【実施例】
【0014】
本実施例のパルプ回収設備は、
図1〜5に示すように、使用済み紙おむつを裁断して塩化カルシウム(分離剤)及び水と混合する反応工程10と、反応工程10で混合された液状の混合物を不溶のビニール及び不織布とそれ以外の原液に分離するビニール除去工程20と、ビニール除去工程20で分離された原液を水及びパルプが混在するパルプ溶解液と吸水ポリマーに分離するポリマー除去工程30と、ポリマー除去工程30で分離されたパルプ溶解液から異物を除去して洗浄する異物除去・洗浄工程40と、異物除去・洗浄工程40で洗浄されたパルプ溶解液をパルプシートに成形する成形工程50で構成されている。
【0015】
反応工程10は、
図1に示すように、トラックで運搬された使用済み紙おむつを1バッチ分計量する計量コンベヤ11と、計量コンベヤ11で計量された使用済み紙おむつを裁断するシュレッダー12と、シュレッダー12で裁断された使用済み紙おむつに塩化カルシウムと水を加えて混合する反応槽13と、反応槽13に塩化カルシウムを供給する塩化カルシウム槽14を設備している。
【0016】
反応槽13は、
図6に示すように、底面が前方へ下向きに傾斜した形状で、背面には水と塩化カルシウムの供給管(図示は省略)を接続し、底部にモーター駆動のスクリュー状の攪拌機13aを前後方向に軸支している。正面の下部には投入シュート13bを下方へ配管し、その投入シュート13bの途中位置に流路を開閉する開閉弁13cを設けている。
【0017】
ビニール除去工程20は、
図1に示すように、反応槽13で混合された液状の混合物を回転ドラムで攪拌してビニール及び不織布を回転ドラム内に残留させるとともにそれ以外の原液を回転ドラム外に沈殿させる溶解分離機21と、溶解分離機21の回転ドラム内に残留しているビニール及び不織布を吸引力で回収して乾燥する乾燥機22と、乾燥機22から排出された乾燥済みのビニール及び不織布を圧縮して梱包する圧縮梱包機23を設備している。
【0018】
溶解分離機21は、
図6に示すように、密閉可能な円筒状の外槽21aの底部に排出弁付きの沈殿室21bを凹設し、原液は通過できるがビニール及び不織布は通過できない径の排水孔が周面に形成され且つ正面側が開放されたモーター駆動の回転ドラム21cを外槽21a内に横向きに軸支している。外槽21aの正面には反応槽13の投入シュート13bを接続して回転ドラム21cの開放面まで配管し、外槽21aの正面にビニール回収ダクト21dを接続して回転ドラム21cの開放面まで配管している。回転ドラム21cは、約20rpmの回転数で正転逆転を繰り返す。
【0019】
乾燥機22は、
図6に示すように、シリンダー(図示は省略)で前方へ傾動する密閉可能な扉付きの箱体22a内にビニールが通過できない径の通気孔が周面に形成され且つ正面側が開放されたモーター駆動の乾燥ドラム22bを横向きに軸支し、溶解分離機21のビニール回収ダクト21dを箱体22aの正面に接続して乾燥ドラム22bの開放面まで配管している。箱体22aの上部には開閉ダンパー(図示は省略)付きの乾燥用ヒーター22cを取り付け、箱体22aの背部に排気向きに作動して箱体22a内を負圧にするブロワー22dを取り付けている。
【0020】
ポリマー除去工程30は、
図2に示すように、溶解分離機21で沈殿した原液に含まれるパルプ及び吸水ポリマーを所定濃度に調整する濃度調整槽31と、濃度調整槽31で所定濃度に調整された原液をパルプ溶解液と吸水ポリマーに遠心分離する一次ポリマー除去装置32と、一次ポリマー除去装置32で分離された吸水ポリマーを濾過するスクリーン33と、スクリーン33で濾過された吸水ポリマーに水と次亜塩素酸ソーダを混合するポリマー中継槽34と、一次ポリマー除去装置32で分離されたパルプ溶解液を濾過するスクリーン35と、ポリマー中継槽34内の吸水ポリマーをさらに遠心分離する二次ポリマー除去装置36と、二次ポリマー除去装置36で分離されたパルプ溶解液及びスクリーン35で濾過されたパルプに水を混合して貯溜するパルプ中継槽37を設備している。
【0021】
一次ポリマー除去装置32は、
図7,8に示すように、円錐体32aの上部側面に流入口32bを開口し、円錐体32aの下端に下部排出口32cを開口し、円錐体32aの上面中心部に上部排出口32dを開口してエルボ管32eを流入口32bより下方の位置まで貫通させて取り付けている。この一次ポリマー除去装置32を15体列設し、各流入口32bを分配管32fに並列に接続し、各下部排出口32cを排出管32gに並列に接続し、各エルボ管32eを集合管32hに並列に接続している。二次ポリマー除去装置36は一次ポリマー除去装置32と同じ構造である。
【0022】
異物除去・洗浄工程40は、
図3に示すように、パルプ中継槽37内のパルプ溶解液に水を混合して大き目の異物を除去する分離スクリーン41と、分離スクリーン41で大き目の異物が除去されたパルプ溶解液を0.15〜0.20mm幅の縦スリットを備えた円筒状のスクリーンに通過させて微細な異物を除去する第1ドラムスクリーン42(異物除去装置)と、分離スクリーン41から排出された異物を含む水に次亜塩素酸ソーダと水を混合するポリマー洗浄槽43と、第1ドラムスクリーン42で異物が除去されたパルプ溶解液に水を混合して洗浄するパルプ洗浄槽44と、パルプ洗浄槽44で洗浄されたパルプ溶解液を送り出すまで貯溜するパルプ中継槽45と、パルプ中継槽45内のパルプ溶解液に水を混合して微細な異物をさらに除去する第2ドラムスクリーン46(異物除去装置)と、第2ドラムスクリーン46で異物が除去されたパルプ溶解液を脱水する脱水機47と、第2ドラムスクリーン46から排出された異物を含む水を貯溜してパルプ洗浄槽44に供給する循環水槽48を設備している。第2ドラムスクリーン46は第1ドラムスクリーン42と同じ構造である。
【0023】
成形工程50は、脱水機47で脱水されたパルプ溶解液を計量して1バッチ分を作液する作液槽51と、作液槽51で作液された1バッチ分のパルプ溶解液を送り出すまで貯溜する貯溜槽52と、貯溜槽52内のパルプ溶解液を加圧して矩形状のパルプシートAに成形した後に熱圧乾燥する成形乾燥機53と、成形乾燥機53で成形されたパルプシートAを空冷する風乾コンベヤ54と、風乾コンベヤ54で空冷されたパルプシートAを積層して結束する自動結束機55と、成形乾燥機53から排出された水を貯溜して作液槽51に返送する循環槽56を設備している。
【0024】
成形乾燥機53は、
図9に示すように、搬送先側の側壁が幅70cmほどに開放されたオーバーフロー槽53aの上方位置に攪拌機53bを取り付け、そのオーバーフロー槽53aの先方位置にメッシュコンベヤ53cを設置し、そのメッシュコンベヤ53cの始端位置に成形ローラー53dを軸支している。成形ローラー53dの先方位置には押え板53eを上下動可能に設け、その押え板53eの先方位置に2組の脱水ローラー53fを軸支し、メッシュコンベヤ53cの下方位置に漏水受53gを取り付けている。脱水ローラー53fの先方位置には非駆動の第1ローラーコンベヤ53hを下向きに傾斜させて設置し、その第1ローラーコンベヤ53hの先方位置にプレス機53iを下向きに傾斜させて設置し、そのプレス機53iの先方位置に非駆動の第2ローラーコンベヤ53jを下向きに傾斜させて設置している。プレス機53iは約250℃に加熱される。押え板53eは、メッシュコンベヤ53cのコンベヤ面が約80cm進む毎にコンベヤ面と接する位置まで降下し、その後直ぐに上昇するように動作する。
【0025】
その他、
図4に示すように、第1ドラムスクリーン42から排出された異物を含む水を貯溜して溶解分離機21とポリマー中継槽34に供給する循環水槽61と、ポリマー中継槽34とポリマー洗浄槽43に次亜塩素酸ソーダを供給する次亜塩素酸ソーダ貯槽62と、塩化カルシウム槽14と第1ドラムスクリーン42とパルプ洗浄槽44と第2ドラムスクリーン46に工業用水を供給する工業用水槽63と、反応槽13とスクリーン33,35とパルプ中継槽37と分離スクリーン41に再利用水を供給する再利用水槽64を設備している。
【0026】
以下、本実施例のパルプ回収設備で使用済み紙おむつからパルプを回収してパルプシートを製造する工程を
図10に基づいて説明する。
【0027】
<反応工程>
まず、トラックで運搬した使用済み紙おむつを計量コンベヤ11で1バッチ分を計量し、シュレッダー12で裁断して反応槽13に移送する。反応槽13では開閉弁13cを予め閉鎖しておく。裁断された使用済み紙おむつに所定量の水と塩化カルシウムを加え、攪拌機13aを約6分間作動させて混合する。この工程で使用済み紙おむつが液状となり、これに含まれる吸水ポリマーが塩化カルシウムとの反応で吸収していた水を放出して膨潤が抑制される。反応が完了すると、攪拌機13aを停止させて開閉弁13cを開放し、反応槽13内の混合物を投入シュート13bで溶解分離機21へ移送する。
【0028】
<ビニール除去工程>
次に、溶解分離機21で回転ドラム21cを約20rpmの回転数で正転逆転させて混合物を攪拌する。この工程で混合物が溶解して不溶のビニール及び不織布とそれ以外の原液に分離する。原液は回転ドラム21cの排水孔を通過して沈降し、ビニール及び不織布が回転ドラム21c内に残留する。その後、回転ドラム21cを停止させて沈殿室21bの排出弁を開放すると原液が排出され、回転ドラム21c内にはビニール及び不織布のみが残留する。
【0029】
乾燥機22では、乾燥用ヒーター22cの開閉ダンパーと反応槽13の開閉弁13cを閉鎖してブロワー22dと溶解分離機21の回転ドラム21cを作動させると、その吸引力で溶解分離機21の外槽21aとビニール回収ダクト21dとビニール乾燥機22の箱体22aの内部が負圧になり、回転ドラム21cの内面に付着しているビニール及び不織布が回転で舞い上がってビニール回収ダクト21dに吸い込まれ、乾燥ドラム22b内へ回収される。全量が回収されると、溶解分離機21の回転ドラム21cを停止させ、乾燥用ヒーター22cの開閉ダンパーを開放して乾燥ドラム22bと乾燥用ヒーター22cを作動させる。外気が乾燥用ヒーター22cで加熱されて箱体22a内へ導入され、ビニール及び不織布が乾燥ドラム22bの回転で解れて分散し、乾燥ドラム22bの通気孔を通過した熱風で乾燥される。乾燥が完了すると、乾燥ドラム22bと乾燥用ヒーター22cとブロワー22dを停止させて箱体22aを傾け、扉を開放して排出して圧縮梱包機23で圧縮梱包する。
【0030】
<ポリマー除去工程>
次に、溶解分離機21から排出された原液に含まれるパルプ及び吸水ポリマーを濃度調整槽31で固形分1.5重量%以下の濃度に調整し、一次ポリマー除去装置32に圧送する。一次ポリマー除去装置32では、水の抵抗が比較的小さい粒状の吸水ポリマーが渦流の遠心力で円錐体32aの内面に沿って旋回しながら降下して下部排出口32cから排出され、繊維長が4mm程で水の抵抗が大きいパルプが水とともに下部付近で反転上昇して上部排出口32dから排出する。一次ポリマー除去装置32から排出された吸水ポリマーはスクリーン33で濾過してポリマー中継槽34に移送し、次亜塩素酸ソーダを混合して殺菌する。一次ポリマー除去装置32で分離されたパルプ溶解液はスクリーン35で濾過してパルプ中継槽37に移送する。ポリマー中継槽34内の吸水ポリマーは二次ポリマー除去装置36に圧送し、残留しているパルプをさらに分離してパルプ中継槽37に移送する。二次ポリマー除去装置36から排出された吸水ポリマーはポリマー洗浄槽43に移送する。
【0031】
<異物除去・洗浄工程>
次に、パルプ中継槽37内のパルプ溶解液を分離スクリーン41で大き目の異物を除去し、第1ドラムスクリーン42に移送する。分離スクリーン41から排出された排水はポリマー洗浄槽43に回収する。第1ドラムスクリーン42では、繊維長が4mm程のパルプが多数の縦スリットを通過する一方、微細なビニール及び不織布は通過できずに除去され、パルプ溶解液のみがパルプ洗浄槽44に移送される。除去された微細なビニール及び不織布は循環水槽61に回収する。ポリマー洗浄槽43内の吸水ポリマーには次亜塩素酸ソーダと水を混合して殺菌洗浄し、脱水して乾燥処理する。パルプ洗浄槽44内のパルプ溶解液には水を加えて攪拌して洗浄し、パルプ中継槽45を介して第2ドラムスクリーン46に移送する。第2ドラムスクリーン46では、残留している微細なビニール及び不織布がさらに除去され、パルプ溶解液のみを脱水機47で脱水する。除去されたビニール及び不織布は循環水槽48に回収し、脱水機47で脱水されたパルプは作液槽51に移送する。
【0032】
<成形工程>
次に、作液槽51内のパルプ溶解液を1バッチ分計量して貯溜槽52に移し替え、成形乾燥機53に移送する。成形乾燥機53では、オーバーフロー槽53a内のパルプ溶解液が攪拌機53bで攪拌されて幅方向に渡って均等にオーバーフローし、メッシュコンベヤ53cで搬送中に成形ローラー53dで加圧されて連続するシート状に成形される。そのパルプシートAが押え板53eを約80cm通過すると、押え板53eが降下してパルプシートAを押さえつけ、メッシュコンベヤ53cの動きで約70cm×80cmの矩形状に分離される。分離した一枚物のパルプシートAは2組の脱水ローラー53fで段階的に強く加圧されて水分が絞り出され、その水はメッシュコンベヤ53cを通過して漏水受53gに落下する。漏水受53gの水は循環槽56で一時的に貯溜して作液槽51へ返送される。
【0033】
脱水された一枚物のパルプシートAが第1ローラーコンベヤ53hに搬送されると、その傾斜でプレス機53iに移行する。プレス機53iで熱板を降下させると、厚さ2〜3mmに熱圧成形されるとともに残留している水分が急速に蒸発して短時間で乾燥する。その後、熱板を上昇させると、乾燥されたパルプシートAが第2ローラーコンベヤ53jに移行し、風乾コンベヤ54へ搬送される。高温のパルプシートAは風乾コンベヤ54で空冷し、自動結束機55で複数枚結束する。
【0034】
以上の工程を連続的に行うことで、多量の使用済み紙おむつから高純度のパルプが連続的に回収され、紙おむつや紙製品に再利用可能な形態となる。