(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
本実施の形態において符号1は、ヘッドレストを構成するヘッドレストピラーを示す。このヘッドレストピラー1は、
図1および
図2に示すように、左右に離間する一対の支柱1a,1aと、これら一対の支柱1a,1aの上端部間に架設される横軸部1bと、を有する。
これら一対の支柱1a,1aと横軸部1bとは一体形成されており、これら一対の支柱1a,1aと横軸部1bとの中間に位置する部位は屈曲形状を成している。
また、前記一対の支柱1a,1aと横軸部1bとのうち、少なくとも横軸部1bは断面正円状に形成されている。
【0013】
また、前記横軸部1bには、ロック機構を構成するためのロックブラケット4が、前方に傾斜して固定されている。
このロックブラケット4は金属製の板状体であり、
図8〜
図10に示すように、基端部4cから上端部4dに向かうにつれて前後方向に広がるように形成されている。また、上端部4dには、複数のロック用係止部である複数のロック用孔20…が形成されている。
また、基端部4cに、アーチ型の軸受け面を形成することによって、前記横軸部1bを把持するようにして該横軸部1bに設けられている。また、この基端部4cは横軸部1bに対して溶接等により強固に接合固定されている。
【0014】
また、前記横軸部1bには、
図2および
図3に示すように、付勢部材3を取り付けるための取付部2,2が固定されている。なお、本実施の形態において、これら取付部2,2は、前記ロックブラケット4の左右両側に、該ロックブラケット4から離間し、かつ該ロックブラケット4から等しい間隔で配置されている。
なお、前記付勢部材3はコイルバネとされている。このため、前記取付部2,2は、フック状に形成されており、コイルバネ3の下端部を引掛けることができる。このコイルバネである付勢部材3は、後述するヘッドレスト本体5を横軸部1b側に引き寄せる方向に付勢する引張バネである。
また、取付部2,2は、横軸部1bに対して溶接等により強固に接合固定されている。
【0015】
さらに、前記横軸部1bには、
図1〜
図11に示すように、ヘッドレストを構成するヘッドレスト本体5が、この横軸部1bに対して前後方向に回動自在となるように取り付けられている。すなわち、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bの軸心が、前記ヘッドレスト本体5の回動中心軸とされている。
また、このヘッドレスト本体5は樹脂製とされており、軽量化に貢献できるようになっている。さらに、このヘッドレスト本体5には、クッションパッドおよび表皮(いわゆるカバー)が被せられるようになっている。
このようなヘッドレスト本体5は、前面壁部6と、周面壁部7と、包囲部8と、把持部9と、保持部10と、を有している。続いて、このヘッドレスト本体5の構成について説明する。
【0016】
前記前面壁部6は、
図4および
図5に示すように、上下方向中央付近で前方に湾曲しており、湾曲部分よりも上方の前面壁部6上部は、下方の前面壁部6下部よりも幅広になるように形成されている。そして、湾曲部分よりも上方の前面壁部6上部が乗員の頭部を受ける部位とされる。また、前面壁部6下部は前方に傾斜して配置されており、これによって、前記前面壁部6上部を、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bよりも前方に配置させることができる。
また、前面壁部6には、この前面壁部6を厚さ方向に貫通する開口部6aが、この前面壁部6の中央付近から下部にかけて形成されている。
さらに、この前面壁部6は、
図2および
図3に示すように、補強部6b,6bと、補強部6cと、抱持部6dと、支持部6eと、取付部6f,6fと、を備えている。
【0017】
補強部6b,6bは前面壁部6を補強するためのものであり、
図1〜
図3に示すように、乗員の頭部を受ける部分の背面側に設けられている。すなわち、前記前面壁部6上部の背面側に設けられている。
これら補強部6b,6bは、前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして形成されており、例えばビードやリブ等のように前面壁部6の背面側から突出することから、該前面壁部6の補強機能を備える。
なお、これら補強部6b,6bは、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6と一体に成形されており、これに伴って、該補強部6b,6bが位置する部位の前面壁部6の正面側には、それぞれ凹部が形成された状態となっている。
【0018】
補強部6cは前面壁部6を補強するためのものであり、
図2〜
図6に示すように、前面壁部6の湾曲部分の背面側に配置され、後述する周面壁部7と包囲部8との間に架設されている。
この補強部6cは、前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして形成されており、例えばビードやリブ等のように前面壁部6の背面側から突出することから、該前面壁部6の補強機能を備える。また、この補強部6cの内部には、該補強部6cを左右方向に貫通するとともに、前記周面壁部7を厚さ方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。この貫通孔21aには、後述するロックピン部22aの先端部が挿入される。
なお、この補強部6cは、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6と一体に成形されており、これに伴って、該補強部6cが位置する部位の前面壁部6の正面側には凹部が形成された状態となっている。
【0019】
抱持部6dは、
図2,
図3,
図6,
図7に示すように、前記前面壁部6の背面側に、前記補強部6cおよび包囲部8よりも上方に位置するようにして設けられている。
また、この抱持部6dは、前記前面壁部6の背面側から後方に突出するとともにアーチ型に形成されている。この抱持部6dのアーチの内側には、後述するシャフト部22bが挿入される。すなわち、シャフト部22bは、この抱持部6dによって抱持されたような状態となる。
なお、この抱持部6dは、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6と一体に形成されている。また、この抱持部6dが設けられる箇所には、前記前面壁部6を厚さ方向に貫通する開口部が形成されている。この抱持部6dは、この開口部の上縁と下縁との間でアーチ型に形成されており、シャフト部22bを左右方向に挿入することができる。
また、この抱持部6dも、上述のように前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして形成されているため、前記補強部6bや補強部6cと同様に、前記前面壁部6の補強機能を有しているものとする。
【0020】
支持部6eは、
図3,
図6,
図7に示すように、前記前面壁部6の背面側に、前記補強部6cおよび包囲部8よりも上方に位置するようにして設けられている。また、前記抱持部6dと隣り合うようにして配置されている。
また、この支持部6eは、前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして形成されている。この支持部6eの突出方向側端面は、突出方向とは反対の方向に凹む曲面となるように形成されるとともに、この曲面は左右方向(シャフト部22bの長さ方向)に連続しており、この曲面に沿ってシャフト部22bを配置することができる。すなわち、支持部6eによってシャフト部22bを支持することができる。また、この支持部6eに隣り合う前記抱持部6dでは、シャフト部22bを抱持しているため、これら支持部6eと抱持部6dとでシャフト部22bを挟み込んだ状態となっている。
なお、この支持部6eは、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6と一体に成形されている。また、この支持部6eの正面側には開口部および凹部が形成されていないが、適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、この支持部6eも、上述のように前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして形成されているため、前記補強部6bや補強部6cと同様に、前記前面壁部6の補強機能を有しているものとする。
【0021】
取付部6f,6fは、前記付勢部材3を取り付けるためのものであり、
図2および
図3に示すように、前記前面壁部6下部の背面側に設けられている。
また、取付部6f,6fは、前記前面壁部6の背面側から後方に突出するとともにアーチ型に形成されており、前記付勢部材3の上端部を引掛けることができる。
なお、これら取付部6f,6fは、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6と一体に成形されている。また、これら取付部6f,6fが設けられる箇所には、前記前面壁部6を厚さ方向に貫通する開口部が形成されており、これら取付部6f,6fは、開口部の上縁と下縁との間でアーチ型に形成されている。
また、これら取付部6f,6fも、上述のように前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして形成されているため、前記補強部6bや補強部6cと同様に、前記前面壁部6の補強機能を有しているものとする。
【0022】
なお、これら取付部6f,6fは、前記取付部2,2の上方にそれぞれ位置しており、上下方向に配置された取付部2と取付部6fとの間に付勢部材3が架け渡されている。すなわち、コイルバネである付勢部材3の下端部が前記取付部2に取り付けられており、上端部が前記取付部6fに取り付けられている。
そして、このように、横軸部1bに固定された取付部2,2と、ヘッドレスト本体5の前面壁部6の背面側に設けられた取付部6f,6fとの間に、付勢部材3,3がそれぞれ架設されているので、これら付勢部材3,3によって、可動部分であるヘッドレスト本体5を後方付勢することができる。すなわち、ヘッドレスト本体5は、前後方向への回動がロックされない状態においては常に後方に戻るように設定されている。
【0023】
前記周面壁部7は、
図1〜
図5に示すように、前記前面壁部6の外周縁部に沿って設けられるとともに、該前面壁部6と一体形成されている。また、この周面壁部7は、前記前面壁部6の背面側から後方に突出して形成されている。したがって、この周面壁部7も、前記補強部6bや補強部6cと同様に、前記前面壁部6の補強機能を有しているものとする。
また、この周面壁部7には、
図2,
図5,
図6に示すように、後述するロック部材22を挿通させるための挿入スリット7aが形成されている。
また、この周面壁部7には、上述のように前記貫通孔21aが形成されるとともに、
図2に示すように、シャフト部22bの端部側を挿通させるための貫通孔7bが形成されている。なお、このシャフト部22bの端部は、貫通孔7bに挿通されて、前記周面壁部7から外側に突出して設けられることになる。このように前記周面壁部7から突出するシャフト部22bの端部には、
図1〜
図4に示すように、ボタン11が取り付けられている。
【0024】
前記包囲部8は、
図2〜
図6,
図8〜
図11に示すように、前記ロックブラケット4を包囲するものであり、前記前面壁部6の背面側に、該背面側から後方に突出するようにして一体形成されている。つまり、前記ヘッドレスト本体5は、この包囲部8によってロックブラケット4を包囲した状態で、前記横軸部1bに対して前後方向に回動自在に取り付けられている。
この包囲部8は、一対の補強リブ8a,8aと、ストッパー部8b,8c,8cと、を含んで構成されている。
【0025】
一対の補強リブ8a,8aは、前記前面壁部6の背面側から後方に向かって突出し、前記ロックブラケット4の左右両側面にそれぞれ対向している。
また、これら一対の補強リブ8a,8aは、前記前面壁部6の中央付近から下部にかけて形成された開口部6aの左右側縁部から後方に向かって突出して形成されている。したがって、これら一対の補強リブ8a,8aは、前記開口部6aの左右側縁部の形状に沿って形成されている。さらに、これら一対の補強リブ8a,8aが、前記開口部6aの左右側縁部に沿って設けられるため、開口部6aから前記ロックブラケット4を前方に露出させることができる。
なお、これら一対の補強リブ8a,8aのうち、一方の補強リブ8a側に前記補強部6cが設けられており、他方の補強リブ8a側に、後述するピン貫通孔21が形成されている。
【0026】
ストッパー部8b,8c,8cは、前記ヘッドレスト本体5の回動時に、前記ロックブラケット4の前端4aと後端4bにそれぞれ当接するものであり、包囲部8の前側および後側に設けられている。なお、本実施の形態において、後側のストッパー部8cは複数設けられている。
前側のストッパー部8bは、前記一対の補強リブ8a,8aの前面壁部6側端部間に架設されるとともに、前記前面壁部6と一体形成されている。すなわち、この前側のストッパー部8bは、前記開口部6aを左右に横切るようにして前面壁部6と一体形成されている。
また、後側のストッパー部8c,8cは、前記一対の補強リブ8a,8aの後方突出側端部間に架設されるとともに、該一対の補強リブ8a,8aと一体形成されている。後側のストッパー部8c,8cのうち、一方のストッパー部8cは、背面視において包囲部8の中央付近に設けられており、他方のストッパー部8cは、背面視において包囲部8の下端部に設けられている。
【0027】
包囲部8は、上述のように一対の補強リブ8a,8a間に複数のストッパー部8b,8c,8cを架設することによって形成されている。
また、前記一対の補強リブ8a,8aは、前記開口部6aの左右側縁部から後方に向かって突出して形成されているため、これら一対の補強リブ8a,8a間には隙間が形成されている。
また、この隙間は、前記ストッパー部8c,8cによって複数に区切られている。そのうち、包囲部8の下端部に位置する隙間は、ロックブラケット4を、包囲部8の内部に差し込むための差込口8dとされている。また、上方の後側のストッパー部8cと下方の後側のストッパー部8cとの間に位置する隙間は符号8eで示されており、上方の後側のストッパー部8cよりも上方の隙間は符号8fで示されている。これら差込口8dおよび隙間8e,8fからは、前記ロックブラケット4が露出している。
【0028】
前記把持部9は、
図1〜
図5,
図8,
図10,
図11に示すように、前記横軸部1bを把持するためのものであり、前記ヘッドレスト本体5の下端部に設けられており、下方に向かって開放されている(開放部9a)。また、この開放部9aには、前記横軸部1bおよびロックブラケット4が差し込まれている。
また、この把持部9の上方には、前記包囲部8が配置されている。また、この把持部9に差し込まれたロックブラケット4は、この把持部9を通過して、前記包囲部8の差込口8dから包囲部8内部に差し込まれる。
【0029】
なお、把持部9は、前記ヘッドレスト本体5の前面壁部6および周面壁部7の下端部を含んだ状態で構成されている。すなわち、周面壁部7の下端部に、前記横軸部1bおよびロックブラケット4を差込可能な形状のスリットを形成したものが前記開放部9aとされている。
より詳細には、このスリットである開放部9aは、前記周面壁部7のうち、左右いずれか一方側に位置する周面壁部7の下端部から、前面壁部6の下端部に沿って設けられる周面壁部7を介し、左右いずれか他方側に位置する周面壁部7の下端部まで形成されている。そして、左右両側の周面壁部7,7の下端部にて前記横軸部1bを把持している。
また、把持部9は、前記開放部9aの一部として該開放部9aの中央に、該開放部9aの開放広さを拡張するための拡張部9bを備えている。この拡張部9bによって開放部9aの中央付近の開放広さが拡張されることによって、前記ロックブラケット4を確実に把持部9および前記差込口8dに差し込むことができるようになっている。
【0030】
また、把持部9は、この把持部9を構成する左右両側の周面壁部7,7間の位置に、前記横軸部1bを把持するアーチ型把持片9c,9cを有している。また、これらアーチ型把持片9c,9cは、前記取付部2,2よりも内側に、かつ該取付部2,2にそれぞれ隣接するようにして配置されている。
アーチ型把持片9c,9cは、把持部9を構成する周面壁部7の下端面のうち、前記開放部9aであるスリットの前面壁部6側に位置する部位と、後方側に位置する部位との間にアーチ型に架設形成されている。
なお、アーチ型把持片9c,9cは、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6および周面壁部7と一体に成形されている。アーチ型把持片9c,9cの前面壁部6側端部は、前面壁部6よりも肉厚に形成されており、該アーチ型把持片9c,9cの肉厚部分が位置する部位の前面壁部6の正面側には、それぞれ凹部が形成された状態となっている。なお、本実施の形態の肉厚部分は略L字型に形成されており、前面壁部6の正面側に形成される凹部も略L字型となっている。
【0031】
また、把持部9は、前記横軸部1bの長さ方向に沿って該横軸部1bの外周面を受けるとともに、継目のない状態で構成された軸受け面9d…を備えている。
これら軸受け面9d…は、前記周面壁部7のうち、前記横軸部1bを把持する左右両側の周面壁部7,7の下端部に位置する開放部9aの内側面と、前記アーチ型把持片9c,9cの内側面とを指している。したがって、これら軸受け面9d…は、前記横軸部1bの長さ方向に沿って間隔をあけて配置された状態となっている。
【0032】
前記保持部10は、後述する付勢部材23を保持するためのものであり、この付勢部材23はコイルバネが採用されている。なお、このコイルバネである付勢部材23は、該付勢部材23を圧縮する方向に移動するロック部材22(後述する)を、押し返す方向に付勢する押しバネである。
この保持部10は、
図2および
図3,
図6,
図7に示すように、前記前面壁部6の背面側に、前記包囲部8および抱持部6d付近に位置するようにして設けられている。また、保持部10は、ヘッドレスト本体5の製造段階で、前面壁部6と一体に成形されており、これに伴って、該保持部10が位置する部位の前面壁部6の正面側には凹部が形成された状態となっている。なお、この凹部の後端、すなわち保持部10の前面壁部6からの突出端部には開口部が形成されており、この開口部を挟んで上方および下方に、後述する支持部10a,10aがそれぞれ配置されている。
また、この保持部10は、支持部10a,10aと、当接部10bと、引掛部10cと、連結板部10dと、を備えている。
【0033】
支持部10a,10aは、前記前面壁部6の背面側から後方に突出するようにして一体形成されており、コイルバネである前記付勢部材23の外径部23aに当接するものである。そして、該付勢部材23を前記前面壁部6から離間した位置に位置している。
すなわち、支持部10aの突出方向側端面は、前記付勢部材23の外径部23aに合わせて凹む曲面となるように形成されるとともに、この曲面は左右方向(付勢部材23の伸縮方向)に連続しており、この曲面に沿って付勢部材23を配置することができる。
なお、前記連結板部10dは、これら支持部10a,10a間に架設されており、これら支持部10a,10aを部分的に連結している。連結板部10dによって支持部10a,10aを部分的に連結することができるので、これら支持部10a,10aの剛性を向上させることができるので好ましい。
【0034】
当接部10bは、前記支持部10a,10aと対向するとともに、前記コイルバネである付勢部材23の伸縮方向に沿って設けられている。また、この当接部10bは、前記付勢部材23の内径部23bに当接している。なお、この当接部10bの付勢部材23側面は、
図7に示すように、付勢部材23の内径部23b側に膨らむ曲面となるように形成されており、前記付勢部材23の内径部23bに密接する構成とされている。
より詳細には、この当接部10bは棒状体であり、平面視において前記2つの支持部10a,10a間の隙間の延在方向に沿って設けられており、この当接部10bによって、前記コイルバネである付勢部材23を、前記支持部10a,10a間の隙間に向かって押さえているような状態となっている。
なお、この当接部10bは、保持部10の包囲部8側端部から周面壁部7側に向かって突出している。この当接部10bの突出長さは、突出方向側端部が、前記付勢部材23が最も圧縮した状態の包囲部8側端部の位置と略等しくなるか、または最も圧縮した状態の包囲部8側端部よりも若干、周面壁部7側よりとなるように設定されている。すなわち、付勢部材23が最も圧縮した状態となっても、該付勢部材23が当接部10bから外れない程度の長さに設定されている。
【0035】
引掛部10cは、前記周面壁部7に、前記当接部10bと対向するようにして設けられており、該周面壁部7から当接部10b側に若干突出するようにして形成されている。そして、この引掛部10cは、前記付勢部材23の周面壁部7側端部に引っ掛かった状態となっており、前記付勢部材23の周面壁部7側端部が外れることを防ぐことができる。
なお、この引掛部10cも前記当接部10bと同様に、前記付勢部材23の内径部23bに当接しており、この引掛部10cと前記支持部10a,10aとの間に付勢部材23のコイルが挟み込まれたような状態となっている。
【0036】
なお、前記保持部10を構成する支持部10a,10aおよび当接部10bは、該保持部10の包囲部8側端部を基端部として一体形成されている。また、この保持部10の基端部は、包囲部8と一体形成されている。
また、前記引掛部10cは、前記周面壁部7と一体形成されている。
また、前記連結板部10dは、前記支持部10a,10aと一体形成されている。
以上のようにしてヘッドレスト本体5が構成されている。
【0037】
続いて、ヘッドレストを構成し、前記ヘッドレスト本体5を、前記ロックブラケット4に対して複数の傾斜角度でロックするロック機構について説明する。
ロック機構は、
図2〜
図10に示すように、複数のロック用孔20…と、ピン貫通孔21と、ロック部材22と、前記付勢部材23と、付勢ストッパー部24とを有している。
【0038】
前記複数のロック用孔20…は、
図8〜
図10に示すように、それぞれ、後述するロックピン部22aが挿入されるものであり、前記ロックブラケット4の上端部4dに、該ロックブラケット4を、左右の厚さ方向に貫通して形成されている。また、これら複数のロック用孔20…は、前記ヘッドレスト本体5の回動方向に沿って並設されている。
なお、本実施の形態において、これら複数のロック用孔20…は、前記ロックブラケット4に対して4つ形成されている。
【0039】
ピン貫通係止部である前記ピン貫通孔21は、
図2および
図3,
図5〜
図7に示すように、後述するロックピン部22aが挿入されるものであり、前記ヘッドレスト本体5の包囲部8のうち、前記並設された複数のロック用孔20…上を通過する位置に形成されている。また、このピン貫通孔21は、前記包囲部8を構成する一対の補強リブ8a,8aのうち、前記補強部6cが設けられる補強リブ8aとは反対側の補強リブ8aに形成されている。
すなわち、この包囲部8に形成されたピン貫通孔21と、包囲部8によって包囲されたロックブラケット4の各ロック用孔20…とは、前記ヘッドレスト本体5の傾斜角度に応じて、互いに重なり合うように設定されている。
なお、ピン貫通孔21は、前記補強部6cの内部に形成された貫通孔21aと、前記包囲部8を介して連続するようにして配置されている。つまり、これらピン貫通孔21と貫通孔21aとの間に、前記複数のロック用孔20…が位置するように設定されており、これらピン貫通孔21と、ロック用孔20と、貫通孔21aとに対して同時に、後述するロックピン部22aが挿入されることになる。
【0040】
前記ロック部材22は、
図2および
図3,
図5〜
図7,
図9に示すように、ロックピン部22aと、シャフト部22bと、連結部22cと、から構成されている。
また、これらロックピン部22aと、シャフト部22bと、連結部22cとは一体形成されており、略J字型となるように構成されている。すなわち、ロック部材22は、一本の金属棒を屈曲加工することにより形成されている。
また、このロック部材22は、前記周面壁部7に形成された挿入スリット7aから挿入される。
なお、本実施の形態では、ロック部材22を一体形成したが、これに限られるものではなく、ロックピン部22aと、シャフト部22bと、連結部22cとを別体として形成した上で、これら各部材を適宜組み合わせるようにしても良い。
【0041】
ロックピン部22aは、前記ピン貫通孔21を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数のロック用孔20…に抜き差しされるものである。すなわち、このロックピン部22aの先端部は、ロック用孔20から引き抜かれた際であっても、前記ピン貫通孔21に挿入された状態となっており、差し込まれた際には、ピン貫通孔21と、ロック用孔20と、貫通孔21aとに挿入された状態となる。
【0042】
シャフト部22bは、前記ロックピン部22aと平行に配置されるとともに該ロックピン部22aを操作するためのものである。また、このシャフト部22bは、前記ロックピン部22aよりも長尺に設定されている。
このシャフト部22bは、ロック部材22自体を前記挿入スリット7aから挿入してから、前記抱持部6dのアーチの内側にも挿入されるとともに、前記支持部6eの突出方向側端面の曲面に載せられる。さらに、シャフト部22bの端部が、前記挿入スリット7aが形成された周面壁部7と対向する周面壁部7の貫通孔7bに挿入される。
なお、このシャフト部22bの端部は、前記貫通孔7bを貫通した状態を保持しており、このシャフト部22bの端部に、前記ボタン11が取り付けられている。
【0043】
連結部22cは、前記ロックピン部22aとシャフト部22bとを連結するためのものである。この連結部22cは、前記ロックピン部22aの軸心と、シャフト部22bの軸心とを結ぶ直線に沿って設けられている。
また、この連結部22cは、前記付勢部材23に当接するとともに、この付勢部材23に付勢された状態で、後述する付勢ストッパー部24に当接している。
【0044】
ここで、
図9に示すように、前記シャフト部22bの軸心と、前記ロックピン部22aの軸心とを結ぶ直線の延長線上に、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bの軸心が配置されている。なお、このヘッドレストピラー1の横軸部1bの軸心は、上述のように前記ヘッドレスト本体5の回動中心軸とされている。
図9に示すように、ヘッドレスト本体5には、クッションパッドおよび表皮が被せられており、ヘッドレスト本体5の傾斜角度に応じて、乗員の後頭部に対するクッションパッドおよび表皮の接触部位が変化するように設定されている。また、クッションパッドおよび表皮の形状に応じても接触部位が変化する場合がある。このような場合であっても、各軸心が一直線上に配置されるという位置関係は変わらないように設定されているため、ヘッドレスト本体5に加えられた外力を、ロックブラケット4を介して一直線に横軸部1bに伝達できるようになっている。
なお、
図9において、乗員の後頭部とクッションパッドおよび表皮との間に記載された「○」で示す4ヶ所の部位が、乗員の後頭部に対するクッションパッドおよび表皮の接触部位となっている。
【0045】
また、前記複数のロック用孔20…は、
図9に示すように、前記横軸部1bよりも前方に配置されている。したがって、前記包囲部8に形成されたピン貫通孔21と、横軸部1bとともに一直線上に配置されるシャフト部22bおよびロックピン部22aを有するロック部材22も、前記横軸部1bよりも前方に配置されることになる。
【0046】
前記付勢部材23は、前記保持部10によって、前記前面壁部6の背面側に保持されるとともに前記ロック部材22の連結部22cに当接し、この連結部22cを、前記ロックピン部22aが前記ピン貫通孔21および複数のロック用孔20…に差し込まれる方向に付勢するものである。また、この付勢部材23によって、前記シャフト部22bも付勢されており、前記貫通孔7bから抜けないように設定されている。
また、この付勢部材23は、上述のようにコイルバネであり、特に、該コイルバネ23が圧縮する方向に移動する前記ロック部材22を、押し返す方向に付勢する押しバネである。
コイルバネ23を形成する複数のコイルの外径部分を、コイルバネ23の外径部23aと称し、複数のコイルの内径部分を、コイルバネ23の内径部23bと称する。
【0047】
前記付勢ストッパー部24は、前記付勢部材23による付勢方向の先に設けられることによって、前記付勢部材23によって押し返された連結部22cが当接するものである。前記連結部22cを挟んで、前記付勢部材23とは反対側の位置に配置されている。すなわち、前記付勢部材23によって付勢される連結部22cが、この付勢部材23によって付勢された方向に過剰に移動することを防ぐためのストッパーである。
また、この付勢ストッパー部24は、前記保持部10の基端部と一体形成されており、前記連結部22cが当接する面は、この連結部22cの外径部に合わせて凹んだ曲面とされている。
前記ヘッドレスト本体5を、ロック機構によってロックしている状態においては、前記連結部22cは、前記付勢部材23によって付勢ストッパー部24に当接するように付勢されている。一方、前記シャフト部22bを操作して、前記ロックピン部22aの先端部をロック用孔20から抜き、ヘッドレスト本体5をアンロックしている状態においては、前記連結部22cは、前記付勢ストッパー部24から離間しており、前記付勢部材23は圧縮した状態となる。
以上のようにしてロック機構が構成されている。
【0048】
続いて、ヘッドレストを構成し、前記ヘッドレスト本体5の回動に伴ってクリック感を生起するクリック機構について説明する。
クリック機構は、
図10および
図11に示すように、突起部30,32と、凹凸係合部31,33と、を有している。なお、これら突起部30,32と凹凸係合部31,33とのうちの一方が、前記ヘッドレスト本体5に設けられており、他方が、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bまたはロックブラケット4に設けられている。
【0049】
図10においては、前記ヘッドレスト本体5の包囲部8とロックブラケット4との間にクリック機構が設けられる形態を示している。すなわち、前記突起部30と凹凸係合部31とのうちの一方が、前記包囲部8に設けられており、他方は、前記ロックブラケット4に設けられている。
【0050】
図10(a)に示すクリック機構においては、前記突起部30が、前記包囲部8に設けられている。また、この突起部30は、前記包囲部8から前記ロックブラケット4に向かって突出するようにして形成されている。
すなわち、前記突起部30は、この突起部30を包囲部8に取り付けるための天井部30aと一体形成されている。そして、前記包囲部8の上端部に形成された隙間8fの位置に、前記突起部30と一体形成された天井部30aが、前記包囲部8と一体形成されるようにして設けられている。これによって、前記突起部30を前記包囲部8に設けることができるようになっている。
【0051】
前記凹凸係合部31は、前記突起部30が係合する複数の凹凸部31a,31bを前記ヘッドレスト本体5の回動方向に沿って連続して形成してなるものであり、前記ロックブラケット4の上端部4dに設けられている。
すなわち、凹凸係合部31は、連続する凸部31aと凹部31bとをロックブラケット4の上端部4dに一体形成することによって構成されている。
【0052】
図10(b)に示すクリック機構においては、前記突起部30が、前記ロックブラケット4の上端部4dに設けられている。すなわち、突起部30は、前記ロックブラケット4の上端部4dに一体形成されており、このロックブラケット4の上端部4dから上方に向かって突出している。
【0053】
前記凹凸係合部31は、前記包囲部8に設けられている。また、この凹凸係合部31は、前記包囲部8から前記ロックブラケット4側に、凸部31aおよび凹部31bを向けるようにして形成されている。
すなわち、前記凹凸係合部31は、この凹凸係合部31を包囲部8に取り付けるための天井部30aと一体形成されている。そして、前記包囲部8の上端部に形成された隙間8fの位置に、前記凹凸係合部31と一体形成された天井部30aが、前記包囲部8と一体形成されるようにして設けられている。これによって、前記凹凸係合部31を前記包囲部8に設けることができるようになっている。
【0054】
図10(a)および(b)に示すクリック機構のいずれにおいても、前記突起部30が、前記凹凸係合部31の複数の凸部31a…を乗り越えて、この凸部31aに隣接する凹部31bに係合するように動くことになる。そして、これに伴って、クリック感が生起するように構成されている。
また、このようなクリック機構は、前記ロック機構によってヘッドレスト本体5の回動にロックがかかる際に、前記突起部30が、前記凹凸係合部31の凸部31aを乗り越えて凹部31bに係合するように設定されている。つまり、クリック機構とロック機構とが連動することになり、前記突起部30が凹部31bに係合する際に、ロックピン部22aを、複数のロック用孔20…に差し込ませることができる。
【0055】
図11においては、前記ヘッドレスト本体5の把持部9とヘッドレストピラー1の横軸部1bとの間にクリック機構が設けられる形態を示している。すなわち、前記突起部32と凹凸係合部33とのうちの一方が、前記把持部9に設けられており、他方は、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bに設けられている。
【0056】
図11(a)に示すクリック機構においては、前記突起部32が、前記把持部9の軸受け面9dに設けられている。また、この突起部32は、前記把持部9の軸受け面9dから前記横軸部1bに向かって突出するようにして形成されている。なお、この突起部32は、把持部9の軸受け面9dに一体形成されている。
【0057】
前記凹凸係合部33は、前記突起部32が係合する複数の凹凸部33a,33bを前記横軸部1bの周方向、すなわち、ヘッドレスト本体5の回動方向に沿って連続して形成してなるものであり、前記横軸部の外周面に設けられている。なお、この凹凸係合部33は、横軸部1bの外周面に一体的に設けられている。
【0058】
図11(b)に示すクリック機構においては、前記突起部32が、前記横軸部1bの外周面に設けられている。すなわち、突起部32は、前記横軸部1bの外周面に一体的に設けられており、この横軸部1bの外周面から凹凸係合部33に向かって突出している。
【0059】
前記凹凸係合部33は、前記把持部9の軸受け面9dに設けられている。また、この凹凸係合部33は、前記把持部9の軸受け面9dから前記横軸部1b側に、凸部33aおよび凹部33bを向けるようにして形成されている。なお、この凹凸係合部33は、把持部9の軸受け面9dに凹凸部33a,33bを形成することによって、該軸受け面9dに設けられている。
【0060】
図11(a)および(b)に示すクリック機構のいずれにおいても、前記突起部32が、前記凹凸係合部33の複数の凸部33a…を乗り越えて、この凸部33aに隣接する凹部33bに係合するように動くことになる。そして、これに伴って、クリック感が生起するように構成されている。
また、このようなクリック機構は、前記ロック機構によってヘッドレスト本体5の回動にロックがかかる際に、前記突起部32が、前記凹凸係合部33の凸部33aを乗り越えて凹部33bに係合するように設定されている。つまり、クリック機構とロック機構とが連動することになり、前記突起部32が凹部33bに係合する際に、ロックピン部22aを、複数のロック用孔20…に差し込ませることができる。
なお、軸受け面9dは、把持部9に対して複数備えられているため、前記突起部32および凹凸係合部33は、これら複数の軸受け面9d…のうち、少なくとも一つの軸受け面9dに設けられているものとする。
以上のようにしてクリック機構が構成されている。また、以上のようにしてヘッドレストが構成されている。
なお、本実施の形態においては、
図11(a)に示すクリック機構を採用する。ただし、これに限られるものではなく、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0061】
次に、ヘッドレスト本体5を、ヘッドレストピラー1の横軸部1bに取り付ける方法について説明する。
図8(b)に示すように、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bには、前記ロックブラケット4および取付部2,2が予め取り付けられている。なお、これらロックブラケット4および取付部2,2は、上述のように溶接等により、横軸部1bに対して強固に接合固定されている。
前記ヘッドレスト本体5には、前記ロック部材22および付勢部材23が取り付けられていない状態となっている。これに伴って、前記ボタン11も取り付けられていない状態となっている。
【0062】
まず、このようなヘッドレスト本体5を、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bに対して取り付ける。すなわち、ヘッドレスト本体5の下端部に設けられるとともに下方(横軸部1b側)に向かって開放する開放部9aに、前記横軸部1bおよびロックブラケット4を差し込むようにして、ヘッドレスト本体5を横軸部1bに取り付ける。
この時、ロックブラケット4を、前記包囲部8の下端部に形成された差込口8dから包囲部8内部に差し込むようにする。
また、前記開放部9aに差し込まれた横軸部1bは、この開放部9aを含んで構成された把持部9によって把持された状態となる。すなわち、把持部9に備えられた軸受け面9d…によって、前記横軸部1bの長さ方向に沿って該横軸部1bの外周面を受けるようにする。
【0063】
続いて、前記周面壁部7に形成された挿入スリット7aから、前記ロック部材22を挿入する。
前記シャフト部22bは、前記抱持部6dのアーチの内側に挿入するとともに、前記支持部6eの突出方向側端面に載せるようにする。さらに、端部を差し込んでいき、周面壁部7に形成された貫通孔7bに挿通させる。
これと同時に、前記ロックピン部22aを、前記ピン貫通孔21および複数のロック用孔20…のいずれかに差し込むようにする。
そして、前記連結部22cを付勢ストッパー部24に当接させた状態まで、前記ロックピン部22aおよびシャフト部22bを深く差し込むようにする。
【0064】
続いて、コイルバネである付勢部材23を保持部10によって保持する。まず、付勢部材23の連結部22c側端部を、該付勢部材23を圧縮させたり弾性的に屈曲させたりしながら、前記一対の支持部10a,10aと当接部10bとの間に差し込む。また、付勢部材23の周面壁部7側端部を前記引掛部10cに引掛ける。
なお、本実施の形態においては、前記付勢部材23の連結部22c側端部を取り付けてから、周面壁部7側端部を取り付ける手順としているが、これに限られるものではなく、周面壁部7側端部から取り付けるようにしても良い。また、その他の方法を採用して付勢部材23を取り付けても良く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0065】
続いて、前記横軸部1bに取り付けられた取付部2,2と、前記ヘッドレスト本体5の前面壁部6の背面側に設けられた取付部6f,6fとの間に、前記付勢部材3,3を取り付ける。すなわち、付勢部材3,3の上端部を、前記取付部6f,6fにそれぞれ引掛けるとともに、下端部を、前記取付部2,2にそれぞれ引掛ける。
なお、本実施の形態においては、付勢部材3よりも先に付勢部材23を取り付ける手順を採用したが、これに限られるものではなく、付勢部材3から取り付ける手順を作用しても良いものとする。
以上のようにしてヘッドレスト本体5を、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bに取り付けることができる。
【0066】
次に、以上のように構成されたヘッドレストの動作について説明する。
ヘッドレストの動作は、
図9に示すように、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bに対して前後方向に回動自在に取り付けられたヘッドレスト本体5の前後方向への回動に基づくものである。
また、ヘッドレスト本体5は、前記付勢部材3,3によって、該ヘッドレスト本体5をヘッドレストピラー1の横軸部1b側に引き寄せる方向に付勢されている。したがって、ヘッドレスト本体5が後方に引き寄せられるとともに、前記ロックピン部22aが、複数のロック用孔20…のうちの最も後方にあるロック用孔20に挿入された状態が、ヘッドレスト本体5の前後方向への回動の通常位置とされている。
【0067】
ヘッドレスト本体5を前後方向に回動させる際は、前記ロック部材22を操作する。すなわち、前記ロックピン部22aを、ピン貫通孔21を貫通した状態を保持しつつ、先端部をロック用孔20から抜くようにする。これによって、ロックが解除された状態となり、ヘッドレスト本体5を前後方向に回動させることができる。
ロックピン部22aの先端部をロック用孔20から抜く際には、前記シャフト部22bのボタン11が取り付けられる端部を、該シャフト部22bの軸方向に沿って付勢部材23が圧縮する方向に押し込む。これによって、ロックピン部22aの先端部をロック用孔20から抜くことができる。
この時、付勢部材23は保持部10に保持された状態で圧縮する。ボタン11を押し込む操作を止めると、付勢部材23によって連結部22cが押し戻され、これに伴って、ロックピン部22aはロック用孔20に差し込まれる方向に移動し、シャフト部22bも元に戻ろうとする。
【0068】
ロックピン部22aを最後方のロック用孔20から抜き、ヘッドレスト本体5を、通常位置よりも後方に回転させた時には、ヘッドレスト本体5の前側のストッパー部8bが、ロックブラケット4の前端4aに当接する。これによって、ヘッドレスト本体5の後方への回転を規制できるようになっている。
【0069】
ヘッドレスト本体5を前方に一段階回転させるに際し、ロックピン部22aが最後方のロック用孔20に差し込まれている状態から、二番目に後方に位置するロック用孔20に差し込む場合は、まず、前記シャフト部22bのボタン11が取り付けられた端部を押し込み、ロックピン部22aの先端部を、最後方のロック用孔20から抜く。
続いて、ヘッドレスト本体5を前方へ回転させる。
この時、
図11(a)に示すクリック機構の突起部32が、前記凹凸係合部33の凸部33aを乗り越えて、この凸部33aに隣接する凹部33bに係合するように動き、これに伴って、クリック感が生起する。
また、このクリック機構とロック機構は連動しているため、前記突起部32が、凸部33aを乗り越えるのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、最後方のロック用孔20と二番目に後方のロック用孔20との間を移動する。さらに、前記突起部32が、凹部33bに係合するのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、二番目に後方のロック用孔20に差し込まれることになる。
この時、前記ロック部材22の連結部22cは、前記付勢部材23によって付勢されているため、前記シャフト部22bを操作せずとも、前記ロックピン部22aを付勢部材23の付勢力によって自動的にロック用孔20に差し込むことができる。
【0070】
このようにしてヘッドレスト本体5を前方に一段階回転させることができる。
ロックピン部22aを、二番目に後方のロック用孔20から、三番目に後方のロック用孔20(すなわち、前方から二番目のロック用孔20)に差し込む場合も同様であり、この三番目に後方のロック用孔20から、最前方のロック用孔20に差し込む場合も同様の動作となる。
【0071】
ロックピン部22aを最前方のロック用孔20から抜き、ヘッドレスト本体5を、より前方に回転させた時には、ヘッドレスト本体5の後側のストッパー部8c,8cが、ロックブラケット4の後端4bに当接する。これによって、ヘッドレスト本体5の前方への回転を規制できるようになっている。
【0072】
一方、ヘッドレスト本体5を後方に一段階回転させるに際し、ロックピン部22aが最前方のロック用孔20に差し込まれている状態から、二番目に前方に位置するロック用孔20に差し込む場合は、まず、前記シャフト部22bのボタン11が取り付けられた端部を押し込み、ロックピン部22aの先端部を、最前方のロック用孔20から抜く。
続いて、ヘッドレスト本体5を後方へ回転させる。
この時、
図11(a)に示すクリック機構の突起部32が、前記凹凸係合部33の凸部33aを乗り越えて、この凸部33aに隣接する凹部33bに係合するように動き、これに伴って、クリック感が生起する。
また、このクリック機構とロック機構は連動しているため、前記突起部32が、凸部33aを乗り越えるのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、最前方のロック用孔20と二番目に前方のロック用孔20との間を移動する。さらに、前記突起部32が、凹部33bに係合するのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、二番目に前方のロック用孔20に差し込まれることになる。
この時、前記ロック部材22の連結部22cは、前記付勢部材23によって付勢されているため、前記シャフト部22bを操作せずとも、前記ロックピン部22aを付勢部材23の付勢力によって自動的にロック用孔20に差し込むことができる。
【0073】
このようにしてヘッドレスト本体5を後方に一段階回転させることができる。
ロックピン部22aを、二番目に前方のロック用孔20から、三番目に前方のロック用孔20(すなわち、後方から二番目のロック用孔20)に差し込む場合も同様であり、この三番目に前方のロック用孔20から、最後方のロック用孔20に差し込む場合も同様の動作となる。
以上のようにして、ヘッドレスト本体5を前後方向に回動操作して、ヘッドレストを動作させることができる。
【0074】
本実施の形態によれば、前記ロック部材22のロックピン部22aは、前記ピン貫通孔21を貫通した状態を保持しつつ、先端部が、前記複数のロック用孔20…に抜き差しされるので、このロックピン部22aを、前記複数のロック用孔20…のいずれかに差し込んだ状態ではヘッドレスト本体5の回動を停止させることができる。すなわち、前記ヘッドレスト本体5の回動をロックできる。
そして、前記ヘッドレスト本体5に加えられた外力は、前記ロックブラケット4に対するヘッドレスト本体5の回動をロックするロック部材22に加えられる。前記ロックピン部22aとシャフト部22bとは平行に配置されているので、これらシャフト部22bの軸心と、ロックピン部22aの軸心とを結ぶ直線上に位置する連結部22cを介して、前記シャフト部22bとロックピン部22aとの間で外力の伝達が行われる。さらに、前記シャフト部22bの軸心と、前記ロックピン部22aの軸心とを結ぶ直線の延長線上に横軸部1bの軸心が配置されているので、これら各軸心が一直線上に配置されることになる。すなわち、前記ヘッドレスト本体5に加えられた外力を、前記ロックブラケット4を介して一直線に横軸部1bに伝達できる。これによって、前記ヘッドレスト本体5に加えられた外力を、従来に比して確実かつ効率良く横軸部1bに伝達することが可能となる。
また、前記シャフト部22bの軸心と、ロックピン部22aの軸心とを結ぶ直線の延長線上に配置された横軸部1bの軸心は、前記ヘッドレスト本体5の回動中心軸とされているため、前記ヘッドレスト本体5をどのような角度に傾斜させても、これら各軸心が一直線上に配置されるという位置関係は変わらないものとなる。したがって、前記ヘッドレスト本体5をどのような角度に傾斜させても、前記ヘッドレスト本体5に加えられた外力を、確実かつ効率良く横軸部1bに伝達することが可能となる。
【0075】
また、前記複数のロック用孔20…は、前記横軸部1bよりも前方に配置されているので、前記包囲部8に形成されるピン貫通孔21と、前記横軸部1bとともに一直線上に配置されるシャフト部22bおよびロックピン部22aを有するロック部材22も、前記横軸部1bよりも前方に配置されることになる。しかも、前記ロックブラケット4は、前方に傾斜して横軸部1bに固定されている。これによって、例えばロックブラケット4が後方に傾斜し、前記複数のロック用孔20…と、前記ピン貫通孔21と、前記ロック部材22とが横軸部1bよりも後方に配置される場合に比して、前記ヘッドレスト本体5に加えられた外力が後方に流れにくくなるので、前記ヘッドレスト本体5に加えられた外力を、前記横軸部1bに、より確実かつ効率良く伝達させることができる。
【0076】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0077】
図12はヘッドレストの一例を示す分解斜視図である。
本実施の形態のヘッドレストは、ヘッドレストピラー1と、ロックブラケット4と、ヘッドレスト本体50と、ロック機構と、クリック機構と、を備えている。
なお、本実施の形態のヘッドレストは、クッションパッドである樹脂を、型枠内で、前記ヘッドレスト本体50と一体的になるように発泡成形させるものであり、このヘッドレスト本体50は、樹脂が内部に浸入しないような構成となっている。
また、ヘッドレスト本体50は、ヘッドレストピラー1の横軸部1bに対して前後方向に回動自在に取り付けられるものであり、乗員の頭部を受ける前面壁部51と、背面壁部52と、底面カバー部53,53と、を有している。
【0078】
前記前面壁部51および背面壁部52は、
図12および
図13に示すように、これら前面壁部51と背面壁部52とで一組となるものであり、前記前面壁部51の背面側に背面壁部52を結合して組み合わせることで、これら前面壁部51と背面壁部52の内部に空洞ができるように構成されている。この空洞内には、前記前面壁部51の背面側に設けられる包囲部8等の各部と、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bおよび一対の支柱1a,1aの上端部とを収容し、被覆することができる。
なお、これら前面壁部51および背面壁部52との間には、互いに組み合わせて一体化した際の樹脂の浸入を防ぐためのシール手段が設けられている。
【0079】
また、前面壁部51および背面壁部52の底面部51a,52aには、前記底面カバー部53,53がそれぞれ差し込まれる差込口を形成するための差込口用切欠部51b,52bが切欠形成されている。
差込口用切欠部51b,52bも、これら差込口用切欠部51bと差込口用切欠部52bの2つで一組となるものであり、これら差込口用切欠部51bと差込口用切欠部52bとを組み合わせることで開口部とすることができ、この開口部を、前記底面カバー部53,53を差込可能な差込口とすることができる。
差込口は、前記ヘッドレストピラー1の一対の支柱1a,1aに対応して、前記底面部51a,52aの2ヶ所に配置されている。すなわち、前記差込口用切欠部51bは、前記前面壁部51の底面部51aの2ヶ所に形成されており、前記差込口用切欠部52bは、前記背面壁部52の底面部52aの2ヶ所に形成されている。
【0080】
また、前面壁部51および背面壁部52の一側部には、ロック部材22のシャフト部22bの端部に取り付けられるボタン55と、このボタン55の周縁を装飾する装飾縁部54とを取り付けるためのボタン取付部51c,52cが、側方に突出するようにして形成されている。
これらボタン取付部51c,52cの突出方向側端部には、前記装飾縁部54およびボタン55が差し込まれるボタン差込口を形成するためのボタン差込口用切欠部51d,52dが形成されている。
ボタン差込口用切欠部51d,52dも、これらボタン差込口用切欠部51dとボタン差込口用切欠部52dの2つで一組となるものであり、これらボタン差込口用切欠部51dとボタン差込口用切欠部52dとを組み合わせることで開口部とすることができ、この開口部を、前記装飾縁部54およびボタン55を差込可能なボタン差込口とすることができる。
【0081】
前記前面壁部51および背面壁部52には、前記底面部51a,52aに形成された底面カバー部53,53用の差込口と、前記ボタン取付部51c,52cに形成されたボタン差込口とを除いて開口部は形成されない構成となっている。すなわち、第1の実施の形態とは異なり、開口部6aは設けられていない状態となっている。
したがって、前記差込口およびボタン差込口からの樹脂の浸入を防ぐようにしてクッションパッドの成形を行うことによって、前面壁部51と背面壁部52との内部空洞部に樹脂が浸入することを防ぐことができる。
【0082】
前記前面壁部51の背面側には、
図13に示すように、補強部6b,6bや抱持部6d、取付部6f、包囲部8、把持部9、保持部10、ロック機構等が設けられている。
なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態とは異なり、補強部6cや支持部6eを始めとする各部が設けられていないものとするが、適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、本実施の形態においては、第1の実施の形態の挿入スリット7aに該当するものはなく、前面壁部51の左右側の壁部の後方への突出長さを短く設定することによって、ロック部材22を取り付けやすいようにしている。
【0083】
また、第1の実施の形態とは異なり、前記補強部6b,6bや抱持部6d、取付部6f等の正面側に、凹部や開口部も設けられていないものとする。
なお、このように、前面壁部6には前記補強部6b,6bや抱持部6d、取付部6f等の正面側に開口部や凹部はないとしたが、
図12に示すように、凹部51eが形成されているものとする。本実施形態においては、この凹部51eの背面側には、この凹部51eに対応する凸部が形成されていないが、適宜、凸部を形成してもよい。このように、前面壁部51に凹凸を形成することによって、前面壁部51の剛性を向上できるので、好ましい。
【0084】
本実施の形態の包囲部8は、第1の実施の形態の包囲部8と略同様の構成となっているが、上述のように前面壁部51に補強部6cが設けられていない。このため、ロックピン部22aの先端部を挿通させるための挿通孔56が、一対の補強リブ8a,8aのうち、ピン貫通孔21が形成される補強リブ8aとは反対側の補強リブ8aに形成されている。
この挿通孔56は、前記ピン貫通孔21と、前記包囲部8を介して連続するようにして配置されている。つまり、これらピン貫通孔21と挿通孔56との間に、ロックブラケット4の複数のロック用孔20…が位置するように設定されており、これらピン貫通孔21と、ロック用孔20と、挿通孔56とに対して同時に、ロックピン部22aが挿入されることになる。
また、前記前面壁部51の正面側には、上述のように開口部6aが設けられていないため、この包囲部8の前側に設けられるストッパー部8bはなく、前面壁部51自体が、前記ロックブラケット4の前端4aに当接するストッパーとして機能する。
【0085】
本実施の形態の把持部9は、第1の実施の形態の把持部9と略同様の構成となっているが、上述のように前面壁部51と背面壁部52とは組み合わされるものであることから、他の部位よりも後方に突出する拡張部9bは、本実施の形態の把持部9には備えられていないものとする。
本実施の形態においては、第1の実施の形態で拡張部9bがあった部分は、開放部9aであるスリットを後方に向かって開放する間隙とされており、ロックブラケット4の差し込みに支障がない状態となっている。
なお、本実施の形態の把持部9は、前記ヘッドレスト本体50の前面壁部51の背面側の下端部に設けられるとともに、左右側壁部と、これら左右側壁部の下端部に架設される下側壁部とによって構成された本体部を含んで構成されている。そして、この本体部に、前記横軸部1bおよびロックブラケット4を差込可能な形状のスリットが形成されており、このスリットが、前記開放部9aとされている。
【0086】
前記底面カバー部53,53は、
図12および
図14に示すように、互いに結合された状態の前記前面壁部51と背面壁部52との底面部51a,52aに、前記ヘッドレストピラー1の一対の支柱1a,1aの位置に対応して設けられるとともに、該支柱1a,1aが挿通されるスリット53a,53aが形成されたものである。
また、この底面カバー部53は、前記スリット53aと、周壁部53bと、鍔部53cと、を備えている。
【0087】
スリット53aは、前後方向に長くなる長孔状に形成されている。
このスリット53aが、前記前面壁部51および背面壁部52の底面部51a,52aに形成されることによって、前記ヘッドレスト本体50をスムーズに前後方向に回動させることができる。
【0088】
周壁部53bは、前記スリット53aの周縁に配置されるとともに、該スリット53aを形成するものであり、前記底面部51a,52aに形成された差込口に差し込まれて嵌合される。
なお、この周壁部53bには、図示はしないが、前記底面部51a,52aに引っ掛かる爪部等の嵌合手段が設けられているものとする。
【0089】
鍔部53cは、前記周壁部53bの下端部に一体形成されており、前記底面部51a,52aに当接するものである。
すなわち、この鍔部53cは、前記底面部51a,52aに形成された差込口よりも大径となるように形成されており、底面カバー部53が該差込口から、前面壁部51と背面壁部52との空洞部に没入することを防ぐことができる。
【0090】
また、前記装飾縁部54は、この装飾縁部54周縁の鍔部54aが前記ボタン取付部51c,52cに形成されたボタン差込口よりも大径に形成されたものであり、ボタン差込口に差し込まれるとともに嵌合されている。
なお、この装飾縁部54には、前記ボタン取付部51c,52cの内部に引っ掛かる爪部等の嵌合手段が設けられているものとする。
【0091】
前記ボタン55は、前記装飾縁部54中央の装着孔部54bに、該装着孔部54bの延在方向に沿って進退自在に差し込まれている。
また、このボタン55は、前記装飾縁部54の装着孔部54b内で引っ掛かるストッパー板部55aを有している。これによって、装飾縁部54から外側に露出する外側端面は、装飾縁部54の鍔部54aの外側面よりも外側に突出しない構成となっている。
【0092】
なお、前記ロック機構は、第1の実施の形態のロック機構と略同様の構成となっているが、前記ボタン55の外側端面が、装飾縁部54の鍔部54aの外側面よりも外側に突出しない構成となっているため、付勢ストッパー部24は設けられていない。
すなわち、付勢ストッパー部24がなくても、前記ストッパー板部55aが代わりに機能するようになっている。
【0093】
前記クリック機構は、前記ヘッドレスト本体50の回動に伴ってクリック感を生起するものである。
本実施の形態のクリック機構は、
図14に示すように、前記ヘッドレストピラー1の一対の支柱1a,1aと、凹凸係合部60と、を有している。
【0094】
前記一対の支柱1a,1aは、
図12および
図13に示すように、左右に離間して配置されており、これら一対の支柱1a,1aの上端部間に前記横軸部1bが架設されるとともに一体形成されている。
本実施の形態のクリック機構としては、これら一対の支柱1a,1aのうち、少なくとも一方の支柱1aを用いる。
【0095】
前記凹凸係合部60は、
図14に示すように、前記一対の底面カバー部53,53のうち、少なくとも一方の底面カバー部53のスリット53a周縁部に対して設けられるとともに、前記少なくとも一方の支柱1aが係合する複数の凹凸部60a,60bを前記ヘッドレスト本体50の回動方向に沿って連続して形成してなるものである。
すなわち、この凹凸係合部60は、前記底面カバー部53の周壁部53bのスリット53a側面に設けられている。
【0096】
凹部60bは、前記支柱1aの外周面に合わせて凹む曲面とされており、この曲面は、前記支柱1aの延在方向に連続している。そして、前記支柱1aの延在方向に沿って、この曲面である凹部60bを係合できるようになっている。
また、凹部60bは、
図14(b)に示すように複数設けられており、これら複数の凹部60b…は、前記ヘッドレスト本体50の傾斜角度に応じて段階的に傾斜するように配置されている。
凸部60aは、これら複数の凹部60b…間に複数配置されている。また、これら複数の凸部60a…と複数の凹部60b…とは一体形成されている。
【0097】
本実施の形態のクリック機構は、前記ヘッドレスト本体50が前後方向に回動されることにより、前記少なくとも一方の底面カバー部53に設けられた凹凸係合部60が、前記少なくとも一方の支柱1aに対してクリック感を伴いながら移動するように構成されている。すなわち、前記複数の凸部60a…が、前記少なくとも一方の支柱1aを乗り越え、前記凹部60bが、前記少なくとも一方の支柱1aに係合するように設定されている。
また、前記ロック機構によってヘッドレスト本体50の回動にロックがかかる際に、前記複数の凸部60a…が、前記少なくとも一方の支柱1aを乗り越え、前記凹部60bが、前記少なくとも一方の支柱1aに係合するように設定されており、クリック機構とロック機構とを連動させることができる。
以上のようにしてクリック機構が構成されている。また、以上のようにしてヘッドレストが構成されている。
【0098】
次に、ヘッドレスト本体50を、ヘッドレストピラー1の横軸部1bに取り付ける方法について説明する。
まず、第1の実施の形態と同様に、また
図13に示すように、前記横軸部1bを把持部9によって把持するとともに、ロックブラケット4を包囲部8によって包囲できるように、ヘッドレスト本体50の前面壁部51を、前記ヘッドレストピラー1に装着させる。また、ロック部材22や付勢部材23、付勢部材3も取り付ける。
【0099】
その後、前記装飾縁部54およびボタン55も、前記前面壁部51のボタン取付部51cのボタン差込口用切欠部51dに嵌め込んでおく。
そして、前記背面壁部52を、前記前面壁部51に対して結合させるようにする。この時、背面壁部52のボタン取付部52cのボタン差込口用切欠部52dを、前記前面壁部51のボタン取付部51cのボタン差込口用切欠部51dと組み合わせる。これによって、前記装飾縁部54およびボタン55を、ボタン取付部51c,52cに取り付けることができる。
【0100】
次に、予め凹凸係合部60が周壁部53bのスリット53a側に設けられた底面カバー部53,53を、前記前面壁部51および背面壁部52の底面部51a,52aに取り付ける。すなわち、2つの差込口用切欠部51bと、2つの差込口用切欠部と52bを組み合わせることで形成された2つの差込口に、前記底面カバー部53,53をそれぞれ差し込んで嵌合する。
また、この時に、底面カバー部53のスリット53aに、前記ヘッドレストピラー1の支柱1aを挿通させるようにする。
以上のようにしてヘッドレスト本体50を、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bに取り付けることができる。
【0101】
次に、以上のように構成されたヘッドレストの動作について説明する。
ヘッドレストの動作は、第1の実施の形態と同様に、前記ヘッドレストピラー1の横軸部1bに対して前後方向に回動自在に取り付けられたヘッドレスト本体50の前後方向への回動に基づくものである。
なお、ヘッドレスト本体50の前後方向への回動およびロック機構の動作は、第1の実施の形態と略同様であるため、説明を省略する。
【0102】
本実施の形態のヘッドレストの動作において、クリック機構は以下のように動作する。
すなわち、ヘッドレスト本体50を前方に一段階回転させるに際し、ロックピン部22aが最後方のロック用孔20に差し込まれている状態から、二番目に後方に位置するロック用孔20に差し込む場合は、まず、前記シャフト部22bのボタン55が取り付けられた端部を押し込み、ロックピン部22aの先端部を、最後方のロック用孔20から抜く。
続いて、ヘッドレスト本体50を前方へ回転させる。
この時、
図14に示すクリック機構の凹凸係合部60の凸部60aが、前記支柱1aを乗り越えて、前記凹部60bが、この支柱1aに係合するように動き、これに伴って、クリック感が生起する。
また、このクリック機構とロック機構は連動しているため、前記凸部60aが支柱1aを乗り越えるのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、最後方のロック用孔20と二番目に後方のロック用孔20との間を移動する。さらに、前記凹部60bが支柱1aに係合するのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、二番目に後方のロック用孔20に差し込まれることになる。
【0103】
なお、本実施の形態では、ロックピン部22aが最後方のロック用孔20に差し込まれている状態から、二番目に後方に位置するロック用孔20に差し込む場合について説明している。
このような動作は、ロックピン部22aを、二番目に後方のロック用孔20から、三番目に後方のロック用孔20(すなわち、前方から二番目のロック用孔20)に差し込む場合も同様であり、この三番目に後方のロック用孔20から、最前方のロック用孔20に差し込む場合も同様である。
【0104】
一方、ヘッドレスト本体50を後方に一段階回転させるに際し、ロックピン部22aが最前方のロック用孔20に差し込まれている状態から、二番目に前方に位置するロック用孔20に差し込む場合は、まず、前記シャフト部22bのボタン11が取り付けられた端部を押し込み、ロックピン部22aの先端部を、最前方のロック用孔20から抜く。
続いて、ヘッドレスト本体5を後方へ回転させる。
この時、
図14に示すクリック機構の凹凸係合部60の凸部60aが、前記支柱1aを乗り越えて、前記凹部60bが、この支柱1aに係合するように動き、これに伴って、クリック感が生起する。
また、このクリック機構とロック機構は連動しているため、前記凸部60aが支柱1aを乗り越えるのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、最前方のロック用孔20と二番目に前方のロック用孔20との間を移動する。さらに、前記凹部60bが支柱1aに係合するのと同時に、ロックピン部22aの先端部は、二番目に前方のロック用孔20に差し込まれることになる。
【0105】
なお、本実施の形態では、ロックピン部22aが最前方のロック用孔20に差し込まれている状態から、二番目に前方に位置するロック用孔20に差し込む場合について説明している。
このような動作は、ロックピン部22aを、二番目に前方のロック用孔20から、三番目に前方のロック用孔20(すなわち、後方から二番目のロック用孔20)に差し込む場合も同様であり、この三番目に前方のロック用孔20から、最後方のロック用孔20に差し込む場合も同様である。
以上のようにしてクリック機構を動作させることができる。
【0106】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じように、前記ヘッドレスト本体50に加えられた外力を、前記ヘッドレストピラー1に対して確実かつ効率良く伝達することができるので、好ましい。
また、第1の実施の形態とは異なるクリック機構を採用しても、第1の実施の形態と同じように、ヘッドレスト本体50を前後方向に回動させる際にクリック感を得ることができるので、好ましい。