【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、浴槽等に湯水を供給するための配管設備としては、保護管を使用することなく供給用配管をそのまま地面下や床下に配設している場合がある(即ち保護管の中に供給用配管が挿通配置された2重管構造を採用していない場合がある)。また、前記2重管構造を採用していても、経年により供給用配管を交換する際に該配管の硬化や膨張変形等により、保護管内から経年配管を引き抜く(取り出す)ことができないことがある。
【0006】
従来は、上記いずれの場合も、新しい配管を設置するためには、地面を掘り起こして経年配管を除去して新配管を配設したり、床を剥がして床下の経年配管を除去して新配管を配設しなければならず、非常に大掛かりな工事を要して工期が長くなる上に高コストであるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明者は、地面下や床下等を掘り起こして新たに再施工をするのではなく、経年配管の内部に新しい配管を挿通配置する手法を着想した。このように経年配管内に新しい配管を挿通配置する場合には、新しい配管の内径が小さくなると圧力損失により流量が低下することから、極力内径を大きくした新配管を用いることが重要である。従って、新配管の外径は、経年既設配管の内径より小さいが極力これに近い大きさに設定することが求められる。
【0008】
しかるに、経年既設配管の内部に新しい配管(外径は経年既設配管の内径より小さいが極力これに近い大きさを有する新配管)を挿通配置するのに、上記従来の方法を用いた場合には、コネクターのインナーコア部の外周面のスクリューねじが新配管の一端部内に螺合されることによってコネクターと新配管とが連結されるものであるから、経年既設配管内への牽引中にコネクターと新配管とが離脱しないように強固に連結するためにはインナーコア部の外径を大きく設計しなければならず、そうすると前記螺合接続の際に新配管の一端部が径大に変形膨張し、このために新配管を経年既設配管内に挿通することが困難になるという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、設置対象の新配管に連結した際に新配管が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管と連結手段とを強固に連結できて、既設配管内に新配管をスムーズに引き込むことができる配管牽引用治具及び該配管牽引用治具を用いて新配管を既設配管内に配設する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]長尺の牽引案内手段と、
設置対象の配管の端部に外嵌される円筒状のスリーブと、
一端側に前記配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部を有すると共に他端側に前記牽引案内手段に連結するための連結部を有する連結手段とを備え、
前記スリーブの外径は、前記配管の外径と同一である又は前記配管の外径より小さいことを特徴とする配管牽引用治具。
【0012】
[2]前記連結手段は、略円盤状板部の一方の面に前記挿嵌部が突設され、該略円盤状板部の他方の面に前記連結部が突設されてなり、
前記略円盤状板部の外径は、前記スリーブの外径と同一であることを特徴とする前項1に記載の配管牽引用治具。
【0013】
[3]前記挿嵌部は、軸体の外周面にねじ山が形成されてなる前項1または2に記載の配管牽引用治具。
【0014】
[4]前記牽引案内手段がワイヤーである前項1〜3のいずれか1項に記載の配管牽引用治具。
【0015】
[5]長尺の牽引案内手段と、設置対象の新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブと、一端側に前記新配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部を有すると共に他端側に前記牽引案内手段に連結するための連結部を有した連結手段と、を備えてなる配管牽引用治具を用いて、前記新配管を既設配管内に配設する方法であって、
前記新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、前記スリーブを外嵌する工程(スリーブ外嵌工程)と、
前記新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に前記連結手段の挿嵌部を挿入嵌合する工程(挿入嵌合工程)と、
前記既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて前記牽引案内手段を挿通配置する工程(牽引案内手段挿通工程)と、
前記牽引案内手段の一端部を前記連結手段の連結部に連結する工程(連結工程)と、
前記牽引案内手段の他端部を牽引することによって、前記既設配管の内部空間に前記新配管を挿通配置する工程(新配管挿通工程)と、を含むことを特徴とする新配管を既設配管内に配設する方法。
【0016】
[6]長尺の牽引案内手段と、設置対象の新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブと、前記新配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部が略円盤状板部の一方の面に突設されると共に前記牽引案内手段に連結するための連結部が前記略円盤状板部の他方の面に突設されてなる連結手段と、を備え、前記略円盤状板部の外径が前記スリーブの外径と同一となされた配管牽引用治具を用いて、前記新配管を既設配管内に配設する方法であって、
前記新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、前記スリーブを外嵌する工程(スリーブ外嵌工程)と、
前記新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に前記連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して、前記スリーブの先端面全体を前記連結手段の略円盤状板部で覆う工程(挿入嵌合工程)と、
前記既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて前記牽引案内手段を挿通配置する工程(牽引案内手段挿通工程)と、
前記牽引案内手段の一端部を前記連結手段の連結部に連結する工程(連結工程)と、
前記牽引案内手段の他端部を牽引することによって、前記既設配管の内部空間に前記新配管を挿通配置する工程(新配管挿通工程)と、を含むことを特徴とする新配管を既設配管内に配設する方法。
【0017】
なお、前記[5]及び[6]の発明において、スリーブ外嵌工程は挿入嵌合工程の前に実施することを要し、新配管挿通工程は挿入嵌合工程の後に実施することを要するが、牽引案内手段挿通工程及び連結工程は、いずれも、新配管挿通工程の前に実施するものであればいかなる工程順次で実施してもよいし、また牽引案内手段挿通工程と連結工程の互いの実施の前後関係も特に限定されない。例えば、連結工程、牽引案内手段挿通工程、スリーブ外嵌工程、挿入嵌合工程、新配管挿通工程の順に実施してもよいし、牽引案内手段挿通工程、スリーブ外嵌工程、挿入嵌合工程、連結工程、新配管挿通工程の順に実施してもよい。
【発明の効果】
【0018】
[1]の発明に係る配管牽引用治具では、設置対象の配管(新配管)の端部に外嵌される円筒状のスリーブの外径は、新配管の外径と同一又は新配管の外径より小さいから、配管におけるスリーブが外嵌された端部に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して連結することにより、新配管の該端部が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管と連結手段とを強固に連結できる(配管牽引中に新配管から連結手段が離脱しない)。従って、既設配管内に挿通配置した牽引案内手段の一端部を連結手段の連結部に連結した状態で該牽引案内手段の他端部を牽引することにより、既設配管内に新配管をスムーズに引き込むことができる。また、スリーブの利用により新配管と連結手段とを強固に連結できるので、その分連結手段の挿嵌部の長さを短く設定することができ、このように挿嵌部の長さを短く設定した場合には新配管が既設配管の曲がり部を通過する際の連結手段(の挿嵌部)による抵抗をより小さくできる。
【0019】
[2]の発明では、連結手段は、略円盤状板部の一方の面に挿嵌部が突設され、該略円盤状板部の他方の面に連結部が突設されてなり、略円盤状板部の外径はスリーブの外径と同一である構成が採用されているから、新配管におけるスリーブが外嵌された端部に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して連結した際に、スリーブの先端面全体が連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆われるものとなり、従って既設配管内に新配管を引き込んで該新配管が既設配管の曲がり部を通過する際にスリーブの先端周縁が曲がり部の内周面に引っ掛かることを十分に防止できて、既設配管内に新配管をよりスムーズに挿通させることができる。加えて、新配管に連結手段を連結した際にスリーブの先端面全体が連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆われるので、既設配管内に新配管を引き込む操作中に新配管の内部に異物等が侵入するのを十分に防止できる。
【0020】
[3]の発明では、連結手段の挿嵌部は、軸体の外周面にねじ山が形成されてなるものであるから、配管におけるスリーブが外嵌された端部に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合する時に、新配管端部の内周面に挿嵌部を螺合することで嵌合できるので、新配管と連結手段とをより強固に連結できる。
【0021】
[4]の発明では、牽引案内手段としてワイヤーが用いられているから、既設配管に曲がり部や狭小部が存在する場合であっても、既設配管内に新配管をよりスムーズに引き込むことができる。
【0022】
[5]及び[6]の発明に係る、新配管を既設配管内に配設する方法によれば、新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブを外嵌し、次いで新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して連結するので、新配管が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管と連結手段とを強固に連結できる(配管牽引中に新配管から連結手段が離脱しない)。従って、既設配管内に挿通配置した牽引案内手段の一端部を連結手段の連結部に連結した状態で該牽引案内手段の他端部を牽引することによって、既設配管内に新配管をスムーズに挿通配置することができる。
【0023】
[6]の発明では、連結手段の略円盤状板部の外径がスリーブの外径と同一であるから、新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合した際に、スリーブの先端面全体を連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆うことができるので、既設配管内に新配管を引き込んで該新配管が既設配管の曲がり部を通過する際にスリーブの先端周縁が曲がり部の内周面に引っ掛かることを十分に防止できて、既設配管内に新配管をよりスムーズに挿通させることができる。加えて、新配管に連結手段を連結した際にスリーブの先端面全体を連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆うことができるので、既設配管内に新配管を引き込んでいる時に新配管の内部に異物等が侵入するのを十分に防止できる。