【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、入力される制御指令値に応じた駆動力を出力するよう構成されたエンジンを走行用駆動源として有すると共に、該エンジンを駆動源として動作する少なくとも1つの車載機器を有する気動車において、該エンジンを制御する気動車用エンジン制御装置であって、操作指令手段と、機器駆動力検出手段と、制御指令値生成手段とを備えている。
【0013】
操作指令手段は、エンジンから出力される駆動力であるエンジン出力を複数の駆動レベル(例えば複数種類の出力トルク)の何れかに設定するために運転士等によって操作され、その設定された駆動レベルに応じた操作指令信号を出力する。
【0014】
機器駆動力検出手段は、車載機器のうち少なくとも1つを検出対象機器として、エンジン出力のうちその検出対象機器の駆動源として用いられている分である機器駆動力を直接又は間接的に検出する。
【0015】
そして、制御指令値生成手段は、操作指令信号に対応したエンジン出力をエンジンから出力させることを基本としつつ、
機器駆動力が変動してもエンジン出力のうち気動車の走行用の駆動源として用いられる分が変動しないように、機器駆動力検出手段により検出された機器駆動力が大きいほどエンジン出力が大きくなるように制御指令値を生成する。
【0016】
尚、検出された機器駆動力が大きいほどエンジン出力が大きくなるように制御指令値を生成するということは、換言すれば、検出された機器駆動力が小さいほどエンジン出力が小さくなるように制御指令値を生成するということでもある。また、機器駆動力に対する制御指令値の具体的生成方法は種々考えられ、例えば、検出された機器駆動力に応じてエンジン出力が連続的に変化するように制御指令値を生成してもよいし、検出された機器駆動力に応じてエンジン出力が段階的に変化するように制御指令値を生成するようにしてもよい。
【0017】
このように構成された本発明の気動車用エンジン制御装置は、単に操作指令手段からの操作指令信号に対応した制御指令値(後述する基本指令値)を出力するのではなく、機器駆動力を考慮した制御指令値を生成・出力する。
【0018】
即ち、仮にエンジン出力が一定だとすると、機器駆動力が大きいほど、その分、エンジン出力のうち走行用駆動源として用いられる出力(走行用駆動力)は小さくなってしまう。そこで本発明では、機器駆動力が変動しても走行用駆動力は変動しないよう、機器駆動力の変動に応じてエンジン出力も変動させる。つまり、従来のように制御指令値を段階的にのみ制御(切り替える)するのではなく、機器駆動力に応じて連続的に制御するのである。
【0019】
このように、走行用駆動力と機器駆動力を総合したエンジン出力制御を行うことで、車載機器の動作状態の変動(機器駆動力の変動)にかかわらず、走行用駆動力の変動を抑制することが可能となる。
【0020】
検出対象機器で実際に用いられている機器駆動力を具体的にどのようにして、どのような物理量として検出するかは種々考えられ、例えば消費電力として検出することができる。
【0021】
即ち、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の気動車用エンジン制御装置であって、気動車は、機器駆動力を電気エネルギーに変換する発電手段を備え、検出対象機器は、発電手段から供給される電力により駆動する電気負荷として構成されている。そして、機器駆動力検出手段は、機器駆動力として、検出対象機器で消費されている電力を検出する。
【0022】
電気負荷としての検出対象機器の消費電力が増えるほど発電手段による発電電力も増加し、発電電力が増えるほど、エンジン出力のうち検出対象機器の駆動源として用いられる分(詳しくは発電手段により電気エネルギーに変換される分)も増加する。そのため、検出対象機器の消費電力を検出することで、補機駆動力を間接的に検出することができるのである。
【0023】
このように、電気負荷である検出対象機器の消費電力を機器駆動力として検出することで、機器駆動力の検出を容易に行うことができる。
制御指令値生成手段が機器駆動力に基づいて具体的にどのように制御指令値を生成するかについても種々考えられるが、例えば請求項3に記載のように、操作指令信号に対応した基本指令値を補正することによって生成することができる。
【0024】
即ち、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の気動車用エンジン制御装置であって、操作指令手段から出力された操作指令信号に基づき、その操作指令信号に対応した駆動レベルのエンジン出力をエンジンから出力させるために必要な制御指令値である基本指令値を生成する基本指令値生成手段を備えている。そして、制御指令値生成手段は、基本指令値生成手段により生成された基本指令値を、機器駆動力検出手段により検出された機器駆動力に基づき、その機器駆動力が大きいほどエンジン出力が大きくなるように補正して、その補正後の基本指令値を制御指令値として生成する。
【0025】
つまり、操作指令信号に対応した基本指令値を基本としつつも、機器駆動力が大きいほどエンジン出力が大きくなるようにその基本指令値を補正することによって制御指令値を生成するのである。そのため、機器駆動力に応じた適切な値の制御指令値を生成することができる。
【0026】
そして、上記補正は、より具体的には、例えば請求項4に記載のように行うことができる。即ち、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の気動車用エンジン制御装置であって、基本指令値を所定の第1の演算によって補正するための、機器駆動力検出手段により検出された機器駆動力に応じた値の第1の補正値を生成する第1補正値生成手段を備えている。そして、制御指令値生成手段は、基本指令値生成手段により生成された基本指令値と第1補正値生成手段により生成された第1の補正値との第1の演算を行うことにより、基本指令値の補正を行う。
【0027】
つまり、基本指令値の補正は、基本指令値と第1の補正値とを第1の演算によって演算することにより行うのであり、第1の補正値は、第1補正値生成手段によって機器駆動力に応じた値が生成される。第1の演算として具体的にどのような演算を行うかは適宜考えられ、例えば、基本指令値に第1の補正値を加算又は減算するようにしてもよいし、また例えば、基本指令値に第1の補正値を乗算するようにしてもよい。また、第1の演算をどのように行うかに応じて、第1の補正値をどのように(どのような値に)生成するかについても適宜決めることができる。
【0028】
このように、基本指令値と第1の補正値との演算により基本指令値を補正(即ち制御指令値を生成)することで、機器駆動力に応じた適切な値の制御指令値の生成を容易且つ確実に行うことができる。
【0029】
ところで、気動車の走行性能は、車載機器の動作状態の影響の他にも、車両重量の影響も受ける。具体的には、同じ走行用駆動力に対し、車両重量が増えれば増えるほど、車両の走行性能は低くなってしまう。
【0030】
そこで、上述した請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の気動車用エンジン制御装置においては、更に、例えば請求項5に記載のように、車両重量も考慮して制御指令値を生成するようにするとよい。即ち、気動車の重量(以下「車両重量」ともいう)を直接又は間接的に検出する重量検出手段を備え、制御指令値生成手段は、重量検出手段により検出された重量が大きいほどエンジン出力が大きくなるように制御指令値を生成する。
【0031】
尚、検出された重量が大きいほどエンジン出力が大きくなるように制御指令値を生成するということは、換言すれば、検出された重量が小さいほどエンジン出力が小さくなるように制御指令値を生成するということでもある。また、重量に対する制御指令値の具体的生成方法は種々考えられ、例えば、検出された重量に応じてエンジン出力が連続的に変化するように制御指令値を生成してもよいし、検出された重量に応じてエンジン出力が段階的に変化するように制御指令値を生成するようにしてもよい。
【0032】
このように、機器駆動力に加えてさらに車両重量も考慮して制御指令値を生成することで、車両重量にかかわらず良好な走行性能を安定的に維持させることが可能となる。
制御指令値生成手段が車両重量に基づいて具体的にどのように制御指令値を生成するかについても種々考えられるが、例えば請求項6に記載のように、操作指令信号に対応した基本指令値を補正することによって生成することができる。
【0033】
即ち、請求項6に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の気動車用エンジン制御装置であって、気動車の重量を直接又は間接的に検出する重量検出手段を備え、制御指令値生成手段は、基本指令値生成手段により生成された基本指令値を、機器駆動力検出手段により検出された機器駆動力及び重量検出手段により検出された重量に基づき、機器駆動力が大きいほどエンジン出力が大きくなるよう且つ重量が大きいほどエンジン出力が大きくなるように補正して、その補正後の基本指令値を制御指令値として生成する。
【0034】
つまり、操作指令信号に対応した基本指令値を基本としつつも、機器駆動力が大きいほどエンジン出力が大きくなるよう、且つ車両重量が大きいほどエンジン出力が大きくなるようにその基本指令値を補正することによって、制御指令値を生成するのである。そのため、機器駆動力及び車両重量の双方に応じた適切な値の制御指令値を生成することができる。
【0035】
尚、機器駆動力に応じた補正を、第1補正値生成手段が生成した第1の補正値を用いた第1の演算により行う構成の場合は、車両重量に応じた補正については、例えば、まず車両重量に応じて基本指令値を補正し、その補正後の基本指令値に対して第1の演算を行うようにしてもよいし、まず第1の演算による補正を行い、その補正後の基本指令値を車両重量に応じて補正するようにしてもよい。
【0036】
そして、車両重量に応じた補正は、より具体的には、例えば請求項7に記載のように行うことができる。即ち、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の気動車用エンジン制御装置であって、基本指令値を所定の第2の演算によって補正するための、重量検出手段により検出された重量に応じた値の第2の補正値を生成する第2補正値生成手段を備えている。そして、制御指令値生成手段は、基本指令値生成手段により生成された基本指令値と第2補正値生成手段により生成された第2の補正値との第2の演算を行うことにより、基本指令値の補正を行う。
【0037】
つまり、車両重量に応じた補正も、上述した機器駆動力に応じた補正と同じように、基本指令値と第2の補正値とを第2の演算によって演算することにより行うのであり、第2の補正値は、第2補正値生成手段によって車両重量に応じた値が生成される。
【0038】
このように、基本指令値に対して第1の補正値による第1の演算及び第2の補正値による第2の演算を行うことにより基本指令値を補正(即ち制御指令値を生成)することで、機器駆動力及び車両重量の双方に応じた適切な値の制御指令値の生成を容易且つ確実に行うことができる。
【0039】
尚、基本指令値に対する、上記第1の演算(機器駆動力に応じた補正演算)と第2の演算(車両重量に応じた補正演算)の先後関係は適宜決めればよく、例えば、まず第1の演算により基本指令値を補正し、その補正後の基本指令値を更に第2の演算で補正するようにしてもよいし、その逆でもよい。
【0040】
ところで、上述した請求項1〜請求項7に記載の発明では、機器駆動力が変動した場合にはその変動に応じてエンジン出力も制御される。そのため、理論的には、機器駆動力の変動に追随してエンジン出力を制御することで、走行用駆動力が機器駆動力の変動の影響を全く受けないようにすることは可能である。しかし、実際には、機器駆動力を検出してからその検出結果をエンジン出力に反映(即ち制御指令値に反映)させるまでの間の制御応答遅れなどによって、エンジン出力に反映されるタイミングが遅れるおそれがある。そうなると、機器駆動力の変動の程度によっては、機器駆動力が変動してからその変動が制御指令値に反映されるまでの間、走行用駆動力が急激に変化してしまうおそれがある。
【0041】
そこで、例えば請求項8に記載のように、機器駆動力が変動する場合にはそのことを予め知ることができるようにし、実際に変動する前に予めその変動を想定してエンジン出力を制御するようにするとよい。
【0042】
即ち、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の気動車用エンジン制御装置であって、検出対象機器の少なくとも1つは、自身の動作に必要な機器駆動力の変動を伴うような所定の動作状態の変化が生じる場合に、その動作状態の変化前の所定のタイミングで、その動作状態の変化により生じる機器駆動力の変動内容を示す予告信号を出力可能に構成されている。そして、制御指令値生成手段は、検出対象機器から予告信号が出力された場合、その予告信号に基づき、その予告信号に対応した動作状態の変化が生じる前に、その予告信号に対応した動作状態の変化により生じる機器駆動力の変動に応じてエンジン出力を予め変動させるよう、現在生成している制御指令値を補正する。
【0043】
つまり、機器駆動力の変動に対するエンジン出力の応答遅れを考慮し、その応答遅れに起因する走行用駆動力の急増・急減等の防止策として、機器駆動力が実際に変動する前に、その変動する機器駆動力分のエンジン出力を変動させる制御も行うのである。
【0044】
このように構成された気動車用エンジン制御装置によれば、機器駆動力の変動に起因する走行用駆動力の変動をより効果的に抑制することができる。