【実施例】
【0011】
<1>電極の配置
砂の表面に4つの電極、すなわち電流電極C1、C2の2本と、電圧電極P1、P2の2本とを設置する。
電極は、砂山1の下部の両側のほぼ正対する位置に、一対を埋め込んで設置する。
その場合に両電流電極Cは、両電圧電極Pよりも砂山の外側か下方に配置する。
砂山ではなくズリ瓶2に砂を集積する場合にも、ズリ瓶の両側に、一対を埋め込んで設置する。(
図2)
なおここで「ズリ瓶」とは、骨材ビン、土砂ビンなどといい、これら材料の集設用設備のことをいう。
この電極C1、C2、P1、P2は、砂山1やズリ瓶2へ砂を投入した後に砂中に挿入し、排水が完了したと判断したら、砂の搬出前に引き抜いて取り除く。
したがって砂の投入作業や搬出作業に支障を及ぼすことがない。
【0012】
<2>測定方法
電圧電極P1、P2よりも外側か下方に位置する電流電極C1、C2の間に一定電流を流す。
するとその際の電圧電極P1、P2間の電圧差を得ることができるから、その結果から電極間の砂山1、ズリ瓶2の内部の比抵抗値、あるいはその逆数である電気伝導度を測定する。
この電圧差から比抵抗値を測定する手法は公知であるが、以下の方法で行うことができる。
すなわち、砂中に2つの電流電極C1、C2と二つの電圧電極P1、P2を
図3のように配置した場合、その比抵抗値は次式で得られる。(物理探査ハンドブック、p253−254、物理探査学会1998)
R=G(V/I)
ここに、V:電圧
Gは電極配置(電極間距離)で決定される係数である。
なお以下の記載では「比抵抗値」だけを記載するが、その逆数である電気伝導度も同時に意味しているものである。
【0013】
<3>測定条件の入力
管理用パソコンに、測定条件、管理値R
*を入力する。
ここに測定条件とは、測定時間の間隔Δtその他の条件である。
管理値R
*については後述する。
【0014】
<4>比抵抗測定
電極間に一定の電流を流した際の電圧電極P1、P2間の電圧差から測定した比抵抗測定値をデータとして取り出して管理用のパソコンに入力する。
測定値は最初の一度の値Rtだけではなく、測定条件にしたがって、測定時間Δtの経過ごとの値Rt+Δt、・・・を入力する。
その理由は、砂中の水は、砂山1でもズリ瓶2でも、内部への砂の投入後に引力によって下方に移動するからである。
その現象を説明すると、初期にはまず砂山中の水は重力により下に移動するため砂山の下部の水分量が上昇する。
その後、排水がさらに進むと下部の水も排水される。
そのために、砂山の下部に電極を設置し、砂の投入後の比抵抗値を測定すると、
図7に示すように変化する。
すなわちまず初期の状況からいったん比抵抗値は低下し、その後に上昇し、所期の比抵抗値よりさらに上昇し、その後に一定値となる。
上記のような比抵抗値の変化を、時間間隔Δtで連続モニタリングすることによって、砂中の排水過程の進行状況を把握することができる。
【0015】
<5>管理値R
*の決定
まず比抵抗値と骨材水分量の関係を事前に求めておく必要がある。
それは、ある砂山1、ズリ瓶2内の砂が原石山のどこから採取したか、その出所によって比抵抗値と骨材水分量の関係が異なるからである。
そのために砂からサンプルを採取し、その水分量を水分計で測定し、同時にその際の比抵抗値を測定して両者の関係を得る。
複数の関係値の中で、排水完了と判断してよいと思われる水分量に対応する比抵抗値を、目標管理値R
*として設定しパソコンにデータとして記憶させる。
なお目標管理値R
*は目標水分量に対応する室内試験結果を入力するが、操業時に得られた結果をもとに修正することもできる。
【0016】
<6>判定手段
前記の測定手段により時間差Δtをとって連続して得た比抵抗値Rt、Rt+Δt、・・・・を、管理値記憶手段に記憶させた管理値R
*と継続して比較する。
徐々に変化する比抵抗値が、やがて管理値R
*に近づく。
【0017】
<6−1>未達成
判定手段では、Rt+Δtが管理値R
*より小さい場合には、その砂山の水分量はいまだ目標値に達していない、と判断する。
その際に、測定した比抵抗値Rt+Δtと、比抵抗値Rtとの差を時間差Δtで除した値が負であれば、比抵抗は低下中であり、下方飽和上昇中(判定I)と判断する。
その際に、測定した比抵抗値Rt+Δtと、比抵抗値Rtとの差を時間差Δtで除した値が正であれば、比抵抗は上昇中であり、表面水量は減少中(判定II)と判断する。
その場合には比抵抗の測定を繰り返すことになる。
【0018】
<6−2>達成
Rt+Δtが管理値R
*より大きい場合には、その砂の水分量はすでに目標値に達している(判定III)と判断する。
すなわちある時点の比抵抗Rt+Δtが目標管理値R
*を超えた時点をもって排水完了と判断し、判定結果をパソコンの表示画面に表示する。
このような判断ができることによって、余分に排水時間を延長することなく、負圧による排水作業、あるいは重力による排水作業を終了でき、コンクリートの混練用に取り出すことができるので経済的である。
【0019】
<7>変化する数値の活用
以上の方法は、時間ごとに変化する比抵抗値が目標管理値に一致した場合にその後の排水を終了する方法である。
それとは別に、強制排水の場合、比抵抗値が所定の値に達する前に変化速度が鈍くなった場合には排水ウエルの配置や配置数、吸引圧などを変更して最適の条件に修正して無駄な排水の継続を避けるような方法として、本発明の管理方法を利用することができる。
またこのような排水ウエルの設置条件の変更を行った場合に、それが適正な変更であったのかどうかを、比抵抗値の変化から確認することができる。