特許第5872990号(P5872990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿島建設株式会社の特許一覧 ▶ 藤本 卓矢の特許一覧

<>
  • 特許5872990-ミツバチ分蜂検知システム及び方法 図000002
  • 特許5872990-ミツバチ分蜂検知システム及び方法 図000003
  • 特許5872990-ミツバチ分蜂検知システム及び方法 図000004
  • 特許5872990-ミツバチ分蜂検知システム及び方法 図000005
  • 特許5872990-ミツバチ分蜂検知システム及び方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872990
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ミツバチ分蜂検知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 57/00 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   A01K57/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-217867(P2012-217867)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-68606(P2014-68606A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512253257
【氏名又は名称】藤本 卓矢
(74)【代理人】
【識別番号】100129300
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 順之
(72)【発明者】
【氏名】曽根 佑太
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓矢
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許第578919(GB,B)
【文献】 特開2003−210070(JP,A)
【文献】 特開2003−274792(JP,A)
【文献】 特開2001−340038(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3026182(JP,U)
【文献】 特開昭63−24831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 57/00
A01K 47/00−06
A01K 49/00
A01K 51/00
A01K 53/00
A01K 55/00
A01K 59/00
A01K 67/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略閉鎖された内部空間にミツバチが巣板を形成する巣板形成領域と、ミツバチの出入り口である巣門とを少なくとも備えたミツバチ巣を有し、
ミツバチの密集形成を検出する密集ミツバチ検出手段が前記巣門近傍に設置されたミツバチ分蜂検知システム。
【請求項2】
前記密集ミツバチ検出手段がミツバチの密集形成を検出した場合に、分蜂検知情報を発信する分蜂検知情報発信手段を備えた請求項1記載のミツバチ分蜂検知システム。
【請求項3】
前記密集ミツバチ検出手段が温度センサーである請求項1又は請求項2記載のミツバチ分蜂検出システム。
【請求項4】
前記温度センサーが、前記巣門近傍に加え、前記巣門が形成された位置より上方の内壁面、及び/又は、前記巣門が形成された壁面以外の内壁面にも設置された請求項3記載のミツバチ分蜂検知システム。
【請求項5】
前記ミツバチ巣の形成された場所の近隣に、分蜂時にミツバチ群が一時的に待機可能な分蜂誘導手段が設置された請求項1〜4のいずれか一項記載のミツバチ分蜂検知システム。
【請求項6】
略閉鎖された内部空間にミツバチが巣板を形成する巣板形成領域と、ミツバチの出入り口である巣門とを少なくとも備えたミツバチ巣の前記巣門近傍におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチ分蜂の発生を検知するミツバチ分蜂検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミツバチの分蜂発生を検知するシステム及び方法などに関連する。より詳細には、略閉鎖された内部空間にミツバチが巣板を形成する巣板形成領域と、ミツバチの出入り口である巣門とを備えたミツバチ巣を有し、ミツバチの密集形成を検出する密集ミツバチ検出手段が巣門近傍に設置されたミツバチ分蜂検知システム、ミツバチ巣の巣門近傍におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチの分蜂発生を検知するミツバチ分蜂検知方法などに関連する。
【背景技術】
【0002】
ミツバチは、ミツバチ科ミツバチ属に属する昆虫であり、ミツバチの巣内に蜂蜜を生成・貯蔵することが知られている。ミツバチの自然巣から蜂蜜や他の生産物(蜜蝋など)を採取することが、古来より、日本を含む世界中で行われている。また、養蜂業として、巣箱などの人工巣を用いてミツバチを飼育し、その人工巣内で生成された蜂蜜などを回収することも古来より広く行われている。近代養蜂では、可動式巣枠を備えた巣箱などを用いてミツバチを飼育する技術が確立されており、現在においても広く採用されている。これらの巣箱では、自然巣と同様、ミツバチの出入り口である巣門を除いて略閉鎖された内部空間を備え、そこに複数枚の巣枠などが並べて配置され、ミツバチが巣枠に巣板を形成する構成になっているものが多い。
【0003】
日本では、古来より現在に至るまで、ニホンミツバチの自然巣から直接蜂蜜・蜜蝋などを採取することが行われている。一方、養蜂には、日本を含む世界において、セイヨウミツバチが最も多く用いられている。養蜂で用いられるセイヨウミツバチには、大量の蜂蜜を採集できる、大きな個体群を維持しやすいなどの特徴がある。なお、ニホンミツバチは、セイヨウミツバチと比較して採蜜量が少なく、また、逃亡しやすいため、中規模以上の養蜂に用いられることは少ないが、ニホンミツバチの蜂蜜の味・品質などを好む人も多いため、ニホンミツバチの養蜂も、主に個人又は小規模の単位で行われている。
【0004】
一般的に、ミツバチは、主に1匹の女王バチと多数の働きバチとで群体を形成する。女王バチは巣内で産卵を続け、それらは主に働きバチとなる。働きバチは、それぞれ役割を分担しながら、蜜蝋を分泌して巣板を構築し、巣の手入れ、幼虫の世話などを行い、花粉・花蜜の採取、蜂蜜への加工とその貯蔵などを行う。また、働きバチは、巣板の下方部に王台と呼ばれる特別室を作り、そこで、幼虫にローヤルゼリーを与え、次代の女王バチを育成する。
【0005】
例えば、働きバチが増え、群体の規模が拡大した場合、次代の女王バチが誕生する時期にあわせ、ミツバチ群体の分蜂が行われる。女王バチと約半数の働きバチが今まで用いていた巣から出て、新しい営巣場所を探す。その際、この分蜂群の働きバチと女王バチは、新しい営巣場所が見つかるまで、今までの巣の近くの大きな枝の下などで分蜂蜂球を形成し、その場所で一定時間待機する。残りの約半数の働きバチは今までの巣に残り、誕生する次代の女王バチとともに、その巣を維持する。なお、ニホンミツバチは、分蜂の頻度が高いことが知られ、日本では4月〜10月頃までの間に、複数回分蜂する場合もある。
【0006】
都市域などでは、ミツバチの分蜂の際、信号機など、住民の生活圏内において、ミツバチが分蜂蜂球を形成してその場で長時間留まり、周辺住民に恐怖感・警戒感を与える場合がある。また、養蜂においては、分蜂の管理は非常に重要な作業の一つである。分蜂の管理は、各養蜂家の長年にわたる経験・実務知識などに基づいて厳密に行われることが多い。例えば、セイヨウミツバチの養蜂では、採蜜量を大きくするため、古い女王バチを巣箱から抜き取って分蜂を抑制することがある。また、セイヨウミツバチ及びニホンミツバチの養蜂において、個体数・群体数を増加させ、持続的な飼育を行うために、頻繁に巣箱を観察するとともに、分蜂の時期を的確に把握し、分蜂したハチを確実に回収することが重要となる。
【0007】
ミツバチの群体中心部の温度は34〜35℃前後に調節されている。この温度は、蜂児の育成や蜜蝋の作成などに適した温度である。ミツバチは低温時には飛翔筋を振動させることにより温度を上昇させ、高温時には羽を利用して外部から巣内に風を送ることで温度を低下させる生理的仕組みを有しており、群体内部の温度を調節している。また、ニホンミツバチなどは、巣の中に侵入したオオスズメバチなどの天敵に対し、多数で取り囲んで蜂球と呼ばれる塊を作り、蜂球内を47〜48℃前後に上昇させ、天敵を熱死させることが知られている。
【0008】
近年、ミツバチは、「環境指標生物」として注目されている。ミツバチの飛行範囲は半径約2〜4kmであるといわれ、ミツバチが生育するかどうかが、その範囲内に蜜源となる植物が存在するかどうかの指標となる。そこで、都市域に生育するミツバチを保全することに加え、都市域などにおいてミツバチを積極的に飼育することにより、都市域における緑化保全や環境問題への意識の向上を促す活動が全国的に広まりつつある。また、この活動により採取された蜂蜜を町おこしなどに活用する試みも進んでいる。
【0009】
なお、先行文献として、例えば、特許文献1には、横移動できる可動扉と巣門の開閉が可能な倒し蓋を備えた養蜂箱が、特許文献2には、複数段に分離可能に形成された縦長箱型の巣箱内でニホンミツバチに営巣を行わせて、養蜂を行う方法が、特許文献3には、マルハナバチなどの巣箱を収容する恒温箱と、温度制御機器収容箱とダクトとより成る恒温装置が、それぞれ開示されている。
【特許文献1】特開2003−274792号公報
【特許文献2】特開2001−340038号公報
【特許文献3】特開2003−210070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の通り、例えば、都市域などで自然に生育する又は都市域などで人工的に飼育されたミツバチの分蜂群が当該地域の信号機などで分蜂蜂球を形成し、その場で長時間留まったり集団で移動したりすると、その地域を生活圏とする住民などにミツバチに対する不要な恐怖感・警戒感を与える場合があり、環境指標生物としてのミツバチに着目した緑化保全などの活動にも悪影響を与える可能性がある。従って、分蜂の発生を簡易に検知でき、分蜂群のミツバチを確保・回収する手段が必要である。
【0011】
また、養蜂において、個体数・群体数を増加させ、持続的な飼育を行うために、分蜂の管理は非常に重要な作業の一つである。そこで、各養蜂家は、専門家としての長年にわたる経験・実務知識などに基づいて、分蜂の管理を厳密に行っている。しかし、例えば、都市域の学校・事業所などで養蜂の専門家が関与せずにミツバチを飼育する際などにおいては、分蜂に関する知識、若しくは観察頻度の不足により分蜂の管理が不充分となり、ミツバチの持続的な飼育に失敗する場合も多い。従って、養蜂の際においても、分蜂の発生を簡易に検知でき、分蜂群のミツバチを確実に確保・回収する手段が必要である。
【0012】
そこで、本発明は、ミツバチの分蜂の発生を早期かつ簡易に検知でき、分蜂群ミツバチを確実に確保・回収できる手段を提供することなどを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、略閉鎖された内部空間にミツバチが巣板を形成する巣板形成領域と、ミツバチの出入り口である巣門とを少なくとも備えたミツバチ巣を有し、ミツバチの密集形成を検出する密集ミツバチ検出手段が前記巣門近傍に設置されたミツバチ分蜂検知システムを提供する。
【0014】
本発明者らの観察では、ミツバチ分蜂の際、分蜂群ミツバチが巣から出る前に、まず、巣の内壁面などに略扁平状かつ比較的高密度に密集し、内壁面から巣門を経て巣門近傍外部域まで徐々に移動する。この知見に基づき、そのミツバチの密集形成を検出する密集ミツバチ検出手段を巣門近傍に設置し、該領域におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知することができる。
【0015】
例えば、密集ミツバチ検出手段がミツバチの密集形成を検出した場合に、分蜂検知情報を発信する分蜂検知情報発信手段を備えた構成にしてもよい。
【0016】
これにより、管理者が常時そのミツバチ巣を監視しなくても、分蜂発生の兆候を簡易かつ確実に検知でき、管理者は、その分蜂検知情報を知得できる。そのため、実際に分蜂が発生する前に、管理者がミツバチ巣の形成された場所に駆けつけ、分蜂群ミツバチを確実に確保・回収することができる。また、分蜂群ミツバチを確実に確保・回収できるため、例えば、信号機など、住民の生活圏内において、ミツバチが分蜂蜂球を形成してその場で長時間留まることにより、周辺住民に不要な恐怖感・警戒感を与えることを抑止でき、環境指標生物としてのミツバチに着目した活動、例えば、都市域における緑化保全や環境問題への意識の向上を促す活動などを促進できる。
【0017】
密集ミツバチ検出手段として、例えば、光センサー、通過センサーなどを採用できる。例えば、光センサーを巣門近傍に設置した場合、ミツバチが巣門近傍で密集形成すると、密集ミツバチが光を遮断するため、センサーの感知する照度が低下する。この照度の低下を感知することにより、巣門近傍領域におけるミツバチの密集形成を検出できるため、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知することができる。同様に、例えば、通過センサーを巣門近傍に設置した場合、ミツバチが巣門近傍で密集形成すると、巣門を通過する個体数が大幅に上昇したり、密集ミツバチがセンサーを覆うことにより検知不能になったりする。そのため、巣門近傍領域におけるミツバチの密集形成を検出でき、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知することができる。
【0018】
また、密集ミツバチ検出手段は温度センサーであってもよい。本発明者らの観察及びそれに基づく知見より、ミツバチの密集形成の際、その内部温度は、比較的高温状態が維持されることが分かった。従って、ミツバチ巣の巣門近傍に温度センサーを設置し、温度上昇又は温度変化を検知することにより、その領域におけるミツバチの密集形成を検出でき、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知することができる。その他、密集ミツバチ検出手段として温度センサーを採用することには、誤検出を少なくできる、天候や日照時間などの影響が少ない、センサーの構成を簡易にしやすいなどの利点もある。
【0019】
加えて、本発明では、ミツバチ巣の形成された場所の近隣に、分蜂時にミツバチ群が一時的に待機可能な分蜂誘導手段を設置してもよい。これにより、万が一、管理者がミツバチ巣の形成された場所に駆けつけた際に既に分蜂が発生していた場合であっても、分蜂群のミツバチは、新しい巣が見つかるまでの一定時間、分蜂誘導手段上で分蜂蜂球を形成し、分蜂誘導手段で待機しているため、分蜂群ミツバチを確保・回収できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、ミツバチの分蜂発生の兆候を簡易に検知できる。これにより、ミツバチの分蜂が発生した際に、分蜂群をより確実に確保・回収でき、養蜂などに際には、ミツバチの持続的な飼育などにつなげることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<本発明に係るミツバチ分蜂検知システムについて>
本発明は、略閉鎖された内部空間にミツバチが巣板を形成する巣板形成領域と、ミツバチの出入り口である巣門とを少なくとも備えたミツバチ巣を有し、ミツバチの密集形成を検出する密集ミツバチ検出手段が前記巣門近傍に設置されたミツバチ分蜂検知システムをすべて包含する。以下、本発明の実施形態の例を図1図4を用いて説明する。なお、本発明は、これらの実施形態のみに狭く限定されない。
【0022】
図1は、本発明に係るミツバチ分蜂検知システムAに用いるミツバチ巣1の例を示す断面模式図である。
【0023】
図1に示すミツバチ巣1は、巣箱として形成されており、着脱可能な天蓋部11と、主箱12と、継箱13と、底部14とにより、略閉鎖された内部空間Sが形成されている。内部空間Sの上部には、ミツバチが巣板を形成する巣板形成領域R1を備え、該領域R1に複数の巣枠15が着脱自在に設置されている。ミツバチ巣1の壁面下方域(継箱13の側板)には、ミツバチの出入り口である巣門16が設けられている。従って、内部空間Sは巣門16の部分を除いて略閉鎖された構成を備えており、ミツバチは、原則として、巣門16を通過しミツバチ巣1内と外界とを行き来する。
【0024】
ミツバチ巣1は、少なくとも、略閉鎖された内部空間Sにミツバチが巣板を形成する巣板形成領域Rを備え、かつミツバチの出入り口である巣門16を備えたものを広く包含する。即ち、本発明は、自然巣、人工巣の両者に適用可能であり、例えば、ミツバチを飼育するための公知の巣箱も広く用いることができる。例えば、本発明を巣箱に適用する場合、巣箱の形状・構造・材質などについては、公知のものを広く用いることができ、特に限定されない。
【0025】
巣枠15は、ミツバチに巣板を形成させるために用いる枠体であり、図1では、主箱12に着脱自在に設置されている。巣枠15は、通常、巣箱内に略垂直に複数枚が並べられて設置され、天蓋部11を外した後、巣箱(図1では主箱12)から上方に引き抜くことにより、それぞれの巣枠15を取り出すことができる構成となっている。
【0026】
巣枠15には、一般的には、枠内に巣礎が取り付けられている。ミツバチは、巣礎に沿って巣板を形成するため、一つの巣枠15に一つの巣板が形成され、巣枠15を取り出すことにより、その巣枠15に形成された巣板を取り出すことができる。一般的には、巣板の上部に蜂蜜が貯蔵され、巣板の下部に産卵される。また、巣板の下方に王台が形成される。
【0027】
巣門16は、ミツバチの出入り口であり、ミツバチ巣1の内部空間Sと外界とをつなぐ部位である。巣門16の構造・設置箇所などは公知のものを広く採用でき、特に限定されない。
【0028】
本発明に係るミツバチ分蜂検知システムAでは、ミツバチ巣1に一又は複数の密集ミツバチ検出手段2(図1中、符号2a〜2fのいずれか又は複数)を設置する。
【0029】
上記の通り、本発明者らの観察では、ミツバチ分蜂の際、分蜂群ミツバチが巣から出る前に、まず、巣の内壁面などに略扁平状かつ比較的高密度に密集し、内壁面から巣門を経て巣門近傍外部域まで徐々に移動する。従って、そのミツバチの密集形成を検出する密集ミツバチ検出手段2を巣門16の近傍に設置し、該領域におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知することができる。
【0030】
密集ミツバチ検出手段2としては、ミツバチが巣門近傍(又は巣内)においてミツバチの密集形成を検出できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、光センサー、通過センサー、温度センサーなどを広く採用できる。
【0031】
例えば、密集ミツバチ検出手段2として光センサーを用いる場合、日中、自然光の射し込む場所、例えば、ミツバチ巣1の巣門16の近傍外部域などに光センサーを設置してもよい(例えば、図1中、符号2a又は2b)。なお、光センサーとしては、照度又は照度の変化を検知して電気信号に変換しうるものであればよく、公知のものを広く採用できる。
【0032】
例えば、密集ミツバチ検出手段2として通過センサーを用いる場合、ミツバチ巣1の巣門16の近傍外部域などに、通過センサーの発光部と受光部を、それぞれ、分蜂時にミツバチが密集すると想定される箇所を挟むように対面させて設置してもよい(例えば、図1中、符号2a及び2b)。なお、通過センサーとしては、設置区域を通過する個体の有無又は個体数を検知して電気信号に変換しうるものであればよく、光学式のものなど、公知のものを広く採用できる。
【0033】
例えば、密集ミツバチ検出手段2として温度センサーを用いる場合、例えば、ミツバチ巣1の巣門16の近傍内部域及び/又は近傍外部域に一又は複数の温度センサーを設置する(符号2a〜2d)。また、温度センサーが、前記巣門16の近傍(符号2a〜2dのいずれか又は複数)に加え、巣門16の形成された位置より上方の内壁面(例えば、符号2e)、及び/又は、巣門16が形成された壁面以外の内壁面(例えば、符号2f)などにも設置された構成にしてもよい(なお、図1では、符号2fの温度センサーは、巣門16が形成された壁面の対面の内壁面に設置されている)。
【0034】
例えば、ミツバチ巣1の巣門16の近傍内部域(符号2c又は2d)と近傍外部域(符号2a又は2b)の両方に温度センサーを設置した場合、温度センサー2a又は2bにより、ミツバチ巣1の外の温度(外気温)についても検出できる。そのため、例えば、温度センサー2a又は2bによって測定された温度が設定値よりも高く、かつ温度センサー2c又は2dにおける測定値よりも先に温度上昇を検出した際には、分蜂検知情報を発信しないなどの設定にすることにより、夏季などにおいて、単に外気温が高かっただけの際に、誤って分蜂検知情報を発信するなどの誤作動を防止できる。また、例えば、温度センサー2c又は2dにおける温度上昇と、それに引き続く温度センサー2a又は2bにおける温度上昇を検出することにより、ミツバチ分蜂が発生直前であること、即ち、分蜂群がミツバチ巣1から離れる直前であることを予測することも可能である。
【0035】
例えば、ミツバチ巣1の巣門16の近傍内部域に設置された密集ミツバチ検出手段2c及び/又は2dに加え、(1)ミツバチ巣1の巣門16の近傍外部域、(2)巣門16が形成された位置より上方の内壁面、(3)巣門16が形成された壁面以外の内壁面、のいずれか又は複数に温度センサー(それぞれ、符号2a又は2b、2e、2f)を設置した場合、ミツバチ分蜂に際し、分蜂群が集団を形成したまま徐々に移動する状況を予測できるため、単に分蜂の兆候を検知できるだけでなく、あとどれくらいで分蜂が発生するかを予測することが可能になる。また、例えば、温度センサー2e、2fなどにおいて突発的な温度の上昇、温度の異常な低下などを検出することにより、外敵・天敵などの侵入やミツバチの巣からの逃去などの異常事態を検知できる。
【0036】
温度センサーには、温度又は温度上昇を検知して電気信号に変換しうるものであればよく、公知のものを広く採用できる。温度センサーとして、例えば、熱電対、サーミスタなどの接触式、放射温度計などの非接触のものなどが挙げられる。
【0037】
図2は、本発明に係るミツバチ分蜂検知システムA’のシステム構成例を示す図である。
【0038】
図2に示すシステムA’では、ミツバチ巣1内の所定箇所に密集ミツバチ検出手段2が設置され、その密集ミツバチ検出手段2からの検知・測定データ情報又はその情報に基づいて所定の処理を行った分蜂検知情報を発信する分蜂検知情報発信手段3を備えている。
【0039】
図2の密集ミツバチ検出手段2は、ミツバチの密集形成を検出するための情報を検知・測定する検出部21のほか、CPU22、メモリ23、入力手段24、密集形成検出情報送信部25などを備え、検知・測定データを電気信号に変換後、分蜂検知情報送信手段3に送信する。
【0040】
密集ミツバチ検出手段2に温度センサーを用いる場合、例えば、所定時間毎に温度を測定する構成にしてもよい。測定回数は、例えば、入力手段24で入力することにより、設定できるようにしてもよい。この操作で、例えば、測定間隔を、1分〜48時間の間で適宜設定できるようにしてもよい。
【0041】
検知・測定データの送信方式としては、無線LANなど、比較的短距離で送受信可能な公知の方法を適宜採用できる。また、本発明は図2の構成のみに狭く限定されず、例えば、密集ミツバチ検出手段2と分蜂検知情報送信手段3とを直接接続し、一体型にする構成、密集ミツバチ検出手段2と分蜂検知情報送信手段3とを有線ケーブルなどで接続する構成なども広く包含する。
【0042】
図2の分蜂検知情報送信手段3は、密集ミツバチ検出手段2から送信された信号を受信する密集形成検出情報送信部31、CPU32、メモリ33、入力手段34、表示手段35、分蜂検知情報(警告情報)を送信する検知情報送信部36などを備え、密集ミツバチ検出手段2のいわゆる親機として、密集ミツバチ検出手段2から検知・測定データを受信し、その情報又はその情報に基づいて所定の処理を行った分蜂検知情報を、電気通信ネットワーク37を介して、携帯情報端末38へ送信する。
【0043】
検知・測定データ情報に基づいて所定の処理を行う場合、例えば、メモリ33に、予め、分蜂検知情報送信プログラムを格納しておき、密集ミツバチ検出手段2から検知・測定データを受信した際に、該プログラムを実行し、検知・測定情報に基づき、ミツバチ巣1内でミツバチ分蜂の兆候がみられるかどうか判定する構成にしてもよい。その場合、例えば、プログラムによる自動処理により、ミツバチ分蜂の兆候がみられると判定された場合に、管理者などの所持する携帯情報端末38へ、分蜂検知情報(警告情報)を送信するようにしてもよい。その他、検知・測定データ2から受信した検知・測定データを、例えば、検知・測定データを格納・蓄積するデータ格納部39に随時保存する構成にしてもよい。
【0044】
例えば、表示手段35で確認しながら、各種設定を入力手段34で適宜設定できる構成にしてもよい。これにより、簡易に設定変更を行うことができ、操作性を向上できる。設定としては、例えば、光センサーを用いる場合には、測定時刻の設定、照度の低下時間がどの位連続した場合に検知情報を送信するかの設定など、通過センサーを用いる場合には、通過個体数が単位時間当たりどの位以上であれば検知情報を送信するかの設定など、温度センサーを用いる場合には、どの位以上の温度であれば検知情報を送信するかなどの設定など、分蜂検知情報送信プログラムが複数ある場合はどのプログラムを用いるかの選択、送信方法の選択などが挙げられる。また、季節・環境・気候・設置場所などに応じて適宜設定できる構成にしてもよい。
【0045】
例えば、分蜂検知情報などを音声で通知する場合、検知情報送信部36は、電気通信ネットワーク37として、公衆交換電話網、移動体通信システム、簡易移動電話などの電話網に接続し、音声情報を管理者などの携帯情報端末38へ通知する構成にする。その場合、例えば、通知する音声情報を予め録音しておき、分蜂検知情報を通知する際に、管理者などの携帯情報端末38への接続に成功した段階で、その音声情報を再生する構成にしてもよい。
【0046】
例えば、検知・測定データ情報、又は、分蜂検知情報を電子メールなどで通知する場合、検知情報送信部36は、電気通信ネットワーク37として、インターネットなどの通信網に接続し、分蜂検知情報を管理者などの携帯情報端末38へ送信する構成にする。分蜂検知情報を電子メールなどで通知する場合、例えば、送信する文面(電子情報)を予めメモリ33などに保存しておき、分蜂検知情報を通信する際に、その電子データを携帯情報端末38へ送信する構成にしてもよい。
【0047】
その他、本発明は、少なくとも、検知・測定データ情報、又は、分蜂検知情報を、電気通信ネットワーク37を介して管理者の携帯情報端末38などに分蜂検知情報を送信できる仕組みを有していればよく、その具体的手段によって狭く限定されない。
【0048】
図3は、本発明に係る分蜂検知情報送信プログラムの例を示すフロー図であり、検知・測定データ情報に基づいてミツバチ分蜂の兆候がみられるかどうかを判定し、ミツバチ分蜂の兆候がみられると判定した場合に、その分蜂検知情報(警告情報)を携帯情報端末へ送信するためのフローである。
【0049】
図3のフローでは、密集ミツバチ検出手段(図2中、符号2)により検知・測定データが送信され(符号S0)、分蜂検知情報送信手段(図2中、符号3)が該データを受信すると(符号S1)、それ以降の手順が実行される。その際、その検知・測定データをデータ格納部(図2中、符号39)に格納・蓄積するフローを有していてもよい(符号S2)。
【0050】
例えば、一つの密集ミツバチ検出手段を設置した場合は、設置したセンサーに応じて予め照度の連続低下時間、通過個体数、温度などを予め設定しておき、受信した検知・測定データがその設定値以上であるかどうかを判定する(符号S3)。そして、検知・測定データが設定値以上であった場合には、ミツバチ巣内でミツバチ分蜂の兆候がみられると判定し、携帯情報端末(図2中、符号38)に対し、分蜂検知情報を送信し(符号S4)、携帯情報端末では、分蜂検知情報を受信する(符号S5)。測定データが設定以下の値であった場合には、ミツバチ巣内でミツバチ分蜂の兆候はみられないと判定し、分封検知情報を送信せずに、このプログラムを終了する(符号S6)。
【0051】
例えば、一つの温度センサーを用いる場合において、予め温度変化の値を設定しておき、温度測定データを測定ごとに格納・蓄積するとともに、新たな測定データを受信した際には、格納された前回の検知・測定データを取得し、そのデータと今回の測定データとの差分を算出し、温度変化が設定以上の値であった場合に、携帯情報端末に対し、分蜂検知情報を送信するプログラムにしてもよい(符号S2〜S3)。
【0052】
例えば、複数の温度センサーを用いる場合において、全ての温度測定データを測定ごとに格納・蓄積するとともに、予め温度又は温度変化の値を設定しておき、新たな測定データを受信した際に、今までの測定データと新たな測定データを用いて演算し、いずれか又は複数の温度又は温度変化が設定以上の値であった場合に、携帯情報端末に対し、分蜂検知情報を送信するプログラムにしてもよい。その際、それらの各判定結果を適宜組み合わせるようにし、誤作動の可能性の大きいものについては、分蜂検知情報を送信しないようにするステップを適宜加えてもよい。
【0053】
図4は、本発明に係るミツバチ分蜂検知システムAの別の例を示す外観斜視模式図であり、分蜂誘導手段4を設置した場合を示す図である。
【0054】
例えば、図4に示す通り、ミツバチ巣1が形成された場所の近隣に、分蜂時にミツバチ群が一時的に待機可能な分蜂誘導手段4が設置された構成にすることにより、管理者が何らかの理由によりミツバチ巣1が形成された場所に即座に駆けつけることができなかった場合であっても、分蜂群のミツバチは、ミツバチ巣1の巣門16から集団で出た後、新しい巣が見つかるまでの一定時間、分蜂誘導手段上で分蜂蜂球を形成し、その場で待機しているため、分蜂群ミツバチを確保・回収できる。
【0055】
分蜂誘導手段4は、分蜂群のミツバチが一時的に待機する場所を人工的に作製したものである。一般的には、巣の近隣の気の枝の下などに集合しやすいため、それと同様の形状になるようにすることが好ましい。例えば、庇となるような平板状物や、木の枝を筏状に並べて平板状に形成したものなどが好ましい。また、それらの平板状のものの下面に蜂蜜・蜜蝋などを塗ることにより、分蜂群のミツバチがその場所に退避する確率を高くできる。
【0056】
設置場所などは特に限定されないが、ミツバチ巣が形成された場所よりも高いところに設置することが好ましく、また、下向きの平面が形成されていることが好ましい。設置方法についても特に限定されないが、例えば、人工的に設置したポール状の支持部材41などに分蜂誘導手段4を固定してもよく、また、例えば、ミツバチ巣1の近辺に樹木などが生えている場合は、その枝などに固定してもよい。
【0057】
分蜂誘導手段4には、分蜂群検出手段5を取り付けてもよい。分蜂群検出手段5は、分蜂群のミツバチの到来を検出できるものであればよく、光センサーの他、温度センサー、二酸化炭素センサー、接触センサー、通過センサーなど、公知の検出手段を広く用いることができる。例えば、分蜂群検出手段5として光センサーを用いる場合、分蜂群のミツバチが集団で分蜂誘導手段4の下面に集合した場合、それによって分蜂群検出手段5へ到達する光が遮られるため、分蜂群のミツバチが分蜂誘導手段4に集合していることを探知できる。これにより、例えば、ミツバチ巣1内の密集ミツバチ検出手段2により、ミツバチの分蜂を検知できなかった場合でも、分蜂群検出手段5により、ミツバチの分蜂を検知できるため、分蜂群ミツバチを確実に確保・回収することができる。
【0058】
その他、例えば、ミツバチ巣1の近隣に樹木の枝など、ミツバチ巣1よりも高い位置にミツバチの分蜂群が集合しそうな場所が複数ある場合には、それらの場所に分蜂群検出手段5を適宜設置してもよい。
【0059】
<本発明に係るミツバチ分蜂検知方法について>
本発明は、略閉鎖された内部空間にミツバチが巣板を形成する巣板形成領域と、ミツバチの出入り口である巣門とを少なくとも備えたミツバチ巣の巣門近傍におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチ分蜂の発生を検知するミツバチ分蜂検知方法を全て包含する。
【0060】
上記の通り、ミツバチの分蜂の際、分蜂群ミツバチが巣から出る前に、まず、分蜂群ミツバチが巣の内壁面などに略扁平状かつ比較的高密度に密集し、内壁面から巣門を経て巣門近傍外部域まで徐々に移動する。従って、例えば、ミツバチ巣の巣門近傍にミツバチ密集検出手段を設置するなどし、該領域におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知することができる。
【0061】
例えば、ミツバチ巣の巣門近傍においてミツバチの密集形成を検出した場合に、分蜂検知情報を発信することにより、管理者が常時そのミツバチ巣を監視しなくても、分蜂発生の兆候を簡易かつ確実に検知でき、管理者は、その分蜂検知情報を知得できる。そのため、実際に分蜂が発生する前に、管理者がミツバチ巣の形成された場所に駆けつけ、分蜂群ミツバチを確実に確保・回収することができる。
【0062】
その他、例えば、複数の温度センサーなどを用いて、ミツバチ巣内外の複数箇所、例えば、ミツバチ巣の巣門の近傍内部域、ミツバチ巣の巣門の近傍外部域、巣門が形成された位置より上方の内壁面、巣門が形成された壁面以外の内壁面のうちの複数箇所における温度又は温度変化を検出することにより、夏季などにおいて、単に外気温が高かっただけの場合に、誤って分蜂検知情報を発信するなどの誤作動を防止できる他、ミツバチ分蜂に際し、分蜂群が密集したまま徐々に移動する状況を予測できるため、単に分蜂の兆候を検知できるだけでなく、あとどれくらいで分蜂が発生するかを予測することが可能になる。また、例えば、いずれかの温度センサーなどにおいて、突発的な温度の上昇、温度の異常な低下などを検出することにより、外敵・天敵などの侵入やミツバチの巣からの逃去などの異常事態を検知できる。
【実施例1】
【0063】
実施例1では、巣箱の内外に温度センサーを設置し、ミツバチ分蜂が行われる前後における巣内の観察と、各設置箇所における温度変化の測定を行った。
【0064】
図1に示すものとほぼ同様の巣箱を準備し、ニホンミツバチの飼育・増殖を行った。その結果、2012年5月には、分蜂が行われる可能性がある程度にまで、群体の規模が拡大した。
【0065】
そこで、巣箱の巣門近傍内部域(図1中、符号2cの部位)、巣箱上部内壁面(同符号2eの部位)、並びに外気温測定用として巣外に、それぞれ温度センサー(検出部:ナショナルセミコンダクター、型番LM35DZ)を設置し、巣箱内を随時観察するとともに、各箇所の温度変化を5分ごとに測定し、記録した。
【0066】
図5は、各設置箇所における2012年5月12日の時刻ごとの温度測定結果である。図5中、横軸は当日の各時刻を、縦軸は測定温度(単位:℃)をそれぞれ表わす。図5中、「巣門近傍内部域」及び「巣箱上部内壁面」の各プロットは各設置箇所における温度測定結果を、「外気温」のプロットは巣外の温度測定結果を、それぞれ表わす。
【0067】
図5に示す通り、2012年5月12日13時30分頃まで、巣箱の巣門近傍内部域の測定温度は約15℃で推移していたが、14時30分頃に、巣門近傍内部域の測定温度が約25℃に急上昇した。それに対し、巣箱上部内壁面における測定温度及び外気温は特に急激な変化は測定されなかった。
【0068】
巣箱の巣門近傍内部域の測定温度が25℃に急上昇した際、巣箱内の様子を観察した結果、分蜂群のミツバチが巣の内壁面などに略扁平状かつ比較的高密度に密集していた。その後、密集ミツバチは、内壁面から巣門を経て巣門近傍外部域まで徐々に移動した。そして、同日18時頃までにその分蜂群ミツバチはその巣箱を出た。
【0069】
以上の通り、本実施例では、ミツバチ分蜂の際、分蜂群ミツバチが巣から出る前に、まず、分蜂群ミツバチが巣の内壁面などに略扁平状かつ比較的高密度に密集し、内壁面から巣門を経て巣門近傍外部域まで徐々に移動することが観察された。また、本実施例により、巣箱の巣門近傍にミツバチが密集してから数時間後にミツバチ分蜂が行われること、及び、ミツバチ巣の巣門近傍におけるミツバチの密集形成を検出することにより、ミツバチ分蜂の発生を検知できることが分かった。
【0070】
さらに、本実施例より、ミツバチの密集形成の際、その内部温度は、比較的高温状態が維持されていることが明らかになった。従って、本実施例より、ミツバチ巣の巣門近傍に温度センサーを設置し、温度上昇又は温度変化を検知することにより、ミツバチ分蜂の発生の兆候を検知できることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明に係るミツバチ分蜂検知システムAに用いるミツバチ巣1の例を示す断面模式図。
図2】本発明に係るミツバチ分蜂検知システムAのシステム構成例を示す図。
図3】本発明に係る分蜂検知情報発信プログラムの例を示すフロー図。
図4】本発明に係るミツバチ分蜂検知システムAの別の例を示す外観斜視模式図(分蜂誘導手段を設置した場合)。
図5】実施例1に係るグラフであって、巣箱内外の各設置箇所における温度測定結果を表すグラフ。
【符号の説明】
【0072】
1 ミツバチ巣
15 巣枠
16 巣門
2(2a〜2f) 密集ミツバチ検出手段
3 分蜂検知情報送信手段
4 分蜂誘導手段
5 分蜂群検知手段
A ミツバチ分蜂検知システム
R 巣板形成領域
S ミツバチ巣1の内部空間
図1
図2
図3
図4
図5