特許第5872902号(P5872902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872902
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】新規な流加培養法
(51)【国際特許分類】
   C12P 21/08 20060101AFI20160216BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20160216BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20160216BHJP
   C12N 5/16 20060101ALN20160216BHJP
【FI】
   C12P21/08
   C12M1/00 C
   !C12P21/02 C
   !C12N5/16
【請求項の数】16
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-551921(P2011-551921)
(86)(22)【出願日】2011年1月28日
(86)【国際出願番号】JP2011051705
(87)【国際公開番号】WO2011093426
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】特願2010-19334(P2010-19334)
(32)【優先日】2010年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 朋也
(72)【発明者】
【氏名】田淵 久大
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−011792(JP,A)
【文献】 特開2010−081809(JP,A)
【文献】 Bioetchnol. Bioeng.,2003年,vol.84, no.4,pp.433-438
【文献】 Bioetchnol. Bioeng.,2003年,vol.82, no.3,pp.289-298
【文献】 Bioetchnol. Bioeng.,2004年,vol.85, no.2,pp.177-184
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 21/00−21/08
C12M 1/00−3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の抗体を発現し得る動物細胞を、流加培養法を用いて培養し、発現した抗体を細胞培養液から採取することにより当該抗体を製造する方法であって、該方法が工場生産レベルの培養槽で行われる製造方法であり、当該培養槽は流加培地槽が本培養槽に連結されており、流加培地を追加調製せず、培養開始時に調製された流加培地のみを流加培養槽中で保存して用い、当該流加培養は7日間以上行われ、当該流加培地が哺乳動物由来成分不含培地または完全合成培地であって、本培養槽に流加する前の流加培地を流加培地槽において低温に保存することを特徴とする方法。
【請求項2】
低温が0度から20度の範囲内である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
低温が2度から15度の範囲内である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
低温が4度から10度の範囲内である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
初発培地の液量が100L以上のスケールであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
動物細胞が哺乳類動物細胞である請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
哺乳類動物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である請求項に記載の方法。
【請求項8】
細胞が所望の抗体をコードするDNAを導入した細胞である請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
抗体のクラスがIgGまたはIgMである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗体が医薬の有効成分である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
宿主動物細胞を流加法により培養して組換え抗体を製造する際に、抗体の物性を改善する方法であって、製造が工場生産レベルの培養槽で行われる製造であり、当該培養槽は流加培地槽が本培養槽に連結されており、流加培地を追加調製せず、培養開始時に調製された流加培地のみを流加培養槽中で保存して用い、当該流加培養は7日間以上行われ、当該流加培地が哺乳動物由来成分不含培地または完全合成培地であって、本培養槽に流加する前の流加培地を流加培地槽において低温で保存することを特徴とする方法。
【請求項12】
流加培地槽を低温に制御する冷却手段を具備することを特徴とする、請求項1に記載の方法を実施するための装置。
【請求項13】
冷却手段が、冷却水を通水する冷却手段、電気による冷却手段、冷蔵庫に保管する手段、低温室に保管する手段、冷却材を使用する手段、吸熱材を使用する手段、保冷材を使用する手段、吸熱反応を利用した手段、冷風をあてる手段、ドライアイスを使用する手段、氷水につける手段のいずれかの手段である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
さらに、流加培地中のアンモニアの生成が抑制されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
さらに、流加培地中のグルタミンの分解が抑制されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
所望の抗体を発現し得る動物細胞を、流加培養法を用いて培養して当該抗体を製造する際に生じるハイマンノース型抗体の生成を抑制する方法であって、該方法が工場生産レベルの培養槽で行われる方法であり、当該培養槽は流加培地槽が本培養槽に連結されており、流加培地を追加調製せず、培養開始時に調製された流加培地のみを流加培養槽中で保存して用い、当該流加培養は7日間以上行われ、当該流加培地が哺乳動物由来成分不含培地または完全合成培地であって、本培養槽に流加する前の流加培地を流加培地槽において低温に保存することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流加培養法の改良に関し、より詳細には、細胞の流加培養法とそれを利用して細胞にタンパク質を生産させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞にタンパク質を生産させるための細胞培養として、かつては回分培養(batch culture)が主流であった。一般に、回分培養では培養槽から細胞培養液を一部回収し、回収した量の初発培地を培養槽に足し直すことで、数回の培養が継続される。しかし、回分培養では細胞増殖によって初発培地の栄養分が枯渇すること、細胞培養液を一部回収することで細胞数が減少してしまうこと、等の問題点があった。
【0003】
その後、流加培養法(fed-batch culture)が開発された。流加培養法は初発培地を培養槽に入れ、細胞培養を開始した後に、流加培地を培養槽に徐々に注ぎ足していく培養方法である。以後、流加培養を開始した培養槽を本培養槽と言う。一般的に流加培地は、本培養槽の細胞培養液と比較すると一日に投入される量は少ない。また、一般的に流加培地は初発培地と比較すると、培地成分全体として濃度が高い。流加培養法は、細胞増殖によって減少した初発培地の栄養分を、流加培地によって徐々に補うことができるために、一般的に回分培養と比較して細胞増殖が良く、長期の培養でも生存率の低下が抑えられるという特徴がある(非特許文献1)。このような理由から、一般的に、流加培養法で得られる細胞培養液のタンパク質濃度は、回分培養と比較して高いものである。
【0004】
上記のように、流加培養法は優れた技術であるため、現在、タンパク質の実製造において広く使用されている。
【0005】
医薬や試薬等に使用するタンパク質の製造を実生産レベルで行う場合は、タンパク質を産生するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、例えば1000Lといったラージスケールの培養槽で培養されることが一般的である。
【0006】
該製造において、細胞培養液の汚染(contamination)を防ぐために、培地は調製するたびに滅菌されることが一般的である。また、該製造に使用する培養槽およびこれに付随する配管等の設備は全て滅菌され、系として無菌環境を保っている。一度 無菌環境とした後に、別途 新たに培地を調製して該製造に使用する場合は、該培地だけではなく配管等も新たに滅菌する必要がある。よって、流加培地を複数回調製し、流加培養の途中で流加培地を変更することは、工場生産レベルのタンパク質の実製造においては非常に困難である。
【0007】
従って、流加培養は2週間といった長期に渡って行われるが、その間、流加培地は本培養槽に連結された流加培地槽に室温のまま保存されることが一般的であった。
【0008】
一般的に培地(初発培地、流加培地を含む)は、アミノ酸やミネラル等の非常に多くの成分を含んでいる。アミノ酸の中には、温度の影響を受けやすく、長期安定性に欠けるものが存在することが知られている。しかし、通常、培地には含有成分の分解を抑制するために緩衝剤、界面活性剤等が添加されており、さらには注ぎ込まれる流加培地の量は初発培地の量と比べると少量に過ぎないため、長期に渡る流加培養においても流加培地中の成分の安定性が最終生成物の収量や物性に影響を与えるとは考えられていなかった。
【0009】
抗体タンパク質をCHO細胞に産生させることが、広く一般的に行われている。抗体は動物細胞で産生すると糖鎖修飾されるが、糖鎖修飾が未成熟だとハイマンノース型(high mannose type)の糖鎖の割合が増えることが知られている(非特許文献2,非特許文献3)。ハイマンノース型の糖鎖を有する抗体はヒトにおいて抗原性が問題となる可能性があり(非特許文献2,非特許文献3)、さらには動態に影響を与える可能性が示唆されている(非特許文献4)。このような未成熟な糖鎖修飾を有する抗体は副成分であることが多い。また、目的とする抗体とは異なる電荷の抗体が多く生成された場合に生物活性の低下が問題となる可能性があり、さらには動態に影響を与える可能性がある。このような異なる電荷の抗体は副成分であることが多い。
【0010】
医薬や試薬等に使用するタンパク質の製造の場合、細胞培養液中の副成分の含量が問題となる。特に、副成分と主成分の構造が類似している時は、副成分を除去することが難しくなり、精製工程を複雑にするという課題がある。また、副成分の含量が増えると、目的の主成分も含量が減少するという課題がある。よって、細胞培養液中の副成分の含量は、なるべく少なくすることが望ましい。
【0011】
今まで、流加培地の保存条件が、このような未成熟な糖鎖修飾の抗体や異なる電荷の抗体にどのような影響を与えるかについては一切不明だった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Journal of Biotechnology (2002), 94, 73-92
【非特許文献2】The Journal of Biological Chemistry (1998), 273, 26298-26304
【非特許文献3】Biochem. J. (2002), 363, 137-145
【非特許文献4】Glycobiology (2000), 10, 1347-1355
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、細胞の増殖率が向上する、或いは所望のタンパク質の産生量が向上する、改良された流加培養法を提供することを目的とする。また、本発明は、抗体などの所望のタンパク質の物性を改善する新規な流加培養法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、流加培地を貯蔵しておく流加培地槽を低温で制御することで、低温保存された流加培地を用いて流加培養を行うことにより、当該流加培地の劣化を防ぎ、細胞に所望のタンパク質を高い収量で産生させることができる(高産生)ことを見出した。さらに、同培養法で抗体等のタンパク質を産生した結果、副成分である未成熟な糖鎖のタンパク質や主成分とは異なる電荷のタンパク質が減少することで、物性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)所望のポリペプチドを発現し得る細胞を、流加培養法を用いて培養し、発現したポリペプチドを細胞培養液から採取することにより当該ポリペプチドを製造する方法であって、本培養槽に流加する前の流加培地を流加培地槽において低温に保存することを特徴とする方法。
(2)低温が0度から20度の範囲内である(1)に記載の方法。
(3)低温が2度から15度の範囲内である(1)に記載の方法。
(4)低温が4度から10度の範囲内である(1)に記載の方法。
(5)工場生産レベルの培養槽で行われる製造方法である(1)から(4)に記載の方法。
(6)初発培地の液量が100L以上のスケールであることを特徴とする(5)に記載の方法。
(7)流加培地槽が本培養槽に連結されていることを特徴とする(1)から(6)に記載の方法。
(8)流加培地を追加調製せず、培養開始時に調製された流加培地のみを流加培養槽中で保存して用いる(7)に記載の方法。
(9)細胞が動物細胞である(1)から(8)に記載の方法。
(10)動物細胞が哺乳類動物細胞である(9)に記載の方法。
(11)哺乳類動物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である(10)に記載の方法。
(12)細胞が所望のポリペプチドをコードするDNAを導入した細胞である、(1)から(11)に記載の方法。
(13)ポリペプチドが糖タンパク質である、(1)から(12)に記載の方法。
(14)糖タンパク質が抗体である、(13)に記載の方法。
(15)抗体のクラスがIgGまたはIgMである、(14)に記載の方法。
(16)ポリペプチドが医薬の有効成分である、(1)から(12)に記載の方法。
(17)宿主細胞を流加法により培養して組換え抗体を製造する際に、抗体の物性を改善する方法であって、本培養槽に流加する前の流加培地を流加培地槽において低温で保存することを特徴とする方法。
(18)流加培地槽が本培養槽に連結されていることを特徴とする(17)に記載の方法。
(19)流加培地槽を低温に制御する冷却手段を具備することを特徴とする、(1)に記載の方法を実施するための装置。
(20)冷却手段が、冷却水を通水する冷却手段、電気による冷却手段、冷蔵庫に保管する手段、低温室に保管する手段、冷却材を使用する手段、吸熱材を使用する手段、保冷材を使用する手段、吸熱反応を利用した手段、冷風をあてる手段、ドライアイスを使用する手段、氷水につける手段のいずれかの手段である、(19)に記載の装置。
(21)さらに、流加培地中のアンモニアの生成が抑制されることを特徴とする(1)に記載の方法。
(22)さらに、流加培地中のグルタミンの分解が抑制されることを特徴とする(1)に記載の方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、流加培地槽を低温で制御することで、低温保存された流加培地を用いて流加培養を行うことにより、細胞に所望のタンパク質をより高い収量で産生させることができる。さらに、同培養法で抗体等のタンパク質を産生することで、副成分である未成熟な糖鎖のタンパク質や電荷の異なるタンパク質を減少させ、産生されたタンパク質の物性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、流加培地を低温及び室温で保存した流加培養によってCHO細胞に産生された組換え型抗グリピカン-3抗体濃度(mg/L)を示すグラフである。
図2図2は、流加培地を低温及び室温で保存した流加培養によってCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体濃度(mg/L)を示すグラフである。
図3図3は、流加培地を低温及び室温で保存した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、糖鎖修飾が成熟した該抗体(主成分)の割合を示すグラフである。
図4図4は、流加培地を低温及び室温で保存した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、電荷の異なる該抗体(副成分1)の割合を示すグラフである。副成分1は主成分以外の複数のisoformを含んでいる。
図5図5は、流加培地を低温及び室温で保存した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、電荷の異なる該抗体(副成分2)の割合を示すグラフである。副成分2は主成分以外の複数のisoformを含んでいる。
図6図6は、流加培地を低温及び室温で静置した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、ハイマンノース型糖鎖(ハイマンノース型糖鎖)を有する該抗体タンパク質の割合を示すグラフである。
図7図7は、通常の流加培養装置の構成の概要図である。
図8図8は、冷却水を通水することによる冷却手段を備えた流加培養装置の構成の概要図である。
図9図9は、冷蔵庫(低温室)に保管することによる冷却手段を備えた流加培養装置の構成の概要図である。
図10図10は、ペルチェ素子(冷却材)を使用することによる冷却手段を備えた流加培養装置の構成の概要図である。
図11図11は、流加培地(完全合成培地IS CHO FEED-CD XP)を低温及び室温で保存した流加培養によってCHO細胞に産生された組換え型抗グリピカン-3抗体濃度(mg/L)を示すグラフである。
図12図12は、流加培地(完全合成培地IS CHO FEED-CD XP)を低温及び室温で保存した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗グリピカン-3抗体における、糖鎖修飾が成熟した該抗体(主成分2)の割合を示すグラフである。
図13図13は、流加培地(完全合成培地IS CHO FEED-CD XP)を低温及び室温で保存した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗グリピカン-3抗体における、電荷の異なる該抗体(副成分3)の割合を示すグラフである。
図14図14は、流加培地(完全合成培地IS CHO FEED-CD XP)を低温及び室温で保存した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗グリピカン-3抗体における、電荷の異なる該抗体(副成分4)の割合を示すグラフである。
図15図15は、流加培地(完全合成培地IS CHO FEED-CD XP)を低温及び室温で静置した流加培養でCHO細胞に産生された組換え型抗グリピカン-3抗体における、ハイマンノース型糖鎖を有する該抗体タンパク質の割合を示すグラフである。
図16図16は、一定温度保存下14日後の流加培地中のグルタミン(Gln)とアンモニア(NH3)の濃度を示す。37℃保存の結果(cf. 37℃)はグラフ欄外に記載した。
図17図17は、アンモニアを含む流加培地を添加した流加培養によるCHO細胞の増殖および該細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体濃度を示す。
図18図18は、アンモニアを含む流加培地を添加した流加培養によりCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、糖鎖修飾が成熟した該抗体(主成分)の割合を示すグラフである。
図19図19は、アンモニアを含む流加培地を添加した流加培養によりCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、電荷の異なる該抗体(副成分1)の割合を示すグラフである。
図20図20は、アンモニアを含む流加培地を添加した流加培養によりCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、電荷の異なる該抗体(副成分2)の割合を示すグラフである。
図21図21は、アンモニアを含む流加培地を添加した流加培養によりCHO細胞に産生された組換え型抗IL-6レセプター抗体における、ハイマンノース型糖鎖を有する該抗体タンパク質の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
【0019】
本発明で行う流加培養法は、本培養槽に流加する前の流加培地を流加培地槽において低温で保存すること以外は、従来公知の方法に従って行うことができる。
【0020】
一般的に、流加培養とは、培養中に連続的に又は逐次的に培地が加えられる培養を言い、半回分培養(semi-batch culture)とも呼ばれる。流加培養には、培養中に連続的に培地を加え、かつ連続的に回収させる連続培養も含まれ、連続培養には灌流培養も含まれる。本発明における流加培養は、好ましくは、培養期間中に連続的に培地を加え、かつ細胞培養終了時に初めて全ての細胞培養液を回収する培養である。細胞培養液には、細胞と共に、細胞により産生されたポリペプチドが含まれている。本発明に従って改良された流加培養法を用いることにより、ポリペプチドをより高い収量で得ることができ、且つ物性の優れた産物を得ることができる。
【0021】
一般的に、流加培養法においては初発培地を培養槽に入れ、細胞培養を開始した後に、流加培地を培養槽に徐々に注ぎ足していく。初発培地とは、細胞培養の最初の段階で使用されている培地のことをいう。流加培地とは、流加培養において初発培地で培養する細胞培養液に徐々に注ぎ足される培地をいう。
【0022】
一般的に、動物細胞や微生物培養用の各種の培養装置としては、例えば発酵槽型タンク培養装置、エアーリフト型培養装置、流動層型培養装置、ホロファイバー型培養装置、ローラーボトル型培養装置、充填槽型培養装置等を用いて培養することができる。本発明においては、これらの培養装置を利用して、上述したような流加培養を実施するのに適した構成として適宜使用できる。流加培養に適した構成の培養装置としては、通常は、ステンレススチールの流加培養装置、シングルユースのプラスチックバックの流加培養装置、灌流培養と流加培養を組み合わせた培養装置が使用される。
【0023】
動物細胞培養装置の例で、通常の流加培養装置の典型的な構成の概要図を図7に示す。この例示においては、流加培養装置は、細胞培養を行うための培養槽(fermenter)1、流加培地を貯留するための流加培地槽2、酸素ガス等を送る配管3、流加培地を培養槽に送る配管4を包含する。流加培地槽および培養槽には槽内を攪拌するための攪拌翼5をそれぞれ備えていてもよい。培養槽には培養液の温度等を検知するため、温度計等のプローブ6が付属するのが通例である。
【0024】
流加培養を開始した培養槽を本培養槽といい、本培養槽中の培養液中で細胞が培養される。流加培養は、本培養槽に初発培地と種細胞を入れることで開始し、その後、流加培地が培養中に流加されることにより、細胞増殖によって減少した初発培地の栄養分を流加培地によって徐々に補うことができる。工場レベルでは流加培地は、例えば、本培養槽に連結された流加培地槽から配管等を介して本培養槽に注ぎ込まれる。その間、流加培地は流加培地槽に無菌状態で保存される。培養槽に付随する配管等には、培養槽に結合する配管、バルブ、結合部等が含まれる。細胞培養液の汚染を防ぐために、培養槽のみならず培養槽に付随する配管等も滅菌する必要があり、これによって無菌環境が保たれる。
【0025】
流加培地は、初発培地と同じ培地である必要はなく、異なる培地を添加してもよいし、特定の成分のみを添加してもよい。流加培地は初発培地と比較すると、培地成分全体として濃度が高いものを使用することが可能である。流加培地は1種類に限定されず、複数の種類の流加培地を同時に流加培養に使用することが可能である。流加培地を複数回調製した場合は、それぞれを滅菌する必要がある。
【0026】
培地の滅菌には、ろ過滅菌、加熱滅菌、加圧滅菌、または蒸気滅菌(高圧蒸気滅菌等)等を用いることが可能であるが、特にろ過滅菌、加熱滅菌、蒸気滅菌(高圧蒸気滅菌等)が好ましい。
【0027】
培養槽またはこれに付随する配管等の滅菌には、加熱滅菌、加圧滅菌、乾熱滅菌、蒸気滅菌(高圧蒸気滅菌等)、電離放射線による滅菌(γ線滅菌等)等を用いることが可能である。特に蒸気滅菌(高圧蒸気滅菌等)が好ましい。
【0028】
流加培地は、本培養槽の細胞培養液と比較すると一日に投与される量は少なく、その比は0.01から0.50であり、好ましくは0.01から0.10であり、さらに好ましくは0.02から0.07である。流加培地は連続的に注ぎ込むことができるが、断続的に注ぎ込んでもよい。
【0029】
流加培養は、7日間以上、好ましくは11日間以上の期間行われる。また流加培養は、2月間以内、好ましくは1月間以内、さらに好ましくは2週間以内の期間行われる。
【0030】
流加培地は本培養槽における細胞培養が開始された直後から細胞培養終了まで注ぎ込むことが可能である。あるいは、細胞培養が開始されてから、好ましくは1日後、さらに好ましくは3日後から注ぎ込むことが可能である。また、細胞増殖を測定して流加培地を注ぎ込む日を決定することも可能である。例えば、細胞増殖曲線が上限に達した日から流加培地を注ぎ込むことも可能である。
【0031】
本発明の特徴は、本培養槽に流加する前の流加培地が、流加培地槽において低温に保存されることである。流加培地を低温に保存するとは、摂氏0度から20度、好ましくは摂氏2度から15度、さらに好ましくは摂氏4度から10度に保存することを言う。流加培地は後述する組成で適宜調製され、その低温保存を開始する時期としては、流加培地の調製直後、細胞培養の開始直後または流加培地を注ぎ込み始めた直後から、低温に保存することが可能であるが、流加培地の調製直後に流加培地槽に入れて低温に保存するのが好ましい。
【0032】
したがって、本発明に係わる培養装置は、流加培地槽において流加培地を低温保存するために、流加培地槽を低温に制御する冷却手段を備えることが好都合である。流加培地槽を低温に制御するとは、流加培地の温度が摂氏0度から20度、好ましくは摂氏2度から15度、さらに好ましくは摂氏4度から10度となるように流加培地槽の温度制御を行うことを言う。
【0033】
本発明に係わる培養装置において流加培地槽を冷却する手段としては、冷却水を通水する冷却手段、電気による冷却手段、冷蔵庫に保管する手段、低温室に保管する手段、冷却材(好ましくは、ペルチェ素子)を使用する手段、吸熱材を使用する手段、保冷材を使用する手段、吸熱反応を利用した手段(好ましくは、霧散布、溶解熱)、冷風をあてる手段、ドライアイスを使用する手段、氷水につける手段、が使用可能である。
【0034】
流加培地槽は流加培地を貯留するための設備であり、本培養槽とは別の設備であればよく、培養装置内で任意の場所に設けることができる。本発明に係わる培養装置において、好ましくは、流加培地槽は本培養槽に連結されており、流加培地は配管等の連結部分を介して本培養槽に注ぎ込まれる。工場レベルにおいては、流加培地槽において冷却された流加培地は、本培養槽との連結部分を通過する間に、室温(22−23℃程度)に戻るので、本培養槽の液温に影響を与えることはないものと思われる。
【0035】
本発明において流加培養を行う培養槽は、研究室レベルのスモールスケールでも工場レベルのラージスケールでもよいが、好ましくは工場レベルのラージスケールである。ラージスケールとは培養槽が100L以上の容量であること、好ましくは500L以上の容量であること、さらに好ましくは1000L以上の容量であることを言う。特に、本発明は、初発培地の液量が100L以上のラージスケールによるタンパク質の工場での製造において使用する場合に有用である。さらに、流加培地の調製の度に滅菌する必要をなくすため、初めに調製された流加培地のみを用いて、培養期間を通じてその流加培地が流加培地槽に無菌状態で維持される態様が好適である。
【0036】
本発明においては、所望のポリペプチドを発現し得る細胞を培養する際に、低温保存された流加培地を用いて流加培養を行い、当該ポリペプチドを製造する。
【0037】
所望のポリペプチドを発現し得る細胞とは、所望のポリペプチドの遺伝子を発現し得る宿主細胞のことであり、本発明の方法は、そのような細胞を培養することにより宿主細胞が増殖するに伴って所望のタンパク質が産生されることを利用するものである。宿主細胞としては、特に限定されることなく種々の細胞(例えば、細菌細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞など)が使用できるが、動物由来の細胞が好ましく、特に哺乳動物細胞が好ましい。例えば、遺伝子工学的操作によって所望のタンパク質をコードする遺伝子を組み込んだCOS細胞やCHO細胞、あるいは、抗体を産生するマウス−ヒト、マウス−マウス、マウス−ラット等のハイブリドーマに代表される融合細胞を培養することが可能である。本発明の方法は、動物細胞を培養して該動物細胞の産生する天然型タンパク質を得ようとする場合にも使用でき、上述した細胞の他に、BHK細胞、HeLa細胞、HEK細胞などの培養にも使用できる。
【0038】
本発明の方法において、所望のポリペプチドを発現し得る細胞の一態様は、遺伝子の転写・翻訳の後に細胞内でポリペプチドの修飾を行い得る、動物由来の宿主細胞であってもよい。従って、所望のポリペプチドには、例えば糖鎖修飾のような翻訳後修飾を受けたタンパク質(糖タンパク質)も包含する。
【0039】
本発明の方法により得られるタンパク質として特に好ましいものは、医薬の有効成分として使用可能な組換え糖タンパク質であり、宿主細胞はそのようなタンパク質医薬品の工場レベルの実生産培養の実績とノウハウが既知のものが望ましい。従って、本発明において特に好ましい動物細胞は所望のタンパク質をコードする遺伝子が導入されたCHO細胞である。
【0040】
本発明の方法により得られるタンパク質は特に限定されず、抗体や生理活性タンパク質など如何なるタンパク質でもよい。本発明の方法を使用すれば、所望のタンパク質を高い生産量で製造することができる。
【0041】
生理活性タンパク質の具体例としては、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン、インターフェロン、IL-1やIL-6等のインターロイキン、t-PA、ウロキナーゼ、血清アルブミン、血液凝固因子などが挙げられる。
【0042】
本発明により製造されるタンパク質として特に好ましいものは抗体である。抗体としては、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル等の動物由来のモノクローナル抗体だけでなく、キメラ抗体、ヒト化抗体、bispecific抗体など人為的に改変した遺伝子組み換え型抗体も含まれる。また、抗体の免疫グロブリンクラスは特に限定されるものではなく、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのIgG、IgA、IgD、IgE、IgMなどいずれのクラスでもよいが、医薬として用いる場合はIgG及びIgMが好ましい。さらに、wholeの抗体だけでなく、Fv、Fab、F(ab)2などの抗体断片や、抗体の可変領域をペプチドリンカー等のリンカーで結合させた1価または2価以上の一本鎖Fv(scFv、sc(Fv)2など)の低分子化抗体なども含まれる。
【0043】
公知の組換え抗体の具体例としては、抗CD3抗体、抗CD20抗体、抗GPIIb/IIIa抗体、抗TNF抗体、抗CD25抗体、抗EGFR抗体、抗Her2/neu抗体、抗RSV抗体、抗CD33抗体、抗CD52抗体、抗IgE抗体、抗CD11a抗体、抗VEGF抗体、抗VL4抗体、抗Anexelekto抗体、抗HLA抗体、抗グリピカン-3抗体、抗IL-6抗体、抗IL-6レセプター抗体および抗IL-31レセプター抗体、抗HLA AXL抗体、抗CXCR4抗体、抗NR10抗体、ファクターIXとファクターXとのBi-specific抗体などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
本発明の方法で動物由来の宿主細胞に抗体を産生させる場合、抗体の物性を改善させることが可能である。本願において抗体の物性の改善とは、未成熟な糖鎖の抗体を減少させること、または副成分の生成を抑制すること、を言う。
【0045】
未成熟な糖鎖の抗体とは、例えばハイマンノース型(high mannose type)の抗体を挙げることができる。例えば、ハイマンノース型の抗体は動態が影響を受ける可能性があり、副成分となる(非特許文献4)。抗体の副成分は、イオン交換クロマトグラフィーや糖鎖マッピングによって分析することができる。副成分の生成が抑制されると、結果として細胞培養液中の主成分の抗体の濃度が増加する。
【0046】
副成分とは主成分以外の成分であり、主成分のisoformを含む。特に本発明においては、主成分のisoformを減少させることができることが特徴である。実施例3の副成分1および副成分2は、それぞれ複数のisoformを含んでいる。当業者であれば、上記の方法および常法を検討することで、主成分および副成分を詳細に分離・同定することが可能である。
【0047】
次に、本発明において使用される培地について説明する。
【0048】
本発明において、培地は哺乳動物由来の血清を含まない無血清培地が好ましく、特に哺乳類動物から単離された哺乳動物由来成分を含まない哺乳動物由来成分不含培地が好ましい。またこれらの培地に、魚肉抽出物又は魚肉の酵素分解物を添加することにより調製することも可能である(国際公開第99/63058号パンフレット、特開2003−334068号公報参照)。
【0049】
本発明で用いる培地の成分としては、通常、細胞(好ましくは、動物細胞)培養培地で使用されている各成分が適宜使用できるが、これらにはアミノ酸、ビタミン類、脂質因子、エネルギー源、浸透圧調節剤、鉄源、pH緩衝剤を含む。上記成分のほか、例えば、微量金属元素、界面活性剤、増殖補助因子、ヌクレオシドなどを添加しても良い。
【0050】
具体的には、例えば、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-シスチン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-オルニチン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン等、好ましくはL-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-シスチン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン等のアミノ酸類;i−イノシトール、ビオチン、葉酸、リポ酸、ニコチンアミド、ニコチン酸、p-アミノ安息香酸、パントテン酸カルシウム、塩酸ピリドキサール、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、塩酸チアミン、ビタミンB12、アスコルビン酸等、好ましくはビオチン、葉酸、リポ酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、塩酸ピリドキサール、リボフラビン、塩酸チアミン、ビタミンB12、アスコルビン酸等のビタミン類;塩化コリン、酒石酸コリン、リノール酸、オレイン酸、コレステロール等、好ましくは塩化コリン等の脂質因子;グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース等、好ましくはグルコース等のエネルギー源;塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム等、好ましくは塩化ナトリウム等の浸透圧調節剤;EDTA鉄、クエン酸鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄等、好ましくは塩化第二鉄、EDTA鉄、クエン酸鉄等の鉄源類;炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、HEPES、MOPS等、好ましくは炭酸水素ナトリウム等のpH緩衝剤を含む培地を例示できる。
【0051】
上記成分のほか、例えば、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化ニッケル、塩化スズ、塩化マグネシウム、亜ケイ酸ナトリウム等、好ましくは硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム等の微量金属元素;Tween80、プルロニックF68等の界面活性剤;および組換え型インシュリン、組換え型IGF、組換え型EGF、組換え型FGF、組換え型PDGF、組換え型TGF-α、塩酸エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、レチノイン酸、塩酸プトレッシン等、好ましくは亜セレン酸ナトリウム、塩酸エタノールアミン、組換え型IGF、塩酸プトレッシン等の増殖補助因子;デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、アデノシン、シチジン、グアノシン、ウリジン等のヌクレオシドなどを添加してもよい。なお上記本発明の好適例においては、ストレプトマイシン、ペニシリンGカリウム及びゲンタマイシン等の抗生物質や、フェノールレッド等のpH指示薬を含んでいても良い。培地のpHは培養する細胞により異なるが、一般的にはpH6.8〜7.6、多くの場合pH7.0〜7.4が適当である。
【0052】
本発明では、上述の成分を溶解した完全合成培地を用いて、細胞を培養することができる。あるいは、組換えタンパク質医薬品の工場生産を対象とする従来公知の培地を用いることも可能である。本発明で使用できる初発培地および流加培地としては、市販の動物細胞培養用培地、例えば、D-MEM (Dulbecco's Modified Eagle Medium)、 D-MEM/F-12 1:1 Mixture (Dulbecco's Modified Eagle Medium : Nutrient Mixture F-12)、 RPMI1640、CHO-S-SFMII(Invitrogen社)、 CHO-SF (Sigma-Aldrich社)、 EX-CELL 301 (JRH biosciences社)、CD-CHO (Invitrogen社)、 IS CHO-V (Irvine Scientific社)、 PF-ACF-CHO (Sigma-Aldrich社)、これらの混合したもの、などの培地を使用することが可能である。
【0053】
本培養槽の培養条件は使用する細胞の種類によって異なるので、適宜好適な条件を決定すればよい。例えばCHO細胞であれば通常、気相のCO2濃度が0−40%、好ましくは、2−10%の雰囲気下、摂氏30−39度、好ましくは、37度程度で、1−14日間培養すればよい。
【0054】
本発明においては、所望のポリペプチドを発現し得る細胞を、流加培養法を用いて培養し、発現したポリペプチドを細胞培養液から採取することにより当該ポリペプチドを製造する。動物細胞によるタンパク質の産生は、単にそれを培養するのみで良いものや、特殊な操作を必要とするものも存在するがそれらの操作又は条件等は培養する動物細胞により適宜決定すれば良い。例えば遺伝子工学的操作によりマウス−ヒトキメラ抗体をコードする遺伝子を含むベクターでトランスフォームされたCHO細胞では、前記のような条件下で培養を実施することにより、1−14日間、好ましくは7−10日間程度で所望のタンパク質を培地中に得ることができる。これを常法(例えば、抗体工学入門、地人書館、p.102-104;Affinity Chromatography Principles & Methods、アマシャム ファルマシア バイテク(株)、p.56-60など参照)に従い単離、精製することによって、所望のタンパク質を得ることができる。
【0055】
本発明の方法により製造されたタンパク質又はポリペプチド(本発明のタンパク質とも称する)が医薬として利用可能な生物学的活性を有する場合には、そのようなタンパク質又はポリペプチドを医薬的に許容される担体又は添加剤と混合して製剤化することにより、医薬品を製造することができる。本発明のタンパク質及び本発明のタンパク質を有効成分とする医薬品も本発明の範囲に包含される。
【0056】
医薬的に許容される担体及び添加剤の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤等が挙げられる。
【0057】
実際の添加物は、本発明の医薬品である治療剤の剤型に応じて上記の中から単独で又は適宜組み合わせて選ばれるが、もちろんこれらに限定するものではない。例えば、注射用製剤として使用する場合、精製されたポリペプチドを溶剤、例えば生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液等に溶解し、これに吸着防止剤、例えばTween80、Tween20、ゼラチン、ヒト血清アルブミン等を加えたものを使用することができる。あるいは、使用前に溶解再構成する剤形とするために凍結乾燥したものであってもよく、凍結乾燥のための賦形剤としては、例えば、マンニトール、ブドウ糖等の糖アルコールや糖類を使用することができる。
【0058】
ポリペプチドの有効投与量は、ポリペプチドの種類、治療や予防の対象とする疾患の種類、患者の年齢、疾患の重篤度などにより適宜選択される。例えば、本発明のタンパク質が抗グリピカン抗体等の抗体である場合、その有効投与量は、一回につき体重1kgあたり0.001mgから1000mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり0.01〜100000mg/bodyの投与量を選ぶことができる。しかしながら、これらの投与量に制限されるものではない。
【0059】
本発明の医薬品の投与方法は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射(例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などによる全身又は局所投与)、経鼻投与、経肺投与、経皮投与などが挙げられる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0061】
〔実施例1〕流加培地の温度が抗体産生量に与える影響の検討1
培地組成、細胞及び調製法は以下のとおりである。
初発培地:市販の哺乳動物由来成分不含培地1を用いた。
流加培地:初発培地に用いた哺乳動物由来成分不含培地1の成分を、初発培地に対し3倍濃縮し、流加培地として用いた。培養開始時に低温(摂氏4度)または室温(約22−23度)に保存し、室温保存をコントロールとした。
細胞:組換え型抗グリピカン-3ヒト化抗体(国際公報第WO2006/006693号パンフレットの実施例24に記載の方法でヒト化し、実施例25の方法でL鎖が改変された抗体)を産生するCHO細胞株を用いた。抗体のクラスはIgG1。
【0062】
初発培地を含むジャー型細胞培養装置に上記CHO細胞株を、2×105 cells/mLとなるよう加えて37℃、10% CO2の条件で培養を開始した。流加培養は、培養3日目より流加培地を一日に一回、一定量を添加し、14日培養の期間中、5、7、10、14日目にサンプリングを行った。各培養上清に含まれる抗体タンパク質の濃度は、プロテインAチップを用いたアフィニティー測定によって定量した。図1に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養10日目で1.37 g/L、14日目で1.53 g/Lであった。これに対して、室温保存した流加培地を添加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養10日目で1.09 g/L、14日目で1.31 g/Lであった。以上より、低温に保たれた流加培地を添加することで、抗体産生量は培養10日目で26.1%、14日目で16.5%増加した。また、流加培地を低温に保った場合、細胞増殖の増加がみられた。
【0063】
〔実施例2〕流加培地の温度が抗体産生量に与える影響の検討2
培地組成、細胞及び調製法は以下のとおりである。
初発培地:市販の哺乳動物由来成分不含培地1を用いた。
流加培地:初発培地に用いた哺乳動物由来成分不含培地1の成分を、初発培地に対し3倍濃縮し、流加培地として用いた。培養開始時に低温(摂氏5度)または室温(約22−23度)に保存し、室温保存をコントロールとした。
細胞:組換え型抗IL-6レセプターヒト化抗体(トシリツマブ、hPM-1抗体)を産生するCHO細胞株を用いた。抗体のクラスはIgG1。
【0064】
初発培地を含むジャー型細胞培養装置に上記CHO細胞株を、2×105 cells/mLとなるよう加えて37℃、10% CO2の条件で培養を開始した。流加培養は、培養3日目より流加培地を一定流速で添加し、11日培養の期間中、3、4、7、8、9、10、11日目にサンプリングを行った。各培養上清に含まれる抗体タンパク質の濃度は、プロテインAチップを用いたアフィニティー測定によって定量した。図2に示したように、低温に保たれた流加培地を流加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養11日目で0.70 g/Lであった。これに対し、室温保存した流加培地を流加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養11日目で0.51 g/Lであった。以上より、低温に保たれた流加培地を添加することで、抗体産生量は培養11日目で37.2%増加した。また、流加培地を低温に保つことで、細胞増殖の増加がみられた。
【0065】
〔実施例3〕流加培地の温度が抗体の物性に与える影響の検討
培地組成、細胞及び調製法は以下のとおりである。
初発培地:市販の哺乳動物由来成分不含培地1を用いた。
流加培地:初発培地に用いた哺乳動物由来成分不含培地1の成分を、初発培地に対し3倍濃縮し、流加培地として用いた。培養開始時に低温(摂氏5度)または室温(約22−23度)保存し、室温保存をコントロールとした。
細胞:実施例2と同じ組換え型抗IL-6レセプターヒト化抗体(トシリツマブ、hPM-1抗体)を産生するCHO細胞株を用いた。抗体のクラスはIgG1。
【0066】
初発培地を含むジャー型細胞培養装置に上記CHO細胞株を、2×105 cells/mLとなるよう加えて37℃、10% CO2の条件で培養を開始した。流加培養は、培養3日目より流加培地を一定流速で添加し、14日培養の期間中、10、14日目にサンプリングを行った。各培養上清中に含まれる抗体タンパク質の物性は、イオン交換クロマトグラフィー分析および糖鎖マッピングによって解析した。
図3に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の主成分(糖鎖修飾が成熟)の割合は培養10日目で68.3%、14日目で65.6%であった。これに対して、室温保存の流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の主成分の割合は培養10日目で66.1%、14日目で60.8%であった。
【0067】
また、図4に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分1(主成分とは電荷の異なる成分)の割合は培養10日目で16.9%、14日目で24.7%であった。これに対して、室温保存の流加培地を添加した場合の抗体タンパクの副成分1の割合は培養10日目で18.7%、14日目で28.6%であった。
【0068】
さらに、図5に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分2(主成分とは電荷の異なる成分)の割合は培養10日目で3.2%、14日目で2.6%であった。これに対して、室温保存の培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分2の割合は培養10日目で3.4%、14日目で3.4%であった。
【0069】
加えて、図6に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体の糖鎖がハイマンノース型であった割合は培養10日目で3.1%、14日目で3.3%であった。これに対して、室温で保存した流加培地を添加した場合の抗体の糖鎖がハイマンノース型であった割合は培養10日目で3.3%、14日目で4.0%であった。ハイマンノース型の抗体タンパク質の糖鎖は、糖鎖修飾が未成熟であることを示している。
【0070】
以上より、低温に保存された流加培地を添加することで、抗体タンパク質の類縁物質の生成が抑制されることが明らかになった。
【0071】
〔実施例4〕別の流加培地を使用した検討
培地組成、細胞及び調製法は以下のとおりである。
初発培地:市販の哺乳動物由来成分不含培地1を用いた。
流加培地:完全合成培地IS CHO FEED-CD XP (IS社,Cat No. 91122)を流加培地として用いた。培養開始時に低温(摂氏4度)または室温(約22−23度)に保存し、室温保存をコントロールとした。
細胞:実施例1と同じ組換え型抗グリピカン-3ヒト化抗体を産生するCHO細胞株を用いた。抗体のクラスはIgG1。
【0072】
初発培地を含むシェイカー細胞培養器に上記CHO細胞株を、1×105 cells/mLとなるよう加えて37℃、5% CO2の条件で培養を開始した。流加培養は、培養3日目より流加培地を一日に一回、一定量を添加し、14日培養の期間中、7、14日目にサンプリングを行った。各培養上清に含まれる抗体タンパク質の濃度は、プロテインAチップを用いたアフィニティー測定によって定量した。図11に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養7日目で760.9 mg/L、14日目で821.3 mg/Lであった。これに対して、室温保存した流加培地を添加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養7日目で677.3 mg/L、14日目で723.5 mg/Lであった。以上より、低温に保たれた流加培地を添加することで、抗体産生量は培養7日目で12.3%、14日目で13.5%増加した。また、流加培地を低温に保った場合、細胞増殖の増加がみられた。
図12に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の主成分2(糖鎖修飾が成熟)の割合は培養14日目で45.0%であった。これに対して、室温保存の流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の主成分2の割合は培養14日目で41.9%であった。
【0073】
また、図13に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分3(主成分とは電荷の異なる成分)の割合は14日目で50.8%であった。これに対して、室温保存の流加培地を添加した場合の抗体タンパクの副成分3の割合は培養14日目で53.7%であった。
【0074】
さらに、図14に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分4(主成分とは電荷の異なる成分)の割合は培養14日目で4.2%であった。これに対して、室温保存の培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分4の割合は培養14日目で4.4%であった。
【0075】
加えて、図15に示したように、低温に保たれた流加培地を添加した場合の抗体の糖鎖がハイマンノース型であった割合は培養14日目で2.5%であった。これに対して、室温で保存した流加培地を添加した場合の抗体の糖鎖がハイマンノース型であった割合は培養14日目で2.9%であった。ハイマンノース型の抗体タンパク質の糖鎖は、糖鎖修飾が未成熟であることを示している。
【0076】
以上より、実施例1〜3とは異なる完全合成培地を用いても、低温に保存された流加培地を添加することで、抗体タンパク質の生産性が向上し類縁物質の生成が抑制されることが明らかになった。
【0077】
〔実施例5〕一定温度保存下 14日後の流加培地中のグルタミン、アンモニア濃度
培地組成、実験方法は以下のとおりである。
初発培地に用いた哺乳動物由来成分不含培地1の成分を、初発培地に対し3倍濃縮し、流加培地として用いた。一定温度(4℃、10℃、15℃、室温22-23℃、25℃、37℃)保存下 14日後の流加培地中のグルタミン、アンモニア濃度を測定した。流加培地調製時のサンプル(Day0)をコントロールとした。
【0078】
図16に結果を示す。流加培地調製時のサンプル(Day0)と4℃、10℃、15℃で14日間おいたサンプルと比較し、室温22-23℃、25℃、37℃では顕著にグルタミンが減少し、アンモニアが生成していた。室温保存下での流加培地中のグルタミンの分解、アンモニアの生成は無視できないと考えられる。
【0079】
〔実施例6〕流加培地中のアンモニアが本培養に与える影響
培地組成、細胞及び調製法は以下のとおりである。
初発培地:市販の哺乳動物由来成分不含培地1を用いた。
流加培地:初発培地に用いた哺乳動物由来成分不含培地1の成分を、初発培地に対し3倍濃縮し、コントロールの流加培地(FM Ctrl.)として用いた。またその流加培地に10mMアンモニアを添加した培地(FM+10mM NH3)、20mMアンモニアを添加した培地(FM-20mM NH3)を調製した。全て低温(摂氏4度)で保存した。
細胞:実施例2と同じ組換え型抗IL-6レセプターヒト化抗体(トシリツマブ、hPM-1抗体)を産生するCHO細胞株を用いた。抗体のクラスはIgG1。
【0080】
初発培地を含むシェイカー細胞培養器に上記CHO細胞株を、2×105 cells/mLとなるよう加えて37℃、5% CO2の条件で培養を開始した。流加培養は、培養3日目より流加培地を一日に一回、一定量を添加し、14日培養の期間中、5、7、10、14日目にサンプリングを行った。各培養上清に含まれる抗体タンパク質の濃度は、プロテインAチップを用いたアフィニティー測定によって定量した。
【0081】
図17に示したように、アンモニア添加量が増えるに従い増殖抑制がかかることが観察された。コントロールの流加培地を添加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養14日目で1.35 g/Lであった。これに対して、10mM、20mMアンモニアを加えた流加培地を添加した場合、抗体タンパク質の濃度は培養 14日目でそれぞれ1.20 g/L、0.97 g/Lであった。
【0082】
また、図18に示したように、コントロールの流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の主成分(糖鎖修飾が成熟)の割合は培養14日目で62.5%であった。これに対して、10mM、20mMアンモニアを加えた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の主成分の割合は培養14日目でそれぞれ62.0%、59.2%であった。
【0083】
また、図19に示したように、コントロールの流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分1(主成分とは電荷の異なる成分)の割合は14日目で26.7%であった。これに対して、10mM、20mMアンモニアを加えた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分1の割合は培養14日目でそれぞれ27.3%、29.9%であった。
【0084】
さらに、図20に示したように、コントロールの流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分2(主成分とは電荷の異なる成分)の割合は培養14日目で3.8%であった。これに対して、10mM、20mMアンモニアを加えた流加培地を添加した場合の抗体タンパク質の副成分2の割合は培養14日目でそれぞれ4.5%、4.9%であった。
【0085】
加えて、図21に示したように、コントロールの流加培地を添加した場合の抗体の糖鎖がハイマンノース型であった割合は培養14日目で5.1%であった。これに対して、10mM、20mMアンモニアを加えた流加培地を添加した場合の抗体の糖鎖がハイマンノース型であった割合は培養14日目でそれぞれ5.7%、6.5%であった。ハイマンノース型の抗体タンパク質の糖鎖は、糖鎖修飾が未成熟であることを示している。
【0086】
以上より、流加培地中のアンモニアが細胞増殖、生産性、物性に悪影響を与える一因であり、低温保存による流加培地中のグルタミンの分解抑制、アンモニアの生成抑制は有用な方法であると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明により、細胞からタンパク質を流加培養によって、今まで以上に高産生させることが可能である。さらには、動物細胞に抗体タンパク質を産生させる場合、糖鎖修飾が未成熟な抗体や電荷の異なる抗体の割合が減少するなど、類縁物質である副成分の生成が抑制されるため、物性が改善されて主成分含量が増加した、高品質なタンパク質を高産生することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1:培養槽、2:流加培地槽、3:酸素ガス等を送る配管、4:流加培地を培養槽に送る配管、5:攪拌翼、6:温度計等のプローブ、7:冷却水、8:低温室、9:冷却材(ペルチェ素子)
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