特許第5872807号(P5872807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872807モータにおけるコイル巻線の結線構造およびモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872807
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】モータにおけるコイル巻線の結線構造およびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20160216BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20160216BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   H02K3/52 E
   H02K3/34 B
   H02K3/04 J
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-153478(P2011-153478)
(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公開番号】特開2013-21824(P2013-21824A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2014年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
(72)【発明者】
【氏名】野上田 弥
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 進士
(72)【発明者】
【氏名】山内 貴光
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−167604(JP,A)
【文献】 特開2006−191757(JP,A)
【文献】 特開平09−261905(JP,A)
【文献】 特開平09−121496(JP,A)
【文献】 特開2009−177985(JP,A)
【文献】 特開2005−287240(JP,A)
【文献】 特開2001−218409(JP,A)
【文献】 特開2007−014043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
H02K 3/04
H02K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーロータ型のブラシレスモータのステータコアに装着される略環形状を有するインシュレータと、
前記インシュレータに配置され、前記ステータコアにおける複数の突極に巻回されたコイル巻線の渡り線が接続された導通端子と、
前記インシュレータと一体に形成され、前記導通端子の周方向両端の側に位置し、周方向におけるエッジ部分が面取りされたR形状を有したガイド部材と
を備え、
前記導通端子は、軸中心から離れる方向に向いた部分で前記渡り線と接触する第1の導通部と、前記第1の導通部に接続されて前記第1の導通部の外側に配置され、前記第1の導通部との間で前記渡り線を挟んで保持する第2の導通部とを備え、
前記渡り線を前記インシュレータの外側に露出させた状態で渡らせ前記導通端子に接続した構造を有し、
前記第2の導通部は、前記第1の導通部よりも小さい形状を有し、
前記渡り線は、前記第1の導通部と前記第2の導通部の間において固定され、且つ、前記インシュレータの前記R形状を有した部分に沿って引き回されていることを特徴とするモータにおけるコイル巻線の結線構造。
【請求項2】
前記ガイド部材の外側の面は、前記第1の導通部の外側の面と面一であることを特徴とする請求項1に記載のモータにおけるコイル巻線の結線構造。
【請求項3】
前記導通端子は、軸方向に突出し、回路基板に挿入される接続端子として機能することを特徴とする請求項1または2に記載のモータにおけるコイル巻線の結線構造。
【請求項4】
前記第1の導通部が前記接続端子として機能し、
前記第2の導通部が前記第1の導通部に向かって湾曲し、該湾曲した部分の内側で前記第2の導通部に前記渡り線が固着していることを特徴とする請求項に記載のモータにおけるコイル巻線の結線構造。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のコイル巻線の結線構造を備えた略筒状のステータと、
前記ステータの内側で回転自在な状態で保持されたロータと
を備えることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにおけるコイル巻線の結線構造およびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
インナーロータ型のブラシレスモータは、ステータ内側の複数の突極のそれぞれに巻線が巻回されて複数のコイルが形成され、これら複数のコイルから引き出された配線を引き回し、所定の結線が行われる構造を有している。この構造に関しては、例えば特許文献1〜4に記載された構造が公知である。ところで、端子に配線を接続する方法として、ヒュージング加工(熱カシメ加工)が知られている。ヒュージング加工は、被覆線を挟み込む(あるいは包み込む)構造の端子に、被覆線を挟み、その状態で圧力を加えながら端子に電流を流して発熱させ、この発熱により被覆線の被覆を溶かして剥離し、圧力と熱により被覆線の芯線と端子とを固相接合させ、それにより電気的な接続を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2009−177985号公報
【特許文献2】特開平2005−287240号公報
【特許文献3】特開平2001−218409号公報
【特許文献4】特開平2007−14043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒュージング加工は、生産性が高く、また高い信頼性を有した電気的な接続を行うことができる。しかしながらヒュージング加工は、端子に外部から専用の電極を接触させる必要があるので、ステータ内側での作業は困難である。特に、モータを小型化した場合にその傾向が顕著になる。このような背景において、本発明は、インナーロータ型のブラシレスモータのステータにおけるコイル巻線の端子への接続を行う構造において、ヒュージング加工を用いた接続に適した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、インナーロータ型のブラシレスモータのステータコアに装着される略環形状を有するインシュレータと、前記インシュレータに配置され、前記ステータコアにおける複数の突極に巻回されたコイル巻線の渡り線が接続された導通端子と、前記インシュレータと一体に形成され、前記導通端子の周方向両端の側に位置し、周方向におけるエッジ部分が面取りされたR形状を有したガイド部材とを備え、前記導通端子は、軸中心から離れる方向に向いた部分で前記渡り線と接触する第1の導通部と、前記第1の導通部に接続されて前記第1の導通部の外側に配置され、前記第1の導通部との間で前記渡り線を挟んで保持する第2の導通部とを備え、前記渡り線を前記インシュレータの外側に露出させた状態で渡らせ前記導通端子に接続した構造を有し、前記第2の導通部は、前記第1の導通部よりも小さい形状を有し、前記渡り線は、前記第1の導通部と前記第2の導通部の間において固定され、且つ、前記インシュレータの前記R形状を有した部分に沿って引き回されていることを特徴とするモータにおけるコイル巻線の結線構造である。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、渡り線をインシュレータの外側に向けて露出した状態で引き回して導通端子に接続する構造とすることで、導通端子に接触した渡り線に対する各種の作業(例えば、治具を用いてのヒュージング加工等)が容易な構造が得られる。なお、導通端子に接触した渡り線に対する作業が容易な構造である優位性は、ヒュージング加工以外の固定方法(例えば、半田や導電性接着剤を用いた固定等)においても同様に得ることができる。つまり、請求項1に記載の発明は、ヒュージング加工以外の方法で渡り線を導通端子に接続する場合にも利用することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、第1の導通部と第2の導通部との隙間に渡り線が挟まれることで、導通端子への渡り線の接続が行われる。この構造は、導通端子への渡り線の電気的な接触を確実なものとできる。特に、第1の導通部と第2の導通部との間に渡り線を挟んだ状態において、第2の導通部に第1の導通部の方向への圧力を加え、更にその状態で第1の導通部と第2の導通部との間に電流を流すこと行われるヒュージング加工を容易に、且つ、確実に行うことができる。つまり、ヒュージング加工を用いた渡り線の導通端子への接続に適した構造とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ガイド部材の外側の面は、前記第1の導通部の外側の面と面一であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記導通端子は、軸方向に突出し、回路基板に挿入される接続端子として機能することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記第1の導通部が前記接続端子として機能し、前記第2の導通部が前記第1の導通部に向かって湾曲し、該湾曲した部分の内側で前記第2の導通部に前記渡り線が固着していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイル巻線の結線構造を備えた略筒状のステータと、前記ステータの内側で回転自在な状態で保持されたロータとを備えることを特徴とするモータである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インナーロータ型のブラシレスモータのステータにおけるコイル巻線の端子への接続を行う構造において、ヒュージング加工を用いた接続に適した技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のモータの斜視図(A)、正面図(B)および側断面図(C)である。
図2】インシュレータを装着したステータコアの斜視図である。
図3図2の分解斜視図である。
図4図3の一部を拡大した斜視図である。
図5】導通端子に渡り線をヒュージング加工によって固定した状態を示す斜視図である。
図6】コイル巻線の結線状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(構成)
図1には、実施形態のモータ100の斜視図(A)、正面図(B)および(B)におけるA−Aの線で切断した側断面図(C)が示されている。モータ100は、インナーロータ型のブラシレスモータである。モータ100は、略筒状を有する外側ケーシング101を備えている。外側ケーシング101は、軟磁性の金属材料により構成され、ステータコア201のバックヨークとしても機能する。外側ケーシング101の内側には、ステータ200が固定されている。図2には、ステータ200が示され、図3には、ステータ200を軸方向で分解した状態が示されている。ステータ200は、略円筒形状を有し、ステータコア201、ステータコア201に取り付けられた絶縁用のインシュレータ202,203、コイル(図1図4では図示省略)を備えている。
【0014】
図3に示すステータコア201は、一般的なインナーロータ型のブラシレスモータのステータコアと同じである。ステータコア201は、軟磁性材料により構成されている。この例において、ステータコア201は、図示する断面形状の珪素鋼板を軸方向で複数積層した構造を有している。ステータコア201は、略円筒形状を有し、その内側には、軸中心(回転中心)の方向に延在した突極210を備えている。突極210は、軸方向から見て等角な位置に9個が配置されている。突極210は、軸中心の方向に延在する延在部211と、延在部211の先端の部分であり、周方向に平たく開いた形状の先端部212と、先端部212のロータ側(軸中心側)における突極面213とを備えている。ここで、突極面213は、後述するロータの外周の形状に沿った曲面を有している。延在部211にコイルが巻回されることでステータコイルが構成される。このコイルが巻回された9個の突極210が、ステータ200側の磁極となる。この点は、一般的なインナーロータ型のブラシレスモータと同じである。また、駆動方法についても一般的なインナーロータ型のブラシレスモータと同じである。
【0015】
ステータコア201には、2分割されたインシュレータ202と203が軸方向の前後から装着される。インシュレータ202,203は、樹脂製であり、ステータコア201とコイルの巻線(マグネットワイヤ)との間を絶縁する。ここで、一方のインシュレータ202の軸方向の端部には、コイルの巻線を引き回す部分(渡り線)が接続され、また図示しない回路基板への接続を行うための導通端子220が設けられている。
【0016】
図4は、図3の一部を拡大した拡大図であり、導通端子220の部分が拡大して示されている。導通端子220は、インシュレータ202の軸方向の端部に埋め込まれている。導通端子220は、軸方向から見た等角な3箇所(120°の開き角の位置)に配置されている。この導通端子220がインシュレータ202の端部に埋め込まれた構造は、樹脂により構成されるインシュレータ202を射出成形法により作製する際に、金属(例えば銅)により構成される導通端子220をインサート材とすることで得ている。導通端子220は、軸中心の側(ロータ側)から見た外側(軸中心から離れる方向に向いた部分)で後述する渡り線と接触する第1の導通部221、第1の導通部221に接続された(この例の場合は、一体物)第2の導通部222により構成されている。
【0017】
第1の導通部221は、軸方向に突出したガイド部材204に根元の部分が埋め込まれている。ガイド部材204は、インシュレータ202の一部であり、インシュレータ202の軸方向の端部から軸方向に突出した部分である。ガイド部材204の外側の面205は、第1の導通部221の外側の面と面一となる形状を有し、その周方向両端のエッジの部分は、渡り線に傷をつけないように面取りがされ、R形状とされている。第1の導通部221と第2の導通部222とは、軸方向に延在し、その間には、軸方向外側に開放された隙間223が設けられている。また、第2の導通部222は、第1の導通部221よりも小さな形状を有し、更に外力を加えた際に変形が可能な程度の強度を有している。
【0018】
図5には、導通端子220に渡り線230を接続した状態が示されている。渡り線230は、周方向で隣接する突極210(図3参照)に巻回されたコイル同士を接続する配線の引き回し部分のことである。図5の場合でいうと、図示されている導通端子220の左右に位置する図示省略したコイル同士を接続する配線の引き回し部分が渡り線230として示されている。渡り線230は、ガイド部材204の外側の面205に沿ってインシュレータ202の外側(外周側)に露出する状態で引き回され、第1の導通部221と第2の導通部222との間の隙間223に挟まれて保持されている。そして、隙間223の部分において、ヒュージング加工によって第1の導通部221と第2の導通部222に接触した状態で固着され、導通端子220への電気的な導通状態が確保されている。
【0019】
図6には、本実施形態におけるコイルの接続構造が概念的に示されている。図6には、図2に示すステータ201の9個の突極(図3の符号213)に巻回されている9個のコイルの結線状態、および渡り線230の引き出し状態が概念的に示されている。図1のモータ100は3相モータであり、U相,V相,W相により示される3つの部分から駆動電流の供給が行われる。U相,V相,W相の3箇所の部分は、3箇所の導通端子220のそれぞれに接続される。この3箇所の導通端子220における第1導通部221は、図1(A)におけるエンドキャップ330の露出面に取り付けられる図示しない回路基板に直接接続される。この図示しない回路基板は、U相,V相,W相の部分に供給する駆動電流を生成するための駆動回路を備えている。この回路基板には、第1の導通部221が貫通する孔または切り欠きが3箇所に設けられ、この孔または切り欠きは、その周囲に回路への接続を行うための導電パターンを備えている。この孔や切り欠きに、第1の導通部221を挿入した状態で当該部分に半田を流すことで、導通端子220と上記の導電パターンとの電気的な接触が確保され、図6のU相,V相,W相の3つの部分から駆動電流の供給が可能な構造が得られる。
【0020】
図1に戻り、ステータ200の内側には、ロータ300がステータ200に対して回転自在な状態で保持されている。ロータ300は、円筒状の外周を有するロータ部材301、ロータ部材301の外周に取り付けられた円筒形状のロータマグネット302により構成されている。ロータマグネット302は、永久磁石であり、周方向において多極に着磁されている。着磁の構造は、通常のインナーロータ型のブラシレスモータにおけるものと同じである。ロータ300(ロータ部材301)の軸中心には、回転軸となるシャフト310が固定されている。シャフト310は、軸受321を介してエンドキャップ330に回転自在な状態で保持されている。エンドキャップ330は、外型ケーシング101の開口部に蓋をする樹脂性の部材であり、外側ケーシング101に固定されている。また、シャフト301の他端は、軸受322により、外側ケーシング101に回転自在な状態で保持されている。
【0021】
(組み立て工程)
以下、図1に示すモータ100を組み立てる工程の一例を説明する。最初にステータ200を組み立てる。まず、図3に示すステータコア201を用意し、図3に示す位置関係でインシュレータ202,203をステータコア201に装着する。こうして図2の示す状態を得る。次に、インシュレータ202,203の上から巻回装置を用いて巻線(マグネットワイヤ)を9個の突極210のそれぞれに巻回し、ステータ200にコイルを組み付ける。この際、図6に示す結線の状態となるように配線の引き回しを行なう。ここで、コイルの巻線は、エナメル線やポリウレタン線等の絶縁被覆が施されているものを用いる。また、この作業において、図6に示す渡り線のU相,V相,W相の部分を隙間223の部分に引っ掛け、図5に示す段階の前状態を得る。この段階では、渡り線230が隙間223の部分に接触し、引っ掛かっている状態であり、また渡り線230の絶縁被覆が付いた状態であるので、渡り線230と導通端子220の導通状態は確保されていない。
【0022】
次に、ヒュージング加工用の装置を用いてのヒュージング加工を行う。この工程では、第1の導通部220と第2の導通部221との間で電流を流しつつ、第2の導通部222が第1の導通部221に向けて押される。第1の導通部221と第2の導通部222との間に電流が流されることで発熱が生じ、この熱により第1の導通部221と第2の導通部222に接触した部分における渡り線230の絶縁被覆が溶ける。ここで、渡り線230には、2つの導通部によって挟まれ、圧力が加えられているので、絶縁被覆が溶けた部分で渡り線230の芯線と第1の導通部221および第2の導通部222とが接触する。この際、圧力と熱が加えられているので、接触している部分が固着する。こうして、隙間223の部分に渡り線230が固定される。なお、この工程において、図5に示すように第2の導通部222が変形して湾曲し、その変形した部分の内側で渡り線230に第2の導通部222が固着する。勿論、第1の導通部221も渡り線230に固着する。この構造によれば、第2の導通部222と渡り線230との接触面積が確保されるので、導通端子220と渡り線230との電気的な接続がより確実なものとなる。そして、この作業を他の2箇所においても行うことで、図6に示すU相,V相,W相のそれぞれの部分が3箇所の導通端子220に接続される。
【0023】
以上の工程によってステータ200を得る。そして、ステータ200の内部に、図1(C)のロータ300を組み付け、更にエンドキャップ330を取り付けることで、図1に示すモータ100を得る。図1に示す状態を得たら、図示しない回路基板をエンドキャップ330の露出面側に取り付ける。この際、導通端子220を回路基板の電極に接続する。以上のようにして、駆動回路が一体化された構造のインナーロータ型のブラシレスモータ(モータ100)の組み立てが行われる。
【0024】
(優位性)
図5に示すように、渡り線230をインシュレータ202の外側(外周側)に露出させた状態で引き回す構造とすることで、渡り線230の導電端子220への接続が容易となる。特に、ヒュージング加工用の治具を用いた作業における第2の導通部222に圧力を加える作業が容易となる。例えば、渡り線230をインシュレータ202の内側に向けて露出した状態で引き回した場合、ヒュージング加工用の治具を入れるスペースを確保することが困難となり、ヒュージング加工が難しくなる。この問題は、モータを小型化した場合に顕著になる。また、図5に示す構造は、導通端子220に巻線を巻回する作業を必要としないので、端子に巻線を巻回し、更に半田付けにより固定する場合に比較して、作業が簡素化される。
【0025】
また、ヒュージング加工により変形するのが外側の第2の導通部222であるので、内側の第1の導通部221の回路基板への位置合わせ精度の低下が抑えられる。すなわち、ヒュージング加工に起因する端子部材の変形による導通端子220の回路基板への接触不良が抑えられる。
【0026】
(その他)
図5に示す接続構造を得る工程において、ヒュージング加工の代わりに半田付けを利用することも可能である。この場合、半田を流し込む部分が、外側に露出しているので作業が行い易く、また半田による接続不良等の問題が発生し難い。なお、突極の数や導電端子の数は、実施形態のものに限定されず、駆動方法等に応じて他の数とすることも可能である。
【0027】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、インナーロータ型のブラシレスモータやハイブリッド型(HB型)ステッピングモータに利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
100…モータ、101…外側ケーシング、200…ステータ、201…ステータコア、202…インシュレータ、203…インシュレータ、204…ガイド部材、205…外側の面、210…突極、211…延在部、212…先端部、213…突極面、220…導通端子、221…第1の導通部、222…第2の導通部、223…隙間、230…渡り線、300…ロータ、301…ロータ部材、302…ロータマグネット、310…シャフト、321…軸受、322…軸受、330…エンドキャップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6