(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガラスパネルは所定の間隔を有して並列された複数の板ガラスを備えて一体化された複層ガラスパネルであり、該複層ガラスパネルを一体化するための接着手段であるパネル一体化接着手段が、前記複数の板ガラス間に配置されるとともに、前記パネル一体化接着手段の全部が前記板ガラスの端面より障子見付方向内側に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の開口部装置。
前記ガラスパネルは所定の間隔を有して並列された複数の板ガラスを備えて一体化された複層ガラスパネルであり、該複層ガラスパネルの隅部には、該隅部における前記複層ガラスパネルの端面に沿って配置されたシート状の隅部品が被せられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の開口部装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、第一実施形態に係る開口部装置10が建物の開口部に取り付けられた姿勢における該開口部装置10の室内視正面図である。
図2は、
図1にII-IIで示した線(垂直方向)に沿った断面図、
図3は、
図1にIII-IIIで示した線(水平方向)に沿った断面図である。
図2では紙面左が室外側、紙面右が室内側である。また、
図3では紙面下が室内側、紙面上が室外側を表している。本実施形態において開口部装置10は、いわゆる引戸式のサッシ窓である。
【0020】
開口部装置10は、建物開口部の4辺の縁に沿って配置される枠体11、及び該枠体11の内側に具備されて引戸式に開閉する障子20、40を備えている。また、施錠装置16が設けられ、障子20、40の施錠開錠を可能としている。
図1〜
図3及び適宜示す図により開口部装置10について説明する。以下において、「見付方向」とは全体として平板状である開口部装置の該平板状の平面に沿った方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物開口部の開口面に沿った方向を意味する。また、「見付方向内側」とは、見付方向のうち開口部装置の中央方向を意味する。従って「見付方向外側」とは見付方向のうち開口部から離れる方向を意味する。さらに、「見込み方向」とは全体として平板状である開口部装置の該平板状の厚さの方向を意味し、開口部装置が建物に取り
付けられた姿勢では、建物の室内外方向を示す。
同様に、「障子見付方向」とは全体として平板状である障子の該平板状の平面に沿った方向を意味する。そして「障子見付方向内側」とは、障子の見付方向のうち障子の中央方向を意味する。従って「障子見付方向外側」とは障子の見付方向のうち障子から離れる方向を意味する。さらに、「障子見込み方向」とは全体として平板状である障子の該平板状の厚さの方向を意味し、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢では、建物の室内外方向を示す。
【0021】
枠体11は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である横枠12、13、及び該横枠12、13の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠14、15を備え、これらが枠状に形成されている。
【0022】
横枠12は、枠体11のうち上枠に相当する枠材である。横枠12は、
図2に表される断面において、見込み方向に延在する片12aを備えている。また、片12aの室内側端部からはさらに室内側に延在する片12bが設けられている。当該片12a、12bの見付方向内側面には、見付方向内側に向けて片12c、12d、12e、12fが立設され、これら片12c、12d、12e、12fは、室外側から室内側にこの順に並列されている。このうち片12d、12eは障子20、40の横框21、41(
図1、
図2参照)の内側にまで延在し、上部レールとして機能する。
【0023】
横枠13は、枠体11のうち下枠に相当する枠材である。横枠13は、
図2に表される断面において、片の組み合わせにより略矩形中空状に形成された矩形部13aを備えている。矩形部13aの見込み方向室内側面には見付方向内側に延在して片13bが立設されている。片13bの見付方向内側端部からは室内側に向けて片13cがさらに設けられている。一方、矩形部13a、片13cのそれぞれの見付方向内側面からは、見付方向内側に延在する片13d、13eが設けられている。片13d、13eには障子20、40の戸車39(障子40の戸車は不図示。)が載置され、障子20、40の下部レールとして機能する。
【0024】
縦枠14、15は、枠体11の2つの縦枠を構成する枠材である。縦枠14、15は、
図3に表される断面において、見込み方向に延在する片14a、15aを備えている。また、片14a、15aの見付方向内側面からは、見付方向内側向けて片14b、15b、14c、15c、14d、15dが立設されている。そして、片14b、14c、14dは片14aに室外側からこの順に並列され、片15b、15c、15dは片15aに室外側からこの順に並列されている。このうち片14c、15cは障子20、40の閉鎖の姿勢で、該障子20、40の戸先框23、43の内側に設けられたパッキン材が接触し、水密気密を保持することができるように構成されている。
【0025】
障子20は、外障子に相当する障子で、横框21、22、戸先框23、外召し合わせ框24、ガラスパネル25、及び把手17を備えている。
横框21は上横框に相当する框材である。横框21は、
図2に表わされる断面において、障子見込み方向に延在する片21aを有している。さらに該片21aの障子見込み方向両端部のそれぞれには障子見付方向内外に延在する片21b、21cが設けられている。片21b、21cの障子見付方向両端部では、該片21b、21cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片21b、21cの障子見付方向外側端部には向かい合わせるようにシール部材21f、21fが配置され、それぞれが横枠12の片12dに接触して水密気密がとれるように構成されている。一方、片21b、21cの障子見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に片21d、21eが設けられている。このとき、片21dの室内側端部と片21eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル25の厚さと概ね同じに形成されている。
また、片21aの面のうち障子見付方向外側の面には、タッピングホール21gが具備されている。
【0026】
横框22は下横框に相当する框材である。横框22は、
図2に表わされる断面において、障子見込み方向に延在する片22a、22bを有している。片22aと片22bとは障子見込み方向幅が略同一で、障子見付方向内外に並列されている。また、片22aは、障子見込み方向中央部が障子見付方向外側に凸となるようにコ字状に形成され、当該コ字状の凹部内にタッピングホール22gが具備されている。片22a、片22bの障子見込み方向両端部のそれぞれには障子見付方向内外に延在する片22c、22dが設けられている。片22c、22dの障子見付方向両端部では、該片22c、22dで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片22c、22dの障子見付方向外側端部には、ここに形成された開口部から片22c、22dで挟まれる内側に戸車39が配置され、上記した片13dに載置される。
一方、片22c、22dの障子見付方向内側端部からは、向かい合わせられる方向に片22e、22fが設けられている。このとき、片22eの室内側端部と片22fの室外側端部との間隔は、ガラスパネル25の厚さと概ね同じに形成されている。
【0027】
戸先框23は戸先側に配置される縦框材である。戸先框23は、
図3に表わされる断面において、障子見込み方向に延在する片23aを有している。さらに該片23aの障子見込み方向両端部のそれぞれには障子見付方向内外に延在する片23b、23cが設けられている。片23b、23cの障子見付方向両端部では、該片23b、23cで挟まれる部分が開口部を形成している。ここで、片23bの障子見付方向外側端部には片23cに向けるようにシール部材23fが配置され、縦枠15の片15cに接触して水密気密がとれるように構成されている。一方、片23b、23cの障子見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に片23d、23eが設けられている。このとき、片23dの室内側端部と片23eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル25の厚さと概ね同じに形成されている。
【0028】
外召し合わせ框24は外召し合わせ部に用いられる縦框材である。外召し合わせ框24は、
図3に表われる断面において、片により略矩形中空状に形成されている矩形部24aを有している。該矩形部24aの障子見付方向内側面のうち、その障子見込み方向両端部のそれぞれからは障子見付方向内側に片24b、24cが延在する。片24b、24cの障子見付方向内側端部には、該片24b、24cで挟まれる部分で開口部が形成されている。ここで、片24b、24cの障子見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に片24d、24eが設けられている。このとき、片24dの室内側端部と片24eの室外側端部との間隔は、ガラスパネル25の厚さと概ね同じに形成されている。また、矩形部24aの室内側には、係合片24fが設けられており、障子40の内召し合わせ框44の係合片44fと係合可能に形成されている。
【0029】
ガラスパネル25は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス26、27が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該板ガラス26、27の間隙により形成される空間のうち、その外周端部には該外周端部に沿ってスペーサ28、29、30、31が配置されている。スペーサ28、29、30、31は、ガラスパネルを一体化するためのパネル一体化接着手段としてのシール部材を備え、これにより、板ガラス26、27を一体に保持して水密気密を得ることができる。また、スペーサ28、29、30、31に乾燥剤を含ませれば、板ガラス26、27に挟まれる空間内側を適切な湿度に保つことも可能となる。
【0030】
またガラスパネル25の4隅のそれぞれには隅部品が取り付けられている。
図4にガラスパネル25の4隅のうちの1つの隅部を拡大し、隅部品25aとともに表わした。隅部品25aは、L字状の部品であり、当該L字状の凹部をガラスパネル25の端面同士が形成する隅に沿わせるように配置する。隅部品25aの幅(
図4の紙面奥/手前方向)は、ガラスパネル25の厚さと概ね同じである。
隅部品25aの材質は特に限定されるものではないが、樹脂材、シール材等の水密気密性に優れる材料を好ましく適用することができる。
その他、隅部品25aに必要とされる寸法や、隅部品25aを用いた時の効果については開口部装置10の製造方法の例を説明するときに合わせて示す。
【0031】
本実施形態では、隅部品をガラスパネルの隅に取り付けてある例を示したが、必ずしもこの態様であることに限定されることはない。後述するように、隅部品はガラスパネルの隅部と框の内側面との間に配置され、当該隅部においてガラスパネル(複層ガラスパネル)のガラス板間の水密気密を確実なものとすることができればよい。従って隅部品は框側に取り付けてあってもよく、またガラスパネルや框に予め固定されていなくてもよい。
【0032】
上記横框21、22、戸先框23、外召し合わせ框24と、ガラスパネル25とは、次のような取り付け構造を有する。
図5は、
図2にVで示した部分を拡大した図である。ここではガラスパネル25と横框22との取り付け構造を例に説明する。ガラスパネル25と他の框(21、23、24)との取り付け構造はガラスパネル25と横框22との取り付け構造と共通するので、ここでは説明を省略する。
【0033】
ガラスパネル25の端部は、
図2、
図5からわかるように片22eと片22fとの間隙から差し込まれ、ガラスパネル25の端面(いわゆる小口)と片22aの面とが框接着手段としての接着手段である接着剤33a、33bにより接着される。これにより、ガラスパネル25と横框22とは強固に接着される。このとき
図5にA−B間で示した2か所の接着剤33a、33bの間にガラスパネル25の端面が全て包含されていることが好ましい。接着剤33a、33bがガラスパネル25の端面のうち室内外方向両端部を覆うように配置されることがさらに好ましい。これにより板ガラス26、27間に水等が入り込むことを効率良く防止することができる。適用される接着剤33a、33bの種類は、ガラスパネル25と横框22とを適切に接着することができれば特に限定されるものではないが、接着性、耐久性及び入手容易性等の観点からシリコン系の接着剤を用いることが好ましい。
【0034】
接着剤の配置については実施形態として上記のように説明したが、これに限定されるものではなく、框とガラスパネルとが強固に接着されるような配置を採用することができる。これには例えば
、上述した2か所ではなく1箇所による接着でもよいし、また長手方向(紙面奥/手前方向)に連続していなくてもよい。
【0035】
このような、ガラスパネル25と框(21、22、23、24)とを接着剤で直接接着する構成により、従来のようにグレージングチャンネル、ビードや押し縁を用いる必要がないので、框を細く形成することができ、ガラスパネル部を大きくすることが可能となる。すなわち、採光性向上、及び外観に優れた開口部装置を提供することができる。また、ガラスパネル部は框に比べ断熱性に優れるので、ガラスパネル部が大きくなることによる断熱性向上も図ることが可能となる。加えてグレージングチャンネルを用いることがないので、使用する部材の点数を減じることも可能であり、製造コストを低減させることもできる。
【0036】
また、このように框(21、22、23、24)が細くなり、ガラスパネル25を広くすることができたことにより、例えば把手17のような把手を用いることができる。これはコ字状の部材をガラスパネル25に直接、又は戸先框23にその一部を固定され、ガラスパネル25側に突出するように取り付けられたものである。このような把手17は、従来の開口部装置でも用いることはできたが、開口部装置10ではガラスパネル25が広く形成されるので、ガラスパネル面上に部材を配置することによるデザインの自由度を拡張することも可能となった。例えばコ字状ではなく、上下方向を長手方向とする棒状の部材をガラスパネルに貼り付けた把手等も挙げることができる。
【0037】
本実施形態では框接着手段として上記のように接着剤を用いたが、框とガラスパネルとを強固に接着でき、上記の効果を奏するものであればその接着手段は特に限定されるものではない。これには例えば両面の粘着テープ等を挙げることができる。
【0038】
図1〜
図3に戻り、開口部装置10について説明を続ける。障子40は、内障子に相当する障子で、横框41、42、戸先框43、内召し合わせ框44、ガラスパネル45、及び把手18を備えている。障子40については、上記障子20に対して、外障子であることと内障子であることとの違いに基づく形状の相違はあるものの、框(41、42、43、44)の構造及びガラスパネル45への框(41、42、43、44)の取り付け構造については上記した障子20と共通するのでここでは説明を省略する。
【0039】
次に、上記した開口部装置10の製造のうち、障子20、40の製造(組み立て)の例を説明する。ここでは障子20についてのみ説明するが障子40も同様に製造することができる。また、ここで説明する以外の開口部装置の製造は通常と同様に行うことが可能である。
【0040】
図6に説明のための図を示した。障子20の製造は、横框21、22、戸先框23、及び外召し合わせ框24に框接着手段である接着剤を塗布し、ガラスパネルの端面を接着剤に突き当てるように各框に挿入する。さらにタッピングホール(22g等)を用いて、横框21、22と、戸先框23、外召し合わせ框24とを固定部材20a、20a、…により機械的に固定する。
【0041】
開口部装置10の障子20では、各框(横框21、22、戸先框23、及び外召し合わせ框24)にガラスパネル25の端部を挿入するのみで、各框が接着剤により個別に自動的にガラスパネル25に固定される。従って、従来のように框をある程度枠組みしてからガラスパネルを挿入する等の手間が省ける。またグレージングチャンネルを取り付ける工程も省略することが可能である。
【0042】
このように、本発明によれば、製造における工程を減じることも可能となるので、製造コストを低減させることもできる。
【0043】
ここで、上記した例では、框にガラスパネルの端部を挿入した後、タッピングホールを用いて固定部材により縦横の框材を固定している。これにより機械的な固定がなされ、接着剤の硬化前においても障子20を動かすことができ、製造時間の短縮を図ることが可能である。ただし、接着剤の硬化まで時間が問題とならず、機械的固定を必要としない開口部装置である場合には、接着剤のみの固定でもよい。この場合にはタッピングホール自体形成しなくてもよい。
【0044】
さらに詳しく障子20(開口部装置10)の製造方法について説明する。上記したように、障子20の製造には、横框21、22、戸先框23、及び外召し合わせ框24に接着剤33a、33bを塗布する工程が含まれる。
図7に横框22に接着剤33a、33bを塗布した場面を模式的に表わした。
図7では横框22の端部に注目して示している。
接着剤33a、33bを塗布する工程では、横框22の内側の長手方向に沿って、ガラスパネル25の端面が当てられる位置に、接着剤33a、33bが塗布される。その際には、
図7からわかるように、横框22の長手方向端部(
図7に示した端部と反対側の端部も同様。)では、該端部からCで示した大きさだけ接着剤を塗布しない部分を設ける。このCの大きさは
図4に示した隅部品25aのDで表わした一辺の長さより小さいものとする。
【0045】
このような接着剤33a、33bの塗布の態様の理由、及び隅部品25aとの関係は次の通りである。すなわち、仮に横框22の長手方向端部まで接着剤を塗布した場合、ここにガラスパネルを突き当てて接着させると、接着剤が広がり、横框22の端部からはみ出してしまう。このような接着剤のはみ出しは、これをふき取る作業が必要であったり、他の部材への付着による汚れの原因になったりすることから好ましくない。これに対して上記Cで示した部分に接着剤を配置しないことで、この部分にはガラスパネルの突き当てにより広がった接着剤が回り込み、適切に接着することが可能となるとともに、接着剤のはみ出しも生じない。
【0046】
しかしながら、一方で、このような接着剤の回り込みが必ずしも横框22の端部まで達するとは限らず、接着剤が回り込まなかった場合には接着剤が充填されなかった部分で水密が不十分となり、複層であるガラスパネルの板ガラス間に水分が侵入する虞がある。
【0047】
そこで、ガラスパネル25の端部に隅部品25aを配置し、仮に横框22の端部に接着剤が回り込めなかった場合であってもガラスパネルの板ガラス間の水密がとれることとした。上記したように隅部品25aの一辺の長さD(
図4参照)は、接着剤が配置されない大きさC(
図6参照)よりも大きいので、必ず接着剤の一部は隅部品25aと接触して接着される。
以上により生産性よく、かつ水密を確保して障子20が組み上げられる。
【0048】
図8は、第二実施形態にかかる開口部装置110を説明するための図で、
図5に相当する図である。開口部装置110の障子120では、ガラスパネルと、各框(横框、戸先框、召し合わせ框)と、の取り付け構造が開口部装置10と異なる。ここでは、障子120のガラスパネル25と横框22との接着を例に説明するが、他の横框、戸先框、及び召し合わせ框も同様の構成である。また、他の構成については開口部装置10の上記説明と共通なのでここでは説明を省略する。
【0049】
開口部装置110の障子120では、室外側に設けられる框接着手段である接着剤133aが片22c、片22e及びガラスパネル25に接触する位置に配置されて接着されている。このような障子120を備える開口部装置110によっても上記した効果を奏する開口部装置とすることができる。
【0050】
図9は、第三実施形態にかかる開口部装置210を説明するための図で、
図5に相当する部分の図である。開口部装置210の障子220では、ガラスパネル225の端部構造、各框(横框、戸先框、召し合わせ框)の断面形状、及びガラスパネル225と、各框(
図9には障子220の横框222のみが表れている。)との取り付け構造が開口部装置10と異なる。ここでは、ガラスパネル225と横框222との接着を例に説明するが、他の横框、戸先框、及び召し合わせ框も同様の構成である。また、その他の構成については開口部装置10の上記説明と共通なので説明を省略する。
【0051】
開口部装置210の障子220における横框222は、障子見込み方向に延在する片222aを有し、該片222aの障子見込み方向両端には障子見付方向内外に延在する片222c、222dを備えている。さらに片222aの障子見付方向内側面から見付方向内側に向けて延在する2つの片222g、222hが設けられている。片222gと片222hとの間に形成される部位には乾燥剤229aが入れられている。
【0052】
開口部装置210のガラスパネル225は、矩形板状である2枚の板ガラス226、227が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。本実施形態の開口部装置210の障子220では2枚の板ガラス226、227は一体化されていない。
【0053】
ガラスパネル225のうち板ガラス226の端部は、横框222の片222cと片222gとの間に差し込まれて框接着手段としての接着剤233aにより接着される。一方、板ガラス227の端部は、横框222の片222dと片222hとの間に差し込まれて框接着手段としての接着剤233bにより接着される。これによれば、上記した開口部装置10の効果に加え、板ガラスを一体化することなく複層ガラスパネルと同様の効果を有する開口部装置とすることができる。従って、一体化の工程を省略することができ、製造工程を減縮することが可能となる。さらには、ガラス板の大きさを室内外で異なるものを用いてデザインの向上を図ることもできる。
【0054】
図10は、第四実施形態にかかる開口部装置310を説明するための図で、
図5に相当する部分の図である。開口部装置310の障子320では、ガラスパネル325の端部構造、各框(横框、戸先框、召し合せ框)の断面形状、及びガラスパネル325と各框との取り付け構造が開口部装置10と異なる(
図10には横框322のみが表れている。)。ここでは、障子320のガラスパネル325と横框322との接着を例に説明するが、他の横框、戸先框、及び召し合わせ框も同様の構成である。また、その他の構成については開口部装置10の上記説明と共通である。
【0055】
開口部装置310の障子320における横框322は、障子見込み方向に延在する片322aを有し、該片322aの障子見込み方向両端には障子見付方向内外に延在する片322c、322dを備えている。片322c、322dの障子見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に片322e、322fが設けられている。このとき、片322eの室内側端部と片322fの室外側端部との間隔は、ガラスパネル325の厚さと概ね同じに形成されている。
【0056】
開口部装置310の障子320におけるガラスパネル325は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス326、327が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該板ガラス326、327の間隙により形成される空間のうち、その外周端部から若干内側の部位には乾燥剤を含有するスペーサ329aが配置されている。スペーサ329aの障子見付方向外側には複層ガラスパネルを一体化するためのパネル一体化接着手段としてのシール部材333が具備され、板ガラス326、327、及びスペーサ329aが一体化されている。
【0057】
ガラスパネル325の端部は、片322eと片322fとの間隙から差し込まれる。このとき、上記ガラスパネル325の一体化に供されたシール部材333が、さらに片322aの面と接着し、ガラスパネル325と横框322とが接着され框接着手段としても機能する。これによれば、上記した開口部装置10の効果に加え、ガラスパネル325の一体化と、ガラスパネル325の框への取り付けを効率よく行うことができる。
【0058】
図11は、第五実施形態にかかる開口部装置410を説明するための図で、
図5に相当する部分の図である。開口部装置410の障子420では、ガラスパネル425の端部構造、各框(横框、戸先框、召し合せ框)の断面形状、及びガラスパネル425と各框との取り付け構造が開口部装置10と異なる(
図11には横框422のみが表れている。)。ここでは、障子420のガラスパネル425と横框422との接着を例に説明するが、他の横框、戸先框、及び召し合わせ框も同様の構成である。また、その他の構成については開口部装置10の上記説明と共通である。
【0059】
開口部装置410の障子420における横框422は、障子見込み方向に延在する片422aを有し、該片422aの障子見込み方向両端には障子見付方向内外に延在する片422c、422dを備えている。また片422aの障子見付方向内側となる面には並列される2つの突起422b、422bが設けられている。片422c、422dの障子見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に片422e、422fが設けられている。このとき、片422eの室内側端部と片422fの室外側端部との間隔は、ガラスパネル425の厚さと概ね同じに形成されている。
【0060】
開口部装置410の障子420におけるガラスパネル425は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス426、427が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該板ガラス426、427の間隙により形成される空間のうち、その外周端部には乾燥剤を含有するスペーサ429aが配置されている。スペーサ429aの障子見付方向内側の位置は、
図11にEで示したように横框422の片422e、422fと概ね同じ位置である。一方、スペーサ429aの障子見付方向外側位置は、
図11にFで示したように板ガラス426、427の端面と概ね面一である。また、スペーサ429aの障子見付方向外側にはパネル一体化接着手段としてのシール部材433a、433bが具備され、板ガラス426、427、及びスペーサ429aが一体化されている。
【0061】
ガラスパネル425の端部は、横框422の片422eと片422fとの間隙から差し込まれる。このとき、上記ガラスパネル425の一体化に供されたシール部材433a、433bが、さらに片422aの面と接着し、ガラスパネル425と横框422とが接着され、框接着手段としても機能する。これによれば、上記した開口部装置10の効果に加え、ガラスパネル425の一体化と、ガラスパネル425の横框422への取り付けを効率よく行うことができる。
【0062】
さらに、スペーサ429aの障子見付方向内側位置(E)が、横框422の障子見付方向内側端部と同じ位置にまで内側に寄せられているので、板ガラス426、427を通じて、横框422の内側(片422cと片422dとの間)を隠蔽することができる。これにより、さらに外観に優れた開口部装置とすることができる。また、スペーサ429aの障子見付方向外側端部を板ガラス426、427の端面部分にまで配置するとともに、接着剤433a、433bを見込み方向に2つに分けて配置することにより、接着剤の使用量を減じることができる。
このとき片422aに設けられた突起422b、422bにより接着剤433a、433bがせき止められ、必要な位置への接着剤433a、433bの回り込みを補助している。
【0063】
図12は、第六実施形態にかかる開口部装置510を説明するための図で、
図5に相当する部分の図である。開口部装置510では、ガラスパネル525の端部構造、各框(横框、戸先框、召し合せ框)の断面形状、及びガラスパネル525と各框との取り付け構造が開口部装置10と異なる(
図12には横框522のみが表れている。)。ここでは、障子520のガラスパネル525と横框522との接着を例に説明するが、他の横框、戸先框、及び召し合わせ框も同様の構成である。また、その他の構成については開口部装置10の上記説明と共通である。
【0064】
開口部装置510の障子520における横框522は、障子見込み方向に延在する片522aを有し、該片522aの障子見込み方向両端には障子見付方向内外に延在する片522c、522dを備えている。片522c、522dの障子見付方向内側端部からは、互いに向かい合わせられる方向に片522e、522fが設けられている。このとき、片522eの室内側端部と片522fの室外側端部との間隔は、ガラスパネル525の厚さと概ね同じに形成されている。また、片522aの面のうち、障子見付方向内側の面にはタッピングホール522bが設けられている。
【0065】
開口部装置510の障子520におけるガラスパネル525は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラス526、527が室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該板ガラス526、527の間隙により形成される空間のうち、その外周端部には乾燥剤を含有するスペーサ529aが配置されている。スペーサ529aの障子見付方向内側の位置は、
図12にGで示したように横框522の片522e、522fと概ね同じ位置である。また、Hで示したスペーサ529aの障子見込み方向大きさは、板ガラス526、527間の大きさより若干小さくされており、その間隙にはパネル一体化接着手段としての第一シール部材530a、530bが充填されている。
【0066】
さらにガラスパネル525では、スペーサ529aの障子見付方向外側には、パネル一体化接着手段としての第二シール部材531が充填されている。第二シール部材531の障子見付方向外側面はJで示したように、板ガラス526、527の端面より障子見付方向内側に配置される。
以上のように、スペーサ529a、第一シール部材530a、530b、及び第二シール部材531により、板ガラス526、527が一体化されている。
【0067】
一方、横框522の片522aのタッピングホール522bの両側方には、框接着手段としての接着剤533a、533bが配置されている。
【0068】
ガラスパネル525の端部は、横框522の片522eと片522fとの間隙から差し込まれる。このとき、上記ガラスパネル525の板ガラス526、527の端面が接着剤533a、533bに突き当てられて接着される。
【0069】
このような障子520を備える開口部装置510では、上記した開口部装置10の効果に加えて、スペーサ529aの障子見付方向内側位置(G)が、横框522の障子見付方向内側端部と同じ位置にまで内側に寄せられているので、板ガラス526、527を通じて、横框522の内側(片522cと片522dとの間)を隠蔽することができる。これにより、さらに外観に優れた開口部装置とすることができる。
【0070】
また、スペーサ529aの障子見込み方向両端部と板ガラス526、527との間に第一シール部材530a、530bで充填することとしたので、スペーサ529aの大きさを必ずしも板ガラス526、527間の大きさと同一とする必要がなく、既存のスペーサを用いることも可能である。
【0071】
さらに、第二シール部材531においては、従来の開口部装置におけるシール部材(パネル一体化接着手段)よりもその量を減じることが可能である。これは、框接着手段である接着剤533a、533bがシールの機能をも有しているので、板ガラス526、527間に配置すべきシール部材の量を減らすことができたものである。
ここで第二シール部材531、及び接着剤533a、533bを同じ成分の接着剤としてもよいし、異なるものとしてもよい。第二シール部材と接着剤とを同じ材料(成分)にすれば、材料を共通とすることができる利点がある。一方、共通とした場合に、シール部材としての機能と接着剤としての機能との両方を満たす必要があるため、このような材料は高価であることがある。その場合には第二シール部材及び接着剤でそれぞれの性能を満たす異なるものを用いてコストを抑えることもできる。
【0072】
以上説明した各実施形態は、いわゆる引戸式の開口部装置であったが、本発明の開口部装置はこれに限定されることなく、障子を用いるあらゆる開口部装置に適用することができる。これには例えば縦すべり窓等を挙げることができる。
【0073】
図13は第七実施形態にかかる開口部装置610の水平断面図で、
図3に相当する図である。
開口部装置610は、障子620、640の各框(横框、戸先框、外召し合せ框、及び内召し合せ框)において、室外側がアルミニウムで形成され、室内側が樹脂で形成されている、いわゆる樹脂複合サッシである。これにより断熱性を向上させることができる。
【0074】
より詳しくは次の通りである。開口部装置610の障子620において、戸先框623、及び外召し合わせ框624は、アルミニウムで形成された室外側部材623a、624aと、樹脂で形成された室内側部材623b、624bが障子見込み方向に組み合わせられて構成されている。これにより、特に樹脂部分において断熱性を向上させることができ、開口部装置610全体としての断熱性も向上する。ここでは、水平断面に現れる各構成を例に説明するが、垂直断面に現れる各構成、例えば横框や横枠についても同様の構成を適用することができる。また、各框とガラスパネルとの接着の態様は上記した説明と共通する。
【0075】
障子640も同様に、戸先框643、及び内召し合わせ框644は、アルミニウムで形成された室外側部材643a、644aと、樹脂で形成された室内側部材643b、644bが障子見込み方向に組み合わせられて構成されている。これにより、特に樹脂部分において断熱性を向上させることができ、開口部装置610全体としての断熱性も向上する。だたし、内召し合わせ框644の室外側部材644aの室内側への露出面を可能な限り少なくする観点から、内召し合わせ框644の室内側部材644bは、室外側部材644aの見込み方向に延在する面も覆うように形成されている。
【0076】
さらに開口部装置610では、縦枠614、615にカバー部材650、655、660を具備している。これらカバー部材650、655、660は、樹脂により形成されており、縦枠614、615の見付方向内側面から当該内側に向けて突出するように縦枠614、615に固定されている。
また、カバー部材650、655、660は、障子620、640の閉鎖の姿勢で、室内視から戸先框623、643の少なくとも一部を隠蔽するような位置に配置される。これにより、開口部装置610の外観をすっきりとし、加えて断熱性も向上させることができる。
【0077】
特に、本発明では、框とガラスパネルとを直接接着させて框の見付方向の大きさを小さく抑えることができるので、框の少なくとも一部を樹脂カバーにより隠蔽するに際し、樹脂カバー自体も小さく(細く)することができる。
【0078】
以上、現時点においてもっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。