特許第5872950号(P5872950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872950
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】イプフェンカルバゾン含有粒状組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/12 20060101AFI20160216BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20160216BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20160216BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A01N25/12 101
   A01N43/653 Q
   A01P13/00
   A01N25/30
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-96502(P2012-96502)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-224271(P2013-224271A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242002
【氏名又は名称】北興化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秋山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】蛎崎 洋
(72)【発明者】
【氏名】黒津 裕一
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 佳彦
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−183106(JP,A)
【文献】 特開2009−184969(JP,A)
【文献】 特開2003−238315(JP,A)
【文献】 特開昭63−066101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(イプフェンカルバゾン)、製剤100重量部中の添加量が0.01〜10重量部である陰イオン性界面活性剤、および水を含有し、イプフェンカルバゾンの平均粒子径を1.0μm以下に湿式粉砕されてなる粉砕液、結合剤、固体担体とが、混合されてなる造粒物であることを特徴とする粒状組成物。
【請求項2】
陰イオン性界面活性剤が、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリカルボン酸塩、ラウリル硫酸塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粒状組成物。
【請求項3】
固体担体が、クレー、炭酸カルシウム、珪藻土、パーライト粉砕物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の粒状組成物。
【請求項4】
結合剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粒状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(以下、イプフェンカルバゾンと称す)を含有する粒状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水面施用する農薬の剤型としては、ドリフトが少なく使用上安全であること、そのまま手軽に散布できることなどから粒剤が主に使用されてきた。また、近年では、散布作業の省力化などを目的に、従来10アール当たり3〜4kg散布していた粒剤を、1kgに減量した粒剤(1kg粒剤)の開発が主に行われている。1kg粒剤は、従来の3〜4kg処理粒剤に比べ粒剤中に含有する有効成分量は3〜4倍となるが、粒剤自体の処理量は1/3〜1/4になるため、水田中に処理される粒剤の粒数が少なくなり、安定的な生物効果の確保のためには、水田へ散布された後に有効成分が速やかに田面水中に放出される必要がある。そこで、粒剤中の有効成分を水中へ放出させる技術としては、種々の検討がなされている。
【0003】
特開昭63−66101号公報(特許文献1)では、0.5μm以下の粒径を有する粒子が50重量%以上である微粒子化殺生剤および特定の分散剤を含有する粒状物で、該粒状物の平均粒径が0.1〜5mm、嵩比重が0.25〜1.30g/cmであることを特徴とする殺生用粒剤組成物が提案されている。
【0004】
特開平5−17303号公報(特許文献2)では、水溶解度100ppm以下である固体除草活性成分を水もしくは高沸点の親水性媒体中で湿式粉砕して得られるスラリーと、鉱物質微粉および界面活性剤との混合物を押出し造粒することにより得られる水田用除草粒剤が提案されている。
【0005】
特開2009−184969号公報(特許文献3)では、ポリオキシアルキレンアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアリルエーテルのリン酸エステルおよび硫酸エステル、並びにポリオキシアルキレンアリルエーテルのリン酸エステル塩および硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤の存在下で、メジアン径0.5μm以下まで粉砕された水溶解度0.5ppm以下の固体の農薬有効成分、およびリグニンスルホン酸塩とアルキルナフタレンスルホン酸塩の縮合物の少なくともいずれかを含有する湿式粉砕物と、無機鉱物質とを使用した農薬粒剤が提案されている。
【0006】
また、有効成分を湿式粉砕し粒剤を調製する技術として、特開平3−146126号公報(特許文献4)では、湿式粉砕の効率向上および造粒性改良を目的に、水に難溶性の固体活性成分を水中で湿式粉砕してスラリー状となし、これを鉱物性微粉末担体と混合して押し出し造粒するに際し、粉砕時の分散剤ならびに造粒性改良剤としてモノ、ジまたはトリアルキルナフタレンスルホン酸塩を含有することを特徴とする非医療用粒剤の製造方法が提案されている。
【0007】
また、イプフェンカルバゾンを含有する粒剤の技術として、特開2003−146812号公報(特許文献5)では、平均粒子径5μm以下のイプフェンカルバゾン、界面活性剤、担体(炭酸カルシウムが好ましい)からなる農薬粒剤が提案されている。
【0008】
しかしながら、上記した特許文献1〜5の技術においても、イプフェンカルバゾンの水溶解度が低い、また、担体への吸着性が高いなどの性質から、イプフェンカルバゾンを含有した粒剤の場合は、水田へ処理された時に、粒剤からイプフェンカルバゾンが水田中に放出されにくく、特に散布ムラが発生し所定量より粒剤の処理量が少なくなってしまった地点では、本来持っている優れた除草効果が得られないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−66101号公報
【特許文献2】特開平5−17303号公報
【特許文献3】特開2009−184969号公報
【特許文献4】特開平3−146126号公報
【特許文献5】特開2003−146812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、イプフェンカルバゾンを含有する粒剤において、粒剤散布後、イプフェンカルバゾンが速やかに粒剤から放出され、仮に粒剤の散布ムラにより処理量が所定量より少なくなってしまった地点においても、優れた除草効果を発揮する粒状組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究した。その結果、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(イプフェンカルバゾン)、陰イオン性界面活性剤、および水を含有し平均粒子径1.0μm以下に湿式粉砕した粉砕液を、結合剤、固体担体と混合し、造粒することにより得られることを特徴とする粒状組成物が、仮に粒剤の散布ムラがあったとしても、優れた除草効果を発揮することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下の内容をその要旨とするものである。
〔1〕1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(イプフェンカルバゾン)、製剤100重量部中の添加量が0.01〜10重量部である陰イオン性界面活性剤、および水を含有し、イプフェンカルバゾンの平均粒子径を1.0μm以下に湿式粉砕した粉砕液を、結合剤、固体担体と混合し、造粒することにより得られることを特徴とする粒状組成物。
〔2〕陰イオン性界面活性剤が、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリカルボン酸塩、ラウリル硫酸塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする〔1〕に記載の粒状組成物。
〔3〕固体担体が、クレー、炭酸カルシウム、珪藻土、パーライト粉砕物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の粒状組成物。
〔4〕結合剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粒状組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粒状組成物は、イプフェンカルバゾンが粒剤から速やかに放出され、仮に粒剤の散布ムラにより処理量が所定量より少なくなってしまった地点においても、優れた除草効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の粒状組成物について詳細に説明する。本発明の粒状組成物を構成する成分、製剤の調製方法、製剤の使用態様などは以下のとおりである。
<構成成分>
(1)1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(イプフェンカルバゾン)
本発明で使用されるイプフェンカルバゾンは、国際公開特許WO98/38176号公報に記載されているものであり、タイヌビエをはじめとする一年生雑草などに広い殺草スペクトルを有するものである。
【0015】
(2)陰イオン性界面活性剤
本発明において、イプフェンカルバゾンの粉砕は、イプフェンカルバゾンとともに陰イオン性界面活性剤および水を含有した状態で湿式粉砕しなければならない。なぜなら、イプフェンカルバゾンを水のみで、あるいは陰イオン性界面活性剤を含有しない状態で湿式粉砕し、結合剤、固体担体と混合、造粒する時に陰イオン性界面活性剤を添加した粒状組成物よりも、イプフェンカルバゾンを陰イオン性界面活性剤含有した状態で湿式粉砕し、結合剤、固体担体と混合し造粒した粒状組成物の方が、イプフェンカルバゾンの放出性が優れるためである。陰イオン性界面活性剤とともに湿式粉砕した粒状組成物からのイプフェンカルバゾンの放出性が優れる理由は定かではないが、陰イオン性界面活性剤とともに湿式粉砕することで、イプフェンカルバゾンに陰イオン性界面活性剤が効率よく吸着されるため優れた放出性が得られたのではないかと推測される。
【0016】
本発明で使用できる陰イオン性界面活性剤としては、アルキルナフタレンスルホン酸塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸エステル塩、パラフィン(アルカン)スルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル、脂肪酸塩、N−メチル・脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンモノまたはジアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーリン酸エステル塩、ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキルリン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられるが、本発明で使用できる陰イオン性界面活性剤は上記の例示のみに限定されるものではなく、また、湿式粉砕液中に1種または2種以上添加してもかまわない。なお、粒剤からのイプフェンカルバゾンの速やかな放出性の面から、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリカルボン酸塩、ラウリル硫酸塩が好ましい。
【0017】
本発明で使用できる陰イオン性界面活性剤の製剤中(粒状組成物中)の添加量は、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。添加量が0.01重量%未満になると、粒剤からのイプフェンカルバゾンの放出性が悪くなり除草効果が不安定になるという問題が生じ、10重量%を超えると奏される効果が頭打ち傾向になることのほかに、コスト面でも不利となる。
【0018】
(3)固体担体
本発明で使用できる固体担体は、無機担体または有機担体のいずれでもかまわない。無機担体の例としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ジークライト、セリサイト、酸性白土、活性白土、珪藻土、軽石、ゼオライト、バーミキュライト、ホワイトカーボン、塩化カリウム、ベントナイト、セピオライト、パーライト粉砕物などが挙げられ、有機担体の例としては、パルプ、モミガラ、グルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、ラクトースなどが挙げられるが、本発明で使用できる固体担体は上記の例示のみに限定されるものではなく、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。なお、粒剤からのイプフェンカルバゾンの速やかな放出性の面から、クレー、炭酸カルシウム、珪藻土、パーライト粉砕物が好ましい。
【0019】
(4)結合剤
本発明で使用できる結合剤は、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルデンプン、デキストリン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、マンナン、ペクチン、トラガントガム、マンニット、ソルビトール、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられるが、本発明で使用できる結合剤は上記の例示のみに限定されるものではなく、1種または2種以上を併用してもかまわない。
【0020】
なお、粒剤からのイプフェンカルバゾンの速やかな放出性の面から、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンが好ましい。
本発明で使用できる結合剤の製剤中(粒状組成物中)の添加量は特に限定されないが、粒剤からのイプフェンカルバゾンの速やかな放出性の面、および粒剤の硬度や製造のしやすさの面から、0.05〜10重量%が好ましい。
【0021】
(5)その他の成分
本発明の粒状組成物には、上記した必須成分のほかに、必要に応じて以下のような成分を添加してもよい。
湿式粉砕液中に非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を添加してもかまわない。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアリルエーテルなどが挙げられ、陽イオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられ、両性界面活性剤としては、ジアルキルジアミノエチルベタイン、アルキルジメチルベンジルベタインなどが挙げられる。また、湿式粉砕液中以外に、前記した陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を添加して、粒状組成物中に含有させてもよい。なお、本発明で使用できる界面活性剤としてはこれらの例示のみに限定されるものではなく、1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。
【0022】
また、イプフェンカルバゾン以外の農薬活性成分を添加してもかまわない。殺虫剤の例としては、有機リン系、カーバメート系、ネオニコチノイド系、ピレスロイド系、マクロライド系、クロロニコチニル系、ピリジンアゾメチン系、チオウレア系、オキサダイアジン系、フェニルピラゾール系、ネライストキシン系、ベンゾイルヒドラジド系およびベンゾイルフェニル尿素系の殺虫剤、天然殺虫剤、殺ダニ剤、生物農薬などが挙げられる。殺菌剤の例としては、無機銅類、有機銅類、無機硫黄剤、有機硫黄剤、有機リン系、フタリド系、ベンゾイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、酸アミド系、トリアゾール系、イミダゾール系、メトキシアクリレート系、ストロビルリン系、アニリノピリミジン系、ジチオラン系、キノキサリン系、アミノピリミジン系、フェニルピロール系、トリアジン系、シアノアセトアミド系、グアニジン系、ヒドロキシアニリド系の殺菌剤、抗生物質系殺菌剤、天然物殺菌剤、生物農薬などが挙げられる。除草剤の例としては、フェノキシ酸系、カーバメート系、酸アミド系、尿素系、スルホニルウレア系、ピリミジルオキシ安息香酸系、トリアジン系、ダイアジン系、ダイアゾール系、ビピリジリウム系、ジニトロアニリン系、芳香族カルボン酸系、脂肪酸系、アミノ酸系、ニトリル系、シクロヘキサンジオン系、フェニルフタルイミド系、有機リン系、シネオール系、インダンジオン系、ベンゾフラン系、トリアゾロピリミジン系、オキサジノン系、アリルトリアゾリノン系、イソウラゾール系、ピリミジニルチオフタリド系、トリケトン系、無機除草剤、生物農薬などが挙げられる。
【0023】
なお、これらに含まれる個々の具体的な農薬活性成分は、例えば「農薬ハンドブック2011年版」(社団法人 日本植物防疫協会、平成23年2月25日発行)、「SHIBUYA INDEX 9th Edition」(平成13年12月15日発行)、「The Pesticide Manual Eleventh Edition」(British Crop Protection Council 発行)などに記載されており、また、上記以外の公知あるいは、今後開発される農薬活性成分を適用することもできる。
【0024】
また、溶剤、消泡剤としてシリコーン系、脂肪酸系物質など、防腐防黴剤としてソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラクロロ−メタキシレノール、パラオキシ安息香酸ブチル、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなど、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、効果増強剤などを湿式粉砕液中または湿式粉砕液中とは別に添加し、粒状組成物中に含有させても良い。
なお、本発明には、上記した以外の成分を添加しても何ら問題ない。
【0025】
<平均粒子径1.0μm以下>
本発明では、イプフェンカルバゾンを湿式粉砕により、平均粒子径1.0μm以下に粉砕する必要がある。平均粒子径が1.0μmより大きい場合は、粒剤からのイプフェンカルバゾンの放出性が悪くなり除草効果が不安定になるという問題が生じるためである。なお、粒剤からのイプフェンカルバゾンの放出性をより良くするためには、平均粒子径を0.5μm以下とすることが望ましい。
【0026】
また、イプフェンカルバゾンをハンマーミルなどの衝撃力により粉砕する方法や、ジェットミルなどの流体エネルギーで粒子を衝突させて粉砕する方法などの乾式粉砕法では平均粒子径を1.0μm以下にすることが技術的に困難であること、また、仮に平均粒子径を1.0μm以下に調製できたとしても、粒剤からのイプフェンカルバゾンの放出性が、湿式粉砕を用いて調製された粒剤に比べ悪くなり除草効果が不安定となるため、イプフェンカルバゾンは陰イオン性界面活性剤、水を含有した状態で湿式粉砕にて平均粒子径1.0μm以下にする必要がある。
【0027】
イプフェンカルバゾンを平均粒子径1.0μm以下に湿式粉砕する方法としては、イプフェンカルバゾン、陰イオン性界面活性剤、水、必要があればその他の成分を混合し得られた懸濁液を、微小形のガラス製あるいはセラミック製のビーズなどとともに高速攪拌し粉砕する方法などが挙げられる。
湿式粉砕液中のイプフェンカルバゾンの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置等で測定し、粒子の体積中位径として求めることができる。
【0028】
<粒状組成物の調製方法>
本発明の粒状組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば次の方法によって調製できる。
イプフェンカルバゾン、陰イオン性界面活性剤、水、必要があればその他の成分を混合後、微小形のガラス製あるいはセラミック製のビーズなどで高速攪拌し、イプフェンカルバゾンを平均粒子径1.0μm以下に湿式粉砕する。得られた湿式粉砕液、結合剤、固体担体、必要があればその他の成分を添加し混合後、必要に応じて加水し、混練後、押し出し造粒機を用いて造粒する。その後、乾燥、整粒、篩別し、本発明の粒状組成物を得る。
また、得られた湿式粉砕液、結合剤、固体担体、必要があればその他の成分を混合後、加水しながら転動造粒機にて造粒して乾燥後、整粒することで製造してもよく、得られた湿式粉砕液、結合剤、固体担体、必要があればその他の成分を水に分散させ、噴霧乾燥造粒機により製造してもよい。
【0029】
<粒状組成物の使用態様>
本発明の粒状組成物は、通常の水面施用農薬粒剤と同様に水田に処理することができる。手での散粒や、人力散粒機や動力散粒機などの散粒機を使用して水田へ施用することができる。また、航空機や有人ヘリコプター、無線誘導式無人ヘリコプターなどの使用や、田植機に装着された機械から田植と同時に水田へ散粒することもできる。
本発明における粒状組成物の水田への施用量は、特に限定されないが、通常10aあたり300g〜4kg、省力的に施用する点から、好ましくは10aあたり300g〜1.5kgで処理することが望ましい。
【0030】
また、水田以外にも、畑や非農耕地に使用することもできる。
次に、実施例で本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。従って、湿式粉砕液中の陰イオン性界面活性剤、結合剤、固体担体の種類を前述した種々のものに置き換えて、以下の実施例と同様な方法で調製することにより、イプフェンカルバゾンが粒剤から速やかに放出され、仮に粒剤の散布ムラにより処理量が所定量より少なくなってしまった地点においても、優れた除草効果を発揮する粒状組成物とすることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び試験例を以って、本発明の有用性について具体的に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」とあるのは、すべて重量部を示す。
また、湿式粉砕液中のイプフェンカルバゾンの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950(株式会社堀場製作所製)で測定し、粒子の体積中位径として求めた。
【0032】
〔実施例1〕
水7.50部にアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部、イプフェンカルバゾン2.50部を加え、スリーワンモーター(HEIDON社製)でよく攪拌して混合した後、セラミック製ビーズを用いてダイノミル MULTI LAB(WAB社製)にて湿式粉砕し、平均粒子径0.7μmの粉砕液を得た。得られた粉砕液を、予めハンマーミル(株式会社ダルトン製)で混合したカルボキシメチルセルロースナトリウム2.00部、クレー94.00部、ラウリル硫酸塩0.50部の混合物に添加後、さらに水を4.00部添加し、双腕ニーダー(株式会社ダルトン製)で混練混合する。次に、1.2mm径のスクリーンを付けた押し出し造粒機(日本薬業株式会社製)で造粒し、さらに流動層乾燥機(株式会社ダルトン製)で乾燥し、目開き1.4mmと0.85mmの篩を用いて篩別し、本発明の粒状組成物を得た。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1のアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部をβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩1.00部に置き換えた以外は実施例1に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0034】
〔実施例3〕
実施例1のアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部をリグニンスルホン酸塩1.00部に置き換えた以外は実施例1に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0035】
〔実施例4〕
実施例1のアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部をポリカルボン酸塩1.00部に置き換えた以外は実施例1に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0036】
〔実施例5〕
実施例1のアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部をラウリル硫酸塩1.00部に置き換えた以外は実施例1に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0037】
〔実施例6〕
実施例1のアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部をジアルキルスルホコハク酸塩1.00部に置き換えた以外は実施例1に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0038】
〔実施例7〕
実施例2の湿式粉砕液の平均粒子径を0.3μmとした以外は実施例2に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0039】
〔実施例8〕
実施例2の湿式粉砕液の平均粒子径を0.9μmとした以外は実施例2に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0040】
〔実施例9〕
水7.00部にβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩0.10部、イプフェンカルバゾン2.50部を加え、スリーワンモーターでよく攪拌して混合した後、硬質ガラス製ビーズを用いてダイノミル MULTI LABにて湿式粉砕し、平均粒子径0.7μmの粉砕液を得た。得られた粉砕液を、予めハンマーミルで混合したデキストリン2.00部、炭酸カルシウム94.40部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル1.00部の混合物に添加後、さらに水を4.00部添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次に、1.0mm径のスクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒し、さらに流動層乾燥機で乾燥し、目開き1.18mmと0.71mmの篩を用いて篩別し、本発明の粒状組成物を得た。
【0041】
〔実施例10〕
実施例9のβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩0.10部を0.01部、炭酸カルシウム94.40部を94.49部とした以外は実施例9に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0042】
〔実施例11〕
実施例9のβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩0.10部を6.00部、炭酸カルシウム94.40部を88.50部とした以外は実施例9に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0043】
〔実施例12〕
水7.50部にβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩1.00部、イプフェンカルバゾン2.50部を加え、スリーワンモーターでよく攪拌して混合した後、セラミック製ビーズを用いてダイノミル MULTI LABにて湿式粉砕し、平均粒子径0.6μmの粉砕液を得た。得られた粉砕液を、予めハンマーミルで混合したメチルセルロース3.00部、珪藻土30.00部、クレー62.50部、ジアルキルスルホコハク酸塩1.00部の混合物に添加後、さらに水を10.00部添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次に、1.2mm径のスクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒し、さらに流動層乾燥機で乾燥し、目開き1.4mmと0.85mmの篩を用いて篩別し、本発明の粒状組成物を得た。
【0044】
〔実施例13〕
実施例12のメチルセルロース3.00部をヒドロキシプロピルメチルセルロース3.00部に置き換えた以外は実施例12に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0045】
〔実施例14〕
実施例12のメチルセルロース3.00部をポリビニルアルコール3.00部に置き換えた以外は実施例12に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0046】
〔実施例15〕
実施例12のメチルセルロース3.00部をアラビアガム3.00部に置き換えた以外は実施例12に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0047】
〔実施例16〕
水7.00部にポリカルボン酸塩0.30部、イプフェンカルバゾン2.50部を加え、スリーワンモーターでよく攪拌して混合した後、セラミック製ビーズを用いてダイノミル MULTI LABにて湿式粉砕し、平均粒子径0.7μmの粉砕液を得た。得られた粉砕液を、予めハンマーミルで混合したメチルセルロース3.00部、ベントナイト40.00部、タルク52.70部、ラウリル硫酸塩1.50部の混合物に添加後、さらに水を9.00部添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次に、1.2mm径のスクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒し、さらに流動層乾燥機で乾燥し、目開き1.4mmと0.85mmの篩を用いて篩別し、本発明の粒状組成物を得た。
【0048】
〔実施例17〕
実施例16のベントナイト40.0部、タルク52.70部をパーライト粉砕物20.00部、炭酸カルシウム72.70部に置き換えた以外は実施例16に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0049】
〔実施例18〕
実施例16のベントナイト40.0部、タルク52.70部を珪藻土20.00部、クレー72.70部に置き換えた以外は実施例16に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0050】
〔実施例19〕
実施例16のベントナイト40.0部、タルク52.70部をセピオライト92.70部に置き換えた以外は実施例16に準じて調製し、本発明の粒状組成物を得た。
【0051】
〔比較例1〕
実施例1のアルキルナフタレンスルホン酸塩1.00部をポリオキシエチレンアルキルエーテル0.30部に置き換え、クレー94.00を94.70部とした以外は実施例1に準じて調製し、粒状組成物を得た。
【0052】
〔比較例2〕
実施例9のβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩0.10部をポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル0.10部に置き換えた以外は実施例9に準じて調製し、粒状組成物を得た。
【0053】
〔比較例3〕
実施例2の湿式粉砕液の平均粒子径を1.3μmとした以外は実施例2に準じて調製し、粒状組成物を得た。
【0054】
〔比較例4〕
水7.50部にポリオキシアルキレンアリルエーテル0.30部、イプフェンカルバゾン2.50部を加え、スリーワンモーターでよく攪拌して混合した後、セラミック製ビーズを用いてダイノミル MULTI LABにて湿式粉砕し、平均粒子径0.6μmの粉砕液を得た。得られた粉砕液を、予めハンマーミルで混合したカルボキシメチルセルロースナトリウム3.00部、珪藻土30.00部、クレー62.70部、リグニンスルホン酸塩0.50部、ジアルキルスルホコハク酸塩1.00部の混合物に添加後、さらに水を10.00部添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次に、1.2mm径のスクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒し、さらに流動層乾燥機で乾燥し、目開き1.4mmと0.85mmの篩を用いて篩別し、粒状組成物を得た。
【0055】
〔比較例5〕
実施例16のメチルセルロースを除き、タルク52.70部を55.70部とした以外は実施例16に準じて調製し、粒状組成物を得た。
【0056】
〔比較例6〕
実施例9のβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩0.10部を0.005部、炭酸カルシウム94.40部を94.495部とした以外は実施例9に準じて調製し、粒状組成物を得た。
【0057】
〔比較例7〕
Jet粉砕機(株式会社セイシン企業製)にて平均粒子径1.0μmに乾式粉砕したイプフェンカルバゾン2.50部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.00部、クレー94.00部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩1.00部、ラウリル硫酸塩0.50部をハンマーミルにて混合後、この混合物に水を11.0部添加し、双腕ニーダーで混練混合する。次に、1.2mm径のスクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒し、さらに流動層乾燥機で乾燥し、目開き1.4mmと0.85mmの篩を用いて篩別し、粒状組成物を得た。
【0058】
次に、試験例により、本発明の粒状組成物の有用性を示す。
<試験例1 イプフェンカルバゾンの水中放出性試験>
腰高シャーレ(φ14.5cm)に500mlの10度硬水を入れ(水深は3cmとなる)、15℃の恒温室に静置する。ここに、所定量の粒状組成物(16.5mg)を散粒し、静置する。24時間静置後、腰高シャーレ内の10ケ所より水をサンプリングし、すべてをよく混合し、イプフェンカルバゾン量を分析し、下記式にてイプフェンカルバゾンの水中放出率を求めた。結果は表1、2に示す。
【0059】
【数1】
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
<試験例2 イプフェンカルバゾンの除草効果試験>
水田圃場を1m×1m(1平方メートル)に区画し、水深3cmに保ち、タイヌビエの種子5gを土壌表層に播種した。タイヌビエ3.0葉期時に所定量(通常量)の粒状組成物(1g)および所定(通常)の半量の粒状組成物(0.5g)を各区画に均一散布した。粒状組成物散布40日後に残存するタイヌビエを抜き取って生重量(g)を測定し、次式により除草効果を求めた。結果は表1、2に示す。
【0063】
【数2】
【0064】
なお、所定(通常)の半量での試験は、実際の水田圃場で起こり得る可能性がある粒剤の散布ムラにより、処理量が所定量より少なくなってしまった地点を想定した試験である。
【0065】
表1、2に記載された結果から明らかなように、実施例1〜19の水中放出率は36〜55%であるのに対し、比較例1〜7の水中放出率は16〜30%であった。また、実施例1〜19の通常量処理の除草効果は99〜100%、半量処理の除草効果は91〜100%であるのに対し、比較例1〜7の通常量処理の除草効果は91〜98%、半量処理の除草効果は62〜85%であり、特に半量処理での除草効果に顕著な差が認められた。