(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の構造では、ハンガーパイプに挿入された支持筒全体をハンガーパイプ内周で支持しており、ハンガーパイプと支持筒それぞれの寸法精度を確保できないと、ガタが発生し、また組み付け時にハンガーパイプに支持筒を挿入できなくなる可能性がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の構造では、ハンガーパイプの軸方向両側に締結された左右の筒状部材よりも軸方向内側で、軸受ハウジングの左右のベアリングを介してクランク軸を回転可能に支持している。このため、ベアリングがハンガーパイプの左右の筒状部材よりも軸方向内側に配置されて左右のベアリング幅が狭くなり、クランク軸に傾きが生じたり、大きな曲げモーメントが発生したりといった不都合が生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ハンガーパイプにセンサユニットを容易に着脱できると共に、左右のベアリング幅を大きくとることができるセンサユニット組み付け構造及び自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明に係るセンサユニット組み付け構造は、自転車のフレームに固定されるハンガーパイプと、前記ハンガーパイプの軸方向の一端側から挿入されると共に、一端部が前記ハンガーパイプの軸方向の一端に回転しないように連結され、左右のクランクが固定されるクランク軸を回転可能に支持し、かつ前記クランク軸に作用するトルクを検出するトルクセンサを備えたセンサユニットと、前記センサユニットの他端部の外周面に設けられた雄ねじ部と、内周面に前記雄ねじ部に締結される雌ねじ部を備え、前記雌ねじ部が前記雄ねじ部に締結されたときに外周側の当接部が前記ハンガーパイプの軸方向の他端側の内周面に当接し、前記センサユニットの軸芯を前記ハンガーパイプの軸芯に位置させる円筒状の固定部材と、
前記ハンガーパイプの一端と前記センサユニットの一端部との間に設けられ、前記センサユニットの一端部が前記ハンガーパイプに対して回転しないように連結する回り止め手段と、を有
し、前記回り止め手段は、環状の本体部から前記センサユニット側に突出し、前記センサユニットの一端部に形成された凹部に係合される第1係合部と、前記本体部から前記ハンガーパイプ側に突出し、前記ハンガーパイプの一端に形成された溝部に係合される第2係合部と、を有する。
【0010】
請求項1に記載の発明では、自転車のフレームに固定されるハンガーパイプの軸方向の一端側からセンサユニットが挿入され、センサユニットの一端部がハンガーパイプの軸方向の一端に回転しないように連結される。さらに、ハンガーパイプの軸方向の他端側から、円筒状の固定部材の内周面に設けられた雌ねじ部が、センサユニットの他端部の外周面に設けられた雄ねじ部に締結される。そして、固定部材の雌ねじ部がセンサユニットの雄ねじ部に締結されたときに、固定部材の外周側の当接部がハンガーパイプの軸方向の他端側の内周面に当接し、センサユニットの軸芯をハンガーパイプの軸芯に位置させる。センサユニットは、左右のクランクが固定されるクランク軸を回転可能に支持すると共に、クランク軸に作用するトルクを検出するトルクセンサを備えている。このため、固定部材によりセンサユニットの軸芯をハンガーパイプの軸芯に位置させることで、クランク軸の軸芯をハンガーパイプの軸芯に合わせることができる。
【0011】
この構成では、ハンガーパイプにセンサユニットを容易に着脱することができる。また、固定部材の外周側の当接部がハンガーパイプの軸方向の他端側の内周面に当接し、固定部材の内周面の雌ねじ部がセンサユニットの外周面の雄ねじ部に締結されているため、ガタツキを防止又は抑制することができる。また、センサユニットの外周面に雄ねじ部を設けることで、クランク軸を回転可能に支持するベアリングを固定部材の半径方向内側に設けることができるため、ベアリングを固定部材より軸方向の内側に配置する必要がなく、左右のベアリング幅を大きくとることが可能となる。左右のベアリング幅を大きくとることで、精度の高いトルクの検出が可能となる。
また、ハンガーパイプの一端と前記センサユニットの一端部との間に回り止め手段が設けられており、回り止め手段によってセンサユニットの一端部がハンガーパイプの一端に対して回転しないように連結される。これにより、センサユニットの一端部がハンガーパイプの一端に対して回転しないように連結された状態で、固定部材の雌ねじ部をセンサユニットの雄ねじ部に締結させることができ、センサユニットの組み付けが容易となる。
さらに、回り止め手段は、環状の本体部からセンサユニット側に突出する第1係合部と、本体部からハンガーパイプ側に突出する第2係合部とを備えており、第1係合部がセンサユニットの一端部に形成された凹部に係合され、第2係合部がハンガーパイプの一端に形成された溝部に係合される。これにより、センサユニットの一端部をハンガーパイプの一端に対して回転しないように連結することができる。
【0012】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は請求項2に記載のセンサユニット組み付け構造において、前記固定部材の外周側の前記当接部、及び前記ハンガーパイプの他端側の前記内周面が、傾斜面、又は湾曲面である。
【0013】
請求項
3に記載の発明では、固定部材の外周側の当接部、及びハンガーパイプの他端側の内周面が、傾斜面、又は湾曲面であり、固定部材の外周側の当接部がハンガーパイプの他端側の内周面に当接することで、センサユニットの軸芯をより確実にハンガーパイプの軸芯に位置させることができる。
【0014】
請求項
4に記載の発明は、請求項1
から請求項3までのいずれか1項に記載のセンサユニット組み付け構造において、前記固定部材の外周側の前記当接部が、前記ハンガーパイプの他端側の前記内周面に当接した状態で、前記ハンガーパイプと前記センサユニットとの間にクリアランスが設けられており、前記ハンガーパイプには、前記トルクセンサから延びたハーネスが取り出される開口部が設けられている。
【0015】
請求項
4に記載の発明では、固定部材の外周側の当接部が、ハンガーパイプの他端側の内周面に当接した状態で、ハンガーパイプとセンサユニットとの間にクリアランスが設けられており、センサユニットを組み付けやすい。すなわち、センサユニットのトルクセンサから延びたハーネスは、ハンガーパイプとセンサユニットとの隙間を通してハンガーパイプの開口部から外部に取り出すことができる。このため、センサユニットの組み付け時にハーネスに負担がかかりにくい。
【0020】
請求項
2に記載の発明
に係るセンサユニット組み付け構造
は、自転車のフレームに固定されるハンガーパイプと、前記ハンガーパイプの軸方向の一端側から挿入されると共に、一端部が前記ハンガーパイプの軸方向の一端に回転しないように連結され、左右のクランクが固定されるクランク軸を回転可能に支持し、かつ前記クランク軸に作用するトルクを検出するトルクセンサを備えたセンサユニットと、前記センサユニットの他端部の外周面に設けられた雄ねじ部と、内周面に前記雄ねじ部に締結される雌ねじ部を備え、前記雌ねじ部が前記雄ねじ部に締結されたときに外周側の当接部が前記ハンガーパイプの軸方向の他端側の内周面に当接し、前記センサユニットの軸芯を前記ハンガーパイプの軸芯に位置させる円筒状の固定部材と、前記ハンガーパイプの一端と前記センサユニットの一端部との間に設けられ、前記センサユニットの一端部が前記ハンガーパイプに対して回転しないように連結する回り止め手段と、を有し、前記回り止め手段は、前記センサユニットの一端部の外周に形成された回り止め部と、前記センサユニットに外挿され、前記回り止め部に嵌合される嵌合部を備えたスリーブと、を有し、前記スリーブの外周部は、前記ハンガーパイプの一端に圧入、又はねじ止めされている。
【0021】
請求項
2に記載の発明では、回り止め手段は、センサユニットの一端部に外挿されるスリーブを有しており、スリーブの外周部は、ハンガーパイプの一端に圧入、又はねじ止めされている。さらに、スリーブの嵌合部がセンサユニットの一端部の外周に形成された回り止め部に嵌合される。これにより、センサユニットの一端部をハンガーパイプの一端に対して回転しないように連結することができる。
【0022】
請求項
5に記載の発明は、請求項
2に記載のセンサユニット組み付け構造において、前記回り止め部の端部と前記嵌合部の端部が、傾斜面、又は湾曲面である。
【0023】
請求項
5に記載の発明では、回り止め部の端部と嵌合部の端部が、傾斜面、又は湾曲面であり、スリーブの嵌合部がセンサユニットの回り止め部に嵌合されたときに、回り止め部の端部と嵌合部の端部とが当接する。これにより、センサユニットの軸芯をより確実にハンガーパイプの軸芯に位置させることができる。
【0024】
請求項
6に記載の発明に係る自転車は、請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載のセンサユニット組み付け構造を備えている。
【0025】
請求項
6に記載の発明では、請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載のセンサユニット組み付け構造を備えており、ハンガーパイプにセンサユニットを容易に着脱することができる。また、固定部材の外周側の当接部がハンガーパイプの軸方向の他端側の内周面に当接し、固定部材の内周面の雌ねじ部がセンサユニットの外周面の雄ねじ部に締結されているため、ガタツキを防止又は抑制することができる。また、クランク軸を回転可能に支持するベアリングをハンガーパイプにおける固定部材の半径方向内側に設けることができるため、ベアリングを固定部材より軸方向の内側に配置する必要がない。このため、左右のベアリング幅を大きくとることで、精度の高いトルクの検出が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、通常の自転車のハンガー部品の組み付け工程と同じ工程でハンガーパイプにセンサユニットを容易に着脱できると共に、左右のベアリング幅を大きくとることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図において適宜示される矢印UPは自転車上方側を示しており、矢印FRは自転車前方側を示しており、矢印Wは自転車幅方向外側又は内側を示している。
【0029】
図13には、本発明の実施形態に例示されるセンサユニット組み付け構造が適用される自転車10が側面図にて示されている。
【0030】
図13に示されるように、自転車10は、前方側に斜め上下方向に沿って配置されるヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12より後方側に斜め上下方向に沿って配置されるシートパイプ14と、ヘッドパイプ12とシートパイプ14とを前後斜め方向に沿って連結するメインパイプ16と、ヘッドパイプ12の下部に連結された前ホーク18の下端部に回転可能に取り付けられた前輪20と、を備えている。また、自転車10は、メインパイプ16の後方側に配置されて後輪22の中心に向かって延在されるチェーンステー24と、シートパイプ14の上端部とチェーンステー24の後端部とを繋ぐと共に後輪22を回転可能に支持するバックホーク26と、を備えている。
【0031】
さらに、自転車10は、メインパイプ16の下端部に幅方向に沿って取り付けられる(固定される)ハンガーパイプ28と、ハンガーパイプ28の内部に回転可能に設けられるクランク軸30と、クランク軸30の幅方向両側に取り付けられるクランクアーム32と、クランク軸30によって駆動される駆動スプロケット34と、を備えている。また、自転車10は、バックホーク26の下端部に設けられる後輪軸36と、後輪軸36に回転可能に取り付けられる後スプロケット38と、駆動スプロケット34と後スプロケット38とに掛け渡されるチェーン40と、を備えている。自転車10では、クランクアーム32に設けられたペダルを踏むと、クランク軸30を介して駆動スプロケット34が回転し、チェーン40が周回移動することで後スプロケット38が回転する。後スプロケット38の回転により後輪22に駆動力が伝達され、自転車10が走行する。
【0032】
また、自転車10の前輪20には、補助電動装置の駆動モータ42が設けられている。シートパイプ14には、補助電動装置の電源であるバッテリー44と、補助電動装置を制御するコントローラ46と、が設けられている。
【0033】
図1には、本発明の第1実施形態であるセンサユニット組み付け構造50が分解斜視図にて示されており、
図2には、センサユニット組み付け構造50が
図1とは逆方向から見た分解斜視図にて示されている。また、
図3には、センサユニット組み付け構造50の組み付け状態が断面図にて示されている。
【0034】
図1及び
図2に示されるように、センサユニット組み付け構造50は、軸芯の方向が自転車10の幅方向に沿って配置される前記ハンガーパイプ28と、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向に挿入されるセンサユニット52と、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aとセンサユニット52との間に設けられる回り止め手段としての回り止め部材54と、を備えている。さらに、センサユニット組み付け構造50は、ハンガーパイプ28の軸方向の他端28B側から矢印B方向に挿入されてセンサユニット52をハンガーパイプ28に固定する円筒状の固定部材56を備えている。
【0035】
センサユニット52は、略円筒状のハウジング60内に前記クランク軸30が予め回転可能に組み込まれている。より詳細には、
図3に示されるように、ハウジング60は、ほぼ一定の外径に形成された円筒部60Aと、円筒部60Aの軸方向の一端部が円筒部60Aの外径より拡径された大径部(一端部)60Bと、を備えている。円筒部60Aの軸方向の他端部(大径部60Bと反対側)の外周面には、雄ねじ部60Cが形成されている。ハウジング60の大径部60Bには、環状体62が外挿されており、環状体62の端縁(大径部60Bの軸方向の一端部側)にはフランジ部62Aが形成されている。本実施形態では、ハウジング60の大径部60Bに形成された雄ねじ部が、環状体62の雌ねじ部にねじ止めされている。
なお、ハウジング60の大径部60Bは、ねじ止めに限定されるものではなく、環状体62に圧入される構成でもよい。また、ハウジング60と環状体62は一体で形成されてもよい。
【0036】
図3に示されるように、ハウジング60内の軸方向両側には、ベアリング64を介して筒状の磁歪軸66が回転可能に支持されている。磁歪軸66は、軸方向の中央部及び一端側が大径とされた大径部66Aと、軸方向の他端側が大径部66Aよりも小径とされた小径部66Bと、を備えている(
図5及び
図6参照)。小径部66Bの内周面には、雌ねじ部86が形成されており、クランク軸30の外周面に形成された雄ねじ部88に締結固定されている。
【0037】
また、大径部66Aの内周面とクランク軸30の外周面との間には、クリアランスが設けられており(隙間が形成されており)、大径部66Aの軸方向の一端部側(小径部66Bと反対側)の内周面とクランク軸30の外周面との間には、円筒状のすべり軸受け68が介挿されている。磁歪軸66の大径部66Aの半径方向外側には、クランク軸30に作用するトルクを検出するトルクセンサ70が配設されている。トルクセンサ70は、磁歪軸66の周面を囲むように配置されており、ハウジング60に回転しないように固定されている。トルクセンサ70にはハーネス76が接続されており、ハーネス76はハウジング60に形成された開口61から外側に延びている。
【0038】
また、
図5及び
図6に示されるように、磁歪軸66の大径部66Aの軸方向の一端部は、軸方向に沿って複数の突部が形成された嵌合部とされ、その嵌合部に前記駆動スプロケット34の内周部が嵌合されている。駆動スプロケット34は、大径部66Aの端部の周溝に嵌入された止め輪90によって磁歪軸66に対して抜け止めされており、駆動スプロケット34は磁歪軸66と一体となって回転する。
図5に示されるように、磁歪軸66の大径部66Aには、軸方向と交差する方向に配置された複数のスリット67Aが設けられた磁歪効果を持つ磁歪箔が巻きつけられ止着されている。スリット67Aは、周方向に沿ってほぼ平行に複数配置されると共に、これらが軸方向に3列配置されている。また、これらの3列の複数のスリット67Aの図中の右隣りには、3列の複数のスリット67Aと略左右対称に配置された3列の複数のスリット67Bが磁歪箔に設けられている。
【0039】
クランク軸30の軸方向両端部には、クランクアーム32(
図13参照)が取り付けられる。左右のクランクアーム32によりクランク軸30に回転が伝えられると、磁歪軸66の軸方向の他端側の小径部66Bがクランク軸30にねじ止めされているため、クランク軸30と共に磁歪軸66が回転する。さらに、磁歪軸66の軸方向の一端側には駆動スプロケット34が取り付けられており、駆動スプロケット34に回転が伝えられる。その際、クランクアーム32からクランク軸30にトルクが作用すると、磁歪軸66にトルクの大小に応じた捩り力が作用する。磁歪軸66に捩り力が作用すると、磁歪箔のスリット67A、67Bの一方に引張力が作用し、他方に圧縮力が作用することで、磁歪箔にトルクの大小に応じた歪が発生する。磁歪箔に歪が発生すると、磁歪箔を構成する磁性材料の透磁率が変化する。
図3に示されるように、トルクセンサ70には、軸方向の両側に磁歪軸66の周面を囲むコイル74が設けられており、透磁率の変化によりコイル74に誘起されるインダクタンスが変化する。このコイル74に誘起されるインダクタンスの変化を検出することで、クランク軸30に作用するトルクを検出する。
図13に示されるように、コントローラ46では、検出されたトルクに基づき、駆動モータ42を制御し、補助動力を出力して前輪20を駆動するようになっている。
【0040】
図1及び
図2に示されるように、センサユニット52には、ハウジング60内に予め磁歪軸66及びクランク軸30が回転可能に組み込まれており(
図3参照)、この状態でセンサユニット52が自転車10のメインパイプ16(
図13参照)の下端部に固定されたハンガーパイプ28に組み付けられる。センサユニット52は、ハウジング60の雄ねじ部60C側が、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向にハンガーパイプ28の内部に挿入される。その際、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aとセンサユニット52の軸方向の一端部のフランジ部62Aとの間に回り止め部材54が介在されている。
【0041】
センサユニット52の軸方向の一端部側のフランジ部62Aには、半径方向内側に凹んだ複数の凹部(回り止め手段)63が設けられている。本実施形態では、複数の凹部63は、フランジ部62Aの周方向に沿ってほぼ等間隔(フランジ部62Aの中心部に対して約90°の位置)に4つ設けられている。
【0042】
回り止め部材54は、幅方向の厚みが薄い環状の本体部54Aと、本体部54Aの外周部から幅方向一方側(組み付け時のセンサユニット52側)に突出した複数の第1係合部54Bと、本体部54Aの外周部から幅方向他方側(組み付け時のハンガーパイプ28側)に突出した複数の第2係合部54Cと、を備えている。本実施形態では、第1係合部54Bは、本体部54Aの中心部から約180°の位置に2つ設けられており、第1係合部54Bがセンサユニット52の凹部63にそれぞれ係合されるようになっている。
【0043】
また、ハンガーパイプ28の一端28A側の外周面には、半径方向内側に窪んだ複数の溝部(回り止め手段)29が軸方向に沿って形成されている。本実施形態では、溝部29は、ハンガーパイプ28の中心部から約180°の位置に2つ設けられている。また、溝部29の底面は、ハンガーパイプ28の一端28Aの端縁から軸方向内側に向かうに従って徐々に浅くなる傾斜面とされている。
【0044】
回り止め部材54の第2係合部54Cは、本体部54Aの中心部から約180°の位置に2つ設けられており、2つの第1係合部54Bの間にそれぞれ設けられている。回り止め部材54は、第1係合部54Bがセンサユニット52の凹部63にそれぞれ係合された状態で、第2係合部54Cがハンガーパイプ28の溝部29にそれぞれ係合されるようになっている。すなわち、センサユニット52がハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向にハンガーパイプ28の内部に挿入されたときに、回り止め部材54の第1係合部54Bがセンサユニット52の凹部63にそれぞれ係合され、回り止め部材54の第2係合部54Cがハンガーパイプ28の溝部29にそれぞれ係合されることで、センサユニット52の軸方向の一端部側(環状体62側)がハンガーパイプ28の一端28Aに対して回転しないように連結される。
【0045】
ハンガーパイプ28の軸方向中央部(本実施形態では下部側)には、センサユニット52から延びたハーネス76が取り出される開口部80が形成されている。センサユニット52の環状体62側が回り止め部材54によりハンガーパイプ28の一端28Aに対して回転しないように連結された状態で、センサユニット52の円筒部60Aの外周面とハンガーパイプ28の内周面との間には、所定のクリアランスが設けられている(
図3及び
図4参照)。このため、センサユニット52をハンガーパイプ28に組み付ける際には、ハーネス76を予めハンガーパイプ28の内側から開口部80を通して外側に引き出した状態で、センサユニット52の雄ねじ部60C側を、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向にハンガーパイプ28の内部に挿入する。これにより、センサユニット52から延びたハーネス76をハンガーパイプ28の開口部80を通して外部に取り出すことができる。
【0046】
固定部材56は、内周面にセンサユニット52の雄ねじ部60Cに螺合される雌ねじ部56Aを備えている。固定部材56のハンガーパイプ28の他端28Bに取り付けられる側の外周部には、ハンガーパイプ28の他端28B側の内周面82に当接する当接部56Bが形成されている。固定部材56の当接部56Bは、組み付け時のハンガーパイプ28の軸方向外側に向かうに従って外径が徐々に拡大する傾斜面(テーパー面)とされている(
図3参照)。固定部材56の当接部56Bの軸方向外側(組み付け時のハンガーパイプ28への挿入方向と反対側)には、フランジ部56Cが設けられている。
【0047】
ハンガーパイプ28の他端28B側の内周面82は、ハンガーパイプ28の他端28B側の端縁から内径が徐々に縮小する傾斜面(テーパー面)とされている。ハンガーパイプ28の内周面82の軸方向に対する傾斜角度は、固定部材56の当接部56Bの軸方向に対する傾斜角度に合わせて形成されている。これにより、
図3に示すように、固定部材56の雌ねじ部56Aがセンサユニット52の雄ねじ部60Cに締結された状態で、固定部材56の当接部(傾斜面)56Bがハンガーパイプ28の他端28B側の内周面(傾斜面)82に当接し、センサユニット52の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させるようになっている。その際、固定部材56の当接部56Bがハンガーパイプ28の他端28Bの内周面82に当接した状態で、固定部材56のフランジ部56Cが、ハンガーパイプ28の他端28Bの端面に接触しない構成とされている。
【0048】
次に、センサユニット組み付け構造50の作用並びに効果について説明する。
【0049】
図1及び
図2に示されるように、センサユニット52をハンガーパイプ28に組み付ける際には、センサユニット52の雄ねじ部60C側を、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向にハンガーパイプ28の内部に挿入する。その際、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aとセンサユニット52の軸方向の一端部側のフランジ部62Aとの間に回り止め部材54を介在させる。
【0050】
そして、回り止め部材54の2つの第1係合部54Bをセンサユニット52の凹部63にそれぞれ係合させ、回り止め部材54の2つの第2係合部54Cをハンガーパイプ28の溝部29にそれぞれ係合させることで、
図4に示すように、センサユニット52の軸方向の一端部側(環状体62側)がハンガーパイプ28の一端28Aに対して回転しないように連結される。
【0051】
また、回り止め部材54によりセンサユニット52の環状体62側がハンガーパイプ28の一端28Aに対して回転しないように連結された状態で、センサユニット52の円筒部60Aの外周面とハンガーパイプ28の内周面との間には、所定のクリアランスが設けられている。このため、センサユニット52をハンガーパイプ28に組み付ける際には、ハーネス76を予めハンガーパイプ28の内側から開口部80を通して外側に引き出した状態で、センサユニット52の雄ねじ部60C側を、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向にハンガーパイプ28の内部に挿入する。これにより、センサユニット52から延びたハーネス76をハンガーパイプ28の開口部80を通して外部に取り出すことができる。
【0052】
さらに、
図4に示されるように、ハンガーパイプ28の軸方向の他端28B側から矢印B方向に固定部材56を挿入し、固定部材56の雌ねじ部56Aをセンサユニット52の雄ねじ部60Cに螺合させる。
図3に示されるように、固定部材56の雌ねじ部56Aをセンサユニット52の雄ねじ部60Cに締結すると、固定部材56の傾斜面からなる当接部56Bが、ハンガーパイプ28の他端28B側の傾斜面からなる内周面82に当接する。これによって、固定部材56によってハンガーパイプ28にセンサユニット52が固定される。その際、固定部材56の傾斜面からなる当接部56Bが、ハンガーパイプ28の他端28B側の傾斜面からなる内周面82に当接することで、センサユニット52の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させる。固定部材56によりセンサユニット52の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させることで、クランク軸30の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に合わせることができる。
【0053】
このセンサユニット組み付け構造50では、センサユニット52をハンガーパイプ28に容易に着脱することができ、作業性が向上する。また、固定部材56の雌ねじ部56Aがセンサユニット52の雄ねじ部60Cに締結され、固定部材56の外周側の当接部56Bがハンガーパイプ28の他端28Bの内周面82に当接されているため、センサユニット52のガタツキを防止又は抑制することができる。
【0054】
また、
図3に示されるように、センサユニット52には、外周面に固定部材56の雌ねじ部56Aを螺合させる雄ねじ部60Cが設けられているため、クランク軸30を回転可能に支持するベアリング64を固定部材56の半径方向内側付近に設けることができる。このため、ベアリング64を固定部材56よりセンサユニット52の軸方向の内側に配置する必要がなく、センサユニット52の左右のベアリング64の幅を大きくとることが可能となる。センサユニット52の左右のベアリング64の幅を大きくとることで、精度の高いトルクの検出が可能となる。
【0055】
また、固定部材56の傾斜面からなる当接部56Bがハンガーパイプ28の他端28B側の傾斜面からなる内周面82に当接するため、センサユニット52の軸芯をより確実にハンガーパイプ28の軸芯に位置させることができる。
【0056】
また、このセンサユニット組み付け構造50では、センサユニット52をハンガーパイプ28に組み付ける際に、センサユニット52を回転させて固定する必要がないため、センサユニット52の磁歪軸66の軸方向一端部に駆動スプロケット34を取り付けた状態で、ハンガーパイプ28に組み付けることができる。このため、組み付け時の作業性がさらに向上する。
【0057】
また、センサユニット52から延びたハーネス76をハンガーパイプ28の開口部80を通して外部に取り出すため、ハンガーパイプの側方からハーネスを取り出す構成と比べて、センサユニットを固定するためにスリーブ又はリングナットの組み付け時の噛み込みや、クランクアームとの干渉の恐れが低減される。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態であるセンサユニット組み付け構造について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0059】
図7に示されるように、センサユニット組み付け構造100は、第1実施形態のセンサユニット組み付け構造50のセンサユニット52及び回り止め部材54に代えて、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向に挿入されるセンサユニット102と、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aとセンサユニット102との間に設けられるスリーブ(回り止め手段)110と、を備えている。
【0060】
図7及び
図8Bに示されるように、センサユニット102は、ハウジング60の円筒部60Aの軸方向の一端部(雄ねじ部60Cと反対側)に、円筒部60Aよりも半径方向外側に突出した回り止め部(回り止め手段)104を備えている。回り止め部104は、軸方向から見て外周部が多角形状(本実施形態では、10角形状)に形成されている。円筒部60Aには、トルクセンサ70に接続されるハーネス108が引き出される開口106が軸方向に沿って設けられている。
【0061】
図7、
図8A及び
図8Bに示されるように、スリーブ110は、センサユニット102の軸方向の一端部(雄ねじ部60Cと反対側)に外挿される構成とされている。スリーブ110は、円筒状の内周面110Aと、内周面110Aの軸方向の一端部側に内周面110Aから段差111を介して拡径される嵌合部110Bと、を備えている。嵌合部110Bは、センサユニット102の回り止め部104に嵌合可能とされており、軸方向から見て内周部が回り止め部104に合わせて多角形状(本実施形態では、10角形状)に形成されている。スリーブ110の嵌合部110Bがセンサユニット102の回り止め部104に嵌合されることで、スリーブ110に対してセンサユニット102が回転しないように連結されるようになっている。本実施形態では、内周面110Aと嵌合部110Bとの間の段差111は、側面視にて内周面110Aに対して直交する方向に配置された縦壁とされている。
【0062】
さらに、スリーブ110は、軸方向の他端部側(組み付け時のハンガーパイプ28側)の外周面に形成された雄ねじ部110Cと、軸方向の一端部の端縁に形成されたフランジ部110Dと、を備えている。
【0063】
ハンガーパイプ28には、軸方向の一端28A側の内周面に、内径が軸方向の先端部から軸方向内側に向かうに従って徐々に縮小されたテーパー面114が形成されている。また、ハンガーパイプ28には、テーパー面114の軸方向内側の内周面に、スリーブ110の雄ねじ部110Cと螺合される雌ねじ部116が形成されている。
図8Aに示されるように、ハンガーパイプ28の雌ねじ部116にスリーブ110の雄ねじ部110Cを螺合させ、スリーブ110のフランジ部110Dがハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aの端面に接触するまで、スリーブ110を締め付ける。これにより、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aにスリーブ110が固定される。
【0064】
センサユニット102のハウジング60内には、クランク軸30と、クランク軸30に外挿されると共にクランク軸30の雄ねじ部88に雌ねじ部86が締結固定される磁歪軸120と、磁歪軸120の軸方向の両端部に配置されるベアリング64と、磁歪軸120の周囲に配設されるトルクセンサ122と、を備えている。
【0065】
なお、本実施形態では、ハンガーパイプ28の雌ねじ部116にスリーブ110の雄ねじ部110Cを螺合させたが、これに限定されるものではなく、スリーブの外周部がハンガーパイプの一端に圧入される構成でもよい。
【0066】
このようなセンサユニット組み付け構造100では、
図8Aに示されるように、ハンガーパイプ28の雌ねじ部116にスリーブ110の雄ねじ部110Cを螺合させ、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aにスリーブ110を締結固定する。この状態で、
図7、
図8B及び
図10に示されるように、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28A側から矢印A方向にセンサユニット102の雄ねじ部60Cを挿入する。そして、センサユニット102から延びたハーネス108をハンガーパイプ28の開口部80から取り出し、センサユニット102の多角形状の回り止め部104とスリーブ110の多角形状の嵌合部110Bとを嵌合させる。その際、センサユニット102の回り止め部104の端面がスリーブ110の嵌合部110Bの奥側の段差111に当接するまでセンサユニット102を挿入する。これによって、センサユニット102の軸方向の一端部の回り止め部104がハンガーパイプ28の一端28Aに対して回転しないように連結される。
【0067】
さらに、
図8Bに示されるように、ハンガーパイプ28の軸方向の他端28B側から矢印B方向に固定部材56を挿入し、固定部材56の雌ねじ部56Aをセンサユニット102の雄ねじ部60Cに締結する。これにより、
図9に示されるように、固定部材56の傾斜面からなる当接部56Bが、ハンガーパイプ28の他端28B側の傾斜面からなる内周面82に当接し、センサユニット102の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させる。これにより、センサユニット102がハンガーパイプ28に固定される共に、クランク軸30の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に合わせることができる。
【0068】
このセンサユニット組み付け構造100では、ハンガーパイプ28の雌ねじ部116にスリーブ110の雄ねじ部110Cを螺合させることで、ハンガーパイプ28の軸方向の一端28Aにスリーブ110が固定され、センサユニット102の回り止め部104をスリーブ110の嵌合部110Bに挿入すればよいため、組み付け時の作業性がより一層向上する。
【0069】
次に、本発明の第3実施形態であるセンサユニット組み付け構造について説明する。なお、第3及び第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0070】
図11に示されるように、センサユニット組み付け構造130は、第2実施形態のセンサユニット組み付け構造100のセンサユニット102及びスリーブ110のみを変更したセンサユニット132とスリーブ(回り止め手段)140とを備えている。センサユニット132は、円筒部60Aと、円筒部60Aの軸方向の一端部側(雄ねじ部60Cと反対側)の回り止め部104との間に、円筒部60Aから回り止め部104に向かって外径が徐々に拡大する傾斜面(テーパー面)134を備えている。言い換えると、センサユニット132の回り止め部104の端部に傾斜面134が形成されている。
【0071】
スリーブ140は、内周面110Aと嵌合部110Bとの間に、内周面110Aから嵌合部110Bに向かって内径が徐々に拡大する傾斜面(テーパー面)142を備えている。言い換えると、スリーブ140の嵌合部110Bの端部に傾斜面142が形成されている。
【0072】
側面視にてセンサユニット132の軸方向に対する傾斜面134の傾斜角度は、スリーブ140の軸方向に対する傾斜面142の傾斜角度とほぼ同じに設定されている。これにより、
図12に示されるように、センサユニット132の多角形状の回り止め部104とスリーブ140の多角形状の嵌合部110Bとが嵌合されたときに、センサユニット132の傾斜面134がスリーブ140の傾斜面142に当接するようになっている。
なお、
図12では、センサユニット132の内部の構成は、
図9と同じであるので、省略している。
【0073】
このようなセンサユニット組み付け構造130では、センサユニット132の傾斜面134がスリーブ140の傾斜面142に当接することで、より確実にセンサユニット132の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させ、クランク軸30の軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に合わせることができる。
【0074】
なお、第1〜第3実施形態では、固定部材56の傾斜面からなる当接部56Bがハンガーパイプ28の他端28Bの傾斜面からなる内周面82に当接する構成であるが、これに限定されるものではない。すなわち、固定部材56の当接部は、ハンガーパイプ28の他端28B側の内周面に当接することで、センサユニットの軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させる形状であれば、変更可能である。例えば、固定部材56の当接部及びハンガーパイプ28の他端28B側の内周面を湾曲面とし、固定部材56の湾曲面とハンガーパイプ28の他端28B側の湾曲面とが接触する構成でもよい。
【0075】
また、第3実施形態では、センサユニット132の回り止め部104の端部の傾斜面134がスリーブ140の嵌合部110Bの端部の傾斜面142に当接する構成であるが、これに限定されるものではなく、センサユニットの軸芯をハンガーパイプ28の軸芯に位置させる形状であれば、変更可能である。例えば、センサユニット132の回り止め部104の端部及びスリーブ140の嵌合部110Bの端部を湾曲面とし、センサユニット132の湾曲面とスリーブ140の湾曲面とが当接する構成でもよい。
【0076】
また、第2及び第3実施形態では、スリーブ110、140の回り止め部が「多角形状」とされているが、これに限定されず、スリーブの内周面の円の一部に1又は2以上の平面部を形成することで、回り止め機能を持たせてもよい。