【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
【0015】
(1) 本発明は、複数の色信号成分(例えば、後述のCb成分およびCr成分に相当)を含む動画像(例えば、後述の原画像に相当)を符号化する動画像符号化装置であって、前記複数の色信号成分のうち参照信号成分の残差信号を用いて、前記複数の色信号成分のうち非参照信号成分を予測する符号化側予測手段(例えば、
図1の加算部15、25に相当)と、前記参照信号成分または前記非参照信号成分の少なくともいずれかを変更して、前記符号化側予測手段に非参照信号成分の予測を行わせる変更手段(例えば、
図1の選択部30に相当)と、前記符号化側予測手段による予測結果を用いて、前記複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定する決定手段(例えば、
図1のコスト算出部40に相当)と、前記決定手段による決定結果を含む符号化情報(例えば、
図2のスライスヘッダに相当)を生成する符号化情報生成手段(例えば、
図1のコスト算出部40に相当)と、前記決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて当該決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして前記動画像を符号化し、符号化データ(例えば、
図1のビットストリームに相当)を生成する符号化手段(例えば、
図1のエントロピー符号化部50に相当)と、を備えることを特徴とする動画像符号化装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、動画像符号化装置に、符号化側予測手段、変更手段、決定手段、符号化情報生成手段、および符号化手段を設けた。そして、符号化側予測手段により、複数の色信号成分のうち参照信号成分の残差信号を用いて、複数の色信号成分のうち非参照信号成分を予測することとした。また、変更手段により、参照信号成分または非参照信号成分の少なくともいずれかを変更して、符号化側予測手段に非参照信号成分の予測を行わせることとした。また、決定手段により、符号化側予測手段による予測結果を用いて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定することとした。また、符号化情報生成手段により、決定手段による決定結果を含む符号化情報を生成することとした。また、符号化手段により、決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして動画像を符号化し、符号化データを生成することとした。
【0017】
このため、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を適宜設定し、設定するごとに参照信号成分の残差信号を用いて非参照信号成分を予測して、予測結果に基づいて、参照信号成分および非参照信号成分を最終的に決定する。したがって、色信号成分間で符号化性能の向上に不均衡が生じてしまわないように、参照信号成分および非参照信号成分を決定することができる。よって、色信号成分間で符号化性能の向上に不均衡が生じてしまうのを抑制できる。
【0018】
(2) 本発明は、(1)の動画像符号化装置について、前記符号化側予測手段は、前記参照信号成分の残差信号を用いてチャネル間予測を行って、前記非参照信号成分を予測することを特徴とする動画像符号化装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、(1)の動画像符号化装置において、符号化側予測手段により、参照信号成分の残差信号を用いてチャネル間予測を行って、非参照信号成分を予測することとした。このため、チャネル間予測において色信号成分間で符号化性能の向上に不均衡が生じてしまうのを抑制できる。
【0020】
(3) 本発明は、(1)または(2)の動画像符号化装置について、前記決定手段は、前記参照信号成分を変換および量子化したもの(例えば、
図1の係数CbCoeffや係数CrCoeffに相当)と、前記非参照信号成分を変換および量子化したもの(例えば、
図1の係数CrCoeffやCbCoeffに相当)と、を用いて、前記複数の色信号成分の中から前記参照信号成分および前記非参照信号成分を決定することを特徴とする動画像符号化装置を提案している。
【0021】
この発明によれば、(1)または(2)の動画像符号化装置において、決定手段により、参照信号成分を変換および量子化したものと、非参照信号成分を変換および量子化したものと、を用いて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0022】
(4) 本発明は、(1)〜(3)のいずれかの動画像符号化装置について、前記決定手段は、前記参照信号成分の残差信号を用いて前記非参照信号成分を予測するものとして前記動画像を符号化した後に復号して復号画像を生成し、当該復号画像と前記動画像との差分を用いて、前記複数の色信号成分の中から前記参照信号成分および前記非参照信号成分を決定することを特徴とする動画像符号化装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、(1)〜(3)のいずれかの動画像符号化装置において、決定手段により、参照信号成分の残差信号を用いて非参照信号成分を予測するものとして動画像を符号化した後に復号して復号画像を生成し、この復号画像と動画像との差分を用いて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0024】
(5) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかの動画像符号化装置について、前記符号化手段は、前記決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて当該決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして前記動画像を符号化する場合と、当該参照信号成分の残差信号を用いた当該非参照信号成分の予測を行わないものとして前記動画像を符号化する場合と、を選択することを特徴とする動画像符号化装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)〜(4)のいずれかの動画像符号化装置において、符号化手段により、決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして動画像を符号化する場合と、参照信号成分の残差信号を用いた非参照信号成分の予測を行わないものとして動画像を符号化する場合と、を選択することとした。このため、動画像に応じて、参照信号成分の残差信号を用いて非参照信号成分を予測するものとして動画像を符号化したり、参照信号成分の残差信号を用いた非参照信号成分の予測を行わないものとして動画像を符号化したりすることができる。
【0026】
(6) 本発明は、(1)〜(5)のいずれかの動画像符号化装置において生成された符号化データ(例えば、
図3のビットストリームに相当)を復号する動画像復号装置であって、前記符号化データを復号して、前記色信号成分の残差信号と前記符号化情報とを取得する復号手段(例えば、
図3の逆量子化部111、121と逆変換部112、122とエントロピー復号部140とに相当)と、前記符号化情報に含まれる色参照信号指示子(例えば、
図2のフラグ「inter_ch_control」に相当)に基づいて、前記複数の色信号成分の中から前記参照信号成分および前記非参照信号成分を選択する選択手段(例えば、
図3の選択部130に相当)と、前記選択手段により選択された参照信号成分の残差信号を用いて、前記選択手段により選択された非参照信号成分を予測する復号側予測手段(例えば、
図3の加算部113、123に相当)と、を備えることを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0027】
この発明によれば、(1)〜(5)のいずれかの動画像符号化装置において生成された符号化データを復号する動画像復号装置に、復号手段、選択手段、および復号側予測手段を設けた。そして、復号手段により、符号化データを復号して、色信号成分の残差信号と符号化情報とを取得することとした。また、選択手段により、符号化情報に含まれる色参照信号指示子に基づいて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を選択することとした。また、復号側予測手段により、選択手段により選択された参照信号成分の残差信号を用いて、選択手段により選択された非参照信号成分を予測することとした。
【0028】
このため、動画像符号化装置において決定された参照信号成分および非参照信号成分を、符号化情報から求め、参照信号成分の残差信号を用いて非参照信号成分を予測することができる。
【0029】
(7) 本発明は、(6)の動画像復号装置について、前記復号側予測手段は、前記参照信号成分の残差信号を用いてチャネル間予測を行って、前記非参照信号成分を予測することを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0030】
この発明によれば、(6)の動画像復号装置において、復号側予測手段により、参照信号成分の残差信号を用いてチャネル間予測を行って、非参照信号成分を予測することとした。このため、参照信号成分の残差信号を用いて非参照信号成分をチャネル間予測できる。
【0031】
(8) 本発明は、(6)または(7)の動画像復号装置について、前記復号手段は、前記符号化情報を取得した後に前記動画像復号装置が受信した前記符号化データを復号して、前記色信号成分の残差信号を取得することを特徴とする動画像復号装置を提案している。
【0032】
この発明によれば、(6)または(7)の動画像復号装置において、復号手段により、符号化情報を取得した後に動画像復号装置が受信した符号化データを復号して、色信号成分の残差信号を取得することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(9) 本発明は、符号化側予測手段(例えば、
図1の加算部15、25に相当)、変更手段(例えば、
図1の選択部30に相当)、決定手段(例えば、
図1のコスト算出部40に相当)、符号化情報生成手段(例えば、
図1のコスト算出部40に相当)、および符号化手段(例えば、
図1のエントロピー符号化部50に相当)を備え、複数の色信号成分(例えば、後述のCb成分およびCr成分に相当)を含む動画像(例えば、後述の原画像に相当)を符号化する動画像符号化装置における動画像符号化方法であって、前記符号化側予測手段が、前記複数の色信号成分のうち参照信号成分の残差信号を用いて、前記複数の色信号成分のうち非参照信号成分を予測する第1のステップと、前記変更手段が、前記参照信号成分または前記非参照信号成分の少なくともいずれかを変更して、前記符号化側予測手段に非参照信号成分の予測を行わせる第2のステップと、前記決定手段が、前記符号化側予測手段による予測結果を用いて、前記複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定する第3のステップと、前記符号化情報生成手段が、前記決定手段による決定結果を含む符号化情報(例えば、
図2のスライスヘッダに相当)を生成する第4のステップと、前記符号化手段が、前記決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて当該決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして前記動画像を符号化し、符号化データ(例えば、
図1のビットストリームに相当)を生成する第5のステップと、を備えることを特徴とする動画像符号化方法を提案している。
【0034】
この発明によれば、符号化側予測手段により、複数の色信号成分のうち参照信号成分の残差信号を用いて、複数の色信号成分のうち非参照信号成分を予測することとした。また、変更手段により、参照信号成分または非参照信号成分の少なくともいずれかを変更して、符号化側予測手段に非参照信号成分の予測を行わせることとした。また、決定手段により、符号化側予測手段による予測結果を用いて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定することとした。また、符号化情報生成手段により、決定手段による決定結果を含む符号化情報を生成することとした。また、符号化手段により、決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして動画像を符号化し、符号化データを生成することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0035】
(10) 本発明は、復号手段(例えば、
図3の逆量子化部111、121と逆変換部112、122とエントロピー復号部140とに相当)、選択手段(例えば、
図3の選択部130に相当)、および復号側予測手段(例えば、
図3の加算部113、123に相当)を備え、(9)の動画像符号化装置において生成された符号化データ(例えば、
図3のビットストリームに相当)を復号する動画像復号装置における動画像復号方法であって、前記復号手段が、前記符号化データを復号して、前記色信号成分の残差信号と前記符号化情報とを取得する第6のステップと、前記選択手段が、前記符号化情報に含まれる色参照信号指示子(例えば、
図2のフラグ「inter_ch_control」に相当)に基づいて、前記複数の色信号成分の中から前記参照信号成分および前記非参照信号成分を選択する第7のステップと、前記復号側予測手段が、前記選択手段により選択された参照信号成分の残差信号を用いて、前記選択手段により選択された非参照信号成分を予測する第8のステップと、を備えることを特徴とする動画像復号方法を提案している。
【0036】
この発明によれば、復号手段により、符号化データを復号して、色信号成分の残差信号と符号化情報とを取得することとした。また、選択手段により、符号化情報に含まれる色参照信号指示子に基づいて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を選択することとした。また、復号側予測手段により、選択手段により選択された参照信号成分の残差信号を用いて、選択手段により選択された非参照信号成分を予測することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0037】
(11) 本発明は、符号化側予測手段(例えば、
図1の加算部15、25に相当)、変更手段(例えば、
図1の選択部30に相当)、決定手段(例えば、
図1のコスト算出部40に相当)、符号化情報生成手段(例えば、
図1のコスト算出部40に相当)、および符号化手段(例えば、
図1のエントロピー符号化部50に相当)を備え、複数の色信号成分(例えば、後述のCb成分およびCr成分に相当)を含む動画像(例えば、後述の原画像に相当)を符号化する動画像符号化装置における動画像符号化方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記符号化側予測手段が、前記複数の色信号成分のうち参照信号成分の残差信号を用いて、前記複数の色信号成分のうち非参照信号成分を予測する第1のステップと、前記変更手段が、前記参照信号成分または前記非参照信号成分の少なくともいずれかを変更して、前記符号化側予測手段に非参照信号成分の予測を行わせる第2のステップと、前記決定手段が、前記符号化側予測手段による予測結果を用いて、前記複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定する第3のステップと、前記符号化情報生成手段が、前記決定手段による決定結果を含む符号化情報(例えば、
図2のスライスヘッダに相当)を生成する第4のステップと、前記符号化手段が、前記決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて当該決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして前記動画像を符号化し、符号化データ(例えば、
図1のビットストリームに相当)を生成する第5のステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0038】
この発明によれば、プログラムを実行することで、符号化側予測手段により、複数の色信号成分のうち参照信号成分の残差信号を用いて、複数の色信号成分のうち非参照信号成分を予測することとした。また、変更手段により、参照信号成分または非参照信号成分の少なくともいずれかを変更して、符号化側予測手段に非参照信号成分の予測を行わせることとした。また、決定手段により、符号化側予測手段による予測結果を用いて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を決定することとした。また、符号化情報生成手段により、決定手段による決定結果を含む符号化情報を生成することとした。また、符号化手段により、決定手段により決定された参照信号成分の残差信号を用いて決定手段により決定された非参照信号成分を予測するものとして動画像を符号化し、符号化データを生成することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0039】
(12) 本発明は、復号手段(例えば、
図3の逆量子化部111、121と逆変換部112、122とエントロピー復号部140とに相当)、選択手段(例えば、
図3の選択部130に相当)、および復号側予測手段(例えば、
図3の加算部113、123に相当)を備え、(11)のプログラムをコンピュータで実行することにより生成された符号化データ(例えば、
図3のビットストリームに相当)を復号する動画像復号装置における動画像復号方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記復号手段が、前記符号化データを復号して、前記色信号成分の残差信号と前記符号化情報とを取得する第6のステップと、前記選択手段が、前記符号化情報に含まれる色参照信号指示子(例えば、
図2のフラグ「inter_ch_control」に相当)に基づいて、前記複数の色信号成分の中から前記参照信号成分および前記非参照信号成分を選択する第7のステップと、前記復号側予測手段が、前記選択手段により選択された参照信号成分の残差信号を用いて、前記選択手段により選択された非参照信号成分を予測する第8のステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0040】
この発明によれば、プログラムを実行することで、復号手段により、符号化データを復号して、色信号成分の残差信号と符号化情報とを取得することとした。また、選択手段により、符号化情報に含まれる色参照信号指示子に基づいて、複数の色信号成分の中から参照信号成分および非参照信号成分を選択することとした。また、復号側予測手段により、選択手段により選択された参照信号成分の残差信号を用いて、選択手段により選択された非参照信号成分を予測することとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。