【実施例】
【0031】
(実施例1)
次に、本実施の形態のインターポーザの配線基板の具体的な一実施例(以下、実施例1とする)について説明する。配線基体3において、厚さ50μmのポリイミドフィルム6上に、銅の配線層をパターン化して作製された配線7が形成されている。本実施例においては、配線基体3の配線7の上に、直接、無電解めっきにより形成されたフェライト膜8が配置されている。また、本実施例においては、配線長Lは5mm、フェライト膜長LFは3mm、配線幅Wは6mm、配線ピッチPIは300μm、配線ピッチPOは650μmである。
【0032】
次に、実施例1のフェライト膜8の作製方法について説明する。
図2は、本発明によるインターポーザの第1の実施の形態の配線基板に係わる実施例に用いるフェライト膜の製造方法を模式的に示す側面図である。
図2に示すように、成膜装置の回転テーブル14の上に、配線が形成された配線基体3を設置し、回転テーブル14の中心軸10の周りに回転させながら脱酸素イオン交換水を供給しながら90℃まで加熱した。ついで、装置内に窒素ガスを導入し脱酸素雰囲気を形成した。次に、脱酸素イオン交換水中にFeCl
2・4H
2O、NiCl
2・6H
2O、ZnCl
2をそれぞれ所望の量溶かした反応液と、脱酸素イオン交換水中にNaNO
2とCH
3COONH
4をそれぞれ所望の量溶かした酸化液とを、それぞれ反応液ノズル1と酸化液ノズル2より配線基体3に対してそれぞれ40ml/分の流量で供給した。その後、取り出した配線基体3には黒色のフェライト膜が形成されており、X線回折によりスピネル構造単相のフェライト膜であることを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM−EDS)によりNi、Zn、Fe、Oを主成分とする組成Ni
0.2Zn
0.3Fe
2.5O
4のNi−Zn系フェライト膜であることを確認し、膜厚を求めた。また、得られた膜の複素透磁率の実部μ’は100MHz以下程度の低い周波数では周波数に対してほぼ一定であり、その値は約40であった。また、複素透磁率の虚部μ”は100MHz以下程度の低い周波数ではほぼ0であり、100MHz近傍から立ち上がり、約350MHzで最大値である約30となり、さらに高い周波数では、装置の測定周波数限界である3GHzまでなだらかに減少し、3GHzでも約10という比較的高い値を示した。得られた膜の比抵抗は1×10
3Ωcmであることを確認した。
【0033】
次に、フェライト膜の厚さを1μm、3μmおよび20μmとした配線基板の実施例、および0.5μmとした比較例を作製し、伝送特性S21を評価した。
図1のように、配線7の中の中央の2本の配線の両端を、それぞれマイクロプローブを介してネットワークアナライザのポート1とポート2に接続して測定した。なお、ポート1、ポート2とも入力インピーダンスは50Ωである。
図3は本発明によるインターポーザの第1の実施の形態の配線基板に係わる実施例および比較例の伝送特性の実測結果を示す図である。膜厚0.5μmの比較例ではフェライト膜なしの場合との顕著な差異は見られないが、膜厚1μm、3μmおよび20μmの実施例の場合にはフェライト膜なしの場合と比べて高周波数帯域での減衰が顕著に見られ、その減衰量は膜厚が大きくなるほど大きい。
【0034】
(実施例2)
次に、本実施の形態のインターポーザの配線基板の具体的な一実施例(以下、実施例2とする)について説明する。実施例2においても、配線基体3、配線7、フェライト膜8などの配置や形状は実施例1と同じであり、配線長Lは5mm、フェライト膜長LFは3mm、配線幅Wは6mm、配線ピッチPIは300μm、配線ピッチPOは650μmである。本実施例のフェライト膜の作製方法を以下に説明する。
図2に示すように、実施例1と同様に、成膜装置の回転テーブル14の上に、配線基体3を設置し、回転させながら脱酸素イオン交換水を供給しながら90℃まで加熱した。ついで、装置内に窒素ガスを導入し脱酸素雰囲気を形成した。脱酸素イオン交換水中にFeCl
2・4H
2O、MnCl
2・4H
2O、ZnCl
2をそれぞれ所望の量溶かした反応液と、脱酸素イオン交換水中にCH
3COONa、(NH
4)
2CO
3、NaNO
2、NaOHをそれぞれ所望の量溶かした酸化液とを、それぞれ反応液ノズル1と酸化液ノズル2より、配線基体3に対して40ml/分の流量で供給した。その後、取り出した配線基体3には黒色のフェライト膜が形成されており、X線回折によりスピネル構造単相のフェライト膜であることを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM−EDS)によりMn、Zn、Fe、Oを主成分とする組成Mn
0.2Zn
0.3Fe
2.5O
4のMn−Zn系フェライト膜であることを確認し、膜厚を求めた。また、得られた膜の複素透磁率の実部μ’は100MHz以下程度の低い周波数では周波数に対してほぼ一定で、その値は約40であった。また、複素透磁率の虚部μ”は100MHz以下程度の低い周波数ではほぼ0であり、100MHz近傍から立ち上がり、約350MHzで最大値である約30となり、さらに高い周波数では、装置の測定周波数限界である3GHzまでなだらかに減少し、3GHzでも約10という比較的高い値を示した。また、得られた膜の比抵抗は1×10
4Ωcmであることを確認した。
【0035】
フェライト膜の厚さを3μmとして配線基板を作製し、実施例1と同様な方法により、配線7の中の中央の2本の配線の両端間の伝送特性S21を測定した。
図4は本発明によるインターポーザの第2の実施の形態に係わる実施例の配線基板の伝送特性の実測結果を示す図である。本実施例のMn−Zn系フェライト膜においても、Ni−Zn系フェライト膜の膜厚3μmの場合とほぼ同等の減衰が見られた。
【0036】
(実施例3)
次に、本実施の形態のインターポーザの配線基板の具体的な一実施例(以下、実施例3とする)について説明する。実施例3においても、フェライト膜が配線7の上に絶縁膜を介して配線7との間に一定の間隔を設けて配置される点以外の点においては、配線基体3、配線7、フェライト膜8などの配置や形状は実施例1と同じであり、配線長Lは5mm、フェライト膜長LFは3mm、配線幅Wは6mm、配線ピッチPIは300μm、配線ピッチPOは650μmである。本実施例の配線基板の作製方法は、配線基体3の配線7の上に先ず絶縁性のソルダーレジスト膜を成膜し、そのソルダーレジスト膜の上にフェライト膜を成膜した。フェライト膜は実施例1と同じNi−Zn系フェライト膜を実施例1と同じ製造方法で作製した。得られたフェライト膜は、実施例1のフェライト膜と同じ組成であり、同じ複素透磁率の周波数特性を有する膜であることを確認した。また、膜の比抵抗は1×10
3Ωcmであることを確認した。
【0037】
フェライト膜の厚さを3μmとし、ソルダーレジスト膜の厚さが10μm、50μmである配線基板の実施例とフェライト膜の厚さが60μmである配線基板の比較例を作製し、実施例1と同様な方法により、配線7の中の中央の2本の配線の両端間の伝送特性S21の評価を行った。
図5は本発明によるインターポーザの第3の実施の形態に係わる実施例および比較例の配線基板の伝送特性の実測結果を示す図である。ソルダーレジスト膜の膜厚、すなわちフェライト膜と配線7との間隔が60μmの比較例の場合には、フェライトなしの場合との差異は顕著に見られないが、フェライト膜と配線7との間隔が10μmおよび50μmの実施例の場合にはフェライトなしの場合と比べて高周波数帯域での減衰が顕著に見られ、その減衰量はフェライト膜と配線7との間隔が小さくなるほど大きい。
【0038】
次に、上記の実施例1および実施例2のように、配線7上に直接フェライト膜を配置した場合について、配線基板の配線間に生ずるクロストークの評価を、有限要素法を用いた3次元電磁界シミュレーションにより行なった結果について説明する。
図6は本発明によるインターポーザのクロストーク評価の対象とした模擬的な配線基板を示す斜視図である。配線基体4は、
図1に示した配線基体3の裏面、すなわち厚さ50μmのポリイミドフィルム6の下に、グランドとして厚さ18μmの銅箔5を配置したものである。ポリイミドフィルム6の上には
図1と同様に銅の配線7が形成され、配線7の上に直接、フェライト膜8が形成されている。配線基体3、配線7、フェライト膜8などの配置や形状は実施例1と同じであり、配線長Lは5mm、フェライト膜長LFは3mm、配線幅Wは6mm、配線ピッチPIは300μm、配線ピッチPOは650μmである。
図6のように、配線7の中の中央の2本の配線の一方の一端と下面のグランド間、すなわちポート1に信号を入力した場合に、隣接する他方の一端と下面のグランド間、すなわちポート2にクロストークとなって漏れる信号の大きさを計算した。ポート1側またはポート2側にICチップが搭載されることを想定しており、それらの配線の他端は50Ω抵抗で終端している。
【0039】
図7は、本発明によるインターポーザのフェライト膜の比抵抗を変えた場合のクロストーク量を計算した結果の一例を示す図である。フェライト膜の膜厚を3μm、フェライト膜の比透磁率をμ’=40、μ”=0、フェライト膜の比誘電率をε’=60、ε”=0とし、フェライト膜の比抵抗を変えた場合のクロストーク量を計算した結果である。フェライト膜の比抵抗は、0.1Ωcm、1Ωcm、10Ωcm、1000Ωcmと変化させた。フェライト膜の比抵抗が低いほどクロストーク量が増加しているが、フェライト膜の比抵抗が10Ωcm以上あればクロストークの増加は少なく抑えられていることが分かる。
【0040】
次に、上記の実施例3のように、配線7上に間隔を設けてフェライト膜を配置した場合について、配線基板の配線間に生ずるクロストークの評価を、有限要素法を用いた3次元電磁界シミュレーションにより行なった結果について説明する。
図8は本発明によるインターポーザのクロストーク評価の対象とした模擬的な配線基板を示す断面図である。配線基体4は、
図6に示した配線基体4と同じであり、ポリイミドフィルム6の下に、グランドとして厚さ18μmの銅箔5を配置したものである。但し、ここでは、
図8に示すように、配線7の上に空隙層9を介して、フェライト膜8が形成されているものとした。計算は
図6と同様に、配線7の中の中央の2本の配線の一方の一端と下面のグランド間、すなわちポート1に信号を入力した場合に、隣接する他方の一端と下面のグランド間、すなわちポート2にクロストークとなって漏れる信号の大きさを計算した。ポート1およびポート2の他端は50Ω抵抗で終端している。
【0041】
図9は、本発明によるインターポーザの配線基体とフェライト膜との間の空隙層の大きさ(gap)を変えた場合のクロストーク量を計算した結果の一例を示す図である。フェライト膜厚を3μm、フェライト膜の比抵抗を10
−1Ωcm、フェライト膜の比透磁率をμ’=40、μ”=0、フェライト膜の比誘電率をε’=60、ε”=0とし、空隙層9の大きさを変えた場合のクロストーク量を計算した結果である。空隙層の大きさは、5μm、10μm、20μm、40μm、60μmとした。なお、空隙層の比透磁率は、μ’=1、μ”=0、空隙層の比誘電率は、ε’=1、ε”=0とした。
図9に示すとおり、空隙層9の大きさが10μm以上では、フェライト膜によるクロストークの増加が低く抑えられている。
【0042】
次に、配線7上に直接フェライト膜を配置し、隣接する2つの配線の間にフェライト膜が存在しないスリット状の部分を設けた場合について、その配線間に生ずるクロストークの評価を、有限要素法を用いた3次元電磁界シミュレーションにより行なった結果について説明する。
図10は本発明によるインターポーザのクロストーク評価の対象とした模擬的な配線基板を示す斜視図であり、
図11は本発明によるインターポーザのクロストーク評価の対象とした模擬的な配線基板を示す断面図である。配線基体4は、
図6に示した配線基体4と同じであり、ポリイミドフィルム6の下に、グランドとして厚さ18μmの銅箔5を配置したものである。フェライト膜18は直接、配線7上に配置されているが、但し、ここでは、フェライト膜18には、
図10、
図11に示すように、配線7の中の中央のポート1およびポート2を構成する配線間にスリット19を設けている。クロストークの計算は、上記の場合と同様に、ポート1に信号を入力した場合に、隣接するポート2にクロストークとなって漏れる信号の大きさを計算した。ポート1およびポート2の他端は50Ω抵抗で終端している。
【0043】
図12は、本発明によるインターポーザの配線基板のフェライト膜のスリットの幅を変えた場合のクロストーク量を計算した結果の一例を示す図である。フェライト膜厚を3μm、フェライト膜の比抵抗を10
−1Ωcm、フェライト膜の比透磁率をμ’=40、μ”=0、フェライト膜の比誘電率をε’=60、ε”=0とし、フェライト膜19のスリット10の幅を変えた場合のクロストーク量を計算した結果である。スリット幅は、10μm、50μm、100μmと変化させた。
図12に示すように、スリット10の幅が10μm以上では、フェライト膜によるクロストークの増加が低く抑えられている。
【0044】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではないことはいうまでもなく、インターポーザに搭載する半導体素子や抑制の対象とするノイズなどに応じて設計変更可能である。例えば、インターポーザを構成する配線基板の形状、材料、構成、配線パターン、層構造、フェライト膜の設置場所や対象とする配線など任意に選択できる。