特許第5872991号(P5872991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5872991複合シートおよび複合シートの製造方法、並びに物品収容具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872991
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】複合シートおよび複合シートの製造方法、並びに物品収容具
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20160216BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B32B27/00 E
   B65D65/40 D
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-238544(P2012-238544)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-87960(P2014-87960A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2013年6月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508275434
【氏名又は名称】株式会社太陽堂成晃社
(74)【代理人】
【識別番号】100071320
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武紀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−050729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
B65D30/00−33/38
B65D65/00−79/02
B65D81/18−81/30;81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレンシートまたはポリエチレンテレフタレートシートのいずれかからなる基材シートの表面にポリエチレンフィルムが接着されてなり該ポリエチレンフィルムの上に不織布が貼着された状態で、該不織布の上面にオフセット印刷が施されてUV照射により硬化されてなることを特徴とする複合シート。
【請求項2】
前記ポリプロピレンシートまたはポリエチレンテレフタレートシートは、厚み0.1〜0.7mmのポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートで形成されることを特徴とする請求項1に記載した複合シート。
【請求項3】
前記不織布は、目付20g/m2 、厚み0.1〜0.5mmのポリプロピレンまたはポリエステル不織布であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載した複合シート。
【請求項4】
ポリプロピレンシートまたはポリエチレンテレフタレートシートのいずれかからなる基材シートにポリエチレンフィルムを接着剤で接着する工程と、前記基材シート上の前記ポリエチレンフィルムの上に不織布を接着する工程と、前記基材シート、前記ポリエチレンフィルムおよび前記不織布の積層体を加圧しつつ送出しながら印圧を加えオフセット印刷し、UV照射で硬化させる工程を含むことを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項5】
前記ポリプロピレンシートまたはポリエチレンテレフタレートシートは、厚み0.1〜0.7mmのポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項4に記載した複合シートの製造方法。
【請求項6】
前記不織布は、目付20g/m2 、厚み0.1〜0.5mmのポリプロピレンまたはポリエステル不織布であることを特徴とする請求項4または5に記載した複合シートの製造方法。
【請求項7】
ポリプロピレンシートまたはポリエチレンテレフタレートシートのいずれかからなる基材シートの表面にポリエチレンフィルムが接着されてなり該ポリエチレンフィルムの上に不織布が貼着された状態で、該不織布の上面にオフセット印刷が施されてUV照射により硬化されてなることを特徴とすることを特徴とする物品収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合シートおよびこの複合シートを製造する方法、並びに前記複合シートを用いた物品収容具に関する。本発明は特に、シート表面に不織布を有し、かつオフセット印刷を施して多用途の機能を有するようにした複合シートおよび複合シートの製造方法、並びに物品収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれ独自の機能もつシートやフィルムを複数枚重ね合せて圧着した複合シートは既に知られており、通常はベース板(台紙)として機能する基材シート上に別のシートやフィルムを貼着し、各々のシートやフィルムでは得られない独自の機能を発揮できるようにしている。このような複合シートにおいて、不織布を構成シートの1要素としたものがある。不織布は日常生活でも通常見かけるものであり、例えば使い捨てカイロの外殻包装シート、花たば包装紙、衣装カバーなどで不織布が使われている。包装材としては、熱可塑性重合体で形成された芯鞘型複合繊維から成る不織布に、熱可塑性重合体から成るマルチフィラメント糸がランダムな方向に堆積され、熱圧着でシート状に一体化したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、包装紙だけでなく、一般のポスターや広告フライヤー、ダイレクトメール、パンフレット、本や雑誌類の表紙等には印刷が施されるが、これらの印刷には鮮明さ等の視認性のほかに、印刷面の接触摩耗による劣化や褪色化が生じないことが求められる。例えば屋外のアスファルト路面、駅構内のプラットホームの床面や建物の外壁に施される表示シートとして、凹凸表面をもつ基材の表面に、凸部を覆いかつ凹部に浸透するインク層を形成し、基材裏面に対象物に貼着するための接着剤層を形成した表示シートも開示されている(特許文献2)。
そのほか、植物繊維パルプから成る不織布の片面に台紙を貼り付け、前記不織布の他方の面に多色刷りによる印刷を施し、さらにこの印刷面の植物繊維を印刷インキと共に起毛させた包装紙材も開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−118229号公報
【特許文献2】特開2010−181700号公報
【特許文献3】特許第3050868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不織布は、縦糸と横糸を織り込んだ織編布にはない種々の利点があるが、不織布単独では硬質性に欠け、この点でその用途も限られる。特に、不織布の表面に鮮明な印刷を施すのに難があり、簡易・安価に印刷を施すことができるオフセット印刷には不向きとされている。不織布に対して鮮明な印刷をするためには、不織布の表面に特別の保護膜や保護層を形成する必要がある。また、織編布に比べて引張り強さにやや劣り、保温性や柔軟性には優れるものの、耐水性には比較的弱いとされている。
【0006】
本発明は、シート表面に独特の美観と共に優れた風合い、肌触りや不滑性等不織布としての利点を確保しつつ、全体として高い引張り強度を有し、かつ不織布の表面に鮮明なオフセット印刷を施すことができ、堅牢性、さらには防水性、形状保持性にすぐれた複合シートおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明はまた、シート表面に印刷を施した場合、模様や印字等の印圧が掛かった部分が局部的に凹状になり、肌ざわりや不滑性、エンボス加工風等の風合いにすぐれた性質を発揮し、これによって包装シートや収納袋、化粧箱、物品カバー、さらにはパンフレットや葉書用紙、名詞用紙等多種の応用が可能となる複合シートおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明はさらに、前記複合シートを用いた物品収容具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、成樹脂製の硬質可撓性基材シートの表面に薄フィルムを介して不織布を貼着したことを特徴とする複合シートが提供される。
【0010】
本発明の他の形態によれば、前記不織布の上面にオフセット印刷されていることを特徴とする複合シートが提供される。簡易・安価なオフセット印刷が可能なことから、外面に任意の表示や不織布風味(肌ざわり、扱い時の手の滑り防止等)の印刷面を有する菓子箱、化粧品箱、デザインカードやパンフレット等として広範な利用が可能となる。
【0011】
本発明の他の形態によれば、前記硬質可撓性基材シートは、厚み0.1〜0.7mmのポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートで形成されることを特徴とする複合シートが提供される。このように前記基材シートを合成樹脂性重合体とすることにより、外面を不織布側とし、内面(裏面)を前記基材シート側として箱体あるいは袋体を形成すれば、箱や袋の内部を防水性とした包装箱、包装袋を構成できる。
【0012】
また本発明の他の形態によれば、前記薄フィルムはポリエチレンフィルムであることを特徴とする複合シートが提供される。これによって前記不織布の接着が容易かつ強固となり、強靱で剥がれや破れのおそれのない複合シートとなる。
【0013】
発明のさらに他の形態によれば、前記不織布は、目付20g/m2 、厚み0.1〜0.5mmのポリプロピレンまたはポリエステル不織布であることを特徴とする複合シートが提供される。このような形態の不織布で毛足の短いものとすることで、安定した鮮明なオフセット印刷が確保される。
【0014】
本発明に係る複合シートの製造方法は、成樹脂製の硬質可撓性基材シートに薄フィルムを接着剤で接着する工程と、前記硬質可撓性基材シート上の前記薄フィルムの上に不織布を接着する工程と、前記硬質可撓性基材シート、前記薄フィルムおよび前記不織布の複合体を加圧しつつ送出する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の形態によれば、前記複合体を加圧しつつ送出する工程は、高印圧を加えつつオフセット印刷する工程を含むことを特徴とする複合シートの製造方法が提供される。簡易・安価なオフセット印刷が可能なことから、外面に不織布風味(肌ざわり、扱い時の手の滑り防止等)の印刷面を有する菓子箱、化粧品箱、デザインカードやパンフレット等として広範な利用が可能となる。
【0016】
本発明の他の形態によれば、前記硬質可撓性基材シートは、厚み0.1〜0.7mmのポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする複合シートの製造方法が提供される。このように前記基材シートを合成樹脂性重合体とすることにより、外面を不織布側とし、内面(裏面)を前記基材シート側として箱体を形成すれば、箱内部を防水性とした包装箱、包装袋を構成できる。
【0017】
本発明の他の形態によれば、前記薄フィルムはポリエチレンフィルムであることを特徴とする複合シートの製造方法が提供される。これによって前記不織布の接着が容易かつ強固となり、強靱で剥がれや破れのおそれのない複合シートが得られる。
【0018】
本発明の他の形態によれば、前記不織布は、目付20g/m2 、厚み0.1〜0.5mmのポリプロピレンまたはポリエステル不織布であることを特徴とする複合シートの製造方法が提供される。このような形態の不織布で毛脚の短いものとすることで、安定した鮮明なオフセット印刷が確保される。
【0019】
また本発明によれば、成樹脂製の硬質可撓性基材シートの表面に薄フィルムを介して不織布を貼着した複合シートで形成され、前記複合シートの前記不織布が外面側となるように袋状または箱状に形成されることを特徴とする物品収容具が提供される。なお、包装袋、収容袋や包装箱、収容箱等をここでは物品収容具と称する。
【0020】
また本発明の他の形態によれば、前記複合シートの不織布外面にオフセット印刷が施されていることを特徴とする物品収容具が提供される。簡易・安価なオフセット印刷が可能なことから、外面に任意の表示や不織布風味(肌ざわり、扱い時の手の滑り防止等)の印刷面を有する菓子箱、化粧箱、各種収容袋とすることができる。
物品収容具の外面が不織布となっていることから、外面が粗面となり、扱い時に手が滑って物品収容具を落としてしまうおそれがなく、また物品収容具の内面が基材シートの平滑面となることから、収容具内面の拭き清掃も容易となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による複合シートは、硬質でしかも可撓性の基材シート上に薄フィルムを介して不織布を加圧接着したので、肌ざわりや風合いのよい複合シートが得られる。硬質の基材シートが補強の機能を果たし、不要な伸びや破損がなく、また表面あるいは外面が粗い不織布となるため、前記包装袋や収納箱としたとき、手から滑り落としたりすることがなくなる。また、前記収容具の内面は平滑な基材シートとなるため、内面が汚れた場合にも拭き取るのが容易となる。
【0022】
さらに、不織布は硬質の基材シートで裏打ちされた形態となるので、不織布に鮮明なオフセット印刷をすることができ、また、印刷時の印圧のために不織布の部分がエンボス加工風となり、また裏面は防水性、耐水性に富んだ複合シートとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1に係る複合シートの断面図である。
図2】本発明に係る複合シートに印刷する場合のオフセット印刷工程を示す概略図である。
図3】本発明の実施例2に係る複合シートを用いた手提げ収容袋の斜視図斜視図である。
図4】本発明の実施例3に係る複合シートを用いた収納箱の斜視図である。
図5】本発明の実施例4に係る複合シートの不織布印刷面の1例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を各種の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0025】
図1に示すように、実施例1による複合シート1は、台紙となるポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートの厚み0.1〜0.7mm程度の基材シート2の表面に不織布の接着をよくするためのポリエチレンフィルム等の薄フィルム3がポリウレタン接着剤にて接着され、さらに薄フィルム3の上面に不織布4が接着されて3層の積層体6が形成され、この積層体6の不織布上面に通常より高い印圧をかけてオフセット印刷による印刷面5が形成された構造となっている。基材シート2は上層の不織布に比べて硬質であり、かつ可撓性を有する。不織布4としては、この実施例1では、ポリプロピレン繊維がランダムに分散されて接着あるいは機械的絡合された3次元繊維集合体として構成される。不織布4は最終工程のオフセット印刷を考慮してできるだけ毛足の短いものが選定される。この場合のポリプロピレン不織布4の厚みは、0.1〜0.5mm、目付は20g/m2 とする。そのほかの機械的物性としては、引張強力(N/5cm)が縦70、横20、破断伸度(%)が縦、横とも17、引裂強力(N)が縦9、横21、通気量(cc/cm2 ・sec)は210である。
【0026】
なお、基材シート2の厚みを0.1〜0.7mm程度としたのは、複合シート1を後述するハガキ、手提げ袋、収納箱等への加工性に適した厚さであるためである。したがって、基材シート2の厚みはこれに限られるものではなく、印刷機にかけることが可能な厚みのシートであればよく、成形品に求められる性質により適宜選択される。例えば、ポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレートとしては12μm以上であればオフセット印刷を施すことが可能である。本発明で採用される不織布としては上述のポリプロピレンに限らず、ポリエステル不織布そのほかの同種の性質をもつ不織布としてもよい。また、不織布の厚み、目付その他の機械的物性は上述したものに限定されない。
【0027】
基材シート2、薄フィルム3および不織布4から成る積層体6は加圧工程にかけられてシート状に延伸される。このシート状積層体6の上面、即ち不織布4の表面にオフセット印刷が施される。この場合、積層体上面の不織布4は毛足の短い不織布に形成される。図2は本発明で採用されるオフセット印刷工程を示したものであり、この場合は4色のインクをUV印刷機90で通常より高い印圧をかけて印刷した後、UV照射で硬化させる。図示のように、湿し水供給装置91から供給された湿し水層と、インキ供給装置92からの印刷インキ層が親油性の画像部分と親水性の非画像部分をもつ版胴93上に形成され、この親油性の部分に印刷インキが付着し、版胴93と接触回転するブランケット胴94に印刷インキが転移される。そしてブランケット胴94と圧胴95の間を通って送られる前記のシート状積層体6の不織布面に印刷がなされる。
【0028】
本発明においては、シート状積層体の形成段階で加圧されるとともに、オフセット印刷工程のブランケット胴と圧胴との間でもシート状積層体に強い印圧がかけられる。このように毛足の短い積層体形成段階とオフセット印刷の段階で加圧を加えることにより、ハイグレードで鮮明な印刷が施された複合シートが得られる。
【実施例2】
【0029】
上述した複合シートは所要の大きさに裁断して例えば名詞、ハガキ、パンフレット等に構成するほかに、立体形に組み立てて手提げ袋、収容箱、小物ケース等、即ち物品収容具として構成できる。図3は実施例1で説明した複合シートで物品収容具の一例である手提げ袋10を構成した例である。外面11となる側部および底部はのり代部分を接着剤で接着し、上部開口12に提げ紐13を取り付ける。この場合、印刷面、つまり不織布の部分が外側になるように構成されている。これによって外観の風合いが良好になるとともに、不織布の性質から外面が粗い手ざわりとなり、扱い時に手で提げたり、あるいは膝に載せた状態でも手提げ袋が滑り落ちたりするのが避けられる。また、袋10の内面は硬質で平滑なポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレートの基材シート面15となるので、防水性が確保されるとともに、含水様の収容物で袋内面が汚れても、簡単に拭きとることができる。さらに一般の紙袋と比べて基材シート、不織布とも引張り強度が強く、破れたりすることがなくなる。特に、不織布の印刷の際に、印圧のかかった部分は局部的に凹状態となり、エンボス加工風となるので、この点でも強さが増し、重い収容物であっても破れたりすることが防止される。
【実施例3】
【0030】
図4は実施例1で示した本発明に係る複合シートによって開閉蓋付きの収容箱(菓子箱、化粧品箱、小物入れ等の物品収容具)20を構成した斜視図である。この場合も印刷面の不織布が箱20の外面21になるようにすることで、使用時に手から滑りにくくなり、かつ箱20の内面22は前述の基材シート面となるため、箱20の内部が汚れにくく、また洋菓子、生菓子、生食品等を入れたとき、これらの収容物で箱内面が汚れた場合にも内部を清掃するのが容易となる。さらに内部の防水性が確保され、強度があり、形くずれを起しにくくなることは実施例2の手提げ袋の場合と同様である。また実施例3の変形例として、箱の外面を基材シートとし、箱の内側に不織布がくるようにすることもできる。例えば、宝石その他の装身具、あるいは情報機器媒体等を長期収納するような場合、箱の内面が粗面となっていることにより、収納物が箱の内面に密着した状態で長期間放置されても、収容物が箱内面に固着してしまうことがなく、収納物の劣化等の原因となるという事態が防止される。
【実施例4】
【0031】
図5は複合シート30の不織布にオフセット印刷した印刷面を例示した平面図である。基材シートによって硬度が確保され、かつ毛足の短い不織布とすることで、鮮明で発色のよいオフセット印刷面が得られる。
【0032】
上述の実施例ではいずれも基材シートとしてポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂重合体で形成した例を示したが、基材シートとしてはこのほかにも比較的硬質でかつ可撓性のある厚紙等で形成してもよい。以上の複合シートの応用例は一例であり、このほかにも表面の滑りにくさを活かした小型携帯通信機器のカバー、カイロ用包装シート、花束の包装シート、衣装カバー、そのほかポスターや雑誌類の表紙等種々の応用が可能である。
【0033】
このように、本発明の複合シートと該複合シートの製造方法によれば不織布の表面に鮮明かつ発色のよいオフセット印刷を施すことできるシート体を提供することができる。したがって、基材シート、不織布、鮮明かつ発色がよい印刷層を有する本発明の複合シートは、不織布と印刷が醸し出す、独特の美観と共に優れた風合いや肌触りや不滑性とあいまって、優れた堅牢性、防水性、強度性、形状保持性等の相乗効果を発揮する。
【符号の説明】
【0034】
1,30 複合シート
2 基材シート
3 薄フィルム
4 不織布
5 印刷面
6 積層体
10 手提げ袋
11 内面
12 上部開口
13 提げ紐
15 基材シート面
20 収容箱
21 収容箱の外面
22 収容箱の内面
90 UV印刷機
91 湿し水供給装置
92 インキ供給装置
93 版胴
94 ブランケット胴
95 圧胴
図1
図2
図3
図4
図5