【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例としてのモータ20の構成の概略を示す構成図であり、
図2は、ステータ40の外観を示す外観図であり、
図3は、ステータコア42のスロット45周辺を拡大して示す拡大図であり、
図4は、セグメントコイル51をステータコア42に挿入する様子を示す説明図であり、
図5は、コイル50のうち径方向の折れ曲がりの程度が大きい部分が配置されたスロット45におけるステータコア42の軸方向端面周辺の様子を示す説明図であり、
図6は、コイル50のうち径方向の折れ曲がりの程度が小さい部分が配置されたスロット45におけるステータコア42の軸方向端面周辺の様子を示す説明図である。
【0012】
実施例のモータ20は、
図1に示すように、回転軸22に取り付けられたロータ30と、内周側がロータ30の外周側に対向するよう配置されたステータ40と、を備える例えば三相交流モータなどとして構成されている。
【0013】
ロータ30は、無方向性電磁鋼板を打ち抜き加工によって環状に形成したロータ部材を複数積層して構成されたロータコア32と、ロータコア32に埋め込まれた複数の永久磁石34とを備え、焼き嵌め又はスプライン嵌合などによって回転軸22に取り付けられている。
【0014】
ステータ40は、
図1〜
図3に示すように、無方向性電磁鋼板を打ち抜き加工によって形成したステータ部材を複数積層して構成されると共に円筒形の外周部分を形成するヨーク部43とヨーク部43から径方向内側(内周側)に突出するティース部44とを有するステータコア42と、複数のティース部44に巻回されるコイル50と、隣接する2つのティース部44間にそれぞれ形成された複数のスロット45のそれぞれに配置されてコイル50の径方向内側への飛び出しを防止する複数のウェッジ紙54と、を備える。
【0015】
コイル50は、
図4に示すように、略U字状で中央より一方の端部側にシフト曲げ(コイル50となったときに径方向にズレ(シフト)が生じるようにするための曲げ)が施されたシフト曲げ部52を有する複数のセグメントコイル51をそれぞれステータコア42のスロット45に挿入し(
図4では1つのセグメントコイル51のみ図示)、その後、それぞれのセグメントコイル51の両端部が近接してセグメントコイル51が周回するよう折り曲げて、電気的に見たときに一本の導線によって分布巻されているようにセグメントコイル51の端部を隣接する他のセグメントコイル51の端部と接合して構成されている。各スロット45において、径方向外側にはヨーク部43があることから、こうして構成されたコイル50では、セグメントコイル51を折り曲げて(特に、径方向に折り曲げて)構成したことによる残留応力により、径方向内側に飛び出そうとする力が生じる(いわゆるスプリングバック)。そして、この力の大きさは、コイル50の各位置の径方向の折れ曲がりの程度によって異なる。具体的には、
図5に示すように、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的大きいスロット45では、径方向内側に向けて比較的大きな力が生じ(図中、左向き太線矢印参照)、
図6に示すように、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的小さいスロット45では、径方向内側に向けて比較的小さな力が生じる(図中、左向き太線矢印参照)。なお、後者の場合、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度によっては、径方向内側に向けてほとんど力が生じないこともある。
【0016】
複数のウェッジ紙54は、厚さが0.2mmや0.3mm,0.4mm,0.5mmなどのラミネート樹脂などの絶縁材によって形成されており、
図3に示すように、コイル50より径方向内側に配置されてティース部44の径方向内側の端部の周方向側面に形成された突起44aに係止されることにより、コイル50の径方向内側への飛び出しを防止できるようになっている。この複数のウェッジ紙54のうち、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的大きなスロット45に配置されるウェッジ紙54aについては、
図5に示すように、ステータコア42の軸方向の両端から長さL1ずつはみ出すように形成されており、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的小さなスロット45に配置されるウェッジ紙54bについては、
図6に示すように、軸方向の両端から中心側に長さL2ずつ短くなるよう形成されている。ここで、長さL1や長さL2は、比較的少ないウェッジ紙54の使用量でコイル50の径方向内側への飛び出しを防止できるように予め実験などによって定めた長さとすることができる。例えば、軸方向の長さが50mmの場合、長さL1としては2mmや3mm,5mmなど(ウェッジ紙54aの長さとしては54mmや56mm,60mmなど)とすることができ、長さL2としては8mmや10mm,12mmなど(ウェッジ紙54bの長さとしては34mmや30mm,26mmなど)とすることができる。
【0017】
コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的小さなスロット45については、径方向内側に作用する力の大きさが小さいことから、上述したように、このスロット45に配置されるウェッジ紙54bの軸方向の長さを、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的大きなスロット45に配置されるウェッジ紙54aの軸方向の長さに比して短くすることにより、ウェッジ紙54によるコイル50の飛出防止の確保とウェッジ紙54の使用量の削減との両立を図ることができる。また、ウェッジ紙54bについては、短くすることによってスロット45に挿入して配置しやすくなるから、作業性の向上を図ることができる。
【0018】
以上説明した実施例のモータ20によれば、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的小さなスロット45に配置されるウェッジ紙54bの軸方向の長さを、コイル50の径方向の折れ曲がりの程度が比較的大きなスロット45に配置されるウェッジ紙54aの軸方向の長さに比して短くすることにより、ウェッジ紙54によるコイル50の飛出防止の確保とウェッジ紙54の使用量の削減との両立を図ることができる。
【0019】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、ヨーク部43が「ヨーク部」に相当し、ティース部44が「ティース部」に相当し、ステータコア42が「ステータコア」に相当し、コイル50が「コイル」に相当し、ウェッジ紙54が「ウェッジ紙」に相当する。
【0020】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0021】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。