(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
抄紙工程においては、ワイヤーパートでパルプを水で薄めた湿紙がプレスゾーンへ運ばれ、大きなロールの間に挟んで脱水し、湿紙の表面を平滑にして乾燥ゾーンに送られる。乾燥ゾーンにおいては、抄紙技術の発展と共に高速化が進み、従来の多筒式熱シリンダーの上下各群に対し上群用下群用それぞれに抄紙用ドライヤーカンバスを使用した2枚カンバス方式による湿紙の乾燥方法から、カンバス1枚掛けのシングルラン方式による乾燥方法が採用されるようになってきている。この方式を採用することにより湿紙のフリーラン部をなくし、カンバスによる湿紙の拘束性を高め、高速化に伴う湿紙のフラッタリング、断紙、皺の発生防止といったようなシートトラブルを抑えようとしている。このシングルラン方式では、使用される抄紙用ドライヤーカンバスについても、耐摩耗性、表面平滑性、乾燥性、走行安定性等に優れたものが要求されるようになってきている。特に、抄紙用ドライヤーカンバスの厚み差に起因する周速差によるシートトラブルを解消するため、厚みの薄い抄紙用ドライヤーカンバスが求められている。また、抄紙用ドライヤーカンバスが厚いとシリンダー式ドライヤーを通過する際に内側と外側の伸長率が大きくなり、変形も大きくなって紙製品に欠点が出やすくなる問題がある。
【0003】
一方、抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側のクッション性が劣る場合、接触する湿紙との間にピッチカス等の汚れを挟むと、それが、紙製品へのマーク欠点となるため、クッション性を高めた抄紙用ドライヤーカンバスが求められている。
【0004】
従来から、クッション性を高めるために、2層構造の織物や3層構造の織物に合成繊維ウエブをニードルパンチングにより絡合した不織布層とで構成した抄紙用ニードルカンバスが用いられていた。しかし、ニードルカンバスは、クッション性は良いものの厚くなり過ぎる問題がある。また、特許文献1には、経糸が紙に直接接しないように緯糸を出っ張った構造にした2層構造の織物が提案されている。特許文献2には、捲縮性マルチフィラメントを緯糸に用い、中層の緯糸に両表面層からの経糸が同時に交差する3層織物が提案されている。しかし、特許文献1の織物では強度が不足し、単純に3層織物としても厚くなりすぎる問題があり、加えてクッション性にも問題があった。特許文献2の織物は、中層の緯糸に両表面層からの経糸が同時に交差することから、厚くなりすぎる問題があり、同様にクッション性にも問題があった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの模式的タテ方向断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側の模式的平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの機械面側の模式的平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの模式的ヨコ方向断面図である。
【
図5】
図5は、比較例の抄紙用ドライヤーカンバスの模式的タテ方向断面図である。
【
図6】
図6は、比較例の抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側の模式的平面図である。
【
図7】
図7は、比較例の抄紙用ドライヤーカンバスの機械面側の模式的平面図である。
【
図8】
図8は、比較例の抄紙用ドライヤーカンバスの模式的ヨコ方向断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの模式的タテ方向断面図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側から見た平面写真(倍率20倍)である。
【
図10B】
図10Bは、比較例の抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側から見た平面写真(倍率20倍)である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の一実施例の抄紙用ドライヤーカンバスの機械面側から見た平面写真(倍率20倍)である。
【
図11B】
図11Bは、比較例の抄紙用ドライヤーカンバスの機械面側から見た平面写真(倍率20倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバス(以下において、単にカンバスとも記す。)は、接紙面側の緯糸、中間層の緯糸及び機械面側の緯糸を、経糸で織成した3層織物であって、接紙面側の緯糸は紡績糸又はマルチフィラメント糸であり、かつ接紙面側の緯糸は浮き織組織となっている構成に特徴がある。本発明において、浮き織組織とは、タテ方向断面から見たとき、経糸が最外層である接紙面側の緯糸に交差し折り返している部分と最外層より内側の中間層の緯糸に交差して機械面側に折り返している部分を含むことにより、接紙面側の緯糸の浮き部分が長くなっていることを意味する。機械面側において経糸は緯糸に交差して折り返される。これにより、接紙面側の緯糸の突出量が大きく、接紙面側はクッション性が高く、機械面側は耐摩耗性が高い組織となる。
【0011】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、経糸にモノフィラメント糸を使用する。これは強度が高く高温寸法性が高いからである。経糸のモノフィラメント糸の素材は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。高い寸法安定性という観点からはPETが好ましく用いられるが、抄紙機の使用条件によっては、他の素材でもよい。
【0012】
経糸のモノフィラメント糸の断面は、特に限定されず、丸断面、扁平、楕円、長楕円、長方形などのいずれの断面でもよい。中でもカンバスの厚みを薄くする観点から、断面は扁平であることが好ましい。この場合、扁平断面の長辺は、0.4〜1.2mm程度で、短辺が0.2〜0.6mm程度の長円であることが好ましい。経糸のモノフィラメント糸の繊度は、400〜12000dtexであることが好ましく、1000〜10000dtexであることがより好ましい。経糸のモノフィラメント糸の繊度が400dtexより小さいとカンバスの強度が弱くなるおそれがある。一方、経糸のモノフィラメント糸の繊度が12000dtexより大きいとカンバスの厚みが厚くなり、コスト面でもマイナスとなる。
【0013】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、接紙面側の緯糸は紡績糸(スパン糸ともいう)又はマルチフィラメント糸とする。紡績糸(スパン糸)又はマルチフィラメント糸はクッション性があり、接紙面側により高いクッション性を付与するためである。クッション性をさらに高くするという観点からは、接紙面側の緯糸は紡績糸であることが好ましい。紡績糸(スパン糸)又はマルチフィラメント糸の素材は特に限定されず、例えば、アクリル、ポリアクリロニトリル、PET、PPS、アラミドなどが挙げられ、これらの複合素材でもよい。中でも、耐熱性、経済性の観点から、紡績糸(スパン糸)又はマルチフィラメント糸の素材はアクリル、ポリアクリロニトリルであることが好ましい。紡績糸(スパン糸)としては、複数本の単糸からなる合糸、例えば、単糸を2〜12本撚り合せた撚糸を用いることができる。上記単糸としては、ポリアクリロニトリル、PET、PPSなどの素材のメートル番手10番、14番などの紡績糸を用いることができる。また、接紙面側の緯糸として用いるマルチフィラメント糸は、繊度が2000〜8000dtexのものが好ましく用いられる。
【0014】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、機械面側の緯糸はモノフィラメント糸である。機械面側の緯糸は機械(シリンダー)と接触するため、耐摩耗性が高く強度も高いモノフィラメント糸を使用する。緯糸のモノフィラメント糸の素材は特に限定されず、例えば、PET、PPS、PEEK、PBT、PA、POM、PENなどが挙げられるが、耐摩耗性の観点から、PETであることが好ましい。緯糸のモノフィラメント糸の断面は、特に限定されず、丸断面、扁平、楕円、長楕円、長方形などのいずれの断面でもよい。耐摩耗性の観点から、丸断面であることが好ましい。緯糸のモノフィラメント糸の繊度は1600〜16000dtexであることが好ましく、2700〜7000dtexであることがより好ましい。緯糸のモノフィラメントの繊度が1600dtexより小さいと緯剛性が低下することによるカンバスの波打などの影響が出やすく、16000dtexより大きくなるとカンバスの厚みが厚くなり、コスト面でもマイナスとなる。
【0015】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバスにおける1サイクル内の接紙面側緯糸本数と機械面側緯糸本数は同じであってもよいが、1サイクル内の接紙面側緯糸本数が1サイクル内の機械面側緯糸本数より相対的に多いことが好ましい。
【0016】
本発明において、1サイクルとは織物表面を見た時に経糸又は緯糸が接紙面側の表面に出ている状態から組織内に戻り(折り返すとも表現する)、再度接紙面側で折り返すまでをいい、その間の接紙面側の緯糸本数又は接紙面側の経糸本数を1サイクル内の接紙面側緯糸本数又は1サイクル内の接紙面側経糸本数という。また、織物表面を見た時に経糸又は緯糸が機械面側の表面に出ている状態から組織内に戻り、再度機械面側で折り返すまでをいい、その間の機械面側の緯糸本数又は機械面側の経糸本数を1サイクル内の機械面側緯糸本数又は1サイクル内の機械面側経糸本数という。
【0017】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバスを各表面から見た場合において、接紙面側の1サイクルにおける接紙面側緯糸本数が6〜24本、機械面側の1サイクルにおける機械面側緯糸本数が3〜12本であることが好ましい。
【0018】
本発明の抄紙用ドライヤーカンバスは、タテ方向断面から見たとき、経糸は、連続的に配置されている接紙面側の緯糸に交差し折り返している部分、機械面側の緯糸に交差し折り返している部分、中間層の緯糸に交差して機械面側に折り返している部分、機械面側の緯糸に交差し折り返している部分を含む。これにより、接紙面側の緯糸の浮き部分を一定にすることができ、接紙面側のクッション性、カンバスの強度、寸法安定性などの特性をバランスよく保持できる。
【0019】
本発明においては、タテ方向断面から見たとき、経糸は、さらに中間層の緯糸に交差して接紙面側に折り返している部分を含んでもよい。これにより、機械面側の緯糸の浮き部分が長くなるようにし、機械面側の耐摩耗性をさらに向上できる。
【0020】
本発明のカンバスを構成する織物は抄造する製紙の種類や製法によっても異なるが、経糸密度は40〜80本/2.54cmが好ましく、45〜51本/2.54cmがさらに好ましい。緯糸密度は40〜55本/2.54cmが好ましく、45〜52本/2.54cmがさらに好ましい。カンバスを構成する織物の厚みは1.5〜2.5mmが好ましく、さらに好ましくは1.6〜2.2mmである。目付は1.0〜1.6kg/m
2が好ましく、さらに好ましくは1.1〜1.5kg/m
2である。なお、上記経糸密度、緯糸密度、厚み並びに目付はヒートセット終了後のカンバスを測定した値である。
【0021】
以下図面によって説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。
図1は本発明の一実施例のカンバスの模式的タテ方向断面図である。このカンバス10は、緯糸2,3,4を経糸1で織成した3層織物であり、接紙面側の緯糸2は紡績糸又はマルチフィラメント糸、中間層の緯糸3及び機械面側の緯糸4はモノフィラメント糸である。経糸1は連続的に配置されている接紙面側の緯糸2aに交差し折り返している部分、機械面側の緯糸4aに交差し折り返している部分、中間層の緯糸3a、3bに交差して機械面側に折り返している部分、機械面側の緯糸4aに交差し折り返している部分を含み、この構造を繰り返している。これにより接紙面側の緯糸2は浮き部分が長い浮き織組織となる。この例では接紙面側の緯糸2は8本(緯糸2aから2cの手前まで)で1サイクルC1、機械面側の緯糸4は4本(緯糸4aから4bの手前まで)で1サイクルC2を繰り返している。
【0022】
図2は
図1の本発明の一実施例のカンバスの接紙面側の平面図であり、
図3は同機械面側の平面図であり、
図4は同ヨコ方向断面図である。
図2及び3において、上下方向が織物の長さ方向(巻き取り方向)、左右方向が織物の幅方向である。
図2において、緯糸2は表層に配置されているため太く見えるが、中間層の緯糸3は緯糸2の奥に配置されているため細く見える。
図1における緯糸2a、緯糸2b、緯糸2cを
図2も示す。
図2及び
図3に示しているように、カンバス10において、接紙面側では、経糸8本(1a〜1h)で1組織(1サイクルD1)を形成し、機械面側では、経糸4本(1a〜1d)が1サイクルD2を形成する。
【0023】
図5は比較例のカンバスの模式的タテ方向断面図、
図6は同接紙面側の平面図、
図7は同機械面側の平面図、
図8は同ヨコ方向断面図である。このカンバス11は、緯糸2,3,4を経糸1で織成した3層織物であり、接紙面側の緯糸2は紡績糸又はマルチフィラメント糸、中間層の緯糸3及び機械面側の緯糸4はモノフィラメント糸である。経糸1は連続的に配置されている接紙面側の緯糸2aに交差し折り返している部分、機械面側の緯糸4aに交差し折り返している部分を含み、この構造を繰り返している。この例では接紙面側の緯糸2は4本で1サイクルC3、機械面側の緯糸4も4本で1サイクルC4を繰り返している。
図6及び
図7に示しているように、カンバス11において、接紙面側では、経糸は4本(1a〜1d)で1組織(1サイクルD3)を形成し、機械面側でも、経糸は4本(1a〜1d)で1サイクルD4を形成する。
【0024】
図9に示しているように、本発明の抄紙用ドライヤーカンバス20において、タテ方向断面から見たとき、経糸1は、さらに中間層の緯糸3に交差して接紙面側に折り返している部分を含んでもよい。
【0025】
図10Aは本発明の一実施例のカンバスの接紙面側から見た平面写真(倍率20倍)である。ヨコ方向の縞模様の撚糸が緯糸であり、タテ方向の光っている糸が経糸のモノフィラメント糸である。
図10Bの比較例のカンバスの接紙面側から見た平面写真と比較すると明らかなとおり、
図10Aの緯糸は浮き部分が長く見える。一方、機械面側から見た平面写真(倍率20倍)
図11A(本発明品)及び
図11B(比較例品)の比較から分かるように、機械面側では、本発明品も比較例品も同様の構造を示している。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
経糸として、PETモノフィラメント糸(繊度:2166dtex、扁平断面、短辺:0.28mm、長辺:0.56mm)を用い、接紙面側の緯糸として、ポリアクリロニトリルのスパン糸(メートル番手14)6本からなる撚糸(繊度:4333dtex)を、機械面側と中間層の緯糸として、PETモノフィラメント糸(繊度:4577dtex、円形断面、直径0.65mm)を用い、
図1〜
図4に示す組織の3層織物(目付1.32kg/m
2)の抄紙用ドライヤーカンバスを作製した。織物における経糸の密度は48.0本/2.54cm、緯糸の密度は46.5本/2.54cmとした。
【0028】
実施例1において、タテ方向断面から見たとき、経糸は、連続的に配置されている接紙面側の緯糸に交差し折り返している部分、機械面側の緯糸に交差し折り返している部分、中間層の緯糸に交差して機械面側に折り返している部分、機械面側の緯糸に交差し折り返している部分を含み、この構造を繰り返していた。具体的には、実施例1において、接紙面側では、緯糸は8本で1サイクルC1を形成し、機械面側では、緯糸は4本で1サイクルC2を形成していた。また、実施例1において、接紙面側では、経糸は8本で1サイクルD1を形成した。そして、実施例1において、機械面側では、経糸は4本で1サイクルD2を形成しているが、中間層における経糸の動きがそれぞれ異なるため、実質は8本で1サイクルを形成していることになる。例えば、経糸1aと経糸1eは、機械面側では同じ緯糸に掛かるが、接紙面側では異なる緯糸に掛かっているため、中間層の動きが異なっている。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様の経糸と緯糸を用い、
図5〜
図8に示す組織の3層織物(目付1.32kg/m
2)の抄紙用ドライヤーカンバスを作製した。織物における経糸の密度は48.0本/2.54cm、緯糸の密度は46.6本/2.54cmとした。
【0030】
比較例1において、タテ方向断面から見たとき、経糸は、連続的に配置されている接紙面側の緯糸に交差し折り返している部分と機械面側の緯糸に交差し折り返している部分を含み、この構造を繰り返していた。具体的には、比較例1において、接紙面側では、緯糸は4本で1サイクルC3を形成し、機械面側でも、緯糸は4本で1サイクルC4を形成していた。また、比較例1において、接紙面側では、経糸は4本で1サイクルD3を形成し、機械面側でも、経糸は4本で1サイクルD4を形成していた。
【0031】
実施例1及び比較例1の抄紙用ドライヤーカンバスをマイクロスコープ(ハイロックス製、KH−3000V)で観察した。実施例1の抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側から見た平面写真(倍率20倍)及び機械面側の平面写真(倍率20倍)を、それぞれ、
図10A及び
図11Aに示した。比較例1の抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面側から見た平面写真(倍率20倍)及び機械面側の平面写真(倍率20倍)を、それぞれ、
図10B及び
図11Bに示した。
図10Aと
図11A、
図10Bと
図11Bのそれぞれの比較から分かるように、比較例1のカンバスに比べて実施例1のカンバスにおける接紙面側の緯糸の浮き部分が長く、緯糸が経糸を7本とばしたブリッジ状になっていた。これにより実施例1のカンバスのクッション性が高くなると思われる。
【0032】
実施例1及び比較例1の抄紙用ドライヤーカンバスのクッション性、厚み、接紙面側の緯糸の突出量(以下において、単に接紙面側突出量と記す。)を下記のように測定・評価し、その結果を下記表1に示した。
【0033】
(クッション性)
抄紙用ドライヤーカンバスの任意の箇所30ケ所の硬度を硬度計(高分子計器社製、アスカーゴム硬度計A型)にて測定し、平均値を求めクッション性を評価した。測定した硬度計の値が低いほどクッション性が高いことになる。
【0034】
(厚み)
抄紙用ドライヤーカンバスの任意の箇所5ケ所の厚みをミツトヨ製のデジマチックインジケータ(ID−1030M)を用いて測定し、平均値を求めた。
【0035】
(接紙面側突出量)
ヨコ断面をマイクロスコープ(ハイロックス製)で観察し、接紙面側の経糸の表面をベースとし、ベースからの緯糸の高さを測定し、接紙面側突出量とした。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から分かるように、実施例1のカンバスは、比較例1のカンバスに比べて、接紙面側突出量が大きく、緯糸がより突出した構造になっていた。それゆえ、実施例1の抄紙用ドライヤーカンバスは、比較例1のカンバスに比べて、厚みがそれほど増大していないが、接紙面側のクッション性が高くなっていた。