体110は、弾性材料、形状記憶材料、または、例えば、ニチノール等の超弾性材料のうちの1つ以上を含むことができる。支持体110は、代替として、全体的にまたは部分的に、生体適合性ポリマー、セラミック、織物、または他の好適な材料から構成されてもよい。
【0096】
アーム120は、装置100上に付与される荷重または力に耐えるために好適な柱強度、可撓性、弾性等の特性を有する、J−フック、フィンガ、柱、支柱、ワイヤ、管、リボン、または類似構造を含むことができる。アーム120は、丸形または多角形を含む、種々の断面幾何学形状を有することができ、その長さに沿って、異なる場所に異なる幾何学形状を有することができる。例えば、湾曲肘部分126は、円形断面であってもよい一方、天然弁尖に係合するもの等、アーム120の他の領域は、弁尖とのより広い接触面積を有するように、より平坦化されてもよい。
図2B−2および2Cをともに参照すると、複数のアーム120は、下流部分114の近傍の支持体110に連結されるが、アーム120は、代替として、上流および下流部分112、114内の任意の場所において、支持体110に連結されてもよい。アーム120は、支持体110に連結された基部124と、天然弁輪に係合するように構成される先端部分122(以下により詳細に説明される)と、基部124に連結された湾曲肘部分126と、湾曲肘部分126と先端部分122との間に延在する、延在部分127とを有する。アーム120は、送達構成111(
図2B−2に示される)では、支持体110の外側表面110Sに対して折畳されることができる。いくつかの実施形態では、先端部分122は、支持体110が、送達構成111にあって、複数のアーム120が、内向き構成121にあるとき、装置100の断面サイズを減少させるように、内向き構成121において、支持体110の上流部分112の上方に延在する。先端部分122はさらに、支持体110が、拡張された構成113にあるとき、内向き構成121に移動可能であってもよく、先端部分122は、各天然弁尖の基部に非常に近接して、天然弁輪に接触する。アーム120はまた、天然弁尖を支持体110の外側表面110Sに対して押動させ、装置100の天然組織への係留を支援し、弁周囲の漏出を阻止してもよい。
【0097】
他の実施形態では、アーム120は、部分的にのみ、支持体110の長さに沿って延在するように、長さが若干短く、先端部分122は、支持体110の中央領域(例えば、部分112と114との間)と整合される。内向き構成121では、アーム120は、シース20で被覆され、狭断面外形を提供するとき、支持体110に対するよう、先端部分122が、支持体110の外側表面110Sとより接線方向に整合されるように捻転されてもよい。
【0098】
各アーム120の湾曲肘部分126は、複数のアーム120が拘束されていないとき、内向き構成121(
図2B−2)から外向き構成123(
図2C)に、アーム120を外向きに弾性的に押勢するように構成されてもよい。
図2B−2および2Cをともに参照すると、湾曲肘部分126は、支持体110の下流部分114の下流端114aから下向きに(または、遠位に)延在し、部分126Uの周囲に、弓状またはU形状の折り返しを画定することができ、そこから、延在部分127は、支持体110の外側表面110Sに沿って、上向きに延在する。湾曲肘部分126は、下流部分114の端部114aの下方に位置する、回転軸126Aを中心として延在してもよい。さらに、湾曲肘部分126は、中心縦軸110Aに向かって、半径方向内向きに延在してもよく、これは、送達(
図2B−2に示される)の間、装置100の全体的外形を低減させ得る。加えて、送達構成は、存在する場合、支持体110を送達111から拡張された113構成に拡張させるために使用される、バルーンによって係合されるように、肘部分126を位置付けてもよい。拡張に応じて、バルーンは、肘部分126を半径方向に外向きに押勢し、それによって、支持体110の外側表面110Sに向かって、先端部分122を半径方向内向きに押勢してもよい。これは、改善された弁周囲の封止のために、弁尖組織を支持体110に対して押動するのに役立ち得、アーム120と支持体110との間の弁尖組織をさらに圧縮し、それによって、装置100の係留を強化してもよい。
【0099】
複数のアーム120は、支持体110の一体型または一体部分であることができる、または別の実施形態では、アーム120は、溶接される、結合される、ピン留めされる、ヒンジまたは摺動機構によって、枢動可能または摺動可能に連結される、あるいは別様に、支持体110に添着されることができる。いくつかの実施形態では、アーム120および支持体110は、ステンレス鋼またはコバルトクロム合金等の材料の単一管から、レーザ切断される。アーム120は、次いで、随意に、最終的形状の形成または硬化を補助するために熱を使用して、所望の付勢されていない構成に形成されることができる。
【0100】
いくつかの配列では、複数のアームは、以下により完全に説明されるように、アーム120と弁輪の係合によって、天然弁に対する支持体110の位置を維持するために、十分な柱強度および座屈抵抗を有する。同一のまたは他の配列では、アーム120は、拘束されていないとき、内向き構成121から自己拡張するために十分な弾性を有し、かつ展開の間、剛性組織構造に遭遇すると、偏向および再位置付けされるように十分な可撓性を有することができる。
【0101】
複数のアーム120の荷重は、天然弁のサイズおよび対象の血圧に依存するであろう。以下の表1に示されるように、直径25mmの弁の場合、収縮期の間の血圧の力は、荷重約1.8〜3.1lbf(約7.8N〜13.7N)を支持体110上に付与し得る。直径29mmの弁の場合、支持体にかかる収縮期荷重は、約2.4〜4.2lbf(10.6N〜18.5N)であり得る。本荷重は、生体構造と接触する特徴を横断して分散される。荷重は、アーム120によって支持されてもよく、一実施形態では、荷重は、荷重がアームの数によって分割され得るように、アーム120間で均一に拡散されてもよい。例えば、10個のアームを有する装置では、各個々のアーム120は、荷重約0.2〜0.4lbf(1.1N〜1.9N)を被り得る。これらの配列では、アーム120は、弁輪との係合によって拘束されると、座屈を伴わずに、これらの力に耐えるために十分な柱強度を有する。ある程度の撓曲または若干の変形は、いくつかの実施形態では、容認可能であってもよいが、しかしながら、アーム120は、概して、本荷重下、弁輪に対して、支持体110の位置を維持するように構成される。他の配列では、荷重は、荷重が、不均一または可変様式において、個々のアームに分散されるように、アーム120間で均一に拡散されなくてもよい。これらの配列では、アーム120は、より高い荷重に耐えるように構成することができ、例えば、10個のアームの実施形態の場合、各アームは、座屈、破砕または別様に故障を伴わずに、荷重少なくとも約0.5lbf、または別の実施形態では少なくとも約1lbf、さらなる実施形態では、少なくとも約2lbfに耐えるように構成することができる。より少ないアームを伴う実施形態では、より高い荷重が、各個々のアームによって被られ得る一方、より多くのアームを有するデバイスは、各アーム120がより低い荷重を受け得る。
【0103】
表1の値は、以下のモデル側面および値に基づく。収縮期圧力は、左心房内にある程度の圧力があっても、僧帽弁にかかる圧力勾配として作用し、真の圧力勾配は、ピーク収縮期圧力未満である。収縮期圧力は、約120mmHg(正常)〜210mmHg(ステージ2高血圧の場合、160mmHgの閾値を遥かに上回る)の範囲に対して示される。圧力勾配は、弁面積に適用され、したがって、所与の圧力に対して、弁面積が大きいほど、荷重は大きくなる。
【0104】
アーム120は、置換心臓弁を展開および係留するために適切である、剛性、可撓性、および弾性の組み合わせを有するように、多くの方法において、定寸され、位置付けられることができる。アーム120は、天然弁に対して、装置100の位置を維持するように、弁輪下辺縁を抱持し、弁尖および/または腱索(僧帽弁置換デバイスの場合)を押動させるための十分な剛性を備えてもよい。例えば、25mm直径弁にかかる圧力勾配として作用する高血圧性収縮期圧力が200mmHg(0.0266N/mm
2)であると仮定すると、デバイスにかかる荷重は、約13.1N(2.94lbf)であり得る。10個のアームを横断して均一に分割されると、各アームは、荷重0.294lbfを受けるであろう。ステンレス鋼アームの場合、各アームは、直径少なくとも約0.016インチ(0.41mm)、長さ0.787インチ(20mm)を伴う円形断面を有してもよく、骨組本体から約15〜20°に角度付けられてもよい。
【0105】
アームのために選択された材料および幾何学形状は、必要寸法を決定するために使用されることができる。最小最大抗張力約75ksi(ASTMA240あたり)を有する316ステンレス鋼から作製されるアームの場合、最小アーム径は、例えば、.016インチであり得る。異なる断面形状のアームが、慣性の類似曲げモーメントを有することができ、人工心臓弁デバイス上のアームの数を増加させることは、個々のアーム断面の低下をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、より弱性、より軟性、より脆性、またはより可撓性材料は、より大きい断面寸法および/またはより剛性幾何学形状を要求し得る。
【0106】
図2B−1および2B−2に戻って参照すると、アーム120は、支持体110の骨組140に対して折畳し、経カテーテル送達のためのコンパクトな外形を生成することができるが、これは、例えば、可撓性および/または小断面とともに達成され得る。装置100の種々の実施形態は、送達のために、24Fr管腔カテーテル(直径約8mm)内に嵌合されるように定寸されることができる。例えば、送達構成111における支持体110は、直径約6.5mmを有してもよく、内向き構成121における複数のアーム120は、装置100の総直径が、24Fr管腔カテーテル内に収容され得る、約8mm以下であることができるように、付加的0.75mmを加えてもよい。
【0107】
複数のアーム120は、支持体110の外側表面110Sの陥凹または孔(図示せず)内に入れ子になり、全体的外形を低減させる、またはより大きな断面を有する支持体110に対応してもよい。
【0108】
図2Cを参照すると、複数のアーム120は、天然弁尖をアーム120と骨組140との間に受容するための十分な間隙を伴って、支持体110から離れるように展開するために、弾性であることができる。複数のアーム120は、種々の機構および弾性材料を使用して、支持体110から離れるように展開されることができる。いくつかの実施形態では、アーム120は、外向き構成123に向かって弾性的に付勢され、シース20(
図2B−2に図示)を後退させる、またはデバイス100をカニューレから延在させる、または別様に、アーム120を半径方向拘束から解放することによって、展開されてもよい。アーム120はさらに、支持体110が、拡張された構成113に拡張されると、支持体110の外側表面110Sに対して半径方向内向きに移動するように構成されてもよい。このように、アーム120は、a)支持体110の外側表面110Sの周囲の弁周囲の漏出を低減させ、b)天然弁構造へのデバイス100の係留を強化するように、骨組140が、拡張し、弁尖をアーム120と支持体110との間に狭入するにつれて、天然弁尖に係合し、それを把持してもよい。代替実施形態では、アーム120は、付勢されず、代わりに、支持体110の外側表面110Sに近接して、またはそれに対して、内向き位置(例えば、構成121)に、あるいは別の実施形態では、弁尖を受容するための外向き構成と支持体110に対する内向き構成との間の中間位置に常駐するように構成されてもよい。さらに、送達構成111から拡張された構成113への支持体110の半径方向拡張は、アーム120が、付勢されていないとき、支持体110の外側表面110Sに対して、またはそれに近接近して配置されるように、アーム120と支持体110との間の間隙を閉鎖することができる。
【0109】
本明細書に開示される人工心臓弁デバイスの種々の配列では、複数のアーム120は、心室壁に沿って、押動または引動されるように、十分に剛性であってもよい。しかしながら、アーム120はまた、アーム120または先端部分122が、損傷心臓組織を損傷しないように、または下流心臓内腔の壁の陥凹内に引っ掛からないように、可撓性および弾性を具備することができる。複数のアーム120はまた、アームが、定位置に移動され、弁輪の弁輪下表面に係合するにつれて、乳頭筋および腱索等の障害物によって係合される場合、そこから離れるよう偏向されるように、可撓性および弾性を有してもよい。アーム120はまた、埋め込まれた装置100によって被られる繰り返し荷重の一部を吸収し、埋込後の炎症および解剖学的構造の穿通を低減させるように、可撓性かつ弾性であってもよい。
【0110】
経皮的送達の間、支持体110および複数のアーム120は、例えば、支持体が送達構成111にあって、複数のアームが内向き構成121(
図2B−1および1B−2に図示)にある状態において、全体的直径約5〜8mmを伴って、圧縮された構成でカテーテル20内に保持されてもよい。いくつかの実施形態では、アーム120、あるいは選択的に、アーム120の各列128または群の最外アーム120は、例えば、個々のアーム120(
図2A2)を捻転、屈曲、または折畳することによって、支持体110に対して回転され、全体的横断外形を低減させることができる。他の配列では、任意のアーム120または選択された個々のアームが、全体的横断外形を低減させるように回転されることができる。
【0111】
図2Cは、人工治療装置100の等角図を示し、支持体110は、送達構成111(
図2B2のシース20は外されている)にあって、アーム120は、天然弁尖の背後への留置のために、外向き構成123において、支持体110から外向きに延在している。
図2C1は、
図2Cに示されるように構成された装置100の上面(上流)図を示す。複数のアーム120の先端部分122が、天然弁尖の遠位に位置付けられると、シースは、牽引され、アームが、内向き構成121から外向き構成123に移動することを可能にする。
【0112】
弛緩され、付勢されていない外向き構成123では、複数のアーム120は、種々の角度(例えば、延在角度135および広がり角126SA)および略上流方向において、支持体110から半径方向外向きに延在し、アーム120と支持体110の外側表面110Sとの間に間隙距離130(
図2A5、2A9−2A11)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、アーム120は、外側表面110S(または、軸110A)に対して、外向き構成123(
図2A5および2A11に図示)にある間、約5〜40度、または他の実施形態では、約10〜30度の範囲内の延在角度135で配列されることができる。
【0113】
図2Cに戻って参照すると、複数のアーム120はそれぞれ、基部分124を含み、各アームは、基部分124から先端部分122に延在することができる。各基部分124は、アーム120を支持体110の下流部分114に連結する。基部分126は、当技術分野において公知の種々の技法(例えば、溶接、ピン、クリップ、接着剤、またはアーム120の基部分126を支持体110に取り付けるための他の機械的技法)を使用して、支持体110に連結されることができる。一実施形態では、各アーム120の基部分124は、アーム120と、いくつかの配列では、支持体110に対して、一体的に形成されてもよい。別の実施形態では、基部分124は、アーム120および/または支持体110に溶接、ピン留め、または別様に連結される、別個の構成要素を備えてもよい。基部分124は、アーム120またはアームの一部(例えば、基部分124、肘部分126、および/または延在部分127)が、長さおよび/または高さ調節可能であるように、可動連結部または可動連結部の構成要素(例えば、機構)を備えてもよい。一実施例では、基部分126は、基部分126が、支持体110に対して、先端部分122の高さを改変するために、管を通して摺動し得るように、下流部分114に溶接された管を通過するように定寸されてもよい。
【0114】
図2Cに示されるように、中間または肘部分126は、基部分124から延在する、または別様にそこに取り付けられることができる。肘部分126は、湾曲または弓状形状であることができ、支持体110が、送達構成111から拡張された構成113に拡張されると、アーム120を再位置付けする様式において、変形するように構成されてもよい。このように、肘部分126は、外側表面110Sと先端部分122との間の間隙距離130(また、
図2A5も参照)を変動させるように構成される。1つ以上の実施形態では、肘部分126は、送達カテーテルの展開されたバルーンによって係合されるように位置付けられる、カム部分126Cを有する。カム部分126Cは、カム部分126が、支持体110との垂直整合外にあって、先端部分122を外側表面110Sにより近接させる(例えば、間隙距離130を減少させる)ようアーム120を再位置付けするように、バルーンによって、支持体110の縦軸110Aから、半径方向外向きに変位されることができる。カム部分126Cの本半径方向外向きに変位は、外向き構成123が、アーム120と、例えば、支持体110の外側表面110Sとの間の弁尖を圧縮するための第2の外向き構成123Bを備えるように、複数のアーム120を外側表面110Sにより近接して位置付けることができる。
【0115】
前述のように、アーム120が、外向き構成123にあって、支持体110が、拡張されていない送達構成111にあるとき、個々のアーム120はそれぞれ、間隙距離130だけ、支持体110の表面110Sから延在する。間隙距離130は、外側表面110Sと各アーム120の先端部分122との間に延在する半径方向距離に対応してもよく、または代替として、外側表面110Sとアーム120の延在部分127に沿った別の位置との間に延在する別の半径方向距離に対応してもよい。
【0116】
図2Cおよび2Clをともに参照すると、複数のアーム120は、第1の列128Aに沿って延在する第1の複数のアーム120Aと、第2の列128Bに沿って延在する第2の複数のアーム120Bとを備えてもよい。第1の複数のアーム120Aは、第1の弁尖を受容することができ、第2の複数のアーム120Bは、第2の弁尖を受容することができる。
【0117】
一実施形態では、複数のアーム120Aおよび120Bは、それぞれ、支持体110の両側に、2つの列128Aおよび128Bで配列されてもよい。複数のアーム120A、120Bのそれぞれの間隙距離130は、個々のアーム間で変動してもよい。例えば、支持体の第2の正中線110M2に最も近いアーム120は、第1の間隙距離130を有することができる一方、第2の正中線110M2から最も遠いアームは、第1の間隙距離130を上回る第2の間隙距離130を有することができる。本実施形態では、間隙距離130は、アーム120および/または先端部分122が、略直線または別の実施形態では、曲線列128に整合され得るように、配列されることができる。本明細書に説明されるように、列128は、略直線、湾曲線、ジグザグ、正弦波形状、または他の構成を備えてもよい。いくつかの実施形態では、列128は、直線である、または外側表面110Sのものより実質的に大きい曲率半径を伴って、若干湾曲を形成する。列128が、示されるが、先端部分122のそれぞれの間隙距離130は、先端部分122を天然弁輪に対して位置付け、および/または治療される弁(例えば、僧帽弁)の弁尖を受容するように、アーム120または先端部分122の種々の異なる配列を達成するために、多くの方法で変動されてもよい。
【0118】
付加的配列では、支持体110の第1の側110S1のアーム120Aは、異なる数であってもよく、異なる配列にあってもよく、外向き構成123において、異なる角度(例えば、延在角度135または広がり角126SA)で配置されてもよく、異なるサイズまたは形状を有してもよく、より可撓性である、またはあまり可撓性でなくてもよく、あるいは支持体110の第2の側110S2のアーム120Bと異なる他の特性を有してもよい。これは、各列128Aまたは128B内のアーム120あるいはアーム120の他の群が、天然弁の特定の弁尖を受容する、および/または特定の弁尖および周囲生体構造の一意の生理機能に順応するように調整されることを可能にする。2つの弁尖の形状およびサイズが非常に異なり、かつ周囲生体構造が、前尖の周囲では、後尖の周囲と非常に異なる、僧帽弁等の特定の弁の場合、支持体110の異なるおよび/または対向する側のアーム120A、120Bの本変動性および独立適合性は、種々の患者および種々の一意の疾患状態における標的天然弁構造へのデバイス/装置の一意かつカスタマイズされた嵌合を提供するために有用であり得る。特に、僧帽弁の場合、前尖は、いくつかの実施形態では、閉塞が回避されるべきである、左室流出路(LVOT)に隣接して配置される。さらに、左心室の壁は、後尖の近傍の心室壁までの対応する距離より前尖から離れている。したがって、例えば、前尖を捕捉し、それに係合するように構成される、アーム120Aは、アームを弁輪下表面に誘導するために、心室の壁に沿って摺動不可能であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、支持体110の第1の側110S1のアーム120Aは、外向き構成123では、より狭い角度で支持体110から延在する、および/または支持体110の第2の側110S2のアーム120Bより短い間隙距離130(
図2C1に図示)を有するように構成されることができる。このように、第1の側110S1のアーム120Aは、左室流出路の閉塞を最小限にしながら、前尖を捕捉するように位置付けられることができ、第2の側110S2のより広く分離されるアーム120Bは、左心室壁との係合によって、弁輪に向かって誘導されながら、後尖をより容易に捕捉することができる。
【0119】
第1の複数のアーム120Aおよび第2の複数のアーム120Bは、対応する第1または第2の弁尖を受容するように、多くの方法において配列されることができる。第1の複数のアーム120Aおよび第2の複数のアーム120Bは、1つ以上の対称平面を画定するように、縦軸110Aの周囲に配向される類似構成要素を備えてもよい。例えば、第1の複数のアーム120Aは、支持体の第1の側110S1から延在することができ、第2の複数のアーム120Bは、支持体の第2の側S2から延在することができ、正中線110Mは、支持体110を側110S1と側110S2との間で分割する。正中線110Mに垂直な第2の正中線110M2はさらに、第1の側および第2の側のそれぞれを分割することができる。いくつかの実施形態では、各個々のアーム120と関連付けられた間隙距離130は、第2の正中線110M2からの距離に対して、徐々に増加することができる。大動脈または他の三葉弁尖弁の実施形態では、第1の複数のアーム120Aは、支持体110の第1の部分から延在してもよく、第2の複数のアーム120Bは、支持体110の第2の部分から延在してもよく、第3の複数のアーム(図示せず)は、支持体110の第3の部分から延在してもよく、支持体110の対応する部分から延在する、複数のアーム120がそれぞれ、天然弁尖のうちの1つと整合され得るように、略三角形形状の3つの列を形成する。
【0120】
前述のように、各列128内の複数のアーム120は、相互のアーム120から離れるように広げられることができる。複数のアーム120は、隣接する先端部分122間の距離が、隣接する基部分124間の距離を上回るように、異なる広がり角(例えば、
図2A9に示される126SA1および126SA2)において、基部分124から先端部分122に延在することができる。例えば、第2の正中線110M2からより遠いアーム120(
図2A10に示されるアーム120x等)は、軸110Aに対して、第2の正中線により近いそれらのアーム120(
図2A10に示されるアーム120z等)より大きな広がり角を有することができる。各列128内の複数のアーム120は、代替として、より緊密にともに群化されるように、第2の正中線110M2に向かって付勢され得る。本実施形態では、隣接する先端部分122間の距離は、隣接する基部分124間の距離未満である。本配列は、天然僧帽弁尖の中心近傍の腱索内の間隙を通したアーム群120の留置を促進し得る。
【0121】
複数のアーム120は、組織抵抗に応答して、外方に偏向するように構成することができる。例えば、複数のアーム120はそれぞれ、アーム120が、偏向し得るように、アーム120が、弁輪に向かって前進されるにつれて、腱索から離れるように偏向し、絡まりを回避し、弁尖への歪曲を低減させ得るように、腱索のうちの1つ以上との接触に応答して、偏向するように構成することができる。例えば、各アーム120の肘部分126は、先端部分122の偏向を可能にするように構成することができる一方、延在部分127は、好適な柱強度をアーム120に提供することができる。故に、肘部分126は、内向き構成121と外向き構成123との間のアーム120を補助し、腱索または他の心臓組織との接触に応答して偏向するように、十分な弾性を有する可撓性材料を備えてもよい。いくつかの実施形態では、アーム120は、支持体110の骨組と同様の材料を備えてもよい一方、肘部分126の断面サイズおよび曲率は、肘部分126の形状および位置付けの実質的変形を伴わずに、先端部分122の弾性偏向を提供するように構成されることができる。
【0122】
本技術のいくつかの実施形態によると、複数のアーム120の先端部分122は、弁輪または他の心臓組織への外傷を回避し、その穿通を阻止するように構成することができる。先端部分122は、弁輪組織の穿通を回避しながら、弁輪に非外傷的に接触および/または係合するための表面または材料を備えてもよい。いくつかの実施形態では、複数のアーム120の先端部分122はそれぞれ、減圧先端部分122PRを備えてもよい。減圧先端部分122PRは、より広い接触面積にわたって、力を分散させ、組織の穿通を回避するように構成される、種々の構造のいずれかを備えてもよい。そのような構造として、例えば、バンパ、幅広脚、円盤、湾曲先端、ループ、管、キャップ、小穴、手袋状物、外筒、シース、ボール、ゴルフクラブヘッド形状、涙滴形状構造、または組織への穿通または外傷を回避しながら、非外傷的に圧力を組織に印加するように構成される当技術分野において公知の他のそのような構造が挙げられ得る。
図2Cに示される実施形態では、減圧先端122PRは、延在部分127に対して直角に形成され、概して、縦軸110Aに向かって内向きに配向されることができる。減圧先端122PRの上流に面した表面は、平坦化および広幅化され、弁輪組織との接触面積を増加させることができる。いくつかの実施形態では、減圧先端122PRは、送達構成111にある間、装置100の断面外形を最小限にするように、支持体110の上流端112Aaにわたって延在するように構成することができる。代替として、アーム120は、長さが若干短くてもよく、減圧先端122PRは、支持体110の外側表面110Sの孔または陥凹内に延在してもよい。種々の実施形態では、減圧先端部分122PRは、アーム120と一体的に形成されてもよく、あるいはアーム120に溶接、結合、機械的に取り付けられる、または別様に連結される、アームの別個の構成要素であってもよい。減圧先端122PRは、アーム120と同一の材料であってもよく、あるいは金属、ポリマー、布地、セラミック、または他の生体適合性材料を含む、異なる材料であってもよい。いくつかの実施形態では、減圧先端部分122PRは、減圧先端部分122PRを横断する最大寸法122MDに対応する最大断面積を有することができる(
図2Cに図示)。減圧先端部分122PRの断面積は、例えば、基部分124の最大断面積、湾曲肘部分126の最大断面積、または延在部分127の最大断面積を上回ることができる。代替として、弁輪に接触する先端部分122は、基部分124、肘部分126、および/または延在部分127に類似する断面サイズおよび最大寸法122MDを備えてもよい。例えば、各アーム120は、実質的均一断面サイズを伴って、基部分124から先端部分122の端部に延在してもよく、先端部分122の断面サイズは、弁輪の穿通を阻止するように十分に大きくあることができる。減圧先端部分122PRはまた、各先端部分122にわたって留置され、弁輪の穿通を阻止するだけではなく、いくつかの実施形態では、先端部分122の周囲の組織の内部成長を促進または助長するように適合される、例えば、Dacron
TMまたはPTFE等の可撓性材料の外筒を備えてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、概して、天然弁輪の外傷および穿通を回避することが望ましくあり得るが、いくつかの実施形態では、先端部分122は、装置100を天然弁により固着して係留するために、部分的または全体的に、弁輪を穿通するように構成されてもよい。そのような実施形態では、先端部分122は、穿通を可能にするための鋭利遠位先端、および/または穿通後、組織からの除去に抵抗するための返し、フック、または他の好適な構造を含んでもよい。加えて、先端部分122はさらに、弁輪内への穿通の深度を制限するために、先端部分122から所望の距離だけ離間されてアーム120の周囲に延在する、柄またはフランジ等の深度制限構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では(図示せず)、鋭利遠位先端は、穿通部分(図示せず)が、装置100が天然弁領域とともに位置付けられている間、後退された状態にあることができ、例えば、弁輪下表面の所望の標的領域と接触されると、延在された状態にあることができるように、アーム120の延在部分127内で後退可能である。このように、鋭利先端部分および/または穿通先端部分は、展開の間、いかなる他の心臓組織の外傷、切断、または掻爬も回避することができる。
【0124】
さらなる実施形態では、複数のアーム120の延在部分127および/または先端部分122はそれぞれ、いったん埋め込まれると、装置100の移動を阻止するために、弁輪、天然弁尖の裏側、腱索、心臓壁、または他の周囲構造との摩擦を強化する、あるいはそれに連結するように構成される、係留構造、返し、隆起、リッジ、塊片、焼結、粗面化された表面、ポリマーまたは布地被覆、あるいはフックのうちの1つ以上をその上流および/または内向きに面した表面上に備えてもよい。
【0125】
図2C2を参照すると、複数のアーム120はそれぞれ、随意に、弁輪との接触に応答して、支持体110および/または肘部分126に対するアームの長さおよび/または先端部分122の高さ138を調節するための長さ調節機構136を含むことができる。いくつかの実施形態では、長さ調節機構は、自己調節式であることができ、他の実施形態では、機構は、手動でまたは動作可能に調節可能であることができる。さらなる実施形態では、機構136は、アーム120が、所望の高さ138において、弁輪に係合すると、所望の程度の軸方向剛性を伴って、アーム120のそれぞれを定位置に係止するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、先端部分122のそれぞれの高さ138は、先端部分122と基部分124との間の軸110Aに沿った距離に対応してもよい。いくつかの実施形態では、機構136は、バネ、スライダ、ハイポチューブ、伸縮自在継手、またはアームの複数の偏向可能部分のうちの1つ以上を備えてもよい。当業者は、アーム長の自己調節または手動調節に好適な他の機構136も認識するであろう。
【0126】
いくつかの配列では、僧帽弁は、患者間で変動する可能性がある、非均一幾何学形状を有し得るため、自己調節式である、複数のアーム120は、天然僧帽弁領域に埋め込むために使用されるデバイスとの併用に好適であり得る。一実施形態では、機構136は、各アーム120を調節および係止するための伸縮自在構成を備えてもよい。一実施例では、バンパまたは拡大表面を含み得る、先端部分122は、アーム120の延在部分127にわたって、上下に摺動し得る、皮下管136Tに連結されてもよい。内部圧縮バネ136Sは、管136Tを上流方向に付勢してもよく、したがって、先端部分122は、弁輪に向かって押勢される。バネ136Sは、組織接触に応答して、本位置からさらに圧縮されてもよい。支持体110が、複数のアーム120が、弁尖の背後に延在したまま、上流方向に移動されると、最初に、弁輪の下方部分に接触する、アーム120は、付加的アーム120が、弁輪の上方部分に接触することを可能にするように、圧縮を開始することができる。例示的実施形態では、先端部分122の高さ138は、約1〜15mmの範囲内で自己調節し、弁輪の上方および下方部分との係合を維持するであろう。
【0127】
例えば、内部バネ136Sによる、アーム120の長さの自己調節は、埋込後、数時間続くことが期待され得る。その後、ハイポチューブ136Tとそれが摺動する支材との間の空間中の血液が、機構136を繋止させる、または別様にさらなる移動を防止させ、それによって、機構136を係止し、アーム136の安定または静的長さを提供してもよい。係止された構成では、複数のアーム120は、各第2の心臓内腔収縮(例えば、心拍)に伴って装置100に印加される血液動態的荷重を支持することができる。また、各アーム120を調節および係止するための機構136は、例えば、摩擦係止によって嵌合された伸縮自在管、バネボタン、カム係止、ラチェットシステム、または油圧圧力抵抗を含む、付加的方法で形成されることができることを理解されたい。
【0128】
アーム120が、
図2Cに示されるように、外向き構成に解放され、支持体110が、依然として、拡張されていない送達構成111にある状態で、装置100が、左心室内に位置付けられると、装置100は、アーム120が、腱索(僧帽弁領域に留置される場合)間の間隙を通して、天然弁尖の「背後」、すなわち、半径方向に外側の空間内に、弁尖の下方縁の周囲を滑動することを可能にするように、必要に応じて、上、下、または側方に移動されることができる。いくつかの実施形態では、腱索が殆どなく、各乳頭筋までに有意な間隙が、腱索群間に存在する場合、アーム120は、先端部分122の大部分または全部が、各弁尖の中央領域内に配置されるように配列される。故に、アーム120は、腱索を通して、弁輪に向かって通過することができる。
【0129】
複数のアーム120は、それぞれ、
図2C3および2C4、に図示されるように、バルーン(図示せず)の拡張に先立った第1の外向き構成123Aと、バルーンに伴った支持体110の拡張後の第2の外向き構成123Bとを備えてもよい。
図2C3を参照すると、第1の外向き構成123Aでは、複数のアーム120はそれぞれ、間隙距離130Aだけ、支持体110の外側表面110Sから分離され、先端部分122はそれぞれ、間隙距離132Aだけ、外側表面110Sから分離される。弓状または肘部分126は、前述のように、存在する場合、バルーンをカム部分126Cと係合するように、支持体110の下流部分114の下方に延在する。支持体110が、送達構成111から拡張された構成113に拡張すると、バルーンは、カム部分126Cに係合し、複数のアームを押勢し、第1の外向き構成123Aから第2の外向き構成123Bに遷移させることができる。カム部分126Cは、カム部分126が、いくつかの実施形態では、支持体110との垂直整合の外側にあるように、支持体の縦軸110Aから離れるように、半径方向外向きに移動することができる。カム部分126が、バルーンまたは他の拡張デバイスからの圧力に伴って、半径方向外向きに移動するにつれて、軸126AA(
図2C3)は、軸位置126AB(
図2C4)に外向きに移動され、延在部分127および先端部分122は両方とも、外側表面110Sに向かって、より近くに押勢される。アーム120と外側表面110Sとの間の間隙距離130Bは、第1の外向き構成123Aと比較して、第2の外向き構成123Bでは減少され、減圧先端部分122PRと外側表面110Sとの間の間隙距離132Bも同様に、第2の外向き構成123Bでは減少される。アーム120が、第1の外向き構成123Aから第2の外向き構成123Bに遷移するにつれて、アーム120は、弁尖に係合し、それを外側表面に対して捕捉することができる。いくつかの実施形態では、複数のアーム120は、構成123Aと123Bとの間の類似移動を助長し得る、形状記憶材料を含むことができる。
【0130】
外側表面110Sに対するアーム120の内向き移動に加え、複数のアーム120は、それぞれ、
図2C5および2C6に図式的に示されるように、第1の外向き構成123Aから第2の外向き構成123Bに遷移するとき、捻転作用を有することができる。
図2C5に示される下流方向から見られるような、第1の外向き構成123Aでは、複数のアーム120のそれぞれのカム部分126Cは、軸110Aから離れた角度において傾斜されて延在する。送達バルーンが、拡張すると(図示せず)、カム部分126Cは、バルーンに係合し、基部分124を中心として、アーム120を捻転させ、捻転移動123Tを伴って、先端部分122を外側表面110Sに向かって移動させる。捻転は、支持体110が拡張すると、アーム120を広げることができる(
図2C6)。基部分124を中心としたアーム120の捻転は、アーム120が、少ない腱索を有する弁尖に沿った場所(
図2C5)から、弁輪に係合し、より高い密度の腱索を有する場所に弁尖に沿って延在する位置(
図2C6)に、弁輪(図示せず)に向かって牽引されることを可能にする。複数のアーム120は、例えば、形状記憶材料と同様に移動するように構成することができる。
【0131】
図2Dは、天然弁内に位置付けられた人工心臓弁デバイス(装置100等)の上方からの図を示す、概略図であって、拡張された構成113における支持体110と、支持体110から外向きに延在し、腱索CT間の弁尖の中心部分に沿った天然弁尖の背後に到達し、天然弁輪ANの弁輪下領域に係合する、複数のアーム120とを示す。明確にするために、アーム120A、120Bの先端122は、天然弁の弁尖の下方にあるが、
図2Dに示される。複数のアーム120A、120Bの列128Aおよび128Bと正中線110Mは、1つの弁尖(LFIおよびLF2として個々に示される)が、各列(それぞれ、列128Aおよび128B)と係合され得るように、弁輪ANの長寸法と整合されることができる。僧帽弁の場合、アーム120は、下方の乳頭筋により近接してではなく、弁尖LFIおよびLF2の縁に近接して、腱索間を滑動するように構成することができる。心エコー図等の超音波または蛍光透視撮像が、第1の複数のアーム120Aおよび第2の複数のアーム120Bを僧帽弁の長寸法と整合させ、本整合および位置付けを確認するために使用されることができる。
【0132】
図2Eおよび2Fは、それぞれ、人工心臓弁デバイス(装置100等)の側面および上面図であって、拡張された構成113にあって、かつ天然僧帽弁内の定位置にある、支持体110を示す。アーム120は、そうでなければ、天然弁尖によって、図から隠されるであろうが、明確にするために、
図2Fに示される。複数のアーム120がそれぞれ、弁尖Lの背後に適切に位置付けられていると判定されると、装置100は、アーム120の先端部分122が、弁輪Aに対して留置されるまで、上流方向に移動されることができる。外科医は、支持体110が、天然弁に沿って移動および誘導されるとき、アーム120が弁輪Aに接触していることを触知または別様に感知し得る。どの天然弁が置換されるかと、どこから本明細書に説明されるように部位にアクセスするかとに応じて、装置100は、弁輪Aおよび弁尖Lに係合するように、引動または押動されてもよい。いくつかの実施形態では、支持体110は、バルーン拡張によって、送達構成111から拡張された構成113に拡張されることができる。代替として、支持体110は、拡張された構成113に自己拡張するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、先端部分122と支持体110との間の間隙距離132は、支持体110が拡張されるにつれて、より内向き構成へのアーム120の変形によって、またはアーム120に向かっての支持体110の半径方向拡張によって、またはそれらの組み合わせのいずれかによって、減少することができる。このように、天然弁尖は、支持体110が、送達構成111から拡張された構成113に拡張するにつれて、アーム120と支持体110の外側表面110Sとの間で圧縮または折畳されてもよい。アーム120の圧縮または折畳は、例えば、拡張期の間、血液が、支持体110を通して、下流方向に流動するとき、装置100の下流移動を阻止するように、圧力に伴って、弁尖に係合することができる。加えて、アーム120は、天然弁尖を外側表面110Sに対して圧接し、収縮期の間、支持体110の外側の周囲の血流を阻止してもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、アーム120は、支持体110が、より正確に弁輪Aに係合する、および/またはより堅固に弁尖Lに係合するように、拡張されるにつれて、表面110Sに向かって内向きに移動するように構成される。
図2Cに戻って参照すると、アーム120は、送達カテーテル上の拡張可能部材(例えば、バルーン)によって係合されるように構成することができる、肘部分126に沿ったカム部分126Cを有してもよい。カム部分126Cは、支持体110に対して、アーム120の下流端(例えば、肘部分126および/または基部分124)を外向きに偏向するように構成され、先端部分122を外側表面110Sに向かって押勢するように、基部分124を中心としてアーム120を枢動させる。これは、先端部分122を弁輪Aに向かってより固着して指向させ得、かつアーム120と支持体110の外側表面110Sとの間の弁尖の圧縮を強化させ得る。
【0134】
図2Fに示されるように、装置100はさらに、支持体110の内部管腔内に搭載される弁150を備えてもよい。弁150は、支持体110を通る、上流方向における血流を遮断し、下流方向における血流を可能にするように適合される、一時的または恒久的弁を備えてもよい。弁150は、複数の弁尖152を有することができ、PTFE、Dacron、あるいは心膜組織等の生物学的組織またはブタ心臓組織等の異種弁組織を含む、種々の可撓性かつ不浸透性材料から形成されてもよい。弁150の他の側面は、以下にさらに説明される。支持体110の管腔内の内部壁は、少なくとも部分的に、不浸透性カバー151によって被覆され、支持体110の外部の周囲で漏出し得る、支持体110の内側から支持体110の外側への血流を防止することができる。別の実施形態では、カバー151は、支持体110の外部壁に添着されてもよく、いずれの実施形態でも、弁150と一体的に形成される、またはそれに直接取り付けられてもよい。付加的実施形態では、カバー151は、支持体110の内側壁および外側壁の両方の少なくとも一部に適用されることができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、装置100は、支持体110の外側表面110Sから半径方向外向きに延在し、支持体110と天然弁尖との間の血流を阻止する、膜または封止部材160を備えてもよい。例えば、封止部材は、
図2Fに示されるように、僧帽弁の長寸法に沿って、天然交連領域170内に延在するように、支持体110から外向きに延在してもよい。封止部材160は、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ポリエステル、合成繊維、繊維、テレフタル酸ポリエチレン(以下「PET」)、PTFE、またはDacron
TMのうちの1つ以上を含む、いくつかの可撓性の血液不浸透性生体適合性材料のいずれかを備えてもよい。一実施形態では、封止部材160は、複数のアーム120が、弁輪の頂部分に連結されると、支持体110の外側の弁尖間の血流を阻止するように、弁輪の長寸法に沿って延在する方向に、支持体110から半径方向外向きに延在することができる。封止部材160は、弁の下流側(例えば、僧帽弁の心室側)の接合線を被覆し、それによって、上流方向(僧帽弁の場合、心室から心房)への血流を阻止するように、弁尖間を通過するように構成されてもよい。封止部材160は、代替として、アーム120のうちの1つ以上に連結されることができる。例えば、封止部材160は、装置100の送達の間、1つ以上のアーム120の先端部分122の周囲に圧潰または巻着されてもよく、封止部材160は、アーム120が、弁尖の背後の定位置に来ると、圧力および血流によって、開放または拡開され、弁尖の下方表面に対して押勢されてもよい。特定の実施例では、封止部材160は、アーム120が、外向き構成123にあるとき、天然交連領域170近傍に位置付けられるように、各列128内の最外アーム120に連結されてもよい。したがって、封止部材160は、展開されると、天然交連領域170にわたって延在することができ、上流または下流方向のいずれかにおける天然交連領域170を通る血流を阻止または防止することができる。
【0136】
図2F1−Aおよび2F1−Bは、天然弁の交連に隣接して位置付けられるように構成される封止部材160を有する、それぞれ、人工心臓弁デバイス(例えば、装置100)の側面および上面図である。僧帽弁置換に好適な装置100のいくつかの実施形態では、一対の封止部材160A、160Bは、アーム120の列128A、128Bの場所から、例えば、略90度オフセットされて、天然弁の交連に位置付け可能であるように、支持体110の両側に連結されてもよい。封止部材160A、160Bは、開放下流端161から閉鎖した狭い上流端162にテーパ状になる、DacronまたはPTFE等のテント状円錐形またはピラミッド形管の膜または布地を備えてもよい。支持体110の外側表面110S(または、代替として、支持体110の内側表面)は、不浸透性布地で被覆され、封止部材内から支持体110の内部への血流を防止してもよい。ワイヤが、縁に沿って、かつ封止部材160A、160Bの縦方向頂部に沿って、外筒内に縫着され、その形状および形状適合性を維持してもよい。封止部材160A、160Bは、後尖と前尖との間の交連に隣接して、またはその中に嵌合し、封止部材160A、160Bの外側表面を天然弁組織に効果的に封止するように構成される。収縮期の間、血液は、封止部材160A、160Bの開放下流端161を通る圧力下、押動され、それによって、封止部材160A、160Bを膨張させ、それを天然弁尖に対して押勢し、封止を強化する。随意に、開口部(図示せず)が、封止部材160A、160Bの内部と支持体110の内部との間に提供され、支持体110内から封止部材160A、160Bの内部への血流を可能にし、それらをさらに加圧してもよい。
【0137】
交連に加え、間隙は、支持体110の円周の周囲の他の面積内において、弁尖と支持体110との間に存在し得、それを通して、弁周囲の漏出が生じ得る。封止部材160または他の類似膜特徴が、いかなるそのような間隙も封止するように、支持体110の円周の大部分または全体の周囲に延在するように含まれることができる。
図2F2−Aおよび2F2−Bに示される一実施形態では、開放下流端164から閉鎖されたより狭い上流端165にテーパ状となる、ベル形状のスカート163が、装置100上に提供されることができる。スカート163は、支持体110の内部壁にわたって、カバー166(
図2Fに関して前述のカバー151等)と一体的に形成される、またはそれに縫着されてもよい。いくつかの実施形態では、スカートは、だぶだぶである、または別様に、余剰膜材料を具備し、弁尖と支持体110との間の任意の間隙の形状に適合するように、非常に可撓性かつ形状適合性であることができる。いくつかの実施形態では、スカート163は、半径方向外向きに押勢され、いかなるそのような間隙も充填するように、収縮期の間、血液によって拡張または膨張されるように構成することができる。動作時かつ収縮期の間、血液は、弁尖との堅固かつ連続係合状態にスカート163を半径方向に拡張させるように、開放下流端164を通して押進される。開口部(図示せず)が、支持体110の壁および/またはカバー166内に提供され、それによって、スカート163の内部との流体連通を提供し、支持体110の内部管腔からスカート163の内部への血流を可能にし、さらにスカートを加圧してもよい。随意に、スカート163は、支持体の周縁の周囲の1つ以上の場所および/またはスカート163のより狭い上流端165において、支持体110に縫付または繋留され、スカート163の半径方向拡張または外転を制限してもよい(例えば、
図2F2−Bに示される縫合糸167を介して)。加えて、ワイヤ(図示せず)が、スカート163の材料に縫着または別様に連結され、下流端164を開放したまま維持する、および/または別様にスカートの望ましい形状を維持してもよい。さらなる選択肢として、スカート163は、支持体110の円周の周囲において、スカート163を一連の垂直管状区画に分割する、プリーツまたは内部仕切りを含んでもよい。
【0138】
代替実施形態では、スカート163は、
図2F3−Aに示されるように、上流端112aから支持体110の長さの部分的にのみ下方に延在してもよい。
図2F3−Bに示される別の配列では、スカート163は、上流端112aにおいて、支持体110に取り付けられ、上流方向に上向きに拡開する(例えば、上流に面した開放スカート端を有する)ように構成されることができる。さらなる実施形態では、スカート163は、支持体110の下流端114aに取り付けられ、そこから延在し、
図2F4−Aに示されるように下流方向に拡開および開放するか、または
図2F4−Bに示されるように上流方向に拡開および開放するかのいずれかであってもよい。別の実施形態では、スカート163は、上流方向に拡開する一方、
図2F4−Cに示されるように、アーム120の外側の周囲に延在してもよい。スカート163は、代替として、上流端および下流端112a、114a間の中央部分において、支持体110に搭載されてもよい。さらなる実施形態では、スカート163はまた、支持体110の周縁の小区画の周囲のみに延在してもよい。
【0139】
図2F5A−2F5Dに示されるさらなる実施形態では、1つ以上の弁尖プッシャ300が、支持体110に連結され、上流方向に延在し、弁尖に係合し、それらを相互と接合状態または支持体110の外側表面110Sと封止係合状態に押勢するように構成されることができる。弁尖プッシャ300は、アーム120と同様に構築されてもよいが、デバイス100を係留するために、弁輪に対して押動する、またはその中に押圧する機能を果たす必要がないため、弁尖プッシャ300は、いくつかの実施形態では、アーム120ほど剛性および強度を有していなくてもよい。さらに、選択実施形態では、弁尖プッシャ300は、アーム120と比較して、さらなる外方延在部を有し、プッシャ300が、弁交連近傍の弁尖に係合することを可能にすることができる(例えば、弁尖が、支持体110と係合しておらず、接合しないように防止され得る場合)。
図2F5A−2F5Dに示され、さらに以下に説明されるように、弁尖プッシャ300は、相互に向かって、弁尖を押勢するように、反対方向に押動されることができる。
【0140】
図2F5A−2F5Dに示されるように、弁尖プッシャ300は、支持体110の下流端114aから延在する。一対の弁尖プッシャ300は、各対の弁尖プッシャ300が、弁の交連領域170に向かって延在するよう位置付けられるように、2つの対向する一式のアーム120から約90度オフセットされ得る、支持体110の2つの対向する側のそれぞれに提供および連結されることができる。一実施形態では、各対の弁尖プッシャ300は、遠位先端302が、基部304から両側にあるように、支持体の外側表面110Sに沿って、交差パターンで配列されることができる(
図2F5Bおよび2F5Dに図示)。支持体110が、半径方向に収縮された送達構成111にあるとき、遠位先端302は、
図2F5A−2F5Bに示されるように、相互から分離される。本構成では、弁尖プッシャ300は、遠位先端302が、支持体110の外側の弁尖の心室または下流側に係合するように、弁尖Lの背後に位置付けられることができる。支持体110が、その拡張された構成113に拡張されると、遠位先端302は、相互に向かって押勢され、
図2F5C−2F5Dに示されるように、弁尖Lを相互に向かって封止された接合状態に押動させる。代替として、または加えて、弁尖プッシャ300は、支持体110の外側表面110Sに対して封止するように、弁尖Lを支持体110に向かって押動するように構成されてもよい。
【0141】
図2Gは、延在された構成113に示される支持体110を有し、かつ腱索CT間に延在する外向き構成123にある複数のアーム120を有する、人工心臓弁デバイス(装置100等)の側面図の略図である。種々の実施形態では、複数のアーム120の場所および幾何学形状は、アーム120が、腱索CT間に閉塞されずに通過するように構成される。僧帽弁置換の場合、複数のアーム120は、前尖および後尖の背後により容易に通過するように配列されることができる。多くの実施形態では、アーム120の先端部分122は、2つの列(列128Aおよび128Bとして前述)に沿って、外向き構成123に延在する。各列内の複数の先端部分122は、支持体110が、送達構成111にあるとき、外側表面110Sから離れるように、約2mm〜約7mmの範囲内の距離で離間されることができる。これらの先端部分122は、したがって、比較的に腱索が少ない、天然弁尖の中央部分近傍の前尖および後尖の背後に比較的に容易に通過され得る。先端部分122は、外側表面110Sに比較的により近接することができ、アーム120の底部近傍の軸126Aを中心とする湾曲肘部分126の曲げ半径は、第2の正中線110M2からより、遠いアーム120より支持体110の第2の正中線110M2近傍のアーム120に対して小さくあることができる。送達構成111から拡張された構成113への支持体110の拡張に先立って、アーム120は、前尖および後尖の中心部分をともに支持体110の外側表面110Sに対して保持または係合してもよい。いくつかの実施形態では、本弁尖の軽度の一時的拘束は、埋込手技の間、圧力勾配および/または逆流を阻止し得る。
【0142】
僧帽弁治療の場合、拡張された構成113への支持体110の拡張の間、アーム120の一方の列は、前尖の背後への留置のために、かつ左室流出路内に過剰または閉塞的に延在せずに、弁輪に接触するように構成されることができる。アーム120の他方の列は、後尖の背後への位置付けのために構成されることができ、心室壁の領域に接触する一方、後方弁輪を先端部分122と係合させてもよい。より外方に位置付けられるアーム120(各列内の正中線110M2からより遠くのもの)は、拡張された支持体110が、交連170近傍の天然僧帽弁の面積全体を充填しなくても、先端部分122が、弁輪と接触し得るように、支持体が拡張されるとき、支持体110の外側表面110Sから数ミリメートル離れたままであってもよい。これらのより外方に位置付けられるアーム120はまた、弁尖に係合し、それらを支持体110に対して押勢し、相互により近接して並置し、交連170を通る逆行血流を防止するのに役立ち得る。
【0143】
いくつかの配列では、本アプローチは、中心腱索CTの一部または全部を外方に押動する傾向にあり得る。故に、いくつかの実施形態では、アーム120が、さらに左心室内に下流方向に延在する(例えば、
図2Alに示される距離138を増加させる)ように、かつ腱索CTおよび弁尖が、より最小限に変位されるように、アーム120を少し長くすることが、望ましくあり得る。弁尖は、支持を提供し、弁尖を人工弁100から離して維持し、収縮期前方運動を制限するように、十分な量だけ、アーム120によって圧縮されることができる。
【0144】
再び、
図2Alを参照すると、支持体110の骨組140は、骨組140が拡張されると、相互に離れるように移動する、複数のノード110Nを備えてもよい。アーム120の基部分124は、支持体110が、送達構成111から拡張された構成113に拡張すると、複数のアーム120が、相互に離れるように、複数のノード110Nに連結されることができる。複数の基部124は、例えば、支持体110が拡張すると、複数の基部分124が、相互に対して離れるように、複数のノード110Nに連結されることができる。アーム120および先端部分122はまた、外向きに広がってもよい。すなわち、縦軸110Aに対するアーム120の広がり角127SAは、支持体110が、送達構成111から拡張された構成113に拡張すると、増加し得る。複数の基部分124はそれぞれ、先端部分122から支持体110の骨組140に力を伝達するように、ノード110Nと一体的に形成されてもよく、または他の方法において、例えば、溶接、結合、機械的締結具、スライダ、管、および多くの取付具、および当技術分野において公知の他の連結機構によって、複数のノード110Nに接続されることができる。
【0145】
いくつかの構成では、支持体110に対するその角度のため、アーム120は、アーム120が支持体110に連結される場所(例えば、基部分124)において、支持体110に対して、下向きおよび半径方向内向きに力を伝達してもよい。本力は、支持体110に搭載された弁(例えば、弁150)が閉鎖し、弁150の下流の血圧の力が、支持体110を上流方向に押動し、およびアーム120が弁輪に係合するとき、最大力となり得る。故に、支持体110は、アーム120が支持体110に連結される点において、内向き半径方向変形に抵抗するために十分なフープ強度を有し得る。
【0146】
一実施形態では、支持体110は、下流方向への装置100の移動を阻止するための保定構造を含んでもよい。僧帽弁置換に好適な実施形態では、保定構造は、左心房および天然弁輪の上流に位置されるように、その上流端112a上またはその近傍において、支持体110に連結されてもよい。
図2H−1は、本開示の別の実施形態による、近位上流端112aにおいて、支持体110から外向きに延在するフランジ165を有する、人工心臓弁デバイス(装置100等)の等角側面図である。フランジ165は、支持体110の上流部分112から外方に延在し、支持体110の円周を上回る円周を有するように、支持体110に連結され、外向きに配向されることができる。フランジ165の位置付けは、上流または第1の心臓内腔の収縮の間、天然弁輪を通して、下流への装置100の移動を阻止するために、弁輪の上流にあることができる。フランジ165は、支持体110または支持体110に連結された別個の構成要素と一体的に形成されてもよく、支持体110と同一のまたは異なる材料、例えば、ステンレス鋼等のバルーン拡張可能可鍛性材料、またはニチノール等の自己拡張式材料から作製されることができる。いくつかの実施形態では、フランジ165は、支持体110の骨組140の一体部分を備えてもよい。代替実施形態では、フランジ165は、縫合、クリップ、または当技術分野において公知の他の締結具によって等、種々の方法において、支持体110に取り付けられることができる。フランジ165は、外向きに、かつ第1の心臓内腔内の天然弁輪にわたって延在するように、支持体110の外径より約2−20mm大きい外径を有することができる。フランジ165は、ポリエステル、延伸PTFE、または他の材料等のカバー(図示せず)を含み、組織内部成長を助長することができる。フランジ165は、先端部分122とフランジ165との間に弁輪を位置付けるために、いくつかの実施形態では、先端部分122とフランジ165との間に弁を圧縮し、装置100を天然弁に対して定位置に保持するために、十分に大きい距離において、上流方向にアーム120の先端部分122から離間されることができる。故に、いくつかの実施形態では、フランジ165は、支持体110の上流部分112から延在し、弁輪上表面に係合するように構成することができる一方、アーム120は、支持体の下流部分114から延在し、かつ上流方向に外向きに延在し、輪下表面に係合し、それによって、装置100を天然弁領域に封止する。
【0147】
別の実施形態では、
図2H−2に示されるように、複数の伸長フィンガ165PFが、支持体110の上流端112aから半径方向外向きに延在してもよい。フィンガ165PFは、カテーテルの管腔内への送達のために、直線化された構成に偏向可能であって、カテーテルから解放されると、半径方向に延在された構成に戻るために十分な弾性を有するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フィンガ165PFは、アーム120の延在部に連結される、またはそれを備えてもよい。例えば、
図2H−2に示されるように、支持体110への取付点において終端するのではなく、アーム120は、湾曲肘部分126から、上流方向に、支持体110の外側表面110Sに沿って、上流端112aに上向きに延在してもよく、次いで、上流または第1の心臓内腔内への装置100のための保定を提供するために十分な距離だけ、支持体110から半径方向に離れるよう延在するように、外向きに屈曲されてもよい。
【0148】
本明細書に説明される実施形態はまた、心室切開または穿通を介した経心尖送達または大動脈を介した逆行送達のために適合されることができる。経心尖および大動脈送達では、上流側ではなく、弁の下流側に由来するアプローチのため、装置の上流部分112および下流部分114は、送達システム上で反転され、送達システムは、適切に修正されることができる。
【0149】
図2Iは、本技術の他の実施形態による、大動脈弁AVを治療するために適合される、人工治療装置100を示す。支持体110およびアーム120の形状、サイズ、靭性、および他の側面は、必要に応じて、大動脈弁のために適合されることができる。大動脈弁の場合、三尖天然大動脈弁に対応するように、外向き構成123において、アーム120の先端122を3つの群に、または他の実施形態では、二尖大動脈弁が治療されるとき、2つの群に群化することが好ましくあり得る。代替として、複数のアーム120は、支持体110の円周を中心として、均一に離間されてもよい。大動脈弁AV内に留置されると、弁輪との係合によって、装置100を定位置に係留することに加え、アーム120は、大動脈内の正しい縦方向場所に、例えば、冠状動脈口の遮断を回避するために、可能な限り上流に、弁が留置されることを保証するのに役立ち得る。本明細書に説明される実施形態のいずれかまたはその特定の特徴は、大動脈弁治療のために構成される実施形態において利用されてもよい。
【0150】
装置100は、大動脈壁に対して、外向き圧縮ではなく、装置100の位置を維持するために、弁輪に係合するように、複数のアーム120を利用するため、支持体110は、大動脈の内径より若干小さい直径に拡張されることができる。本若干小さく定寸される拡張された構成113は、冠状動脈口の非意図的遮断に対して保護し得る。さらに、本技術は、大動脈壁および/または弁輪に対する積極的拡張に依拠する、以前の経カテーテル大動脈弁より一貫し、かつ完全な装置100の展開を提供し得る。以前の経カテーテル大動脈弁は、天然弁尖内のカルシウム結節のため、非円形の不均一形状に展開し得る。対照的に、本技術の装置100は、既知の形状およびサイズに一貫して展開されることができ、確実に機能するであろう。本改善された弁輪への連結は、不完全弁拡張による、弁周囲の漏出ならびに弁閉鎖不全を防止するのに役立ち得る。さらに、複数のアーム120は、天然大動脈弁尖を支持体110に対して保持し、弁周囲の漏出および逆流を低減させるのに役立ち得る。アーム120および支持体110による改善された弁輪への連結は、本明細書に説明されるように、また、特に、経カテーテル大動脈弁置換に関する懸念となり得る、閉塞片および脳卒中の発生を低減させ得る。
【0151】
図2Jは、弁天然僧帽弁の二尖弁交連とは対照的に、天然大動脈の三尖弁交連に向かって延在するように構成される複数の封止部材160を有する、人工心臓弁デバイス(装置100等)の上面図である。封止部材160は、支持体110(拡張された構成113に示される)の周囲に位置付けられ、逆流または弁周囲の漏出の危険を低減させるように、三尖(例えば、大動脈)弁交連内、それにわたって、またはその下に延在するように構成される。図示される実施形態では、封止部材160は、3つの大動脈交連のそれぞれ内に延在するように、約120度だけ角度的にオフセットされた3つの別個の部分を含んでもよい。他の実施形態では、封止部材160は、三角形の角が、天然三尖弁交連に向かって延在するように、三角形構成を有してもよい。
【0152】
大動脈展開に好適なデバイスはさらに、大動脈弁輪の心室側に位置付けられ、装置100の下流移動を阻止または防止するのに役立ち得る、支持体110の上流端112a上にフランジ165または複数のフィンガ165PF(
図2H−1および2H−2に示されるものに類似)を含んでもよい。
【0153】
加えて、大動脈弁置換に好適な本デバイスは、大動脈を介した逆行性アプローチ、右心房からの経中隔アプローチ、あるいは左心室内の穿通または切開を介した経心尖アプローチのいずれかを使用して埋め込まれてもよい。逆行性アプローチでは、天然弁は、上流側ではなく、下流側からアプローチされるであろうため、装置100は、前述の経中隔僧帽弁実施形態と逆方向に、送達システム上に配向されるであろう。さらに、送達システムは、本逆配向に適切に修正されることができる。心尖アプローチでは、本デバイスは、経中隔僧帽弁実施形態と同様に配向されるであろうが、より短い長さおよび手術アプローチのため、他の好適な修正が、送達システムに行なわれてもよい。
【0154】
図3Aは、送達構成111に示される拡張可能支持体110を有し、かつデバイスが、身体の弁に経皮的にアクセスするために好適であるように、内向き構成121に示される複数のアーム120を有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
図3B、3C、および3Dは、それぞれ、
図3Aにおけるように構成される、拡張可能支持体110および複数のアーム120の正面、側面、および上面図を示す。複数のアーム120はそれぞれ、組織接触に応答して、外方に偏向することができる。いくつかの実施形態では、先端部分122の高さ138および/またはアーム120の長さは、弁輪との組織接触に応答して、変動することができる。構造の多くは、
図2A−21の実施形態に類似し、同じ数および文字は、類似要素を示し得る。
【0155】
図3A−3Dをともに参照すると、骨組140は、支材パターン幾何学形状を備える。複数の支材142は、複数の伸長支柱144間に延在する。複数の支材142は、支持体110が、送達構成111に半径方向に収縮されると、各支材142の端部間の分離距離を減少させ、支柱144のそれぞれ間の分離距離を減少させるように圧潰され得る正弦波構成において、支柱144間に延在することができる。支柱144は、実質的に、剛性構造を備えてもよく、弁150の荷重を複数のアーム120に伝達するように、実質的に、縦軸110Aに平行に延在することができる。複数の支材142は、複数のノード110Nを画定するように、複数の支柱144に取り付けられることができる。
【0156】
送達構成111から拡張された構成113への支持体110の拡張によって、支材142は、支柱144および対応するノード110Nの分離距離を増加させるように、伸長構成をとることができる。支材142の端部間の距離は、バルーン(図示せず)の力による支材142の変形に伴って増加されることができ、または支材142は、例えば、形状記憶材料を備えてもよい。骨組140はまた、種々の小穴、フック、または他の特徴を備え、弁、膜、封止部材、スカート、カバー、または他の要素の取付を促進してもよい。
【0157】
複数の先端122は、各先端が、湾曲部分122Cを備えるように湾曲されることができる。複数の先端122のそれぞれの湾曲部分122Cは、軸122CAの周囲で湾曲されることができる。湾曲部分122Cは、延在部分127から延在し、支持体110の表面110Sに向かって内向きに向くことができ、各湾曲部分の軸122CAは、支持体110の外側表面の接線に平行である、または代替として、例えば、正中線110Mlに平行であってもよい。示される実施形態では、各湾曲部分122Cの軸122CAは、概して、相互に平行かつ正中線110Mlに平行である。
【0158】
複数のアーム120は、支柱144の下流端に取り付けられ、距離139だけ、支持体110の下流端部分114の下方に延在する、湾曲肘部分126を有する。各湾曲肘部分126は、軸122CAのように、正中線110Mlに平行な軸126Aを中心として湾曲されることができる。代替として、軸126Aは、支持体110の外側表面の接線に平行である、またはある他の角度で配置されてもよい。中間肘部分126は、カム部分126Cを備え、バルーン(図示せず)に係合してもよい。湾曲肘部分126は、U形状の部分126Uを備えてもよい。湾曲肘部分126は、延在部分127まで延在することができ、延在部分127は、湾曲部肘部分126から先端部分122まで延在することができる。
【0159】
図3Eは、送達構成111に示される拡張可能支持体110と、アーム120が、天然弁の弁尖をアーム120と拡張可能支持体110との間に受容するように位置付けられるように、外向き構成123に示される複数のアームとを有する、人工心臓弁デバイス(装置100等)の等角図である。
図3F、3G、および3Hは、それぞれ、
図3Eにおけるように構成される、拡張可能支持体110および複数のアーム120の正面、側面、および上面図を示す。
【0160】
図3Iは、拡張された構成113に示される拡張可能支持体110と、デバイスが、天然弁の弁輪に連結するために好適であるように、外向き構成123に示される複数のアーム120とを有する、人工心臓弁デバイス(装置100等)の等角図である。
図3I、3K、および3Lは、それぞれ、
図3Iにおけるように構成される、拡張可能支持体110および複数のアーム120の正面、側面、および上面図を示す。複数の支材142は、支柱144間の分離距離を増加させるような伸長構成を備え、支材142の端部143は、相互からより遠くに離れるように離間される。支柱144間のノード110Nは、相互からより遠くに離れるように離間され、支柱144間の増加した分離距離に対応する。支柱144は、弁150の荷重を複数のアーム120に伝達するために十分な剛性を備える。支柱144間に延在する支材142は、アーム120の荷重力を支持するために十分な強度を備える。
【0161】
図3I1は、収縮期の間、アーム上に付与される力を図示し、支持体の支材142および支柱144への対応する力を示す、力図である。いくつかの実施形態では、弁輪に係合すると、アーム120は、アーム120上に付与される荷重が、主に、圧縮軸荷重であるように、弁輪下表面に略直交である、またはそれに対して斜角約45〜135度であるように配向される。便宜上、各アーム120を通しての力は、支持体110に対するアーム120の角度のため、全体的に、軸方向であると仮定すると、各アーム120上に付与される力120Fは、支持体110に対する半径方向内向き力142Fと、支持体110に対する軸方向力144Fとをもたらす。アーム120に取り付けられた支柱144はそれぞれ、軸方向力144Fに応答して、アーム120を支持するために十分な強度を備え、下流端114aの近傍において、各支柱144に連結される支材142は、半径方向力142Fに応答して、端部143間の変形に抵抗し、アーム120を支持するために十分な強度を備える。
【0162】
図4Aおよび4Bは、第1の内向き構成121(
図4A)および外向き構成123(
図4B)に示される、複数のアーム120を有する、人工心臓弁デバイス(装置100)の側面図である。一実施形態では、装置100は、
図4Aに示される送達構成から、
図4Bに示される拡張された構成に自己拡張するように構成される弾性材料から成る、自己拡張式支持体110を備える。材料は、種々の異なる金属またはポリマーを含んでもよいが、いくつかの実施形態では、ニチノール等の超弾性材料を含む。複数のアーム120は、支持体110に連結され、内向き構成121および外向き構成123を有する。アーム120は、軸110Aに沿った複数の先端部分122のそれぞれの高さ138が、支持体110および相互の先端部分122に対して、変動し得るように、支持体110に摺動可能に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、アーム120は、支持体110に沿って延在し、支持体110に対して、アーム120の高さを変動させるような上側部分129を備えてもよい。上側部分129は、支持体110の外側表面110S内の開口部を通して織成されてもよく、または、例えば、支持体110に搭載された管(図示せず)等の摺動可能連結を通して延在してもよい。複数のアーム120のそれぞれの先端部分122は、例えば、組織穿通を阻止するための湾曲部またはループを有する、減圧先端部分122PRを含んでもよい。自己拡張式支持体110は、置換弁構造の取付を促進するために、支材(図示せず)を有してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0163】
動作可能に、減圧先端部分122PRが、弁輪組織に係合すると、アーム120は、下流方向に、支持体110に対して軸方向に摺動し、弁輪の可変高度に対応し、アーム120の全部が、弁輪に接触することを確実にすることができる。アーム120の減圧先端部分122PRはまた、弁輪組織に接触すると、偏向し、外傷を回避し、減圧先端部分122PRの高さのさらなる変動を可能にするように構成されてもよい。好ましくは、アーム120は、支持体110が所望の最終場所に位置付けられると、その軸方向位置が維持されるように、支持体110に摺動可能に連結される。例えば、そのような摩擦を克服するために、非常に高閾値軸方向力が、アーム120に印加されなければならないように、連結機構が、有意な摩擦をアーム120に印加してもよい。例えば、閾値力は、ユーザが、送達システムを介して印加し得るが、いったん埋め込まれると、アーム120に印加される力より高くなり得るような十分な大きさであり得る。代替として、アーム120は、支持体に連結された協働構造に係合し、アーム120が維持され得る一連の軸方向位置を提供する、歯、隆起、切り欠き、戻り止め、または他の機械的指標付け特徴を有してもよい。
【0164】
図5A1−5A4は、本技術の別の実施形態に従って構成される、リング状先端122を伴うアーム120を有する、人工心臓弁(装置100等)の側面図である。本装置100は、リングまたはループを備える減圧先端部分122PRを伴う複数のアーム120を有するように示され、各リング122は、支持体110の中心縦軸110Aから半径方向に延在する、または支持体110の外側表面110Sの接線に平行である、垂直平面にあることができる。そのような配列では、リング122の接線配向は、コンパクトな送達外形を形成するために、アーム120圧縮の容易性を改善し得る。他の実施形態では、リング122は、支持体110に対して、種々の他の角度であることができる。送達構成111における支持体110は、第1の外側境界111Blおよび第2の外側境界111B2によって画定される、断面直径111Dを備えてもよい。アーム120の湾曲部分126は、軸126A(
図5A4)を支持体110の外形の外側境界11lBlおよび111B2内にオフセットするように、1つ以上の屈曲126Bl、126B2、126B3を有してもよい。
【0165】
図5A5−5A6Aは、アーム120が、異なる方向における屈曲に対して、相対的抵抗を有するように、第1の平坦化された断面寸法および第2の伸長断面寸法を伴うアーム120を有する、人工心臓弁デバイス(装置100)のさらなる実施形態を示す。
図5A6Bは、
図5A5の線A−Aに沿ったアーム120の一部を示す。例えば、アーム120の湾曲部分126は、
図5A6Aに示されるような断面形状126CSAを有することができる。断面形状126CSAは、平坦化され、円周方向(支持体110の外側表面110Sの接線に平行)における距離126CSCに沿ってより広く、半径方向における距離126CSRに沿って比較的に薄い。故に、円周方向に延在し、支持体110に平行な断面距離26CSCは、半径方向に延在する断面距離126CSRを上回る。本配列は、アーム120に、支持体110に向かう、かつそこから離れる場合、より低い曲げ靭性を与えるが、円周方向に比較的に高い曲げ靭性を与えることができる。種々の他の断面寸法および幾何学形状が、任意の方向に望ましい相対的曲げ靭性を提供するように選択されてもよい。
【0166】
図5A6Bは、
図5A5の線B−Bに沿ったアームの一部を示す。図示されるように、各アーム120の延在部分127は、アーム120の湾曲肘部分126(
図5A6A)と異なる断面形状を有することができる。例えば、断面形状127CSAは、平坦化され、円周方向(支持体110の外側表面110Sの接線に平行)における距離127CSCに沿ってより広く、半径方向(断面形状126CSAに類似)における距離127CSRに沿って比較的に薄いが、距離127CSRに沿った半径方向寸法は、延在部分1127の座屈に抵抗するために、湾曲肘部分126における距離126CSRに沿った半径方向寸法より大きくあることができる。平坦化され、かつより広い寸法127CSCは、天然弁尖の係合のためのより広い表面を提供することができる。
【0167】
他の実施形態では、湾曲肘部分126は、屈曲に対してより大きな抵抗を有するように、延在部分127のもの以上である、半径方向寸法126CSRを有してもよい。さらに、湾曲肘部分126または延在部分127のいずれかは、円周方向寸法が、半径方向寸法により近いまたはそれと略同一である断面を有し、より剛性かつ支持体110から離れる屈曲に対する抵抗を与えてもよい。一実施形態では、湾曲肘部分126は、円形である、断面形状126CSAを有してもよい一方、延在部分127は、多角形幾何学形状、例えば、長方形、台形、三角形、または他の形状を有する、断面形状127CSCを有する。
【0168】
図5A7−5A8は、それぞれ、平面弁輪下界面接触先端を提供するための減圧屈曲先端部分122PRを有するアーム先端を含む、アーム120を伴う、人工心臓弁デバイス(装置100)の側面および正面図である。示されるように、アーム先端部分122は、減圧先端部分122PRのループが、概して、天然弁の弁輪下平面に平行である平面にあるように、水平軸を中心として、約90°の屈曲122C1を有する。いくつかの実施形態では、減圧先端部分122PRは、
図5A7に示されるように、支持体110から離れるように外向きに、
図5A8に示されるように、支持体110に向かって内向きに、または円周方向(図示せず)に外方に屈曲されてもよい。
【0169】
図5A9−5A10は、ループ510を伴うアーム120と、支持体110上に2つの支持体取付点とを有する、人工心臓弁デバイス(装置100)の部分的側面図である。示されるように、アーム120は、減圧先端122PRをループ510の遠位端に提供するために、支持体110に連結されたループ510の両端を伴う、ワイヤループ等のループ510を備えることができる。ループ510の遠位ループ状端部は、
図5A9に示されるように、垂直平面に、水平平面に、または種々の他の構成にあるループを伴って、種々の構成に形成されてもよい。複数のそのようなループ510は、本明細書のいずれかに説明されるように、種々の配列において、支持体110に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、かつ
図5A10に示されるように、送達の間、断面外形を低減させるために、ワイヤループ510は、アーム120の内向き構成121において、支持体骨組140の外部の周囲に螺旋上に巻着するように構成されてもよい。
【0170】
前述のように、支持体110およびアーム120は、コーティングまたは被覆によって、部分的または全体的に被覆され、組織内部成長を助長し、デバイス内およびその周囲における付加的封止を提供することができる。いくつかの実施形態では、アーム110および支持体110は、Dacron
TM、ePTFE、または他の好適な材料の布地カバーによって被覆される、またはその中に含有されることができる。好適なカバーの種々の配列は、
図5A11−5A15に図示される。いくつかの実施形態では、2つ以上のアーム120(例えば、複数のアーム120)が、以下に説明されるように、単一カバー部材内にともに含有されてもよい。例えば、
図5A11に示される実施形態では、支持体110の第1の側110S1の第1の複数のアーム120は、第1のカバー部材320内に含有されることができる一方、支持体110の第2の側110S2の第2の複数のアーム120は、第2のカバー部材322内に含有されることができる。カバー部材320、322は、アーム120の片面を横断して延在し、そこに接着される、材料の単一シートまたは壁を備えてもよく、あるいはそれらは、縫着されてもよく、または別様に、アーム120にわたって嵌合し、完全にそれらを囲繞する、中空靴下または手袋状に作製されてもよい。カバー部材320、322は、支持体110の外部および/または内部の周囲に延在する、管状カバーまたは外筒324と一体的に形成される、あるいはそれに取り付けられてもよい。カバー部材320、322はそれぞれ、支持体110の個別の側のアーム120の全部またはアーム120の選択された部分のみ、含有してもよい。
【0171】
図5A12に示される別の実施形態では、2つ以上のアーム120がそれぞれ、別個のカバー部材326によって被覆されることができるが、しかしながら、カバー部材326は、相互接続部分328によって、アーム120の遠位端に相互接続される。カバー部材326は、2つ以上のアーム120にわたって延在する連続管状部材を形成してもよく、または別の実施形態では、別個の管状部材326は、各アーム120を被覆してもよく、相互接続部品は、各管状部材の遠位端に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、カバー部材326および部分328による2つ以上のアーム120の相互接続は、弁輪を横断してより広く力を分散させ、かつ弁輪組織への外傷を低減させ得る。
【0172】
図5A13に示されるさらに別の実施形態では、各アームは、別個の管状カバー部材330によって被覆されることができる。
図5A11に関して説明されるように、各カバー部材330は、支持体110を被覆するように構成される管状外筒332と一体的に形成される、またはそれに連結されてもよい。各カバー部材330の遠位キャップ334は、下層アーム120および先端部分122の形状に適合してもよい。代替として、遠位キャップ334は、アーム120の係合によって弁輪上に付与される、力を分散させ、圧力を低減させ、および/または外傷を低減させる、構成を有してもよい。例えば、
図5A14に示されるように、遠位キャップ334は、実質的に、先端部分122の面積より大きい、略球状突起336を備えてもよい。突起336は、弁輪組織への外傷を最小限にするように、軟質であって、かつ詰め物がされ、弁輪に対する摩擦を強化し、組織に対するアーム120の移動を最小限にする材料から作製されてもよい。さらに、各カバー部材330は、下層アーム120に対して、縦方向に移動可能であって、突起336の位置の自己調節を可能にし、したがって、弁輪の可変高度に対応してもよい。例えば、突起336は、アーム120、および/またはデバイスの展開に先立って、遠位先端338に向かって、アーム120より遠くに延在する、先端部分122を受容するための内側ポケット339を有し、先端部分122の遠位にある程度の空き空間を残してもよい。突起336が、弁輪と係合されると、カバー部材330および/または突起336の可撓性および圧縮性のため、アーム120に対して下向きに押動され、それによって、衝撃吸収材として作用し、弁輪下表面の高度の変動にかかわらず、各遠位先端338と弁輪の係合を保証してもよい。
【0173】
図5A15に示されるさらなる実施形態では、アーム120の先端部分122は、カバー部材340によって被覆される。カバー部材340は、涙滴形状を有する布地靴下状被覆を備え、アーム120の遠位部分(先端部分122を含む)を囲繞および接着するように適合されてもよい。代替として、先端部分122自体が、涙滴形状に形成されてもよく、別個のカバー部材340が、対応して、先端部分122にわたって嵌合するように成形されてもよい。カバー部材340は、アーム120の涙滴形状端部のみ被覆してもよく、またはアーム120のより大きな部分を被覆してもよく、またはいくつかの実施形態では、アーム120全体を被覆する。
【0174】
図6A1‐6B4は、支持体110の第1の側110S1の支持体取付部位から、第1の側110S1と反対の支持体110の第2の側110S2に配向された弁尖および/または弁輪係合部位に交差するアーム120を示す、人工心臓弁デバイス(装置100)の底部、正面、側面、および等角図である。一実施形態では、複数のアーム120はそれぞれ、支持体110の下流部分114を横断して跨設し、第1の側110S1から第2の側110S2に延在するように構成される、湾曲肘部分126を備える。故に、アーム120の基部分124は、先端部分122が位置付けられる(例えば、側110S2)ものと異なる支持体110の側(例えば、側110S1)に連結されることができる。アーム120は、
図6A1−6A4に示されるようなループ状先端を伴う、あるいは
図6Bl−6B4に示されるような完全ループにおける、単一ワイヤまたはリボンを含め、本明細書に説明される種々の他の実施形態のいずれかのように構築されてもよい。支持体110の拡張に応じて、アーム120は、天然弁尖を相互に向かって、および/または支持体110の外側表面110Sに向かって引張し、それによって、支持体110に対する弁尖の封止を強化し、弁周囲の漏出を防止する。
【0175】
図7Aは、随意の封止部材160(点線で示される)およびアーム120を伴う、拡張された支持体110を有し、かつ拡張された支持体110の内側に保定および位置付けられる人工弁180を有する、人工心臓弁デバイス(装置100)の上面図である。一実施形態では、人工弁180は、拡張可能支持体110が、拡張された構成113にあるとき、かつ天然弁場所に埋め込まれた後、拡張可能支持体110の内側に留置されることができる。支持体110は、支持体内に含有される弁を伴わずに(図示されるように)、または拡張可能支持体の内側に連結された一時的弁185を伴って(
図7Bに示されるように)、天然弁場所において、送達構成111から拡張された構成113に拡張されることができる。人工弁180は、支持体110内に経血管的に位置付けられ、支持体110の管腔内に埋込または保定されることができる。動作可能に、人工弁180は、カテーテルによって送達され、送達構成において、支持体110の内側に留置され、例えば、矢印182で示されるように、半径方向外向きに拡張されることができる。
【0176】
図7A1は、支持体110と併用するために、拡張された構成における人工弁180を示す。人工弁180は、例えば、Edwards Lifesciences LLC製Sapien
TM経カテーテル心臓弁またはMedtronic, Inc.製CoreValve
TM経カテーテル心臓弁等の市販の弁を備えてもよい。人工弁180は、拡張された支持体110内に位置付け可能なコンパクトな構成を有する、拡張可能ステント状フレーム184を備えてもよい。フレーム184は、人工弁180を支持体110に取り付けるように、コンパクトな構成から第2の拡張された構成に拡張されることができる。フレーム184は、Sapien弁の場合のようにバルーン拡張可能式またはCoreValve弁のように自己拡張式のいずれかであってもよい。
【0177】
図7Aに戻って参照すると、拡張可能支持体110は、支持体110に対する人工弁180の移動を阻止するように構成される、内側壁部分158を備えてもよい。内側壁部分158は被覆(図示せず)を備えてもよく、被覆は、人工弁180の拡張可能フレーム184(
図7A1)が、支持体110の内側壁部分158に対して押勢されると、摩擦または圧縮のうちの1つ以上を提供するように選択される、厚さおよび材料特性を有してもよい。被覆は、DacronまたはPTFE等の織物、閉鎖セル発泡体、あるいはポリマー、セラミック、焼結された金属、または他の好適な材料の層であってもよい。代替として、または加えて、内側壁部分158は、例えば、隆起、フック、戻り止め、リッジ、塊片、突起、またはコーティング等、摩擦を強化する、あるいは人工弁180のフレーム184と連結するための構造(図示せず)を備えてもよい。
【0178】
種々の実施形態では、拡張可能支持体110は、人工弁180を拡張させるために使用されるバルーン(図示せず)の拡張力下でも、所定の直径を超えた拡張に抵抗するように構成されるであろう。支持体110内での人工弁180の拡張後、特に、人工弁180がバルーン拡張可能である場合、人工弁180のフレーム184および支持体110の両方のある程度の反跳(半径方向収縮)が、生じ得る。支持体110は、したがって、適正な半径方向力が、2つの構造間に維持されるように、人工弁180の反跳を上回る量だけ反跳するように構成されてもよい。拡張可能支持体110は、弁180の拡張可能フレーム184に対して、半径方向内向きに指向された反跳力を付与する、骨組140を備えてもよく、拡張可能フレーム184は、骨組140に対して、半径方向外向きに押圧する、ステントを備えてもよい。拡張可能骨組140は、バルーン190が、拡張可能フレーム184の管腔内に留置され、膨張されると、ステント状拡張可能フレーム184とともに、半径方向外向きに移動することができる。バルーンが、骨組140または拡張可能フレーム184のいずれかが、内向き反跳を被るほどしぼむと、骨組140は、フレーム184より多く反跳するように適合されるであろう。骨組140は、骨組140が、フレーム184の管腔内に留置されたバルーンがしぼむと、フレーム184の反跳力を上回る反跳力によって、半径方向内向きに押勢されるように、第1の支材配列、第1の支材寸法、第1の支材幾何学形状、または第1の支材材料のうちの1つ以上を備えてもよく、拡張可能フレーム184は、第1の支材配列、第1の支材寸法、第1の支材幾何学形状、または第1の支材材料のうちの1つ以上と異なる、第2の支材配列、第2の支材寸法、第2の支材配列、または第2の支材材料のうちの1つ以上を備えてもよい。
【0179】
図7Bは、アーム120および事前に嵌合された弁構造185を伴う、拡張された支持体110を有し、拡張された支持体110の内側かつ事前に嵌合された弁構造185内に保定および位置付けられる別個の人工弁180を示す、人工心臓弁デバイス(装置100等)の上面図である。事前に嵌合された弁185は、いくつかの実施形態では、天然弁構造の置換のために、デバイス100と併用される唯一の弁構造であり得る。他の実施形態では、かつ
図7Bに示されるように、別個の人工弁180は、デバイス100の埋込後(直後または単一動作の間に並行して、あるいはしばらく経ってまたは第2の動作時のいずれかにおいて)、送達され、支持体110内に挿入され、その中で拡張されると、事前に嵌合された弁構造185を変位させることができる。いくつかの実施形態では、事前に嵌合された弁構造185は、一時的弁185であることができる。例えば、事前に嵌合された弁185の弁尖187は、支持体110の内側壁158に対して下流に折畳され、人工弁180と支持体110との間に狭入または圧縮されてもよい。選択可能材料を備える、事前に嵌合された弁185の弁尖187は、支持体110の内側壁158と人工弁180との間の空間を封止し、弁周囲の漏出を阻止する支援をし得る。加えて、事前に嵌合された弁185は、人工弁180の外側表面に対して、圧縮および/または摩擦を強化し得る。支持体110は、人工弁180が拡張されると、人工弁180を支持体110に連結するように構成される、内側壁158上の保持構造物を備えてもよい。人工弁180は、拡張可能フレーム184(
図7A1に図示)を備えてもよく、支持体110の内側壁158上の保持構造物は、
図7Aに関して前述のように、拡張可能フレーム184の外側部分に連結してもよい。支持体110の内側壁158上の保持構造物はまた、事前に嵌合された弁185構成要素を拡張可能フレーム184に対して押勢してもよい。いくつかの配列では、本技術の拡張可能支持体110の使用は、所与のサイズのカテーテル送達された置換弁180が、効果的固定および弁周囲の漏出の防止を伴って、実質的により大きな天然弁輪内に埋め込まれることを可能にし得る。
【0180】
図7B1‐7B3は、本技術の実施形態による、弁尖187を備える、一時的弁185の構成要素および構造を示す。一時的弁185は、PTFE、織成または編成ポリエステル、ウシ心膜、ブタ弁組織、または他の好適な材料等、材料189のシートを備えてもよい。材料189のシートは、3つの内側ポケットを伴う、円筒形159を形成するように、半分に折畳され、ePTFE縫合糸で縫着されることができる。3つのポケットの内側壁は、相互に並置し、したがって、一時的弁185の弁尖187を形成するように、円筒形159の中心に向かって折畳される。一時的弁185は、例えば、ポリプロピレンおよびePTFE縫合糸によって、骨組140の両端に取り付けられることができる。
【0181】
図7Cは、複数のアームおよび事前に嵌合された弁185が、拡張可能支持体110内に搭載されている、拡張可能支持体を有する、人工心臓弁デバイスの上面図である。いくつかの実施形態では、事前に嵌合された弁185は、装置100と併用するために構成される、恒久的弁構造であることができる。しかしながら、他の実施形態では、事前に嵌合された弁185は、一時的弁185であることができる。一時的弁185の外側壁159(例えば、
図7B1−7B3に示される円筒形)は、上流方向に弁185を通る血流を遮断するように、支持体110の内部を横断して延在する弁尖187によって、支持体110の内側壁158に連結するように構成することができる。支持体110は、縫合糸または他の好適な締結手段が、内側壁158への一時的弁185の取付を促進するために連結され得る、ループ、小穴、索止め、または開口部等の特徴を含んでもよい。
【0182】
一時的弁185は、人工弁180が、支持体110に連結されると、人工弁180が、実質的に、第1の弁185の弁尖187を変位させるように、別個のカテーテル送達された人工弁180を受容するように構成することができる。一時的弁185は、人工弁180の拡張可能フレーム184が、1つ以上の弁尖187に対して押勢されると、人工弁180によって、圧縮または摩擦のうちの1つ以上を増加させるように適合される、1つ以上の弁尖187を備えてもよい。支持体110は、その内側壁158にわたって被覆を備えてもよく、被覆は、人工弁180の拡張可能フレーム184が、支持体110内で拡張されると、摩擦または圧縮のうちの1つ以上を提供するような十分な厚さを有してもよい。一時的弁185の1つ以上の弁尖187はまた、支持体110と人工弁180の拡張可能フレーム184との間に狭入されると、人工弁180によって、圧縮または摩擦を増加させるように適合されることができる。
【0183】
代替実施形態では、支持体110内に搭載された一時的弁185は、恒久的人工弁180の支持体110への連結に先立って、除去されるように構成されてもよい。一時的弁185は、着脱可能連結、例えば、弁尖187が容易に断裂されることを可能にする、弁尖187の穿孔領域によって、支持体110内に搭載されてもよい。代替として、弁尖187は、カテーテル送達された切断ツールによって切断されることができる、縫合糸または他の締結具によって、支持体に連結されてもよい。一時的弁185はまた、埋込後、2時間〜2ヶ月の周期にわたって、浸食し、血液中に溶解するように構成される、生体浸食性材料から作製されてもよい。
【0184】
一時的弁185の代わりに、恒久的弁が、支持体110に取り付けられ、それとともに埋め込まれてもよい。恒久的弁は、前述の一時的弁185と同様に、または市販の経皮的心臓弁のいずれかのように、構築されてもよい。いずれの場合も、恒久的弁は、経皮的送達に好適な外形を有するように、圧潰可能であって、かつ天然弁場所における埋込のために、支持体110とともに拡張可能であろう。
【0185】
図8A−8Cは、本技術の実施形態による、内側シャフト204と、内側シャフト204にわたって摺動可能である管状中央シャフト206と、中央シャフト206にわたって摺動するように構成されるシース20とを備える、送達カテーテル200の拡大断面図である。膨張可能バルーン208は、内側シャフト204の遠位端に搭載され、装置100は、バルーン208にわたって可撤性に搭載される。内側シャフト204は、バルーン208の内部と流体連通し、展開の間、バルーン208への膨張流体の送達を可能にする、膨張管腔209を有する。内側シャフト204は、随意に、バルーン208を通して、ガイドワイヤGWが受容され得る先端214へと延在する、ガイドワイヤ管腔210を有する。
図8Aに示される送達構成では、シース20が、
図8Bに示されるように、後退されると、中央シャフト206は、支持体110の近位端に係合し、バルーン208上のその位置を維持する。
図8Cに示される拡張された構成では、中央シャフト206は、膨張されると、バルーン208に対して近位に摺動し、バルーン208の近位テーパを収容する。随意に、中央シャフト206は、その遠位端近傍に1つ以上の縦方向穿孔を有し、その遠位部分が、バルーンが膨張するにつれて、縦方向に分割することを可能にし、したがって、膨張に先立って、中央シャフト206を後退させる必要性を排除し得る。
【0186】
図8Aに示される送達構成では、シース20は、それらを内向き構成に拘束するように、アーム120にわたって延在する。シース20が、
図8Bに示されるように、後退されると、アーム120は、弾性的にその付勢されていない外向き構成に移動し、アーム120と支持体110との間に間隙212を生成し、その中に、天然弁尖が、送達カテーテル200全体を近位方向(例えば、
図8A−8Cに示される送達カテーテルシステムに基づく上流方向)に後退させることによって受容されてもよい。動作時、装置100が、好ましくは、弁輪下空間内の天然弁輪に係合するアーム120によって、天然弁尖に対して、所望の位置(図示せず)に位置されると、バルーン208は、
図8Cに示されるように、膨張されてもよい。バルーン208の膨張は、支持体110をより大きな直径に拡張し、支持体110の外側表面を弁輪に対して押勢する。支持体110の外側表面110Sは、アーム120に向かって拡張し、少なくとも部分的に、間隙212を閉鎖または狭小化する。間隙212を狭小化することによって、アーム120は、支持体110とアーム120との間の天然弁尖を圧縮する。加えて、バルーン208は、バルーンが、膨張するにつれて、アーム120の内向き湾曲カム領域126Cに係合するように、支持体110の下流端114aを越えて遠位に延在することに留意されたい。カム領域126Cが、外向きに押動されるにつれて、先端部分122は、支持体110に向かって内向きに移動し、弁尖をさらに圧縮する。
【0187】
図9A−9Dは、
図8A−Cに関して前述のものに類似する内側シャフト204および中央シャフト208を有する、送達カテーテル200の付加的実施形態の拡大断面図である。しかしながら、
図9A−9Bでは、バルーン208は、
図8A−Cに示される実施形態に説明されるバルーンより軸方向に短い。
図9A−9Dに示されるバルーン208は、支持体110の上流または下流端112a、114aを実質的に越えて延在せずに、膨張し、支持体110を拡張させるように定寸される。アーム120の中間肘部分126は、バルーン208の遠位に延在し、内向き湾曲カム領域126Cを有する必要がなくてもよい。本実施形態では、シース20は、その遠位端の周囲にフランジ220を有することができる。フランジ220の遠位および近位表面は両方とも、内向きにテーパ状または丸くされることができ、低摩擦潤滑材料から構築される、またはそれでコーティングされることができる。
【0188】
動作可能に、
図9Aに示されるような送達構成では、アーム120は、支持体110の外側表面に対して、遠位先端122とともに、内向き構成に、シース20によって拘束される。シース20が、
図9Bに示されるように、後退されると、アーム120は、弾性的に、わずかに外向きに、付勢されていない構成に移動することができ、そこに、小間隙222が、アーム120と支持体110との間に生成される。本構成では、アーム120は、実質的に、
図8A−Cに示される実施形態未満で外向きに角度付けられることができ、例えば、間隙222は、
図8Bに示される間隙212未満であることができる。間隙222は、天然弁尖を受容するために十分に大きくある必要はなく、フランジ220が、アーム120と支持体110との間に挿入されることを可能にするために十分に大きくあることのみ必要である。
図9Cに示されるように、シース20は、次いで、そのテーパ状遠位表面によって促進される、フランジ220が、アーム120と支持体110との間に摺動するように、内側シャフト204および装置100に対して遠位に前進されてもよい。シース20が、遠位に移動し続けるにつれて、フランジ220は、アーム120の内側表面に対して楔着され、アームをさらに外向きに偏向する。好ましくは、シース20は、フランジ220が、天然弁尖を受容するための最大面積(例えば、
図9Cに図示される間隙222)をアーム120と支持体110との間に提供するように、支持体110の下流端114aの遠位の湾曲肘部分126内またはその近傍に配置されるまで、前進される。
【0189】
送達カテーテル200は、次いで、天然弁尖が、現時点で拡大されている間隙222内に受容され、アーム120の遠位先端部分122が、弁輪に係合するように、天然弁に対して、近位(図示される
図9A−9Dでは、上流)に移動されてもよい。シース20は、次いで、装置100に対して後退されることができ、フランジ220の潤滑性のテーパ状近位表面は、弁尖を間隙222から牽引せずに、天然弁尖にわたって、容易に摺動することができる。アーム120は、次いで、支持体110の外側表面により近い、
図9Bのその付勢されていない構成に戻る。シース20は、次いで、完全に後退され、支持体110の全長を暴露させることができ、バルーン208は、膨張され、
図9Dに示されるように、支持体110をその拡張された構成に拡張させることができる。本ステップでは、間隙222は、実質的に閉鎖し、アーム先端部分122は、支持体110の外側表面に近接またはそれに対しており、したがって、アーム120と支持体110の外側表面との間の天然弁尖を圧縮する。
【0190】
図10は、本技術のさらなる実施形態による、第1のシース20内に摺動可能に配置される第2のシース226を含む、送達カテーテル200の拡大断面図であって、第2のシース226は、人工心臓弁デバイス(装置100等)の支持体110の外側表面と複数のアーム120との間を摺動するように構成される。動作時、第2のシース226の遠位端は、
図9A−9Dに関して前述のフランジ220に類似する様式において、アーム120の内側表面に係合することができる。故に、第2のシース226は、拘束されていない(例えば、第1のシース20が、近位に後退されている)とき、アーム120を天然弁尖を受容するように適合される外向き構成に押進させることができる。随意に、第2のシース226の遠位端は、
図9A−9Dに関して説明されるフランジ220に類似する拡大されたフランジおよび/またはテーパ状遠位端を有し、アーム120下の挿入を促進してもよい。送達構成では、シース20は、装置100を被覆し、支持体110の外側表面近傍において、アーム120を内向き構成に拘束する。本構成では、第2のシース226は、シース20内で装置100に近位に後退されるか、または支持体110とアーム120との間に位置付けられるかのいずれかであってもよい。シース20が、後退されると、第2のシース226は、湾曲肘部分126の面積内において、アーム120の内側表面に係合するまで、遠位に前進されてもよい。アーム120は、それによって、天然弁尖が、アーム120と支持体110との間受容され得るように、外向きに押進される(図示せず)。装置100が、所望の場所(図示せず)に位置付けられると、第2のシース226は、後退され、アーム120が、弾性的に、支持体110により近い、付勢されていない構成に戻ることを可能にして、それによって、アーム120と支持体110の外側表面との間に弁尖を圧縮または保定することができる。バルーン208は、次いで、膨張され、支持体110を天然弁輪内で拡張させ、アーム120と支持体110の外側表面との間の弁尖をさらに圧縮することができる。
【0191】
図11A−11Cは、本技術の別の実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイス(装置100等)のための送達システムの遠位部分の側面断面図である。
図11A−11Cに示されるように、シース20は、内側シャフト228と、膨張管腔232を画定する同軸外側シャフト230と、外側シャフト230の遠位端に搭載されたバルーン234とを含む、同軸構造を有してもよい。膨張管腔232を通した生理食塩水または造影剤等の膨張流体の送達は、バルーン234を膨張させる。本装置100は、内側シャフト228内に位置付けられてもよい。非偏向状態では、アーム120は、支持体110の外側表面の近傍に内向きに位置付けられる。動作可能に、シース20が、後退されると、アーム120は、バルーン234が、
図11Bに示されるように、アーム120と支持体110との間に挿入されることを可能にする(例えば、シース20を遠位に移動することによって)ために十分な距離だけ、支持体110から外向きに若干跳ね返ることができる。シース20は、バルーン234が、U形状の肘部分126の近傍に位置付けられるまで、遠位に前進されることができる。バルーン234は、次いで、膨張され、
図11Cに示されるように、アーム120を外向きに押勢してもよい。送達カテーテル200は、次いで、弁尖をアーム120と支持体110との間に捕捉するために、天然弁に対して、近位に後退される。所望の場所に到達すると、バルーン234は、しぼみ、シース20は、支持体110とアーム120との間のその位置から、バルーン234を抜去するように後退されてもよい。アーム120は、次いで、支持体110の外側表面により近い、その付勢されていない構成に戻り、天然弁尖を支持体110とアーム120との間に捕捉または保定してもよい。いくつかの実施形態では、バルーン234は、弁尖の係合を妨害せずに、支持体110とアーム120との間からのバルーン134の抜去を促進するために、潤滑材料でコーティングされてもよい。支持体110は、次いで、前述のように拡張され、装置100は、天然弁部位に展開されることができる。
【0192】
図12A−12Cは、本技術の付加的実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイス(装置100等)のための送達システム300の種々の構成要素の側面立面図であって、
図12D−12Gは、
図12A−12Cの送達システムの遠位部分の側面図である。本システム300は、遠位端241の近傍の対向する外方側に一対の窓240を有する管状内側シース238を含む、送達カテーテル200を含むことができる。内側シース238内には、随意に、支持体(図示せず)にわたって摺動するために十分に大きいリング243(
図12Bおよび12Cに図示)によって相互接続される、一対のくぼみ242が、受容され、
図12Bに示されるように、窓240を通して、軸方向に摺動可能である。伸長延在部244は、リング243から近位に延在し、くぼみ242の軸方向移動を促進する。くぼみ242は、
図12Bに示されるように、凹状部分が、外向きに面し、遠位端246が、近位端247よりさらに離間されて位置付けられる、湾曲であるように事前に形成される。くぼみ242はまた、凹面が外向きに面して、凹状スプーン状または谷間状形状を形成するように、縦軸を中心として湾曲されてもよい。くぼみ242はまた、
図12Cに示されるように、その遠位端246に切り込まれた切り欠き245を有してもよい。いくつかの実施形態では、切り欠き145は、くぼみ242が前方に摺動するにつれて、アーム120をともに保定することができる(以下にさらに説明される)。
【0193】
図12Dを参照すると、支持体110は、内側シース238内に位置付けられることができ、アーム120は、内側シース238の外側に配置され、窓240を横断して近位に突出する。非偏向状態では、アーム120は、支持体110の外側表面に近接する位置に自然に常駐するように構成される。
図12Dを参照すると、標的部位への送達のための初期構成では、外側シース20は、内側シース238およびアーム120にわたって摺動可能に配置され、アーム120を内側シース238の外部に対して保持する。
【0194】
送達カテーテル200が、標的部位に来ると、外側シース20は、
図12Eに示されるように、後退され、アーム120を暴露し、アーム120が、支持体110および/または内側シース238から、
図12Fに示されるその付勢されていない構成に、外向きに跳ね返ることを可能にすることができる。くぼみ242は、次いで、くぼみ242が、アーム120のU形状の肘部分126に向かって移動するように、内側シース238および支持体110に対して、前方に押動され、および/または内側シース238および支持体110は、くぼみ242に対して後退される。その外向き湾曲構成のため、くぼみ242は、アーム120をさらに外向きに押勢し、
図12Gに示されるように、アーム120と内側シース238との間により大きな間隙248を生成する。送達カテーテル200は、次いで、天然弁に対して後退され、弁尖をアーム120と内側シース238との間に捕捉してもよい(図示せず)。くぼみ242は、次いで、窓240(図示せず)を通して、後退され、天然弁尖と内側シース238との間の空間から退避することができる。これは、アーム120が、支持体110の外側表面により近い、内向き構成に戻ることを可能にし、それによって、弁尖を支持体110とアーム120との間に捕捉する。本装置100は、次いで、他の実施形態に関連して説明されるように、拡張され、送達カテーテル200から展開されてもよい。
【0195】
いくつかの実施形態では、装置100は、アーム120を支持体110に向かって内向きに押勢し、支持体110とアーム120との間の弁尖をより押進するように圧縮するための能動的機構を有してもよい。
図13A−13Bは、本技術のある実施形態による、拡張可能支持体110と複数のアーム120との間に連結されたベルト250を有する、それぞれ、人工心臓弁デバイス(装置100)の立面側面および斜視図である。
図13Cおよび13Dは、
図13A−13Bに示されるデバイス100の上面図であって、外向き構成123(
図13C)および内向き構成121(
図13D)におけるアーム120を示す。一実施形態では、ベルト250は、支持体110に連結され、各アーム120内の小穴252を摺動可能に通過することができる。ベルト250は、縫合糸、ワイヤ、バンド、ケーブル、または当技術分野において公知の他の可撓性要素を備えてもよい。超高分子量ポリエチレンまたはステンレス鋼ワイヤロープが、いくつかの実施形態では、拍動荷重に耐え、かつ支持体110とアーム120との間の弁尖の挟持を維持するために有用な品質である、その強度およびクリープ抵抗のため、使用されることができる。一実施形態では、ベルト250は、例えば、いくつかの実施形態では、天然弁交連の場所に対応し得る、アーム120の列(存在する場合)間の空間内の支持体110の両側の係留点254において、支持体110に連結されることができる。いくつかの配列では、係留点254は、ベルト250が、支持体110とアーム120との間の天然弁尖の位置付けに干渉しないであろうように、支持体110の下流端114a近傍に位置することができる。いくつかの実施形態では、小穴252は、アーム120に及ぶ、てこの作用を最大限にするように、肘部分126より先端部分122に近い、アーム120の上流部分に搭載されることができる。最初に、支持体110が、半径方向に圧潰された送達構成にあると、ベルト250は、アーム120が、
図13A−Cに示されるその外向き構成123に常駐または静置することが可能であるために十分に弛緩している。支持体110が、拡張されるにつれて、対向する係留点254間の距離Dが、増加され、ベルト250を緊締させ、それによって、
図13Dに示されるように、アーム120を支持体110の外側表面に向かって内向きに牽引することができる。
【0196】
図14に示される代替構成では、一対のベルト(250Aおよび250Bとして個々に図示)は、アーム120に能動的に係合するために使用されることができる。例えば、
図13A−Dに示されるように、支持体110の円周全体の周囲に延在し、アーム120の全部に連結される、単一連続ベルト250ではなく、あるベルト250Aは、支持体110の片側の第1の一式のアーム120を通過することができ、第2のベルト250Bは、支持体110の反対側の第2の一式のアーム120を通過することができる。各ベルト250A、250Bは、その端部において、支持体110上の係留点254に連結される。いくつかの実施形態では、ベルト250Aは、第1の一式のアーム120が、装置100の埋込の間、および/または天然弁領域内に埋め込まれると、第2の一式のアーム120と異なって配列されることができるように、ベルト250Bと異なることができる。例えば、天然僧帽弁領域における埋込に好適なデバイスの場合、いくつかの実施形態では、前尖ALに係合するアーム120が、支持体110により近接して引張され、左室流出路内に突出しないことを保証することが望ましくあり得る。故に、ベルト250Aは、ベルト250Bと異なる長さまたは張力を有してもよい。
【0197】
ベルト250は、種々の方法において、アーム120に連結されてもよい。
図15A−15Cは、本技術の種々の実施形態による、人工心臓弁デバイス(装置100等)と関連付けられた個々のアーム120の一部の側面図であって、ベルト250をアーム120に連結するための機構を示す。
図15Aに示されるように、アーム120は、アーム120に搭載されたループまたは小穴252を有し、それを通して、ベルト250は、摺動可能に通過することができる。
図15Bに示されるように、アーム120は、ベルト250を受容し、ベルト250に張力がかけられると、下流方向にアーム120を下方に滑動しないように防止するように適合される、へこみ、谷間、または溝256を有することができる。代替として、
図15Cに示されるように、ベルト250は、ベルト250が、アーム120に対して摺動する一方、アーム120によって十分な摩擦を付与し、アーム120に沿った摺動を阻止し得るように、アーム120の周囲に巻着され、完全折り返しまたはループ257を形成することができる。他の実施形態では、小穴252または他のベルト保定特徴は、アーム120の先端部分122内に組み込まれてもよい。例えば、先端部分122は、本明細書のいずれかに説明されるように、ループを形成してもよく、ベルト250は、ループを通過してもよい。
【0198】
さらなる実施形態では、アーム120は、アーム自体と一体的に形成される、孔、小穴、または他の特徴を有してもよく、それを通して、ベルト250は、通過してもよい。
図16A−16Cは、本技術のさらなる実施形態に従って構成される、人工心臓弁デバイス(装置100等)のためのアーム120の作製を示す、斜視図であって、アーム120は、ベルト250を受容するための小穴を有する。例えば、
図16Aに示されるように、アーム120はそれぞれ、アーム120の側面から延在するタブ260を有するように、金属管258からレーザ切断されてもよい。
図16Bを参照すると、タブ260は、それを通してベルト250(図示せず)が通過し得る、孔262を有してもよい。レーザ切断後、タブ260は、随意に、孔262が、円周方向または接線方向に延在し、アーム120の外側表面から半径方向外向きであって、それによって、ベルト250が、容易に摺動することを可能にするように、アーム120から半径方向外向きに突出するよう形成または屈曲されてもよい(
図16Bに図示)。代替として、アーム120は、
図16Cに示されるように、タブ260および孔262を所望の配向に位置付けるように捻転されてもよい。
【0199】
結論
本技術の実施形態の前述の発明を実施するための形態は、包括的であること、または本技術を前述に開示された精密な形態に限定することを意図するものではない。本技術の具体的実施形態および実施例が、例証的目的のために前述されるが、種々の同等修正も、当業者が認識するであろうように、本技術の範囲内で可能である。例えば、ステップが、所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序でステップを行なってもよい。本明細書に説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられてもよい。
【0200】
前述から、本技術の具体的実施形態が、例証の目的のために、本明細書に説明されたが、公知の構造および機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、詳細に図示または説明されていないことを理解されるであろう。文脈がそれを許すとき、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ、複数形または単数形を含んでもよい。
【0201】
さらに、単語「または(or)」は、2つ以上の項目の列挙に関して、その他の項目から1つの項目のみを排他的に意味すると明示的に限定されない限り、そのような列挙中の「or」の使用は、(a)列挙中のいずれかの1つの項目、(b)列挙中のすべての項目、または(c)列挙中の項目のいずれかの組み合わせを含むものとして解釈されるべきである。加えて、用語「備える(comprising)」は、任意のより多くの数の同一の特徴および/または付加的タイプの他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙された特徴を含むことを意味するために全体を通して使用される。また、具体的実施形態が、例証の目的のために本明細書に説明されたが、種々の修正が、本技術から逸脱することなく、行なわれ得ることを理解されたい。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられた利点が、それらの実施形態の文脈において説明されたが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、全実施形態が、必ずしも、本技術の範囲内となるために、そのような利点を呈する必要はない。故に、本開示および関連付けられた技術は、本明細書に明確に図示または説明されていない他の実施形態も包含することができる。