特許第5872939号(P5872939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872939
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】防食コア
(51)【国際特許分類】
   F16L 58/02 20060101AFI20160216BHJP
   F16L 58/18 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   F16L58/02
   F16L58/18
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-64537(P2012-64537)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-194866(P2013-194866A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】香川 貴史
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−144957(JP,A)
【文献】 特開2010−216548(JP,A)
【文献】 特開2008−089010(JP,A)
【文献】 特開2011−117572(JP,A)
【文献】 特開2000−170988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L58/00−58/18
F16L41/00−41/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製流体管の管壁を穿孔し形成した穿孔部を防食するために治具に外嵌されて嵌挿される防食コアであって、
前記穿孔部の内周面に亘って当接する防食部材を備えた胴部と、流体管の内方に突出する先端部とを有し、前記先端部は、前記穿孔部よりも小径の先端縁から前記防食部材側に向けて穿孔部よりも漸次大径に拡径するテーパ面を備え、前記胴部の後端側の内周面よりも大径の内周面を有する肉薄部が、該胴部の先端側と前記先端部の先端縁とに架けて形成されていることを特徴とする防食コア。
【請求項2】
前記先端部のテーパ面のテーパ角度は、該先端部の全周に亘り略同じ角度に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防食コア。
【請求項3】
管軸方向における両側の前記先端部のテーパ面のテーパ角度が、管軸方向視における両側の前記先端部のテーパ面のテーパ角度よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防食コア。
【請求項4】
前記肉薄部が、前記胴部における前記防食部材の配設位置まで形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の防食コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製流体管の管壁を穿孔し形成した穿孔部を防食するために嵌挿される防食コアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防食コアには、金属製流体管の管壁を穿孔し形成した穿孔部を防食するために用い、周方向に亘って連続した周面を有する胴部と、この胴部の外周側に位置する防食部材と、から構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−117572号公報(第5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の防食コアについて説明すると、先ず図5に示されるように、流体管1にカバー11を取付けた後に、カバー11のフランジ11aに接続した筐体35に対し、穿孔装置50を密封状に配設する。穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され筐体35内を流体管1に向け軸方向に伸出するとともに軸周りに回転する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1を穿設するカッタ部材52とから主に構成されており、カッタ部材52を流体管1の外面にアプローチして穿孔し、流体管1の管壁に穿孔部2を穿設する。穿孔部2の内周面2aは、流体管1を構成する金属材の素地が露出している。尚、上述した穿孔時において、先端のカッタ部材52の重みにより軸方向に延びた軸部材51が僅かに撓むことで、穿孔角度及び穿孔位置が設計位置より若干下方にずれる(ずれα)。
【0005】
続いて従来の防食コア100の穿孔部2への嵌挿について説明すると、図6(a)に示されるように、防食コア100は治具60に支持されており、この治具60の送り込みにより穿孔部2に対し嵌挿されるが、上述したように穿孔部2は穿孔角度ならびに穿孔位置が設計値から下方に向けてずれているため、管軸方向視における上方の先端部103aが穿孔部2の周縁部の上部2bに対し、より高い位置で当接することになる。
【0006】
図6(b)に示すように、上述した状態で治具60を更に穿孔部2に向けて送ると、上方の先端部103aが穿孔部2の周縁部の上部2bに誘導され、防食コア100が下向きに傾斜し、防食コア100が穿孔角度より深い角度で嵌挿される。また、胴部104は、一定の厚みであることから撓みにくく、防食コア100が全体に傾斜したまま穿孔部2に送り込まれ、防食部材102の端面102aが穿孔部2の周縁部の下部2cに引掛る。
【0007】
上述したように、穿孔角度ならびに穿孔位置が設計値からずれた穿孔部2に対して従来の防食コア100を嵌挿する場合、防食部材の端面102aが穿孔部2の外縁部に引掛ってしまうため、防食コア100の嵌設作業中に防食部材102が穿孔部2の外縁部により捲れ上げられてしまう虞がある。このため、穿孔部2の内周面全面に亘って防食部材102を当接させることができず、十分な防食効果を得られないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、穿孔部の穿孔角度若しくは穿孔位置が設計値からずれた場合であっても、防食部材を当該穿孔部の内周面全面に亘って当接可能な防食コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の防食コアは、
金属製流体管の管壁を穿孔し形成した穿孔部を防食するために治具に外嵌されて嵌挿される防食コアであって、
前記穿孔部の内周面に亘って当接する防食部材を備えた胴部と、流体管の内方に突出する先端部とを有し、前記先端部は、前記穿孔部よりも小径の先端縁から前記防食部材側に向けて穿孔部よりも漸次大径に拡径するテーパ面を備え、前記胴部の後端側の内周面よりも大径の内周面を有する肉薄部が、該胴部の先端側と前記先端部の先端縁とに架けて形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、防食コアの嵌挿の際、防食部材の端面は、先端部及び胴部における肉薄部が形成されている部位が穿孔部の内径方向に向けて撓むことで、穿孔部の周縁部を乗り越えることができるため、防食部材の端面が穿孔部の周縁部に引掛ることを防止できる。このため、穿孔角度若しくは穿孔位置が設計値からずれてしまっている場合であっても、確実に防食部材を穿孔部内周面に亘って当接させることができ、十分な防食効果を発揮することができる。また、肉薄部が防食コアの内周面に形成されているので、設計時において防食コアの外周面に手を加える必要無く肉薄部を形成することができるため、設計が容易である。
【0011】
本発明の防食コアは、
前記先端部のテーパ面のテーパ角度は、該先端部の全周に亘り略同じ角度に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、先端部のテーパ面のテーパ角度が、先端部の全周に亘り略同じ角度に形成されているため、テーパ面の周方向のいずれの箇所が穿孔部と当接しても、先端部にかかる負荷を局所集中させずに周方向に分散でき、均一な態様で縮径させることができる。
【0012】
本発明の防食コアは、
管軸方向における両側の前記先端部のテーパ面のテーパ角度が、管軸方向視における両側の前記先端部のテーパ面のテーパ角度よりも小さく形成されている
この特徴によれば、管軸方向視における穿孔部に穿孔角度若しくは穿孔位置のずれが生じた場合であっても、管軸方向における両側の先端部のテーパ面のテーパ角度が、比較的小さく形成されているため、当該テーパ面を穿孔部に対し緩やかに摺接させながら、摺接箇所に大きな負荷を与えることなくずれを漸次修正することができる。
【0013】
本発明の防食コアは、
前記肉薄部が、前記胴部における前記防食部材の配設位置まで形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、少なくとも防食部材の端面が穿孔部の内径方向へ撓むため、穿孔部の周縁部に引掛ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、実施例における防食コアの一部断面の側面図であり、(b)は、防食コアの一部断面の平面図であり、(c)は、防食コアの正面図である。
図2】(a)は、実施例における防食コアの穿孔部への設置工程が開始した状態を示す一部断面図であり、(b)は、防食コアの穿孔部への設置工程の途中の状態を示す一部断面図である。
図3】(a)は、変形例における防食コアの一部断面の側面図であり、(b)は、防食コアの一部断面の平面図であり、(c)は、防食コアの正面図である。
図4】(a)は、従来における防食コアの一部断面の側面図であり、(b)は、防食コアの一部断面の平面図であり、(c)は、防食コアの正面図である。
図5】穿孔部の穿孔工程を示す一部断面図である。
図6】(a)は、従来における防食コアの穿孔部への設置工程が開始した状態を示す一部断面図であり、(b)は、防食コアの穿孔部への設置工程の途中の状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る防食コアを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0016】
実施例に係る防食コアにつき、図1,2及び図5を参照して説明する。図2に示すように、本実施例の流体管1は、例えば、地中に埋設される上水道用のダクタイル鋳鉄製であり、断面視略円形状に形成され、防食処理として、内周面がモルタル層や防食塗料、粉体樹脂塗装等によって被覆されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製であってもよい。更に尚、流体管の内部を流れる流体は、例えば上水、工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。尚、以下、図2及び図5における紙面左方を鉛直上方として説明する。
【0017】
図1(a)〜(c)に示されるように、防食コア10は、後述のように流体管1(図2参照)の管壁を穿孔し形成した穿孔部2を防食するために用いる防食コアであって、穿孔部2の内周面に亘って当接する防食部材12を備えた胴部14と、流体管の内方に突出する先端部13とを有し、先端部13は、穿孔部2よりも小径の先端縁から防食部材12側に向けて穿孔部2よりも漸次大径に拡径するテーパ面17を備えている。また胴部14は、該胴部14より肉薄である肉薄部20が設けられており、肉薄部20は少なくとも胴部14の一部と、先端部13における嵌挿方向の端部とに架けて形成され、且つ防食コア10の内周面において凹状に形成されている。尚、肉薄部20の厚みは、胴部14の後端側の厚みの1/3から2/3になるように形成されることが望ましい。
【0018】
胴部14の後端側には、穿孔部2よりも十分に大径に形成される後端部18が延設されており、防食部材12は、後端部18と鍔部15との間に配置されることにより、嵌挿方向への過挿入が規制されるようになっている。
【0019】
上述した先端部13と胴部14及び後端部18は一体に形成されており、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ウレタン樹脂等の樹脂、或いはステンレス等の金属で形成されている。
【0020】
防食部材12は、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー等の比較的軟質の樹脂材から成り、この樹脂材と同等種の若しくは異種であって防食部材12よりも硬質の材料から成る胴部14の外周面に、図示しない接着部材により接着されており、その自然状態においては穿孔部2よりも大径で弾性を有し、胴部14よりも弾性変形し易く形成されている。尚、防食部材12はスチレン系熱可塑性エラストマーに限らず、軟質塩ビ、スチレン系及びオレフィン系等の軟質樹脂や、エンプラ、ブチルゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムなどの弾性体及びパテ、エポキシ樹脂系等の接着剤で形成されていてもよい。更に尚、防食部材12は、上記した接着部材を用いず、例えば胴部14の外周面に熱溶着されていてもよい。
【0021】
先端部13は、後述する流体管1に穿設された穿孔部2の曲面形状に沿うように曲面形状に形成され、穿孔部2よりも小径の先端縁から防食部材12側に向けて穿孔部2よりも自然状態において漸次大径に形成されたテーパ面17a,17b,17c及び17dを備えている。
【0022】
図1(a),(b)に示すように、先端部13の嵌挿方向端部の成す円弧R’の中心O’が、鍔部15の外周縁15aの成す円弧Rの中心Oよりも防食コア10に近いため、防食コア10各側の先端部13a,13b,13c及び13dのテーパ面17a,17b,17c及び17dのテーパ角度が、先端部13a,13b,13c及び13dの全周に亘り略同じ角度に形成されている。尚、上記したテーパ面17a,17b,17c及び17dのテーパ角度とは、各テーパ面17a,17b,17cまたは17dと、防食コア10の嵌挿方向の中心軸線Cを含む仮想面とが成す角度を意味する。
【0023】
次に、防食コア10の穿孔部2への嵌挿について説明する。先ず、図5に示すように、流体管1への穿孔について説明すると、流体管1にカバー11を取付けた後に、カバー11のフランジ11aに接続した筐体35に対し、穿孔装置50を密封状に配設する。穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され筐体35内を流体管1に向け軸方向に伸出するとともに軸周りに回転する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1を穿設するカッタ部材52とから主に構成されており、本実施例ではカッタ部材52を略水平方向に流体管1の外面にアプローチして穿孔し、流体管1の管壁に穿孔部2を穿設する。穿孔部2の内周面2aは、流体管1を構成する金属材の素地が露出している。尚、上述した穿孔時において、先端のカッタ部材52の重みにより軸方向に延びた軸部材51が僅かに撓むことで、穿孔角度及び穿孔位置が設計値よりも若干下方にずれる(ずれα)。
【0024】
図2(a)に示されるように、防食コア10は、取付け用の治具60により穿孔部2に対し取付けられるが、上述したように穿孔部2は穿孔角度及び穿孔位置が設計値よりも下方にずれており、且つ上記したカッタ部材52よりも軽量の防食コア10は設計値通りの穿孔位置に向けて導入されるため、防食コア10の上方の先端部13aが穿孔部2の周縁部の上部2bに設計位置よりも高い位置で当接する。
【0025】
図2(b)に示すように、上述した状態において治具60が更に穿孔部2に向けて送られることにより、上方の先端部13aが穿孔部2の周縁部の上部2bに誘導されて防食コア10が下向きに傾いて嵌挿される。
【0026】
また、防食部材の端面12aは、先端部13及び胴部14における肉薄部20が形成されている部位が穿孔部2の内径方向に向けて比較的柔軟に弾性変形して縮径することで、穿孔部2の周縁部の下部2cを乗り越えるようになっている。続いて、後端部18が穿孔部2の周縁部に当接するまで嵌挿され、穿孔部2に対する防食コア10の取付けが完了する。尚、流体管1内方に突出する先端部13の中心軸線C方向の突出長さは、流体管1内の流体への影響及び流体管1内を通過する洗管用のピグへの影響を極力抑えるために、流体管内面1aから5.5mm以内が望ましい。更に尚、上記したテーパ面17a,17b,17c及び17dを備えた先端部13aにおける胴部14側の最大外径は、流体管1の穿孔部2に確実に係止でき、且つ縮径可能に弾性変形できるように、穿孔部2の開口径よりも2mm以内に大径であることが望ましい。
【0027】
このように本発明の防食コア10は、流体管1の管壁を穿孔形成した穿孔部2を防食するために嵌挿される防食コアであって、穿孔部2の内周面に亘って当接する防食部材12を備えた胴部14と、流体管の内方に突出する先端部13とを有し、先端部13は、穿孔部2よりも小径の先端縁から防食部材12側に向けて穿孔部2よりも漸次大径に自然状態において形成されたテーパ面17aを備え、胴部14の後端側よりも肉薄である肉薄部20が、胴部14の先端側と先端部13の先端縁とに架けて形成されている。これによれば、防食コア10の嵌挿の際、防食部材12の端面12aは、先端部13及び胴部14における肉薄部20が形成されている部位が穿孔部2の内径方向に向けて撓むことで、穿孔部2の周縁部を乗り越えることができるため、防食部材12の端面12aが穿孔部2の周縁部に引掛ることを防止できる。このため、穿孔角度若しくは穿孔位置がずれてしまっている場合であっても、確実に防食部材102を穿孔部内周面に亘って当接させることができ、十分な防食効果を発揮することができる。
【0028】
また、肉薄部20は、防食コア10の内周面において凹状に形成されており、設計時において防食コアの外周面に手を加える必要無く肉薄部を形成することができるため、設計が容易である。
【0029】
また、防食コア10の先端部13の嵌挿方向端部の成す円弧R’の中心O’が、鍔部15の外周縁15aの成す円弧Rの中心Oよりも防食コア10に近く、各側の先端部13a,13b,13c及び13dのテーパ面17a,17b,17c及び17dのテーパ角度が、先端部13a,13b,13c及び13dの全周に亘り略同じ角度に形成されているため、テーパ面17a,17b,17c及び17dの周方向のいずれの箇所が穿孔部2と当接しても、先端部13a,13b,13c及び13dにかかる負荷を局所集中させずに周方向に分散でき、均一な態様で弾性変形して縮径させることができる。
【0030】
更に、防食コア10の先端部13の嵌挿方向端部の成す円弧R’の中心O’が、鍔部15の外周縁15aの成す円弧Rの中心Oよりも防食コア10に近く、各側の先端部13a,13b,13c及び13dのテーパ面17a,17b,17c及び17dを長く形成できるため、テーパ面17a,17b,17c及び17dが穿孔部2と摺接する長さを大きく採ることができ、摺接の際に急激にかかる負荷を低減できる。
【0031】
また、肉薄部20が胴部14における防食部材12の配設位置まで形成されているため、少なくとも防食部材12の端面12aが穿孔部2の内径方向へ撓むため、穿孔部2の周縁部に引掛ることを防止できる。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0033】
例えば本発明の変形例として図3(a)〜(c)に示されるように、防食コア10’の先端部13’の嵌挿方向端部の成す円弧の中心Qと、鍔部15の外周縁15aの成す円弧の中心Q’とを同心とすることで、管軸方向における両側の先端部13c’,13d’のテーパ面17c’,17d’のテーパ角度が、管軸方向視における両側の先端部13a’,13b’のテーパ面17a’,17b’のテーパ角度よりも小さく形成されても構わない。これによれば、管軸方向視における穿孔部2に穿孔角度若しくは穿孔位置のずれが生じた場合であっても、管軸方向における両側の先端部13c’,13d’のテーパ面17c’,17d’のテーパ角度が、比較的小さく形成されているため、当該テーパ面17c’,17d’を穿孔部2に対し緩やかに摺接させながら、摺接箇所に大きな負荷を与えることなくずれを漸次修正することができる。
【0034】
また例えば、管軸方向視における両側の先端部13a,13bのテーパ面17a,17bのテーパ角度が、管軸方向両側の先端部13c,13dのテーパ面17c,17dのテーパ角度よりも小さく形成されるようにしてもよく、この場合、管軸方向視における穿孔部2の上下方向に穿孔角度及び穿孔位置のずれが生じた場合において、管軸方向視における両側の先端部13a,13bの穿孔部2の内径方向への撓み量を大きくすることができるため、防食コア10の嵌挿が容易である。
【0035】
また例えば、本実施例の肉薄部20は、防食コア10の内周面に設けられているが、本発明の肉薄部は、例えば防食コアの内周面に替えて若しくは加えて、防食コアの外周面に設けられていてもよい。更に例えば、本実施例の肉薄部20は、防食コア10の先端部13の先端縁と胴部14の先端側とに架けて形成されているが、本発明の肉薄部は、例えば防食コアの軸方向に亘り形成されていてもよいし、複数箇所に点在していても構わない。
【0036】
また、流体管1への穿孔の際、穿孔角度及び穿孔位置等様々な原因により、多様なずれαが考えられるが、本発明の防食コア10は、先端部13及び胴部14における肉薄部20が形成されている部位が弾性変形して縮径することで、穿孔部2の周縁部の下部2cを乗り越える態様であるため、多様なずれαが生じた穿孔部2に対応し、確実に防食部材102を穿孔部内周面に亘って当接させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 流体管
2 穿孔部
2a 穿孔部の内周面
2b 穿孔部の周縁部の上部
2c 穿孔部の周縁部の下部
10,10’,100 防食コア
12,12’,102 防食部材
12a,102a 防食部材の端面
13,13’,103 先端部
13a,13a’ 管軸方向視上方の先端部
13b,13b’ 管軸方向視下方の先端部
13c,13c’ 管軸方向の先端部
13d,13d’ 管軸方向の先端部
14,14’,104 胴部
15 鍔部
15a 鍔部の外周縁
17a〜17d テーパ面
17a’〜17d’ テーパ面
18,18’,105 後端部
20,20’ 肉薄部
35 筐体
52 カッタ部材
60 治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6