(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872870
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】容器保持装置
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20160216BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/04
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-269743(P2011-269743)
(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2013-119367(P2013-119367A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠人
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0075205(US,A1)
【文献】
特開2010−089592(JP,A)
【文献】
特開2006−056504(JP,A)
【文献】
特開2009−035038(JP,A)
【文献】
特開2011−068173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を上方に取り出し自在とした有底筒状のホルダーと、該ホルダーの側面に形成されてなる開口に臨まれ且つ前記容器の周壁に圧接する方向に付勢手段により常時付勢されてなる当接部材とより少なくとも構成されてなる容器保持装置であって、
前記当接部材は、前記容器の周壁に横方向から当接可能なる抑止部と、前記ホルダーに固持されてなるケースに形成されてなる回転中心軸に軸支されて上下方向或いは前記開口からの出没方向に当接部材を案内可能なるガイド部と、前記ホルダーの収納部内に容器が収納されていない状態で前記ホルダーの側面に当接し、容器を取り出す力で前記ホルダーの側面を摺動可能且つ容器を挿入する力で前記付勢手段に抗して前記ホルダーの側面から離脱可能なる下部摺動部とより構成されてなり、
容器を取り出す力で前記ガイド部が前記回転中心軸に対してスライドして前記当接部材が没することを特徴とする容器保持装置。
【請求項2】
請求項1記載の容器保持装置であって、
前記抑止部は、前記容器の周壁を少ない面積で保持可能なるよう略山状に形成されてなり、該抑止部の上部案内面及び下部案内面は、共になだらかに落ち込む裾野状に形成してなることを特徴とする容器保持装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の容器保持装置であって、
前記ガイド部は、前記ホルダーの収納部内に容器が収納されていない状態及び収納され終わった状態で共に斜め方向にあり、前記ホルダーの収納部から容器が抜ける寸前には容器の周方向にあるように、途中で曲折してなることを特徴とする容器保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機、船舶、車両などの乗り物或いは屋内で使用される家具などに取り付けられて、缶、コップ、ペットボトル等の容器を倒れないように保持する容器保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の容器保持装置としては、例えば、当接部材を容器の周囲(周壁とも言う)に当接して、該容器の径方向(横方向とも言う)の動きを拘束するものであって、前から後に行くに従って次第に下方へそれぞれ延び且つ異形状の第1ガイド溝及び第2ガイド溝を側面に形成しているケースと、第1軸部及び第2軸部を有し、第1軸部を第1ガイド溝に嵌合し、第2軸部を第2ガイド溝に遊嵌した状態でケースに対し摺動可能且つ下から上向きの負荷を受けた時にケースからの突出量を減じる方向へ回転可能に組み付けられている当接部材と、該当接部材をケースより突出する方向へ付勢し且つ回転された当接部材を初期状態に復帰する方向へ付勢する付勢部材とを備えている(先行技術文献1)ものが、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−001428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来技術は、容器を容器保持装置に支持させる際、挿入する容器によって当接部材は容器に押され、前側から後ろ側に行くに従い、次第に下方へ平行移動していくことになるので、容器の外形によっては、容器を保持する位置が下がってしまい、容器収納時の保持性を維持することができない恐れがある。これは、換言すると、容器がかかる容器保持装置の動きにより転倒する恐れがある、ということである。また、容器保持装置に支持した状態の容器を取り出す際に、当接部材が容器の取り出し方向に回転する設定になっているので、回転するに従い、当接部材の下端が前に突き出て、容器に引っかかる恐れがあり、場合によっては容器保持装置から容器が抜けなくなる恐れがある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、容器の確実なる支持、つまり、容器の転倒防止と、容器に保持手段の部材が引っかかる恐れのない容器保持装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の容器保持装置は、容器を上方に取り出し自在とした有底筒状のホルダーと、該ホルダーの側面に形成されてなる開口に臨まれ且つ前記容器の周壁に圧接する方向に
付勢手段により常時付勢されてなる当接部材とより少なくとも構成されてなる容器保持装置であって、前記当接部材は、前記容器の周壁に横方向から当接可能なる抑止部と、前記ホルダーに固持されてなるケースに形成されてなる回転中心軸に軸支されて上下方向或いは前記開口からの出没方向に当接部材を案内可能なるガイド部と、
前記ホルダーの収納部内に容器が収納されていない状態で前記ホルダーの側面に当接し、容器を取り出す力で前記ホルダーの側面を摺動可能且つ容器を挿入する力で前記付勢手段に抗して前記ホルダーの側面から離脱可能なる下部摺動部とより構成されてな
り、容器を取り出す力で前記ガイド部が前記回転中心軸に対してスライドして前記当接部材が没することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の容器保持装置は、請求項1記載の前記抑止部は、前記容器の周壁を少ない面積で保持可能なるよう略山状に形成されてなり、該抑止部の上部案内面及び下部案内面は、共になだらかに落ち込む裾野状に形成してなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3記載の容器保持装置は、請求項1又は請求項2記載の前記ガイド部は、前記ホルダーの収納部内に容器が収納されていない状態及び収納され終わった状態で共に斜め方向にあり、前記ホルダーの収納部から容器が抜ける寸前には容器の周方向にあるように、途中で曲折してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、容器を上方に取り出し自在とした有底筒状のホルダーと、該ホルダーの側面に形成されてなる開口に臨まれ且つ前記容器の周壁に圧接する方向に常時付勢されてなる当接部材とより少なくとも構成されてなる容器保持装置であって、前記当接部材は、前記容器の周壁に横方向から当接可能なる抑止部と、前記ホルダーに固持されてなるケースに形成されてなる回転中心軸に軸支されて上下方向或いは前記開口からの出没方向に当接部材を案内可能なるガイド部と、前記付勢手段により付勢されても前記ホルダーの側面によって保持され且つ容器を挿入する力で前記付勢手段に抗して前記ホルダーの側面から離脱可能なる下部摺動部とより構成されてなるため、容器をホルダー内に押し込むと、ホルダー内の容器は、当接部材によって確実に容器の周方向から周壁を押圧して、容器の確実なる支持、つまり、容器の転倒が確実に防止される。また、容器をホルダーから取り出そうとすると、当接部材に容器が引っかかる恐れがなく、スムーズな出し入れが可能となる、などの効果を奏する。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、前記抑止部は、前記容器の周壁を少ない面積で保持可能なるよう略山状に形成されてなり、該抑止部の上部案内面及び下部案内面は、共になだらかに落ち込む裾野状に形成してなるため、前記当接部材の抑止部から上部案内面或いは下部案内面にスムーズに移動することができる、という効果を奏する。
【0011】
また、請求項3記載の発明によれば、前記ガイド部は、前記ホルダーの収納部内に容器が収納されていない状態及び収納され終わった状態で共に斜め方向にあり、前記ホルダーの収納部から容器が抜ける寸前には容器の周方向にあるように、途中で曲折してなるため、前記ガイド部に軸支されてなる回転中心軸がスムーズに移動してなることで、当接部材はホルダーの側面から簡易に出没できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係る容器保持装置の斜視図。
【
図5】
図4の容器でもって当接部材が下側にずれた状態を示す
図2相当断面図。
【
図6】
図5の容器がホルダー内に完全に収納した状態を示す
図2相当断面図。
【
図7】
図6に示す状態の容器を持ち上げたことで、当接部材が上側にずれた状態を示す
図2相当断面図。
【
図8】
図6の容器がホルダーから抜ける寸前の状態の
図2相当断面図。
【
図9】
図8から容器がホルダーから完全に抜けた状態を示す
図2相当断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、容器の確実なる支持、つまり、容器の転倒防止と、容器に保持手段の部材が引っかかる恐れのない容器保持装置を提供するという目的を、容器を上方に取り出し自在とした有底筒状のホルダーと、該ホルダーの側面に形成されてなる開口に臨まれ且つ前記容器の周壁に圧接する方向に常時付勢されてなる当接部材とより少なくとも構成されてなる容器保持装置であって、前記当接部材は、前記容器の周壁に横方向から当接可能なる抑止部と、前記ホルダーに固持されてなるケースに形成されてなる回転中心軸に軸支されて上下方向或いは前記開口からの出没方向に当接部材を案内可能なるガイド部と、前記付勢手段により付勢されても前記ホルダーの側面によって保持され且つ容器を挿入する力で前記付勢手段に抗して前記ホルダーの側面から離脱可能なる下部摺動部とより構成されてなることで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る構造を、
図1〜
図9を用いて説明する。乗り物の一例として自動車のインストルメントパネル或いはセンターコンソールボックスに配されてなる乗り物用容器保持装置1は、円筒状のジュースなどの容器6を上方(図面上上側)に取り出し自在とした有底筒状のホルダー2と、該ホルダー2の側面2aに形成されてなる開口2cに臨まれ且つ前記容器6の周壁6aに圧接する方向にコイル状スプリングなどの付勢手段5により常時付勢されてなる当接部材4とより少なくとも構成されてなる。ここで、「少なくとも」としたのは、ホルダー2の収納部2dに蓋を設けるとか、他の例でも良いからである。
【0015】
前記当接部材4は、
図2に示すように、ひらがなのくの字状をなし、
図3に示すように、後述する抑止部4aを中心に前記ホルダー2側に所定の面積の辺が形成されてなり、前記ホルダー2から離れる方向はフランジ状に形成されてなる。前記当接部材4は、前記容器6の周壁6aに横方向から当接可能なるよう山の頂上のような所定の面積を有する形態で形成された抑止部4aと、前記ホルダー2の上下に形成されてなる第1係合部3c及び第2係合部3dに係合支持されてなる第1突起2e及び第2突起2fにより固持されてなるケース3に形成されてなる「回転中心軸」である第1ピン3eに軸支されて上下方向或いは前記開口2cからの出没方向に当接部材4を案内可能なるガイド部4dと、前記付勢手段5により付勢されても前記ホルダー2の側面2aによって保持され且つ容器6を挿入する力で前記付勢手段5に抗して前記ホルダー2の側面2aから離脱可能なる下部摺動部4fとより構成されてなる。符号4bは、前記抑止部4aの上側の辺より斜め状に持ち上がる上部案内面であり、符号4cは、前記抑止部4aの下側の辺より斜め状に下がる下部案内面である。符号4eは、前記当接部材4のフランジ4g、4g間を架橋した第2ピンである。前記ガイド部4dは、前記当接部材4のフランジ4g、4gに左右対称に形成された長孔である。
【0016】
前記ガイド部4dは、前記ホルダー2の収納部2d内に容器6が収納されていない状態及び収納され終わった状態で、
図4、
図6に示すように、共に斜め方向にあり、前記ホルダー2の収納部2dから容器6が、
図7に示すように、抜ける寸前には、容器6の周方向、即ち横方向にあるように、途中で曲折してなる。
【0017】
符号2bは、前記ホルダ−2の収納部2dの上端に形成されてなるフランジであり、収納部2dの上端から外側に水平状に形成され、そこから斜め上に開いている。符号2gは、ホルダー2の底面である。符号2hは、前記ホルダ−2に形成されてなる係合部である。
【0018】
前記ケース3は、第1開口3a及び第2開口3bにより、カタカナのロの形をしたダクトに形成されてなる。符号3fは、第1開口3a側の上下中央に架橋されてなる第2ピンである。符号3g、3gは、前記ケース3の両サイドに形成されてなる係合爪であり、前記係合部2hに係合支持されてなる。
【0019】
従って、本実施例1によれば、
図9の状態、即ち、ホルダー2の収納部2dに容器6が無い状態から、
図4に示すように、容器6をホルダー2内、即ち、ホルダー2の収納部2dに押し込むと、ホルダー2内の容器6は、当接部材4の上部案内面4bに荷重F
1’が加わり、反力F
2が発生するが、モーメントが加わり、回転中心軸3eを中心に
図5の矢印で示すように、時計方向に回転して容器6はホルダー2内に入り込む。このとき、第2ピン4eも付勢手段5に抗して時計方向に移動するので、付勢手段5の付勢力によって確実に容器6の周方向から周壁6aを押圧して、容器6の確実なる支持、つまり、容器6の転倒が確実に防止された状態で、
図6に示すように、保持される。一旦、
図5に示すように、ホルダー2の側面2aから離れた下部摺動部4fは、
図6に示すように、ホルダー2の側面2aに当接する。
【0020】
また、
図6に示す状態の容器6をホルダー2から取り出そうと持ち上げると、
図7に示すように、当接部材4の下部案内面4cに当たるが、斜面状なので、容器6が当接部材4に引っかかる恐れがなく、下部案内面4cに加わった荷重により、
図7から
図8に示すように、回転中心軸3eに対してガイド部4eがスライドし、ホルダー2の収納部2dから当接部材4が没する。こうして、容器6がホルダー2からスムーズな出し入れが可能となる、などの効果を奏する。
【0021】
また、前記抑止部4aは、前記容器6の周壁6aを少ない面積で保持可能なるよう略山状に形成されてなり、該抑止部4aの上部案内面4b及び下部案内面4cは、共に山の頂上からなだらかに落ち込む裾野状に形成してなるため、前記当接部材4の抑止部4aから上部案内面4b或いは下部案内面4cにスムーズに移動することができる、という効果を奏する。
【0022】
また、前記ガイド部4dは、前記ホルダー2の収納部2d内に容器6が収納されていない状態及び収納され終わった状態で共に斜め方向にあり、前記ホルダー2の収納部2dから容器6が抜ける寸前には容器6の周方向にあるように、途中で曲折してなるため、前記ガイド部4dに軸支されてなる回転中心軸3eがスムーズに移動してなることで、当接部材4はホルダー2の側面2aから簡易に出没できる、という効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
前記実施例1では、自動車のインストルメントパネル或いはセンターコンソールボックスに配されてなることを例にして説明したが、これに限定せず、飛行機や船舶、車両などの乗り物、或いは日用品や家具等でも良い。
【符号の説明】
【0024】
1 乗り物用容器保持装置(容器保持装置)
2 ホルダー
2a ホルダーの側面
2c ホルダーの開口
2d ホルダーの収納部
3 ケース
3e ケースの回転中心軸
4 当接部材
4a 当接部材の抑止部
4b 当接部材の上部案内面
4c 当接部材の下部案内面
4d 当接部材のガイド部
4f 当接部材の下部摺動部
5 付勢手段
6 容器
6a 容器の周壁