特許第5872787号(P5872787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872787
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】信号伝送用多芯型伸縮ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/06 20060101AFI20160216BHJP
   H01B 11/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   H01B7/06
   H01B11/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-95428(P2011-95428)
(22)【出願日】2011年4月21日
(65)【公開番号】特開2012-227061(P2012-227061A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046303
【氏名又は名称】旭化成せんい株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】中澤 彰仁
(72)【発明者】
【氏名】巽 俊二
(72)【発明者】
【氏名】牧野 広行
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−313145(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/157070(WO,A1)
【文献】 特開昭61−13507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/06
H01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体からなる芯部およびその外周に同一方向に捲回された導体線からなる導体部を有する少なくとも2本の伸縮伝送線と、該伸縮伝送線を纏めてその周囲を被覆してなる絶縁繊維及び/又は絶縁樹脂からなる外部被覆層からなり、導体線の本数が2本以上である前記伸縮伝送線を少なくとも1本含み、隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xと各伸縮伝送線内の導体線間距離YがY<Xであり、かつ、Yが0.54mm〜5mmであることを特徴とする信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【請求項2】
前記伸縮伝送線の導体線の本数が8本以下である、請求項1に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【請求項3】
前記伸縮伝送線が導体部の外周に絶縁繊維及び/又は絶縁樹脂からなる被覆層を有する、請求項1または2に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【請求項4】
前記伸縮伝送線の周囲及び/又は各伸縮伝送線を纏めた周囲がシールドされている請求項1〜のいずれか一項に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【請求項5】
前記伸縮伝送線間に少なくとも1本の弾性体が介在する請求項1〜のいずれか一項に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【請求項6】
前記導体部が、前記導体線の外側に導体線と逆方向に捲回された絶縁性糸状体を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルに関するものである。詳しくは、LANケーブルを中心とした多芯型信号ケーブルに関し、信号伝送性、伸縮性および耐久性に優れた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットはますます高度化し、複雑な動きをするようになってきているため、様々な動きに応じて形態変形と追従性を兼ね備えた伸縮伝送線が望まれている。ここで、伝送線とは信号や電力を伝えるためのケーブル状物をいい、いわゆる電線や光ケーブル等が該当する。一方、電線分野において、信号の高速伝送化には目覚ましいものがある。信号伝送を高速化する方法として、信号線の数を増やす多芯化する方法がある。これは多芯化にすることにより、多くの情報を一度に送信できるようになり、さらに高速化できるからである。しかし、信号線を多芯化にすることにより、信号線間で干渉し合い、信号品質を悪化させるという問題が発生する。伸縮電線を多芯化する方法として、同一伸縮電線内に銅線を複数本挿入する方法が知られているが、伸縮性が低下するとともに、銅線間距離が近いため、信号線同士が干渉し、信号品質の悪化が避けられない(例えば、下記特許文献1参照)。また、伸縮電線を複数本束ねて、被覆をかけて多芯化する方法が知られているが、銅線間距離が十分考慮されず、距離が近づき過ぎると信号品質の低下を引き起こし、さらに繰り返し伸縮によって銅線同士が接触し擦れて断線の問題が発生する(例えば、下記特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/078780号パンフレット
【特許文献2】特開2002−313145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ロボット等の複雑な動きに対して柔軟に変形、追従し、信号品質や伸縮耐久性に優れる信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、信号伝送用多芯型伸縮ケーブル内の各々の伸縮伝送線の内部と外部の導体線間距離の範囲を一定範囲に調整することにより、伝送性および伸縮耐久性が向上することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
【0006】
(1)弾性体からなる芯部およびその外周に同一方向に捲回された導体線からなる導体部を有する少なくとも2本の伸縮伝送線と、該伸縮伝送線を纏めてその周囲を被覆してなる絶縁繊維及び/又は絶縁樹脂からなる外部被覆層からなり、導体線の本数が2本以上である前記伸縮伝送線を少なくとも1本含み、隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xと各伸縮伝送線内の導体線間距離YがY<Xであり、かつ、Yが0.54mm〜5mmであることを特徴とする信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
(2)前記伸縮伝送線の導体線の本数が8本以下である、上記(1)に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
(3)前記伸縮伝送線が導体部の外周に絶縁繊維及び/又は絶縁樹脂からなる被覆層を有する、上記(1)または(2)に記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
(4)前記伸縮伝送線の周囲及び/又は各伸縮伝送線を纏めた周囲がシールドされている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
(5)前記伸縮伝送線間に少なくとも1本の弾性体が介在する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
(6)前記導体部が、前記導体線の外側に導体線と逆方向に捲回された絶縁性糸状体を含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の信号伝送用多芯型伸縮ケーブル。
【発明の効果】
【0007】
本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルは、従来の伸縮伝送線と比較して高速信号を伝送でき、繰り返し伸縮耐久性に優れている。従って、本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルはロボット配線分野における多芯の配線や高速伝送ケーブルとしての使用に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの一例を示した模式図である。
図2】本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの断面模式図の一例である。
図3】本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルにおける、隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xを示す断面模式図の一例である。
図4】本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの断面模式図の別の一例である。
図5】本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの断面模式図の別の一例である。
図6】本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの断面模式図の別の一例である。
図7】繰り返し伸張試験方法について説明する模式図である。
図8】USBデバイス動作テストについて説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルは、弾性体からなる芯部の外周に同一方向に捲回された導体線を有する伸縮伝送線を少なくとも2本以上まとめ、隣接する伸縮伝送線間の導体線が取りうる最短距離(以下、導体線間距離と表記する)Xを0.1mm以上に保ち、周囲を絶縁繊維及び/又は絶縁樹脂で被覆した構造である。具体例を図1〜3に示す。これらの図中、1は芯部(弾性体)、2は導体線(導体部)、3は絶縁繊維及び/又は絶縁樹脂(外部被覆層)である。隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xとは、図3に示す、導体線が隣接する伸縮伝送線に最接近する位置における距離である。
【0010】
伸縮伝送線を複数本まとめる際に信号を乱れさせずに、繰り返し伸縮耐久性を悪化させないために、隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xを0.1mm以上にする必要がある。好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。隣接する伸縮伝送線間の距離Xが0.1mm未満だと、信号伝送する導体線間で干渉し合い、信号品質の低下を引き起こし、さらに繰り返し伸縮によって伸縮伝送線同士が接触し擦れて被覆部の破れによる短絡や、導体線の断線が起こることがある。
Xを0.1mm以上にするには、導体線の捲回間隔・位置関係を調節して同一断面上で導体線同士が最接近しないようにケーブル長さ方向の配置を制御する方法や、導体線と隣接する伸縮伝送線間に一定の距離を保つための絶縁物を配置させる方法が挙げられ、工業上の生産性、および後述するXとYの関係を満たすためには、後者の方法が好ましい。具体的には伸縮伝送線最外部に被覆層を設ける方法、隣接する伸縮伝送線の間に弾性体等を設ける方法等が挙げられる。
また、隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xを10mm以下にすることが好ましい。より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。隣接する伸縮伝送線間の距離Xがこの範囲であれば、ケーブルの外径が過大にならず、外部被覆層の形成が容易である。
【0011】
伸縮伝送線の芯部に用いる弾性体の種類としては、特に限定されるものではないが、例えばポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム、天然ゴム、及び前記合成ゴムと天然ゴムの複合ゴム系材料からなる弾性長繊維又は弾性チューブが好ましい。
伸縮伝送線の芯部の外径は、目的とする伸縮伝送線の太さに応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.01〜10mmの範囲であり、0.02〜5mmがより好ましく、0.1〜3mmがさらに好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
【0012】
伸縮伝送線は、上記芯部の外周に導体線を捲回及び/又は編組した導体部を有する。導体線は単線であってもよく、細線の集合線であってもよいが、少なくとも2本以上の細線の集合線であることが好ましい。細線の集合線とすることで、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、より細い伸縮伝送線が得られ易い。
伸縮伝送線内の導体線間距離Yは、0.01〜20mmであることが好ましい。この範囲であれば、伸縮時の耐ショート性や伝送性の点で好ましい。さらに好ましくは0.02〜10mmであり、特に好ましくは0.05〜5mmである。Yを本範囲とするには、導体線に被覆層を設ける方法や、導体線間に他の弾性体等を挟んで捲き回す方法等を適用すればよい。
【0013】
導体線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径がこの範囲であれば導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、伸縮による断線も起きにくくなり、さらに、配線が柔らかくなる。あまり細すぎると加工時に断線し易いため、0.01mm以上が好ましい。
【0014】
伸縮伝送線の導体線の本数は、伸縮性および信号伝送性を低下させないために8本以下にすることが好ましい。4本以下がさらに好ましく、2本以下が特に好ましい。伸縮伝送線の導体線本数がこの範囲であると、伸縮性が優れた伸縮伝送線が得られる。さらに、信号伝送する導体線同士が干渉を起こしづらくなり、伸縮伝送線の信号伝送性が優れる。伸縮伝送線を複数本まとめることにより、伸縮性を落とさずに、導体線の多芯化をすることができる。
【0015】
2本以上の導体線を有する伸縮伝送線を用いる場合、隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離Xと伸縮伝送線内の導体線間距離Yは、Y<Xに保ち、周囲を被覆することが重要となる。Y>Xであると、伸縮伝送線の外部の導体線と内部の導体線で電磁結合を形成し、外部からのクロストーク量が増え、信号品質の低下を引き起こす。Y<Xであると、伸縮伝送線の内部の導体線同士で電磁結合を形成し、隣接する伸縮伝送線からのクロストーク量が減り、信号品質を安定させる。
【0016】
導体線は、比抵抗が10-4Ω・cm以下であることが好ましく、10-5Ω・cm以下であることがより好ましい。導体線は80wt%以上が銅からなる銅線、または80%以上がアルミニウムからなるアルミニウム線であることが好ましい。銅線は、比較的安価で電気抵抗が低いので、最も好ましい。アルミニウム線は軽量であるから、銅線に続いて好ましい。銅線は軟銅線または錫銅合金線が一般的であるが、導電性をあまり低下させずに、強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの)、錫、金、銀または白金などでメッキして酸化を防止したもの、電気信号の伝送特性を向上させるために金その他の元素で表面処理したものなどを用いることもできる。
【0017】
導体線は1本ずつを絶縁体で被覆されているものを用いることもでき、細線の集合線をまとめて絶縁体で被覆したものを用いることもできる。被覆する絶縁体の厚さは2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。被覆する絶縁体の厚さがこの範囲であれば、絶縁被覆された導体線は柔軟であり、かつ外径の小さい導体線となる。導体線としては銅線やアルミ線等以外に光信号を伝送するための光ファイバーを用いることもできる。導体線が電気信号を流すものであれば伸縮電気伝送線または伸縮電線、導体線が光信号を流すものであれば伸縮光伝送線となる。
【0018】
被覆する絶縁体の種類は、公知の絶縁樹脂から任意に選ぶことができる。導体線1本ずつに樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルーナイロン被覆、ポリエステルーイミド被覆およびポリエステルイミド・ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。また、集合線としてから樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエステル樹脂などを用いることができる。また、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。
【0019】
導体線にあらかじめ絶縁繊維を被覆したものを用いることもできる。絶縁繊維としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維およびポリウレタン繊維等の公知の絶縁繊維を用いることができる。導体線に絶縁繊維を捲回および/または編組することによって、導体線を被覆することができる。あらかじめ絶縁繊維で被覆した導体線は、加工時に細線表層の絶縁性樹脂層が破壊されにくく、好ましい。
【0020】
導体部は導体線の外側に導体線と逆方向に捲回された絶縁性糸状体を含むことが好ましい。導体線を1方向(例えばZ方向)に捲回し、その上から絶縁性糸条体を逆方向(S方向)に捲回することで、導体線を拘束し、伸縮によるズレを防止することができる。
さらに好ましくは、導体線と逆方向に導体線の内側(弾性体側)と外側を交互に通って絶縁性糸状態を捲回し導体線を拘束することである。導体線の内側と外側を交互に通って、導体線と逆方向に絶縁性糸状体を捲回することで、繰り返し伸縮や、伸縮を伴う屈曲動作によっても、伸張時と弛緩時の導体線間隔の変化が少なく、かつ繰り返し伸縮によって導体線間隔の変化が少ない伸縮性信号伝送ケーブルを得ることができる。導体線の内側と外側を交互に通す場合、導体線1本ずつ交互に通してもよいし、複数の導体線を纏めて交互に通してもよい。
【0021】
当該絶縁性糸条体は、導体線より細いものが好ましい。太い絶縁性糸状態を用いると、導体線そのものが、変形せざるをえなくなり、伸縮しにくくなる。
拘束力を高めるためには、1周につき1箇所以上好ましくは4箇所以上さらに好ましくは8箇所以上拘束点を持つように、絶縁性糸状態を導体線の内側と外側を交互に通って捲回することが好ましい。捲回する糸に荷重をかけることで、捲回張力を高めることができ、拘束力を増すことができる。
また、互いの導体線の位置がずれないように、導体線間に絶縁性の糸状体を介在させて、導体線と介在させた糸状体を一緒にして、または別々に、それらの内側と外側を交互に通って前記絶縁性糸状体を捲回することもできる。
【0022】
導体線からなる導体部の外周に、図4に示したように、絶縁繊維を編組した被覆層及び/又は絶縁樹脂からなる被覆層を有することが好ましい。図4において、4が被覆層である。使用する絶縁繊維および絶縁樹脂としては、後述する外部被覆層に用いる絶縁繊維および絶縁樹脂がそのまま使用できる。
【0023】
伸縮伝送線の被覆層の厚さは0.1mm〜10mmが好ましい。より好ましくは0.2mm〜5mm、さらに好ましくは0.3mm〜1mmである。伸縮伝送線の被覆層の厚さがこの範囲であれば、伸縮性に優れ、繰り返し伸縮による伸縮伝送線同士の接触、断線を抑制できる。
また、伸縮伝送線の外径は一般に1mm〜20mmが好ましい。伸縮伝送線の外径がこの範囲であれば、伸縮性、製造工程性に優れる。
【0024】
2本以上の伸縮伝送線を纏めてその周囲を被覆する外部被覆層に用いる絶縁繊維としては、マルチフィラメントまたは紡績糸を用いることができ、用途や想定される使用条件に合わせて、公知の絶縁性繊維から任意に選ぶことができる。絶縁繊維は原糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。また、仕上げ加工により、柔軟性や耐摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。特に、絶縁繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、伸縮ケーブル表面の摩擦係数をより低減できるので好ましい。
【0025】
耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維およびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維およびサラン繊維が、また、耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリエチレン繊維およびポリケトン繊維が挙げられる。コストと耐熱性の観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊維がある。これらに、難燃性を付与した難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維および難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好適である。摩擦熱による局部的な劣化に対しては、非溶融繊維を用いることが好ましい。その例としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウール、絹およびアクリル繊維を挙げることができる。強度を重視する場合は、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維が挙げられる。摩擦性を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維が挙げられる。意匠性を重視する場合は、発色の良いアクリル繊維を用いることもできる。さらに、人との接触による触感を重視する場合は、キュプラ、アセテート、コットンおよびレーヨンなどのセルロース系繊維や、絹または繊度の細い合成繊維を用いることができる。
【0026】
外部被覆層に用いる絶縁樹脂はさまざまな弾性の絶縁樹脂から任意に選ぶことができ、伸縮ケーブルの用途及び伸縮ケーブルの内部構造に使用する他の絶縁繊維との相性を考慮しながら、選定することができる。
考慮すべき性能は伸縮性が挙げられ、これらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよびブチル系ゴムが好ましい。より好ましくは、伸縮性に優れるシリコーン系ゴムである。また、生体からの汗や外部からの雨等の浸入を防ぐために、外部被覆層の最外部には、絶縁繊維よりも弾性樹脂を用いる方が好適である。
【0027】
外部被覆層の厚さは一般に0.1mm〜10mmが好ましい。より好ましくは0.2mm〜5mm、さらに好ましくは0.3mm〜1mmである。外部被覆層の厚さがこの範囲であれば、伸縮性に優れ、外部の障害物との接触や磨耗による被覆層の破れや伸縮伝送線のズレを抑制できる。
また、本発明の伸縮ケーブルの外径は一般に2mm〜50mmが好ましい。伸縮伝送線の外径がこの範囲であれば、伸縮性や取り扱い性、製造工程性に優れる。
【0028】
2本以上の伸縮伝送線をまとめる際に、伸縮伝送線の芯部に用いる弾性体のみを一緒にまとめて、周囲を被覆すると良い。弾性体のみも一緒にまとめることにより、伸縮伝送線同士の磨耗による導体線の断線を抑制し、弾性体が緩衝材の役割をして、屈曲耐久性が向上する。また、弾性体の位置は特に限定されないが、図6に示したように、伸縮伝送線間に配置することが好ましい。図中、6が弾性体である。また、弾性体の周囲に絶縁繊維を被覆していると、弾性体と伸縮伝送線の摩擦抵抗を低下させ、磨耗による導体線の断線を抑制できるため、より好ましい。
【0029】
各伸縮伝送線及び/又は2本以上まとめた伸縮伝送線の周囲にシールドを有しているとより好ましい。ここでいうシールドとは電磁波や静電場の結合を遮断する層である。図5がシールドを有している場合の例である。図中、5がシールドである。しかし、シールドされていても、5%以上の伸縮性を有していなければならない。シールドを構成する方法としては、例えば、銅線およびアルミ線などの導体細線や、銀メッキ繊維などの導電性繊維を捲回又は編組することにより得ることができる。また、磁性粉末を混合した弾性樹脂を伸縮伝送線の周囲に被覆することもできる。磁性粉は、セラミック系磁性粉、金属系磁性粉または合成金系磁性粉等があり、特に限定されない。例えば、セラミック系磁性粉としては、Ni−Znフェライト粉末およびMn−Zn系フェライト粉末等が挙げる事ができる。金属系磁性粉の例としては、Fe、NiまたはCoの少なくとも一種を含むものが挙げられる。合金系磁性粉の例としては、Fe−Ni合金(パーマロイ)またはFe−Si−Al合金(センダスト)等を挙げることができる。
【0030】
次に信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの代表的な製造方法について説明する。なお、本発明の信号伝送用多芯型伸縮ケーブルは以下の製造方法に限定されるものではない。
本発明の伸縮伝送線の代表的な製造方法としては、2対のローラー間で芯部を伸長した状態で導体線をらせん状に1本または複数本捲回させる方法が挙げられる。伸縮性を発現させやすくするために、芯部を30%以上伸長することが好ましく、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは100%以上である。
【0031】
導体線をらせん状に捲回させる方法としては、例えば、カバーリング機を用いて導体線を捲回する方法が挙げられる。カバーリング機を用いて導体線を捲回する場合は、導体線を巻いたボビンの回転数を高くする等して捲回張力を高くすることが可能である。
カバーリング機を用いて導体線を1方向に複数本捲回する場合は、あらかじめ1つのボビンに複数本を引き揃えて捲きつけたボビンを用い、これを一度に捲回することが好ましいが、導体線同士が重なり合う可能性があるため、導体線間に絶縁性の糸状体を挟んで引き揃えておくことが好ましい。
【0032】
伸縮伝送線は、芯部へ導体線を捲回し導体部を形成した後、必要に応じて該導体部の外周に絶縁樹脂または絶縁繊維を用いた被覆層を形成する。絶縁樹脂として弾性樹脂またはゴムチューブを用いた場合の被覆層は、押し出し装置等を用いることにより被覆することが好ましい。絶縁繊維による被覆層の形成方法は、製紐機等を用いて編組を行うことが好ましい。
次に伸縮伝送線を複数本まとめ、前述と同様な方法により外周に絶縁樹脂及び/又は絶縁繊維を用いた外部被覆層を形成し、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルが得られる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また本発明の特性は下記の方法で測定した。
(1)隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離
マイクロスコープを用いて撮影した信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの断面図の画像、および各々の伸縮伝送線の導体線の状態観察によって、各々の伸縮伝送線間の導体線間距離が最短となる距離を算出する。図3のように、同一断面上で各々の伸縮伝送線間の導体線が最接近する位置に出現するときに、最短となる距離はXで表される。この位置を求めるには、ケーブルを長さ方向に例えば5mm間隔で切断し、順次断面画像を観察すればよい。各々の伸縮伝送線間の導体線が同一断面上の最接近する位置に同時に現れないように、巻ピッチ等が調整されている場合には、上記順次観察した断面画像10枚の中から最短距離Xを決めればよい。
【0034】
(2)伸縮伝送線内の導体線間距離
得られたケーブルから伸縮伝送線を抜き出し、外部被覆やシールド等をはがした状態で、各々の伸縮伝送線における、近接する導体線間距離を任意に10箇所測定し、その平均値を伸縮伝送線内の導体線間距離(Y)とした。
【0035】
(3)繰り返し伸張試験
デマッチャー試験機((株)大栄科学精機製作所製)を用い、図7に示したように、チャック上部(8)とチャック下部(9)の間に100mmの試料(7)を110mmでセットし、初期伸張率10%、引っ張り時伸張率40%で100回/minで100万回伸縮を繰り返し、繰り返し伸張試験を行う。
繰り返し伸張試験の前後で試料の全ての導体線の電気抵抗を測定し、最も変化の大きい導体線につき、次式により繰り返し伸張試験前後での電気抵抗の変化率(ΔR)を求める。
ΔR={(R2−R1)/R1}×100
(但し、R1:試験前の電気抵抗、R2:試験後の電気抵抗)
電気抵抗の変化率(ΔR)に基づいて、下記基準により、耐断線性を判定した。
A:ΔR<1%
B:1%≦ΔR<10%
C:10%≦ΔR<30%
D:30%≦ΔR<∞、又は断線
【0036】
(4)USBデバイス動作テスト
測定方法:4本の導体線を捲回した伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bの2本を束ねた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを用意し、弛緩状態で1mのケーブルを採取した。次に束ねられた伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bの両端の導体線の先端を約5mm引き出し、先端約3mmをハンダ浴に浸漬し細線間の導通を高めた後、図8に示したように、USBコネクター(Aタイプ オス)(10)の端子位置2および3にシグナルライン(特に断らない限り、隣接する2本の導体線)、端子位置1および4に他の2本の導体線をそれぞれハンダ付けし、接合部分を絶縁性ビニールテープで被覆し、束ねられた伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bの両端にUSBコネクター(Aタイプ オス)(10)が接続されたケーブルを得た。当該USBコネクターが取り付けられた伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bの一端を、30万画素WEBカメラ(WCU204SV Arvel社製)付属のソフトウエアーをあらかじめインストールし、当該WEBカメラを直接パーソナルコンピュータに接続し、動作することを確認しておいたパーソナルコンピュータ(Dynabook Satelitet12 PST101MD4H41LX 株式会社東芝製)(12)のUSBポートに差込み、伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bの他端にUSB変換アダプター(Aタイプメス→Aタイプメス(アイネックス(株)社製ADV−104))を差込み、当該アダプターに、30万画素WEBカメラ(WCU204SV Arvel社製)(11)のUSBコネクターを差込み、作動を調べ、下記基準で判定した。
A:伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bに繋がれた2台のWEBカメラが動作して、動画の動きがスムーズ。
B:伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bに繋がれた2台のWEBカメラが動作するが、動画の動きが不安定。
C:伸縮伝送線Aと伸縮伝送線Bに繋がれた1台もしくは2台ともWEBカメラが動作しない。
【0037】
[実施例1]
(芯部の作製)
ダブルカバーリング機(カタオカテクノ社製、SP−400型)を用い、940dtex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい株式会社製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸長倍率3倍で伸長しながら、155dtexのナイロン仮撚糸を500T/mの下撚り(S撚り)及び332T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を用い、8本打ちの製紐機(株式会社国分社製)を用いて編組加工を行い、ポリウレタン弾性長繊維からなる直径1.8mmの略丸断面の組紐を芯部として得た。
【0038】
(導体部の作製)
得られた芯部を用い、16本打ちの製紐機((有)桜井鉄工製)を使用して、芯部を2.0倍に伸長しながら、Z撚り方向に、導体線として銅細線集合線((有)竜野電線社製2USTC、直径0.03mm×90本にポリエステル加工糸をカバーリングしたもの)4本と、ナイロン仮撚糸(240dtexを3本合糸したもの)4本とを1本交互に8本配置し、S撚り方向にポリエステル繊維(56dtex)を8本配置して編組加工を行って導体部を作成し、伸縮伝送線中間体を得た。
【0039】
(被覆層の作製)
得られた伸縮伝送線中間体を芯にして再度16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工することによって、被覆層を形成し、4本の導体線を有する被覆層付き伸縮伝送線を得た。
【0040】
(信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの作製)
被覆層付き伸縮伝送線を2本まとめたものを芯にして32本打ちの製紐機に仕掛け、1.6倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々16本ずつ配置して編組加工することによって、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを得た。
得られた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの構成と評価結果を表1に示す。なお、Xの値は、導体線間が図3の位置をとっているときのケーブル断面図から算出した。
【0041】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で直径1.8mmの芯部を得た。得られた芯部に、実施例1と同様の方法で導体部を作製し、伸縮伝送線を2本得た。この2本の伸縮伝送線の間に上記芯部のみを入れ、その3本まとめたものを芯にして32本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々16本ずつ配置して編組加工することによって、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを得た。
得られた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの構成と評価結果を表1に示す。
【0042】
[実施例3]
導体線として銅細線集合線((有)竜野電線社製2USTC、直径0.03mm×180本にポリエステル加工糸をカバーリングしたもの)と、ナイロン仮撚糸(240dtexを6本合糸したもの)を用いて、実施例1と同様の方法で被覆層付き伸縮伝送線を得た。この被覆層付き伸縮伝送線を2本まとめたものを芯にして32本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×3本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々16本ずつ配置して編組加工することによって、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを得た。
得られた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの構成と評価結果を表1に示す。
【0043】
[比較例1]
実施例1における伸縮伝送線中間体、即ち被覆層のない伸縮伝送線を2本まとめたものを芯にして32本打ちの製紐機に仕掛け、1.6倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々16本ずつ配置して編組加工することによって、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを得た。
得られた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの構成と評価結果を表1に示す。
【0044】
[比較例2]
実施例1と同様な方法で伸縮伝送線中間体を得た。得られた伸縮伝送線中間体を芯にして16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(56dtex)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工することによって、被覆層を形成し、4本の導体線を有する被覆層付き伸縮伝送線を得た。その被覆層付き伸縮伝送線を2本まとめたものを芯にして32本打ちの製紐機に仕掛け、1.6倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々16本ずつ配置して編組加工することによって、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを得た。
得られた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの構成と評価結果を表1に示す。
【0045】
参考例4]
実施例1と同様な方法でダブルカバー糸と伸縮伝送線中間体を得た。2本の伸縮伝送線中間体、即ち被覆層のない伸縮伝送線の間にダブルカバー糸1本を入れ、その3本まとめたものを芯にして32本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(300dtex×2本引き揃え)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々16本ずつ配置して編組加工することによって、信号伝送用多芯型伸縮ケーブルを得た。
得られた信号伝送用多芯型伸縮ケーブルの構成と評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の比較例1および2より、伸縮伝送線間の導体線間距離Xが0.1mm以下であると、伸縮伝送線間で信号が干渉しあい、USBデバイステストより信号品質の悪化が確認される。また繰り返し伸張試験より、伸縮伝送線間の導体線同士が擦れ、断線を引き起こしていることも確認される。
参考例4では、伸縮伝送線間の導体線間距離Xを0.1mm以上にしても、伸縮伝送線内の導体線間距離Yとの関係がY>Xになることにより、伸縮伝送線内ではなく伸縮伝送線間で電磁結合を引き起こし、USBデバイステストより信号品質が若干悪化する。
一方、実施例1〜3から、伸縮伝送線間の導体線間距離Xを0.1mm以上にし、伸縮伝送線間の導体線間距離Xと伸縮伝送線内の導体線間距離Yとの関係をY<Xにすることにより、信号品質および伸縮耐久性に優れる信号伝送用多芯型伸縮ケーブルが得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の伸縮性信号伝送ケーブルは、LANケーブルを中心とした多芯型信号ケーブルをはじめとして、ロボット分野における身体装着機器および衣服装着機器等の曲げ伸ばしなどの屈曲部を有する装置の多芯型信号配線として好適である。その他、各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボット、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定機器、モーションキャプチャー、電子機器付き防護服、ゲーム用コントローラー(人体装着型を含む)およびマイクロヘッドフォン等の分野の多芯型信号配線へ好適に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 芯部
2 導体線
3 外部被覆層
4 被覆層
5 シールド
6 弾性体
7 試料
8 チャック部
9 チャック部
10 USBコネクター
11 WEBカメラ
12 パーソナルコンピュータ
X 隣接する伸縮伝送線間の導体線間距離
Y 伸縮伝送線内の導体線間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8