【文献】
Trevor L. Hawkins,A Magnetic Attraction to High-Throughput Genomics,SCIENCE,1997年 6月20日,V.276,P.1887-P.1889
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓋体を有する少なくとも2つのマルチウェル・プレートであって、ひとつより多い容器を備えると共に相互に積層されるマルチウェル・プレートを具備すべく該少なくとも2つのマルチウェル・プレートを保持するカセットであって、
相互に対向して配置された2つの短寸の側壁と、
相互に対向して配置された2つの長寸の側壁と、
マルチウェル・プレートが通過することを許容すべく寸法設定された開放頂部と、
マルチウェル・プレートの面積よりも小さい面積を有する開口を備える底部表面と、
を具備し、
前記側壁の頂部が外側方へ延在する基部を備え、該基部が安定化スリットを有するカセット。
当該カセットが少なくとも2つのマルチウェル・プレート・セットを具備し、該マルチウェル・プレート・セットがいずれもマルチウェル・プレート及び蓋体を有し、前記蓋体がフレームと該フレームに対して固着されたシール箔体とを有し、前記蓋体が前記シール箔体と前記マルチウェル・プレートの頂面との間に離間距離がある第1位置において前記マルチウェル・プレート上に配置される請求項1に記載のカセット。
当該カセットが、前記各側壁のいずれかひとつの側壁の内側部上において、前記マルチウェル・プレートを中心合わせされた位置へと案内する少なくともひとつの案内構造を具備する請求項1又は2に記載のカセット。
前記側壁の頂部が、マルチウェル・プレートの積層体の頂部における前記マルチウェル・プレートを操作器が操作することを可能にする切欠きを有する請求項1から4のいずれか一項に記載のカセット。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】種々のステーション、モジュール又は区画を備えて成る分析器の概略図である。
【
図2】(a)から(d)は、シール箔体が格納位置にあり(a)、蓋体が揚動され(b)、蓋体の回転の間(c)、及び、シール位置(d)におけるADプレート及びフレームを示す図である。
【
図3】(a)は、シール位置における上記ADプレート及びフレームの側断面図であり、(b)は、2つの層を備えたシール箔体と、フレームを構成する上記蓋体の頂部とを示す図である。
【
図4】(a)及び(b)は、格納位置における上記ADプレート及びフレームのひとつの角隅部の側断面図及び平断面図であり、(c)及び(d)は、シール位置における上記ADプレート及びフレームの角隅部の側断面図及び平断面図である。
【
図5】(a)及び(b)は、係合解除され(a)又は係合された(b)繋止機構に対する、上記ADプレートを受容するステーションにおける該ADプレートの装着を示す図である。
【
図6】把持器フィンガに対する先端部用ラックの相互作用を示す図であり、型形状繋止式の把持によりX及びY方向の移動は阻止される(右側の図を参照)。
【
図7】操作器とマルチウェル・プレートとの間の相互作用を示す図であり、上記把持器フィンガはマルチウェル・プレート上の開口と相互係合し、型形状繋止式の把持に帰着している。
【
図8a】ロボット式アームに対して接続された上記操作器、及び、上記把持器フィンガによる消耗品の取付け及び取外しを示す。
【
図8b】ロボット式アームに対して接続された上記操作器、及び、上記把持器フィンガによる消耗品の取付け及び取外しを示す。
【
図8c】上記操作器が同一のインタフェースにより異なる消耗品と相互作用するところを示している。
【
図10】頂部側からの空のカセットの立体図である。
【
図11】(a)は複数対のADプレート及び蓋体が装填されたカセットを示す図であり、(b)においてはカセット及びADプレートの夫々のハードウェア識別子が示される。
【
図12】積層器内への装填に先立つカセットを示す図である。
【
図13】積層器内へ装填された後のカセットを示す図である。
【
図14】複数対のマルチウェル・プレート及び蓋体を備えたカセットの角隅部を示す図であり、カセットの安定化スリットは積層器の安定化突出部に係合している。
【
図15】複数対のマルチウェル・プレート及び蓋体を備えたカセットの角隅部の立体側面図であり、カセットの安定化スリットは積層器の安定化突出部に係合している。
【
図16】積層された複数対のマルチウェル・プレート及び蓋体と、箔体に対する容器の擦過を阻止するボルトとを備える、カセットの長寸側壁に平行な断面図である。
【
図17】箔体に対する容器の擦過を阻止するボルトの拡大図である。
【
図18】装填の前におけるカセット及び積層器を示す図である。
【
図19】(a)及び(b)は、積層器上に装填されたカセットの2つの図であり、積層器の装填用支持体は上側位置に在る。
【
図20】(a)から(c)は、積層器内に装填されたカセットを示す図であり、昇降器及び装填用支持体は最下位置に在る。
【
図21】(a)から(c)は、複数対のマルチウェル・プレート及び蓋体を備えたカセットを示す図であり、積層器の昇降器はカセットの内側の各プレートを押し上げることで、各プレートに対する操作器のアクセスを許容している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、少なくとも2つのマルチウェル・プレートを保持するカセットに関する。該カセットは、相互に対向して配置された2つの短寸側壁と、相互に対向して配置された2つの長寸側壁と、マルチウェル・プレートの通過を許容すべく寸法設定された開放頂部と、マルチウェル・プレートの面積よりも小さな面積を有する開口を備える底部表面とを備えて成る。
【0009】
本発明のひとつの態様において、上記カセットは相互に積層された少なくとも2つのマルチウェル・プレートを備え、該マルチウェル・プレートはひとつより多い容器を備えている。好適実施形態において、上記カセットは蓋体を有する少なくとも2つのマルチウェル・プレートを備え、各マルチウェル・プレートは相互に積層されている。更に好適には、上記カセットは少なくとも2つのマルチウェル・プレート・セットを備え、該マルチウェル・プレート・セットはいずれもマルチウェル・プレート及び蓋体を備えて成り、上記蓋体は、フレームと、該フレームに対して固着されたシール箔体とを備えて成り、上記蓋体は、上記シール箔体と上記マルチウェル・プレートの頂面との間に離間距離がある第1位置において上記マルチウェル・プレート上に配置される。マルチウェル・プレート及び蓋体の好適実施形態は、本明細書において以下に記述される。
【0010】
本発明に係る上記カセットは、特に、分析対象核酸の増幅及び/又は検出に対して使用されるマルチウェル・プレートに対して幾つかの利点を有している。斯かるマルチウェル・プレートが直面する共通の問題は、それらが汚染され、最終的には不正確な試験結果に繋がり得ることである。蓋体を備えたプレートの場合、それらが分析装置の積層器内へと装填される前に、上記蓋体は上記プレートから分離され得る。さもなければ、上記シールは擦過されることがある。本発明の上記カセットによれば、蓋体を備えたマルチウェル・プレートの操作が、蓋体を備えたマルチウェル・プレートの直接的操作よりも相当に容易とされる。ユーザは、幾つかのマルチウェル・プレートを一挙に上記積層器内へと装填し得る。上記マルチウェル・プレート及び蓋体が分離されることは殆どない。更に、上記マルチウェル・プレートの表面を擦過する虞れが低減される。擦過はまた、不規則的なシール作用を引き起こすことがある。故に、擦過の虞れが低減されると、分析対象物を含むサンプルの更に確実なシール及び更に確実な処理も実現される。
【0011】
故に上記カセットによれば、分析装置内への更に容易で更に安全且つ更に迅速なマルチウェル・プレートの装填が許容される。
【0012】
本発明の上記カセットのひとつの態様において、該カセットは、上記各側壁の内のいずれかひとつの側壁の内側部上において、上記マルチウェル・プレートを中心合わせされた位置へと案内する少なくともひとつの案内構造を備えて成る。好適には、上記各側壁の内のいずれかひとつは、内側壁上に少なくとも2つの案内構造を備えて成る。これにより、正しい位置における上記カセットの装填と、上記蓋体を有する上記プレートの適切で次続的な自動操作が確実とされる。
【0013】
本発明のひとつの態様において、上記側壁の頂部は、マルチウェル・プレートの積層体の頂部におけるマルチウェル・プレートを操作器が操作することを許容するための切欠きを備えている。好適には該切欠きは、上記2つの長寸側壁の頂端部上の基部上に配置される。上記切欠きによれば、本明細書において以下に記述される如く上記マルチウェル・プレートの形態適合式の操作が許容される。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記カセットの上記頂端部は上記側壁の頂部の回りに延在する基部を備え、該基部は安定化スリットを備えて成る。該安定化スリットは、上記積層器上の安定化突出部と相互作用し得る。上記安定化スリットと安定化突出部との相互作用によれば、上記カセットを保持することが意図された単一又は複数の積層器においてのみ、該カセットの正しい位置決めが確実とされる。
【0015】
本明細書中において上記に記述された本発明の上記カセットのひとつの態様において、上記マルチウェル・プレートはボルト(821)を備えて成り、該ボルトの底端部は、上記マルチウェル・プレートの各容器の底部の下方に延在する。
【0016】
ひとつの態様において本発明は、分析対象物を含むサンプルを分析する装置を備えて成る分析システムに関する。該分析システムは積層器を更に備えて成り、該積層器は、本明細書中において上記に記述された少なくともひとつのカセットを備えて成る。上記積層器は、少なくともひとつの安定化突出部、好適には少なくとも4個の安定化突出部、更に好適には8個の安定化突出部を備えて成る。該安定化突出部は、上記側壁の頂部上に配置された基部に含まれた安定化スリットと相互作用する。一実施形態において、上記カセットは上記突出部より多いスリットを備えて成る。好適には、上記カセットは、上記安定化突出部の個数に等しい個数の安定化スリットを備えて成る。上記カセットを上記積層器上へと装填する上での上記安定化突出部と安定化スリットとの相互作用の利点は、本明細書中において上記に記述された如くである。上記分析システムは、マルチウェル・プレートを上記積層器から、分析対象物を分析する上記装置へと移送する操作器を更に備えて成る。
【0017】
上記分析システムのひとつの態様において、上記積層器には、マルチウェル・プレートの積層体を上方向に移動させる昇降器が含まれる。本発明のひとつの態様において、上記積層器は、上記カセットの下側接触表面に接触する移動可能な装填用支持体を備えて成る。好適には、上記積層器は、上記昇降台を移動させる第1モータと、上記移動可能な装填用支持体を移動させる第2モータとを備えて成る。好適実施形態において、上記分析システムの上記分析装置は、上記分析対象物を分析するための反応混合物を調製するモジュールと、上記分析対象物を分析するモジュールとを備えて成る。上記分析システム及び装置の更なる好適実施形態は、本明細書中に記述された如きである。
【0018】
本明細書中で用いられる“分析対象物”という語句は、検出に対して関心対象となる任意の種類の生体分子であり得ると共に、その検出は、生物の診断的状態を表す。上記生物は、動物、更に好適には人間であり得る。好適には、上記分析対象物は、タンパク質、ポリペプチド、抗体、又は、核酸である。更に好適には、上記分析対象物は核酸である。
【0019】
本発明のひとつの態様において、本発明は分析対象物を分析する方法に関する。該方法は、本明細書中に記述された如きカセットを、分析システムの積層器内へと装填する段階と、上記カセットからマルチウェル・プレート・セットを操作器により、反応混合物を調製する位置へと移送する段階と、上記反応混合物を調製する段階と、上記反応混合物を含む上記マルチウェル・プレートを、温度制御式のインキュベータへと移送する段階と、上記分析対象物を分析する段階と、を備えて成る。本発明の上記方法において、段階b)からe)は自動化される。好適には上記方法は付加的に、自動化された以下の各段階を備えて成る:分析対象物を含むサンプルを提供する段階;上記分析対象物を単離して精製する段階;その場合、これらの段階は上記段階a)に先行する。
【0020】
図9から
図21には、本発明の代表的で非限定的な実施形態が示される。
【0021】
図9及び
図10は、相互に対向して配置された2つの短寸側壁801a、b、及び、相互に対向して配置された2つの長寸側壁802a、bを備えて成るカセット800を示している。該カセット800は、開放頂部803を有している。底部表面804は開口805を有する。開口805の面積は、マルチウェル・プレート300の面積よりも小さい。カセット800は、脚部840も備えて成る。カセット800は、全ての側壁801a、b、802a、bの内側部807上において、マルチウェル・プレート対300を中心合わせされた位置へと案内する2つの案内構造806を有する。上記カセットはハードウェア識別子825を有し、且つ、ADプレート301は、正しい形式のADプレート300のみがカセット800内に装填され得る如く相補的であるハードウェア識別子305を備えて成る(
図11(a)及び(b))。
【0022】
更に、長寸側壁802a、bの頂端部810上の基部808上には、カセット800の内側のマルチウェル・プレート対300に対して操作器500がアクセスすることを許容する切欠き809が在る。基部808は、安定化スリット811も備えている。これらの安定化スリット811は積層器600上の安定化突出部812と相互作用することで、積層器600におけるカセット800の正しい位置決めを確実とし得る(
図13から
図15)。更に、上記カセットは、(
図12に示された)マルチウェル・プレート300上のバーコード828に対するアクセスを許容するために、ひとつの短寸側壁801の基部808上の開口827も備えて成る。
【0023】
マルチウェル・プレート301の下部側820には、少なくとも一本のボルト821が含まれる。ボルト821の底部822は、容器312の底部823の下方に配置される。複数のマルチウェル・プレート対300を積層するとき、各ボルト821は、容器312の底部822が下方のマルチウェル・プレート対300の箔体303を擦過することを阻止する。故に、箔体303の光学的及び機械的な特性は、搬送の間において変更されない。
【0024】
図18から
図21は、積層器600に対するカセット800の相互作用を示している。カセット800は、積層器600上へと手動的に装填される。
図19(a)及び(b)において、カセット800は、その接触表面815により、当該装填用支持体自体の上側位置814aに在る装填用支持体814上へと着座される。カセット800を束縛するための各ラッチ816は、それらの開き位置816aに在る。
【0025】
図20(a)から(c)において、装填用支持体814は下側位置814bに在る。4個のラッチ816は、それらの束縛位置816bに在り且つカセット800のラッチ接触表面826に対して力を及ぼすことで、カセット800の接触表面815に対して装填用支持体814に向かう力を及ぼす。各ラッチは、所定の中心点817の回りで旋回する。上記束縛力は、スプリング締着ピン819に取付けられたスプリング818により生成される。
【0026】
上記積層器はまた、操作器500がマルチウェル・プレートと蓋体とのひとつの対300を把持し、分析システム400内の消耗品ホルダへと搬送することを許容する位置へと、マルチウェル・プレートと蓋体との複数の対300を移動させる昇降器822も備えている。
図21(a)から(c)は、その下側位置814bに在る装填用支持体814に当接させてカセット800は押圧されたままとされ乍ら、昇降器822がマルチウェル・プレートと蓋体との複数の対300を如何に押し上げるかを示している。
【0027】
各カセット800からマルチウェル・プレートの対300が使い果たされたとき、それらは積層器600から取り外され、廃棄のために積層される。側壁801a、b;802a、b上には、案内構造806に嵌合すべく配置された積層用スリット830が配備される。これにより、各カセット800は少なくとも部分的に相互内へと載置され、複数の空のカセット800により占有されるスペースが減少される。
【0028】
マルチウェル・プレート及び蓋体の対、及び、操作器の好適実施形態は、本明細書において以下に記述される。
【0029】
図1は、核酸分析に対して好適に使用される分析システム400の概略図を示している。分析システム400は、マルチウェル・プレート300の如き消耗品を操作する一台以上の操作器500を有する搬送システム480により接続された種々のモジュール又は区画401、402、403を有する分析装置440を備えて成る。システム400はまた、該システム400において自動的に実施される分析プロセスに対して必要とされる消耗品、好適には本発明に係るカセット800を装填して保持する少なくともひとつの積層器600も備えて成る。積層器ユニット600は、廃棄物ユニット650も備えて成る。各矢印は、消耗品の移動を表している。
【0030】
ADプレート及びフレーム
増幅及び検出のために、マルチウェル・プレートが一般的に用いられる。斯かるプレートは特に、分析対象核酸を増幅する増幅ステーションを備えて成る自動分析システムにおいて有用である。
【0031】
増幅反応に先立ち、その間において、及び、その後においてウェル同士の間の汚染を阻止するために、増幅が行われる反応容器はシールされる。増幅用マルチウェル・プレートに対するシールの一般的手法は、上記プレート上にシール箔体を載置する段階と、それを接着剤により又は加熱シールにより上記プレートに対して接続する段階とを備えて成る。
【0032】
本発明は、核酸を単離して増幅する優れた自動化方法、シール箔体を備える優れたマルチウェル・プレート、及び、優れた自動分析システムを開示する。
【0033】
本発明のひとつの態様に依れば、流体サンプル中に存在し得る分析対象核酸を単離して増幅する方法は、第1容器内で、上記流体サンプル中に存在する他の物質から上記分析対象核酸を分離する段階を備えて成る。好適には、上記第1容器は第1マルチウェル・プレート内に含まれる。第2のマルチウェル・プレートが配備される。この第2マルチウェル・プレートは、フレームとシール箔体とを備えて成る蓋体を備えて成る。該蓋体は揚動され、次に、上記第1容器内で分離された分析対象物が、上記第2マルチウェル・プレートのウェルへと移し換えられる。上記シール箔体を備えて成る上記蓋体は、上記第2マルチウェル・プレート上に載置される。次に、上記第2マルチウェル・プレートは上記シール箔体によりシールされる。上記第2マルチウェル・プレートが一旦シールされたなら、上記分析対象物は、上記第2マルチウェル・プレートにおいて、シールに先立ち加えられた増幅試薬の存在下で増幅される。
【0034】
故に、本発明は、流体サンプル中に存在し得る分析対象核酸を単離して増幅するプロセスであって、自動化された以下の各段階を備えて成るプロセスに関する:
a)第1容器内で、上記流体サンプル中に存在する他の物質から上記分析対象核酸を分離する段階;
b)フレームとシール箔体とを備えて成る蓋体を備えて成る第2マルチウェル・プレートを配備する段階;
c)上記蓋体を揚動する段階;
d)上記第1容器内で分離された分析対象物を、上記第2マルチウェル・プレートのウェルへと移し換える段階;
e)上記シール箔体を備えて成る上記蓋体を、上記第2マルチウェル・プレート上に載置する段階;
f)上記第2マルチウェル・プレートを上記シール箔体によりシールする段階;
g)上記分析対象物を、上記第2マルチウェル・プレートにおいて、シールに先立ち加えられた増幅試薬の存在下で増幅する段階。
【0035】
好適実施形態において、段階b)において、上記蓋体は、上記シール箔体と上記第2マルチウェル・プレートとの間の接触を阻止する第1位置において、該マルチウェル・プレート上に存在し;且つ、段階e)において、上記蓋体は、上記シール箔体と上記第2マルチウェル・プレートとの間の接触を促進する第2位置において、上記マルチウェル・プレート上に載置される。
【0036】
本明細書において上記された方法の好適実施形態において、上記蓋体は180°だけ回転される。
【0037】
好適には、上記フレームは複数の支持リブ、更に好適には4本の支持リブを備えて成り、且つ、上記マルチウェル・プレートは対応する凹所、更に好適には4個の対応凹所を備えて成り、上記各凹所は、上記フレームの上記支持リブが、上記マルチウェル・プレート上の上記蓋体の上記第1位置において該凹所と整列しない様に、且つ、上記支持リブが、上記マルチウェル・プレート上の上記蓋体の上記第2位置において該凹所と整列する様に、位置決めされる。
【0038】
上記第2位置において、上記フレームの上記支持リブは好適には、上記マルチウェル・プレートの上記凹所内に載置される。
【0039】
本明細書中に記述された上記方法の一好適実施形態において、上記シールは加熱シールである。本発明に係る上記方法の更なる好適実施形態は、本明細書において上記に又は本明細書において以下に記述される。
【0040】
本発明は更に、マルチウェル・プレートと蓋体とを備えて成るマルチウェル・プレート・セットであって、上記蓋体は、フレームと、該フレームに対して固着されたシール箔体とを備えて成り、上記マルチウェル・プレート上の上記蓋体の第1位置において、上記シール箔体と上記マルチウェル・プレートの頂面との間には分離距離が配置され、且つ、第2位置において、上記シール箔体は上記マルチウェル・プレートの上記頂面と接触する、マルチウェル・プレート・セットに関する。好適には、上記フレームは支持リブを備えて成り且つ上記マルチウェル・プレートは開口を備えて成り、上記第1位置において上記支持リブは上記開口とは異なる箇所に在り、且つ、上記第2位置において上記支持リブ及び上記開口は相互に整列する。本明細書中に記述されたマルチウェル・プレート・セットの好適実施形態において、上記マルチウェル・プレートの上記頂面は加熱縁部を備えて成り、且つ、上記第2位置において上記シール箔体は上記加熱縁部と接触する。好適には、上記シール箔体は加熱シール法により上記フレームに対して固着される。更に好適には、上記シール箔体は上記フレームの上記頂面に固着される。好適実施形態において、上記シール箔体はポリマーから成る。好適には、上記シール箔体は異なる融点を有する少なくとも2層から成る。更に好適には、上記シール箔体は異なる融点を有する2つの層から成り、低い融点を有する層は上記マルチウェル・プレートに向けて配向される。上記方法の更なる好適実施形態は、本明細書において上記に又は本明細書において以下に記述される。
【0041】
フレームを有する上記代表的なマルチウェル・プレートは、複数の容器312を備えて成るマルチウェル・プレート300を備えて成る。容器312は、マルチウェル・プレート301の上側表面326上に一体的に形成される。上側表面326上で、各容器312は高位とされた加熱縁部311により囲繞される。蓋体302は、ポリマー314から成るフレーム302bと、ポリマーから成る箔体303とを備えて成る。箔体303は、加熱シール法によりフレーム302bに対して固着される。好適には、箔体303は、更に好適には加熱シールにより、頂部表面302a上にシールされる。上記マルチウェル・プレート及びフレームは、プラスチック、好適にはポリスチレン又はポリプロピレン又は他のポリマーなどの、マルチウェル・プレートに対して一般的に使用される材料で作成され得る。最も好適な材料は、ALTECH(登録商標)PS A 1000/536 AS WHITE WT1113−05である。好適には、上記マルチウェル・プレートは静電防止材料を付加的に備えて成り、好適には該静電防止材料は、油又は灰分又はスート(soot)から成る群から選択される。たとえば先端部用ラックなどの他の消耗品もまた、斯かる静電防止材料を備え得る。
【0042】
マルチウェル・プレート300は、相互に対置された2つの長寸側壁323、324と、相互に対置された2つの短寸側壁319、320とを備えて成る。フレーム302bは、相互に対置して配置された2つの長寸側壁328、327と、相互に対置して配置された2つの短寸側壁321、322とを備えて成る。
【0043】
好適な箔体303は、異なる融点を有する2つの層314、315を備えて成る。一方の層315は、低い融点を有する。この層315は、加熱縁部310、311を備えて成るマルチウェル・プレート301と、フレーム302bの表面302aとに向けて配向される。加熱シールの間において、熱は、更に高い融点を有する更に安定な層314を通り、更に低い融点を有する層314へと伝達される。故に層315は、加熱されて溶融される。上側の層314は、加熱シールの間において溶融されない。これにより、漏出的な箔体303の虞れが最小限とされる(
図3(b))。
【0044】
マルチウェル・プレート301及び蓋体302は、供給のために対300として組立てられる。頂面317の内側部316上にて、フレーム302bは支持リブ318を備えて成る。2つの支持リブ318はフレーム302bの第1の側壁321に沿い配置され、且つ、2つの支持リブ318は第1の側壁321と対向する第2の側壁322に沿い配置される。好適には、上記側壁はフレーム302bの短寸側壁である。マルチウェル・プレート301の頂面313の縁部は、開口308を備えて成る。開口308は、支持リブ318が配置される上記フレームの側壁321、322に対応する側壁319、320に沿い配置される。マルチウェル・プレート301に対する蓋体302の組立て/供給位置(
図2(a)において、各開口308は、それらが支持リブ318と整列しない様に載置される。故に、蓋体302がマルチウェル・プレート301上に載置されたとき、各支持リブ318はマルチウェル・プレート301の頂面313上に着座する(
図4(a))。これにより、箔体303が加熱縁部310、311に接触することが阻止されることから、その他の場合には、ひとつのマルチウェル・プレート300が第2のマルチウェル・プレート300の箔体の表面上を滑動ことにより引き起こされ得る箔体303上の擦過であって、搬送、格納及び装填の間において箔体303の光学的及び機械的な特性を阻害し得る擦過が阻止される。
【0045】
蓋体302を備えたマイクロウェル・プレート301が分析機器440において使用されるとき、蓋体302は精製済み分析対象物及び試薬の添加のために揚動される。全ての試薬が容器312に対して添加されたとき、蓋体302は180°回転されてマルチウェル・プレート301上に載置される(
図2(b))。上記の180°の回転により、マルチウェル・プレート301の頂部上の各開口308と、フレーム302bの各支持リブ318とは整列される。故に、マルチウェル・プレート301上に載置されたとき、箔体303は、マルチウェル・プレート301の各容器312を囲繞する加熱縁部311と接触せしめられ、且つ、熱が加えられることで容器312は箔体303によりシールされ得る(
図2(d)、
図3(a))。
【0046】
マイクロウェル・プレート301及び蓋体302は両者ともに、ANSI SBS設置面積フォーマットに対応する基部の長さ及び幅を備えて成る。更に好適には、上記長さは127.76mm±0.25mmであり且つ上記幅は85.48mm±0.25mmである。それらは、対合的な配置にて又は個別的に操作器500により把持されるべく構成かつ配置されたプレート301上の開口304及び蓋体302上の開口309とを備えて成る。故に、組立てられたプレート及びフレーム300を、又は、蓋体302のみを、又は、プレート301のみを、把持して搬送することが可能である。
【0047】
フレーム302bは、凹所307を備えて成る。この凹所は、フレーム302bの上記側部の下端部に配置される。上記凹所は好適には、開口304とは異なる位置に配置される。好適には、フレーム302の一側上には2個の凹所307が配置され、且つ、フレーム302bの逆側には2個の凹所307が配置される。最も好適には、上記凹所307は、マルチウェル・プレート301上の凹所306と同一位置に配置される。凹所307によれば、プレート301が固定要素124a及び凹所306の係合により固定されたとき、蓋体302ではなくマルチウェル・プレート301のみが固定されることが確実とされる。
【0048】
操作器
本明細書において上記された方法のひとつの態様において、該方法は、自動化された以下の各段階を備えて成る:
a)第1ステーションにおいてマルチウェル容器内に流体サンプルを提供する段階;
b)上記マルチウェル容器のウェル内において、上記分析対象物が固体支持物質上に固定化されるのを許容するに十分な時的間隔及び条件下で、上記固体支持物質及び上記流体サンプルを相互に組み合わせる段階;
c)分離ステーションにおいて、上記流体サンプル中に存在する他の物質から上記固体支持物質を単離する段階;及び、
d)上記分離ステーションにおいて、上記固体支持物質から上記流体サンプルを分離し且つ上記物質を洗浄用緩衝液により一回以上洗浄することにより、上記分析対象物を精製する段階;
上記マルチウェル容器は操作器により接触され、上記マルチウェル容器は上記操作器により複数のステーション間で搬送され、上記操作器と上記マルチウェル容器との間の上記接触は型形状繋止接触(form−locking contact)である。
【0049】
好適には上記方法は、精製済み分析対象物を分析ステーションで分析する段階を付加的に備えて成る。更に好適には、上記分析段階は、第2のマルチウェル・プレートにおいて実施される。そして更に好適には、第2マルチウェル・プレートは、少なくともひとつの操作器により接触されると共に複数のステーション間で搬送され、上記少なくともひとつの操作器と上記マルチウェル容器との間の上記接触は型形状繋止接触である。更に、上記操作器は好適には、2つのステーション間、又は、3つのステーション間で上記マルチウェル容器を搬送する。上記複数のステーションは好適には、格納ステーション及び/又はサンプル・ステーション及び/又は分離ステーション及び/又は保持ステーション及び/又はシール・ステーション及び/又は分析ステーション及び/又は検出ステーションである。
【0050】
好適実施形態において、上記方法は先端部用ラックに複数のピペット先端部を配備する段階を更に備えて成り、上記先端部用ラックは少なくともひとつの操作器により接触され且つ複数のステーション間で搬送され、上記少なくともひとつの操作器と上記先端部用ラック容器との間の上記接触は型形状繋止接触である。上記複数のステーションの内のひとつは好適には、格納ステーションである。他の好適なステーションは、本明細書中に記述されるステーションである。
【0051】
好適実施形態において、上記分析ステーションは増幅ステーションである。好適には、該増幅ステーションは増幅/検出ステーションである。
【0052】
好適実施形態において、上記操作器は把持器フィンガを備えて成り、該把持器フィンガは上記マルチウェル・プレートの凹所に嵌合し、該嵌合は型形状繋止である(
図6、
図7)。
【0053】
本発明はまた、マルチウェル・プレートの容器内に含まれた分析対象物を固体支持物質から分離する分離ステーションを備えて成る処理区画を備えて成る、分析対象物を精製して分析するシステムにも関する。好適には、上記分離ステーションは、マルチウェル・プレートの容器内に含まれた分析対象物を固体支持物質から分離すべく構成かつ配置される。上記システムは更に、分析ステーションを備えて成る分析区画を備えて成り、上記ステーションは、上記分析対象物を処理して該分析対象物の有無を表す信号を生成するインキュベータを備えて成る。付加的に、上記システムは複数の開口を備えるひとつより多い消耗品を備えて成り、少なくともひとつの開口は上記消耗品の一方の側壁上に配置され、且つ、少なくともひとつの開口は上記消耗品の逆側の側壁上に配置される。上記システムには、少なくともひとつの操作器を備えて成る把持システムも含まれ、上記少なくともひとつの操作器は、該操作器の一側上の少なくともひとつの把持器フィンガと、該操作器の逆側上の少なくともひとつの把持器フィンガとを備えて成る。上記各把持器フィンガは上記消耗品上の上記開口と相互作用し、且つ、該相互作用は型形状繋止相互作用である。好適には、本明細書において上記されたシステムは、液体サンプルをサンプル容器からマルチウェル容器へと移し換えるべく構成かつ配置されたサンプル区画を付加的に備えて成る。好適実施形態において、上記マルチウェル容器は上記把持器システムにより各区画間で搬送される。更なる好適実施形態において、上記マルチウェル容器は、上記サンプル区画から上記分析区画へと搬送される。好適な消耗品は、本明細書中に記述される。
【0054】
好適な操作器500は、ロボット式アーム502に対して接続された中央部分500aを備えて成る。中央部分500bは、対置された2つの側辺上に把持器フィンガ501を備えて成る。把持器フィンガ501は、移動可能である。本明細書において上記された如き型形状繋止要素38、106、507、309を備えて成る消耗品60、70、101、301、302に係合するとき、把持器フィンガ501は該消耗品60、70、101、301、302に接続される。把持器フィンガ501は、消耗品60、70、101、301、302に向けて移動され、該把持器フィンガ501が停止に至るまで型形状繋止要素38、106、507、309と相互係合する。この位置において、操作器500と消耗品60、70、101、301、302との間には型形状繋止位置が存在する。ロボット式アーム502に対して接続された操作器500は、消耗品60、70、101、301、302をひとつの位置から第2位置へと移動させ得る。消耗品60、70、101、301、302を解放するために、把持器フィンガ501は該消耗品60、70、101、301、302から離間移動する。好適には、上記操作器は複数のスプリング取付け式ピン506を備えて成る。これらのピン506は、操作器500が消耗品60、70、101、301、302に対して押圧されたときに該消耗品60、70、101、301、302から強制的に離間される。この位置において把持器フィンガ501は、消耗品60、70、101、301、302の型形状繋止要素38、106、507、309と相互作用し得る。操作器500を消耗品60、70、101、301、302に対して下方に押圧したとき、把持器フィンガ501は消耗品60、70、101、301、302の型形状繋止要素38、106、507、309から離間移動し得る(
図8a)。
【0055】
操作器500は、把持に先立ち該操作器500が消耗品60、70、101、301、302上で下方に移動されるときにマルチウェル・プレートの側方に配置されるピン507も備えて成る。これらのピン507は、消耗品60、70、101、301、302を把持のための正しい位置へと案内する。更に、ピン507は、把持器フィンガ501が消耗品60、70、101、301、302から離間移動するときに該消耗品60、70、101、301、302が操作器500へと付着することを阻止する(
図8b)。
【0056】
好適には、上記型形状繋止要素38、106、507、309は、上記消耗品の側壁、更に好適には消耗品60、70、101、301、302の長寸側辺における開口38、106、507、309である。好適には、ひとつの側壁上には2つの開口38、106、507、309が配置され、且つ、逆側の側壁上には2つの開口38、106、507、309が配置される。