(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5872728
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】防水機能を有する構造物用スライド支承装置及びその組み立て工法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/04 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
E01D19/04 A
E01D19/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-160405(P2015-160405)
(22)【出願日】2015年8月17日
【審査請求日】2015年8月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503121088
【氏名又は名称】株式会社ビービーエム
(73)【特許権者】
【識別番号】391051256
【氏名又は名称】株式会社美和テック
(73)【特許権者】
【識別番号】503121077
【氏名又は名称】株式会社カイモン
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕一
【審査官】
越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】
特公平04−013489(JP,B2)
【文献】
特開2013−064243(JP,A)
【文献】
実開昭62−196213(JP,U)
【文献】
特開2001−049896(JP,A)
【文献】
特開2009−121101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
E04H 9/00− 9/16
F16F 15/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造に形成され鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座に固定され中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓と、
上部構造に固定された上沓と、
弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板が一体化される弾性支承と、
前記弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入固定され下部に下沓に形成されたせん断拘束部材用面雌ねじ孔に螺着される雄ねじを形成したせん断拘束部材と、
前記上沓の下面と前記上部連結鋼板との間にスライド面を形成し、前記弾性支承の側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材を被覆して、鉛直方向に伸びる弾性被覆材を前記台座の鉛直側面と密着させることを特徴とする防水機能を有する構造物用スライド支承装置。
【請求項2】
前記弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入されるせん断拘束部材を下部連結鋼板に形成される雌ねじ孔に螺着して固定するか、又は下部連結鋼板に溶接により固定することを特徴とする請求項1に記載の防水機能を有する構造物用スライド支承装置。
【請求項3】
下部構造に形成され鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座に中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓を固定する工程と、
弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板を配置し、側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材配置し、弾性部材と上下部連結鋼板にせん断拘束部材用孔を形成し、弾性部材、上下部連結鋼板及び弾性被覆材を加硫一体成型により一体化して弾性支承を製造する工程と、
前記弾性支承のせん断拘束部材用孔に下部にせん断拘束部材用雌ねじ孔に螺着する雄ねじを形成したせん断拘束部材を挿入固定する工程と、
弾性支承を下沓のせん断拘束部材用雌ねじ孔にせん断拘束部材の雄ねじを螺着して固定し、下部連結鋼板から鉛直方向に伸びる弾性被覆材を鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座の側面に密着させる工程と、
下面に上沓を固定した上部構造を降下させ、上沓と上部連結鋼板との間にスライド面を形成する工程と、
を備えることを特徴とする防水機能を有する構造物用スライド支承装置の組み立て工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物、橋梁等の構造物用の防水機能を有するスライド支承装置及びその組み立て工法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物、橋梁等の構造物の下部構造上に固定される下沓と、上部構造下に固定される上沓との間に弾性支承を配置し、上沓と弾性支承の上部に固定されるスライド板をスライド面とし、構造物の上部構造と下部構造との水平方向の相対移動が許容されるようにしたスライド支承装置が提案されている。
【0003】
従来のスライド支承装置は、上部構造側に固定される上沓と、下部構造側に固定されるスライド板との間の摩擦により、地震のエネルギーを減衰させる免震装置である。従って、スライド面に水や異物が付着すると、所定の性能が発揮されない。このため、従来例では、スライド面への水や異物の付着を防止するために、スライド面をカバーで覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−337283号公報
【特許文献2】特開2006−9496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スライド支承装置に対しては、施工後の定期点検時に、スライド面の状態を確認したり、弾性支承の状態を確認したりする必要があり、スライド面がカバーで覆われていたのでは、点検作業の妨げとなる。また、下部構造に固定された下沓と弾性支承間が風雨や波浪による飛沫等に曝される状態にあると、下沓や弾性支承の腐食が発生するという問題を有する。
【0006】
本発明は、従来技術の持つ課題を解決する、構造が簡単で、組み立て解体が容易で、点検作業を容易に実施することが可能で、スライド面への水や異物の付着を防止すると共に、下部構造側への飛沫の浸入を防止することが可能な防水機能を有する構造物用スライド支承装置及びその組み立て工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の橋梁用交換容易支承装置は、前記課題を解決するために、下部構造に形成され
鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座に固定され中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓と、上部構造に固定された上沓と、弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板が一体化される弾性支承と、前記弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入固定され下部に下沓に形成されたせん断拘束部材用面雌ねじ孔に螺着される雄ねじを形成したせん断拘束部材と、前記上沓の下面と前記上部連結鋼板との間にスライド面を形成し、前記弾性支承の側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材を被覆して、鉛直方向に伸びる弾性被覆材を前記台座の鉛直側面と密着させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の防水機能を有する構造物用スライド支承装置は、前記弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入されるせん断拘束部材を下部連結鋼板に形成される雌ねじ孔に螺着して固定するか、又は下部連結鋼板に溶接により固定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の防水機能を有する構造物用スライド支承装置の組み立て工法は、下部構造に形成され
鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座に中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓を固定する工程と、弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板を配置し、側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材配置し、弾性部材と上下部連結鋼板にせん断拘束部材用孔を形成し、弾性部材、上下部連結鋼板及び弾性被覆材を加硫一体成型により一体化して弾性支承を製造する工程と、前記弾性支承のせん断拘束部材用孔に下部にせん断拘束部材用雌ねじ孔に螺着する雄ねじを形成したせん断拘束部材を挿入固定する工程と、弾性支承を下沓のせん断拘束部材用雌ねじ孔にせん断拘束部材の雄ねじを螺着して固定し、下部連結鋼板から鉛直方向に伸びる弾性被覆材を
鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座の側面に密着させる工程と、下面に上沓を固定した上部構造を降下させ、上沓と上部連結鋼板との間にスライド面を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
下部構造に形成され
鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座に固定され中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓と、上部構造に固定された上沓と、弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板が一体化される弾性支承と、前記弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入固定され下部に下沓に形成されたせん断拘束部材用面雌ねじ孔に螺着される雄ねじを形成したせん断拘束部材と、前記上沓の下面と前記上部連結鋼板との間にスライド面を形成し、前記弾性支承の側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材を被覆して、鉛直方向に伸びる弾性被覆材を前記台座の鉛直側面と密着させることで、組み立て解体が容易で定期的な点検作業も容易に実施することが可能で、下沓を小型にすることで支承の低コスト化に貢献し、スライド面への水や異物の浸入を防止すると共に、下部構造側への飛沫の浸入を防止することが可能とな
り、台座の鉛直側面に鋼板を巻きつけることで、弾性被覆材と台座鉛直側面との密着性が向上し下沓と弾性支承の接合部への水の浸入を防止することが可能となる。
弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入されるせん断拘束部材を下部連結鋼板に形成される雌ねじ孔に螺着して固定するか、又は下部連結鋼板に溶接により固定することで、弾性支承をせん断拘束部材に確実に固定して地震時の変位による弾性支承のせん断変形を阻止することが可能となる。
下部構造に形成され
鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座に中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓を固定する工程と、弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板を配置し、側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材配置し、弾性部材と上下部連結鋼板にせん断拘束部材用孔を形成し、弾性部材、上下部連結鋼板及び弾性被覆材を加硫一体成型により一体化して弾性支承を製造する工程と、前記弾性支承のせん断拘束部材用孔に下部にせん断拘束部材用雌ねじ孔に螺着する雄ねじを形成したせん断拘束部材を挿入固定する工程と、弾性支承を下沓のせん断拘束部材用雌ねじ孔にせん断拘束部材の雄ねじを螺着して固定し、下部連結鋼板から鉛直方向に伸びる弾性被覆材を
鋼板を巻きつけた鉛直側面を有する台座の側面に密着させる工程と、下面に上沓を固定した上部構造を降下させ、上沓と上部連結鋼板との間にスライド面を形成する工程と、を備えることで、組み立て解体が容易で定期的な点検作業も容易に実施することが可能で、下沓を小型にすることで支承の低コスト化に貢献し、スライド面への水や異物の浸入を防止すると共に、下部構造側への飛沫の浸入を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図により説明する。
図1は、本発明の防水機能を有する構造物用スライド支承装置の一実施形態の側面図である。
【0015】
防水機能を有する構造物用スライド支承装置1は、
図2に示されるように、下部構造2に水平線断面形状が円形又は矩形で、表面が水平な平面で側面が鉛直な台座2aが形成される。台座2aの鉛直側面には鋼板13が巻かれる。台座2aにアンカーボルト6で下沓4が固定される。下沓4の表面を台座2aの表面と面一にする。下沓4の中央部には、せん断拘束部材用雌ねじ孔4aが形成される。
【0016】
上部構造3には、セットボルト7により上沓5が固定される。 下沓4と上沓7の間に弾性支承11が配置される。
【0017】
弾性支承11は、弾性ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム等の弾性部材8の上下に上部連結鋼板9と下部連結鋼板10が加硫成形により一体化される。弾性部材8を高減衰性ゴムで形成すると地震エネルギーの吸収効率が向上する。
【0018】
上部連結鋼板9と下部連結鋼板10は、下部構造2に形成された台座2aの水平切断面と同じ形状、同じ大きさに形成する。下部連結鋼板10と弾性部材8及び上部連結鋼板9には、せん断拘束部材用孔11aが形成される。せん断拘束部材用孔11aは、上部連結鋼板9を貫通して形成する。
【0019】
下部連結鋼板10、弾性部材8、上部連結鋼板9に形成されたせん断拘束部材用孔11aに、せん断拘束部材14が挿入される。せん断拘束部材14の弾性支承11への固定は、
図3に示されるように、下部連結鋼板10に形成されたせん断拘束部材用孔11aに雌ねじを形成し、せん断拘束部材14に形成した雄ねじ14aと螺着して固定する。また、
図4に示すように、せん断拘束部材14と下部連結鋼板10を溶接11bにより固定しても良い。
【0020】
下部連結鋼板10、弾性部材8、上部連結鋼板9のせん断拘束部材用孔11aにせん断拘束部材14を挿入固定後、加硫成形を実施し、下部連結鋼板10、弾性部材8、上部連結鋼板9及びせん断拘束部材14を一体化しても良い。
【0021】
上沓5の下面と上部連結鋼板9の上面との間にスライド面が形成される。スライド面は防錆材料で形成するか防錆材料をコーティングする。
【0022】
弾性支承11の外周面には、弾性ゴム等からなる弾性被覆部材12を固定する。弾性被覆部材12の下端部は、下部連結鋼板11の下面より鉛直方向に伸びる鉛直延伸部12aとし、弾性支承11が下沓4に固定された状態で、台座2aの鋼板2bが巻かれた鉛直側面に密着するようにする。台座2aに固定された下沓4と下部連結鋼板10の接合面に塩分を含む飛沫等の浸入を防止するカバーとして機能する。下沓4と下部連結鋼板10の腐食を抑制することが可能となる。
【0023】
弾性支承11を形成する際、弾性部材8と上部連結鋼板9と下部連結鋼板10を加硫成形により一体化する。その際、弾性被覆部材12も加硫成形により一体化する。
【0024】
このように構成された防水機能を有する構造物用スライド支承装置1は、下沓4を小型化することでスライド支承装置全体を小型化することができ製造コストを低コストにすることが可能となる。また、弾性支承11の外周に固定した弾性被覆材12がスライド面への水や異物の浸入を防止すると共に、下部構造側への飛沫の浸入を防止することが可能となる。
【0025】
図5、
図6により、本発明の防水機能を有する構造物用スライド支承装置の他の実施形態を説明する。
【0026】
防水機能を有する構造物用スライド支承装置1は、
図5に示されるように、台座2aにアンカーボルト6で下沓4が固定される。下沓4の表面を台座2aの表面と面一にする。下沓4の中央部には、せん断拘束部材用雌ねじ孔4aが形成される。
【0027】
上部構造3には、セットボルト7により上沓5が固定される。 下沓4と上沓7の間に弾性支承11が配置される。
【0028】
弾性支承11は、弾性ゴムと補強鋼板を鉛直方向に積層した積層ゴム等の弾性部材8の上下に上部連結鋼板9と下部連結鋼板10が加硫成形により一体化される。弾性部材8を高減衰性ゴムで形成すると地震エネルギーの吸収効率が向上する。
【0029】
弾性支承11の水平切断面の大きさは、下沓4の水平面の大きさより小さくする。下部連結鋼板10と弾性部材8及び上部連結鋼板9には、せん断拘束部材用孔11aが形成される。せん断拘束部材用孔11aは、上部連結鋼板9を貫通して形成する。
【0030】
下部連結鋼板10、弾性部材8、上部連結鋼板9に形成されたせん断拘束部材用孔11aに、せん断拘束部材14が挿入される。せん断拘束部材14の弾性支承11への固定は、下部連結鋼板10に形成されたせん断拘束部材用孔11aに雌ねじを形成し、せん断拘束部材14に形成した雄ねじ14aと螺着して固定すか、せん断拘束部材14と下部連結鋼板10を溶接11bにより固定しても良い。
【0031】
上沓5の下面と上部連結鋼板9の上面との間にスライド面が形成される。上部連結鋼板9を低摩擦のステンレス等の材料で形成するか、上部連結鋼板9の上面に4フッ化エチレン等の低摩擦材9aをコーティングすると良い。
【0032】
弾性支承11の外周面には、弾性ゴム等からなる弾性被覆部材12を固定する。弾性被覆部材12の下端部は、下部連結鋼板11の下面より水平方向に伸びる水平延伸部12bとし、弾性支承11が下沓4に固定された状態で、水平延伸部12bが下沓4表面に密着するようにする。台座2aに固定された下沓4と下部連結鋼板10の接合面に塩分を含む飛沫等の浸入を防止するカバーとして機能する。下沓4と下部連結鋼板10の腐食を抑制することが可能となる。
【0033】
防水機能を有する構造物用スライド支承装置の組み立て工法は、下部構造2の台座2に固定した下沓に形成したせん断拘束部材用雌ねじ孔4aに、弾性支承11と一体化されたせん断拘束部材14の下部に形成した雄ねじ14aを螺着して固定する。その後、ジャッキアップしていた上部構造3を降下させ上沓5と上部連結鋼板9を接触させる。その際、弾性支承11の外周に固定された弾性被覆部材12の上端部が上沓5と接触してスライド面への水や異物の浸入を防止する防水シールとして機能する。また、弾性被覆部材12の下部に形成された鉛直延伸部12aが鋼板13が巻かれた台座2aの鉛直側面に密着するか、または、弾性被覆部材12の下部に形成された水平延伸部12bが下沓4h表面に密着することで、下沓4と下部連結鋼板10の接合面への飛沫の浸入を防止する防水シールとして機能する。
【0034】
点検作業や支承の交換作業の際は、上部構造3ジャッキアップして、弾性支承11と一体化されたせん断拘束部材14と下沓4の螺着を解除するだけで済むので、点検作業や支承の交換作業を著しく効率化することが可能となる。
【0035】
地震時、防水機能を有する構造物用スライド支承装置1に水平変位が負荷されると、上沓5と上部連結鋼板9板間のスライド面を介してスライドし、その摩擦力により地震エネルギーを減衰する。弾性支承11は、せん断拘束部材14により水平変位による移動を抑制されるので、弾性支承11の外周に固定された弾性被覆部材12も水平変位の影響を受けることなく防水機能を維持することが可能となる。
【0036】
以上のように、本発明の防水機能を有する構造物用スライド支承装置及びその組み立て工法によれば、組み立て解体が容易で定期的な点検作業も容易に実施することが可能で、下沓を小型にすることで支承の低コスト化に貢献し、スライド面への水や異物の浸入を防止すると共に、下部構造側への飛沫の浸入を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1:防水機能を有する構造物用スライド支承装置、2:下部構造、2a:台座、3:上部構造、4:下沓、5:上沓、6:アンカーボルト、7:セットボルト、8:弾性部材、9:上部連結鋼板、10:下部連結鋼板、11:弾性支承、11a:せん断拘束部材用孔、12:弾性被覆部材 、12a:鉛直延伸部、12b:水平延伸部、13:鋼板、14:せん断拘束部材
【要約】
【課題】構造が簡単で、組み立て解体が容易で、点検作業を容易に実施することが可能で、スライド面への水や異物の付着を防止すると共に、下部構造側への飛沫の浸入を防止することが可能な構造物用スライド支承装置の防水構造を提供することを目的とする。
【解決手段】下部構造に形成された鉛直側面を有する台座に固定され中央にせん断拘束部材用雌ねじ孔を形成した下沓と、上部構造に固定された上沓と、弾性部材の上下に上部連結鋼板と下部連結鋼板が一体化される弾性支承と、前記弾性支承に形成されるせん断拘束部材用孔に挿入固定され下部に下沓に形成されたせん断拘束部材用面雌ねじ孔に螺着される雄ねじを形成したせん断拘束部材と、前記上沓の下面と前記上部連結鋼板との間にスライド面を形成し、前記弾性支承の側面に下部連結鋼板より下部に鉛直方向に伸びる弾性被覆材を被覆して、鉛直方向に伸びる弾性被覆材を前記台座の鉛直側面と密着させることを特徴とする。
【選択図】
図1