(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
100℃から200℃での熱線膨張係数が0〜23ppm/℃であるポリイミドフィルム(1)の一方の表面上に、ガスバリア層(2)を積層してなるガスバリア性積層ポリイミドフィルムにおいて、前記ガスバリア層(2)はガラスペーストを塗布、焼成することで得られることを特徴とするガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
ポリイミドフィルム(1)がアルコキシ基含有シラン変性ブロック共重合型ポリアミック酸(b)を熱硬化して得られるブロック共重合ポリイミド−シリカハイブリッドフィルムである請求項1または2に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
アルコキシ基含有シラン変性ブロック共重合型ポリアミック酸(b)を構成するジアミンの30〜100モル%がp−フェニレンジアミンである請求項3に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
アルコキシ基含有シラン変性ブロック共重合型ポリアミック酸(b)を構成するジアミンの60〜100モル%がp−フェニレンジアミンである請求項4に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
前記ガラスペーストは、乾燥時の25℃〜350℃における熱線膨張係数が3〜15ppm/℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム上に、更にポリアミック酸ワニス(3)を塗布、硬化することを特徴とするガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルムの、ガスバリア層(2)が積層されている面とは反対側のポリイミドフィルム(1)面又はガスバリア層(2)面上に更にポリアミック酸ワニス(3)を塗布、硬化して形成されたポリイミドフィルム面に、厚さ0.01μm〜10μmの機能性薄膜層が積層されている機能性薄膜層積層ガスバリア性積層ポリイミドフィルム。
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム又は請求項8に記載の機能性薄膜層積層ガスバリア性積層ポリイミドフィルムを用いて得られた情報表示装置。
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のガスバリア性積層ポリイミドフィルム又は請求項8に記載の機能性薄膜層積層ガスバリア性積層ポリイミドフィルムを用いて得られた太陽電池。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のガスバリア性積層ポリイミドフィルムは、100℃から200℃での熱線膨張係数が0〜23ppm/℃であるポリイミドフィルム(1)の一方の表面上に、ガスバリア層(2)を積層してなるガスバリア性積層ポリイミドフィルムにおいて、前記ガスバリア層(2)はガラスペーストを塗布、焼成することで得られることを特徴とするガスバリア性積層ポリイミドフィルムである。
【0013】
本発明に用いるポリイミドフィルム(1)としては、100℃から200℃での熱線膨張係数が0〜23ppm/℃の条件を満たす(100℃から200℃の特定温度範囲のいずれの測定点においても熱線膨張係数が0〜23ppm/℃の条件を満たすことを意味する)非熱可塑性ポリイミドフィルムであれば特に制限はなく、従来公知のポリイミドフィルムをそのまま使用することができる。熱線膨張係数が23ppm/℃を超える場合や0ppm/℃未満の場合には、ガスバリア層の積層時に反りが生じるため好ましくない。なお、熱線膨張係数は、0〜9ppmとすることが好ましい。ここで熱線膨張係数とは熱機械分析装置(チャック間距離:20mm、試片の幅:4mm、荷重:10mg、昇温レート:10℃/minの引張モード)を用いて測定した100℃〜200℃の値を意味する。
【0014】
このようなポリイミドフィルムの作製方法としては、たとえば、特開平5−70590号公報、特開2000−119419号公報、特開2007−56198号公報、特開2005−68408号公報等に記載の公知の方法が挙げられる。また市販のポリイミドフィルムとしては、東洋紡績(株)製のXENOMAX、荒川化学工業(株)製のポミランT、ポミランNなどを挙げることができる。上記ポリイミドフィルムの中でも、ガスバリア層との密着性、寸法安定性が良好なことから、ポリイミド−シリカハイブリッドフィルム(荒川化学工業(株)製 商品名 ポミランT)が最も好ましい。
【0015】
前記のポリイミド−シリカハイブリッドフィルムは、特開2005−68408号公報の方法によって、アルコキシ基含有シラン変性ブロック共重合型ポリアミック酸を熱硬化して得られる。アルコキシ基含有シラン変性ブロック共重合型ポリアミック酸(a)(以下、(a)成分ということがある)は、たとえば、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンを反応させて得られるポリアミック酸(b)(以下、(b)成分ということがある)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(d)(以下、(d)成分ということがある)を反応させて得られるシラン変性ポリアミック酸(c)(以下、(c)成分ということがある)に、別途、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン類を反応させることにより得られるポリアミック酸(e)(以下、(e)成分ということがある)を混合し、縮合させることにより得られる。(c)成分のセグメントはアルコキシシラン部分縮合物を側鎖に持ち、ゾル−ゲル反応によってシリカを形成する。また(e)成分のセグメントは、シリカを有さず、ポリイミド−シリカハイブリッドフィルムの高弾性率、低熱膨張性の発現に寄与する。この時、(a)成分を構成するテトラカルボン酸二無水物とジアミンは、熱線膨張係数が0〜23ppm/℃となるようにそれらの種類と使用量を調整すれば、従来公知のものを使用することが可能である。
【0016】
(a)成分の縮合反応、(b)成分及び(e)成分の調製に用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物などを例示できる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0017】
また(a)成分の縮合反応、(b)成分及び(e)成分の調製に用いるジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミノトルエン、イソホロンジアミン、4−(2−アミノフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−アミノフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、2−アミノ−4−(4−アミノフェニル)チアゾール、2−アミノ−4−フェニル−5−(4−アミノフェニル)チアゾール、ベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、オクタフルオロベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,6−ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどを例示できる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。これらのジアミン類の中でも、特にp−フェニレンジアミンが熱線膨張係数を低下させるのに有効であることから、(a)成分中に含まれるジアミンの30〜100モル%程度をp−フェニレンジアミンとすることが好ましく、特に60〜100モル%をp−フェニレンジアミンとすることが好ましい。
【0018】
(b)成分及び(e)成分は、上記テトラカルボン酸類とジアミン類を、(テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類をモル数)=0.5〜2.0の範囲で、極性溶剤中で反応させたポリアミック酸溶液を経て得られる。(b)成分及び(e)成分は、生成するポリアミック酸及び後述するエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物を溶解する有機溶剤中で、ポリイミド換算固形残分5〜60%で製造することが好ましい。ここでポリイミド換算固形残分とは、ポリアミック酸が完全にポリイミドに硬化した時の、ポリアミック酸溶液に対するポリイミドの質量%を表す。ポリイミド換算固形残分が5%未満では、ポリアミック酸溶液の製造コストが高くなる。一方、60%を超えると、ポリアミック酸溶液が室温で高粘度となるためハンドリングが悪くなる傾向がある。用いる有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール、ヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の有機極性溶剤を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが好ましいが、更にキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素を前記極性溶剤と併用できる。これらの中では、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンを単独又は混合物として用いるのが好ましい。
【0019】
反応温度は、アミド酸基が残存する温度であれば特に限定されないが、−20〜80℃程度に調整するのが好ましい。−20℃未満の製造は反応速度が遅くなり、長時間を必要とするため不経済であるし、80℃を超えるとポリアミック酸中のアミド酸基がイミド基に閉環する割合が増え、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物との反応点が減少する傾向があるため好ましくない。
【0020】
(c)成分を調製する際に用いられるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(d)(以下、(d)成分という。)は、エポキシアルコール(d1)(以下、(d1)成分ということがある)と、メトキシシラン部分縮合物(d2)(以下、(d2)成分ということがある)との脱メタノール反応によって得られる。
【0021】
(d1)成分としては、分子中にエポキシ基および水酸基を有するものであれば、特に限定されず公知のものを使用することができる。(d1)成分として、一般式(1):
【0023】
(式中、mは1〜10の整数を示す)で表される化合物を用いると、得られる硬化膜の柔軟性が向上するため好ましい。なお、一般式(1)においてmが3以上のものを用いた場合には毒性が低くなり、かつ硬化膜の柔軟性の向上が著しいため特に好ましい。
【0024】
(d2)成分としては、一般式(2):Si(OCH
3)
4及び/又はCH
3Si(OCH
3)
3で表されるテトラメトキシシラン及び/又はメチルトリメトキシシランを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
【0025】
当該(d2)成分の1分子中のSiの平均個数は2〜100程度であることが好ましく、さらに好ましくは、3〜8である。Siが2未満であると、(d1)成分との脱メタノール反応の際、反応せずメタノールと一緒に系外に流出するメトキシシラン類の量が増える傾向がある。また、100を超えると、(d1)成分との反応性が悪くなりやすく、目的とする成分(2)が得られにくくなりやすい。成分(d1)と成分(d2)との使用割合は、特に限定されないが、通常は、((d2)成分中のメトキシ基の当量)/((d1)成分中の水酸基の当量)=1/0.3〜1/0.01程度となる仕込み比率で脱メタノール反応させることが好ましい。
【0026】
上記仕込み比率において、該比率が大きくなると、未反応の(d2)成分の割合が増加し、また該比率が小さくなると、残存する未反応の(d1)成分によって硬化物の耐熱性が悪くなる傾向があるため、前記仕込み比率は、1/0.25〜1/0.05とするのがより好ましい。
【0027】
(d1)成分と(d2)成分との当該反応は、例えば、これら各成分を仕込み、加熱して副生するメタノールを留去しながら行なう。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃である。尚、110℃を超える温度で脱メタノール反応させると、反応系中に(d2)成分の縮合に伴って、反応生成物の分子量が上がりすぎ高粘度化やゲル化する傾向がある。このような場合には、脱メタノール反応を反応途中で、停止させる等の方法により高粘度化、ゲル化を防止できる。
【0028】
また、上記(d1)成分と(d2)成分との脱メタノール反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、オキシラン環を開環しないものを使用することができる。該触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、カドミウム、マンガン等の金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらの中でも、特に、有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
【0029】
また、上記反応は溶剤中で行うこともできる。溶剤としては、(d1)成分と(d2)成分を溶解するものであれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン等の非プロトン性極性溶媒を用いるのが好ましい。
【0030】
なお、(d)成分を構成するすべての分子がエポキシ基を含有する必要はなく、仕込み比率となるエポキシ基を含有していればよい。即ち、(d)成分は、未反応の(d2)成分を上限20質量%程度まで含んでいてもよい。
【0031】
(c)成分は、前記(b)成分と前記(d)成分とを反応させて得られる。ポリアミック酸とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物の仕込み比率は、特に制限されないが、(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物のエポキシ基の当量/ポリアミック酸に使用したテトラカルボン酸二無水物のモル数)が0.01〜0.6の範囲とするのが好ましい。上記数値が0.01未満であると本発明の効果が得られにくく、0.6を超えるとポリイミド−シリカハイブリッドフィルムが不透明になる傾向があるため好ましくない。
【0032】
(c)成分の製造は、たとえば、前記テトラカルボン酸類とジアミン類を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行なう。本反応は(b)成分のカルボン酸基、或いは分子末端の無水カルボン酸基又はアミノ基と、前記(d)成分のエポキシ基の反応を主目的にしており、本反応中に(d)成分のアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成、ポリアミック酸のイミド基への閉環反応を抑える必要がある。そこで、反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜30時間程度で行うのが好ましい。
【0033】
また、上記の反応に際しては、反応促進のために従来公知のエポキシ基とカルボン酸とを反応させる際に使用する触媒を使用することができる。1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]―7―ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。反応触媒はポリアミック酸のポリイミド換算固形残分100質量部に対し、0.01〜5質量部の割合で使用するのが好ましい。
【0034】
なお、上記反応は、極性溶剤中で行うことが好ましい。極性溶剤としては、(b)成分および(d)成分を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えば、(b)成分及び(e)成分製造時に使用したものが例示できる。
【0035】
(e)成分は、前記テトラカルボン酸二無水物及びジアミン類を反応させることにより得られる。(e)成分を得るための反応条件は、(b)成分の調製の際の条件と同様にすればよい。(e)成分の分子量は特に限定されないが、数平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値)が10000〜1000000程度であることが好ましい。
【0036】
また、(a)成分は溶剤に溶解させることができる。溶剤としては、(a)成分を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えば、(b)成分及び(e)成分製造時に使用したものが例示できる。
【0037】
また、(a)成分の製造に、(c)成分および(e)成分の混合後、(テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類をモル数)=0.5〜0.9又は1.1〜2.0の範囲で反応させたポリアミック酸オリゴマーを用いた場合、ポリイミド−シリカハイブリッドフィルムの強度が不十分となる。このような場合には、(c)成分および(e)成分の混合後、さらに、(b)成分の製造で用いたテトラカルボン酸二無水物、またはジアミン類を投入し、(テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類のモル数)=0.9〜1.1になるように調整することが好ましい。
【0038】
前記(a)成分からポリイミドフィルム(1)を製造する方法としては、特開平5−70590号公報、特開2000−119419号公報、特開2007−56198号公報、特開2005−68408号公報等に記載の公知の方法を採用することができるが、生産性及び低熱膨張性を得る観点から、触媒を用いた硬化方法を用いるのが好ましい。具体的には、たとえば、特開平5−70590号公報に記載のように、上記ポリアミック酸重合体又はその溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加えた溶液をエンドレスベルト上に流延又は塗布して膜状とし、その膜を150℃以下の温度で約5〜90分間乾燥し、自己支持性のポリアミック酸の膜を得、ついで、これを支持体より引き剥がし端部を固定させた後、約100〜500℃まで徐々に加熱することによりイミド化させ、冷却後ドラム又はエンドレスベルトより取り外し、本発明のポリイミドフィルムを得る方法を採用できる。ここで言う脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0039】
本発明のガスバリア性積層ポリイミドフィルム上に設けられたガスバリア層(2)は、ガラスペーストを塗布、焼成することにより得られるガラス膜である。
【0040】
本ガスバリア層(2)を形成するために用いられるガラスペーストは、ガラスを含む固形分、及び有機溶剤からなり、該有機溶剤中に固形分が分散したものである。本発明のガラスペーストに用いるガラスとしては、融点が250〜500℃であるのが好ましく、前記有機溶剤は、上記融点以下で蒸発するものが使用される。該有機溶剤として、例えば、α−テルピネオール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。
【0041】
また、該ガラスペーストに含まれる固形分として、ガラスの他にセラミックフィラーを用いても良い。該セラミックフィラーを0.1〜50質量%含有させることにより、熱線膨張係数を調整することが可能であり、また、焼成後のガスバリア層(2)の強度を向上させることが可能である。
【0042】
また、前記セラミックフィラーとしては、コーディエライト、β−ユークリプタイト、ジルコン、ムライト、アルミナ、シリカ、リン酸ジルコニウム等が使用できる。
【0043】
当該ガラスペーストは、通常、ポリイミドフィルム(1)に塗布後、焼成することにガスバリア層(2)とすることができる。塗布方法は、たとえば、スクリーン印刷、ディップコート、ロールコート、バーコート、カーテンフローコート、スプレーコート、スピンコートなど通常の種々の塗布方法を採用できる。焼成においては、まず、70〜150℃程度で乾燥を行った後、さらに400℃〜450℃程度で焼成を行う2段階焼成とすることが急激な焼成時の収縮による密着力低下を抑制する点から好ましい。焼成時間は特に限定されず、ガスバリア層(2)の膜厚、ガラスペーストに用いたガラスの種類、量によって調整できるが、通常、第一段階(70〜150℃)で1〜5分間程度、第二段階(400℃〜450℃)で5分〜1時間程度焼成することが好ましい。
【0044】
形成されるガスバリア層(2)としては、焼成後の熱線膨張係数が、基材のポリイミドフィルム(1)の熱線膨張係数との差が小さいものが好ましい。ポリイミドフィルム(1)とガスバリア層(2)の熱線膨張係数の差が大きい場合には、ガスバリア層の積層時に反りが生じるため好ましくない。
【0045】
本発明においては、ポリイミドフィルム(1)の100℃から200℃での熱線膨張係数を0〜23ppm/℃とし、ポリイミドフィルム(1)の熱線膨張係数の値と、ガスバリア層(2)の熱線膨張係数の差を十分に小さくすることにより、耐熱性、加熱時の変形や反りが大幅に低減されたガスバリア性積層ポリイミドフィルムを実現することができる。前記ガスバリア層(2)については、該ガスバリア層を形成するガラスペーストの乾燥時において、25℃から350℃での熱線膨張係数を3〜15ppm/℃とすることにより、上記ポリイミドフィルム(1)の熱線膨張係数との差を小さくすることが可能である。
【0046】
本発明のガスバリア性積層ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム(1)とガスバリア層(2)の2層、またはガスバリア層(2)上に更にポリアミック酸ワニス(3)を塗布、硬化することでポリイミド層を形成した3層から構成される。このようなガスバリア性積層ポリイミドフィルムの作製方法としては、ポリイミドフィルム(1)上に前記ガラスペーストを塗布し、第一段階(70〜150℃)で1〜5分間程度、第二段階(400℃〜450℃)で5分間〜1時間程度焼成することにより得られる。また、ポリイミドフィルム(1)上に前記ガラスペーストを塗布し、第一段階(70〜150℃)で1〜5分間程度乾燥させた後、ポリアミック酸ワニス(3)を塗布し再度70〜150℃で1〜5分間程度乾燥させた後、第二段階(400℃〜450℃)で5分間〜1時間程度焼成することにより得られる。
【0047】
本発明において使用されるポリアミック酸ワニス(3)は、上記ポリイミド−シリカハイブリッドフィルムの調整に使用したアルコキシ基含有シラン変性ブロック共重合型ポリアミック酸(a)と同様の手法により製造可能である。また、ポリアミック酸ワニス(3)はシラン変性されていないものでもよく、ブロック構造をもたないものでも良い。
【0048】
ポリイミドフィルム(1)の膜厚は特に限定されず、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムが使用される際に負荷される電圧、絶縁性や力学強度などを考慮して適宜決定すればよいが、ポリイミドフィルム(1)の作りやすさ、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの作製時の作業性、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの反りを考慮すると、通常、ポリイミドフィルム(1)の膜厚は5〜50μm程度とするのが好ましい。
【0049】
また、ガスバリア層(2)の膜厚についても特に限定されず、当該目的のガスバリア性を得られる膜厚を考慮して適宜決定すればよいが、ピンホール、クラック、ガスバリア性、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの作製時の作業性を考慮すると、通常、ガスバリア層(2)の膜厚は2〜20μm程度とするのが好ましい。
【0050】
またポリアミック酸ワニス(3)を用いて形成されるポリイミド層の膜厚は特に限定されず、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムが使用される際に負荷される電圧、絶縁性や力学強度などを考慮して適宜決定すればよいが、ポリアミック酸ワニス(3)の硬化条件、ピンホール、クラック、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの作製時の作業性、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの反りを考慮すると、通常、ポリアミック酸ワニス(3)の硬化後の膜厚は5〜50μm程度とするのが好ましい。なお、必要に応じてポリイミドフィルム(1)面及び/又はポリアミック酸ワニス(3)を塗布、硬化することにより得られるポリイミド面上に、必要に応じて、コロナ放電処理、低温プラズマ放電処理又は常圧プラズマ放電処理、化学エッチングなどによる表面処理をしてもよい。
【0051】
本発明では、ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの、ガスバリア層(2)が積層されている面とは反対側のポリイミドフィルム(1)面、又はガスバリア層(2)面上に更にポリアミック酸ワニス(3)を塗布、硬化して形成されたポリイミドフィルム面に、厚さ0.01μm〜10μmの機能性薄膜層が積層されている機能性薄膜層積層ガスバリア性積層ポリイミドフィルムが得られる。機能性薄膜層として、導電体層、半導体層、発光体層などを積層することで、情報表示装置(たとえば、ディスプレイ等)や電気・電子装置、太陽電池のベースフィルムとして用いることができる。
【0052】
導電体層としては、ITO(インジウム・錫系酸化物)などの酸化物薄膜、銅、ニッケル、モリブデン、タングステン、金、銀、クロム、チタニウム、アルミニウムなどの金属薄膜が、半導体層としては、珪素、ゲルマニウムなどの半導体薄膜が挙げられる。これらの、機能性薄膜層は、これらの複合膜や積層膜となっていてもよい。中でもITO(インジウム・錫系酸化物)などの酸化物薄膜、銅、ニッケル、およびクロムから選ばれた一種以上からなる金属層が好ましく適用できる。
【0053】
薄膜形成方法は特に限定されるものではないが、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、MBE、プラズマCVD、MOCVDなどの乾式薄膜形成法、エアロゾルデポジッション法、インクジェット印刷によるナノインキ薄膜の形成、めっき、ゾルゲル法、コーティングなどが好ましく適用できる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、部及び%は特記無い限り質量基準である。
【0055】
調整例1(ガラスペーストの調製)
αテルピネオールとブチルカルビトールアセテートとエチルセルロースとからなる混合溶剤20質量%、ガラス粉末60質量%、及びセラミックフィラー20質量%、を混合し、粘度100Pa・sのガラスペーストを調製した。調製したガラスペーストの硬化膜の熱線膨張係数は4.8ppm/℃であった。
【0056】
調整例2(ガラスペーストの調製)
αテルピネオールとブチルカルビトールアセテートとエチルセルロースとからなる混合溶剤33質量%、ガラス粉末67質量%を混合し、粘度10Pa・sのガラスペーストを調製した。調製したガラスペーストの硬化膜の熱線膨張係数は11ppm/℃であった。
【0057】
実施例1(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
ブロック共重合ポリイミド−シリカハイブリッドフィルム(荒川化学工業(株)製 商品名 ポミランT25 ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=80%、熱線膨張係数=4ppm、貯蔵弾性率=9.3GPa、膜厚25μm)上に、調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚30μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は5ppm/℃であった。
【0058】
実施例2(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
ブロック共重合ポリイミド−シリカハイブリッドフィルム(荒川化学工業(株)製 商品名 ポミランT25 ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=80%、熱線膨張係数=4ppm、貯蔵弾性率=9.3GPa、膜厚25μm)上に、調整例1で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、ポリアミック酸ワニス(3)を塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚50μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は5ppm/℃であった。
【0059】
実施例3(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
ブロック共重合ポリイミド−シリカハイブリッドフィルム(荒川化学工業(株)製 商品名 ポミランT25 ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=80%、熱線膨張係数=4ppm、貯蔵弾性率=9.3GPa、膜厚25μm)上に、調整例2で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、ポリアミック酸ワニス(3)を塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚50μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は8ppm/℃であった。
【0060】
実施例4(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
ブロック共重合ポリイミド−シリカハイブリッドフィルム(荒川化学工業(株)製 商品名 ポミランN25 ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=40%、熱線膨張係数=19ppm、貯蔵弾性率=5.9GPa、膜厚25μm)上に、調整例2で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚30μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は17ppm/℃であった。
【0061】
実施例5(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
ブロック共重合ポリイミド−シリカハイブリッドフィルム(荒川化学工業(株)製 商品名 ポミランN25 ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=40%、熱線膨張係数=19ppm、貯蔵弾性率=5.9GPa、膜厚25μm)上に、調整例2で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、ポリアミック酸ワニス(3)を塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚40μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は19ppm/℃であった。
【0062】
実施例6(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
市販のポリイミドフィルム(宇部興産(株)製 商品名 ユーピレックスS−25、熱線膨張係数=12ppm、貯蔵弾性率=9.1GPa、膜厚25μm)上に、調整例2で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、ポリアミック酸ワニス(3)を塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚30μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は12ppm/℃であった。
【0063】
実施例7(機能性薄膜層積層ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
実施例1で得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムに真空蒸着法でITO薄膜を形成した。ITO薄膜の抵抗率は10
−4Ω・cmであった。
【0064】
実施例8(機能性薄膜層積層ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
実施例5で得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムに真空蒸着法でITO薄膜を形成した。ITO薄膜の抵抗率は10
−4Ω・cmであった。
【0065】
比較例1(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
市販のポリイミドフィルム(東レデュポンフィルム製 商品名 カプトンH、ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=0%、熱線膨張係数=43ppm、弾性率=3.5GPa、膜厚25μm)に調整例1で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚30μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は41ppm/℃であった。
【0066】
比較例2(ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの製造)
市販のポリイミドフィルム(東レデュポンフィルム製 商品名 カプトンH、ジアミン成分中のp-フェニレンジアミンのモル%=0%、熱線膨張係数=43ppm、弾性率=3.5GPa、膜厚25μm)に調整例1で調製したガラスペーストを塗布、120℃で3分乾燥後、ポリアミック酸ワニス(3)を塗布、120℃で3分乾燥後、420℃で15分硬化させ、硬化膜厚50μmのガスバリア性積層ポリイミドフィルムを作製した。得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムの熱線膨脹係数は41ppm/℃であった。
【0067】
実施例1〜6、比較例1〜2で得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムを用いてガスバリア性、密着性、反り、ピンホールクラックの評価を以下の方法により行った。
【0068】
(ガスバリア性)
ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの酸素透過度は、JIS K 7126のB法に準じ、また、水蒸気透過度は、JIS K 7129のB法に準じ、それぞれ測定した。測定結果を表1に示す。
【0069】
(密着性)
テープ剥離試験によりガスバリア層(2)の密着性を評価した。JIS K 5600−5−6に記載の方法で試験した。測定結果を表1に示す。
【0070】
(反り)
ガスバリア性積層ポリイミドフィルムの反りは、100mm角に切り出したガスバリア性積層ポリイミドフィルムを平板上に置き、4角の浮き上がり高さを測定することで評価した。高さが5mm以下で反り無し、高さが5〜10mmで反り少し、高さが10mm以上でカール大とした。測定結果を表1に示す。
【0071】
(ピンホール、クラック)
顕微鏡観察によりガスバリア層(2)のピンホール、クラックを評価した。100mm角に切り出したガスバリア性積層ポリイミドフィルムを20倍の倍率で観察して目視で評価した。測定結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1から、実施例により得られたガスバリア性積層ポリイミドフィルムは、ガスバリア層(2)の密着性が良く、クラックやピンホール、反りが無く、ガスバリア性に優れている事が明らかである。