(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車、ハイブリッド車にあっては、電気系統のメンテナンス等での作業安全性を確保するため、電源部と負荷間の通電を遮断できる電源回路遮断装置(サービスプラグ)が搭載される。この種の従来の電源回路遮断装置として、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この電源回路遮断装置100は、
図13〜
図15に示すように、第1コネクタハウジング101と、第1コネクタハウジング101に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング110と、第2コネクタハウジング110に回転及びスライド可能に設けられ、且つ、回転によって第2コネクタハウジング110と第1コネクタハウジング101間に嵌合力や離脱力を作用させるレバー120とを備えている。
【0004】
第1コネクタハウジング101の両側面には、一対のカムピン102が突設されている。第1コネクタハウジング101には、一方のメイン端子(図示せず)と一方の信号端子(図示せず)がそれぞれ設けられている。一方のメイン端子(図示せず)は、コネクタ嵌合室内に配置されている。一方の信号端子(図示せず)は、外部フード部104内に配置されている。
【0005】
第2コネクタハウジング110の両側面には、一対の支持軸111が突設されている。第2コネクタハウジング110には、他方のメイン端子(図示せず)が設けられている。
【0006】
レバー120の両側面には、一対の支持軸受け溝121が形成されている。支持軸受け溝121は、支持軸111の回転を支持する回転支持部121aと、これに連通し、支持軸111のスライド移動を支持するスライド支持部121bとから構成されている。これにより、レバー120は、第2コネクタハウジング110に回転及びスライド自在に支持されている。レバー120の両側面には、一対のカム溝122が設けられている。各カム溝122は、回転支持部121aからの距離を徐々に変化させる曲線部122aと、これに連通し、スライド支持部121bに平行に延びるストレート部122bとから構成されている。この一対のカム溝122に第1コネクタハウジング101のカムピン102が挿入される。レバー120の側面部には、他方の信号端子(図示せず)が収容されたコネクタ104が配置されている。他方の信号端子(図示せず)は、フード部124内に配置されている。
【0007】
双方のメイン端子(図示せず)によってメイン回路スイッチ(図示せず)が構成されている。双方の信号端子(図示せず)によって信号回路スイッチ(図示せず)が構成されている。
【0008】
上記構成において、電源回路遮断装置100の電源導通動作を説明する。
図13に示すように、レバー120を第1操作位置とした第2コネクタハウジング110を第1コネクタハウジング101のコネクタ嵌合室(図示せず)に挿入すると共に、レバー120のカム溝122の入口にカムピン102を挿入する。双方のコネクタハウジング101,110間はコネクタ仮嵌合状態となる。
【0009】
レバー120を第1操作位置から第2操作位置側に回転する。すると、カムピン102がカム溝122内を移動し、第2コネクタハウジング110と第1コネクタハウジング101間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング110が第1コネクタハウジング101のコネクタ嵌合室に徐々に挿入される。
【0010】
図14に示すように、レバー120をコネクタ嵌合操作位置まで回転すると、第1コネクタハウジング101と第2コネクタハウジング110間は、完全嵌合状態となる。双方のメイン端子(図示せず)間は、コネクタ嵌合操作位置までの過程で徐々に接触し、コネクタ嵌合操作位置では接触状態となる。これにより、メイン回路スイッチ(図示せず)は、コネクタ嵌合操作位置では、オン状態となる。
【0011】
次に、レバー120をコネクタ嵌合操作位置より第2操作位置までスライド移動する。このスライド移動過程で、双方の信号端子(図示せず)間が徐々に接触し、
図15に示すように、レバー120の第2操作位置では接触状態となる。これにより、信号回路スイッチSW2は、レバー120の操作完了位置では、オン状態である。
【0012】
また、電源回路遮断装置100の電源遮断動作は、レバー120を上記と逆操作することによって行う。つまり、第2操作位置のレバー120をコネクタ嵌合操作位置までスライド移動し、コネクタ嵌合操作位置から第1操作位置まで回転移動する。
【0013】
電源回路遮断装置100は、メイン回路スイッチ(図示せず)と信号回路スイッチSW2が共にオンとなって初めて電源回路(図示せず)を導通状態とする。つまり、レバー120が第2操作位置である場合にのみ電源回路が導通状態となり、それ以外の操作位置では電源回路は非導通状態である。
【0014】
これにより、作業員がレバー120が第2操作位置でないため、電源回路が非導通状態であるとする勘違いによる事態を防止する。
【0015】
また、レバー120の第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置までがスライド操作であり、コネクタ嵌合操作位置から第1操作位置までが回転操作である。そのため、レバー120の第2操作位置から第1操作位置までの操作にタイムラグ、つまり、信号回路スイッチ(図示せず)のオフからメイン回路スイッチ(図示せず)がオフになるまでにタイムラグを確保することができるため、信号回路スイッチ(図示せず)のオフ後の残留電量に起因するスパーク等の不具合が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態を示し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が離脱状態である電源回路遮断装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態を示し、レバーが第1操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が仮嵌合状態である電源回路遮断装置の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態を示し、レバーが第1操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が仮嵌合状態である電源回路遮断装置の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態を示し、レバーがコネクタ嵌合操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態を示し、レバーがコネクタ嵌合操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態を示し、レバーが第2操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態を示し、レバーが第2操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の側面図である。
【
図8】本発明の実施形態を示し、レバーが第2操作位置に位置し、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング間が完全嵌合状態である電源回路遮断装置の断面図である。
【
図9】本発明の実施形態を示し、回動規制部まわりの構成を示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態を示し、回動規制部におけるロック解除操作部と過大変位防止片とを示す部分断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る電源回路遮断装置において、レバーの位置とロック解除操作部の位置とが変化したときにおける、第1のロック部LK1、第1のロック部LK2の解除の可能、不可能を示す図である。
【
図12】
図10に対応した図であって、回動規制部の変形例を示す図である。
【
図13】従来例を示し、レバーが第1操作位置に位置する電源回路遮断装置の斜視図である。
【
図14】従来例を示し、レバーがコネクタ嵌合操作位置に位置する電源回路遮断装置の斜視図である。
【
図15】従来例を示し、レバーが第2操作位置に位置する電源回路遮断装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1〜
図10は本発明の実施形態を示す。
図1〜
図10に示すように、電源回路遮断装置1Aは、第1コネクタハウジング10と、第1コネクタハウジング10に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回転可能に設けられ、且つ、回転によって第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力や離脱力を作用させるレバー30とを備えている。
【0027】
第1コネクタハウジング10の両側面には、一対のカムピン11が突設されている。第1コネクタハウジング10は、上面が開放されたコネクタ嵌合室10aを有する。コネクタ嵌合室10a内に内部端子フード部12が二箇所設けられている。この各内部端子フード部12内に一方側のメイン端子13がそれぞれ配置されている。この各メイン端子13は、雌端子である。
【0028】
第1コネクタハウジング10には、コネクタ嵌合室10aの外側に外部端子フード部15が設けられている。この外部端子フード部15は、上方が開口している。外部端子フード部15内には、一方側の端子である信号端子16が2つ配置されている。この2つの信号端子16の詳しい構成は、下記する。
【0029】
外部端子フード部15の両側壁には、第1ロック部LK1の第1被係止部17が突設されている。第1ロック部LK1は、第1被係止部17と下記する第1係止部37より構成され、レバー30を第2操作位置でロックする。第1被係止部17は、外部端子フード部15の側壁のスリット15aによって撓み変形容易になっている。
【0030】
第2コネクタハウジング20は、内部にヒューズ2が収容されたハウジング本体21と、このハウジング本体21の上面に装着されたカバー22とを備えている。ハウジング本体21は、第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに嵌合・離脱できる寸法・形態に形成されている。ハウジング本体21の下部には、他方側のメイン端子23が2つ設けられている。この各メイン端子23は、雄端子である。各メイン端子23は、ハウジング本体21より下方に突出している。2つのメイン端子23は、ヒューズ2を介して接続されている。第1コネクタハウジング10側の2つのメイン端子13と第2コネクタハウジング20側の2つのメイン端子23によって、メイン回路スイッチSW1が構成されている。
【0031】
ハウジング本体21の両側面には、一対の回転支持軸24が突設されている。ハウジング本体21の両側面には、一対の係止突部25が設けられている。各係止突部25は、高さの低い円弧状突起である。
【0032】
ハウジング本体21には、第2ロック部LK2の第2係止部26が突設されている。第2ロック部LK2は、第2係止部26と下記する第2被係止部41より構成され、レバー30をコネクタ嵌合操作位置でロックする。第2係止部26は、ロック解除操作部27に設けられている。ロック解除操作部27は、作業者の押圧力で撓み変形可能である。ロック解除操作部27及び第2係止部26の後側には、弾性変形するための弾性変形用スペース28が形成されている。これにより、ロック解除阻止部38がロック解除位置である後方に位置しない時には、ロック解除操作部27を作業者の指等によって押圧操作して第2係止部26をロック解除位置に移動可能である。
【0033】
すなわち、
図5の矢印AR1の方向にロック解除操作部27(第2係止部26)を押して弾性変形させ(変形位置まで弾性変形させ)第2係止部26を第2被係止部41から離すことで、第2ロック部LK2のロックを解除することができるようになっている。
【0034】
レバー30は、一対のアームプレート部31と、一対のアームプレート部31間を回転先端側でそれぞれ連結する連結部32及び操作部33とを備えている。一対のアームプレート部31には、一対の回転受け部34が設けられている。この一対の回転受け部34に第2コネクタハウジング20の一対の回転支持軸24が軸支されている。これにより、レバー30は、第2コネクタハウジング20に回転自在に支持されている。一対のアームプレート部31には、一対のカム溝35が形成されている。この一対のカム溝35に第1コネクタハウジング10のカムピン11が挿入される。
【0035】
カム溝35は、
図4及び
図7に示すように、カムピン11の進入が可能な進入ストレート部35aと、この進入ストレート部35aに連通し、回転受け部34の中心からの距離が徐々に変化する曲線部35bと、曲線部35bに連通し、回転受け部34の中心からの距離が一定である円弧部35cとを有する。
【0036】
レバー30は、カム溝35内をカムピン11が移動しつつ第1操作位置とコネクタ嵌合操作位置を経た第2操作位置との間を回転する。第1操作位置では、進入ストレート部35aにカムピン11が位置する。コネクタ嵌合操作位置では、曲線部35bと円弧部35cの境界位置がカムピン11が位置する。第2操作位置では、円弧部35cの最奥位置にカムピン11が位置する。
【0037】
つまり、レバー30の第1操作位置とコネクタ嵌合操作位置の回転過程では、カムピン11が曲線部35bを移動し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間に嵌合力又は離脱力が作用し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が嵌合方向に、又は、離脱方向に移動する。レバー30がコネクタ嵌合操作位置と第2操作位置の回転過程では、カムピン11が円弧部35cを移動し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間に嵌合力又は離脱力が作用せず、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が嵌合方向に、又は、離脱方向に移動することはない。
【0038】
一対のアームプレート部31には、2箇所に位置保持孔36が設けられている。レバー30は、第1操作位置と第2操作位置で位置保持孔36のいずれか一方に係止突部25が係止される。これにより、レバー30は、第1操作位置と第2操作位置に位置保持力によって位置決めされる。
【0039】
一対のアームプレート部31の回転先端側で、且つ、下方位置には、第1ロック部LK1の一対の第1係止部37が設けられている。一対の第1係止部37は、作業者がレバー30に作用させる回転力でロック解除が可能に形成されている。連結部32には、板状のロック解除阻止部38が設けられている。
【0040】
レバー操作部33の下部には、フード部39が設けられている。フード部39は、下方に開口している。フード部39内には、他方側の端子である信号端子40が2つ配置されている。この2つの信号端子40の詳しい構成は、下記する。第1コネクタハウジング10側の2つの信号端子16とレバー30側の2つの信号端子40によって信号回路スイッチSW1が構成されている。
【0041】
レバー操作部33には、第2ロック部LK2の第2被係止部41が設けられている。
【0042】
また、電源回路遮断装置1Aには、
図8〜
図10で示すように、回動規制部205が設けられている。回動規制部205は、レバー30が第2操作位置に位置しているときに、ロック解除操作部27を第2ロック部LK2のロック状態の解除方向と同方向(第2ロック部LK2のロックを解除する方向と同方向)に操作すると、ロック解除操作部27に当接することで、レバー30の回動を規制するようになっている。これにより、レバー30が第2の操作位置に位置しているときに、第1のロック部LK1のロックの解除が阻止されるようになっている。
【0043】
回動規制部205は、更にレバー30の第2操作位置において(レバー30が第2操作位置に位置している状態において)、ロック解除操作部27を第2ロック部LK2のロック状態の解除方向と同方向へ操作した際に、ロック解除操作部27に当接してロック解除操作部27のロック解除位置(第2ロック部LK2のロックを解除可能な位置)への移動を阻止するようになっている。
【0044】
また、回動規制部205は、過大変位を防止する過大変位防止片(ロック解除阻止部)38を備えており、かつ、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では(レバー30がコネクタ嵌合操作位置に位置している状態では)、回動規制部205や過大変位防止片38は、ロック解除操作部27のロック解除位置(第2ロック部LK2のロックを解除可能な位置)への移動を許容するようになっている。
【0045】
ロック解除操作部27は、第2のコネクタハウジング20から突出した弾性アーム203と、この弾性アーム203に設けられた係止部26とを備えて構成されている。そして、ロック解除操作部27は、弾性変形してない常態位置とロック解除位置(第2ロック部LK2のロックを解除可能な位置)との間で変位可能(弾性変形可能)になっている。
【0046】
第2ロック部LKは、係止部26と、レバー30に設けられた被係止部41とで構成されている。回動規制部205は、レバー30の
被係止部41に対してロック解除操作部27を挟んで反対側に設けられている。
【0047】
ロック解除操作部27や回動規制部205等についてさらに詳しく説明する。
【0048】
ロック解除操作部27は、第2コネクタハウジング20(ハウジング本体21)から突出し、常態位置(外力が加わっておらず変形していない位置)と変形位置(人の指の押圧力で変形した位置;過大変位した位置)との間で弾性変形する突起(第2コネクタハウジング本体21と一体成形され第2コネクタハウジング本体21から長く突出している弾性アーム)203を備えて構成されている。
【0049】
第2ロック部LK2は、前述したように、ロック解除操作部27に設けられた(形成された)第2係止部26と、レバー30(レバー操作部33)に設けられた(形成された)第2被係止部41とで構成されている。
【0050】
回動規制部205やロック解除阻止部38は、レバー30(レバー30の連結部)に一体で設けられている。
【0051】
また、レバー30が第2操作位置に位置し第1ロック部LK1がロック状態になっているときに、ロック解除操作部27が人の指の押圧力で前記常態位置と前記変形位置との間の位置である中間変形位置(
図10(b)参照)まで弾性変形して弾性アーム203と回動規制部205とがお互いに係合することで(
図10(b)参照)、第1のロック部LK1のロック解除位置への移動を阻止するように構成されている。
【0052】
さらに説明すると、弾性アーム203には、貫通孔207が形成されている。回動規制部205には、貫通孔207に入り込む突部209で構成されている。
【0053】
そして、常態位置にある(弾性変形していない)ロック解除操作部27(
図10(a)参照)が、人の指で
図10(a)の矢印AR2の方向に押されて弾性変形し中間変形位置(
図10(b)参照)に達すると、突部209が貫通孔207に入り込んで、突部209が貫通孔207の縁に接触し、第1のロック部LK1が解除できないようになる(
図10(b)の矢印AR4の方向にレバー30が回動できないようになる)。
【0054】
なお、
図10(a)で示す常態位置では、レバー30を矢印AR3の方向に回動することができるので、第1のロック部LK1のロックを解除することができる。
【0055】
また、ロック解除操作部27が上述した変形位置に位置している状態では、ロック解除操作部27は、
図10(b)で示す位置よりもさらに右方向に大きく変形した位置に位置している。したがって、ロック解除操作部27が変形位置(第2のロック部LK2を解除可能な位置)まで変形するには、レバー30が
図5に示すコネクタ嵌合操作位置し、ロック解除阻止部38が、ロック解除操作部27と干渉しないようになっていることが必要である。
【0056】
なお、第1ロック部解除阻止部201において、ロック解除操作部27が中間変形位置まで弾性変形したときに、この弾性変形を保持する保持部(中間変形位置維持部)を設けてもよい。
【0057】
たとえば、
図12(a)で示すように、貫通孔207に小さい凸部211を設け、突部209に小さい凸部213を設け、ロック解除操作部27を矢印AR5の方向押して
図12(b)で示すように弾性変形させたときに、凸部211と凸部213とがお互いに係合し、ロック解除操作部27が
図10(b)のAR6の方向に容易に復元しないようにしてもよい。
【0058】
次に、電源回路遮断装置1Aに関わる電源回路系を簡単に説明する。電源部(図示せず)と負荷部(図示せず)の間には、メイン回路スイッチSW1と、信号回路スイッチSW2によってオン・オフされるリレー(図示せず)が直列接続されている。従って、メイン回路スイッチSW1と信号回路スイッチSW2が共にオン状態となって、電源回路はオン状態となる。それ以外のスイッチ状態では電源回路はオフ状態である。
【0059】
上記構成において、電源回路遮断装置1Aによる電源回路の導通動作を説明する。
図1に示すように、レバー30を第1操作位置とした第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに位置合わせする。そして、
図2及び
図3に示すように、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに挿入すると共に、レバー30のカム溝35の進入ストレート部35aにカムピン11を挿入する。双方のコネクタハウジング10,20間は、コネクタ仮嵌合状態となる。
【0060】
次に、レバー30を第1操作位置から第2操作位置側に回転する。すると、カムピン11がカム溝35内を移動し、第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに徐々に挿入される。
【0061】
レバー30をコネクタ嵌合操作位置まで回転すると、
図4及び
図5に示すように、第2被係止部41が第2係止部26を乗り越え、第2ロック部LK2がロック位置となり、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が完全嵌合状態となる。第1操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの過程で、双方のメイン端子13,23間は接触を開始し、コネクタ嵌合操作位置では接触が完了する。レバー30のコネクタ嵌合操作位置では、メイン回路スイッチSW1はオン状態となる。
【0062】
レバー30をコネクタ嵌合操作位置から第2操作位置まで回転すると、
図6〜
図8に示すように、ロック解除阻止部38が弾性変形用スペース28に入り込むと共に、第1係止部37が第1被係止部17を乗り越え、第1ロック部LK1がロック位置となる。レバー30のコネクタ嵌合操作位置から第2操作位置までの回転過程では、双方の信号端子16,40間は接触を開始し、第2操作位置では接触が完了する。レバー30の第2操作位置では、信号回路スイッチSW2は、オン状態となる。つまり、電源回路は、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では非導通であり、レバー30が第2操作位置になって初めて導通状態となる。
【0063】
次に、電源回路遮断装置1Aによる電源遮断動作を説明する。
図6〜
図8に示すように、レバー30が第2操作位置に位置する状態にあって、レバー30を第1係止部37と第1被係止部17間のロック力より強い回転力で第1操作位置側に回転する。すると、第1係止部37と第1被係止部17間のロックが外れてレバー30の回転が許容される。これにより、
図4及び
図5に示すように、レバー30をコネクタ完全嵌合操作位置まで回転する。レバー30をコネクタ完全嵌合操作位置まで回転すると、レバー30の第2被係止部41が第2係止部26に係止され、第2ロック部LK2がロック状態となる。これで、レバー30の回転が一旦阻止される。レバー30の第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの回転過程では、双方の信号端子16,40間が徐々に接触しなくなり、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では完全に非接触となる。従って、レバー30のコネクタ完全嵌合操作位置では、信号回路スイッチSW2は、オフ状態となる。電源回路は、レバー30のコネクタ嵌合操作位置で非導通となる。
【0064】
又、レバー30の第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの回転によって、レバー30のロック解除阻止部38は、第1コネクタハウジング10の弾性変形用スペース28から抜け出す。
【0065】
次に、ロック解除操作部27を弾性変形用スペース28を利用して弾性変形させ、第2ロック部LK2の第2係止部26をロック解除位置に変位させ、第2被係止部41とのロックを解除する。これで、レバー30の第1操作位置側への回転が許容され、レバー30を第1操作位置まで回転する。レバー30のコネクタ嵌合位置から第1操作位置への回転では、カム溝35とカムピン11によって、第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に離脱力が作用して第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aから徐々に引き出される。
【0066】
図2及び
図3に示すように、レバー30の第1操作位置では、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間は、仮嵌合状態となる。双方のメイン端子13,23間は、コネクタ嵌合操作位置から第1操作位置までの過程で徐々に接触しなくなり、第1操作位置では完全に非接触状態となる。従って、レバー30の第1操作位置では、メイン回路スイッチSW1はオフ状態となる。
【0067】
ここで、電源回路遮断装置1Aにおける回動規制部205等の動作について説明する。
【0068】
まず、
図8、
図10(a)、
図9で示すように、レバー30が第2操作位置に位置しロック解除操作部27が常態位置に位置しているものとする。この状態で、
図10(a)に矢印AR2の方向にロック解除操作部27を押すと、
図10(b)で示すうように、ロック解除操作部27が弾性変形してロック解除阻止部(過大変位防止片)38に当接し中間変形位置に位置する。
【0069】
ロック解除操作部27が中間変形位置に位置すると、弾性アーム203と回動規制部205とが係合し、レバー30が矢印AR4の方向に回動することができなくなり、第1のロック部LK1のロックを解除することができなくなる。
【0070】
第1のロック部LK1のロックを解除するためには、ロック解除操作部27を押すことを止めて、ロック解除操作部27を復元させて、
図10(a)で示すうようにすればよい。
【0071】
ここで、レバー30の位置とロック解除操作部27の位置との組み合わせにおける、第1にロック部LK1と第2のロック部LK2との解除の可否等について示すと、
図11のようになる。
【0072】
以上説明したように、電源回路遮断装置1Aは、第1コネクタハウジング10と、第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回転可能に設けられたレバー30と、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20にそれぞれメイン端子13、23が設けられ、レバー30の第1操作位置ではオフ状態で、且つ、レバー30のコネクタ嵌合操作位置及び第2操作位置ではオン状態とされるメイン回路スイッチSW1と、第1コネクタハウジング10とレバー30にそれぞれ信号端子16、40が設けられ、レバー30の第1操作位置及びコネクタ嵌合操作位置ではオフ状態で、且つ、レバー30の第2操作位置ではオン状態とされる信号回路スイッチSW2と、レバー30を第2操作位置でロックする第1ロックLK1と、レバー30をコネクタ嵌合操作位置でロックする第2ロック部LK2と、第2ロック部LK2のロック状態を操作によって解除できるロック解除操作部27とを備えている。
【0073】
従って、レバー30は、回転操作によって第1操作位置からコネクタ嵌合操作位置を経て第2操作位置まで移動するため、スライドさせない分だけ作業スペースが狭くて済むと共にスライド機構部が必要ない分だけ金型を含めて構造が単純化できる。又、レバー30を第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置に回転し、レバー30のコネクタ嵌合操作位置ではロック解除操作部27の操作を行って第2ロック部LK2をロック解除位置に変位させなければレバー30を第1操作位置に回転できないため、レバー30の第2操作位置から第1操作位置への操作にタイムラグ、つまり、信号回路スイッチSW2のオフからメイン回路スイッチSW1がオフになるまでにタイムラグを確保することができるため、信号回路スイッチSW2のオフ後における電源回路の残留電量に起因するスパーク等の不具合が発生しない。
【0074】
電源回路遮断装置1Aは、レバー30の第2操作位置では第2ロック部LK2のロック解除位置への移動を阻止し、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では第2ロック部LK2のロック解除位置への移動を許容するロック解除阻止部38を有する。従って、レバー30を第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置に回転した後でなければ、第2係止部26をロック解除位置に移動できないので、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では第2ロック部LK2の第2係止部26をロック解除位置に移動する作業が入り、レバー30の第2操作位置から第1操作位置への操作に確実にタイムラグ、つまり、信号回路スイッチSW2のオフからメイン回路スイッチSW1がオフになるまでに確実にタイムラグを確保することができるため、信号回路スイッチSW2のオフ後における電源回路の残留電量に起因するスパーク等の不具合が確実に発生しないようにできる。
【0075】
レバー30は、第1操作位置とコネクタ嵌合操作位置との間の回転によって前記第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力及び及び離脱力を作用させ、コネクタ嵌合操作位置と第2操作位置との間の回転によって第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力及び及び離脱力を作用させないよう構成されている。従って、レバー30の第2操作位置からコネクタ嵌合操作位置までの回転過程では、一対のメイン端子13,23間が全く移動せず、信号回路スイッチSW2がオフとなるようにカム溝35が設定されており、電源回路がオフ状態となった後のレバー30のコネクタ嵌合操作位置から第1操作位置の回転過程で初めてメイン回路スイッチSW1の一対のメイン端子13,23間が移動する。従って、メイン回路スイッチSW1と信号回路スイッチSW2が共にオン、つまり、電源回路が導通している時に、メイン回路スイッチSW1のメイン端子13,23間が移動することによる不具合を防止できる。
【0076】
第1ロック部LK1は、作業者がレバー30に作用させる回転力でロック解除が可能であり、第2ロック部LK2は、作業者の押圧力でロック解除が可能である。従って、作業者は、レバー30の第1操作位置から第2操作位置までの操作を工具・治具等を使うことなしに行うことができる。
【0077】
また、電源回路遮断装置1Aによれば、回動規制部205により、第1ロック部LK1のロックが簡単には解除できないようになっているので、誤操作によって電源回路遮断装置1Aの回路スイッチSW1,SW2がオフ状態になることを回避することができる。
【0078】
さらに、電源回路遮断装置1Aによれば、回動規制部205を設けたことで、第2ロック部LK2のロック状態をロック解除操作部27の操作によって解除しようとしたときに、第1のロック部LK1のロック解除位置への移動を阻止することができる。つまり、第1のロック部LK1のロック解除よりも先に第2のロック部LK2のロック解除をしようとする誤操作をしても、第2のロック部LK2のみならず、第1のロック部LK1の解除もすることができないので、誤操作によって、電源回路遮断装置1Aの回路スイッチSW1,SW2がオフ状態になることを一層確実に回避することができる。