(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872735
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】チタン酸塩発光材料、及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 11/67 20060101AFI20160216BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
C09K11/67CPQ
C09K11/08 BZNM
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-510594(P2015-510594)
(86)(22)【出願日】2012年5月8日
(65)【公表番号】特表2015-519436(P2015-519436A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】CN2012075197
(87)【国際公開番号】WO2013166659
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512331256
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンス アンド テクノロジー シーオー.,エルティーディー
(73)【特許権者】
【識別番号】514116453
【氏名又は名称】シェンチェン オーシャンズ キング ライティング エンジニアリング シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ミンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グイタン
【審査官】
西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102408892(CN,A)
【文献】
特開2005−008674(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/156955(WO,A1)
【文献】
特開2006−322001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00− 11/89
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子式A1−xTiO3:Prx@TiO2@Myを有し
AはCa、Sr、Ba元素の少なくとも一つから選択され、
Mは金属ナノ粒子であって、金属ナノ粒子は、Ag、Au、Pt、Pd、及び、Cuの少なくとも一つから選択され、
xは、0<x≦0.01であり、
yは、MとA1−xTiO3:Prx@TiO2中のTiのモル比であり、yは、0<y≦1×10−2であり、
@はコーティングを表し、
Mはコアであり、TiO2は中間殻であり、A1−xTiO3:Prxは外殻であることを特徴とするチタン酸塩発光材料。
【請求項2】
0.001≦x≦0.005であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸塩発光材料。
【請求項3】
1×10−5≦y≦5×10−3であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸塩発光材料。
【請求項4】
ステップ1:金属塩溶液とトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを混合した後、還元剤を加え、120℃から160℃の温度で攪拌しながら過熱し、TiO2@Myコロイドを形成し、洗浄と乾燥により固形のTiO2@Myを得ることとし、Mは金属ナノ粒子であって、金属ナノ粒子は、Ag,Au,Pt,Pd,及び,Cuの少なくとも一つから選択され、yは、MとTiのモル比で、0<y≦1×10−2であり、
ステップ2:Aの源化合物、Prの源化合物、および固形TiO2@Myを均一に混合し、800℃から1200℃に昇温して2時間から12時間の間か焼し、さらに、1000℃から1400℃の温度で還元雰囲気において0.5時間から6時間加熱し、冷却後、研磨によりA1−xTiO3:Prx@TiO2@My粉を得ることとし、ここで、AはCa,Sr,Ba元素の少なくとも一つから選択され、xは、0<x≦0.01であり、@はコーティングを表し、Mはコアであり、TiO2は中間殻であり、A1−xTiO3:Prxは外殻であることを特徴とするチタン酸塩発光材料の製造方法。
【請求項5】
ステップ2におけるAの源化合物は、少なくともAの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および水酸化物の少なくとも一つから選択されることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸塩発光材料の製造方法。
【請求項6】
ステップ2におけるPrの源化合物は、少なくともPrの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および水酸化物の少なくとも一つから選択されることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸塩発光材料の製造方法。
【請求項7】
ステップ1における還元剤は、ジメチルホルムアミドとし、
還元剤の量は、金属塩溶液、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、および還元剤の合計量の20%から80%とすることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸塩発光材料の製造方法。
【請求項8】
還元剤の量は、金属塩溶液、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、および還元剤の合計量の25%から50%とすることを特徴とする請求項7に記載のチタン酸塩発光材料の製造方法。
【請求項9】
ステップ1において、TiO2@Myコロイドは、遠心沈殿され、エタノールを用いて洗浄されることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸塩発光材料の製造方法。
【請求項10】
ステップ2における還元雰囲気は、窒素と水素の混合還元雰囲気、炭素還元雰囲気、一酸化炭素還元雰囲気、および純粋水素還元雰囲気の少なくとも一つから選択されることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸塩発光材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料の分野に関し、特にチタン酸塩発光材料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
赤色Zn
1−xCd
xS(x=0〜1.0)硫化物低電圧エレクトロルミネセンス燐光体と比べ、チタン酸塩基板は、化学安定性が良好であり、CaTiO
3などの希土類発光中心イオンをドープして得られる蛍光物質は、より良い色純度を有する。
【0003】
フォトルミネセンスと陰極線において発生されるPr
3+の赤色の座標は、x=0.680,y=0.311であり、米国のNTSC系統の規定の理想的な赤色にとても接近するものである。
材料安定性と発光の色を考慮すると、希土類イオンで活性化されるチタン酸塩基質は、赤色硫化物蛍光物質Zn
1−xCd
xSの代替となり、新世代の無毒の、非常に安定した赤色FED用蛍光物質の材料となることが期待されている。
【0004】
このため、この材料の発光性能を高めることは、これまで研究者にとって努力すべき目標であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、高安定性と高い蛍光特性を有するチタン酸塩発光材料と、その製造方法を提供することが必要とされる。
【0006】
チタン酸塩発光材料は、分子式A
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2@M
yを有し、
AはCa、Sr、Ba元素の少なくとも一つから選択され、
Mは金属ナノ粒子であって、金属ナノ粒子は、Ag、Au、Pt、Pd、及び、Cuの少なくとも一つから選択され、
xは、0<x≦0.01であり、
yは、MとA
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2中のTiのモル比であり、yは、0<y≦1×10
−2であり、
@はコーティングを表し、
Mはコアであり、TiO
2は中間殻であり、A
1−xTiO
3:Pr
xは外殻である。
【0007】
1つの実施例では、0.001≦x≦0.005である。
【0008】
1つの実施例では、1×10
−5≦y≦5×10
−3である。
【0009】
チタン酸塩発光材料の製造方法は以下のステップを含む。
【0010】
ステップ1:金属塩溶液とトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを混合した後、還元剤を加え、120℃から160℃の温度で攪拌しながら過熱し、TiO
2@M
yコロイドを形成し、洗浄と乾燥によりコアシェル構造をなす固形のTiO
2@M
yを得ることとし、Mは金属ナノ粒子であって、金属ナノ粒子は、Ag、Au、Pt、Pd、及び、Cuの少なくとも一つから選択され、yは、MとTiのモル比で0<y≦1×10
−2であり、
ステップ2:Aの源化合物、Prの源化合物、および固形TiO
2@M
yを均一に混合し、800℃から1200℃に昇温して2時間から12時間の間か焼し、さらに、1000℃から1400℃の温度で還元雰囲気において0.5時間から6時間加熱し、冷却後、研磨によりA
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2@M
y粉を得ることとし、ここで、AはCa、Sr、Ba元素の少なくとも一つから選択され、xは、0<x≦0.01であり、Mはコアであり、TiO
2は中間殻であり、@はコーティングを表し、A
1−xTiO
3:Pr
xは外殻である。
【0011】
1つの実施例では、ステップ2におけるAの源化合物は、少なくともAの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および水酸化物の少なくとも一つから選択される。
【0012】
1つの実施例では、ステップ2におけるPrの源化合物は、少なくともPrの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および水酸化物の少なくとも一つから選択される。
【0013】
1つの実施例では、ステップ1における還元剤は、ジメチルホルムアミドとし、
還元剤の量は、金属塩溶液、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、および還元剤の合計量の20%から80%とする。
【0014】
1つの実施例では、還元剤の量は、金属塩溶液、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、および還元剤の合計量の25%から50%とする。
【0015】
1つの実施例では、ステップ1において、TiO
2@M
yコロイドは、遠心沈殿され、エタノールを用いて洗浄される。
【0016】
1つの実施例では、ステップ2における還元雰囲気は、窒素と水素の混合還元雰囲気、炭素還元雰囲気、一酸化炭素還元雰囲気、および純粋水素雰囲気の少なくとも一つから選択される。
【0017】
以上のチタン酸塩発光材料A
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2@M
yは、金属ナノ粒子はTiO
2によってコーティングされ、TiO
2は、A
1−xTiO
3:Pr
xにコーティングされ、金属ナノ粒子がコアとなり、TiO
2が中間層殻となり、A
1−xTiO
3:Pr
xが外殻となり、これにより、コアシェル構造をなすチタン酸塩発光材料が形成され、その内部の量子効率が増加される。
【0018】
さらに、金属ナノ粒子がチタン酸塩発光材料の中に加えられるため、発光強度が増強され、上述のチタン酸塩発光材料の安定性を高め、発光性能を向上される。
【0019】
以上のチタン酸塩発光材料A
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2@M
yは、照明やディスプレイ等の分野に広く利用することができる。
【0020】
上述の製造方法は簡単であり、設備についての要求が低く、低コストで、汚染がなく、反応はコントロールがしやすく、工業的製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1は一実施例によるチタン酸塩発光材料の製造方法を示すフローチャートであり、
図2は実施例2の発光材料、および金属ナノ粒子が被覆されないCa
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2の発光材料は1.5kVの電圧にある陰極ルミネセンススペクトルのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面と実施例を参照するに当たって、チタン酸塩発光材料とその製造方法について説明する。
【0023】
チタン酸塩発光材料の一実施例は、分子式A
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2@M
yを有し、
AはCa、Sr、Ba元素の少なくとも一つから選択され、
Mは金属ナノ粒子であって、金属ナノ粒子は、Ag、Au、Pt、Pd、及び、Cuの少なくとも一つから選択される。
【0024】
Xは0<x≦0.01であり、好ましくは0.001≦x≦0.005である。
【0025】
yは、MとA
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2中のTiのモル比であり、yは、0<y≦1×10
−2であり、
好ましくは1×10
−5≦y≦5×10
−3である。
【0026】
@はコーティングを表し、
Mはコアであり、TiO
2は中間殻であり、A
1−xTiO
3:Pr
xは外殻である。
【0027】
本実施例において、TiO
2は球状である。
【0028】
上述のチタン酸塩発光材料において、金属ナノ粒子はTiO
2によりコーティングされ、TiO
2はA
1−xTiO
3:Pr
xによりコーティングされ、即ち金属ナノ粒子がコアとなり、TiO
2が中間層殻となり、A
1−xTiO
3:Pr
xが外殻となり、これにより、コアシェル構造をなすチタン酸塩発光材料は形成され、その内部の量子効率が増加され、さらに、金属ナノ粒子がチタン酸塩発光材料の中に加えられるため、発光強度が増強され、上述のチタン酸塩発光材料の安定性を高め、発光性能を向上される。
【0029】
以上のチタン酸塩発光材料は、照明やディスプレイ等の分野に広く利用することができる。
【0030】
図1に示されるように、チタン酸塩発光材料の製造方法の一実施例は以下のステップを含む:
ステップ1:金属塩溶液とトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを混合した後、還元剤を加え、120℃から160℃(好ましくは140℃)の温度で攪拌しながら過熱し、TiO
2@M
yコロイドを形成し、洗浄と乾燥によりコア構造をなす固形のTiO
2@M
yを得ることとし、Mは金属ナノ粒子であって、金属ナノ粒子は、Ag、Au、Pt、Pd、及び、Cuの少なくとも一つから選択され、yは、MとTiのモル比で0<y≦1×10
−2であり、
金属塩溶液はAg,Au,Pt,Pd,及び,Cuの少なくとも一つの水溶性塩溶液から選択され、
本実施例において、還元剤はジメチルホルムアミドとし、還元剤の量は、金属塩溶液、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、および還元剤の合計量の20%から80%とする;
さらに、還元剤の量は、金属塩溶液、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、および還元剤の合計量の25%から50%とする。
【0031】
本実施例において、TiO
2@M
yコロイドは遠心沈殿され、エタノールを用いて洗浄される
ステップ2:Aの源化合物、Prの源化合物、および固形TiO
2@M
yを均一に混合し、800℃から1200℃に昇温して2時間から12時間の間か焼し、さらに、1000℃から1400℃の温度で還元雰囲気において0.5時間から6時間加熱し、冷却後、研磨によりA
1−xTiO
3:Pr
x@TiO
2@M
yを得ることとし、ここで、AはCa,Sr,Ba元素の少なくとも一つから選択され、xは、0<x≦0.01であり、
@はコーティングを表し、
Mはコアであり、TiO
2は中間殻であり、A
1−xTiO
3:Pr
xは外殻である。
【0032】
Aの源化合物は、少なくともAの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および水酸化物の少なくとも一つから選択される。
【0033】
Prの源化合物は、少なくともPrの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および水酸化物の少なくとも一つから選択される。
【0034】
還元雰囲気は、窒素と水素の混合還元雰囲気、炭素還元雰囲気、一酸化炭素還元雰囲気、および純粋水素雰囲気の少なくとも一つから選択される。
【0035】
本実施例では、還元雰囲気は、窒素(N
2)と水素(H
2)の混合還元雰囲気、炭素(C)還元雰囲気、一酸化炭素(CO)還元雰囲気、および純粋水素(H
2)還元雰囲気の少なくとも一つから選択される。
【0036】
上述の製造方法は簡単であり、設備についての要求が低く、低コストで、汚染がなく、反応はコントロールがしやすく、工業的製造に適している。
以下では実施例を述べる。
【0037】
実施例1
以下では、高温固相合成法で、チタン酸塩発光材料Sr
0.999TiO
3:Pr
0.001@TiO
2@Au1×10
−2の製造方法を述べる。
【0038】
TiO
2@Au
1×10(^−2)の製造方法:
10.3mgのクロロ金酸(AuCl
3・HCl・4H
2O)を秤量し、脱イオン水に溶解することにより、20mLの5×10
−3mol/Lの濃度を有するクロロ金酸溶液を得て、5mLの4.3mol/Lの濃度を有するトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを秤量し、1mol/Lの濃度のイソプロパノールで希釈する。
【0039】
5×10
−3mol/Lの濃度を有するクロロ金酸溶液10mLとトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを有する1mol/Lのイソプロパノール溶液5mLを混合し、攪拌し、15mLのジメチルホルムアミドを加え、室温で15分間攪拌した後、逆流装置でその混合物を160℃に加熱し、攪拌して、溶液の色が無色から薄茶色になり、さらに暗褐色になる時、加熱を停止し、室温に冷却して、TiO
2@Au
1×10(^−2)コロイドを得た。
【0040】
次いでこのコロイドを遠心し、エタノールで洗浄し、乾かすことにより、固形TiO
2@Au
1×10(^−2)は製造され、yは1×10
−2である。
【0041】
チタン酸塩発光材料Sr
0.999TiO
3:Pr
0.001@TiO
2@Au
1×10(^−2)の製造方法:
0.5175gのSrO、0.0009gのPr
6O
11、および0.4195gのTiO
2@Au
1×10(^−2)粉を秤量し、めのう乳鉢で十分に研摩し、均等に混ぜて、次いで混合粉末を鋼玉るつぼに移し、マッフル炉で800℃で12時間加熱し、管炉でH
2還元雰囲気において、1300℃で4時間焼結し、還元し、
室温まで冷却した後、チタン酸塩発光材料Sr
0.999TiO
3:Pr
0.001@TiO
2@Au
1×10(^−2)を得た。
【0042】
実施例2
以下では、高温固相合成法で、チタン酸塩発光材料Ca
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2@Ag
5×10(^−4)の製造方法を述べる。
【0043】
TiO
2@Ag
5×10(^−4)の製造方法:
3.4mgの硝酸銀(AgNO
3)を秤量し、脱イオン水に溶解することにより、1×10
−3mol/Lの濃度を有する硝酸銀溶液20mLを得て、4.3mol/Lの濃度を有するトリエタノールアミンチタンイソプロポキシド10mLを秤量し、イソプロパノールで0.22mol/Lに希釈する。
【0044】
1×10
−3mol/Lの硝酸銀溶液2mLとトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを有する0.22mol/Lのイソプロパノール溶液18mLを混合し、攪拌し、10mLのジメチルホルムアミドを加え、
室温で15分間攪拌した後、逆流装置でその混合物を140℃に加熱し、攪拌して、溶液の色が無色から薄茶色になり、さらに暗褐色になったときに、加熱を停止し、室温に冷却して、TiO
2@Ag
5×10(^−4)コロイドを得た。
【0045】
次いでこのコロイドを遠心し、エタノールで洗浄し、乾かすことにより、固形TiO
2@Ag
5×10(^−4)は製造され、yは5×10
−4である。
【0046】
チタン酸塩発光材料Ca
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2@Ag
5×10(^−4)の製造方法:
0.3996gのCaCO
3,0.0014gのPr
6O
11,および0.3196gのTiO
2@Ag
5×10(^−4)粉を秤量し、めのう乳鉢で十分に研摩し、均等に混ぜて、次いで混合粉末を鋼玉るつぼに移し、マッフル炉で1000℃で6時間加熱し、管炉で95%N
2+5%H
2弱還元雰囲気において、1200℃で4時間焼結し、還元し、
室温まで冷却した後、チタン酸塩発光材料Ca
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2@Ag
5×10(^−4)を得た。
【0047】
図2は実施例2のチタン酸塩発光材料Ca
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2@Ag
5×10(^−4),および金属ナノ粒子が被覆されないCa
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2発光材料についての、1.5kVの電圧にある陰極ルミネセンススペクトルのグラフ表示である。
【0048】
図2から分かるように、612nmの発光ピークで、金属ナノ粒子が被覆される発光材料の放出強度は金属ナノ粒子Agが被覆されないCa
0.998TiO
3:Pr
0.002@TiO
2の発光材料と比べ、30%高くなる。
【0049】
従って、本実施例に従った発光材料には優れた安定性、色性及び高い発光効率がある。
【0050】
実施例3
以下では、高温固相合成法で、チタン酸塩発光材料Ba
0.995TiO
3:Pr
0.005@TiO
2@Pt
5×10(^−3)の製造方法を述べる。
【0051】
TiO
2@Pt
5×10(^−3)の製造方法:
25.9mgの塩化白金酸(H
2PtCl
6・6H
2O)を秤量し、脱イオン水に溶解することにより、2.5×10
−3mol/Lの濃度を有する塩化白金酸溶液10mLを得て、4.3mol/Lの濃度を有するトリエタノールアミンチタンイソプロポキシド5mLを秤量し、イソプロパノールで0.5mol/Lに希釈する。
【0052】
2.5×10
−3mol/Lの塩化白金酸溶液8mLとトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを有する0.5mol/Lのイソプロパノール溶液16mLを混合し、攪拌し、6mLのジメチルホルムアミドを加え、室温で15分間攪拌した後、逆流装置でその混合物を140℃に加熱し、攪拌して、溶液の色が無色から薄茶色になり、さらに暗褐色になったときに、加熱を停止し、室温に冷却して、TiO
2@Pt
5×10(^−3)コロイドを得た。
【0053】
次いでこのコロイドを遠心し、エタノールで洗浄し、乾かすことにより、固形TiO
2@Pt
5×10(^−3)は製造され、yは5×10
−3である。
【0054】
チタン酸塩発光材料Ba
0.995TiO
3:Pr
0.005@TiO
2@Pt
5×10(^−3)の製造方法:
0.6819gのBa(OH)
2,0.0034gのPr
6O
11,および0.3196gのTiO
2@Pt
5×10(^−3)粉を秤量して、めのう乳鉢で十分に研摩し、均等に混ぜて、次いでその混合粉末を鋼玉るつぼに移し、マッフル炉で1200°Cで2時間加熱し、管炉で炭素還元雰囲気において、1400℃で0.5時間焼結し、還元し、
室温まで冷却した後、チタン酸塩発光材料Ba
0.995TiO
3:Pr
0.005@TiO
2@Pt
5×10(^−3)を得た。
【0055】
実施例4
以下では、高温固相合成法で、チタン酸塩発光材料Ca
0.99TiO
3:Pr
0.01@TiO
2@Pd
1×10(^−5)の製造方法を述べる。
【0056】
TiO
2@Pd
1×10(^−5)の製造方法:
0.22mgの塩化パラジウム(PdCl
2・2H
2O)を秤量し、脱イオン水に溶解することにより、5×10
−5mol/Lの濃度を有する塩化パラジウム溶液20mLを得て、4.3mol/Lの濃度を有するトリエタノールアミンチタンイソプロポキシド10mLを秤量し、イソプロパノールで2.5mol/Lに希釈する。
【0057】
5×10
−5mol/Lの塩化パラジウム溶液5mLとトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを有する2.5mol/Lのイソプロパノール溶液10mLを混合し、攪拌し、5mLのジメチルホルムアミドを加え、室温で15分間攪拌した後、逆流装置でその混合物を130°Cに加熱し、攪拌して、溶液の色が無色から薄茶色になり、さらに暗褐色になったときに、加熱を停止し、室温に冷却して、TiO
2@Pd
1×10(^−5)コロイドを得た。
【0058】
次いでこのコロイドを遠心し、エタノールで洗浄し、乾かすことにより、固形TiO
2@Pd
1×10(^−5)は製造され、yは1×10
−5である。
【0059】
チタン酸塩発光材料Ca
0.99TiO
3:Pr
0.01@TiO
2@Pd
1×10(^−5)の製造方法は、0.6494gのCa(NO
3)
2,0.0137gのPr(NO
3)
3,および0.3260gのTiO
2@Pd
1×10(^−5)粉を秤量して、めのう乳鉢で十分に研摩し、均等に混ぜて、次いで混合粉末を鋼玉るつぼに移し、マッフル炉で1100°Cで4時間加熱し、管炉で95%N
2+5%H
2弱還元雰囲気において、1200℃で6時間焼結し、還元し、室温まで冷却した後、チタン酸塩発光材料Ca
0.99TiO
3:Pr
0.01@TiO
2@Pd
1×10(^−5)を得た。
【0060】
実施例5
以下では、高温固相合成法で、チタン酸塩発光材料(Ca
0.6Sr
0.4)
0.996TiO
3:Pr
0.004@TiO
2@Cu
1×10(^−4)の製造方法を述べる。
【0061】
TiO
2@Cu
1×10(^−4)の製造方法:
1.6mgの硝酸銅を秤量し、16mLのエタノールに溶解することにより、4×10
−4mol/Lの濃度を有する硝酸銅溶液20mLを得て、4.3mol/Lの濃度を有するトリエタノールアミンチタンイソプロポキシド5mLを秤量し、イソプロパノールで2mol/Lに希釈する。
【0062】
4×10
−4mol/Lの硝酸銅溶液2mLとトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを有する2mol/Lのイソプロパノール溶液4mLを混合し、攪拌し、24mLのジメチルホルムアミドを加え、室温で15分間攪拌した後、逆流装置でその混合物を120℃に加熱し、攪拌して、溶液の色が無色から薄茶色になり、さらに暗褐色になったときに、加熱を停止し、室温に冷却して、TiO
2@Cu
1×10(^−4)コロイドを得た。
【0063】
次いでこのコロイドを遠心し、エタノールで洗浄し、乾かすことにより、固形TiO
2@Cu
1×10(^−4)は製造され、yは1×10
−4である。
【0064】
チタン酸塩発光材料(Ca
0.6Sr
0.4)
0.996TiO
3:Pr
0.004@TiO
2@Cu
1×10(^−4)の製造方法は、0.1817gのCa(OH)
2,0.0485gのSr(OH)
2,0.0027gのPr
6O
11および0.196gのTiO
2@Cu
1×10(^−4)粉を秤量して、めのう乳鉢で十分に研摩し、均等に混ぜて、次いで混合粉末を鋼玉るつぼに移し、マッフル炉で900°Cで3時間加熱し、管炉でCO還元雰囲気において、1000℃で6時間焼結し、還元し、
室温まで冷却した後、チタン酸塩発光材料(Ca
0.6Sr
0.4)
0.996TiO
3:Pr
0.004@TiO
2@Cu
1×10(^−4)を得た。
【0065】
実施例6
以下では、高温固相合成法で、チタン酸塩発光材料Ba
0.994TiO
3:Pr
0.006@TiO
2@(Ag
0.5/Au
0.5)
1.25×10(^−3)の製造方法を述べる。
【0066】
TiO
2@(Ag
0.5/Au
0.5)
1.25×10(^−3)の製造方法:
6.2mgのクロロ金酸(AuCl
3・HCl・4H
2O)と2.5mgのAgNO
3を28mLの脱イオン水で溶解することにより、1×10
−3mol/Lの合計金属濃度(クロロ金酸と硝酸銀の濃度が0.5×10
−3mol/Lである)を有するクロロ金酸と硝酸銀の混合溶液30mLを得て、4.3mol/Lの濃度を有するトリエタノールアミンチタンイソプロポキシド2mLを秤量し、イソプロパノールで0.4mol/Lに希釈する。
【0067】
1×10
−3mol/Lのクロロ金酸と硝酸銀の混合溶液5mLとトリエタノールアミンチタンイソプロポキシドを有する0.4mol/Lのイソプロパノール溶液10mLを混合し、攪拌し、10mLのジメチルホルムアミドを加え、
その混合物を150℃に加熱し、攪拌して、溶液の色が無色から薄茶色になり、さらに暗褐色になったときに、加熱を停止し、室温に冷却して、TiO
2@(Ag
0.5/Au
0.5)
1.25×10(^−3)コロイドを得た。
次いでこのコロイドを遠心し、エタノールで洗浄し、乾かすことにより、固形TiO
2@(Ag
0.5/Au
0.5)
1.25×10(^−3)は製造され、yは1.25×10
−3である。
【0068】
チタン酸塩発光材料Ba
0.994TiO
3:Pr
0.006@TiO
2@(Ag
0.5/Au
0.5)
1.25×10(^−3)の製造方法は、0.7845gのBaCO
3,0.0010gのPr
6O
11および0.3196gのTiO
2@Cu
1×10(^−4)粉を秤量して、めのう乳鉢で十分に研摩し、均等に混ぜて、次いで混合粉末を鋼玉るつぼに移し、マッフル炉で900°Cで5時間加熱し、管炉で95%N
2+5%H
2弱還元雰囲気において、1300℃で4時間焼結し、還元し、室温まで冷却した後、チタン酸塩発光材料Ba
0.994TiO
3:Pr
0.006@TiO
2@(Ag
0.5/Au
0.5)
1.25×10(^−3)を得た。
【0069】
理解されるべきは、上述した本発明の好ましい実施例は、詳細に説明するためのものであり、これにより本発明の特許の権利範囲を制限するものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲の記載に基くものである。