特許第5872720号(P5872720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872720
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20160216BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 8/72 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160216BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20160216BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/41
   A61K8/898
   A61K8/34
   A61K8/72
   A61K8/02
   A61Q1/00
   A61Q17/04
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-72120(P2015-72120)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-6029(P2016-6029A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-113148(P2014-113148)
(32)【優先日】2014年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】廣野 信悟
(72)【発明者】
【氏名】荒川 崇
(72)【発明者】
【氏名】高澤 伸雄
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−120871(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/065439(WO,A1)
【文献】 特開2013−103895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/37
A61K 8/02
A61K 8/34
A61K 8/41
A61K 8/72
A61K 8/898
A61Q 1/00
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2)および(E):
(A)2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートおよびジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含む紫外線防御剤、
(B)N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体
(C)エタノール
(D1)数平均粒子径が1μm以上10μm以下である粉体、
(D2)数平均粒子径が10μmより大きく25μm以下である粉体、および
(E)噴射剤
を含む皮膚化粧料であって、
当該皮膚化粧料の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(A)の含有量が5質量%以上20質量%以下であり、
当該皮膚化粧料の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(B)の含有量が0.1質量%以上3質量%以下であり、
当該皮膚化粧料の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(C)の含有量が0質量%以上9質量%以下であり、
当該皮膚化粧料中の前記成分(D1)と前記成分(D2)との質量比が、(成分(D1)/成分(D2))=1/2〜20/1である、皮膚化粧料。
【請求項2】
当該皮膚化粧料中の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(D1)と前記成分(D2)の含有量の合計が0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
前記成分(D1)または前記成分(D2)が、ナイロンパウダー、エチレンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸重合体のパウダー、メタクリル酸重合体のパウダー、アクリル酸アルキル重合体のパウダー、メタクリル酸アルキル重合体のパウダー、アクリル酸アルキレングリコール重合体のパウダー、メタクリル酸アルキレングリコール重合体のパウダー、ならびに、メタクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキレングリコールとの共重合体のパウダーから選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2に記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
前記成分(D1)と(D2)の総和に対する前記成分(B)の質量割合((B)/((D1)+(D2)))が、0.05以上1以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項5】
(F)下記一般式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体 成分(E)を除く全成分中0.1質量%以上3質量%以下 をさらに含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の皮膚化粧料。
Gly−[O(PO)m(EO)n−(BO)pH]3 (I)
(上記一般式(I)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。mおよびnはそれぞれPOおよびEOの平均付加モル数であって、1〜50の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。BOは炭素数4のオキシアルキレン基である。pはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を用いて紫外線を防ぐ技術として、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1(特開平11−343224号公報)には、エタノールおよび特定の化合物を含むエアロゾル用の組成物を耐圧容器に充填してなる化粧料が記載されている。
【0003】
特許文献2(特開2012−140342号公報)には、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、特定のブロック型アルキレンオキシド誘導体、紫外線吸収剤、油分および水を含む水中油型乳化日焼け止め化粧料に関する技術が記載されている。また、特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合すると、優れた安定性と優れた使用感とを有する水中油型乳化日焼け止め化粧料が得られると記載されている。
【0004】
特許文献3(特開平9−227331号公報)には、紫外線防御剤およびポリ(N−アシルアルキレンイミン)変性シリコーンを含む紫外線防御化粧料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−343224号公報
【特許文献2】特開2012−140342号公報
【特許文献3】特開平9−227331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討により、特許文献1に記載の技術のように化粧料中にエタノールを多く含有させることにより、なじみ性や高い冷涼感が得られるという点で好ましい使用感が得られる反面、紫外線防御効果の持続性に劣るという点で改善の余地があることが見出された。
【0007】
そこで、本発明は、紫外線防御効果の持続性と、べたつきが抑えられてさらさら感があるという使用感の向上との相反する効果を両立するとともに、粉体の再分散性に優れる皮膚化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、次の成分(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2)および(E):
(A)紫外線防御剤、
(B)N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントと、オルガノポリシロキサンセグメントとを構成単位とするポリマー、
(C)炭素数1以上4以下のアルコール、
(D1)数平均粒子径が1μm以上10μm以下である粉体、
(D2)数平均粒子径が10μmより大きく25μm以下である粉体、および
(E)噴射剤
を含む皮膚化粧料であって、
当該皮膚化粧料の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(C)の含有量が40質量%以上95質量%以下であり、
当該皮膚化粧料中の前記成分(D1)と前記成分(D2)との質量比が、(成分(D1)/成分(D2))=1/2〜20/1である、皮膚化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紫外線防御効果の持続性と、べたつきが抑えられてさらさら感があるという使用感の向上との相反する効果を両立するとともに、粉体の再分散性に優れる皮膚化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態において、皮膚化粧料は、以下の成分(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2)および(E)を含む組成物である。
(A)紫外線防御剤、
(B)N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントと、オルガノポリシロキサンセグメントとを構成単位とするポリマー、
(C)炭素数1以上4以下のアルコール、
(D1)数平均粒子径が1μm以上10μm以下である粉体、
(D2)数平均粒子径が10μmより大きく25μm以下である粉体、および
(E)噴射剤
さらに、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、成分(C)の含有量が40質量%以上95質量%以下であり、皮膚化粧料中の成分(D1)と成分(D2)との質量比が、(成分(D1)/成分(D2))=1/2〜20/1である。
【0011】
以下、各成分について具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本実施形態において、使用感とは、化粧料を使用した場合に、べたつきがなく、さらさら感を感じることを意味する。
【0012】
(成分(A))
成分(A)は、紫外線防御剤である。成分(A)としては、通常用いられる紫外線散乱剤、有機紫外線吸収剤、のいずれをも好適に使用することができる。これらのうち、紫外線散乱剤の具体例として、数平均粒子径がたとえば1nm以上であり、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上であり、また、たとえば500nm以下であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である、酸化チタン、微粒子酸化チタン(特開昭57−67681号公報に記載のもの等)、酸化亜鉛、微細亜鉛華(特開昭62−228006号公報に記載のもの等)、薄片状酸化亜鉛(特開平1−175921号公報に記載のもの等)、酸化鉄、微粒子酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、これらはシリコーン、金属石鹸、N−アシルグルタミン酸、パーフルオロアルキルリン酸エステル等で表面処理したものであってもよい。これらの形状、形態は限定されず、ゾルなどの形態で使用してもよい。
【0013】
また、有機紫外線吸収剤としては、油溶性のものが好ましく、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
安息香酸系紫外線吸収剤として、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、グリセリルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、N−エトキシレートPABAエチルエステル、N−ジメチルPABAエチルエステル、N−ジメチルPABAブチルエステル、N−ジメチルPABAアミルエステル、オクチルジメチルPABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられる。紫外線吸収効果を高めつつ、べたつきを抑制する観点から、パラアミノ安息香酸、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸へキシルが好ましく、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸へキシルがより好ましい。
アントラニル酸系紫外線吸収剤として、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等が挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤として、アミルサリチレート、メンチルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレート、フェニルサリチレート、ベンジルサリチレート、p−イソプロパノールフェニルサリチレート等が挙げられる。
桂皮酸系紫外線吸収剤として、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイルジパラメトキシシンナメート等が挙げられる。これらの中で、紫外線吸収効果を高めつつ、べたつきを抑制する観点から、オクチルシンナメート、2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートが好ましく、2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートがより好ましい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4'−フェニルベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−[{4−(2−エチルへキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
その他のものとして、3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、3−ベンジリデン−dl−カンファー、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボニリデン)−3−ペンタン−2−オン、特開平2−212579号公報記載のベンゼン・ビス−1,3−ジケトン誘導体、特開平3−220153号公報記載のベンゾイルピナコロン誘導体等が挙げられる。
【0014】
成分(A)としては、紫外線防御効果を高めつつ、べたつきを抑制する観点から、安息香酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含有していることがさらに好ましく、安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも2種を含有していることがより好ましい。
【0015】
成分(A)の紫外線防御剤は、1種又は2種以上を組合わせて使用することができ、その組合わせおよび配合量は、たとえば皮膚化粧料の紫外線防御効果に応じて決定される。皮膚化粧料の紫外線防御効果をより発現させる観点から、成分(A)の含有量は、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、たとえば0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上とする。また、皮膚化粧料の使用感をさらに向上させる観点からは、すなわち、べたつきの抑制およびさらさら感を付与する観点から、成分(A)の配合量は、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、たとえば30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下である。
【0016】
また、成分(A)として、2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートおよびジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを組み合わせて用いるとき、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに対する2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートの割合は、べたつきを抑制する観点および紫外線防御効果をより発現させる観点から、質量比(2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメート/ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)でたとえば10/1以下であり、好ましくは8/1以下であり、より好ましくは7/1以下であり、また、たとえば2/1以上であり、好ましくは3/1以上であり、より好ましくは4/1以上である。
【0017】
(成分(B))
成分(B)は、N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントと、オルガノポリシロキサンセグメントとを構成単位とするポリマーである。
【0018】
成分(B)において、N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントに対するオルガノポリシロキサンセグメントの質量比(オルガノポリシロキサンセグメントa/N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントb)は、化粧料の紫外線防御効果の持続性とべたつきの抑制とのバランスを向上させる観点から、たとえばa/b=45/55以上であり、好ましくは65/35以上、さらに好ましくは85/15以上であり、また、たとえば94/6以下であり、好ましくは92/8以下、さらに好ましくは90/10以下である。
なお、本明細書において、上記質量比は、本発明のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%で溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基またはフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0019】
成分(B)において、オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量は、化粧料の紫外線防御効果の持続性を向上させる観点、べたつきを抑制する観点、化粧料の伸ばし易さを向上させる観点および有機紫外線吸収剤との相溶性を向上させる観点から、たとえば1×104以上であり、好ましくは2×104以上、さらに好ましくは3.5×104以上であり、また、たとえば3×105以下であり、好ましくは2×105以下、さらに好ましくは1.5×105以下である。
なお、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は変性オルガノポリシロキサンの平均分子量と略同一である。
ここで、変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)により下記条件で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
カラム:Super HZ4000 + Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV検出器
サンプル:50μL
【0020】
また、成分(B)において、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量は、化粧料の紫外線防御効果の持続性を向上させる観点、べたつきを抑制する観点、化粧料の伸ばし易さを向上させる観点、有機紫外線吸収剤との相溶性を高める観点、および化粧料の皮膜の柔軟性と溶媒への溶解性を高める観点から、たとえば5×102以上であり、好ましくは7×102以上、さらに好ましくは8×102以上であり、また、たとえば4×103以下であり、好ましくは3.5×103以下、さらに好ましくは3×103以下である。
なお、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法または上記GPC測定法により測定することが可能であるが、本実施形態においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいう。
【0021】
成分(B)のポリマーの具体例として、下記一般式(3)で示すものが挙げられる。
【0022】
【化1】
【0023】
(上記一般式(3)中、nは1〜5の数を示し、R9は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、mはモノマーの重合度であって、1〜1000の数を示し、rは平均で10〜2000、pは平均で0〜20、qは平均で1〜20の数を示し、X-は四級アンモニウムイオンの対イオンを示し、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン又は過塩素酸イオンを示す。なお、N−アシルアルキレンイミンの繰り返し単位のN末端には、重合開始剤残基が結合する。)
重合開始剤としては、ジエチル硫酸、ジメチル硫酸、塩酸、ヨウ化水素、硫酸、p−トルエンスルホン酸、過塩素酸等が用いられ、これらの残基が重合後のN−末端に結合する。
【0024】
成分(B)のポリマーとして、N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体(POLYSILICONE−9)が好ましい。POLYSILICONE−9として、たとえば特開2009−256367号公報に記載のものを用いることができる。
【0025】
本実施形態において、皮膚化粧料中の成分(B)の含有量は、さらさら感の持続性を向上させる観点および化粧料の紫外線防御効果の持続性を向上させる観点から、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、たとえば0.1質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上である。また、化粧料のべたつきを抑制してさらさら感を得る観点、および、化粧料の塗布時の感触が重すぎないようにするとともに化粧料の保存安定性を安定的に得る観点から、皮膚化粧料中の成分(B)の含有量は、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、たとえば3質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
【0026】
(成分(C))
成分(C)は、炭素数1以上4以下のアルコールである。
さらに具体的には、成分(C)は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールからなる群から選択される1種または2種以上であり、成分(B)の溶解性、分散性を向上させる観点および化粧料に配合する際のハンドリング性を向上させる観点から、エタノールが好ましい。
【0027】
皮膚化粧料中の成分(C)の含有量は、べたつきを抑制する観点から、成分(E)を除く全成分中、40質量%以上であり、好ましくは60質量%以上である。
また、さらさら感およびその持続性を向上させる観点から、皮膚化粧料の成分(C)の含有量は、成分(E)を除く全成分中、95質量%以下であり、好ましくは90質量%以下である。
また、化粧料組成物中の成分(E)を除く全成分により構成される原液において、成分(C)の含有量は、原液中の成分(C)以外の成分を除く残部とすることができる。
【0028】
(粉体)
本実施形態における皮膚化粧料は、粉体成分として成分(D1)および(D2)を含む。
このうち、成分(D1)は、数平均粒子径が1μm以上10μm以下の粉体である。また、成分(D2)は、数平均粒子径が10μmより大きく25μm以下の粉体である。
【0029】
ここで、本明細書において、平均粒子径とは光散乱法により測定される数平均粒子径である。なお、数平均粒子径とは、各粒子の粒径を算術平均した値を意味する。
【0030】
成分(D1)および(D2)の粉体は、形状が略球状の粉体をいい、回転楕円体、表面に凹凸がある球状粉体等であってもよく、完全な球形であることを必要としない。
成分(D1)および(D2)の形状は同じであっても異なってもよい。
【0031】
成分(D1)および(D2)の材料は、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、成分(D1)および(D2)の具体例として、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;ジメチルシリコーンを架橋したシリコーンエラストマーパウダーやポリメチルシルセスキオキサンパウダー等のシリコーンパウダー;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、(メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸エチレングリコール)コポリマー等のような、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機球状粉体が挙げられる。
成分(D1)および(D2)の材料は同じであっても異なってもよい。
以下、成分(D1)および(D2)の構成をさらに具体的に説明する。
【0032】
成分(D1)の数平均粒子径は、化粧料を塗布した際にさらさらした感触に優れる点で、すなわち、さらさら感を向上させる観点から、1μm以上であり、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上である。また、上記観点から、成分(D1)の数平均粒子径は、10μm以下であり、好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。
【0033】
成分(D1)としては、べたつきを抑制する観点、さらさら感およびその持続性を向上させる観点、ならびに、粉体の再分散性を向上させる観点から、ナイロンパウダー、エチレンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーが好ましく、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーがさらに好ましく、シリコーンパウダーがより好ましい。
【0034】
成分(D1)として、さらに具体的には、シリコーンパウダーとして、KMP−599(3μm)、KSP−100(5μm)、KSP−105(2μm)、KSP−300(5μm)、X−52−1621(5μm)(以上、信越化学工業社製);
トスパール120A(2μm)、トスパール145A(4.5μm)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製);
トレフィルE506S(4μm)、トレフィルE508(4μm)、BY29−129(4μm)(以上、東レ・ダウコーニング社製);
ガンツパールSI−045C(4.5μm)、ガンツパールSIG−070(7μm)、メタクリル酸アルキルとして、ガンツパールGMP−0800(8μm)、ポリアクリル酸として、ガンツパールGMP−0820(8μm)(以上、アイカ工業社製);
メタクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキレングリコールの共重合体として、マツモトマイクロスフェアーM−201(4μm)、マツモトマイクロスフェアーM−305(8μm)、マツモトマイクロスフェアーM312(5.5μm)(以上、松本油脂製薬社製);
ナイロンパウダーとして、ナイロンSP−500(5μm)、ナイロンSP−10(10μm)(以上、東レ社製)等の市販品を用いることができる。
【0035】
中でも、成分(D1)として、シリコーンパウダーであるX−52−1621(5μm)(信越化学工業社製)や、トスパール145A(4.5μm)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、ガンツパールSI−045C(4.5μm)(アイカ工業社製)が、塗布時にさらさらとした感触が得られる、すなわち、より優れたさらさら感を得ることができる点、および、白浮きしない仕上がりになる点で好ましい。
【0036】
次に、成分(D2)について説明する。
成分(D2)の数平均粒子径は、肌へののびなじみを良好にする観点および粉体の再分散性を向上させる観点から、10μmより大きく、好ましくは11μm以上、さらに好ましくは13μm以上、より好ましくは15μm以上である。また、上記観点から、成分(D2)の数平均粒子径は、25μm以下であり、好ましくは24μm以下、さらに好ましくは23μm以下である。
【0037】
成分(D2)に対する成分(D1)の粒径比((D1)/(D2))は、化粧料を皮膚に塗布した際にさらさらした感触に優れる点で、すなわち、さらさら感を向上させる観点、肌へののびなじみを良好にする観点および粉体の再分散性を向上させる観点から、たとえば1/2以下であり、好ましくは1/2.5以下、さらに好ましくは1/2.8以下であり、より好ましくは1/3以下であり、また、たとえば1/10以上であり、好ましくは1/8以上、さらに好ましくは1/7以上であり、より好ましくは1/6以上である。
【0038】
成分(D2)としては、ナイロンパウダー、エチレンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーが好ましく、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルから選ばれるすくなくとも1種と、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれるすくなくとも1種との共重合体のパウダーがより好ましく、メタクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキレングリコールとの共重合体のパウダーがさらに好ましい。
【0039】
成分(D2)として、さらに具体的には、シリコーンパウダーとして、KMP−601(12μm)、KMP−598(13μm)、KSP−101(12μm)(以上、信越化学工業);
メタクリル酸アルキルとして、ガンツパールGM−2000(20μm)、ガンツパールGMX−2001(20μm)、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体として、ガンツパールGS−1105(11μm)(以上、アイカ工業社製);
メタクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキレングリコールの共重合体として、マツモトマイクロスフェアーM−503(20μm)(以上、松本油脂製薬社製);
エチレンパウダーとして、フロービーズCL−2080(11μm)、フロービーズCL−3080(13μm)(以上、住友精化社製);
ナイロンパウダーとして、ナイロンTR−1(13μm)、ナイロンTR−2(20μm)(以上、東レ社製)等の市販品を用いることができる。
【0040】
中でも、成分(D2)としては、メタクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキレングリコールの共重合体であるマツモトマイクロスフェアーM−503(20μm)(松本油脂製薬社製)や、ガンツパールGMX−2001(20μm)、ガンツパールGM−2000(20μm)(アイカ工業社製)が、粉体の再分散性を向上させる観点および化粧料の塗布時ののびが良い点で好ましい。
【0041】
また、さらさら感およびその持続性を向上させる観点、ならびに、粉体の再分散性を向上させる観点から、成分(D1)または成分(D2)が、ナイロンパウダー、エチレンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーであってもよい。
【0042】
また、成分(D1)および(D2)の組み合わせの具体例として、成分(D1)がシリコーンパウダー、ナイロンパウダーならびにアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、成分(D2)が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダー、エチレンパウダーならびにナイロンパウダーからなる群から選ばれる1種または2種以上である組み合わせが好ましい。
【0043】
成分(D1)と成分(D2)との質量比すなわち成分(D2)に対する成分(D1)の質量割合((D1)/(D2))は、粉体の化粧料中での再分散性を向上させる観点や、肌へ好適に密着し、塗布時のさらさらした感触(さらさら感)を向上させる観点から、たとえば20/1以下であり、好ましくは15/1以下、さらに好ましくは10/1以下であり、より好ましくは8/1以下であり、また、たとえば1/2以上であり、好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上である。
【0044】
また、本実施形態における皮膚化粧料中の成分(D1)および(D2)の含有量は、塗布時に化粧料のべたつきを抑制し、肌にさらさらとした感触(さらさら感)を付与する観点から、成分(E)を除く全成分すなわち原液を100%としたときに成分(D1)と(D2)の合計で、たとえば0.5質量%以上とすることが好ましく、1質量%以上とすることがより好ましく、1.5質量%以上とすることがさらに好ましい。
また、粉体の再分散性を良好に保つ観点および化粧料噴霧時の皮膚化粧料の詰まりを抑制する観点から、皮膚化粧料中の成分(D1)および(D2)の含有量は、成分(E)を除く全成分すなわち原液を100%としたときに成分(D1)と(D2)の合計で、たとえば10質量%以下であり、好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、よりいっそう好ましくは4質量%以下とする。
本実施形態において、化粧料噴霧時の皮膚化粧料の詰まりとは、容器に収納された化粧料を皮膚に塗布する際、容器から容器外への吐出口にでるまでのいずれかの容器の部位において、化粧料の吐出が抑制されることをいう。
【0045】
また、成分(D1)と(D2)の総和に対する成分(B)の割合((B)/((D1)+(D2)))は、肌へ好適に密着して紫外線防御効果の持続性およびさらさら感の持続性をさらに向上させる観点から、質量比でたとえば0.05以上であり、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上とし、また、たとえば1以下であり、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.75以下とする。
【0046】
(成分(E))
成分(E)は、噴射剤である。
成分(E)の噴射剤の具体例としては、液化天然ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。また、HFC−152a等の代替フロンを使用することもできる。
成分(E)の噴射剤の沸点は、良好な冷涼感を得る観点から、たとえば−50℃以上であり、好ましくは−40℃以上、また、たとえば0℃以下であり、好ましくは−20℃以下である。成分(E)のさらに好ましい例としてLPGが挙げられる。
【0047】
皮膚化粧料中の成分(E)の噴射剤の含有量は、良好な冷涼感を得る観点、ならびに、化粧料を肌へ好適に付着させ、紫外線防御効果および使用感を向上させる観点から、皮膚化粧料中の成分(E)を除く成分、すなわち成分(A)〜(C)、(D1)、(D2)および任意成分から構成される原液と噴射剤との質量比で、原液/噴射剤がたとえば10/90以上であり、好ましくは20/80以上、さらに好ましくは30/70以上であり、また、たとえば70/30以下であり、好ましくは60/40以下、さらに好ましくは50/50以下である。
【0048】
また、皮膚化粧料が充填される耐圧容器内の圧力が25℃の温度でたとえば0.15MPa以上0.40MPa以下、好ましくは0.18MPa以上0.35MPa以下になるように成分(E)の量または比を調整するのが好ましい。
【0049】
また、本実施形態において、皮膚化粧料がさらに以下の成分(F)を含んでもよい。
(F)下記一般式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体
Gly−[O(PO)m(EO)n−(BO)pH]3 (I)
(上記一般式(I)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。mおよびnはそれぞれPOおよびEOの平均付加モル数であって、1〜50の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。BOは炭素数4のオキシアルキレン基である。pはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である。)
【0050】
成分(F)として、具体的には、特開2006−225324号公報に記載の材料を用いることができる。すなわち、成分(F)は、グリセリンにプロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO)をそれぞれグリセリンに対して3〜150モル当量の割合で付加させた後に、炭素数4のアルキレンオキシドをグリセリンに対して1.5〜15モル当量の割合で付加させて得られる。つまり、成分(F)は、いったん、POとEOとの付加物を合成した後、炭素数4のアルキレンオキシドをブロック状で付加することにより得られる。
【0051】
プロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は、化粧料のべたつきを抑える観点および化粧料の伸ばし易さを向上させる観点から、それぞれ1以上とすることが好ましい。また、同様の観点から、POおよびEOの平均付加モル数は、それぞれ50以下とすることが好ましい。
【0052】
炭素数4のアルキレンオキシド(BO)の平均付加モル数は、べたつきを抑制する観点から、0.5以上とすることが好ましい。また、化粧料の伸ばし易さを向上させる観点および化粧料の付着性を向上させる観点から、BOの平均付加モル数は5以下とすることが好ましい。
【0053】
炭素数4のアルキレンオキシドとしては、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)などが挙げられる。これらの中で、入手の容易さ、反応制御の容易さなどの点から、1,2−ブチレンオキシドが好ましい。
【0054】
グリセリンにこれらのアルキレンオキシドを付加させる場合、アルカリ触媒、相関移動触媒、ルイス酸触媒などを用いて付加反応を行う。一般的には、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いることが好ましい。
化粧料のべたつきを抑える観点および化粧料の伸ばし易さを向上させる観点から、成分(F)のアルキレンオキシド誘導体がポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリン(INCI名:PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン)であることが好ましく、日本油脂社よりウイルブライドS−753として市販されている。
【0055】
皮膚化粧料中の成分(F)の含有量は、べたつきを抑制する観点から、成分(E)を除く全成分中、たとえば0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは1.2質量%以上である。
また、べたつきを抑制する観点およびさらさらした使用感(さらさら感)を得る観点から、皮膚化粧料中の成分(F)の含有量は、成分(E)を除く全成分中、たとえば3質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下である。
【0056】
また、本実施形態の皮膚化粧料中の成分(F)に対する成分(A)の質量比((A)/(F))は、べたつきを抑制する観点およびさらさらした使用感(さらさら感)を得る観点から、好ましくは25/1以下であり、より好ましくは15/1以下、さらに好ましくは10/1以下であり、また、好ましくは3/1以上であり、より好ましくは4/1以上、さらに好ましくは5/1以上である。
【0057】
また、本実施形態の皮膚化粧料には、上述した成分以外の成分、たとえば、界面活性剤、油性成分、香料、保湿剤、美容成分、薬効成分、増粘剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤およびその他の通常の化粧料に用いられる成分を含有させることもできる。
【0058】
さらに、本実施形態の皮膚化粧料において、水の含有量は、均一で外観の良好な組成物を得る観点から、成分(E)を除く全組成中に1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がよりさらに好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましく、実質0であるのがよりさらに好ましい。
また、本実施形態の皮膚化粧料において、水の含有量は、紫外線吸収能をより向上させる観点および使用時にみずみずしさを付与する観点から、成分(E)を除く全組成中に1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。また、べたつきを抑制しさっぱりとした使用感を付与する観点から、皮膚化粧料中の水の含有量は、成分(E)を除く全組成中に8質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましい。
【0059】
本実施形態の皮膚化粧料において、増粘剤の含有量は、良好な噴霧状態を実現させる観点から、成分(E)を除く全組成中に3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がよりさらに好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましく、実質0であるのがよりさらに好ましい。良好な噴霧状態を確保することで、肌への塗布中のムラや化粧料の付きムラを改善することができる。このため、べたつきの抑制およびさらさら感の付与についての化粧料の使用感、および、紫外線防御効果の持続性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態の皮膚化粧料においては、紫外線防御剤および粉体の分散性を高め、さらに粉体の再分散性を向上させる観点から、界面活性剤を含有することも有効な方法である。前記観点から、界面活性剤の含有量は、成分(E)を除く全組成中に0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.007質量%以上がさらに好ましく、また、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
【0061】
次に、本実施形態における皮膚化粧料の製造方法を説明する。
本実施形態における皮膚化粧料は、たとえば、
成分(E)の噴射剤以外の成分を混合し、溶解または分散して原液を調製する工程と、
上記工程で得られた原液を、成分(E)の噴射剤とともに耐圧容器に充填する工程と、
を含む方法により製造される。
耐圧容器としては、通常のエアゾール製剤に用いられるものを使用することができる。
【0062】
本実施形態においては、成分(A)〜(C)、(D1)、(D2)および(E)を組み合わせて用いるとともに、成分(C)の含有量および成分(D1)と成分(D2)との質量比が特定の範囲にあるため、好ましい使用感と紫外線防御効果の持続性とのバランスに優れるとともに、化粧料中での粉体の再分散性に優れた化粧料を得ることができる。さらに具体的には、べたつきを抑制し、さらさら感のある皮膚化粧料を得ることができる。
【0063】
さらに具体的には、成分(B)および(C)を組み合わせて用いることにより、化粧料の紫外線防御効果の持続性とべたつきの抑制効果とのバランスを向上させることができる。
また、成分(D1)および(D2)として、大きさの異なる複数の粉体を特定の組み合わせで用いることにより、肌への塗布中のムラや化粧料の付きムラを改善することができる。このため、べたつきの抑制およびさらさら感の付与についての化粧料の使用感、および、紫外線防御効果の持続性を向上させることができる。また、化粧料中での粉体の再分散性を向上させることもできる。
また、本実施形態の皮膚化粧料は、たとえば紫外線防御化粧料として好適に用いることができる。
本実施形態の皮膚化粧料は、皮膚、好ましくは顔、身体、手足等のいずれかに塗布することにより、使用することができる。また、本実施形態の皮膚化粧料を頭皮や髪に使用することもできる。
また、本実施形態の皮膚化粧料は、皮膚に塗布することにより、紫外線を防御することができ、また、べたつきを抑えることができ、さらにさらさら感を得ることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0065】
以上に述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0066】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2)および(E):
(A)紫外線防御剤、
(B)N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントと、オルガノポリシロキサンセグメントとを構成単位とするポリマー、
(C)炭素数1以上4以下のアルコール、
(D1)数平均粒子径が1μm以上10μm以下である粉体、
(D2)数平均粒子径が10μmより大きく25μm以下である粉体、および
(E)噴射剤
を含む皮膚化粧料であって、
当該皮膚化粧料の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(C)の含有量が40質量%以上95質量%以下であり、
当該皮膚化粧料中の前記成分(D1)と前記成分(D2)との質量比が、(成分(D1)/成分(D2))=1/2〜20/1である、皮膚化粧料。
【0067】
<2>当該皮膚化粧料中の前記成分(E)を除く全成分中、前記成分(D1)と前記成分(D2)の含有量の合計が0.5質量%以上10質量%以下である、前記<1>に記載の皮膚化粧料。
<3>(F)下記一般式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体 0.1質量%以上3質量%以下 をさらに含む、前記<1>または<2>に記載の皮膚化粧料。
Gly−[O(PO)m(EO)n−(BO)pH]3 (I)
(上記一般式(I)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。mおよびnはそれぞれPOおよびEOの平均付加モル数であって、1〜50の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。BOは炭素数4のオキシアルキレン基である。pはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である。)
<4>成分(A)は、紫外線散乱剤および有機紫外線吸収剤からなる群から選択される1種または2種以上であって、数平均粒子径が1nm以上であり、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上であり、また、500nm以下であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である、紫外線散乱剤および有機紫外線吸収剤からなる群から選択される1種または2種以上が好ましく、安息香酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましく、安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも1種を含有していることがさらに好ましく、安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤およびトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも2種を含有していることがさらにより好ましく、2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートとジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルとを組み合わせて用いることがよりいっそう好ましい、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<5>ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに対する2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメートの割合が質量比(2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメート/ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)でたとえば10/1以下であり、好ましくは8/1以下であり、より好ましくは7/1以下であり、また、たとえば2/1以上であり、好ましくは3/1以上であり、より好ましくは4/1以上である、前記<4>記載の皮膚化粧料。
<6>皮膚化粧料中の成分(A)の含有量が、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下である、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<7>成分(B)において、N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントに対するオルガノポリシロキサンセグメントの質量比(オルガノポリシロキサンセグメントa/N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントb)であるa/bが、45/55以上であり、好ましくは65/35以上、さらに好ましくは85/15以上であり、また、94/6以下であり、好ましくは92/8以下、さらに好ましくは90/10以下である、前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<8>成分(B)において、オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が、1×104以上であり、好ましくは2×104以上、さらに好ましくは3.5×104以上であり、また、3×105以下であり、好ましくは2×105以下、さらに好ましくは1.5×105以下である、前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<9>成分(B)において、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量は、5×102以上であり、好ましくは7×102以上、さらに好ましくは8×102以上であり、また、4×103以下であり、好ましくは3.5×103以下、さらに好ましくは3×103以下である、前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<10>成分(B)のポリマーとして、N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体(POLYSILICONE−9)を含む、前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<11>皮膚化粧料中の成分(B)の含有量が、皮膚化粧料の成分(E)を除く全成分中、0.1質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上であり、また、3質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<12>成分(C)が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールからなる群から選択される1種または2種以上であり、エタノールが好ましい、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<13>皮膚化粧料中の成分(C)の含有量が、成分(E)を除く全成分中、40質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、また、95質量%以下であり、好ましくは90質量%以下であり、化粧料組成物中の成分(E)を除く全成分により構成される原液中の成分(C)以外の成分を除く残部であってもよい、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<14>成分(D1)および(D2)の材料が、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;ジメチルシリコーンを架橋したシリコーンエラストマーパウダーやポリメチルシルセスキオキサンパウダー等のシリコーンパウダー;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、(メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸エチレングリコール)コポリマー等のような、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機球状粉体である、前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<15>成分(D1)の数平均粒子径が、1μm以上であり、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、また、10μm以下であり、好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下である、前記<1>〜<14>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<16>成分(D2)に対する成分(D1)の粒径比((D1)/(D2))は、1/2以下であり、好ましくは1/2.5以下、さらに好ましくは1/2.8以下であり、より好ましくは1/3以下であり、また、たとえば1/10以上であり、好ましくは1/8以上、さらに好ましくは1/7以上であり、より好ましくは1/6以上である前記<1>〜<15>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<17>成分(D1)が、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーであり、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーがさらに好ましく、シリコーンパウダーがより好ましい、前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<18>成分(D2)の数平均粒子径が、10μmより大きく、好ましくは11μm以上、さらに好ましくは13μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、25μm以下であり、好ましくは24μm以下、さらに好ましくは23μm以下である、前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<19>成分(D2)が、ナイロンパウダー、エチレンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種または2種以上の重合体または共重合体のパウダーであり、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルから選ばれるすくなくとも1種と、アクリル酸アルキレングリコールおよびメタクリル酸アルキレングリコールから選ばれるすくなくとも1種との共重合体のパウダーがより好ましく、メタクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキレングリコールとの共重合体のパウダーがさらに好ましい、前記<1>〜<18>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<20>成分(D2)に対する成分(D1)の割合((D1)/(D2))が、質量比で20/1以下であり、好ましくは15/1以下、さらに好ましくは10/1以下であり、より好ましくは8/1以下であり、また、1/2以上であり、好ましくは1/1以上、さらに好ましくは2/1以上である、前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<21>皮膚化粧料中の成分(D1)および(D2)の含有量が、成分(D1)と(D2)の合計で、0.5質量%以上であり、1質量%以上とすることが好ましく、1.5質量%以上とすることがさらに好ましく、また、10質量%以下であり、好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、よりいっそう好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<22>成分(D1)と(D2)の総和に対する成分(B)の割合((B)/((D1)+(D2)))が、質量比で0.05以上であり、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上であり、また、1以下であり、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.75以下である、前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<23>成分(E)が、液化天然ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、代替フロン、これらの混合物等から選ばれる1種または2種以上であり、好ましくはLPGである、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<24>成分(E)の沸点が、−50℃以上であり、好ましくは−40℃以上であり、また、0℃以下であり、好ましくは−20℃以下である、前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<25>皮膚化粧料中の成分(E)の含有量が、皮膚化粧料中の成分(E)を除く成分、すなわち成分(A)〜(C)、(D1)、(D2)および任意成分から構成される原液と噴射剤との質量比で、原液/噴射剤が10/90以上であり、好ましくは20/80以上、さらに好ましくは30/70以上であり、また、70/30以下であり、好ましくは60/40以下、さらに好ましくは50/50以下である、前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<26>(F)上記一般式(I)に示したアルキレンオキシド誘導体をさらに含み、成分(F)のアルキレンオキシド誘導体がポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリン(INCI名:PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン)である、前記<1>〜<25>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<27>皮膚化粧料中の水の含有量が、成分(E)を除く全成分中、1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、さらにより好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、殊更好ましくは実質0質量%以下である、前記<1>〜<26>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<28>(F)上記一般式(I)に示したアルキレンオキシド誘導体をさらに含み、皮膚化粧料中の成分(F)の含有量が、成分(E)を除く全成分中、0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは1.2質量%以上であり、また、3質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下である、前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<29>皮膚化粧料中の増粘剤の含有量が、成分(E)を除く全成分中、3質量%以下であり、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がよりさらに好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましく、実質0であるのがよりさらに好ましい前記<1>〜<28>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<30>皮膚化粧料中の界面活性剤の含有量が、成分(E)を除く全成分中、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.007質量%以上がさらに好ましく、また、0.5質量%以下であり、0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<29>のいずれか1に記載の皮膚化粧料。
<31>成分(E)以外の成分を混合し、溶解または分散して原液を調製する工程と、
上記工程で得られた原液を、成分(E)の噴射剤とともに耐圧容器に充填する工程と、
を含む、前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料の製造方法。
<32>前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料を皮膚に塗布するステップを含み、好ましくは、頭皮、顔、身体、手足等のいずれかに塗布するステップを含む、皮膚化粧料の使用方法。
<33>前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料を皮膚に塗布するステップを含む、紫外線防御方法。
<34>前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料を皮膚に塗布するステップを含む、べたつきの抑制方法。
<35>前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料を皮膚に塗布するステップを含む、さらさら感を創出する方法、または、さらさら感の持続性を向上させる方法。
<36>前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料の、紫外線防御、べたつきの抑制、さらさら感の付与のための使用。
<37>紫外線防御化粧料、べたつき抑制化粧料、または、さらさら感付与化粧料の製造のための、前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の皮膚化粧料の使用。
【実施例】
【0068】
製造例1(N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の製造 1)
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.8g(0.14モル)、脱水した酢酸エチル29gから、数平均分子量2700のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%(a/b=88/12)であり、オルガノポリシロキサン(Mwt)の重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0069】
製造例2(N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の製造 2)
製造例1に準じた方法により、硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.7g(0.35モル)を脱水した酢酸エチル83gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1000であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(141g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%(a/b=71/29)であり、オルガノポリシロキサン(Mwt)の重量平均分子量は42000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約20モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0070】
製造例3(N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の製造 3)
製造例1に準じた方法により、硫酸ジエチル3.2g(0.021モル)と2−エチル−2−オキサゾリン92.8g(0.98モル)、脱水した酢酸エチル205gから、数平均分子量5200のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量50000、アミン当量3800)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(188g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は51質量%(a/b=51/49)であり、オルガノポリシロキサン(Mwt)の重量平均分子量は98000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約24質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0071】
(実施例1〜36および比較例1〜11)
表1〜表4に示す組成の皮膚化粧料を製造し、後述する方法で、紫外線防御能の持続性、使用感(べたつきのなさ、さらさらの程度、さらさらの持続性)、粉体の再分散性(再分散製指数)を評価した。結果を表1〜表4に併せて示す。
【0072】
(製造方法)
噴射剤を除くすべての成分を混合し、ディスパーで分散して原液を調製した。
得られた原液を噴射剤(LPG)とともに耐圧容器に充填し、皮膚化粧料のエアゾール製剤を得た。
【0073】
(評価方法)
(紫外線防御能の持続性)
28.5±0.5mgの各試料(原液)を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)プレート(50mm×50mm)上に注射器で点状にのせ、あらかじめ試料により飽和させた人差し指を使って、試料をプレート状に均一に広げた。その後、プレートを遮光した箱の中に室温で15分間保管し、UV−2000SSPFアナライザー(Labsphere社製)にてinvitroSPFを測定した。
2.5リットルの室温の蒸留水を満たした3リットルのビーカーを用いて耐水性の試験を行った。ビーカーの壁にスペーサーでPMMAプレートを固定した後、プレートの周囲に最適な層流が確実に起こるように、電磁攪拌機を用いて水を常に攪拌した(270rpm/min)。60分間浸漬した後、試料を取り出し、室温で60分間乾燥した後、invitroSPFを再び測定して以下の式に基づきSPF持続性(%)を算出した。また、得られた数値に基づき下記の判定基準にて耐水性を評価した。数値が高いほど、耐水性が高く、紫外線防御能の持続性に優れることを示す。
SPF持続性(%)=(水処理後のSPF値/水処理前のSPF値)×100
【0074】
(使用感:べたつきのなさ)
専門パネラー3名が各エアゾール製品を腕に1秒間噴射したとき、べたつきのなさを以下の基準で評価し、平均値を求めた。
5:べたつきをまったく感じない
4:べたつきをほとんど感じない
3:ややべたつきを感じない
2:べたつきを感じ不快感がある
1:非常にべたつき、非常に不快感を感じる
【0075】
(使用感:さらさら感の程度)
専門パネラー3名が各エアゾール製品を腕に1秒間噴射したとき、さらさら感の程度を以下の基準で評価し、平均値を求めた。
5:非常にさらさらする
4:さらさらする
3:ややさらさらする
2:ほとんどさらさらしない
1:まったくさらさらしない
【0076】
(使用感:さらさら感の持続性の程度)
専門パネラー3名が各エアゾール製品を腕に1秒間噴射し、腕に5回伸び広げたあとの、さらさら感の程度を以下の基準で評価し、平均値を求めた。
5:非常にさらさらする
4:さらさらする
3:ややさらさらする
2:ほとんどさらさらしない
1:まったくさらさらしない
【0077】
(粉体の再分散性)
エアゾール製品を20℃の恒温室内で1日静置し、粉体を容器底部に沈降させたものを用いて、容器を正立から横に倒し、目視により均一に再分散したと判断されるまでの回数を測定した。そして、以下の式に基づき、再分散性指数を算出した。数値が高いほど、粉体が短時間で再分散されることを示し、粉体の再分散性に優れることを示す。
再分散性指数=(1÷回数)×100
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
実施例または比較例で用いられた成分を以下に示す。
*1 2−エチルへキシル−p−メトキシシンナメート:ユビナール MC80、BASF社製
*2 2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート/ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの混合物(64/36):ユビナール A PLUS B、BASF社製
*3 N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体:製造例1で得られたもの、a/b=88/12
*4 N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体:製造例2で得られたもの、a/b=71/29
*5 N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体:製造例3で得られたもの、a/b=51/49
*6 (エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー:アンタロン V−220、ISPジャパン社製
*7 (アクリレーツ/C12−22アルキルメタクリレーツ)コポリマー:SOLTEX OPT、ザダウケミカルカンパニー製
*8 ポリアクリレート−15/17:SYNTRAN PC5527、インターポリマー社製
*9 イソステアリン酸デキストリン:ユニフィルマHVY、千葉製粉社製
*10 メチルシロキサン網状重合体:トスパール145A、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製
*11 ナイロンパウダー:ナイロンSP−500、東レ社製
*12 架橋ポリアクリル酸アルキル:マツモトマイクロスフェアーM201、松本油脂製薬社製
*13 架橋ポリアクリル酸アルキル:マツモトマイクロスフェアーM305、松本油脂製薬社製
*14 架橋ポリアクリル酸アルキル:マツモトマイクロスフェアーM503B、松本油脂製薬社製
*15 エチレンパウダー:フロービーズCL3080、住友精化油社製
*16 ナイロンパウダー:ナイロンTR−2、東レ社製
*17 スチレン・アクリル酸共重合体:Rohmsphere Powder、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製
*18 ポリオキシブチレンポリエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(8EO)(5PO)(3BO):ウィルブライドS−753、日油社製
【0083】
表1〜表4より、各実施例に記載の化粧料は、成分(A)〜(C)、(D1)、(D2)および(E)を含むとともに、成分(C)の含有量および成分(D1)と成分(D2)との質量比が特定の範囲にあるため、各比較例に記載のものに対し、紫外線防御能の持続性に優れるとともに、べたつきのなさ、さらさら感およびその持続性の点で使用感のバランスに優れた化粧料が得られた。また、各実施例に記載の化粧料は、化粧料中の粉体成分の再分散性の点でも各比較例に記載のものに比べて優れていた。
【0084】
(処方例1、2)
皮膚化粧料の処方例を表5に示す。
【0085】
【表5】