特許第5873077号(P5873077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873077
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ウルトラキャパシタ用多層電極
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/28 20130101AFI20160216BHJP
   H01G 11/24 20130101ALI20160216BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20160216BHJP
【FI】
   H01G11/28
   H01G11/24
   H01G11/86
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-512112(P2013-512112)
(86)(22)【出願日】2011年5月23日
(65)【公表番号】特表2013-527619(P2013-527619A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011037499
(87)【国際公開番号】WO2011149807
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】12/788,425
(32)【優先日】2010年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ガドカリー,キショアー ピー
(72)【発明者】
【氏名】リム,ジェームズ アール
(72)【発明者】
【氏名】レディー,カムジュラ ピー
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/142913(WO,A1)
【文献】 特開2005−191423(JP,A)
【文献】 特表2009−537434(JP,A)
【文献】 特開2010−045414(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/087984(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/116244(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00
H01G 11/00−11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気二重層キャパシタ用多層電極において、
表裏をなす主表面を有する電流コレクタ、
前記主表面の一方にまたはいずれにも重ねて形成された連続層である融合炭素層であって、炭素粒子の凝集塊を含む層である融合炭素層、
それぞれの前記融合炭素層に重ねて形成された連続層である導電性密着層、及び
それぞれの前記導電性密着層に重ねて形成された活性炭素層、
を有し、
前記活性炭素層内の活性炭素が、多数の細孔を有し、該多数の細孔のうち50%より多くの細孔が、2nm以下の細孔径を有する、
ことを特徴とする多層電極。
【請求項2】
前記融合炭素層が前記電流コレクタの前記主表面のいずれにも重ねて形成されることを特徴とする請求項1に記載の多層電極。
【請求項3】
前記融合炭素層が約0.1〜2μmの平均厚を有し、前記導電性密着層が約0.25〜5μmの平均厚を有することを特徴とする請求項1に記載の多層電極。
【請求項4】
前記活性炭素層内の活性炭素が、
総計細孔体積が≧0.3cm/gになる、≦1nmの径を有する細孔、及び
総計細孔体積が≧0.05cm/gになる、>1nmから≦2nmの径を有する細孔、を含み
径が>2nmの細孔の全ての総計細孔体積が<0.15cm/gになる、
ことを特徴とする請求項1に記載の多層電極。
【請求項5】
電気二重層キャパシタ用多層電極を形成する方法において、前記方法が、
表裏をなす主表面と、前記主表面の少なくとも一方に重ねて形成された連続層である融合炭素層とを有する電流コレクタを提供する工程であって、前記融合炭素層が炭素粒子の凝集塊を含む層である工程、
予電極アセンブリを形成するため、それぞれの前記融合炭素層に重ねて、連続層である導電性密着層を形成する工程、及び
それぞれの前記導電性密着層に重ねて活性炭素層を形成する工程、
を含み、
前記活性炭素層内の活性炭素が、多数の細孔を有し、該多数の細孔のうち50%より多くの細孔が、2nm以下の細孔径を有する、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2010年5月27日に出願された米国特許出願第12/788425号の優先権の恩典を米国特許法第120条e項の下に主張する。本明細書は上記出願の明細書の内容に依存し、上記明細書の内容はその全体が参照として本明細書に含められる。
【技術分野】
【0002】
本開示は全般には電気2重層キャパシタに関し、さらに詳しくは、そのような素子に組み込むための低等価直列抵抗を有する多層電極構造に関する。
【背景技術】
【0003】
ウルトラキャパシタのようなエネルギー蓄積素子は、離散電力パルスが必要とされるような多くの用途に用いることができる。用途の例は、セル式携帯電話から電気/ハイブリッド自動車にわたる。エネルギー蓄積素子は一般に、一対の炭素ベース電極の間に挟み込まれた多孔質セパレータ及び/または有機電解質を有する。エネルギー蓄積は、電荷を分離して電解質と電極の間の界面の電気化学的二重層に蓄積することで達成される。そのような素子の重要な特性は素子が提供できるエネルギー密度及び電力密度であり、これらの特性はいずれも、主に炭素ベース電極の特性によって決定される。
【0004】
高エネルギー密度素子への組込みに適する炭素ベース電極は既知である。そのような電極の基本をなす炭素材料は、天然または合成の前駆体材料で作成することができる。既知の天然前駆体材料には、石炭、堅果殻及びバイオマスがあり、一般的な合成前駆体材料にはフェノール樹脂がある。天然前駆体及び合成前駆体のいずれを用いても、炭素材料は、前駆体を乾留し、得られた炭素を活性化することによって、形成することができる。活性化には物理的(例えば水蒸気)活性化または化学的活性化を含めることができる。
【0005】
高エネルギー密度を達成するため、炭素ベース電極への組込みのための炭素材料は高比キャパシタンスを有するであろう。さらに、素子の電力密度を高めるためには、素子全体にわたる等価直列抵抗(ESR)が低いことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の観点から、高比キャパシタンスを有するが、それでも低等価直列抵抗を示す、炭素材料を含む炭素ベース電極が、大電力/高エネルギー密度ウルトラキャパシタへの組込みに有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態にしたがえば、電気二重層キャパシタのための多層電極は、表裏をなす主表面を有する電流コレクタ、主表面の一方にまたはいずれにも重ねて形成された融合炭素層、それぞれの融着炭素層に重ねて形成された導電性密着層、及びそれぞれの導電性密着層に重ねて形成された活性炭素層を含む。融合炭素層及び導電性密着層は連続層または不連続層とすることができる。活性炭素は、≦1nmの径を有する細孔が≧0.3cm/gの総計細孔体積を与え、>1nmから≦2nmの径を有する細孔が≧0.05cm/gの総計細孔体積を与え、活性炭素の>2nmの径を有する細孔の全ての総計細孔体積が<0.15cm/gになる、細孔径分布を特徴とする。
【0008】
本発明のさらなる利点及び特徴は以下の詳細な説明に述べられ、当業者には、ある程度はその説明から容易に明らかであろうし、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を含み、また添付図面も含む、本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0009】
上記の全般的説明及び以下の詳細な説明が本発明の実施形態を提示し、特許請求されるような本発明の本質及び特質を理解するための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み込まれて本明細書の一部をなす。図面は本発明の様々な実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は一実施形態にしたがう多層電極構造の略図である。
図2図2は融合炭素層の表面SEM写真である。
図3図3はアルミニウム電流コレクタ上に形成された融合炭素層の断面SEM写真である。
図4図4はアルミニウム電流コレクタ上に形成された導電性密着層及び活性炭素層の断面SEM写真である。
図5図5は一実施形態にしたがう多層電極の断面SEM写真である。
図6図6は等価直列抵抗を評価するための試験装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すれば、EDLC用電極のような、多層電極10は、表裏をなす第1の主表面22及び第2の主表面24を有する電流コレクタ20,主表面の一方にまたはいずれにも重ねて形成された融合炭素層30,それぞれの融合炭素層30に重ねて形成された導電性密着層40,及びそれぞれの導電性密着層40に重ねて形成された活性炭素層50を有する。
【0012】
電流コレクタ20は金属(例えばアルミニウム)または導電性金属合金からなることができる。例えば、電流コレクタ20は、厚さが20〜100μm(例えば25〜50μm)のシートに形成されたキャパシタ級アルミニウムからなることができる。
【0013】
電流コレクタ20の主表面の一方にまたはいずれにも重ねて、誘導炭素層30,導電性密着層40及び活性炭素層50がそれぞれ形成される。本明細書に用いられるように、ある層が別の層に「重ねて形成される」場合、それぞれの層は相互に電気的に接触し、一般には、ただし必須ではなく、相互に直接に接触しているであろう。例えば、ある層がパターン付層であるかまたはゼロ厚領域を含む実施形態において、パターン付層に重ねて形成される層は、ある領域においてはパターン付層と直接、物理的に接触し得るが、他の領域では異なる層(例えばパターン付層の前に形成された層)と直接、物理的に接触し得る。
【0014】
実施形態において、融合炭素層30は電流コレクタ上に直接に形成される。融合炭素層30は0.1〜2μmの平均厚を有し得るが、いずれかの与えられた点における実厚は、0.1μmより薄いかまたは2μmより厚いことがあり得る。融合炭素層30は厚さが一定の平滑層とすることができるが、実施形態において、融合炭素層30は粗表面を有し、変動するかまたは不連続な厚さを特徴とする。融合炭素層30の実厚は0〜2μmないしさらに大きい範囲にあり得る(例えば、0,0.1,0.2,0.5,1または2μmであり得る)。実厚は下層に重なるいずれか特定の場所における厚さを意味する。一主表面上に形成された融合炭素層30または両主表面上に形成された一対の融合炭素層を有するアルミニウム電流コレクタ20は、Toyo Tanso USA, Inc(日本国大阪府)から入手することができる。
【0015】
アルミニウム電流コレクタ上に形成された融合炭素層30の表面を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真が図2に示される。融合炭素層30は、ほとんどがサブミクロン径の炭素粒子の凝集塊34を含む。アルミニウム電流コレクタ20の両主表面上に形成された表裏側をなす融合炭素層30の断面SEM写真が図3に示される。
【0016】
導電性密着層が融合炭素層に重ねて形成される。実施形態において、導電性密着層は、カーボンブラック、黒鉛及び、必要に応じて、結合剤の混合物を含む。カーボンブラック及び黒鉛はいずれか適する比で組み合わせることができる。本明細書に開示される例は、概ね等重量部のカーボンブラック及び黒鉛を含む導電性密着層を有する。導電性密着層は、10,20,30,40,50,60,70,80または90±5重量%のカーボンブラックを残余分の黒鉛とともに含むことができる。導電性密着層の平均厚は0.25〜5μm(例えば約0.75μmのような、0.5〜1μm)の範囲とすることができる。融合炭素層と同様、導電性密着層の実厚は一定であるかまたは変動することができる。導電性密着層の実厚は0〜10μmの範囲(例えば、0,0.1,0.2,0.5,1,2,5または10μm)とすることができる。実施形態にしたがえば、導電性密着層を形成するために用いられる材料は、スラリー(例えば水性スラリー)に形成し、融合炭素層被覆電流コレクタの露出表面上に被着させることができる。
【0017】
電流コレクタ20に重ねて形成された活性炭素層50及び導電性密着層40の断面SEM写真が図4に示される。明解さのため、融合炭素層は省略されている。図4は、導電性密着層40の平均厚は約0.3〜0.5μmであるが、導電性密着層の実厚は、いくつかの領域において、平均厚より薄くまたは厚くなり得ることを示す。図の円で囲んだ領域においては、炭素粒子52が電流コレクタ20の第1の主表面22上に直接に突き当たり、ここでは導電性密着層厚がほぼゼロである。活性炭素層と電流コレクタの間の最小距離として定義される、相互作用域は0〜約7μmの範囲に(例えば、0,0.1,0.2,0.5,1,1.5,2,3,4,5,6または7μmに)なり得る。
【0018】
導電性密着層に重ねて活性炭素層が形成される。活性炭素層は微小細孔活性炭素を含むことができる。本明細書に定められるように、微小径細孔は2nmないしさらに小さい細孔径を有する。中径細孔は2〜50nmの範囲の細孔径を有する。大径細孔は50nmより大きな細孔径を有する。一実施形態において多層電極に(例えば活性炭素層に)組み込まれる活性炭素は多数の微小細孔を有する。本明細書に用いられるように、語句「微小細孔炭素」及びこの異形は多数の(すなわち少なくとも50%の)微小径細孔を有する活性炭素を意味する。微小細孔活性炭素材料は50%より高い微小細孔度(例えば、50,55,60,65,70,75,80,85,90または90%より高い微小細孔度)を有することができる。
【0019】
微小細孔炭素は約300m/gより大きい、すなわち、300,350,400,500または1000m/gより大きい比表面積を有することができる。例として、微小細孔炭素は2500m/gより小さい、すなわち2500,2000,1500,1200,または1000m/gより小さい、比表面積を有することができる。
【0020】
一例の実施形態において、微小細孔炭素は、総計細孔体積が少なくとも0.3cm/gになる1nmまでの径を有する細孔、及び総計細孔体積が少なくとも0.05cm/gになる1nm〜2nmの径を有する細孔を有し、2nmより大きい径を有する細孔の総計細孔体積は0.15cm/gより小さい。
【0021】
EDLCの性能は電極の特性、実際には炭素の特性に密接に関係付けることができる。次世代のウルトラキャパシタを含む、EDLCの開発における難題は、電力密度レベルを維持しながら、エネルギー密度を高めることである。この難題を克服するための一手法は電流コレクタと活性炭素層の間の界面におけるESRを低めることを含む。
【0022】
本明細書に開示される多層電極は従来の電極構造に対して改善されたESRを有する。有利なことに、多層電極構造は機械的頑健性を助長し、例えば、高温安定性及び電解質充填の前に多層電極を一層完全に乾燥できる能力を助長する。作成中または作成後の電極の乾燥は吸収水の除去を容易にし、水は除去されなければデバイス性能及び長期安定性に害を与えるであろう。さらに、多層構造は、下層の電流コレクタ(例えばアルミニウム)を、使用中の電気化学的腐蝕またはその他の望ましくない寄生反応から保護する。
【0023】
炭素材料に関しては、総有効細孔度及び細孔径分布がEDLC性能に強く影響し得る。電解質イオンの炭素の内表面へのアクセスにはかなりの量の中径細孔が必要であると普通考えられている。しかし、出願人等は、細孔のほとんどが微小細孔で中径細孔はほとんどない活性炭素がかなり大きい中径細孔度を有する市販炭素よりEDLCにおいて優れた性能及びかなり高い体積比キャパシタンス(または体積比エネルギー密度)を示すことを実証した。この利点は本明細書に開示される活性材料の独特な細孔径分布に帰因させ得る。
【0024】
実施形態にしたがえば、活性炭素層は0.4cm/gより大きい(例えば、0.4,0.45,0.5,0.55,0.6,0.65または0.7cm/gより大きい)総多孔度を有する活性炭素材料を含む。総細孔体積の内の微小細孔(d≦2nm)から得られる部分は、95%以上(例えば、少なくとも95,96,97,98または99%)になることができ、総細孔体積の内の超微小細孔(d≦1nm)から得られる部分は、60%以上(例えば、少なくとも60,65,70,75,80,85,90または95%)になり得る。
【0025】
活性炭素の細孔径分布は、超微小細孔、微小細孔、中径細孔及び大径細孔を含むことができ、単極大、双極大または多極大をもつ細孔径分布を有するとして特徴を表すことができる。超微小細孔は総細孔体積の内の0.3cm/g以上(例えば0.4cm/g以上)を占めることができる。1<d≦2nmの範囲の細孔径(d)を有する細孔は総細孔体積の内の0.05cm/g以上(例えば少なくとも0.1,0.15,0,2または0.25cm/g)を占めることができる。存在すれば、中径細孔及び/または大径細孔を含むことができる、2nmより大きい細孔径を有する全ての細孔は総細孔体積の内の0.15cm/g未満(例えば少なくとも0.1または0.05cm/g未満)を占めることができる。
【0026】
様々な実施形態において、微小細孔活性炭素はリグノセルロースまたは非リグノセルロース(NLC)前駆体から形成することができる。活性炭素材料を作成するための方法の例には、第1の炭素材料を形成するために天然の非リグノセルロース炭素前駆体を不活性または還元性の雰囲気内で加熱する工程、水性混合物を形成するために第1の炭素材料を無機化合物と混合する工程、無機化合物を第1の炭素材料に取り込むために水性混合物を不活性または還元性の雰囲気内で加熱する工程、及び微小細孔活性炭素材料を作成するために第1の炭素材料から無機化合物を除去する工程を含む。
【0027】
上記の例において、天然の非リグノセルロース炭素前駆体は、前記対材料を炭化するに有効な温度において加熱することができる。炭化温度の例は約450℃より高い(例えば、少なくとも450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃または900℃である)。炭素前駆体の炭化中に用いられる不活性または還元性の雰囲気は、水素、窒素、アンモニア、ヘリウムまたはアルゴンの内の1つまたはさらに多くの気体あるいは混合気を含むことができる。
【0028】
炭素前駆体の炭化後、得られた第1の炭素材料は無機化学活性化剤と混合することができる。第1の炭素材料を活性化するために用いられる無機化合物には、水酸化アルカリまたは塩化アルカリ(例えば、NaOH,KOH,NaCl,KCl)、リン酸あるいはCaClまたはZnClのようなその他の適する塩を含めることができる。
【0029】
第1の炭素材料と無機化合物はいずれか適する比で組み合わせることができる。無機化合物に対する第1の炭素材料の比(重量%/重量%)は約10:1から1:10の範囲(例えば、9:1,8:1,7:1,6:1,5:1,4:1,3:1,2:1,1:1,1:2,1:3,1:4,1:5,1:6,1:7,1:8または1:9)とすることができる。有利なことに、混合する工程は第1の炭素材料を無機化合物の水性混合物と混合する工程を含むことができる。混合中、無機化合物は第1の炭素材料と均一にまたは実質的に均一に混合することができる。一手法において、無機化合物は初めに水のような溶剤に溶解させることができる。無機化合物を含む溶液は次いで第1の炭素材料と組み合わされ、得られた混合物は、無機化合物を第1の炭素材料と完全に混合させるに有効な時間をかけて熟成させることができる。例として、混合物は、0.5,1,2,4,8時間ないしさらに長い時間(例えば0.5〜8時間)かけて熟成させることができる。
【0030】
無機化合物が第1の炭素材料と混合され、必要に応じて熟成された後、混合物は第1の炭素材料に無機化合物を取り込むに有効な温度で加熱される。混合物は、炭素を活性化するため、あらかじめ定められた時間(例えば、0.5,1,2,4,8時間ないしさらに長い時間)、不活性または還元性の環境内で約300℃〜1000℃の温度で加熱される。
【0031】
炭化/活性化に続いて、無機化合物も、また無機化合物に関わる反応から生じたいかなる化学種も、除去するために洗浄し、乾燥させ、必要に応じて、微小細孔活性炭素材料を作成するために粉砕することができる。
【0032】
無機化合物を抜き取るための好ましい溶剤は水である。必要に応じて、抜取り溶剤は酸を含むことができる。無機化合物を除去するための一プロセスは、活性化炭素を水と酸で順次にリンスする工程を含む。無機化合物を除去するための別のプロセスは、水性酸混合物(例えば水と酸の混合物)で活性炭素をリンスする工程を含む。抜取り中に用いられる酸は塩酸を含むことができる。無機化合物を抜き取るプロセスにより微小細孔活性炭材料が形成され、細孔の大多数は、先に無機化合物で満たされていた体積によって定められる。
【0033】
ウルトラキャパシタの性能(エネルギー密度及び電力密度)は多層電極に組み込まれる活性炭素材料の特性に大きく依存する。上述した方法にしたがって形成された活性炭素は、経済的に実施できる高電力/高エネルギー密度素子用多層電極の形成に用いることができる。活性炭素の特性は、続いて、材料の多孔度及び細孔分布、酸素含有量及び、そのような電極に組み込まれたときの、活性炭素材料の電気特性を評価することによって測ることができる。該当する電気特性には、面積比抵抗及び面積比キャパシタンスがある。
【0034】
必要に応じて、活性炭素内の酸素含有量は低酸素含有材料を形成するために活性炭素を加熱することによって低減することができる。酸素含有量低減熱処理工程は、不活性または還元性の雰囲気内で酸素含有量を低減するに有効な温度に微小細孔活性炭素を加熱する工程を含む。
【0035】
活性炭素内の酸素含有量を低減するために不活性または還元性の気体とともに用いることができる炉温度は、約200℃から1200℃の範囲にある(例えば、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃または1200℃である)。適する不活性ガスには窒素(N)及びアルゴン(Ar)がある。実施形態において、還元性気体には、水素(H)、アンモニア(NH)または水素と窒素を含む混合気(すなわちフォーミングガス)を含めることができる。混合気内の水素含有量は6%ないしさらに少なく(例えば、6,5,4,3,2または1%Hより少なく)することができる。一実施形態にしたがえば、低酸素含有/微小細孔活性炭素材料は5重量%より少ない(例えば、5,4.5,4,3.5,3,2.5,2,1.5,1または0.5重量%より少ない)酸素含有量を有する。
【0036】
形成されると、微小細孔活性炭素は多層電極の1つまたはさらに多くの活性炭素層に組み込むことができる。代表的な電気二重層キャパシタ(EDLC)においては、一対の電極が多孔質セパレータで隔てられ、電極/セパレータ/電極スタックが液体の有機電解質または無機電解質で浸潤される。活性炭素層は、他の添加剤(例えば結合剤)と混合され、圧密されて薄いシートにされ、導電性密着層及び融合炭素層を介して電流コレクタに積層される。電気二重層キャパシタに加えて、開示される多層電極はバッテリーまたは燃料電池のようなその他の電気化学電極/デバイス構造にも組み込むことができる。
【0037】
例として、80〜90重量%の微小細孔活性炭素、0〜10重量%のカーボンブラック及び5〜20重量%の結合剤(例えばPTFEまたはPVDFのようなフルオロカーボン)を含む粉末混合物を圧延及びプレスすることにより、約50〜300μmの範囲の厚さを有する活性炭素層を作成することができる。必要に応じて、粉末混合物をプレスしてシートに成形し、乾燥させることができる、ペーストにするために溶剤を用いることができる。活性炭素含有シートは、カレンダーで圧延するか、打ち抜くか、または別の方法でパターン成形し、導電性密着層に積層して多層電極を形成することができる。多層電極に組み込む前に、活性炭素含有シートの例は、それぞれ、18インチ(457.2mm)、3.75インチ(95.25mm)及び250μmの長さ、幅及び厚さを有することができる。多層電極はエネルギー蓄積素子に組み込むことができる。
【0038】
多層電極10の断面SEM写真が図5に示される。多層電極は、電流コレクタ20,電流コレクタの一主表面に重ねて形成された融合炭素層30,融合炭素層30に重ねて形成された導電性密着層40及び導電性密着層に重ねて形成された活性炭素層50を有する。
【0039】
使用中、表側及び裏側の電極上に蓄積する蓄積電荷によって電気二重層が形成され得る。電気二重層に蓄積される電荷の量は達成できるキャパシタのエネルギー密度及び電力密度に強く影響する。カーボンベース複合材フィルムの特性を測定することにより、微小細孔活性炭素材料の電気特性(例えば体積キャパシタンス及び重量キャパシタンス)を評価することができる。
【0040】
本明細書で評価される活性炭素層は、85重量%の活性炭素材料、5重量%の導電性炭素(例えば、米国マサチューセッツ州ボストン(Boston)のCabot Corporationから市販されている、Black Pearls(登録商標))、及び10重量%のテフロン(登録商標)(PTFE)を含む。活性炭素層は、融合炭素被覆電流コレクタに重ねて形成された導電性密着層(50重量%の黒鉛と50重量%のカーボンブラック)に重ねて積層される。
【0041】
複合材のシートから直径が0.625インチ(15.9mm)の炭素ディスクを打ち抜くことによって、ボタン型セルを形成することができる。同等の炭素ディスクの間にセパレータが配置され、この炭素ディスク/セパレータ/炭素ディスク構造は続いて2枚の導電性炭素被覆アルミニウム電量コレクタの間に挟み込まれる。セルを封止するため、アセンブリの周縁に熱硬化性ポリマーリングが形成され、セルは、テトラエチルアンモニウム−テトラフルオロボレート(TEA-TFB)のアセトニトリル溶液のような有機電解質で満たされる。適する電解質濃度は1〜2モルの範囲にあり、例えば1.25,1.5,1.75または2モルとすることができる。
【0042】
セルのキャパシタンス(Cセル)は定電流放電によって測定される。セルは初めに所望の電圧(例えば2.7V)まで定電流(i充電)で充電され、続いて定電流(i放電)で放電される。オームの法則により、キャパシタ電流(i)は式(1):
【数1】
【0043】
にしたがい、キャパシタ電圧の時間微分に比例する。式中、Cはキャパシタンス(ファラッド(F))であり、Vはセル電圧(ボルト(V))であり、tは時間(秒)である。
【0044】
次いで、定電流放電曲線(セル電圧対時間)から勾配を測定することにより、式(2):
【数2】
【0045】
としてセルキャパシタンスを計算することができる。
【0046】
セルキャパシタンスはそれぞれの炭素ディスクの電気化学二重層によって表される2つの個々のキャパシタンスの調和和である(直列キャパシタンス)。この関係は式(3):
【数3】
【0047】
として表すことができる。式中、C及びCはセルの個々の炭素ディスクの二重層キャパシタンスである。
【0048】
これらのキャパシタンスの大きさは炭素ディスクの体積比キャパシタンスと式(4)及び(5):
【数4】
【数5】
【0049】
として相互に関連付けることができる。式中、C比,1及びC比,2はそれぞれの炭素ディスクの比キャパシタンス(F/cm)であり、V及びVは対応する電極体積である。試験セルには同等の寸法及び組成を有するディスクを用いているから、C=C,C比,1=C比,2(=C)及びV=V(=V/2,式中Vはセル内の炭素の総体積(cm))である。式(3),(4)及び(5)はまとめて、式(6):
【数6】
【0050】
すなわち式(7):
【数7】
【0051】
として体積キャパシタンス,Cを与えることができる。
【0052】
エネルギー蓄積素子にはウルトラキャパシタを含めることができる。ウルトラキャパシタは、ロールケーキ形状、プリズム形状、ハニカム形状またはその他の適する形状をとることができる。微小細孔炭素含有多層電極は、炭素−炭素ウルトラキャパシタに、またはハイブリッドウルトラキャパシタに組み込むことができる。炭素−炭素ウルトラキャパシタにおいては、正電極及び負電極のいずれもが活性炭素を含む。ハイブリッドキャパシタにおいては、電極の一方が炭素ベースであり、他方の電極は、酸化鉛、酸化ルテニウム、水酸化ニッケルのような擬容量性材料または、導電性ポリマー(例えばパラフルオロフェニルチオフェン)のような、その他の材料とすることができる。
【0053】
非リグノセルロース前駆体を用いて作成された微小細孔活性炭素は、大半の市販炭素に比較して、EDLCにおいてかなり高いエネルギー蓄積容量を提供する。例えば、本開示にしたがう微小細孔活性炭素層型層電極に組み込まれた場合に、体積比キャパシタンスは70F/cmより大きい(例えば、70,75,80,85,90,92,94,96,98または100F/cmより大きい)。
【0054】
開示される多層電極の等価直列抵抗は膜厚方向面積比抵抗測定を用いて推定することができる。理論に束縛されることは望まずに、融合炭素層は電流コレクタと密接触を形成することができ、これは界面における電気接触抵抗を低める。しかし、融合炭素層は活性炭素層と十分には密着しない。実際、様々な試験試料の融合炭素層−活性炭素層界面は機械的に弱い高抵抗間隙を示した。融合炭素層と活性炭素層の間に導電性密着層を形成することにより、低界面接触抵抗を示す、機械的に安定な多層電極を形成することができる。
【0055】
自立炭素電極の膜厚方向電気抵抗は図6に簡略に示される試験装置400を用いて測定することができる。試験装置400は、それぞれが1インチ(25.4mm)の直径を有し、0.5ミル(12.7μm)厚銀箔で覆われた、2枚のセラミックディスク412,414を備える。セラミックディスク412,414は、上プラテン422及び下プラテン424を有するInstron(登録商標)電気化学試験システム(Model 4202)に取り付けられる。上プラテンに力Fをかけることにより、セラミックディスク412,414を介して試料430にあらかじめ定められた荷重をかけることができる。
【0056】
試験されるべきそれぞれの多層電極430の直径が測定され、試料がセラミックディスク412,414の間に中心を合わせて置かれる。銀箔が標準4線構成でデジタルマルチメータ(Keithley Instrumental Model 2700)に接続される。100ポンド(45.4kg)の加重が多層電極にかけられ、マルチメータで、既知の大きさの電流(i)を外側のリード446a及び446bに印加して、内側のリード448aと448bの間に得られる電圧(V)を測定する。
【0057】
測定された電圧値が抵抗値に変換される。試料が存在しないときの銀箔間の抵抗値に相当する背景抵抗値が測定された抵抗値から差し引かれる。マルチメータは1μΩの分解能で抵抗値を測定することができる。報告される値は同じ多層電極の少なくとも3つの相異なる試料からの測定値の平均値である。
【0058】
それぞれの多層電極の測定された抵抗値(R,単位:Ω)は、電極材料の比抵抗(ρ,単位:Ω-cm),電極の厚さ(l,単位:cm)及び銀箔と接触している電極の幾何学的面積(A,単位:cm)と既知の関係式(8):
【数8】
【0059】
にしたがって相互に関連付けることができる。
【0060】
次いで、電極の面積比抵抗(R,単位:Ω-cm)が式(9):
【数9】
【0061】
で与えられる。
【0062】
面積比抵抗測定については、試料は、形成されたままの状態で試験され、150℃16時間のオーブン内処理後に再び試験される。
【実施例】
【0063】
以下の実施例により、本発明はさらに明解になるであろう。
【0064】
実施例1(対照)
市販の電流コレクタ(Exopack,米国ニースカロライナ州マシューズ(Matthews))の両面に基準活性炭素層を室温で積層した。活性炭素層厚は約250μmである。本実施例に、また以下の実施例にも、用いられる基準活性炭素層は、市販の活性炭素材料(クラレカーボン社(Kuraray Carbon Inc.),日本国大阪府)を含み、活性炭素材料は、85重量%の活性炭素材料、5重量%のカーボンブラック及び10重量%の「テフロン」(PTFE)の比で、カーボンブラック及び結合剤と組み合わせた。
【0065】
測定された膜厚方向面積比抵抗は(作成されたままの状態で)0.25Ω-cmであり、16時間150℃の熱処理後は0.90Ω-cmであった。
【0066】
実施例2(対照)
重量部がほぼ等しいカーボンブラック及びグラファイトを含む導電性インクの水性スラリーをアルミニウム1145H19ホイルの両面上にディップコーティングした。それぞれの導電性密着層の平均厚は約1〜3μmであった。導電性密着層に重ねて基準活性炭素層を200℃の積層温度及び250psi(1.72×10Pa)の積層圧力で積層した。活性炭素層の厚さは約250μmであった。得られた電極の、形成されたままの状態の膜厚方向面積比抵抗は0.04Ω-cmであった。150℃16時間の熱処理後の膜厚方向面積比抵抗は0.05Ω-cmであった。
【0067】
実施例3〜5(対照)
日本国東京都のKDKコーポレーションから市販されている、予エッチングされたアルミニウム電流コレクタを用いて、実施例2の実験を繰り返した。基板はそれぞれのエッチング手続きの,G571,C208またはC209で指定される。G571に対応するアルミニウムは約75μm厚であり、C208及びC208に対するアルミニウムは約50μm厚である。基準活性化炭素層の積層後、膜厚方向面積比抵抗は、形成されたままの状態の電極及びストレス試験後の電極のいずれについても0.05〜0.06Ω-cmの範囲にわたって変動した。
【0068】
実施例6
従来の電流コレクタの代わりに50μm厚融合炭素被覆アルミニウムシート(東洋炭素,日本国大阪府)を用いて実施例2の実験を繰り返した。融合炭素被覆の平均厚は1μm未満である。膜厚方向面積比抵抗は、15℃-16時間ストレス試験の前及び後のいずれにおいても0.03Ω-cmであった。多層電極構造への融合炭素被覆電流コレクタの導入はアルミニウムと活性炭素の間の界面における界面抵抗を実質的に低減する。実施形態において、両面多層電極の膜厚方向面積比抵抗は0.1Ω-cm未満であった。
【0069】
実施例A及びB(対照)
活性炭素層にNLC活性炭素(85重量%のNLC活性炭素、5重量%のカーボンブラック及び10重量%のPTFE結合剤)を用いてウルトラキャパして試験セルを作成した。この活性炭素層を実施例2のディップコーティング電流コレクタに重ねて積層した。得られたセルのRC時定数は1.3秒と1.5秒の間であり、ほぼ500Fのキャパシタンスを示した。
【0070】
実施例C
実施例1〜6の膜厚方向面積比抵抗データ及び実施例AとBの実験試験セルデータに基づいて、本明細書に説明されるような多層電極を備える試験セルのモデルをつくり、対応する試験セル統計を計算した。多層電極を備え、活性炭素層にNLC炭素を含む、試験セルについて得られたRC時定数は約1秒と推定され、これは驚くべき有益な結果であり、モデルの構造により、高エネルギー密度及び高電力密度のいずれをも有する素子が可能になるであろうことを示唆している。
【0071】
実施例1〜6についての膜厚方向面積比抵抗データを表1にまとめてある。データにはストレス試験前及びストレス試験後のいずれのR値もまとめて置いた。それぞれの測定値についての誤差は、値が0.90±0.15Ω-cmのExopack電極についてのストレス試験後の結果を除き、±0.01Ω-cmである。
【表1】
【0072】
実施例A〜Cで評価し、モデル化したウルトラキャパシタセルについての電気データを表2にまとめてある。
【表2】
【0073】
本明細書に開示される多層電極を含む多層は、機械的頑健性を助長し、得られた電極構造の界面抵抗を、従来の電極に比較して低減し、また安定化もする。関連する多層電極の形成方法は、従来方法によって負わされる、電流コレクタの洗浄、エッチングまたは追加のプロセスへの依存性を弱める。
【0074】
本明細書に用いられるように、単数形の冠詞‘a’,‘an’及び‘the’は、そうではないことを文脈が明白に規定していない限り、複数の指示対象を含む。すなわち、例えば、「層」への言及は、そうではないことを文脈が明白に示していない限り、2つないしさらに多くのそのような「層」を有する例を含む。
【0075】
本明細書において範囲は[「約」1つの特定値]から、及び/または[「約」別の特定値]までのように表され得る。範囲がそのように表される場合、例はその1つの特定値から及び/またはその別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表されている場合は、その特定の値が別の態様をなすことは理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点が、他方の端点との関係でも、他方の端点とは独立にも、有意であることは理解されるであろう。
【0076】
そうではないことが明白に述べられていない限り、本明細書に述べられるいずれの方法もその工程が特定の順序で実施されるべきであることを要求していると解されることは全く意図されていない。したがって、方法特許請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていないか、あるいはそうではなくともその工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求項または説明に特に言明されていない場合には、いかなる特定の順序も推測されることは全く意図されていない。
【0077】
本明細書の叙述は、特定の方式で機能するように「構成」または「適合」されている、本発明のコンポーネントに関することにも注意されたい。この点に関し、そのようなコンポーネントは、特定の特性を具現化するようにあるいは特定の態様で機能するように、「構成」または「適合」されており、そのような叙述は、目的用途の叙述に対するものとして、構造の叙述である。さらに詳しくは、コンポーネントが「構成」または「適合」される態様への本明細書の言及はコンポーネントの既存の物理的状態を表し、したがって、コンポーネントの構造的特性の限定的な叙述としてとられるべきである。
【0078】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。本発明の精神及び本質を組み入れている開示された実施形態の改変、組合せ、準組合せ及び変形が当業者には思い浮かび得るから、本発明は、添付される特許請求項及びそれらの等価形態の範囲内の全てを含むと解されるべきである。
【符号の説明】
【0079】
10 多層電極
20 電流コレクタ
22,24 電流コレクタ主表面
30 融合炭素層
40 導電性密着層
50 活性炭素層
図1
図2
図3
図4
図5
図6