特許第5872712号(P5872712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872712
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】油圧アクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20160216BHJP
   F16H 9/12 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   F15B15/14 340Z
   F16H9/12 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-553199(P2014-553199)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】JP2013084045
(87)【国際公開番号】WO2014098175
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-277536(P2012-277536)
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】栗原 猛志
(72)【発明者】
【氏名】小山 良浩
(72)【発明者】
【氏名】辻 洋一
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−291607(JP,A)
【文献】 特開平5−346104(JP,A)
【文献】 特開2009−287739(JP,A)
【文献】 特開2012−31816(JP,A)
【文献】 特開2004−324670(JP,A)
【文献】 特開2011−185343(JP,A)
【文献】 特開2012−145172(JP,A)
【文献】 特開平6−262490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14
F16H 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内周面に摺接するピストンの外周に樹脂を素材として形成された液密用シール部材が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置において、
前記シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の特徴平均パラメータである粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を用い、
前記シリンダ内周面を、前記クルトシス(Rku)の測定値及び前記スキューネス(Rsk)の測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定してある油圧アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータに、高さ方向の振幅平均パラメータである算術平均粗さ(Ra)を加え、
前記シリンダ内周面を、前記算術平均粗さ(Ra)の測定値が予め設定された管理値以下であり、且つ、前記クルトシス(Rku)と前記スキューネス(Rsk)の測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定してある請求項1に記載の油圧アクチュエータ装置。
【請求項3】
前記シリンダ内周面を摺動する液密用シール部材を、フッ素樹脂を素材として環状に形成されたシールリングとしてある請求項1または2に記載の油圧アクチュエータ装置。
【請求項4】
前記シリンダがベルト式無段変速機の駆動プーリの背面側に形成されるシリンダであり、前記ピストンが前記駆動プーリの軸部に固定され、前記シリンダと協働して油圧室を形成するピストンである請求項1〜3のいずれか一つに記載の油圧アクチュエータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油保持性の向上を図ることができ、耐磨耗性が向上したベルト式CVTプーリを再現性よく製造することを目的とするベルト式無段変速機用プーリの製造方法が例えば特許文献1で知られている。
【0003】
上記プーリ製造方法は、接触面の形状を形成する研削工程と、形成された接触面の表面粗さを粗くすることにより、接触面に溝部を形成する溝部形成工程と、溝部が形成された接触面の表面をラップフィルムにて研磨して潤滑油を保持させるための油溝を残す接触面研磨工程と、を有する。そして、接触面の表面粗さは、最大高さ粗さRzが4μm以下、粗さ曲線要素の平均長さRSmが30〜60μm、粗さ曲線のスキューネスRskが−2.7〜−0.6(無単位)、突出山部高さRpkが0.09μm以下、突出谷部深さRvkが0.4〜1.3μmとしている。
【0004】
上記ベルト式無段変速機用プーリの製造方法にあっては、油保持性の向上を図ることを目的とし、溝部を有するシーブ面の表面粗さ形状を、5つの表面粗さパラメータを用いて管理している。
【0005】
しかしながら、無段変速機用プーリのうち、駆動プーリ(スライドプーリ)のシリンダ内周面については、表面粗さ形状の管理や加工に関し、何ら記載されていない。そして、シーブ面は、油保持性と耐磨耗性の両立を意図し、表面粗さ形状(溝と接触面)を管理する必要があるのに対し、シリンダ内周面は、接触摺動する液密用シール部材の摺動磨耗を抑え、油密性の長期確保を意図し、表面粗さ形状を管理する必要がある。さらに、シーブ面の仕上げ加工は、ラッピングフィルムを用いたラッピング加工であるのに対し、シリンダ内周面の仕上げ加工は、切削チップを用いた切削加工である。すなわち、シーブ面とシリンダ内周面は、管理意図と加工方法が全く異なるものである以上、シーブ面表面粗さ形状の管理手法を、シリンダ内周面粗さ形状の管理手法として適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−137492号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、シール性を低下させる液密用シール部材の摺動磨耗を確実に抑える油圧アクチュエータ装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、シリンダ内周面に摺接するピストンの外周に樹脂を素材として形成された液密用シール部材が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置を前提とする。
この油圧アクチュエータ装置において、前記シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の特徴平均パラメータである粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を用いる。
そして、前記シリンダ内周面を、前記クルトシス(Rku)の測定値及び前記スキューネス(Rsk)の測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定した。
【0009】
本発明者は、シリンダのストローク耐久終了品について、液密用シール部材に磨耗が発生しているか否かに分けてシリンダ内周面の表面粗さ形状を測定する比較実験を行った。この実験により、クルトシス(Rku)とスキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が所定値を超えると、液密用シール部材の摺動磨耗が進むことを見出した。
そこで、本発明では、駆動プーリのシリンダ内周面を、クルトシス(Rku)の測定値及びスキューネス(Rsk)の測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定した。
このように、液密用シール部材の摺動磨耗と密接に関係するクルトシス(Rku)とスキューネス(Rsk)の測定値を管理パラメータとして用い、シリンダ内周面の表面粗さ形状管理に反映させた。このため、シール性を低下させる液密用シール部材の摺動磨耗を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の駆動プーリ(油圧アクチュエータ装置の一例)を備えるベルト式無段変速機を示す要部構成図である。
図2】実施例1の駆動プーリの製造方法のうち生切削加工工程における駆動プーリワークの生切削加工部分を示す加工部分説明図である。
図3】実施例1の駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程における駆動プーリワークの仕上げ切削加工部分を示す加工部分説明図である。
図4】実施例1の駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程にて用いられる駆動プーリワークの仕上げ切削加工装置の概略を示す平面図である。
図5】実施例1の駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程におけるシリンダ内周面加工処理後のチップ及びチップホルダの交換要否判定の流れを示すフローチャートである。
図6】シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして用いられる算術平均粗さRaの定義を説明する表面性状図である。
図7】シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして用いられる粗さ曲線のクルトシスRkuの定義を説明する表面性状図である。
図8】シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして用いられる粗さ曲線のスキューネスRskの定義を説明する表面性状図である。
図9】駆動プーリのストローク耐久終了品のシリンダ内周面の表面粗さ測定値の実験結果を合格品と不合格品で分けて示した粗さ測定値対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の油圧アクチュエータ装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1のベルト式無段変速機に備える駆動プーリ(油圧アクチュエータ装置の一例)を、「ベルト式無段変速機の要部構成」、「駆動プーリの製造方法」、「仕上げ切削加工装置の概略構成」、「チップ及びチップホルダの交換要否の判定処理」、「背景技術」、「シリンダ内周面仕上げ加工処理後の交換要否判定作用」、「シリンダ内周面の粗さ形状管理作用」に分けて説明する。
【0013】
[ベルト式無段変速機の要部構成]
図1は、実施例1の駆動プーリを備えるベルト式無段変速機を示す。以下、図1に基づき、ベルト式無段変速機の要部構成を説明する。
【0014】
実施例1のベルト式無段変速機CVTは、図1に示すように、プライマリプーリ1と、セカンダリプーリ2と、ベルト3と、を備えている。
【0015】
前記プライマリプーリ1は、シーブ面11aを有する固定プーリ11と、シーブ面12aを有する駆動プーリ12と、の組み合わせにより構成される。
【0016】
前記固定プーリ11は、シーブ面11a側を正面側としたとき、背面側に入力シャフト部11bを一体に有し、正面側にプーリ支持シャフト部11cを一体に有する。入力シャフト部11bとプーリ支持シャフト部11cは、トランスミッションケース4に対しそれぞれベアリング5,6を介して回転可能に支持されていて、軸心位置にプライマリ圧油路13が形成されている。
【0017】
前記駆動プーリ12は、シーブ面12a側を正面側としたとき、背面側に大径円筒状のシリンダ12bと、小径円筒状のボス部材12cと、が一体に形成されている。シリンダ12bには、プライマリ圧室14(油圧室)を液密状態にする環状のシールリング15(液密用シール部材)が摺動するシリンダ内周面12dを有する。シールリング15は、プーリ支持シャフト部11cに固定され、対向間隔が最大のときにボス部材12cのボス端面12eに接触する固定ピストンプレート16(ピストン)の外周位置の凹溝に装着されている。ボス部材12cとプーリ支持シャフト部11cの間には、駆動プーリ12を軸方向に移動可能で回転方向に固定するボールスプライン機構17が介装されている。シールリング15は、フッ素樹脂を素材として形成されている。
【0018】
前記セカンダリプーリ2は、シーブ面21aを有する固定プーリ21と、シーブ面22aを有する駆動プーリ22と、の組み合わせにより構成される。
【0019】
前記固定プーリ21は、シーブ面21a側を正面側としたとき、背面側にケース支持シャフト部21bを一体に有し、正面側にプーリ支持シャフト部21cを一体に有する。ケース支持シャフト部21bとプーリ支持シャフト部21cは、トランスミッションケース4に対しそれぞれベアリング7,8を介して回転可能に支持されていて、軸心位置にセカンダリ圧油路23が形成されている。
【0020】
前記駆動プーリ22は、シーブ面22a側を正面側としたとき、背面側に大径円筒状のシリンダ22bと、小径円筒状のボス部材22cと、が一体に形成されている。シリンダ22bには、セカンダリ圧室24(油圧室)を液密状態にする環状のシールリング25(液密用シール部材)が摺動するシリンダ内周面22dを有する。シールリング25は、プーリ支持シャフト部21cに固定され、対向間隔が最大のときにボス部材22cのボス端面12eに接触する固定ピストンプレート26(ピストン)の外周位置の凹溝に装着されている。ボス部材22cとプーリ支持シャフト部21cの間には、駆動プーリ12を軸方向に移動可能で回転方向に固定するボールスプライン機構27が介装されている。シールリング25は、フッ素樹脂を素材として形成されている。
【0021】
前記ベルト3は、プライマリプーリ1のシーブ面11a,12aとセカンダリプーリ2のシーブ面21a,22aに架け渡たされ、シーブ面11a,12aとシーブ面21a,22aの対向間隔を変化させることで無段階に変速する。ベルト3は、プーリ接触傾斜面を持ちシーブベルト移動方向に多数重ねたエレメントと、円環状薄板を層状に重ねた2組のリングにより構成される。シーブ面11a,12aの対向間隔は、プライマリ圧室14への油圧(油量)により駆動プーリ12を軸方向に移動させることで変化する。シーブ面21a,22aの対向間隔は、セカンダリ圧室24への油圧(油量)により駆動プーリ22を軸方向に移動させることで変化する。
なお、図1では、駆動プーリ12の中心線C1をはんさでその上側では当該駆動プーリ12を移動させる前の状態を、その下側ではシーブ面11a,12a同士の対向間隔を狭めるべく上記駆動プーリ12を軸方向に移動させた後の状態をそれぞれ描いていて、実質的に駆動プーリ12の異なる状態を合成して一つの図としてある。このことは、中心線C2を有するもう一方の駆動プーリ22についても同様である。
【0022】
[駆動プーリの製造方法]
図2は、駆動プーリの製造方法のうち生切削加工工程における駆動プーリワークの生切削加工部分を示し、図3は、仕上げ切削加工工程における駆動プーリワークの仕上げ切削加工部分を示す。以下、図2及び図3に基づき、駆動プーリ12,22の製造方法について説明する。
【0023】
駆動プーリワークから製造する前記駆動プーリ12,22の製造方法は、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面に着目した場合、鍛造工程→生切削加工工程→熱処理工程→仕上げ切削加工工程を経過することでなされる。
【0024】
前記生切削加工工程は、旋盤を用いた生切削により鍛造品から駆動プーリの概略形状品を加工する工程である。この生切削加工工程では、図2に示すように、駆動プーリワークW1の背面側に形成された円筒状のシリンダのうち、油圧室を油密状態にする液密用シール部材が摺動するシリンダ内周面を、次の熱処理工程による熱歪みを考慮した加工寸法D1(切削余裕代を持たせた寸法)とする生切削加工を行う。なお、生切削加工工程においては、シリンダ内周面以外に、図2の太線に示す部分を含めて切削加工部分とする。
【0025】
前記熱処理工程は、生切削加工した駆動プーリワークW1に対して表面硬化熱処理を施し、熱処理後の駆動プーリワークW2にする工程である。ここで、表面硬化熱処理としては、例えば、浸炭焼き入れ焼き戻しを行い、シーブ面やシリンダ内周面を含めて駆動プーリワークW1の表面を硬化する。
【0026】
前記仕上げ切削加工工程は、熱処理後の駆動プーリワークW2を、図4に示す装置を用いた仕上げ切削により設計寸法による駆動プーリ形状に仕上げる工程である。この仕上げ切削加工工程では、図3に示すように、熱処理後の駆動プーリワークW2のシリンダ内周面を、仕上げ切削加工装置のチップホルダ47に保持された切削チップ46を用いた切削により設計寸法D2(>D1)とする仕上げ切削加工を行う(図4参照)。仕上げ切削加工工程においては、図3の太線に示すように、シリンダ内周面の仕上げ切削加工以外にボス端面の仕上げ切削加工も併せて行う。そして、仕上げ切削加工後は、複合研削や洗浄を経過して完成部品としての駆動プーリ12,22を製造する。
【0027】
[仕上げ切削加工装置の概略構成]
図4は、駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程にて用いられる駆動プーリワークW2の仕上げ切削加工装置の概略を示す。以下、図4に基づき、仕上げ切削加工装置の概略構成を説明する。
【0028】
前記仕上げ切削加工装置は、精密加工旋盤の構成であり、図4に示すように、主軸40と、ワークチャック41と、可動バイト台42と、ヘッド取り付けベース43と、バイトヘッド44と、チップバイト45と、を備えている。
【0029】
前記主軸40は、一体に取り付けられたワークチャック41と共にモータにより回転する。ワークチャック41には、主軸40の軸心にワーク中心軸を合わせた状態で、駆動プーリワークW2が固定される。
【0030】
前記可動バイト台42は、図外のサーボモータとボールスクリューをそれぞれ用いることで、矢印X方向(シリンダ内周面の切削深さ方向)と矢印Z方向(シリンダ内周面の切削進行方向)に移動可能に設けられる。この可動バイト台42には、複数のバイトヘッドを取り付けることが可能なヘッド取り付けベース43と、ヘッド取り付けベース43に固定されたバイトヘッド44と、が設けられる。つまり、ヘッド取り付けベース43とバイトヘッド44は、可動バイト台42と共に矢印X方向と矢印Z方向に移動する。
【0031】
前記チップバイト45は、バイトヘッド44に差し込み固定されたもので、切削チップ46と、チップホルダ47と、押さえ金48と、締め付けボルト49と、を有する。
【0032】
この切削チップ46は、チップホルダ47の先端部上面に形成されたチップ段差部47aに対して回動を拘束する状態で嵌合され、上方から押さえ金48にて押さえ、さらに、締め付けボルト49にて押さえ金48を締め付けることで固定される。つまり、段差嵌合と押さえ固定により、切削抵抗に打ち勝つ切削チップ46の固定強度が得られるようにしている。
【0033】
[チップ及びチップホルダの交換要否の判定処理]
図5は、駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程におけるシリンダ内周面の加工処理後のチップ及びチップホルダの交換要否の判定処理の流れを示す。以下、図5に基づき、チップ及びチップホルダの交換要否の判定処理の各ステップを説明する。
【0034】
ここで、シリンダ内周面の加工処理後の切削チップ46及びチップホルダ47の交換要否の判定情報として、「算術平均粗さRa」と「粗さ曲線のクルトシスRku」と「粗さ曲線のスキューネスRsk」を用いている。これらの値は、シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータであり、その定義を先に説明する。
【0035】
前記算術平均粗さRaは、図6に示すように、高さ方向の振幅平均パラメータの一つであり、基準長さlrにおけるZ(x)の絶対値の平均をあらわす次式(1)にて定義される。
Ra=(1/lr)∫|Z(x)|dx‥‥(1)
【0036】
前記粗さ曲線のクルトシスRku(尖りku)は、図7に示すように、高さ方向の特徴平均パラメータの一つであり、基準長さlrにおけるZ(x)の四乗平均を二乗平均平方根の四乗で割った次式(2)にて定義される。そして、図7に示すように、粗さ曲線の凸部の先端が尖っているとRku>3となる。
Rku=1/Rq4〔(1/lr)∫|Z4(x)|dx〕‥‥(2)
【0037】
前記粗さ曲線のスキューネスRsk(歪みsk)は、図8に示すように、高さ方向の特徴平均パラメータの一つであり、基準長さlrにおけるZ(x)の三乗平均を二乗平均平方根の三乗で割った次式(3)にて定義される。そして、図8に示すように、粗さ曲線の凸部の先端が尖っているとRsk>0となる。
Rsk=1/Rq3〔(1/lr)∫|Z3(x)|dx〕‥‥(3)
【0038】
ステップS1では、ワーク加工の終了後、切削チップ46の交換後1ヶ目であるか否かを判断する。YES(チップ交換後1ヶ目)の場合はステップS2へ進み、NO(チップ交換後1ヶ目以外)の場合はステップS9へ進む。
【0039】
ステップS2では、ステップS1でのチップ交換後1ヶ目であるとの判断、あるいは、ステップS9でのチップ交換後150ヶ目であるとの判断に続き、シリンダ内周面の粗度を測定し、ステップS3へ進む。
【0040】
ステップS3では、ステップS2でのシリンダ内周面粗度測定に続き、算術平均粗さRaが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Ra≦管理値)の場合はステップS4へ進み、NO(Ra>管理値)の場合はステップS8へ進む。
【0041】
ステップS4では、ステップS3でのRa≦管理値であるとの判断に続き、粗さ曲線のクルトシスRkuが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Rku≦管理値)の場合はステップS5へ進み、NO(Rku>管理値)の場合はステップS7へ進む。
【0042】
ステップS5では、ステップS4でのRku≦管理値であるとの判断に続き、粗さ曲線のスキューネスRskが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Rsk≦管理値)の場合はステップS6へ進み、NO(Rsk>管理値)の場合はステップS7へ進む。
【0043】
ステップS6では、ステップS5でのRsk≦管理値であるとの判断に続き、切削チップ46及びチップホルダ47の交換不要であると判定し、判定終了へ進む。
【0044】
ステップS7では、ステップS4またはステップS5でのNOとの判断に続き、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定し、判定終了へ進む。
【0045】
ステップS8では、ステップS3でのRa>管理値であるとの判断、あるいは、ステップS12でのRa>管理値であるとの判断に続き、切削チップ46の交換が必要であると判定し、判定終了へ進む。
【0046】
ステップS9では、ステップS1でのチップ交換後1ヶ目以外であるとの判断に続き、チップ交換後150ヶ目であるか否かを判断する。YES(チップ交換後150ヶ目)の場合はステップS2へ進み、NO(チップ交換後150ヶ目以外)の場合はステップS10へ進む。
【0047】
ステップS10では、加工された駆動プーリワークが就業初品(その日の最初に加工するワーク)であるか否かを判断する。YES(就業初品)の場合はステップS11へ進み、NO(就業初品でない)の場合はステップS14へ進む。
【0048】
ステップS11では、ステップS10での就業初品であるとの判断、あるいは、ステップS14での就業終品であるとの判断に続き、シリンダ内周面の粗度を測定し、ステップS12へ進む。
【0049】
ステップS12では、ステップS11でのシリンダ内周面粗度測定に続き、算術平均粗さRaが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Ra≦管理値)の場合はステップS13へ進み、NO(Ra>管理値)の場合はステップS8へ進む。
【0050】
ステップS13では、ステップS12でのRa≦管理値であるとの判断、あるいは、ステップS14での就業終品でないとの判断に続き、切削チップ46及びチップホルダ47の交換不要であると判定し、判定終了へ進む。
【0051】
ステップS14では、ステップS10での就業初品でないとの判断に続き、加工された駆動プーリワークが就業終品(その日の最後に加工するワーク)であるか否かを判断する。YES(就業終品)の場合はステップS11へ進み、NO(就業終品でない)の場合はステップS13へ進む。
【0052】
[シリンダ内周面仕上げ加工処理後の交換要否判定作用]
上記図5に示すフローチャートに沿って実行されるシリンダ内周面仕上げ加工処理後の交換要否判定作用を、「就業初品」、「チップ交換後1ヶ目」、「チップ交換後150ヶ目」、「就業終品」に分けて説明する。
【0053】
(就業初品)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが最初の就業初品であるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS9→ステップS10→ステップS11へ進み、ステップS11では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS12のRa条件が成立するとステップS13へと進み、ステップS13では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS12のRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
【0054】
(チップ交換後1ヶ目)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが、切削チップ46の交換後1ヶ目のワークのであるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へ進み、ステップS2では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS3でのRa条件と、ステップS4でのRku条件と、ステップS5でのRsk条件と、の全てかが成立するとステップS6へと進み、ステップS6では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS3でのRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
さらに、ステップS3のRa条件は成立するが、ステップS4のRku条件とステップS5のRsk条件のうち、少なくとも一方の条件が不成立であるとステップS7へ進み、ステップS7では、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定される。
【0055】
(チップ交換後150ヶ目)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが、切削チップ46の交換後150ヶ目のワークのであるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS9→ステップS2へ進み、ステップS2では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS3でのRa条件と、ステップS4でのRku条件と、ステップS5でのRsk条件と、の全てかが成立するとステップS6へと進み、ステップS6では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS3でのRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
さらに、ステップS3のRa条件は成立するが、ステップS4のRku条件とステップS5のRsk条件のうち、少なくとも一方の条件が不成立であるとステップS7へ進み、ステップS7では、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定される。
【0056】
(就業終品)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが就業終品であるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS9→ステップS10→ステップS14→ステップS11へ進み、ステップS11では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS12のRa条件が成立するとステップS13へと進み、ステップS13では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。一方、ステップS12のRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
【0057】
[背景技術]
シリンダ内周面の仕上げ切削加工においては、シリンダ内周面の粗度を測定し、算術平均粗さRaが管理値を超えると、切削チップを交換していた。一方、チップホルダについては、使用開始から予め定められた期間、あるいは、予め定められたワーク加工数を超えたら交換していた。
【0058】
この管理手法にて製造された駆動プーリのストローク耐久終了品を精査すると、その殆どがシールリングを磨耗させない駆動プーリであるものの、一部にシールリングを磨耗させた駆動プーリが含まれることが分かった。つまり、切削チップの交換についてのみ、管理パラメータとして算術平均粗さRaを用いて管理するようにしているため、シールリングを磨耗させない駆動プーリを安定的に製造するには、シリンダ内周面の粗度管理が十分でないことが明らかになった。
【0059】
そこで、本発明者等は、シールリングに磨耗が発生しているか否かに分けてシリンダ内周面の表面粗さ形状を測定する比較実験を行った。この実験結果を図9に示す。
【0060】
図9の実験結果から明らかなように、算術平均粗さRaについては、シールリングを磨耗させない駆動プーリである合格品と、シールリングを磨耗させた駆動プーリである不合格品と、で粗さ測定値の差が小さく僅かである。これは、算術平均粗さRaの測定値によっては、合格品と不合格品を切り分けることができないことをあらわし、上記のように、算術平均粗さRaのみを用いて管理すると、シールリングを磨耗させた駆動プーリが一部に含まれることがあることが証明された。
【0061】
そこで、算術平均粗さRa以外の表面粗さ形状の管理パラメータである「最大高さ粗さRz」と「粗さ曲線のスキューネスRsk」と「粗さ曲線のクルトシスRku」と「突出山部高さRpk」を同時に測定した。この結果、「最大高さ粗さRz」と「突出山部高さRpk」については、合格品と不合格品の粗さ測定値の差が小さいことが分かった。これに対し、「粗さ曲線のスキューネスRsk」と「粗さ曲線のクルトシスRku」については、合格品と不合格品の粗さ測定値の差が大きいことが分かった。具体的には、スキューネスRskの場合、不合格品測定値が合格品測定値より3〜4倍という差ΔRskが出ているし、クルトシスRkuの場合、不合格品測定値が合格品測定値より2倍以上という差ΔRkuが出ている。
【0062】
つまり、この比較実験により、「粗さ曲線のスキューネスRsk」と「粗さ曲線のクルトシスRku」のうち、少なくとも一方が所定値を超えると、シールリングの磨耗が進むことを見出した。
【0063】
さらに、長期使用や高負荷使用等によりチップホルダの磨耗が進行すると、切削チップのチップホルダに対する保持性が損なわれ、仕上げ切削加工時に切削チップが磨耗隙間によるガタ分により振れ、「クルトシスRku」と「スキューネスRsk」の測定値を上昇させる。つまり、チップホルダの磨耗進行が、「クルトシスRku」と「スキューネスRsk」の測定値を上昇させる原因の一つになっていることを見出した。
【0064】
なお、算術平均粗さRaの管理値は、切削チップ46の交換判断閾値であり、RaとRkuの相関関係およびRaとRskの相関関係に基づき、RkuやRskの測定値が上昇する相関関係まで達しないRa値に設定される。クルトシスRkuの管理値は、チップホルダ47の交換判断閾値であり、複数のRku測定値分布から合格品と不合格品を切り分ける値に設定される。スキューネスRskの管理値は、チップホルダ47の交換判断閾値であり、複数のRsk測定値分布から合格品と不合格品を切り分ける値に設定される。
【0065】
[シリンダ内周面の粗さ形状管理作用]
上記のように、「クルトシスRku」と「スキューネスRsk」を管理パラメータとして用い、シリンダ内周面の粗さ形状を管理すると、シールリングの摺動磨耗抑制に有効であることを見出した。以下、これを駆動プーリ12,22に反映させたシリンダ内周面の粗さ形状管理作用を説明する。
【0066】
実施例1では、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面12d,22dを、クルトシスRkuの測定値及びスキューネスRskの測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定する構成を採用した。
【0067】
すなわち、Rku>管理値またはRsk>管理値の場合、図5のステップS4またはステップS5からステップS7へ進む流れによりチップホルダ47の交換が必要であると判定され、この判定に基づき、チップホルダ47が交換される。この結果、駆動プーリ12,22の完成品のシリンダ内周面12d,22dは、Rku≦管理値、且つ、Rsk≦管理値とされる。
【0068】
このように、シールリング15,25の摺動磨耗と密接に関係するクルトシスRkuとスキューネスRskの測定値を管理パラメータとして用い、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状管理に反映させた。このため、駆動プーリ12,22に有する油圧室(プライマリ圧室14,セカンダリ圧室24)のシール性を低下させるシールリング15,25の摺動磨耗が確実に抑えられる。
【0069】
実施例1では、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面12d,22dを、算術平均粗さRaの測定値が予め設定された管理値以下であり、且つ、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下になる表面粗さ形状を持つ面に設定する構成を採用した。
【0070】
すなわち、Ra>管理値であり、且つ、Rku>管理値またはRsk>管理値であるとき、図5のステップS3→ステップS4→ステップS7または図5のステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7へ進む流れによりチップホルダ47の交換が必要であると判定され、この判定に基づき、チップホルダ47が交換される。この結果、駆動プーリ12,22の完成品のシリンダ内周面12d,22dは、Ra≦管理値、Rku≦管理値、Rsk≦管理値とされる。
【0071】
したがって、クルトシスRkuとスキューネスRskを管理値以下にするだけでなく、算術平均粗さRaを管理値以下にしたため、シールリング15,25の摺動磨耗がより確実に抑えられる。
【0072】
実施例1では、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面12d,22dを摺動する液密用シール部材を、フッ素樹脂を素材として環状に形成されたシールリング15,25とする構成を採用した。
【0073】
すなわち、シールリング15,25の摺動磨耗を抑制できるため、摺動抵抗性能やシール性能に優れるフッ素樹脂を液密用シール部材に採用できる。
【0074】
したがって、駆動プーリ12,22に有する油圧室(プライマリ圧室14,セカンダリ圧室24)のシール性が安定して確保される。
【0075】
次に、効果を説明する。
実施例1のベルト式無段変速機CVTの駆動プーリ12,22にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0076】
(1)シリンダシリンダ12b,22bのシリンダ内周面12d,22dに摺接するピストン(固定ピストンプレート16,26)の外周に液密用シール部材(シールリング15,25)が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置(駆動プーリ12,22)において、
前記シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の特徴平均パラメータである粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を用い、
前記シリンダ内周面12d,22dを、前記クルトシス(Rku)の測定値及び前記スキューネス(Rsk)の測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定した。
このため、シール性を低下させる液密用シール部材(シールリング15,25)の摺動磨耗を確実に抑えることができる。
特に、車両用の変速機においては、コンタミネーションによるバルブの作動不良を抑制するため油圧回路内にフィルターが用いられるが、シール部材が磨耗すると磨耗によって生じた粉体がフィルターに詰まり、油圧回路内の圧損の原因となる場合がある。本実施例のように、シール部材の摺動磨耗を抑えることができれば、シール性の低下のみならず、油圧回路全体への圧力損失の影響を低減することができる。
【0077】
(2)前記シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状の管理パラメータに、高さ方向の振幅平均パラメータである算術平均粗さ(Ra)を加え、
前記シリンダ内周面12d,22dを、前記算術平均粗さ(Ra)の測定値が予め設定された管理値以下であり、且つ、前記クルトシス(Rku)と前記スキューネス(Rsk)の測定値が、予め設定されたそれぞれの管理値以下である表面粗さ形状を持つ面に設定した。
このため、(1)の効果に加え、クルトシスRkuとスキューネスRskに、算術平均粗さRaを加えたことで、液密用シール部材(シールリング15,25)の摺動磨耗をより確実に抑えることができる。
【0078】
(3)前記シリンダ内周面12d,22dを摺動する液密用シール部材を、フッ素樹脂を素材として環状に形成されたシールリング15,25とした。
このため、(1)または(2)の効果に加え、駆動プーリ12,22に有する油圧室(プライマリ圧室14,セカンダリ圧室24)のシール性を安定して確保することができる。
【0079】
(4)前記シリンダがベルト式無段変速機CVTの駆動プーリ12,22の背面側に形成されるシリンダ12b,22bであり、前記ピストンが前記駆動プーリ12,22の軸部に固定され、前記シリンダ12b,22bと協働して油圧室(プライマリ圧室14,セカンダリ圧室24)を形成するピストン(固定ピストンプレート16,26)である。
このため、ベルト式無段変速機CVTの駆動プーリ12,22に有する油圧室(プライマリ圧室14,セカンダリ圧室24)のシール性を低下させる液密用シール部材(シールリング15,25)の摺動磨耗を確実に抑えることができる。
【0080】
以上、本発明の油圧アクチュエータ装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0081】
実施例1では、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状の管理パラメータとして、算術平均粗さRaと、粗さ曲線のクルトシスRkuと、粗さ曲線のスキューネスRskを用いる例を示した。しかし、管理パラメータとしては、少なくともクルトシスRkuとスキューネスRskを用いるものであれば、例えば、算術平均粗さRaに代え、他の管理パラメータを用いるような例としても良い。また、実施例1では、粗さ曲線のクルトシスRkuと、粗さ曲線のスキューネスRskの管理値(合格品と不合格品を切り分ける値)をチップホルダ47の交換判断閾値として用いたが、交換判断閾値を管理値より小さく設定してもよい。このようにすると、製造された駆動プーリが管理値に達する前に、チップホルダ47が交換されるので、粗さ曲線のクルトシスRkuと、粗さ曲線のスキューネスRskが管理値を超えた駆動プーリを製造することを防止することができる。
【0082】
実施例1では、油圧アクチュエータ装置として、ベルト式無段変速機CVTのプライマリプーリ1とセカンダリプーリ2に有する駆動プーリ12,22に適用する例を示した。しかし、本発明の油圧アクチュエータ装置は、ベルト式無段変速機の駆動プーリに限らず、様々な油圧アクチュエータ装置に適用することができる。すなわち、シリンダのシリンダ内周面に摺接するピストンの外周に液密用シール部材が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置であれば適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9