特許第5872793号(P5872793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872793配管牽引用治具を用いて新配管を既設配管内に配設する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872793
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】配管牽引用治具を用いて新配管を既設配管内に配設する方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   F16L1/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-106048(P2011-106048)
(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公開番号】特開2012-237360(P2012-237360A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2014年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】594107103
【氏名又は名称】株式会社ハタノ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】田口 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山縣 正義
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−283903(JP,A)
【文献】 特開2003−083471(JP,A)
【文献】 特開2001−311480(JP,A)
【文献】 特開2003−021264(JP,A)
【文献】 特開平07−317955(JP,A)
【文献】 実開平05−008161(JP,U)
【文献】 特開2007−169987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00 − 1/11
F16L 55/16 − 55/165
F16L 55/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の牽引案内手段と、設置対象の新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブと、一端側に前記新配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部を有すると共に他端側に前記牽引案内手段に連結するための連結部を有した連結手段と、を備えてなる配管牽引用治具を用いて、前記新配管を既設配管内に配設する方法であって、
前記新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、前記スリーブを外嵌する工程と、
前記新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に前記連結手段の挿嵌部を挿入嵌合する工程と、
前記既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて前記牽引案内手段を挿通配置する工程と、
前記牽引案内手段の一端部を前記連結手段の連結部に連結する工程と、
前記牽引案内手段の他端部を牽引することによって、前記既設配管の内部空間に前記新配管を挿通配置する工程と、を含むことを特徴とする新配管を既設配管内に配設する方法。
【請求項2】
長尺の牽引案内手段と、設置対象の新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブと、前記新配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部が略円盤状板部の一方の面に突設されると共に前記牽引案内手段に連結するための連結部が前記略円盤状板部の他方の面に突設されてなる連結手段と、を備え、前記略円盤状板部の外径が前記スリーブの外径と同一となされた配管牽引用治具を用いて、前記新配管を既設配管内に配設する方法であって、
前記新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、前記スリーブを外嵌する工程と、
前記新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に前記連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して、前記スリーブの先端面全体を前記連結手段の略円盤状板部で覆う工程と、
前記既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて前記牽引案内手段を挿通配置する工程と、
前記牽引案内手段の一端部を前記連結手段の連結部に連結する工程と、
前記牽引案内手段の他端部を牽引することによって、前記既設配管の内部空間に前記新配管を挿通配置する工程と、を含むことを特徴とする新配管を既設配管内に配設する方法。
【請求項3】
前記切り込みを形成した後、該切り込みを利用して前記新配管の一端部において管壁に重なり部を形成せしめることによって、前記新配管の一端部の外径を縮径させる請求項またはに記載の新配管を既設配管内に配設する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置対象の新配管の一端部に取り付けられて該新配管を既設配管内に配設するのに用いられる配管牽引用治具及び該配管牽引用治具を利用して新配管を既設配管内に配設する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば浴槽等に湯水を供給するための配管設備としては、サヤ管と呼ばれる保護管の中に、湯水供給用の配管を挿通配置せしめた構成のものが知られている。配管が経年により劣化等した場合には、保護管内の経年配管を新しい配管に交換する(保護管内から経年配管を引き抜いた後に該保護管内に新しい配管を挿通配置する)。
【0003】
既設保護管内に新しい配管を挿通配置する方法としては、コネクターの一面側のインナーコア部(外周面にスクリューねじが刻設されている)に湯水供給用パイプを外嵌すると共に該コネクターの他面側の凸部に案内用パイプ(既設保護管内に挿通された状態の案内用パイプ)の一端部を装着し、コネクターのインナーコア部の先端部から案内用パイプの先端部(他端部)まで貫通させた芯線によりコネクターと案内用パイプとを連結させることによって、湯水供給用パイプに案内用パイプを連結せしめ、次いで案内用パイプの他端部を牽引することによって新しい湯水供給用パイプを既設保護管内に引き込んで挿通配置する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3424051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、浴槽等に湯水を供給するための配管設備としては、保護管を使用することなく供給用配管をそのまま地面下や床下に配設している場合がある(即ち保護管の中に供給用配管が挿通配置された2重管構造を採用していない場合がある)。また、前記2重管構造を採用していても、経年により供給用配管を交換する際に該配管の硬化や膨張変形等により、保護管内から経年配管を引き抜く(取り出す)ことができないことがある。
【0006】
従来は、上記いずれの場合も、新しい配管を設置するためには、地面を掘り起こして経年配管を除去して新配管を配設したり、床を剥がして床下の経年配管を除去して新配管を配設しなければならず、非常に大掛かりな工事を要して工期が長くなる上に高コストであるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明者は、地面下や床下等を掘り起こして新たに再施工をするのではなく、経年配管の内部に新しい配管を挿通配置する手法を着想した。このように経年配管内に新しい配管を挿通配置する場合には、新しい配管の内径が小さくなると圧力損失により流量が低下することから、極力内径を大きくした新配管を用いることが重要である。従って、新配管の外径は、経年既設配管の内径より小さいが極力これに近い大きさに設定することが求められる。
【0008】
しかるに、経年既設配管の内部に新しい配管(外径は経年既設配管の内径より小さいが極力これに近い大きさを有する新配管)を挿通配置するのに、上記従来の方法を用いた場合には、コネクターのインナーコア部の外周面のスクリューねじが新配管の一端部内に螺合されることによってコネクターと新配管とが連結されるものであるから、経年既設配管内への牽引中にコネクターと新配管とが離脱しないように強固に連結するためにはインナーコア部の外径を大きく設計しなければならず、そうすると前記螺合接続の際に新配管の一端部が径大に変形膨張し、このために新配管を経年既設配管内に挿通することが困難になるという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、設置対象の新配管に連結した際に新配管が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管と連結手段とを強固に連結できて、既設配管内に新配管をスムーズに引き込むことができる配管牽引用治具及び該配管牽引用治具を用いて新配管を既設配管内に配設する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]長尺の牽引案内手段と、
設置対象の配管の端部に外嵌される円筒状のスリーブと、
一端側に前記配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部を有すると共に他端側に前記牽引案内手段に連結するための連結部を有する連結手段とを備え、
前記スリーブの外径は、前記配管の外径と同一である又は前記配管の外径より小さいことを特徴とする配管牽引用治具。
【0012】
[2]前記連結手段は、略円盤状板部の一方の面に前記挿嵌部が突設され、該略円盤状板部の他方の面に前記連結部が突設されてなり、
前記略円盤状板部の外径は、前記スリーブの外径と同一であることを特徴とする前項1に記載の配管牽引用治具。
【0013】
[3]前記挿嵌部は、軸体の外周面にねじ山が形成されてなる前項1または2に記載の配管牽引用治具。
【0014】
[4]前記牽引案内手段がワイヤーである前項1〜3のいずれか1項に記載の配管牽引用治具。
【0015】
[5]長尺の牽引案内手段と、設置対象の新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブと、一端側に前記新配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部を有すると共に他端側に前記牽引案内手段に連結するための連結部を有した連結手段と、を備えてなる配管牽引用治具を用いて、前記新配管を既設配管内に配設する方法であって、
前記新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、前記スリーブを外嵌する工程(スリーブ外嵌工程)と、
前記新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に前記連結手段の挿嵌部を挿入嵌合する工程(挿入嵌合工程)と、
前記既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて前記牽引案内手段を挿通配置する工程(牽引案内手段挿通工程)と、
前記牽引案内手段の一端部を前記連結手段の連結部に連結する工程(連結工程)と、
前記牽引案内手段の他端部を牽引することによって、前記既設配管の内部空間に前記新配管を挿通配置する工程(新配管挿通工程)と、を含むことを特徴とする新配管を既設配管内に配設する方法。
【0016】
[6]長尺の牽引案内手段と、設置対象の新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブと、前記新配管の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部が略円盤状板部の一方の面に突設されると共に前記牽引案内手段に連結するための連結部が前記略円盤状板部の他方の面に突設されてなる連結手段と、を備え、前記略円盤状板部の外径が前記スリーブの外径と同一となされた配管牽引用治具を用いて、前記新配管を既設配管内に配設する方法であって、
前記新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、前記スリーブを外嵌する工程(スリーブ外嵌工程)と、
前記新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に前記連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して、前記スリーブの先端面全体を前記連結手段の略円盤状板部で覆う工程(挿入嵌合工程)と、
前記既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて前記牽引案内手段を挿通配置する工程(牽引案内手段挿通工程)と、
前記牽引案内手段の一端部を前記連結手段の連結部に連結する工程(連結工程)と、
前記牽引案内手段の他端部を牽引することによって、前記既設配管の内部空間に前記新配管を挿通配置する工程(新配管挿通工程)と、を含むことを特徴とする新配管を既設配管内に配設する方法。
【0017】
なお、前記[5]及び[6]の発明において、スリーブ外嵌工程は挿入嵌合工程の前に実施することを要し、新配管挿通工程は挿入嵌合工程の後に実施することを要するが、牽引案内手段挿通工程及び連結工程は、いずれも、新配管挿通工程の前に実施するものであればいかなる工程順次で実施してもよいし、また牽引案内手段挿通工程と連結工程の互いの実施の前後関係も特に限定されない。例えば、連結工程、牽引案内手段挿通工程、スリーブ外嵌工程、挿入嵌合工程、新配管挿通工程の順に実施してもよいし、牽引案内手段挿通工程、スリーブ外嵌工程、挿入嵌合工程、連結工程、新配管挿通工程の順に実施してもよい。
【発明の効果】
【0018】
[1]の発明に係る配管牽引用治具では、設置対象の配管(新配管)の端部に外嵌される円筒状のスリーブの外径は、新配管の外径と同一又は新配管の外径より小さいから、配管におけるスリーブが外嵌された端部に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して連結することにより、新配管の該端部が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管と連結手段とを強固に連結できる(配管牽引中に新配管から連結手段が離脱しない)。従って、既設配管内に挿通配置した牽引案内手段の一端部を連結手段の連結部に連結した状態で該牽引案内手段の他端部を牽引することにより、既設配管内に新配管をスムーズに引き込むことができる。また、スリーブの利用により新配管と連結手段とを強固に連結できるので、その分連結手段の挿嵌部の長さを短く設定することができ、このように挿嵌部の長さを短く設定した場合には新配管が既設配管の曲がり部を通過する際の連結手段(の挿嵌部)による抵抗をより小さくできる。
【0019】
[2]の発明では、連結手段は、略円盤状板部の一方の面に挿嵌部が突設され、該略円盤状板部の他方の面に連結部が突設されてなり、略円盤状板部の外径はスリーブの外径と同一である構成が採用されているから、新配管におけるスリーブが外嵌された端部に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して連結した際に、スリーブの先端面全体が連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆われるものとなり、従って既設配管内に新配管を引き込んで該新配管が既設配管の曲がり部を通過する際にスリーブの先端周縁が曲がり部の内周面に引っ掛かることを十分に防止できて、既設配管内に新配管をよりスムーズに挿通させることができる。加えて、新配管に連結手段を連結した際にスリーブの先端面全体が連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆われるので、既設配管内に新配管を引き込む操作中に新配管の内部に異物等が侵入するのを十分に防止できる。
【0020】
[3]の発明では、連結手段の挿嵌部は、軸体の外周面にねじ山が形成されてなるものであるから、配管におけるスリーブが外嵌された端部に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合する時に、新配管端部の内周面に挿嵌部を螺合することで嵌合できるので、新配管と連結手段とをより強固に連結できる。
【0021】
[4]の発明では、牽引案内手段としてワイヤーが用いられているから、既設配管に曲がり部や狭小部が存在する場合であっても、既設配管内に新配管をよりスムーズに引き込むことができる。
【0022】
[5]及び[6]の発明に係る、新配管を既設配管内に配設する方法によれば、新配管の一端部に該新配管の略軸線方向に沿って切り込みを形成した後、該新配管の一端部の外径を縮径させ、この縮径状態にある一端部の外周面に、新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有した円筒状のスリーブを外嵌し、次いで新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合して連結するので、新配管が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管と連結手段とを強固に連結できる(配管牽引中に新配管から連結手段が離脱しない)。従って、既設配管内に挿通配置した牽引案内手段の一端部を連結手段の連結部に連結した状態で該牽引案内手段の他端部を牽引することによって、既設配管内に新配管をスムーズに挿通配置することができる。
【0023】
[6]の発明では、連結手段の略円盤状板部の外径がスリーブの外径と同一であるから、新配管におけるスリーブが外嵌された一端部の内部空間に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合した際に、スリーブの先端面全体を連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆うことができるので、既設配管内に新配管を引き込んで該新配管が既設配管の曲がり部を通過する際にスリーブの先端周縁が曲がり部の内周面に引っ掛かることを十分に防止できて、既設配管内に新配管をよりスムーズに挿通させることができる。加えて、新配管に連結手段を連結した際にスリーブの先端面全体を連結手段の略円盤状板部で適合状態に覆うことができるので、既設配管内に新配管を引き込んでいる時に新配管の内部に異物等が侵入するのを十分に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は連結手段の一実施形態を示す斜視図、(b)はスリーブの一実施形態を示す斜視図である。
図2】牽引案内手段の一実施形態を示す斜視図である。
図3】(a)は新配管の一端部に切り込みを形成した状態を示す側面図、(b)は該新配管の一端部を縮径させた状態を示す側面図、(c)新配管における縮径状態の端部にスリーブを外嵌した状態を示す側面図、(d)は(c)におけるX−X線の断面を拡大して示す断面図である。
図4】(a)は新配管におけるスリーブが外嵌された一端部内に連結手段の挿嵌部を挿入嵌合している途中状態を示す側面図、(b)は挿入嵌合して新配管に連結手段を連結した状態を示す側面図、(c)は新配管に連結された連結手段の連結部に牽引案内手段の一端部を連結した状態を示す側面図である。
図5】(a)は連結手段の他の実施形態を示す側面図、(b)は該連結手段の挿嵌部を、新配管におけるスリーブが外嵌された一端部内に挿入嵌合した状態を示す側面図である。
図6】連結手段のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る配管牽引用治具1は、連結手段4と、円筒状のスリーブ3と、長尺の牽引案内手段2と、を備えてなる。前記連結手段4の一実施形態を図1(a)に示し、前記スリーブ3の一実施形態を図1(b)に示し、前記牽引案内手段2の一実施形態を図2に示す。
【0026】
前記スリーブ3は、設置対象の新配管90の端部に外嵌されて使用される。前記スリーブ3の素材としては、例えば金属等の硬質材料が挙げられる。
【0027】
前記スリーブ3の外径は、前記設置対象の新配管90の外径と同一に設定されている。なお、前記スリーブ3の外径は、前記設置対象の新配管90の外径より小さいものとなされていてもよい。この場合、前記スリーブ3の外径は、前記設置対象の新配管90の外径の80%以上100%未満に設定されているのが好ましい。
【0028】
前記連結手段4は、前記新配管90の端部と前記牽引案内手段2の端部とを連結するのに用いられる。前記連結手段4の素材としては、例えば金属等の硬質材料が挙げられる。前記連結手段4は、一端側に前記新配管90の端部の内部空間に挿入嵌合される挿嵌部12を備え、他端側に前記牽引案内手段2に連結するための連結部13を備える。
【0029】
本実施形態では、前記連結手段4は、前記挿嵌部12及び前記連結部13に加えて略円盤状板部11を備えている。即ち、本実施形態では、前記連結手段4は、図1(a)に示すように、略円盤状板部11の一方の面に前記挿嵌部12が突設され、該略円盤状板部11の他方の面に前記連結部13が突設されてなる。
【0030】
前記挿嵌部12は、軸体15の外周面にねじ山16が形成されてなる。前記連結部13に連結用孔が設けられている。前記挿嵌部12及び前記連結部13は、いずれも設置対象の新配管90の外径より小さい。また、前記挿嵌部12及び前記連結部13は、いずれもスリーブ3の外径より小さいのが好ましい。
【0031】
前記略円盤状板部11の周側面は、前記挿嵌部12が設けられた側から前記連結部13が設けられた側に向けて内向きに傾斜した傾斜面に形成されている。また、前記傾斜面は外方に向けて膨らむ曲面に形成されている。前記略円盤状板部11の外径は、前記スリーブ3の外径と同一である。即ち、前記略円盤状板部11の挿嵌部12が設けられた一方の面の外径は、前記スリーブ3の外径と同一である。前記挿嵌部12及び前記連結部13は、前記略円盤状板部11の外径より小さい。
【0032】
前記牽引案内手段2としては、既設配管内に容易に挿通できる可撓性の細線体であれば特に限定されず、例えば金属ワイヤー等のワイヤーを例示できる。本実施形態では、前記牽引案内手段2として、金属ワイヤーが用いられている(図2参照)。前記金属ワイヤーは、樹脂製の被覆材で被覆されていてもよいし、被覆材で被覆されていない構成であってもよい。
【0033】
前記牽引案内手段2の一端部に、連結用孔を有した連結部50が形成されている。この連結部50は、前記連結手段4と連結するのに用いられる。
【0034】
次に、前記配管牽引用治具1を用いて新配管(設置対象の配管)90を既設配管(地面下、床下等に既に設置されている経年既設配管等)内に配設する方法の一例について説明する。
【0035】
設置対象の新配管90は、例えば湯水供給用配管(浴槽への湯水供給用配管等)として用いられるものであり、前記既設配管の内部に挿通配置されて使用される。例えば、前記既設配管が経年劣化等した際に本配設方法を適用することができる。
【0036】
前記新配管90の外径は、通常は、既設配管の内径より小さいが該内径に近似した大きさに設定される。中でも、前記新配管90の外径は、既設配管の内径より1mm〜2mm小さい大きさに設定されるのが好ましい。この場合には、より大きな流量を確保できる。
【0037】
図3(a)に示すように、新配管90の一端部に該新配管90の略軸線方向に沿って切り込み31を形成する。この切り込み31の長さは、前記スリーブ3の長さ(軸線方向の長さ)よりも大きくする。中でも、前記切り込み31の長さは、前記スリーブ3の長さ(軸線方向の長さ)よりも1〜20mm長くするのが好ましい。なお、前記新配管90としては、通常は、可撓性を有する配管が用いられる。前記可撓性を有する配管としては、特に限定されるものではないが、例えばフッ素系樹脂製配管等を例示できる。
【0038】
しかる後、図3(b)に示すように、切り込み31を利用して新配管90の一端部において管壁に重なり部32を形成せしめることによって、新配管90の一端部の外径を縮径させた状態にする(新配管90の一端部の外径を新配管90の他端部の外径よりも縮径させた状態にする)。前記重なり部32は、例えば、新配管90の一端部(切り込み31が形成された端部)を人の手の指で強く挟み込むことによって形成させることができる。
【0039】
次いで、図3(c)(d)に示すように、新配管90の縮径状態にある一端部の外周面に、スリーブ3を外嵌する。この時、新配管90の先端面とスリーブ3の先端面を略一致させるのが好ましい。
【0040】
次に、図4(a)に示すように、新配管90におけるスリーブ3が外嵌された一端部の内部に、連結手段4の挿嵌部12を挿入して螺合していく。
【0041】
前記挿嵌部12の挿入螺合を更に進めることによって、図4(b)に示すように、新配管90におけるスリーブ3が外嵌された一端部の内部に連結手段4の挿嵌部12を挿入嵌合して、スリーブ3の先端面全体を連結手段4の略円盤状板部11で覆う。この時、連結手段4の略円盤状板部11の周縁部がスリーブ3の先端に当接するように(図4(b)参照)又は近接するように挿入嵌合するのが好ましい。
【0042】
このように新配管90におけるスリーブ(新配管の外径と同一の又は該新配管の外径より小さい外径を有したスリーブ)3が外嵌された一端部の内部に連結手段4の挿嵌部12を挿入嵌合するので、新配管90が径大に変形膨張することを防止できると共に新配管90と連結手段4とを強固に連結できる。
【0043】
次に、既設配管の内部空間に該既設配管の一端側から他端側にかけて牽引案内手段2を挿通配置する。次いで、図4(c)に示すように、牽引案内手段2(既設配管の内部に挿通配置した状態にある牽引案内手段2)の一端の連結部50を連結手段4の連結部13に連結する。即ち、連結手段4の連結部13の連結用孔に針金40の一端を挿通して折り返すと共に、牽引案内手段2の連結部50の連結用孔に前記針金40の他端を挿通して折り返すことによって、連結手段4と牽引案内手段2とを連結する。
【0044】
しかる後、既設配管の他端開口部から出ている牽引案内手段2の他端部51を既設配管から離れる方向に牽引することにより、既設配管の内部に新配管90をスムーズに引き込んで既設配管内に新配管90を挿通配置せしめることができる。
【0045】
上記実施形態では、スリーブ3の先端面全体を連結手段4の略円盤状板部11で適合状態に覆った状態になっているから、既設配管内に新配管90を引き込んで該新配管90が既設配管の曲がり部を通過する際にスリーブ3の先端周縁が該曲がり部の内周面に引っ掛かることを十分に防止できて既設配管内に新配管90をよりスムーズに挿通させることができると共に、既設配管内に新配管90を引き込み挿通している時に新配管90の内部に異物等が侵入するのを十分に防止できる。
【0046】
上記実施形態では、連結手段4は、挿嵌部12、連結部13及び略円盤状板部11を備えた構成が採用されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図5(a)に示すような構成を採用することもできる。
【0047】
図5(a)に示す連結手段4は、挿嵌部22及び連結部23を備えた構成である。即ち、この連結手段4は、軸体25の外周面にねじ山26が形成されてなる挿嵌部22と、該挿嵌部22の基端に連接された連結部23とを備える。前記連結部23に連結用孔が設けられている。この連結手段4の挿嵌部22を、新配管90における前記スリーブ3が外嵌された一端部の内部に挿入嵌合した状態を図5(b)に示す。
【0048】
また、上記実施形態では、連結手段4の挿嵌部12に形成されたねじ山16、26は、1重(1条)に構成されているが(図1(a)、図5(a)参照)、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば2重(2条)に構成されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、連結手段4における挿嵌部12は、軸体15の外周面にねじ山16が形成されてなる構成であるが、前記挿嵌部は、特にこのような螺合しうる構成に限定されるものではない。例えば図6に示すように、連結手段4の挿嵌部34として、軸体35の外周面に1ないし複数本の突条36が設けられた構成を採用してもよい。この場合には、新配管90における前記スリーブ3が外嵌された一端部の内部空間に、該連結手段4の挿嵌部34の突条36をハンマー等を用いた叩き込みによって挿入嵌合すればよい。なお、図6において、33は、連結部(牽引案内手段2に連結するための連結部)である。
【0050】
なお、上記配設方法は、その一例を説明したものに過ぎず、本発明の配設方法は、上記手法に特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る配管牽引用治具は、設置対象の新配管の一端部に取り付けられて該新配管を既設配管内に挿入配設するのに用いられる。
【符号の説明】
【0052】
1…配管牽引用治具
2…牽引案内手段
3…スリーブ
4…連結手段
11…略円盤状板部
12、22、34…挿嵌部
13、23、33…連結部
15、25…軸体
16、26…ねじ山
31…切り込み
90…新配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6