(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サルモネラコレラスイス(Salmonella choleraesuis)に特異的殺菌力を有し、寄託番号KCCM11208Pである、分離したバクテリオファージ。
請求項1のバクテリオファージを有効成分として含む、サルモネラコレラスイス、サルモネラティフィムリウム、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス、サルモネラニューポート及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるサルモネラ菌により引き起こされる感染性疾病の予防又は治療用組成物。
前記サルモネラコレラスイス又はサルモネラティフィムリウムにより引き起こされる感染性疾病はサルモネラ症又はサルモネラ食中毒であり、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス及びサルモネラニューポートにより引き起こされる感染性疾病は細菌性感染型サルモネラ食中毒である、請求項2に記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
サルモネラ菌の遺伝子塩基構成成分は、GC含量が50〜52%であり、大腸菌(Escherichia coli)及び赤痢菌(Shigella)に類似する。サルモネラ属菌は、ヒトのみならず様々な家畜に感染して様々な疾病を引き起こす病原性微生物である。サルモネラ菌種であるサルモネラエンテリカ(Salmonella enterica)は、血清学的分類によりサルモネラガリナルム(Salmonella gallinarum)、サルモネラプロラム(Salmonella pullorum)、サルモネラティフィムリウム(Salmonella typhimurium, ST)、サルモネラエンテリティディス(Salmonella enteritidis, SE)、サルモネラティフィ(Salmonella typhi)、サルモネラコレラスイス(Salmonella choleraesuis, SC)、サルモネラダービー(Salmonella derby, SD)などを含む多くの血清型(serovar)を有する。これらのうち、豚特有のコレラスイスやダービーなどが疾病を引き起こして農家や消費者に莫大な被害をもたらすこともあり、家禽特有のガリナルムやプロラム、対象動物が多様な人獣共通血清型であるティフィムリウムやエンテリティディス、ヒト特有のティフィなどが被害をもたらすこともある(非特許文献1)。
【0003】
近年、豚に直接的な被害をもたらし、食肉衛生において重要なサルモネラ菌は、飼育中に豚の消化器官内に存在していたサルモネラ菌が屠殺過程で豚肉を汚染する可能性が高いため、2003年7月1日から韓国の全屠殺場にHACCP(食品危害要素重点管理制度)が導入されている(非特許文献2)。
【0004】
サルモネラ感染による豚の急性又は慢性の消化器伝染病は、豚パラチフス(paratyphoid)とも呼ばれ、胃腸炎及び敗血症を特徴とし、主に肥育期に多く発生する。特に、この疾病の一部の原因菌は、食肉を通じてヒトの食中毒を引き起こすことがあるので、公衆保健学的にも重要な疾病である。多くの種類のサルモネラが原因菌となり得る。とりわけ、豚コレラ菌としてよく知られた菌であるサルモネラコレラスイス 及びサルモネラティフィスイス(Salmonella typhisuis)は、サルモネラによる急性敗血症の主な原因菌である。急性腸炎型は、肥育期の家畜に主に発生し、食欲が一定せず、激しい水様性下痢と高熱、脱力、肺炎及び神経症状を伴う。重症の場合、皮膚変色が生じる。サルモネラティフィムリウム、サルモネラエンテリティディス、サルモネラダービーなどは、主に慢性腸炎を引き起こす原因菌である。
【0005】
サルモネラ感染症は基本的にサルモネラ菌に汚染された飼料、水などにより経口感染するので、このような伝播経路に対する対策が強く求められている。汚染された原料飼料や水又は菌を保菌している成豚が重要な感染源となり得る。急性感染期にある豚は、糞便1g当たり106個のサルモネラコレラスイス又は107個のサルモネラティフィムリウムを排出する。しかし、人工的感染を試みた様々な実験における正常な感染は、108〜1011個のサルモネラを用いた場合にのみ可能であった。103個のサルモネラを豚に接種した実験において、接種された豚は病症を示さなかったが、共に飼育されていた他の豚はサルモネラに特異的な臨床症状を示した。これらは、農場で自然感染した豚においてサルモネラに特異的な臨床症状を示した。この結果は、農場で自然感染した豚においてサルモネラが莫大な量に増えて他の豚を感染させ得ることを示唆する(非特許文献3)。
【0006】
現在、韓国の養豚は、豚生殖器・呼吸器症候群(Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome: PRRS)や豚サーコウイルス(Porcine circovirus: PCV2)のような深刻なウイルス疾病により多くの経済的被害を受けており、これらの疾病を中心に疾病管理が行われている。これらの細菌性疾患は飼料添加抗生物質の使用禁止が始まるとウイルス疾病に相当する被害をもたらし得るので、未然に疾病の発生状況の把握や疾病管理が行われなければならない(非特許文献4,非特許文献5)。
【0007】
一方、バクテリオファージは、特定の細菌にのみ感染して細菌の成長を抑制する細菌特異的なウイルスであり、通常はファージと略して呼ばれ、細菌宿主内でのみ自己増殖することができる。バクテリオファージの発見以来、それを感染症の治療剤として用いるための研究が進められている。しかし、広範囲の宿主範囲(broad target spectrum)を有する抗生物質の性質に比べ、宿主特異性(specific target spectrum)を有するバクテリオファージは競争力に劣り、関心を得ることができなかった。抗生物質又は抗菌剤は、細菌感染による感染性疾患の治療に広く用いられている。しかし、抗生物質の誤用・乱用により抗生物質耐性菌の問題が深刻化し、食品内の抗生物質残留による人体への影響に対する懸念が高まっている。しかし、現在用いられている飼料添加抗生物質を除去すると、実験や実際に過去に他国で発生したように、抗生物質により抑制されていたサルモネラをはじめとする細菌性疾病の発生増加が予想される。よって、具体的かつ実践可能なサルモネラ管理ガイドラインの確立が切実に求められている(非特許文献4)。
【0008】
こうした背景から、バクテリオファージの研究が再び関心を集めている。バクテリオファージを用いて大腸菌0157:H7菌を制御するための7種のバクテリオファージが2002年度に米国で特許登録(特許文献1)を受け、Nymox社は様々な微生物を制御する2種のバクテリオファージに対して2005年度に米国で特許登録(特許文献2)を受けた。バクテリオファージに関する研究が盛んに行われるようになると、産業界でもバクテリオファージを用いた様々な商品が開発されるようになった。欧州のEBI food System社はバクテリオファージを用いてリステリア菌による食中毒を防止する食品添加剤製品であるListerix−P100を開発し、最初に米国FDAの承認を得た。同じ概念のリステリア菌制御食品添加型バクテリオファージ製品であるLMP−102を開発し、GRAS(Generally regarded as safe)の認証を得た。また、2007年には、OmniLytics社が屠殺過程中の牛肉製品の大腸菌0157汚染を予防するための洗浄液としてバクテリオファージを用いた製品を開発し、米国農務省食品安全検査局(FSIS)の承認を得た。Clostridium sporogenes phage NCIMB30008とClostridium tyrobutiricum phage NCIMB30008は、それぞれ2003年と2005年に欧州で飼料保存剤として登録され、飼料内の汚染されたクロストリジウム(Clostridium)菌の制御を目的とする製品として開発された。これらの研究は、バクテリオファージを用いて抗生物質治療の難しい細菌や畜産物などを汚染する人獣共通感染菌などを食品加工段階で制御する研究が進められていることを示すものである。
【0009】
しかし、ほとんどのバクテリオファージの研究が大腸菌、リステリア菌、クロストリジウム菌を制御することに主力を注いでおり、サルモネラ菌もまた人獣共通感染菌であり、それによる被害は減少していない。前述したように、サルモネラは様々な薬剤に対して耐性を示しやすいので、現在韓国においては、伝染病予防法施行令(大統領令第16961号)、伝染病予防法施行規則(保健福祉部令第179号)及び国立保健院職制(大統領令第17164号)により耐性監視を行っている。よって、サルモネラ菌を制御できるバクテリオファージの開発が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記目的を達成するための一実施態様として、本発明は、サルモネラコレラスイス、サルモネラティフィムリウム、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス又はサルモネラニューポートに特異的な殺菌力を有する新規バクテリオファージを提供する。
【0022】
本発明者らは、養豚場の糞便と下水から試料を採取し、試料から宿主細胞であるSCを溶菌するバクテリオファージを分離し、それらがST、SD、SI及びSNを溶菌できることを見出し(
図2及び表1)、前記バクテリオファージ(ΦCJ11)を電子顕微鏡で形態学的に観察した結果、形態型(morphotype)B1のサイフォウイルス科(Siphoviridae)に属することを確認した(
図1)。また、ΦCJ11のタンパク質パターンを分析した結果、バクテリオファージの主要構造タンパク質として、約69.5kDa、55kDa及び33kDaのタンパク質を含むことが確認され(
図3)、ΦCJ11の全ゲノムサイズを分析した結果、約97〜145.5kbpのサイズを有することが確認された(
図4)。さらに、これらの遺伝的特性を分析した結果、配列番号1〜4の核酸分子を全ゲノムの一部として含むことが確認され(実施例6)、配列番号1〜4に基づいて他種との類似性を比較した結果、現在まで明らかにされているバクテリオファージとは多少の相違があることから、新規バクテリオファージであることを見出した(表2)。前記遺伝的特性をより具体的に分析した結果、ΦCJ11に特異的なプライマーセット、具体的には配列番号5と6、配列番号7と8、配列番号9と10、及び配列番号11と12のプライマーセットでPCRを行うと、特定のサイズのPCR産物であるそれぞれ1.4kbp、1.2kbp、1.25kbp及び1.5kbpの産物が得られることが見出された(
図5)。
【0023】
一方、前記ΦCJ11をSC、ST、SD、SI及びSNに感染させると、溶菌斑(ファージプラークといい、軟寒天において1つのバクテリオファージにより宿主細胞が溶菌して形成される透明帯)の形成が確認された(
図2)。ΦCJ11を様々なpH範囲及び温度範囲で安定性を調査した結果、pH3.5〜11.0(
図6)及び37℃〜70℃の広範囲で安定して生存(
図7)するだけでなく、乾燥時にも安定性を維持する特性を有することが確認された(
図8)。また、野生分離株のSC、ST、SD、SI及びSNにも感染することが見出された(表3)。
【0024】
最後に、前記ΦCJ11をニュージーランドホワイト系特定病原菌不在(SPF)ウサギに皮膚刺激性と眼粘膜刺激試験を行った結果、皮膚刺激指数(P.I.I.)は0.33で非刺激性を示し、眼反応を観察した結果、急性眼刺激指数であるI.A.O.I.は全観察期間において洗眼群及び非洗眼群のどちらも0で非刺激性と評価された。ΦCJ11を経口投与したところ、増体変化はなかった(
図9)。また、死亡個体数、一般症状(表4)及び臓器異常(表5)は観察されず、毒性のないことが確認された。
【0025】
よって、本発明者は養豚場の糞便と下水から試料を採取し、SC、ST、SD、SI及びSNに対する特異的な殺菌力を有するバクテリオファージを分離し、このような特徴を有する前記バクテリオファージを「バクテリオファージ(Bacteriophage )ΦCJ11」と命名し、2011年9月9日付けで韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms, ソウル市西大門区弘済1洞361-221)に寄託番号第KCCM11208P号として寄託した。
【0026】
上記目的を達成するための他の実施態様として、本発明は、前記バクテリオファージを有効成分として含む、サルモネラコレラスイス、サルモネラティフィムリウム、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス及びサルモネラニューポートからなる群から選択される少なくとも1つのサルモネラ菌により引き起こされた感染性疾病の予防又は治療用組成物を提供する。
【0027】
本発明のバクテリオファージは、サルモネラコレラスイス、サルモネラティフィムリウム、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス及びサルモネラニューポートを特異的に死滅させることのできる抗菌活性を有するので、これらの菌により引き起こされる疾病を予防又は治療する目的で用いることができる。好ましくは、サルモネラコレラスイス又はサルモネラティフィムリウムによる疾病としては、豚のサルモネラ症又はサルモネラ菌食中毒が挙げられ、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス、サルモネラニューポートによる疾病としては、豚の急性又は慢性腸炎が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において使用される用語「サルモネラ症(salmonellosis)」とは、サルモネラ菌感染による発熱、頭痛、下痢及び嘔吐を伴う症状を意味する。すなわち、サルモネラ菌属の細菌により引き起こされる疾病を総称するものであり、サルモネラ症は、腸チフスなどの症状を示す敗血症型と食中毒である急性胃腸炎型に大別され、腸炎、食中毒及び急性菌血症などが含まれる。
【0029】
本明細書において使用される用語「予防」とは、組成物の投与により疾病を抑制したり、発病を遅延させる全ての行為を意味する。
【0030】
本明細書において使用される用語「治療」とは、組成物の投与により前記疾病の症状を好転させたり、前記疾病を抑制又は軽減したり、好適に変更させる全ての行為を意味する。
【0031】
本発明の前記組成物は、1×102〜1×1012PFU/mlのΦCJ11を含み、好ましくは1×106〜1×1010PFU/mlのΦCJ11を含む。
【0032】
一方、本発明の前記組成物は薬学的に許容される担体をさらに含んでもよい。
【0033】
本明細書において使用される用語「薬学的に許容される担体」とは、生物体を刺激することなく、投与された化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤を意味する。液状溶液として製剤化される組成物において薬学的に許容される担体としては、無菌及び生体に適合するものであり、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセリン、エタノール及びそれらの成分の少なくとも1つの混合物を用いることができる。必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を組成物にさらに添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形、又は丸薬、カプセル、顆粒、錠剤などの経口剤形に製剤化することができる。
【0034】
本発明の予防又は治療用組成物は、疾患部位に塗布又は噴霧する方法で用いることができ、その他、経口投与又は非経口投与により投与することができる。非経口投与には、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、又は局所投与が含まれる。
【0035】
本発明の組成物の好適な塗布、噴霧及び投与量は、製剤化方法、投与方式、対象となる動物及び患者の年齢、体重、性別、症状、食餌、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感度などの様々な要因により異なる。当該分野における通常の技術を有する医師又は獣医は、目的とする治療に必要な組成物の有効量を容易に決定、処方することができる。
【0036】
本発明の組成物を有効成分として含む経口投与用剤形としては、例えば錠剤、トローチ剤、薬用ドロップ剤、水性又は油性懸濁液、粉末又は顆粒、エマルジョン、硬質又は軟質カプセル、シロップ又はエリキシル剤が挙げられる。錠剤やカプセルなどの剤形においては、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース、又はゼラチンなどの結合剤、第二リン酸カルシウムのような賦形剤、トウモロコシデンプン又はサツマイモデンプンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、又はポリエチレングリコールワックスのような潤滑油が有用である。カプセル剤形の場合は、前述した化合物以外に脂肪油などの液体担体をさらに含んでもよい。
【0037】
本発明の組成物を有効成分として含む非経口投与用剤形は、皮下注射、静脈注射、筋肉注射などの注射剤形、坐剤の剤形、呼吸器から吸入可能なエアゾール剤などのスプレー剤形に製剤化することができる。注射剤形は、本発明の組成物を安定剤又は緩衝剤と共に水に混合して溶液又は懸濁液とし、それをアンプル又はバイアルの単位投与形態に製剤化することができる。エアゾール剤などのスプレー剤形の場合、水分散した濃縮物又は湿潤粉末を噴射するための推進剤などが添加剤と共に用いられる。
【0038】
上記目的を達成するためのさらに他の実施態様として、本発明は、前記バクテリオファージを有効成分として含む抗生物質を提供する。
【0039】
本明細書において使用される用語「抗生物質」とは、薬剤形態で動物に提供されて菌を死滅させることのできる製剤を意味し、防腐剤、殺菌剤及び抗菌剤を総称するものである。前記動物は、ヒトを含む哺乳動物である。本発明のバクテリオファージは、従来の抗生物質に比べてサルモネラ菌に対する特異性が非常に高いので、有益菌を死滅させることなく、特定の病原菌のみを死滅させることができ、薬物耐性又は抵抗性を引き起こさないので、従来の抗生物質に比べて製品寿命(life cycling)の長い新規抗生物質として用いることができる。
【0040】
上記目的を達成するためのさらに他の実施態様として、本発明は、前記バクテリオファージを有効成分として含む家畜用飼料又は飲料水を提供する。
【0041】
畜産、水産業で用いられる飼料添加用抗生物質は予防目的で用いられている。しかし、予防目的の抗生物質投与は、耐性菌が発生する可能性を高め、家畜に残留する抗生物質がヒトに届くという問題がある。抗生物質が肉類により人体に吸収されると、抗生物質耐性を引き起こして疾病の拡散を招く。また、多くの種類の抗生物質は飼料と混合して用いられるので、多剤耐性菌の発生確率が高まるという問題がある。よって、より環境にやさしく、従来の抗生物質の使用における問題を解決することのできる新たな飼料添加用抗生物質として本発明の前記バクテリオファージを用いることができる。
【0042】
本発明の家畜用飼料は、バクテリオファージを飼料添加剤形態で別途に製造して飼料に混合したり、飼料製造時に直接添加して製造することができる。本発明の飼料内バクテリオファージは、液状又は乾燥状態であり、乾燥した粉末形態が好ましい。乾燥方法としては、通風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥及び凍結乾燥が用いられるが、これらに限定されるものではない。本発明のバクテリオファージは、粉末形態で飼料重量の0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%の成分比で混合することができる。また、前記家畜用飼料は、本発明のバクテリオファージ以外に、飼料の保存性を向上させることのできる通常の添加剤をさらに含んでもよい。
【0043】
本発明の飼料添加剤には、非病原性の他の微生物をさらに添加することができる。添加できる微生物は、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素及び糖転換酵素を生産するバチルスサブティリス(Bacillus subtilis)、ウシの胃のような嫌気条件で生理的活性及び有機物分解能を有するラクトバチルス菌株(Lactobacillus sp.)、家畜の体重を増加させ、牛の生産量を増加させ、飼料の消化吸収率を向上させる効果を奏するアスペルギルスオリザエ(Aspergillus oryzae)などの糸状菌(非特許文献6)、並びにサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のような酵母(非特許文献7)からなる群から選択される。
【0044】
本発明におけるΦCJ11を含む飼料には、穀物類、堅果類、食品加工副産物、藻類、繊維質類、製薬副産物、油脂類、デンプン類、ミール類、穀物副産物などの植物性飼料と、タンパク質類、無機物類、油脂類、ミネラル類、単細胞タンパク質類、動物性プランクトン類、食品廃棄物などの動物性飼料とが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明におけるΦCJ11を含む飼料添加剤には、品質低下を防止するために添加する結着剤、乳化剤、保存剤などがあり、効用増大のために飼料に添加するアミノ酸剤、ビタミン剤、酵素剤、生菌剤、香味剤、非タンパク窒素化合物、ケイ酸塩剤、緩衝剤、着色剤、抽出剤、オリゴ糖などがあり、その他に飼料混合剤などをさらに含んでもよく、これらに限定されるものではない。
【0046】
また、飲料水に混合して供給することにより、腸内サルモネラ菌の数を持続的に減少させることができ、サルモネラに汚染されていない家畜を生産することができる。
【0047】
上記目的を達成するためのさらに他の実施態様として、本発明は、前記バクテリオファージを有効成分として含む消毒剤又は洗浄剤を提供する。
【0048】
上記目的を達成するためのさらに他の実施態様として、本発明は、前記バクテリオファージ又は前記組成物を用い、サルモネラコレラスイス、サルモネラティフィムリウム、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス又はサルモネラニューポートによる感染性疾病を治療する方法を提供する。
【0049】
具体的には、前記本発明の治療方法は、サルモネラコレラスイス、サルモネラティフィムリウム、サルモネラダービー、サルモネラインファンティス又はサルモネラニューポートによる感染性疾患が発病した個体に前記バクテリオファージ又は前記組成物を薬学的有効量で投与する段階を含む。
【0050】
本発明の前記バクテリオファージ又は組成物は、薬学的製剤の形態で動物に投与したり、家畜の飼料又は飲料水に混合してそれを摂取させる方法で投与することができ、飼料添加剤の形態で飼料に混合して投与することが好ましい。
【0051】
本発明の前記バクテリオファージ又は組成物の投与経路は、標的組織に到達するものであれば、経口又は非経口の様々な経路を介して投与することができる。具体的には、口腔、直腸、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、経皮、鼻腔内、吸入などの経路を介して通常の方式で投与することができる。
【0052】
前記治療方法で投与される本発明の前記バクテリオファージ又は組成物の好適な一日総投与量が適切な医学的判断の範囲内で担当の医師により決定されることは、当業者にとって明らかなことである。特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共に又は同時に用いられる薬物などの様々な因子と医薬分野で周知の類似因子に応じて異なる量で適用することが好ましい。
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は例示的に説明するためのものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
実施例1:サルモネラ菌に感染するバクテリオファージの分離
実施例1−1:バクテリオファージのスクリーニング及び単一バクテリオファージの分離
豚農場及び近所の下水終末処理場から得た試料50mlを遠心分離管に移し、4000rpmで10分間遠心分離した。その後、上清を0.45μmフィルターで濾過した。サルモネラコレラスイス(「SC」)振盪培養液(OD600=2)150μlと10×Luria−Bertani培地(tryptone 10g/L、酵母エキス 5g/L及びNaCl 10g/L:LB培地)2mlに試料濾液18mlを混合した。これを37℃にて18時間培養し、その後培養液を4000rpmで10分間遠心分離した。その後、その上清を0.2μmフィルターで濾過した。LBプレートに0.7%寒天(アガー)(w/v)3ml、SC振盪培養液(OD600=2)150μl(「トップアガー 」)の混合液を注入して固めた。その後、その上に試料培養濾液10μlを滴下し、37℃にて18時間培養し、培養したトップアガーで成長した宿主細胞がバクテリオファージにより溶菌する現象を観察するソフトアガーオーバーレイ(soft agar overlay)方法を行った。
【0055】
溶菌が起こった試料培養濾液を適切に希釈し、SC振盪培養液(OD600=2)150μlを混合し、その後ソフトアガーオーバーレイを行って単一溶菌斑を得た。1つの溶菌斑は1つのバクテリオファージから構成されるので、単一バクテリオファージを純粋分離するために、1つの溶菌斑を採取して400μlのSM溶液(NaCl,5.8g/L,MgSO47H2O,2g/L,1M トリス−Cl(pH7.5)50ml/L)に入れ、室温にて4時間静置して単一バクテリオファージを純粋分離した。分離したバクテリオファージを大量確保するために、単一バクテリオファージ溶液の上清100μlを採取し、その後0.7%寒天12ml、SC振盪培養液500μlと混合し、直径150mmのLB培地でソフトアガーオーバーレイを行った。溶菌が完了したプレートに15mlのSM溶液を分注した。その後、室温にて4時間徐々に振盪してトップアガー中のバクテリオファージを溶出させた。バクテリオファージが溶出したSM溶液を回収し、次いで最終体積の1%となるようにクロロホルム(chloroform)を添加して10分間十分に混合し、その後4000rpmで10分間遠心分離した。こうして得られた上清を0.45μmフィルターで濾過して冷蔵保管した。
【0056】
実施例1−2:バクテリオファージの大量培養
選別されたバクテリオファージをSCを用いて大量培養した。SCを振盪培養し、1.5×1010cfu(コロニー形成単位)となるように分注して4000rpmで10分間遠心分離し、その後これを4mlのSM溶液に再懸濁した。これにバクテリオファージを9.0×108PFU(プラーク形成単位)で接種してM.O.I.(感染多重度)=0.001とし、その後37℃にて20分間静置した。これを150mlのLB培地が入ったフラスコに接種し、その後37℃にて5時間培養した。最終体積の1%となるようにクロロホルムを添加し、20分間振盪した。DNase IとRNase Aをそれぞれ最終濃度1μg/mlとなるように添加し、37℃にて30分間静置した。最終濃度がそれぞれ1Mと10%(w/v)となるようにNaClとPEG(ポリエチレングリコール)を添加し、その後4℃にてさらに3時間静置した。4℃、12000rpmで20分間遠心分離し、その後上清を除去した。5mlのSM溶液に沈殿物を再懸濁し、室温にて20分間静置した。これに4mlのクロロホルム(Chloroform)を添加し、その後十分に混合し、4℃、4000rpmで20分間遠心分離した。上清を0.2μmフィルターで濾過し、グリセリン密度勾配法(密度:40%,5%のグリセリン)を用いた超遠心分離(35,000rpm,1時間,4℃)によりバクテリオファージを精製し、それを「バクテリオファージΦCJ11」と命名した。精製したバクテリオファージΦCJ11は300μlのSM溶液に再懸濁し、その後力価を測定した。前記ΦCJ11は、2011年9月9日付けで韓国微生物保存センターに寄託番号第KCCM11208P号として寄託した。
【0057】
実施例2:ΦCJ11のサルモネラ菌感染有無の調査
選別されたバクテリオファージがSC以外の他の種のサルモネラ菌に対して溶菌活性を有するか確認するために、他種のサルモネラ菌に交差感染を試みた。その結果、ΦCJ11は、SC(サルモネラコレラスイス)、ST(サルモネラティフィムリウム)、SD(サルモネラダービー)、SN(サルモネラニューポート)、SI(サルモネラインファンティス)、SA(サルモネラアリゾナ)及びSB(サルモネラボンゴール)には感染し、SE(サルモネラエンテリティディス)、SG(サルモネラガリナルム)及びSP(サルモネラプロラム)には感染しなかった(表1及び
図2)。
【0058】
【表1】
【0059】
また、
図2はΦCJ11のサルモネラ菌に対する溶菌斑形成の有無を示す写真である。
図2に示すように、A、BはSC、CはSG、DはST、EはSI、F、GはSD、HはSNであり、SC、ST、SI、SD及びSNにおいては溶菌斑を形成するが、SGにおいては溶菌斑を形成しないことが確認された。
【0060】
実施例3:ΦCJ11の形態観察
精製されたΦCJ11をSMバッファ溶液に希釈し、その後これをcopper gridに取り付け、2%酢酸ウラニルで3〜5秒間染色し、乾燥した。その後、透過型電子顕微鏡(LIBRA 120, Carl Zeiss transmission electron Microscope,80kV,倍率×120,000〜×200,000)で検鏡した(
図1)。
図1はΦCJ11の電子顕微鏡写真である。
図1に示すように、分離されたΦCJ11の形態は、形態学的に正二十面体の頭部と非収縮性の尾部とから構成される形態型B1のサイフォウイルス科に属することが確認された。
【0061】
実施例4:ΦCJ11のタンパク質パターン分析
力価(titer)1011PFU/mlの精製されたΦCJ11溶液15μlと5X SDS試料溶液3μlを混合し、その後5分間加熱した。12%SDS−PAGEを行い、次にクマシーブルー(coomassie blue)染色溶液を用いてゲルを常温で1時間染色した(
図3)。
図3は分離されたバクテリオファージΦCJ11のSDS−PAGE結果であり、ここで、マーカーとしてはバイオラッド(BIO-RAD)社のプレシジョン plus プロテイン スタンダードを用いた。
図3に示すように、前記バクテリオファージのタンパク質パターンは、33kDa、55kDa及び69.5kDaの主タンパク質であることが確認された。
【0062】
実施例5:ΦCJ11の全ゲノムDNAサイズの分析
精製されたΦCJ11のゲノムDNAは超遠心分離により抽出した。具体的には、精製されたΦCJ11培養液にEDTA(エチレンジアミン四酢酸(pH8.0))、プロテイナーゼK及びSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)をそれぞれ最終濃度が20mM、50μg/ml及び0.5%(w/v)となるように添加し、その後50℃にて1時間静置した。同量のフェノール(pH8.0)を添加し、その後十分に混合し、次いで室温にて12000rpmで10分間遠心分離した。得られた上清に同量のPC(フェノール:クロロホルム=1:1)を添加して十分に混合し、その後室温にて12000rpmで10分間遠心分離した。その後、得られた上清に同量のクロロホルムを十分に混合し、次に室温にて12000rpmで10分間遠心分離した。その後、得られた上清に全体体積の1/10の3M酢酸ナトリウムと2倍量の冷95%エタノールを添加し、次に−20℃にて1時間静置した。その後、0℃にて12,000rpmで10分間遠心分離して上清を完全に除去した。その後、底のDNAを50μlのTE(トリス-EDTA, pH8.0)溶液に溶解した。抽出したDNAを10倍に希釈し、OD260で吸光度を測定して濃度を測定した。1μgの全ゲノムDNAを1%パルスフィールドゲル電気泳道法(PFGE)アガロースゲルにロードし、その後BIORAD CHEF DR II PFGE システムにおいてスイッチ時間ランプ 50〜90秒、6V/cm(200V)の条件で14℃にて22時間展開させた。サイズを確認するためのマーカーとしては、CHEF DNA サイズスタンダードであるBIO−RAD社のラムダラダー (Lambda ladder)を用いた(
図4)。
図4は分離されたバクテリオファージΦCJ11のPFGE結果である。
図4に示すように、48.5〜1,000kbpの間にある約140kbpのDNAが確認された。
【0063】
実施例6:ΦCJ11の遺伝学的解析
分離したΦCJ11の遺伝子的特性を分析するために、ΦCJ11のゲノムDNA 5μgをPst I、Xba IとBamH I、EcoR IとSal Iの制限酵素で同時に処理した。ベクターとしては、pCL1920(プロメガ社)をPst I、Xba IとBamH I、EcoR IとSal Iの制限酵素で切断し、その後CIP(calf intestinal alkaline phosphatase)で処理したものを用いた。切断されたゲノムDNAとベクターの量が3:1となるように反応条件を調整して混合し、その後16℃にて2時間ライゲーション(ligation)を行った。これを大腸菌の一種であるDH5α細胞に導入した。このように形質転換した形質転換体をそれぞれスペクチノマイシン(spectinomycin)で処理したLBプレート培地にX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)を塗布して青白コロニー選別法でコロニーを選別した。選別されたコロニーをそれぞれの抗生物質含有培養培地で16時間振盪培養した。ここで、プラスミド精製キット(プロメガ社)を用いてプラスミドを抽出した。
【0064】
前記プラスミドは、FTR135とFTR136(配列番号13と14)のプライマーセットを用いてPCRでクローニングの可否を確認した。挿入断片のサイズが1kbp以上のもののみ選別し、前記プライマーセットを用いて塩基配列を分析した。こうして得られた遺伝子塩基配列を配列番号1〜4に示す。それぞれ1〜2kbp以下のサイズであった。これをNCBI blastxとblastnプログラムで解読し、塩基配列の相同性を分析した結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例7:ΦCJ11特異的プライマー塩基配列の作製
ΦCJ11を同定するために、ΦCJ11に特異的なプライマーを配列番号1〜4を基に作製した。配列番号5と6、配列番号7と8、配列番号9と10、及び配列番号11と12をそれぞれプライマーセットとしてPCRを行った。0.1μgのバクテリオファージの全ゲノムDNAと0.5pmoleとなるようにプライマーをpre−mix(Bioneer社)に添加し、最終体積が20μlとなるように調整した。これを、94℃、30秒間の変性、55℃、30秒間のアニーリング、72℃、1分30秒間の重合の条件で30サイクルでPCRを行った(
図5)。
図5はΦCJ11のゲノムDNAの各プライマーセットを用いたPCR結果を示す図である。Aは配列番号5と6のプライマーセット、Bは配列番号7と8のプライマーセット、Cは配列番号9と10のプライマーセット、Dは配列番号11と12のプライマーセットである。A、B、C及びDレーンの全てが約1〜2kbpのPCR産物を有する。
図5に示すように、配列番号5と6、配列番号7と8、配列番号9と10、及び配列番号11と12のプライマーセットを用いた場合、全て約1kbp以上2kbp以下程度のPCR産物が得られた。
【0067】
実施例8:バクテリオファージのpH安定性
実施例8:ΦCJ11が豚の胃腸内の低いpHで安定性を有するかを確認するために、広範なpH範囲(pH2.1、2.5、3.0、3.5、4.0、5.5、6.4、6.9、7.4、8.2、9.0、9.8及び11.0)で安定性調査実験を行った。様々なpH溶液(酢酸ナトリウム緩衝(pH2.1、pH4.0、pH5.5及びpH6.4))、クエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.5、pH3.0及びpH3.5))、リン酸ナトリウム緩衝液(Sodium phosphate buffer(pH6.9及びpH7.4))、トリス−HCl溶液(トリス-HCl(pH8.2、pH9.0、pH9.8及びpH11.0)))をそれぞれ0.2Mとなるように作製した。各pHの溶液180μlと1.0×1011PFU/mlの力価のバクテリオファージ溶液20μlを混合し、各pHの溶液の濃度が1Mとなるようにし、その後常温で2時間静置した。これらを段階希釈し、ソフトアガーオーバーレイ方法で各段階の希釈液を10μlずつ滴下し、その後37℃にて18時間培養し、溶菌の有無により力価を測定した(
図6)。
図6はバクテリオファージΦCJ11の耐酸性実験結果であり、pH2.1、2.5、3.0、3.5、4.0、5.5、6.4、6.9、7.4、8.0、9.0、9.8及び11.0における生存バクテリオファージ数を示すものである。対照群と比較して、pH5.5まではバクテリオファージΦCJ11の活性が消失しなかったが、pH4とpH3.5で活性が低下し、pH3.0以下では活性が完全に消失した。
図6に示すように、pH5.5までは活性が消失せずに非常に安定しているのに対して、pH3.0以下のpHでは活性が消失することが確認された。
【0068】
バクテリオファージの熱安定性
実施例9:バクテリオファージの製品剤形のうち飼料添加剤として用いる場合にバクテリオファージの剤形過程で発生する熱に対する安定性を確認する実験を行った。1.0×1011PFU/mlの濃度のΦCJ11の溶液200μlを37℃、45℃、53℃、60℃及び70℃の温度条件下でそれぞれ0分間、10分間、30分間、60分間及び120分間静置した。処理した実験培養液を段階希釈し、ソフトアガーオーバーレイ方法で各段階の希釈液を10μlずつ滴下し、その後37℃にて18時間培養し、溶菌の有無により力価を測定した(
図7)。
図7はバクテリオファージΦCJ11の耐熱性実験結果であり、37、45、53、60及び70℃にて0、10、30、60及び120分間の時間別に静置した場合の生存バクテリオファージ数を示すものである。
図7に示すように、60℃にて2時間まで露出しても活性が維持されることが確認された。
【0069】
バクテリオファージの乾燥耐性
実施例10:バクテリオファージの製品剤形のうち飼料添加剤として用いる場合にバクテリオファージの剤形過程で発生する乾燥条件に対するΦCJ11の安定性を確認した。耐熱性確認実験から得た結果に基づき、SpeedVac濃縮器を用いて乾燥実験を行った。1.0×1011PFU/mlの力価のΦCJ11の溶液200μlを60℃にて2時間真空で乾燥したペレット(pellet)をSM溶液200μlに入れ、4℃にて1日間完全に再懸濁させて力価を測定した(
図8)。
図8はバクテリオファージSpeedVac濃縮器を用いて乾燥したΦCJ11の耐乾性実験結果である。
図8に示すように、乾燥後に乾燥前の力価と相対的な安定性を比較したところ、活性が60℃にて1時間まで維持されることが確認された。
【0070】
バクテリオファージの感染範囲の調査
実験例11:ΦCJ11が実験に用いられたSC(ATCC SC10708)以外にも、ソウル大学校獣医科大学鳥類疾病学室の野生分離株2株、サルモネラコレラスイス5株、サルモネラティフィムリウム17株、サルモネラインファンティス4株、サルモネラニューポート6株、サルモネラダービー2株、及びサルモネラダブリン3株に対して溶菌活性の有無を確認した。各菌株の振盪培養液(OD600=2)150μlを混合し、ソフトアガーオーバーレイ方法で1010PFU/mlの力価のΦCJ11溶液を10μlずつ滴下し、その後37℃にて18時間培養して溶菌斑形成の有無を観察した(表3)。SC 8株において溶菌斑形成が確認された。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例12:バクテリオファージの毒性評価
サルモネラ症及びサルモネラ食中毒予防用バクテリオファージであるΦCJ11に関する毒性試験に多く用いられており、豊富な試験基礎資料が蓄積されているので、実験結果の解析が容易なニュージーランドホワイト系特定病原菌不在(SPF)ウサギにおける皮膚刺激試験と眼粘膜試験を行った。ウサギの腹部の正常皮膚(非擦過皮膚)及び擦過皮膚に、試験物質を0.5ml/siteの用量で塗布した2.5cm×2.5cmのガーゼを覆って皮膚と接触させた。一般症状においては変化認められず、試験物質投与1日後に軽微な体重減少があったが、試験物質の閉鎖的投与によるストレスが原因であると判断された。皮膚反応評価においては、皮膚刺激指数(P.I.I.)が0.33の非刺激性であった。眼粘膜刺激性を調査するために、ウサギの左眼球に投与し、その後試験物質を投与していない右眼球と比較評価した。試験の結果、全試験期間を通して試験物質投与に関する一般症状及び体重の異常変化は認められず、試験物質投与後の眼反応の観察の結果、急性眼刺激指数I.A.O.I(The Index of Acute Ocular Irritation)は「0」で非刺激性と評価された。よって、新規に分離したバクテリオファージΦCJ11は毒性がないことが確認された。
【0073】
また、ФCJ11をSD系統のラットに単回経口投与した際に現れる概略的な毒性を評価するための試験を行った。ФCJ11を1×1011PFU/kgで投与する試験物質投与群と、賦形剤であるビヒクル[20mM トリス−HCl(pH7.0)+2mM MgCl2]のみを投与する賦形剤対照群を設定し、各群10匹(雌雄各5匹)に単回経口投与し、その後2週間の死亡率、一般症状、体重変化及び解剖検査所見を観察して比較した。投与当日は投与30分後に観察を始めて1時間後まで継続し、その後6時間後までは1時間毎に観察し、14日間は1日1回一般症状を観察して記録した(表4及び表5)。
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
表4及び表5に示すように、死亡個体は発生せず、ΦCJ11による毒性症状や特異な臨床症状はなかった。その結果を表4と表5に示す。投与前、並びに投与1、3、7、10及び14日後に体重を測定して記録した。その結果、対照群と比較して、有意な体重変化の差異は観察されなかった。
【0077】
一方、体重変化の観察の結果、ΦCJ11が食欲を減少させたり、体重を変化させる毒性反応を引き起こさないことが分かった。それを
図9に示す。
図9はSD系統のラットを対象にΦCJ11を単回経口投与した場合の毒性試験の体重変化結果である。
図9に示すように、ΦCJ11の投与前、並びに投与1、3、7、10及び14日後の体重を観察したところ、対照群に比べて有意な差異は認められなかった(■;対照群の雄,□;ΦCJ11の雄,●;対照群の雌,○;ΦCJ11の雌)。
【0078】
よって、新規に分離したバクテリオファージΦCJ11の概略の致死量(ADL)は雌雄どちらにおいても1×10
11PFU/kgを上回るとものと判断され、毒性がないことが確認された。