【実施例】
【0165】
以下に、実施例A〜Cにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下説明中、特に言及が無い限り「部」、%は重量基準である。
【0166】
<実施例A>
(ポリイソシアネート中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度(単位:重量%)の測定方法)
以下の装置を用い、後述する製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを標品として作成した検量線からポリイソシアネート中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの濃度を求めた。
【0167】
装置:Prominence(島津製作所社製)
カラム:SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度:40℃
溶離液:n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量:0.2ml/min
検出器:UV 225nm
R.Time:16.9min
測定溶液調整:50mlのメスフラスコに試料0.1gおよび試料の約20倍モルのジベンジルアミンを加え、1,2−ジクロロエタンでメスアップし測定溶液とした。
測定:測定溶液1μLを注入して測定を行った。
【0168】
(ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(単位:重量%)の測定方法)
電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により測定し、求めた。
【0169】
(ポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度(単位:重量%)の測定方法)
以下の装置を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたクロマトグラムより、全ピーク面積に対する1,5−ペンタメチレンイソシアネートの3倍の分子量に相当するピークの面積比率をポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度(重量%)とした。
【0170】
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL(東ソー社製)の直列連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.8ml/min
検出器:示差屈折系
R.Time:イソシアヌレート1核体 27.2min
標準物質:ポリエチレンオキシド(東ソー社製 TSK標準ポリエチレンオキシド)
測定:試料30mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、得られた溶液100μLを注入して測定を行った。
【0171】
(ポリイソシアネートの平均官能基数の算出方法)
ポリイソシアネートの平均官能基数は、ポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度と同様の測定にて得られた数平均分子量およびポリイソシアネートのイソシアネート基濃度を用い、以下の式より算出した。
(ポリイソシアネートの平均官能基数)=(ポリイソシアネートの数平均分子量)×(ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度)/4202
【0172】
(ポリオールの水酸基価の測定方法)
水酸基価(mgKOH/g): JIS K1557−1(B法)の規格に準拠し測定した。
【0173】
(ポリオールの平均官能基数の算出方法)
ポリオールの平均官能基数は、以下の式より算出した。
Σ(Mn/MWn×fn)/Σ(Mn/MWn)
Mn:多官能アルコールの重量部
MWn:多官能アルコールの分子量
fn:多官能アルコール1分子中のヒドロキシル基数
【0174】
(ポリイソシアネート(a)およびポリオール(c)のバイオマス度(単位:%)の算出方法)
合成例A1〜A11に記載したポリイソシアネートおよびポリオールのバイオマス度は以下の式より算出した。
植物由来炭素数/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)×100
【0175】
(ポリウレタン成形体のバイオマス度(単位:%)の算出方法)
実施例A1〜A7、比較例A1〜A2に記載したポリウレタン成形体のバイオマス度は以下の式により算出した。
【0176】
{[(a)の重量部×(a)のバイオマス度/100]+[(c)の重量部×(c)のバイオマス度/100]+[(d)の重量部×(d)のバイオマス度/100]}/[(a)+(c)+(d)の総重量(重量部)]
上記式における(a)、(c)および(d);は以下のとおりである。
(a):ポリイソシアネート(a)
(c):ポリオール(c)
(d):ポリオール(d)
【0177】
ポリイソシアネート(a)、ポリオール(c)のバイオマス度については、上記算出方法にて計算した値を用い、ポリウレタン成形体のバイオマス度を求めた。ポリオール(d)については、バイオマス度100%とし、ポリウレタン成形体のバイオマス度を求めた。
【0178】
(レンズの性能試験法)
重合により得られたレンズは性能試験を行い評価した。性能試験は、屈折率・アッベ数、耐熱性、比重とし、以下の試験法により評価した。
・ 屈折率(ne)アッベ数(νe): 島津製作所製プルフリッヒ屈折計KPR−30を用いて、20℃で測定した。
・ 耐熱性: 島津製作所製TMA−60を使用し、TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ)でのガラス転移温度(Tg)を耐熱性とした。
・ 比重:20℃にてアルキメデス法により測定した。
【0179】
[参考調製例A]
(植物由来原料を用いた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの合成]
調製例A1(菌体破砕液の調製)
(リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング)
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
【0180】
PCR用のプライマーには、リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5'末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
【0181】
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件で、PCRを行った。
【0182】
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(宝酒造社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
【0183】
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
【0184】
得られたリシン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADAと命名した。pCADAを用いて形質転換した大腸菌を培養することで、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するリシン脱炭酸酵素を生産することができた。
(形質転換体の作製)
pCADAを用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADAと命名した。
【0185】
この形質転換体をバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にてOD(660nm)が0.5になるまで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)が0.1mmol/Lとなるように添加し、さらに14時間振盪培養した。培養液を8000rpmで20分間遠心分離し、菌体を得た。この菌体を20mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した後、超音波破砕を行い、菌体破砕液を調製した。
【0186】
調製例A2(1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液の製造)
フラスコに、L−リシン一塩酸塩(和光純薬製)を、終濃度が45重量%となるように、および、ピリドキサールリン酸(和光純薬製)を、終濃度が0.15mmol/Lとなるように調製した基質溶液120重量部を加えた。次に、上記のW/pCADA菌体破砕液(仕込み乾燥菌体換算重量0.3g)を添加し反応を開始した。反応条件は37℃、200rpmとした。反応液のpHは6mol/Lの塩酸にてpH6に調整した。24時間後の1,5−ペンタメチレンジアミンの反応収率は99%に達していた。上記の反応24時間後の反応液を、6mol/Lの塩酸にてpH2に調整し、0.6重量部の活性炭(三倉化成社製 粉末活性炭PM−SX)を添加し、25℃で1時間攪拌を行った後、濾紙(ADVANTEC社製 5C)にて濾過を行った。次に、この濾液を水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液(17.0重量%水溶液)を得た。
【0187】
製造例A1(1,5−ペンタメチレンジアミンの調製)
23℃にて、分液ロートに1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液100重量部とn−ブタノール100重量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。水層である下層を抜き出し、次いで有機層(1,5−ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)である上層を抜き出した。抽出率を測定した結果、91.6%であった。次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに有機層の抽出液80重量部を仕込み、オイルバス温度を120℃とし、10kPaの減圧下でn−ブタノールを留去させた。次いで、オイルバス温度を140℃とし、10kPaの減圧下で1,5−ペンタメチレンジアミンを留去させ、純度99.9重量%の1,5−ペンタメチレンジアミンを得た。
【0188】
製造例A2(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造)
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、o−ジクロロベンゼン2000重量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300重量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、製造例A1で得た1,5−ペンタメチレンジアミン400重量部をo−ジクロロベンゼン2600重量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
【0189】
次いで、反応器の内液を徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100重量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
【0190】
次いで、減圧下でo−ジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下で1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを留去させ、純度98.7%の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを558重量部得た。
【0191】
次いで、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート558重量部、およびトリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学製、商品名:JP−333E)を1,5−ペンタメチレンジイソシアネート100重量部に対し0.02重量部を、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、210℃、2時間加熱処理を行い、純度98.3%の1,5−ペンタメチンジイソシアネートを553重量部得た。熱処理における1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの収率は、99.6%であった。
【0192】
次いで、加熱処理後の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、純度99.9重量%の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを得た。下記記載の方法でバイオマス度を測定した結果、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度は71%であった。
【0193】
(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度測定法)
バイオマス度は、ASTM D6866 METHOD−Bの規格に準拠し測定した。
1,5−ペンタメチレンジイソシアートをメタノールでメチルカーバメート化(ウレタン化)し、メチルカーバメート体のバイオマス度を測定した。その結果、バイオマス度56%であった。この値を元に、次の式より1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度を求めた。
植物由来炭素数/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)×100
【0194】
[合成例A1]
(ポリイソシアネートA1の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(以下、PDIと略記する場合がある)500部、イソブチルアルコール(以下、IBAと略記する場合がある)を1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール(以下、BHTと略記する場合がある)を0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学(株)製、商品名:JP−333E)を0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(r)TMR)を0.05部添加した。50分反応後o−トルエンスルホンアミド(以下、OTSと略記する場合がある)を0.12部添加しポリイソシアネートA1を502部得た。ポリイソシアネートA1を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、99.6重量%であった。
このポリイソシアネートA1中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は82重量%、イソシアヌレート1核体濃度は12重量%、イソシアネート基濃度は49%、平均官能基数は2.1、バイオマス度71%であった。
【0195】
以下に、バイオマス度の計算方法を示す。用いたイソシアヌレート化触媒のDABCO(r)TMRは、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートが33.8重量%、2−エチルヘキサン酸が41.2重量%、エチレングリコールが25重量%の混合物であった。
ポリイソシアネートA1のバイオマス度={502(ポリイソシアネートA1の重量部)×99.8(ポリイソシアネートA1を構成するPDI由来の量)/100/154.2(PDIの分子量)×5(PDI1分子中の植物由来炭素数)}/{502(ポリイソシアネートA1の重量部)×99.8(ポリイソシアネートA1を構成するPDI由来の量)/100/154.2(PDIの分子量)×7(PDI1分子中の炭素数)+1(IBAの重量部)/74.1(IBAの分子量)×4(IBA1分子中の炭素数)+0.3(BHTの重量部)/220.4(BHTの分子量)×15(BHT1分子中の炭素数)+0.3(JP−333Eの重量部)/628(JP−333Eの分子量)×39(JP−333E一分子中の炭素数)+0.02(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートの重量部)/118.2(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートの分子量)×6(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート1分子中の炭素数)+0.02(2−エチルヘキサン酸の重量部)/144.2(2−エチルヘキサン酸の分子量)×8(2−エチルヘキサン酸1分子中の炭素数)+0.01(エチレングリコールの重量部)/62.1(エチレングリコールの分子量)×2(エチレングリコール1分子中の炭素数)+0.12(OTSの重量部)/171.2(OTSの分子量)×7(OTS1分子中の炭素数)}×100=71%
【0196】
[合成例A2]
(ポリイソシアネートA2の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(r)TMR)を0.05部添加した。50分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを401部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートA2を100部得た。ポリイソシアネートA2を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、98重量%であった。
このポリイソシアネートA2中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は65重量%、イソシアネート基濃度は25%、平均官能基数は3.3、バイオマス度70%であった。
【0197】
[合成例A3]
(ポリイソシアネートA3の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを5部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(r)TMR)を0.05部添加した。40分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを405部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートA3を101部得た。ポリイソシアネートA3を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、94重量%であった。
このポリイソシアネートA3中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は50重量%、イソシアネート基濃度は24%、平均官能基数は3、バイオマス度67%であった。
【0198】
[合成例A4]
(ポリイソシアネートA4の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(r)TMR)を0.05部添加した。130分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを341部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートA4を161部得た。ポリイソシアネートA4を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、99重量%であった。
このポリイソシアネートA4中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は46重量%、イソシアネート基濃度は23%、平均官能基数は3.5、バイオマス度70%であった。
【0199】
[合成例A5]
(ポリイソシアネートA5の合成)
滴下ロートにトリメチロールプロパン(以下、TMPと略記する。)を12部仕込み、リボンヒーターにより加熱し、TMPを溶解させた。次いで、攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、窒素雰囲気下、攪拌しながら95℃まで昇温した後、溶解したTMPを約60分間かけて、滴下した。その後、イソシアネート基濃度が計算値に達するまで、反応を継続した。
次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(r)TMR)を0.05部添加した。100分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを292部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートA5を221部得た。ポリイソシアネートA5を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、94重量%であった。
このポリイソシアネートA5中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は30重量%、イソシアネート基濃度は22%、平均官能基数は4.4、バイオマス度67%であった。
【0200】
[合成例A6]
(ポリオールA1の合成)
ポリオールとして、植物由来のグリセリン(阪本薬品工業(株)製、商品名:精製グリセリン)を77重量部、シュークロースを244重量部、および96%純度の水酸化カリウムを2重量部、オートクレーブに仕込み、窒素置換後、90℃に昇温して、内圧が0.4MPa(ゲージ圧)を超えないように、プロピレンオキシド(以下、POと略記する場合がある)685重量部を徐々に装入した。装入終了後、オートクレーブの内圧低下が見られなくなるまで110℃で反応を継続した。反応終了後、減圧下で残存するプロピレンオキシドを除去、計量したところ、未反応のPOは5重量部であった。仕込み時に加えた水酸化カリウムと等モルの85%燐酸水溶液および50重量部の純水を添加して中和精製を行った。その後、仕込んだグリセリン、シュークロースおよび反応したプロピレンオキシドから計算したポリオールの質量に対して、0.2重量%の吸着剤(富田製薬(株)製、商品名:トミックスAD−600)を添加し、減圧脱水後、ろ過操作を行った。さらに、ろ過液100重量部に対してBHTを0.03重量部添加し、ポリオールA1を得た。ポリオールA1は、水酸基価459mgKOH/g、平均官能基数5.3およびバイオマス度24%であった。
【0201】
以下に、平均官能基数の計算方法を示す。
ポリオールA1の平均官能基数={77(グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)×3(グリセリン一分子中のヒドロキシル基数)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)×8(シュークロース1分子中のヒドロキシル基数)}/{77(精製グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)}
【0202】
以下に、バイオマス度の計算方法を示す。
ポリオールA1のバイオマス度={77(グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)×3(グリセリン一分子中の植物由来炭素数)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)×12(シュークロース1分子中の植物由来炭素数)}/{77(グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)×3(グリセリン1分子中の植物由来炭素数)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)×12(シュークロース1分子中の植物由来炭素数)+680(反応したプロピレンオキシドの重量部)/58.1(プロピレンオキシドの分子量)×3(プロピレンオキシド1分子中の炭素数)+0.3(BHTの重量部)/220.4(BHTの分子量)×15(BHT1分子中の炭素数)}×100=24%
【0203】
[合成例A7]
(ポリオールA2の合成)
植物由来のグリセリンを121重量部、シュークロースを182重量部、およびプロピレンオキサイドを700重量部用いた以外は合成例A6と同様の操作にてポリオールA2を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは697重量部であった。ポリオールA2は、水酸基価451mgKOH/g、平均官能基数4.4およびバイオマス度22%であった。
【0204】
[合成例A8]
(ポリオールA3の合成)
植物由来のソルビトールを216重量部、およびプロピレンオキサイドを790重量部用いた以外は合成例A6と同様の操作にてポリオールA3を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは784重量部であった。ポリオールA3は、水酸基価396mgKOH/g、平均官能基数6およびバイオマス度15%であった。
【0205】
[合成例A9]
(ポリオールA4の合成)
植物由来のソルビトールを265重量部、およびプロピレンオキサイドを740重量部用いた以外は合成例A6と同様の操作にてポリオールA4を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは735重量部であった。ポリオールA4は、水酸基価489mgKOH/g、平均官能基数6およびバイオマス度19%であった。
【0206】
[合成例A10]
(ポリオールA5の合成)
植物由来のソルビトールを232重量部、植物由来のグリセリンを16重量部、およびプロピレンオキサイドを760重量部用いた以外は合成例A6と同様の操作にてポリオールA5を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは752重量部であった。ポリオールA5は、水酸基価450mgKOH/g、平均官能基数5.6およびバイオマス度17%であった。
【0207】
[合成例A11]
(ポリオールA6の合成)
ポリオールとして、植物由来のイソソルビド(ROQUETTE社製、商品名:POLYSORB P)を716重量部、およびジメチルパルミチルアミンを2重量部オートクレーブに仕込み、窒素置換後、内圧が0.4MPa(ゲージ圧)を超えないように、プロピレンオキシド286重量部を徐々に装入した。装入終了後、オートクレーブの内圧低下が見られなくなるまで110℃で反応を継続した。反応終了後、減圧下で残存するプロピレンオキシドを除去した。付加重合反応したプロピレンオキサイドは284重量部であった。さらに、反応液100重量部に対してBHTを0.03重量部添加し、ポリオールA6を得た。ポリオールA6は、水酸基価557mgKOH/g、平均官能基数2およびバイオマス度67%であった。
【0208】
[実施例A1]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)1.9gとグリセリン5.0g、1,3−ブタンジオール5.0gを混合し室温で5分間攪拌分散させた後、ポリイソシアネートA2を46.0g加え、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)1.4gを加えて室温で1時間攪拌混合させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して成形体を得た。得られた成形体は無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.52、アッベ数(νe)48、耐熱性89℃、比重1.24、バイオマス度75%であった。
【0209】
[実施例A2〜実施例A4]
実施例A1と同様にしてポリオール(d)とポリイソシアネート(c)を触媒とともに表1に示す種別、仕込み量で混合させ、その後も実施例A1と同様にして脱泡、モールド型への注入、重合を行い、離型して成形体を得た。得られた成形体の物性も表1にまとめて示す。
【0210】
[実施例A5]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)1.2gとポリオールA6を1.0g、そしてグリセリン5.2gを混合し室温で5分間攪拌分散させた後、ポリイソシアネートA2を30.0g加え、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)0.9gを加えて室温で1時間攪拌混合させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して成形体を得た。得られた成形体は無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.53、アッベ数(νe)48、耐熱性100℃、比重1.25、バイオマス度74%であった。
【0211】
[実施例A6〜実施例A7]
実施例A5と同様にしてポリオール(c)およびポリオール(d)とポリイソシアネート(a)を触媒とともに表1に示す種別、仕込み量で混合させ、その後も実施例A5と同様にして脱泡、モールド型への注入、重合を行い、離型して成形体を得た。得られた成形体の物性も表1にまとめて示す。
【0212】
[比較例A1]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.9gとイソソルビド12.1g、そしてポリイソシアネートA1を15.9g、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)0.7gを加えて室温で1時間攪拌分散させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。所定時間重合反応を行ったが、硬化物は得られなかった。
【0213】
[比較例A2]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)1.1gとイソソルビド16.3g、そして、製造例A2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを17.2g、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)0.8gを加えて室温で1時間攪拌分散させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。所定時間重合反応を行ったが、硬化物は得られなかった。
【0214】
【表1】
【0215】
上記のように、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(d)と、を含む光学材料用重合性組成物によれば、植物由来原料を用いており地球環境の保全に貢献するとともに、透明性、耐熱性などの実用性に優れたポリウレタン成形体を得ることができた。
さらに、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(d)と、所定の条件下において適宜含まれるポリオール(c)と、を含む光学材料用重合性組成物によれば、バイオマス度70%以上であるとともに、透明性、耐熱性などの実用性に優れた光学材料用ポリウレタン成形体を得ることができた。
また、比較例A1および比較例A2のように、イソシアヌレート1核体濃度が15重量%未満であると、硬化せず、ポリウレタン成形体を得ることができなかった。
【0216】
<実施例B>
(ポリイソシアネート中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度(単位:重量%)の測定方法)
以下の装置を用い、後述する製造例B2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを標品として作成した検量線からポリイソシアネート中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの濃度を求めた。
【0217】
装置:Prominence(島津製作所社製)
カラム:SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度:40℃
溶離液:n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量:0.2ml/min
検出器:UV 225nm
R.Time:16.9min
測定溶液調整:50mlのメスフラスコに試料0.1gおよび試料の約20倍モルのジベンジルアミンを加え、1,2−ジクロロエタンでメスアップし測定溶液とした。
測定:測定溶液1μLを注入して測定を行った。
【0218】
(ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(単位:重量%)の測定方法)
電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により測定し、求めた。
【0219】
(ポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度(単位:重量%)の測定方法)
以下の装置を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたクロマトグラムより、全ピーク面積に対する1,5−ペンタメチレンイソシアネートの3倍の分子量に相当するピークの面積比率をポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度(重量%)とした。
【0220】
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL(東ソー社製)の直列連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.8ml/min
検出器:示差屈折系
R.Time:イソシアヌレート1核体 27.2min
標準物質:ポリエチレンオキシド(東ソー社製 TSK標準ポリエチレンオキシド)
測定:試料30mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、得られた溶液100μLを注入して測定を行った。
【0221】
(ポリイソシアネートの平均官能基数の算出方法)
ポリイソシアネートの平均官能基数は、ポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度と同様の測定にて得られた数平均分子量およびポリイソシアネートのイソシアネート基濃度を用い、以下の式より算出した。
(ポリイソシアネートの平均官能基数)=(ポリイソシアネートの数平均分子量)×(ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度)/4202
【0222】
(ポリオールの水酸基価の測定方法)
水酸基価(mgKOH/g): JIS K1557−1(B法)の規格に準拠し測定した。
【0223】
(ポリオールの平均官能基数の算出方法)
ポリオールの平均官能基数は、以下の式より算出した。
Σ(Mn/MWn×fn)/Σ(Mn/MWn)
Mn:多官能アルコールの重量部
MWn:多官能アルコールの分子量
fn:多官能アルコール1分子中のヒドロキシル基数
【0224】
(ポリイソシアネート(a)およびポリオール(c)のバイオマス度(単位:%)の算出方法)
合成例B1〜B11に記載したポリイソシアネートおよびポリオールのバイオマス度は以下の式より算出した。
植物由来炭素数/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)×100
【0225】
(ポリウレタン成形体のバイオマス度(単位:%)の算出方法)
実施例B1〜B5、比較例B1〜B5に記載したポリウレタン成形体のバイオマス度は以下の式により算出した。
【0226】
{[(a)の重量部×(a)のバイオマス度/100]+[(c)の重量部×(c)のバイオマス度/100]+[(d)の重量部×(d)のバイオマス度/100]}/[(a)+(b)+(c)+(d)の総重量(重量部)]
上記式における(a)〜(d);は以下のとおりである。
(a):ポリイソシアネート(a)
(b):脂環族ポリイソシアネート(b)
(c):ポリオール(c)
(d):ポリオール(d)
【0227】
ポリイソシアネート(a)、ポリオール(c)のバイオマス度については、上記算出方法にて計算した値を用い、ポリウレタン成形体のバイオマス度を求めた。ポリオール(d)については、バイオマス度100%とし、ポリウレタン成形体のバイオマス度を求めた。
【0228】
(レンズの性能試験法)
重合により得られたレンズは性能試験を行い評価した。性能試験は、屈折率・アッベ数、耐熱性、比重とし、以下の試験法により評価した。
・ 屈折率(ne)アッベ数(νe): 島津製作所製プルフリッヒ屈折計KPR−30を用いて、20℃で測定した。
・ 耐熱性: 島津製作所製TMA−60を使用し、TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ)でのガラス転移温度(Tg)を耐熱性とした。
・ 比重:20℃にてアルキメデス法により測定した。
【0229】
[参考調製例B]
(植物由来原料を用いた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの合成]
調製例B1(菌体破砕液の調製)
(リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング)
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
【0230】
PCR用のプライマーには、リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5'末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
【0231】
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件で、PCRを行った。
【0232】
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(宝酒造社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
【0233】
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
【0234】
得られたリシン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADAと命名した。pCADAを用いて形質転換した大腸菌を培養することで、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するリシン脱炭酸酵素を生産することができた。
(形質転換体の作製)
pCADAを用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADAと命名した。
【0235】
この形質転換体をバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にてOD(660nm)が0.5になるまで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)が0.1mmol/Lとなるように添加し、さらに14時間振盪培養した。培養液を8000rpmで20分間遠心分離し、菌体を得た。この菌体を20mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した後、超音波破砕を行い、菌体破砕液を調製した。
【0236】
調製例B2(1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液の製造)
フラスコに、L−リシン一塩酸塩(和光純薬製)を、終濃度が45重量%となるように、および、ピリドキサールリン酸(和光純薬製)を、終濃度が0.15mmol/Lとなるように調製した基質溶液120重量部を加えた。次に、上記のW/pCADA菌体破砕液(仕込み乾燥菌体換算重量0.3g)を添加し反応を開始した。反応条件は37℃、200rpmとした。反応液のpHは6mol/Lの塩酸にてpH6に調整した。24時間後の1,5−ペンタメチレンジアミンの反応収率は99%に達していた。上記の反応24時間後の反応液を、6mol/Lの塩酸にてpH2に調整し、0.6重量部の活性炭(三倉化成社製 粉末活性炭PM−SX)を添加し、25℃で1時間攪拌を行った後、濾紙(ADVANTEC社製 5C)にて濾過を行った。次に、この濾液を水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液(17.0重量%水溶液)を得た。
【0237】
製造例B1(1,5−ペンタメチレンジアミンの調製)
23℃にて、分液ロートに1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液100重量部とn−ブタノール100重量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。水層である下層を抜き出し、次いで有機層(1,5−ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)である上層を抜き出した。抽出率を測定した結果、91.6%であった。次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに有機層の抽出液80重量部を仕込み、オイルバス温度を120℃とし、10kPaの減圧下でn−ブタノールを留去させた。次いで、オイルバス温度を140℃とし、10kPaの減圧下で1,5−ペンタメチレンジアミンを留去させ、純度99.9重量%の1,5−ペンタメチレンジアミンを得た。
【0238】
製造例B2(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造)
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、o−ジクロロベンゼン2000重量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300重量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、製造例B1で得た1,5−ペンタメチレンジアミン400重量部をo−ジクロロベンゼン2600重量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
【0239】
次いで、反応器の内液を徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100重量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
【0240】
次いで、減圧下でo−ジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下で1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを留去させ、純度98.7%の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを558重量部得た。
【0241】
次いで、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート558重量部、およびトリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学製、商品名:JP−333E)を1,5−ペンタメチレンジイソシアネート100重量部に対し0.02重量部を、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、210℃、2時間加熱処理を行い、純度98.3%の1,5−ペンタメチンジイソシアネートを553重量部得た。熱処理における1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの収率は、99.6%であった。
【0242】
次いで、加熱処理後の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、純度99.9重量%の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを得た。下記記載の方法でバイオマス度を測定した結果、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度は71%であった。
【0243】
(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度測定法)
バイオマス度は、ASTM D6866 METHOD−Bの規格に準拠し測定した。
1,5−ペンタメチレンジイソシアートをメタノールでメチルカーバメート化(ウレタン化)し、メチルカーバメート体のバイオマス度を測定した。その結果、バイオマス度56%であった。この値を元に、次の式より1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(a)のバイオマス度を求めた。
植物由来炭素数/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)×100
【0244】
[合成例B1]
(ポリイソシアネートB1の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例B2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(以下、PDIと略記する場合がある)500部、イソブチルアルコール(以下、IBAと略記する場合がある)を1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール(以下、BHTと略記する場合がある)を0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学(株)製、商品名:JP−333E)を0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。50分反応後o−トルエンスルホンアミド(以下、OTSと略記する場合がある)を0.12部添加しポリイソシアネートB1を502部得た。ポリイソシアネートB1を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、99.6重量%であった。
このポリイソシアネートB1中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は82重量%、イソシアヌレート1核体濃度は12重量%、イソシアネート基濃度は49%、平均官能基数は2.1、バイオマス度71%であった。
以下に、バイオマス度の計算方法を示す。用いたイソシアヌレート化触媒のDABCO(R)TMRは、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートが33.8重量%、2−エチルヘキサン酸が41.2重量%、エチレングリコールが25重量%の混合物であった。
ポリイソシアネートB1のバイオマス度={502(ポリイソシアネートB1の重量部)×99.8(ポリイソシアネートB1を構成するPDI由来の量)/100/154.2(PDIの分子量)×5(PDI一分子中の植物由来炭素数)}/{502(ポリイソシアネートB1の重量部)×99.8(ポリイソシアネートB1を構成するPDI由来の量)/100/154.2(PDIの分子量)×7(PDI1分子中の炭素数)+1(IBAの重量部)/74.1(IBAの分子量)×4(IBA1分子中の炭素数)+0.3(BHTの重量部)/220.4(BHTの分子量)×15(BHT1分子中の炭素数)+0.3(JP−333Eの重量部)/628(JP−333Eの分子量)×39(JP−333E1分子中の炭素数)+0.02(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートの重量部)/118.2(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートの分子量)×6(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート1分子中の炭素数)+0.02(2−エチルヘキサン酸の重量部)/144.2(2−エチルヘキサン酸の分子量)×8(2−エチルヘキサン酸1分子中の炭素数)+0.01(エチレングリコールの重量部)/62.1(エチレングリコールの分子量)×2(エチレングリコール1分子中の炭素数)+0.12(OTSの重量部)/171.2(OTSの分子量)×7(OTS1分子中の炭素数)}×100=71%
【0245】
[合成例B2]
(ポリイソシアネートB2の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例B2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。50分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを401部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートB2を100部得た。ポリイソシアネートB2を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、98重量%であった。
このポリイソシアネートB2中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は65重量%、イソシアネート基濃度は25%、平均官能基数は3.3、バイオマス度70%であった。
【0246】
[合成例B3]
(ポリイソシアネートB3の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例B2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを5部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。40分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを405部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートB3を101部得た。ポリイソシアネートB3を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、94重量%であった。
このポリイソシアネートB3中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は50重量%、イソシアネート基濃度は24%、平均官能基数は3、バイオマス度67%であった。
【0247】
[合成例B4]
(ポリイソシアネートB4の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例B2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。130分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを341部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートB4を161部得た。ポリイソシアネートB4を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、99重量%であった。
このポリイソシアネートB4中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は46重量%、イソシアネート基濃度は23%、平均官能基数は3.5、バイオマス度70%であった。
【0248】
[合成例B5]
(ポリイソシアネートB5の合成)
滴下ロートにトリメチロールプロパン(以下、TMPと略記する。)を12部仕込み、リボンヒーターにより加熱し、TMPを溶解させた。次いで、攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例B2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、窒素雰囲気下、攪拌しながら95℃まで昇温した後、溶解したTMPを約60分間かけて、滴下した。その後、イソシアネート基濃度が計算値に達するまで、反応を継続した。
次に、イソシアヌレート化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。100分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを292部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートB5を221部得た。ポリイソシアネートB5を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、94重量%であった。
このポリイソシアネートB5中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度は30重量%、イソシアネート基濃度は22%、平均官能基数は4.4、バイオマス度67%であった。
【0249】
[合成例B6]
(ポリオールB1の合成)
ポリオールとして、植物由来のグリセリン(阪本薬品工業(株)製、商品名:精製グリセリン)を77重量部、シュークロースを244重量部、および96%純度の水酸化カリウムを2重量部、オートクレーブに仕込み、窒素置換後、90℃に昇温して、内圧が0.4MPa(ゲージ圧)を超えないように、プロピレンオキシド(以下、POと略記する場合がある)685重量部を徐々に装入した。装入終了後、オートクレーブの内圧低下が見られなくなるまで110℃で反応を継続した。反応終了後、減圧下で残存するプロピレンオキシドを除去、計量したところ、未反応のPOは5重量部であった。仕込み時に加えた水酸化カリウムと等モルの85%燐酸水溶液および50重量部の純水を添加して中和精製を行った。その後、仕込んだグリセリン、シュークロースおよび反応したプロピレンオキシドから計算したポリオールの質量に対して、0.2重量%の吸着剤(富田製薬(株)製、商品名:トミックスAD−600)を添加し、減圧脱水後、ろ過操作を行った。さらに、ろ過液100重量部に対してBHTを0.03重量部添加し、ポリオールB1を得た。ポリオールB1は、水酸基価459mgKOH/g、平均官能基数5.3およびバイオマス度24%であった。
【0250】
以下に、平均官能基数の計算方法を示す。
ポリオールB1の平均官能基数={77(グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)×3(グリセリン1分子中のヒドロキシル基数)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)×8(シュークロース1分子中のヒドロキシル基数)}/{77(精製グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)}
以下に、バイオマス度の計算方法を示す。
ポリオールB1のバイオマス度={77(グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)×3(グリセリン1分子中の植物由来炭素数)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)×12(シュークロース1分子中の植物由来炭素数)}/{77(グリセリンの重量部)/92.1(グリセリンの分子量)×3(グリセリン1分子中の植物由来炭素数)+244(シュークロースの重量部)/342.3(シュークロースの分子量)×12(シュークロース1分子中の植物由来炭素数)+680(反応したプロピレンオキシドの重量部)/58.1(プロピレンオキシドの分子量)×3(プロピレンオキシド1分子中の炭素数)+0.3(BHTの重量部)/220.4(BHTの分子量)×15(BHT1分子中の炭素数)}×100=24%
【0251】
[合成例B7]
(ポリオールB2の合成)
植物由来のグリセリンを121重量部、シュークロースを182重量部、およびプロピレンオキサイドを700重量部用いた以外は合成例B6と同様の操作にてポリオールB2を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは697重量部であった。ポリオールB2は、水酸基価451mgKOH/g、平均官能基数4.4およびバイオマス度22%であった。
【0252】
[合成例B8]
(ポリオールB3の合成)
植物由来のソルビトールを216重量部、およびプロピレンオキサイドを790重量部用いた以外は合成例B6と同様の操作にてポリオールB3を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは784重量部であった。ポリオールB3は、水酸基価396mgKOH/g、平均官能基数6およびバイオマス度15%であった。
【0253】
[合成例B9]
(ポリオールB4の合成)
植物由来のソルビトールを265重量部、およびプロピレンオキサイドを740重量部用いた以外は合成例B6と同様の操作にてポリオールB4を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは735重量部であった。ポリオールB4は、水酸基価489mgKOH/g、平均官能基数6およびバイオマス度19%であった。
【0254】
[合成例B10]
(ポリオールB5の合成)
植物由来のソルビトールを232重量部、植物由来のグリセリンを16重量部、およびプロピレンオキサイドを760重量部用いた以外は合成例B6と同様の操作にてポリオールB5を得た。付加重合反応したプロピレンオキサイドは752重量部であった。ポリオールB5は、水酸基価450mgKOH/g、平均官能基数5.6およびバイオマス度17%であった。
【0255】
[合成例B11]
(ポリオールB6の合成)
ポリオールとして、植物由来のイソソルビド(ROQUETTE社製、商品名:POLYSORB P)を716重量部、およびジメチルパルミチルアミンを2重量部オートクレーブに仕込み、窒素置換後、内圧が0.4MPa(ゲージ圧)を超えないように、プロピレンオキシド286重量部を徐々に装入した。装入終了後、オートクレーブの内圧低下が見られなくなるまで110℃で反応を継続した。反応終了後、減圧下で残存するプロピレンオキシドを除去した。付加重合反応したプロピレンオキサイドは284重量部であった。さらに、反応液100重量部に対してBHTを0.03重量部添加し、ポリオールB6を得た。ポリオールB6は、水酸基価557mgKOH/g、平均官能基数2およびバイオマス度67%であった。
【0256】
[実施例B1]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)1.5gとポリオールB5を8.0g、そしてイソソルビド8.0gを混合し室温で5分間攪拌分散させた後、ポリイソシアネートB2を29.1g加え、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)1.1gを加えて室温で1時間攪拌混合させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して成形体を得た。得られた成形体は無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.52、アッベ数(νe)48、耐熱性93℃、比重1.24、バイオマス度66%であった。
【0257】
[実施例B2]
実施例B1と同様にしてポリオール(c)およびポリオール(d)とポリイソシアネート(a)を触媒とともに表2に示す種別、仕込み量で混合させ、その後も実施例B1と同様にして脱泡、モールド型への注入、重合を行い、離型して成形体を得た。得られた成形体の物性も表2にまとめて示す。
【0258】
[実施例B3]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)2.1gとポリオールB5を8.0g、そしてグリセリン8.0gを混合し室温で5分間攪拌分散させた後、ポリイソシアネートB2を32.0g、ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンを13.8g加え、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)1.6gを加えて室温で1時間攪拌混合させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して成形体を得た。得られた成形体は無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.52、アッベ数(νe)50、耐熱性111℃、比重1.23、バイオマス度51%であった。
【0259】
[実施例B4〜実施例B5]
実施例B3と同様にしてポリオール(c)およびポリオール(d)とポリイソシアネート(a)および脂環族ポリイソシアネート(b)を触媒とともに表2に示す種別、仕込み量で混合させ、その後も実施例B3と同様にして脱泡、モールド型への注入、重合を行い、離型して成形体を得た。得られた成形体の物性も表2にまとめて示す。
【0260】
[比較例B1]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.8gとポリオールB1を20.0gを混合し室温で5分間攪拌分散させた後、ポリイソシアネートB2を27.5g加え、さらにTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社製)0.6gを加えて室温で1時間攪拌混合させた。この液を同じく室温で3時間脱泡を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、30℃〜130℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型して成形体を得た。得られた成形体は無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.51、アッベ数(νe)54、耐熱性56℃、比重1.19、バイオマス度51%であった。
【0261】
[比較例B2〜比較例B5]
比較例B1と同様にしてポリオールとポリイソシアネートを触媒とともに表2に示す種別、仕込み量で混合させ、その後も比較例B1と同様にして脱泡、モールド型への注入、重合を行い、離型して成形体を得た。得られた成形体の物性も表2にまとめて示す。
【表2】
【0262】
上記のように、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(d)と、を含む光学材料用重合性組成物によれば、植物由来原料を用いており地球環境の保全に貢献するとともに、透明性、耐熱性などの実用性に優れた光学材料用ポリウレタン成形体を得ることができた。
さらに、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(c)と、ポリオール(d)と、所定の条件下において適宜含まれる脂環族ポリイソシアネート(b)と、を含む光学材料用重合性組成物によれば、バイオマス度50%以上70%未満であるとともに、透明性、耐熱性などの実用性に優れた光学材料用ポリウレタン成形体を得ることができた。
また、比較例B1〜B3のように、イソシアヌレート1核体濃度が10重量%以上であったとしても、ポリオール(d)を含まない場合、バイオマス度50%以上70%未満のポリウレタン成形体が得られたとしても、ポリウレタン成形体の耐熱性が低かった。また、比較例B4〜B5のように、イソシアヌレート1核体濃度が10重量%未満であり、かつポリオール(d)を含まない場合、得られた成形体のバイオマス度は50%に到達せず、かつ、得られたポリウレタン成形体の耐熱性も比較例B1〜B3に比べてさらに低い値を示した。
【0263】
<実施例C>
(ポリイソシアネート中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度(単位:重量%)の測定方法)
以下の装置を用い、後述する製造例C2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを標品として作成した検量線からポリイソシアネート中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの濃度を求めた。
【0264】
装置:Prominence(島津製作所社製)
カラム:SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度:40℃
溶離液:n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量:0.2ml/min
検出器:UV 225nm
R.Time:16.9min
測定溶液調整:50mlのメスフラスコに試料0.1gおよび試料の約20倍モルのジベンジルアミンを加え、1,2−ジクロロエタンでメスアップし測定溶液とした。
測定:測定溶液1μLを注入して測定を行った。
【0265】
(ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(単位:重量%)の測定方法)
電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により測定し、求めた。
【0266】
(ポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度(単位:重量%)の測定方法)
以下の装置を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたクロマトグラムより、全ピーク面積に対する1,5−ペンタメチレンイソシアネートの3倍の分子量に相当するピークの面積比率をポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度(重量%)とした。
【0267】
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL(東ソー社製)の直列連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.8ml/min
検出器:示差屈折系
R.Time:イソシアヌレート1核体 27.2min
標準物質:ポリエチレンオキシド(東ソー社製 TSK標準ポリエチレンオキシド)
測定:試料30mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、得られた溶液100μLを注入して測定を行った。
【0268】
(ポリイソシアネートの平均官能基数の算出方法)
ポリイソシアネートの平均官能基数は、ポリイソシアネート中のイソシアヌレート1核体濃度と同様の測定にて得られた数平均分子量およびポリイソシアネートのイソシアネート基濃度を用い、以下の式より算出した。
(ポリイソシアネートの平均官能基数)=(ポリイソシアネートの数平均分子量)×(ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度)/4202
【0269】
(ポリオールの水酸基価の測定方法)
水酸基価(mgKOH/g): JIS K1557−1(B法)の規格に準拠し測定した。
【0270】
(ポリオールの平均官能基数の算出方法)
ポリオールの平均官能基数は、以下の式より算出した。
Σ(Mn/MWn×fn)/Σ(Mn/MWn)
Mn:多官能アルコールの重量部
MWn:多官能アルコールの分子量
fn:多官能アルコール1分子中のヒドロキシル基数
【0271】
(ポリイソシアネート(a)のバイオマス度(単位:%)の算出方法)
合成例C1に記載したポリイソシアネートのバイオマス度は以下の式より算出した。
植物由来炭素数/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)×100
【0272】
(ポリウレタン成形体のバイオマス度(単位:%)の算出方法)
実施例C1に記載したポリウレタン成形体のバイオマス度は以下の式により算出した。
【0273】
{[(a)の重量部×(a)のバイオマス度/100]+[(b)の重量部×(b)のバイオマス度/100]+[(e)の重量部×(e)のバイオマス度/100]+[(d)の重量部×(d)のバイオマス度/100]}/[(a)+(b)+(e)+(d)の総重量(重量部)]
上記式における(a)、(b)、(d)および(e);は以下のとおりである。
(a):ポリイソシアネート(a)
(b):脂環族ポリイソシアネート(b)
(d):ポリオール(d)
(e):(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類(e)
【0274】
ポリイソシアネート(a)のバイオマス度については、上記算出方法にて計算した値を用い、ポリウレタン成形体のバイオマス度を求めた。ポリオール(d)、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類(e)については、バイオマス度100%とし、ポリウレタン成形体のバイオマス度を求めた。
【0275】
(レンズの性能試験法)
重合により得られたレンズは性能試験を行い評価した。性能試験は、屈折率・アッベ数、耐熱性、比重とし、以下の試験法により評価した。
・ 屈折率(ne)アッベ数(νe): 島津製作所製プルフリッヒ屈折計KPR−30を用いて、20℃で測定した。
・ 耐熱性: 島津製作所製TMA−60を使用し、TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ)でのガラス転移温度(Tg)を耐熱性とした。
・ 比重:20℃にてアルキメデス法により測定した。
【0276】
[参考調製例C]
(植物由来原料を用いた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの合成]
調製例C1(菌体破砕液の調製)
(リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング)
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
【0277】
PCR用のプライマーには、リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5'末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
【0278】
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件で、PCRを行った。
【0279】
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(宝酒造社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
【0280】
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
【0281】
得られたリシン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADAと命名した。pCADAを用いて形質転換した大腸菌を培養することで、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するリシン脱炭酸酵素を生産することができた。
(形質転換体の作製)
pCADAを用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADAと命名した。
【0282】
この形質転換体をバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にてOD(660nm)が0.5になるまで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)が0.1mmol/Lとなるように添加し、さらに14時間振盪培養した。培養液を8000rpmで20分間遠心分離し、菌体を得た。この菌体を20mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した後、超音波破砕を行い、菌体破砕液を調製した。
【0283】
調製例C2(1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液の製造)
フラスコに、L−リシン一塩酸塩(和光純薬製)を、終濃度が45重量%となるように、および、ピリドキサールリン酸(和光純薬製)を、終濃度が0.15mmol/Lとなるように調製した基質溶液120重量部を加えた。次に、上記のW/pCADA菌体破砕液(仕込み乾燥菌体換算重量0.3g)を添加し反応を開始した。反応条件は37℃、200rpmとした。反応液のpHは6mol/Lの塩酸にてpH6に調整した。24時間後の1,5−ペンタメチレンジアミンの反応収率は99%に達していた。上記の反応24時間後の反応液を、6mol/Lの塩酸にてpH2に調整し、0.6重量部の活性炭(三倉化成社製 粉末活性炭PM−SX)を添加し、25℃で1時間攪拌を行った後、濾紙(ADVANTEC社製 5C)にて濾過を行った。次に、この濾液を水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液(17.0重量%水溶液)を得た。
【0284】
製造例C1(1,5−ペンタメチレンジアミンの調製)
23℃にて、分液ロートに1,5−ペンタメチレンジアミン水溶液100重量部とn−ブタノール100重量部とを仕込み、10分間混合し、その後30分間静置した。水層である下層を抜き出し、次いで有機層(1,5−ペンタメチレンジアミンを含むn−ブタノール)である上層を抜き出した。抽出率を測定した結果、91.6%であった。次いで、温度計、蒸留塔、冷却管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに有機層の抽出液80重量部を仕込み、オイルバス温度を120℃とし、10kPaの減圧下でn−ブタノールを留去させた。次いで、オイルバス温度を140℃とし、10kPaの減圧下で1,5−ペンタメチレンジアミンを留去させ、純度99.9重量%の1,5−ペンタメチレンジアミンを得た。
【0285】
製造例C2(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造)
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、o−ジクロロベンゼン2000重量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300重量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、製造例C1で得た1,5−ペンタメチレンジアミン400重量部をo−ジクロロベンゼン2600重量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
【0286】
次いで、反応器の内液を徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100重量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
【0287】
次いで、減圧下でo−ジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下で1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを留去させ、純度98.7%の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを558重量部得た。
【0288】
次いで、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート558重量部、およびトリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学製、商品名:JP−333E)を1,5−ペンタメチレンジイソシアネート100重量部に対し0.02重量部を、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、210℃、2時間加熱処理を行い、純度98.3%の1,5−ペンタメチンジイソシアネートを553重量部得た。熱処理における1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの収率は、99.6%であった。
【0289】
次いで、加熱処理後の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、純度99.9重量%の1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを得た。下記記載の方法でバイオマス度を測定した結果、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度は71%であった。
【0290】
(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのバイオマス度測定法)
バイオマス度は、ASTM D6866 METHOD−Bの規格に準拠し測定した。
1,5−ペンタメチレンジイソシアートをメタノールでメチルカーバメート化(ウレタン化)し、メチルカーバメート体のバイオマス度を測定した。その結果、バイオマス度56%であった。この値を元に、次の式より1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(a)のバイオマス度を求めた。
植物由来炭素数/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)×100
【0291】
[合成例C1]
(ポリイソシアネートC1の合成)
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに製造例C2で得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。50分反応後o−トルエンスルホンアミドを0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを401部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加しポリイソシアネートC1を100部得た。ポリイソシアネートC1を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、98重量%であった。
このポリイソシアネートC1中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度は1重量%未満、イソシアヌレート1核体濃度は65重量%、イソシアネート基濃度は25%、平均官能基数は3.3、バイオマス度70%であった。
【0292】
以下に、バイオマス度の計算方法を示す。用いたイソシアヌレート化触媒のDABCO(R)TMRは、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートが33.8重量%、2−エチルヘキサン酸が41.2重量%、エチレングリコールが25重量%の混合物であった。
ポリイソシアネートC1のバイオマス度={500(ポリイソシアネートC1の重量部)×98.0(ポリイソシアネートC1を構成するPDI由来の量)/100/154.2(PDIの分子量)×5(PDI一分子中の植物由来炭素数)}/{500(ポリイソシアネートC1の重量部)×98.0(ポリイソシアネートC1を構成するPDI由来の量)/100/154.2(PDIの分子量)×7(PDI1分子中の炭素数)+1(IBAの重量部)/74.1(IBAの分子量)×4(IBA1分子中の炭素数)+0.3(BHTの重量部)/220.4(BHTの分子量)×15(BHT1分子中の炭素数)+0.3(JP−333Eの重量部)/628(JP−333Eの分子量)×39(JP−333E1分子中の炭素数)+0.05(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートの重量部)/118.2(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートの分子量)×6(N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート1分子中の炭素数)+0.05(2−エチルヘキサン酸の重量部)/144.2(2−エチルヘキサン酸の分子量)×8(2−エチルヘキサン酸1分子中の炭素数)+0.05(エチレングリコールの重量部)/62.1(エチレングリコールの分子量)×2(エチレングリコール1分子中の炭素数)+0.12(OTSの重量部)/171.2(OTSの分子量)×7(OTS1分子中の炭素数)}×100=70%
【0293】
[実施例C1]
1,3−プロパンジオール(Dupont社製)3.0重量部、グリセリン(花王株式会社製)3.0重量部およびジグリセリンカプリレート3.0重量部の混合物にZelecUN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社)1.4重量部およびTinuvin292(ヒンダードアミン:登録商標、BASF社)1.0重量部を順次加え、10分間室温で撹拌した。
合成例C1で製造したポリイソシアネートC1を20.0重量部および2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの異性体の混合物(三井化学株式会社製)11.4重量部を順次加え、減圧下で3時間撹拌しつつ脱気した後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入してオーブンへ投入し、混合液を25〜120℃まで21時間かけて昇温し、その後、1時間かけて25℃まで降温し、成形体を得た。モールドからのレンズの離型はスムーズであった。得られたレンズは屈折率(ne)1.53、アッベ数45、Tg89℃、計算により算出されたバイオマス度は54%、ASTMD6866−12測定法で測定されたバイオマス度は51%であった。
【0294】
上記のように、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(d)と、を含む光学材料用重合性組成物によれば、植物由来原料を用いており地球環境の保全に貢献するとともに、透明性、耐熱性などの実用性に優れたポリウレタン成形体を得ることができた。
上記のように、ポリイソシアネート(a)と、ポリオール(d)と、さらに(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類(e)を含む光学材料用重合性組成物によれば、バイオマス度20%以上75%以下であるとともに、離型性に優れ、透明性、耐熱性などの実用性に優れた光学材料用ポリウレタン成形体を得ることができた。
【0295】
この出願は、2013年10月21日に出願された日本出願特願2013−218734号、2013年10月21日に出願された日本出願特願2013−218736号および2014年8月29日に出願された日本出願特願2014−175758号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0296】
[a1] 植物由来原料から得られた、脂肪族ポリイソシアネートの変性体を含むポリイソシアネート(a)と、
水酸基価が300〜650mgKOH/gであり、平均官能基数が2以上7未満である、植物由来原料から得られたポリオール(c)と、
植物由来の化合物であるポリオール(d)と、
を含む光学材料用重合性組成物。
[a2] 前記変性体は脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であり、前記ポリイソシアネート(a)中にイソシアヌレート1核体が10重量%以上含まれる、[a1]に記載の光学材料用重合性組成物
[a3] ポリオール(c)およびポリオール(d)の総水酸基に対する、ポリオール(d)の水酸基のモル比((d)/(c)+(d))は、0.5〜0.9である、[a2]に記載の光学材料用重合性組成物。
[a4] さらに、脂環族ポリイソシアネート(b)を含む、[a2]または[a3]に記載の光学材料用重合性組成物。
[a5] ポリイソシアネート(a)および脂環族ポリイソシアネート(b)の総イソシアネート基に対する、脂環族ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基のモル比((b)/(a)+(b))は、0.2〜0.6である、[a4]に記載の光学材料用重合性組成物。
[a6] ポリオール(c)は、植物由来原料である、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される少なくとも一種を原料として得られる、[a1]〜[a5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[a7] ポリオール(d)は、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される少なくとも一種である、[a1]〜[a6]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[a8] 非金属触媒を含む、[a1]〜[a7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[a9] [a1]〜[a8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物から得られた、ポリウレタン樹脂。
[a10] バイオマス度が、50%以上75%未満である、[a9]のポリウレタン樹脂。
[a11] Tgが60℃以上である、[a9]または[a10]に記載のポリウレタン樹脂。
[a12] [a9]〜[a11]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂からなる光学材料。
[a13] [a12]に記載の光学材料からなる、プラスチック眼鏡レンズ。
[a14] 偏光フィルムの少なくとも一方の面に、[a9]〜[a11]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂からなる層が積層している、プラスチック偏光レンズ。
[a15] レンズ注型用鋳型内に、[a1]〜[a8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化する工程と、
を含む、プラスチック眼鏡レンズの製造方法。
[a16] レンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面がモールドから離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する工程と、
前記偏光フィルムと前記モールドとの間の空隙に、[a1]〜[a8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化して、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面にポリウレタン樹脂からなる層を積層する工程と、
を含む、プラスチック偏光レンズの製造方法。
【0297】
[b1] 植物由来原料から得られた、脂肪族ポリイソシアネートの変性体を含むポリイソシアネート(a)と、
植物由来の化合物であるポリオール(d)と、
を含む光学材料用重合性組成物。
[b2] 前記変性体は脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であり、前記ポリイソシアネート(a)中にイソシアヌレート1核体が10重量%以上含まれる、[b1]に記載の光学材料用重合性組成物
[b3] イソシアネート化合物としては、前記ポリイソシアネート(a)のみが含まれる、[b1]または[b2]に記載の光学材料用重合性組成物。
[b4] さらに、水酸基価が300〜650mgKOH/gであり、平均官能基数が2以上7未満である植物由来原料から得られたポリオール(c)を含む、[b2]または[b3]に記載の光学材料用重合性組成物。
[b5] ポリオール(c)およびポリオール(d)の総水酸基に対する、ポリオール(d)の水酸基のモル比((d)/(c)+(d))は、0.8以上である、[b4]に記載の光学材料用重合性組成物。
[b6] ポリオール(d)は、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される少なくとも一種である、[b1]〜[b5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[b7] ポリオール(d)は、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される二種からなる、[b1]〜[b5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[b8] ポリオール(c)は、植物由来原料である、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される少なくとも一種を原料として得られる、[b4]〜[b7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[b9] ポリオール(c)は、植物由来原料であるイソソルビドを原料として得られる、[b4]〜[b7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[b10] 非金属触媒を含む、[b1]〜[b9]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[b11] [b1]〜[b10]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物から得られた、ポリウレタン樹脂。
[b12] バイオマス度が、70%以上である、[b11]のポリウレタン樹脂。
[b13] Tgが60℃以上である、[b11]または[b12]に記載のポリウレタン樹脂。
[b14] [b11]〜[b13]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂からなる光学材料。
[b15] [b14]に記載の光学材料からなる、プラスチック眼鏡レンズ。
[b16] 偏光フィルムの少なくとも一方の面に、[b11]〜[b13]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂からなる層が積層している、プラスチック偏光レンズ。
[b17] レンズ注型用鋳型内に、[b1]〜[b10]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化する工程と、
を含む、プラスチック眼鏡レンズの製造方法。
[b18] レンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面がモールドから離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する工程と、
前記偏光フィルムと前記モールドとの間の空隙に、[b1]〜[b10]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化して、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面にポリウレタン樹脂からなる層を積層する工程と、
を含む、プラスチック偏光レンズの製造方法。
【0298】
[c1] 植物由来原料から得られた、脂肪族ポリイソシアネートの変性体を含むポリイソシアネート(a)と、
一般式(1)で表される(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類(e)と、
【化6】
(式中、Rは炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示し、アルキル基又はアルケニル基は、直鎖又は分岐鎖を有していても良い。Xは、水素原子又はRCO(Rは前記の意味を示す)で表される基を示し、複数個のXは同一でも異なっていても良い。nは、0〜3の整数である。)
植物由来の化合物であるポリオール(d)と、
を含む光学材料用重合性組成物。
[c2] 前記変性体は脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であり、前記ポリイソシアネート(a)中にイソシアヌレート1核体10重量%以上含まれる、[c1]に記載の光学材料用重合性組成物。
[c3] 前記(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類(e)およびポリオール(d)の総水酸基に対する、ポリオール(d)の水酸基のモル比((d)/(e)+(d))は、0.5〜0.9である、[c2]に記載の光学材料用重合性組成物。
[c4] さらに、ポリオール(c)及び/又は、脂環族ポリイソシアネート(b)を含む、[c2]または[c3]に記載の光学材料用重合性組成物。
[c5] ポリイソシアネート(a) および脂環族ポリイソシアネート(b)の総イソシアネート基に対する、脂環族ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基のモル比((b)/(a)+(b))は、0.2〜0.85である、[c4]に記載の光学材料用重合性組成物。
[c6] ポリオール(d)は、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、α−メチルグリコシド、マンニトール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される少なくとも一種である、[c1]〜[c5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[c7] ポリオール(c)は、植物由来原料である、グリセリン、ソルビトール、イソソルビド、シュークロース、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールから選択される少なくとも一種を原料として得られる、[c4]〜[c6]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[c8] ポリオール(c)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオールから選択される少なくとも一種である、[c7]に記載の光学材料用重合性組成物。
[c9] 非金属触媒を含む、[c1]〜[c8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[c10] [c1]〜[c9]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物から得られた、ポリウレタン成形体。
[c11] バイオマス度が、20%以上75%以下である、[c10]に記載のポリウレタン成形体。
[c12] Tgが60℃以上である、[c10]または[c11]に記載のポリウレタン成形体。
[c13] [c10]〜[c12]のいずれかに記載のポリウレタン成形体からなる光学材料。
[c14] [c13]に記載の光学材料からなる、プラスチック眼鏡レンズ。
[c15] 偏光フィルムの少なくとも一方の面に、[c10]〜[c12]のいずれかに記載のポリウレタン成形体からなる層が積層している、プラスチック偏光レンズ。
[c16] レンズ注型用鋳型内に、[c1]〜[c9]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化する工程と、
を含む、プラスチック眼鏡レンズの製造方法。
[c17] レンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面がモールドから離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する工程と、
前記偏光フィルムと前記モールドとの間の空隙に、[c1]〜[c9]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化して、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面にポリウレタン成形体からなる層を積層する工程と、
を含む、プラスチック偏光レンズの製造方法。