特許第5873112号(P5873112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5873112高スチレン高ビニルスチレン−ブタジエンゴムおよびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873112
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】高スチレン高ビニルスチレン−ブタジエンゴムおよびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/08 20060101AFI20160216BHJP
   C08F 236/06 20060101ALI20160216BHJP
   C08F 2/38 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C08F212/08
   C08F236/06
   C08F2/38
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-555873(P2013-555873)
(86)(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公表番号】特表2014-506950(P2014-506950A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】EP2012053523
(87)【国際公開番号】WO2012119917
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】11156988.5
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】エフェマリー ハマン
(72)【発明者】
【氏名】シルビア バレンティ
(72)【発明者】
【氏名】カリン シュミデル
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−227648(JP,A)
【文献】 特開昭57−100112(JP,A)
【文献】 特開昭63−035607(JP,A)
【文献】 特開昭64−038402(JP,A)
【文献】 特開平11−228647(JP,A)
【文献】 米国特許第06008295(US,A)
【文献】 特開平05−255425(JP,A)
【文献】 特開2010−254975(JP,A)
【文献】 特表2006−515897(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/065478(WO,A1)
【文献】 特開2008−299220(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/131646(WO,A1)
【文献】 特開平09−132609(JP,A)
【文献】 米国特許第05534592(US,A)
【文献】 特開昭61−255917(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0055024(US,A1)
【文献】 特開2001−048940(JP,A)
【文献】 特開2001−049040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08C 19/00 − 19/44
C08F 6/00 − 246/00
C08F 301/00
C08F 2/00 − 2/60
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンモノマおよび1,3−ブタジエンモノマに由来するモノマ単位を含むポリマの重合のためのプロセスであって、
前記モノマ単位を、開始剤、第1の極性剤、および第2の極性剤の存在下で重合することを含み、
前記第1の極性剤は、構造(I):
1’2’N−Q−NR3’4’(I)
を含み;
前記第2の極性剤は構造(II):
【化1】
を含み;
式中、R1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ独立して、アルキル基および水素からなる群より選択され;
Qは、アルキレン基を含み;
およびRはそれぞれ独立してアルキル基であり;ならびに
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、アルキル基および水素からなる群より選択される、プロセス
【請求項2】
1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ独立して、水素およびC−Cアルキル基からなる群より選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルキレン基は構造−(CH−を含み、式中、nは2以上の整数である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
およびRはそれぞれ独立してC−Cアルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素およびC−Cアルキル基からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第2の極性剤の前記第1の極性剤に対するモル比は、0.01〜10である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の極性剤は、テトラメチルエチレンジアミンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第2の極性剤はジテトラヒドロフリルプロパンを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリマは、ポリマの総質量に基づき、2〜80質量パーセントのスチレン量を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ポリマは、重合された1,3−ブタジエンの総量に基づき、3〜80質量パーセントのビニル量を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ポリマは、1.05〜18の分子量分布を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ポリマは、100,000g/mole以上の数平均分子量を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ポリマは、180,000g/mole以上の重量平均分子量を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ポリマは、唯一のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第1の極性剤の活性開始剤に対するモル比は0.3を超える、請求項1〜14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第2の極性剤の活性開始剤に対するモル比は、0.3を超える、請求項1〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記重合は、10℃〜8℃の温度で実行される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記開始剤はn−ブチルリチウムを含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記重合は炭化水素溶媒中で起こる、請求項1〜18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
求項1〜19のいずれか1項に記載のプロセスにより形成されたポリマ。
【請求項21】
請求項20に記載のポリマを含む組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、一般に高スチレンかつ高ビニル溶液系スチレン−ブタジエンゴム(SSBR)、およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高スチレンおよび高ビニルSSBRは、共重合の動力学のために生成するのが困難である。典型的に、ランダマイザーとして知られている極性剤が、高ビニル量およびランダムスチレン取り込みを達成するために、重合系に添加される。
【0003】
テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)は1つのそのようなランダマイザーである。しかしながら、下記で記載される比較例1および2により証明されるように、TMEDAでは、とりわけ高分子量を有するゴムの重合において、高スチレン(スチレン比>40%)SSBRの重合のために使用される場合、アニオン重合反応で典型的に観察されるものより、著しく広い分子量分布となってしまう。
【0004】
アニオンバッチ重合における広い分子量分布は、連鎖移動、メタレーション、および/または遅い開始反応に起因する可能性がある。これらの反応は、重合反応の終了時に依然としてリビングであるポリマ鎖の量を低減させる。今日では、高性能SSBRは、典型的に鎖末端修飾される。そのような鎖末端修飾は化合物の全体の性能を著しく改善することができるが、リビング鎖末端の量が、重合反応の終了時に可能な限り高いものであることが要求される。さらに、反応速度は低く、商業的に関連するモノマ変換で終わるために5または6時間を超える重合がしばしば必要とされる。
【0005】
要するに、重合の終了時に、狭い分子量分布、99%より高いモノマ変換、短い重合時間、および高い量のリビング鎖末端を有する高スチレンかつ高ビニルSSBRを合成するための方法が非常に望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、この概要内の記述によって全く影響されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
導入のために、本教示の特徴を具体化するスチレンモノマおよび1,3−ブタジエンモノマに由来するモノマ単位を含むポリマの重合のためのプロセスは、モノマ単位を、開始剤、第1の極性剤、および第2の極性剤の存在下で重合することを含む。第1の極性剤は、構造(I):
1’2’N−Q−NR3’4’(I)
を含み;および
第2の極性剤は構造(II):
【0008】
【化1】
【0009】
を含み;
式中、R1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ独立して、アルキル基および水素からなる群より選択され;Qは、アルキレン基を含み;RおよびRはそれぞれ独立してアルキル基であり;ならびにR、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、アルキル基および水素からなる群より選択される。
【0010】
本教示の特徴を具体化するポリマは、少なくとも下記特性を有する:(a)総ポリマ質量に基づき、約40〜約70質量パーセントのスチレン量;(b)重合された1,3−ブタジエンの総量に基づき、約30〜約80質量パーセント、好ましくは約40〜約70質量パーセントのビニル量;および(c)約1.05〜約1.8の分子量分布。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】分子量分布の分散度(Mw/Mn)に対する、極性剤としての、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)へのジテトラヒドロフリルプロパン(DOP)の添加の効果を示す。
図1B】分子量分布の分散度(Mw/Mn)に対する、極性剤としての、TMEDA(1.7mol/mol)へのDOPの添加の効果を示す。
図1C】分子量分布の分散度(Mw/Mn)に対する、極性剤としての、DOP(1mol/mol)へのTMEDAの添加の効果を示す。
図2】鎖末端のリビング性に対する、極性剤としての、TMEDAへのDOPの添加の効果を示す。
図3】鎖末端のリビング性に対する、極性剤としての、DOPへのTMEDAの添加の効果を示す。
図4】鎖末端のリビング性に対する、DOP/TMEDAのモル比の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、予想外に、著しく狭い分子量分布、高い変換(いくつかの実施形態では、99%より高い)、および短い反応時間(いくつかの実施形態では、3時間未満)を有する、高スチレンかつ高ビニルSSBRを調製するための重合プロセスを発見した。さらに下記で記載されるように、発明のプロセスは、第1および第2の極性剤の組み合わせを使用する。いくつかの実施形態では、第1および第2の極性剤は、それぞれ、TMEDAおよびDOPに対応する。
【0013】
その上、本発明者らはさらに、驚くべきことに、予想外に、第1および第2の極性剤(例えば、DOPおよびTMEDA)のある組み合わせの使用は、図1Aに示されるように、重合の終了時にポリマのより狭い分子量分布を与えるだけでなく、図2に示されるように、TMEDA単独の使用または図3に示されるように、DOP単独の使用に比べ、重合の終了時にポリマ鎖のリビング性の著しい増加を与えることを発見した。本発明者らはさらに、図4に示されるように、約0.5から約1mol/molの間のDOP/TMEDA比で特に良好な結果が達成されたことを発見した。要するに、下記でさらに記載されるように、本発明者は、驚くべきことに、予想外に、TMEDA単独の使用に比べ極性剤の組み合わせを使用することにより分子量分布の改善、DOP単独の使用に比べ鎖末端のリビング性の改善を達成した。
【0014】
この説明を通し、かつ、添付の特許請求の範囲において、下記定義が理解されるべきである:
【0015】
「ポリマ」という用語は、広く、モノマ単位の重合により調製される材料を示す。本明細書では、「ポリマ」という用語は、「ホモポリマ」(単一の型のモノマから調製されるポリマ材料)、「コポリマ」(2つの異なる型のモノマから調製されるポリマ材料)、および「インターポリマ」(2を超える異なる型のモノマから調製されるポリマ材料)という用語を包含する。
【0016】
「アルキル基」という句は、好ましくは1〜20の炭素原子を含む置換または非置換、直鎖、分枝または環状炭化水素鎖を示す。本教示に従い使用するための非置換アルキル基の代表的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、シクロブチル、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
重合反応に関連して使用される「プロセス」という用語は、バッチ、半バッチ、および/または連続プロセスを含む。
【0018】
「ビニル量」という用語は、ポリマ鎖に1,2位で組み込まれるブタジエンの質量(または重量)パーセントを示し、ポリマ中のブタジエン部分(重合されたブタジエンの総量)に基づく。
【0019】
「スチレン量」という用語は、ポリマ中のスチレンの質量(または重量)パーセントを示し、ポリマの総質量に基づく。
【0020】
「組成物」という用語は、ポリマ材料および、任意で、ポリマ材料から形成された反応生成物および/または分解生成物を含む、材料の混合物を示す。
【0021】
「活性開始剤」(nBL,pm)という用語は、重合反応に関与し、反応媒体中に含まれる不純物により非活性化されない開始剤(例えば、有機リチウム)の量を示す。
【0022】
概略紹介のために、本教示による、スチレンモノマおよび1,3−ブタジエンモノマに由来するモノマ単位を含むポリマの重合のためのプロセスは、モノマ単位を、開始剤、第1の極性剤、および第2の極性剤の存在下で重合することを含む。いくつかの実施形態では、第1の極性剤は、構造(I):
1’2’N−Q−NR3’4’(I)
を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の極性剤は構造(II):
【0024】
【化2】
【0025】
を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、R1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ独立して、アルキル基および水素からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、R1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ独立して、水素およびC−Cアルキル基からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、R1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ独立して、水素およびメチルからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、R1’、R2’、R3’、およびR4’はそれぞれ水素である。
【0027】
いくつかの実施形態では、Qは、アルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、アルキレン基は構造−(CH−を含み、式中、nは2以上の整数である。いくつかの実施形態では、nは2である(例えば、Qはエチレンである)。いくつかの実施形態では、nは3である(例えば、Qはプロピレンである)。
【0028】
いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立してアルキル基である。いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立してC−Cアルキル基である。いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれメチルである。
【0029】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、アルキル基および水素からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素およびC−Cアルキル基からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素およびメチルからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ水素である。
【0030】
いくつかの実施形態では、本教示による第1の極性剤は、テトラメチレンジアミン(TMEDA)である。いくつかの実施形態では、TMEDAは、0.3mol/molより高い量で使用される。いくつかの実施形態では、TMEDAは、0.4mol/molより高い量で使用される。いくつかの実施形態では、TMEDAは、0.5mol/molより高い量で使用される。
【0031】
いくつかの実施形態では、本教示による第2の極性剤はジテトラヒドロフリルプロパン(2,2−ジ(2−オキソラニル)プロパンまたはDOPとしても知られている)である。いくつかの実施形態では、DOPは、0.2mol/molより高い量で使用される。いくつかの実施形態では、DOPは、0.3mol/molより高い量で使用される。いくつかの実施形態では、DOPは0.5mol/molより高い量で使用される。
【0032】
いくつかの実施形態では、第2の極性剤の第1の極性剤に対するモル比(例えば、DOP/TMEDA)は、約0.01〜約10である。いくつかの実施形態では、モル比は約0.1〜約3である。いくつかの実施形態では、モル比は約0.3〜約1である。
【0033】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマのスチレン量は、ポリマの総質量に基づき約20〜約80質量パーセントである。いくつかの実施形態では、スチレン量はポリマの総質量に基づき約40〜約70質量パーセントである。
【0034】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマのビニル量は、重合された1,3−ブタジエンの総量に基づき約30〜約80質量パーセントである。いくつかの実施形態では、本教示によるポリマのビニル量は、重合された1,3−ブタジエンの総量に基づき約40〜約70質量パーセントである。
【0035】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマは、約1.05〜約1.8の分子量分布を有する。いくつかの実施形態では、分子量分布は約1.1〜約1.7である。いくつかの実施形態では、分子量分布は約1.2〜約1.6である。
【0036】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマは、約100,000g/mole以上の数平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、数平均分子量は約150,000g/mole以上である。いくつかの実施形態では、数平均分子量は約300,000g/mole以上である。
【0037】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマは、約180,000g/mole以上の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、重量平均分子量は、約200,000g/mole以上である。いくつかの実施形態では、重量平均分子量は約360,000g/mole以上である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマは、唯一のガラス転移温度(Tg)を有する。いくつかの実施形態では、Tgは約−50℃〜約20℃である。いくつかの実施形態では、Tgは約−30℃〜約10℃である。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の極性剤の活性開始剤に対するモル比は約0.3を超える。いくつかの実施形態では、モル比は、約0.4を超える。いくつかの実施形態では、モル比は約0.5を超える。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の極性剤の活性開始剤に対するモル比は、約0.2を超える。いくつかの実施形態では、モル比は約0.3を超える。いくつかの実施形態では、モル比は約0.5を超える。
【0041】
本教示による使用のために現在のところ好ましい開始剤としては、アニオン重合に好適なものが挙げられる。いくつかの実施形態では、本教示による使用のための開始剤は有機リチウム(例えば、アルキルリチウム)である。本教示による使用のための代表的なアルキルリチウム剤としてはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、など、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、開始剤はn−ブチルリチウムを含む。
【0042】
本教示による重合は、溶媒中で起こることが現在のところ好ましく、炭化水素溶媒が現在のところ好ましい。いくつかの実施形態では、重合溶媒は、アルカンを含む。いくつかの実施形態では、重合溶媒はシクロヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、重合溶媒は、シクロヘキサンの1つ以上の追加のアルカンとの混合物を含む。
【0043】
さらなる概略紹介のために、本教示によるポリマは、本明細書で記載される型のプロセスにより形成される。いくつかの実施形態では、本教示によるポリマは少なくとも下記特性を有する:(a)総ポリマ質量に基づき、約40〜約70質量パーセントのスチレン量;(b)重合された1,3−ブタジエンの総量に基づき、約30〜約80質量パーセントのビニル量;および(c)約1.05〜約1.8の分子量分布。
【0044】
いくつかの実施形態では、本教示によるポリマは、修飾剤(または変性剤)により修飾される。代表的な修飾剤としてアミン、アミド、チオグリコール、ケイ素アルコキシド、シラン−スルフィド変性剤、など、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
いくつかの実施形態では、本教示によるリビングポリマは、鎖末端修飾および/またはカップリング反応により化学的に修飾することができる。適切な鎖末端変性剤および/またはカップリング剤は、標的用途およびフィラーに従い選択することができる。
【0046】
代表的なカップリング剤としては四塩化スズ、四塩化ケイ素、ジビニルベンゼン、アルコキシシランなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0047】
代表的な変性剤としては、欧州特許文献第EP1016674号に記載されるハロゲン化スルフェニル、欧州特許文献第EP0464478号に記載されるベンゾフェノン、イソシアネート、ヒドロキシルメルカプタン、および欧州特許文献第EP0334042号に記載されるアクリルアミド化合物が挙げられるが、それらに限定されない。追加の変性剤としては、欧州特許文献第EP548799号、EP510410号、EP451604号、およびEP180141号、および米国特許第4,412,041号に記載されるアミン、アミド、イミド、およびニトリル変性剤が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、エポキシ含有シランを含むが、これに限定されないシランが、例えば、欧州特許文献第EP−A−299074号、EP−A−102045号、EP0447066号、およびEP0692493号において記載されるように、シリカフィラー中で使用するために、ポリマ鎖末端を修飾するために使用される。追加の代表的な変性剤および/またはそのようなものに言及する特許参考文献は、国際特許文献第WO2009/134665号で提供される。
【0048】
さらなる概略紹介のために、本教示の特徴を具体化する組成物は、本明細書で記載される型のポリマを含む。いくつかの実施形態では、本教示による組成物はさらに、油を含む。いくつかの実施形態では、本教示による組成物は、油を含まない。
【0049】
いくつかの実施形態では、本教示による組成物は、本明細書で記載される型のポリマおよび少なくとも1つの添加物を含む。いくつかの実施形態では、ポリマは、1つ以上のフィラー、加硫剤、および/または任意で1つ以上の追加の添加物、例えば限定はされないが、促進剤、カップリング剤、無修飾、未架橋エラストマーポリマ(すなわち、変性剤と反応させられていないが、調製され、停止されている従来の未架橋エラストマーポリマ)、など、およびそれらの組み合わせと組み合わされ、および/またはそれらと反応させられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本教示による組成物は、1つ以上のフィラーを含み、これらは強化剤として機能する。好適なフィラーの代表的な例としては、カーボンブラック、シリカ、炭素−シリカ二相フィラー、粘土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、など、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、カーボンブラックおよびシリカの組み合わせ、炭素−シリカ二相−フィラーまたは炭素−シリカ二相−フィラーおよびカーボンブラックおよび/またはシリカの組み合わせが使用される。
【0051】
いくつかの実施形態では、カーボンブラックは炉法により製造され、約50〜約200m/gの窒素吸着比表面積、および約80〜約200ml/100グラムのDBP油吸収を有する(例えば、FEF、HAF、ISAFまたはSAFクラスカーボンブラック)。いくつかの実施形態では、「高凝集型」カーボンブラックが使用される。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカは、100質量部の総ポリマに対し約2〜約100質量部の量で添加される。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカは、約5〜約100質量部の量で添加される。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカは、約10〜約100質量部の量で添加される。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカは、約10〜95質量部の量で添加される。
【0052】
最後に、さらなる概略紹介のために、本教示の特徴を具体化する物品は、そのような組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む。いくつかの実施形態では、物品はタイヤである。いくつかの実施形態では、物品はシュー構成要素である。
【0053】
下記実施例および代表的な手順は、本教示による特徴を説明し、説明のためだけに提供される。それらは、添付の特許請求の範囲またはそれらの等価物の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0054】
実施例
モノマ変換を、重合の終了時にポリマ溶液中の固体濃度を測定することにより決定した。最大固体量は、TSCmax=(mBd+mSt)/(mBd+mSt+m極性剤+mBL+mシクロヘキサン)100%による、最終ポリマに対する荷電ブタジエン(mBd)およびスチレン(mSt)の100wt%変換で得られる。求められるモノマ変換によって、約1g〜約10gの範囲のポリマ溶液の試料を反応器から直接、エタノール(50mL)を充填させた200mL三角フラスコに引き込ませた。充填させた三角フラスコの質量を、サンプリング前(「A」)およびサンプリング後(「B」)に決定した。沈殿ポリマをエタノールから、重さを量った濾紙{マイクロガラス繊維紙、IR90mm、MUNKTELL、質量「C」)上での濾過により除去し、140℃で、湿度分析計HR73(Mettler−Toledo)を用いて一定質量に到達するまで乾燥させた。基準5を使用した。最後に、第2の乾燥期間を、スイッチを切る基準4を使用して実施し、濾紙上の乾燥試料の最終質量「D」を得た。試料中のポリマ量をTSC=(D−C)/(B−A)×100%として計算した。最終モノマ変換をTSC/TSCmax100%として計算した。
【0055】
ガラス転移温度、Tgを、ISO 1 1357−2(1999)に従い、20K/分の加熱速度を適用して、下記特定の設定を用いて測定し、計算した:
試料の質量:約11mg
試料容器:標準アルミニウムパン(蒸気が漏れないようには閉じない)
温度範囲:−150〜100℃
加熱速度:20K/分
冷却速度:自由冷却(10〜20K/分)
パージガス:20mL He/分
冷却剤:液体窒素
評価方法:屈曲点
装置:TA InstrumentsのDSC Q2000
加熱と冷却の間の遅れなしで2回の加熱を実行し、Tgを、第2の加熱実行からのデータを使用して決定した。
【0056】
ポリマの分子量および分子量分布をそれぞれ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用い、40℃で、ポリスチレン標準に基づき測定した。各ポリマ試料(9−11mg)を、テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、溶液を形成させた。溶液を0.45μmフィルタを用いて濾過した。100μL試料をGPCカラム(3PLgel 10μm MIXED−Bカラムを有するHewlett Packardシステム1100)に送り込んだ。屈折率検出を、分子量を分析するための検出器として使用した。分子量を、Polymer LaboratoriesからのEasiCal PS1(EasyAおよびB)ポリスチレン標準を用いた較正に基づき、ポリスチレンとして計算した。数平均分子量(Mn)数字および重量平均分子量(Mw)数字が、ポリスチレン標準に基づき与えられる。分子量分布は、分散度D=Mw/Mnとして表される。
【0057】
ビニルおよび総スチレン量を、H−NMRを使用し、ISO 21561−2005に従い、NMR分光計IBRUKER Avance(400MHz)、および5mm二重プローブを使用して測定した。CDCl/TMSを0.05%:99.95%の質量比の溶媒として使用した。6を超える連続スチレン単位からなるブロックスチレンの量を、Y. Tanaka et al. in Rubber Chemistry and Technology, 1981 , 54, No. 4, 685-691により報告されてる方法に従い、6.7ppmより高く共鳴するオルトPh−プロトン信号の相対強度を使用して決定した。
【0058】
鎖末端のリビング性を決定するための手順
上記で記載されるように、TMEDAおよびDOPの組み合わせの使用により、重合の終了時に、鎖末端のより高いリビング性が得られる。ポリマ中の修飾鎖の量が高いほどフィラー−ゴム相互作用が良好になり、得られた加硫化合物の転がり抵抗が低くなるので、重合の終了時のリビング鎖末端の比は望ましいものとなる。
【0059】
ポリマを、99%より高いモノマ変換を達成した後、過剰のN−メチルピロリドンNMPで処理し、得られたポリマ鎖のリビング性を評価した。ポリマ鎖の得られた修飾率を、2つの異なる方法を用いて分析した:方法1は、Karatoらへの米国特許第7,700,693 B2号に記載されるように、紫外線吸収強度(UV)の示差屈折率(RI)に対するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)比の比較に基づき;方法2は、米国特許出願公開第2009/0163668A1号および2009/0203843 A1号に記載されるように、シリカゲルカラム上での吸着を含む。方法1および方法2を使用してられる絶対値は異なるが、傾向は同じであることが見出された。比較2を、各方法において100に設定し、得られた全てのデータをこの基準に従い計算した(%で表したMR)。
【0060】
比較例1:TMEDAのみの使用
乾燥シクロヘキサン(5371.18g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(326.657g)、スチレン(404.13g)、およびTMEDA(2.1205mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=1.742)。
【0061】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2175mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより2分16秒以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、300分後に、サンプリングし、モノマ変換が100%であることを決定することにより確認した。得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=315898、Mw=639432、D=2.02。ブタジエン(3.3g)、続いて、NMP(1.32mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。商標IRGANOX 1520(Ciba)で販売される4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを抗酸化剤として導入した。
【0062】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=52.5%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=39.1%、ブロックスチレン=15%。
【0063】
ガラス転移の測定は、−14.7℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0064】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して49%(方法1)および46%(方法2)が得られる。
【0065】
比較例2:TMEDAのみの使用
乾燥シクロヘキサン(5429.3g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(326.4g)、スチレン(402.5g)、およびTMEDA(3.759mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=3.055)。
【0066】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2305mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより2分16秒以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、260分後に、サンプリングし、モノマ変換が99.7%であることを決定することにより確認した。得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=319626、Mw=584252、D=1.892。ブタジエン(3.3g)、続いて、NMP(1.2286mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0067】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=53%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=42.1%、ブロックスチレン=12%。
【0068】
ガラス転移の測定は、−9.8℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0069】
修飾率の分析の結果を他の全ての試験に対する基準として使用し、100(方法1)および100(方法2)に設定した。
【0070】
比較例3:DOPのみの使用
乾燥シクロヘキサン(5208.11g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(317.28g)、スチレン(393.11g)、およびDOP(1.1866mmol)を反応器に送り込んだ(DOP/活性ブチルリチウム=0.981)。
【0071】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.21mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、120分後に、サンプリングし、モノマ変換が99.49%であることを決定することにより確認した。ポリマをGPCにより分析した:Mn=587535、Mw=755240、D=1.285。ブタジエン(3.34g)、続いて、NMP(1.257mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0072】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.9、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=49%、ブロックスチレン=8%。
【0073】
ガラス転移の測定は、−7.1℃で1つのガラス転移温度を示す。修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して190%(方法1)および168%(方法2)が得られる。
【0074】
比較例4:DOPのみの使用
乾燥シクロヘキサン(20717.6g)を、空気を含まない、窒素をパージした40Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(1336.66g)、スチレン(1625.04g)、およびDOP(5.11mmol)を反応器に送り込んだ(DOP/活性ブチルリチウム=1.025)。
【0075】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で4.8882mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。230分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を停止させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0076】
固体量を決定するために、試料を、二方コックおよび針を備えたサンプリング管により引き出した。99.27%の変換を測定した。
【0077】
得られたポリマをGPCにより分析した:n=640960、Mw=837114、D=1.306。微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=54.9%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=50.1%、ブロックスチレン=7%。
【0078】
ガラス転移の測定は、−2.7℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0079】
比較例5:DOPのみの使用
乾燥シクロヘキサン(5213.13g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(317.28g)、スチレン(393.01g)、およびDOP(1.1825mmol)を反応器に送り込んだ(DOP/活性ブチルリチウム=0.971)。
【0080】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2175mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、90分後に、サンプリングし、モノマ変換が100%であることを決定することにより確認した。得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=554765、Mw=690883、D=1.245。ブタジエン(3.34g)、続いて、NMP(1.2244mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0081】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.2%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=44.8%、ブロックスチレン=13%。
【0082】
ガラス転移の測定は、−3.4℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0083】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して158%(方法1)および118%(方法2)が得られる。
【0084】
実施例1:TMEDA/DOPの使用
乾燥シクロヘキサン(5198.72g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(316.38g)、スチレン(390.99g)、TMEDA(2.1514mmol)およびDOP(1.1782mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=1.778;DOP/活性ブチルリチウム=0.974)。
【0085】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2098mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、140分後に、サンプリングし、モノマ変換が100%であることを決定することにより確認した。得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=570040、Mw=725648、D=1.273。ブタジエン(3.3g)、続いて、NMP(1.260mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0086】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.6%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=52.6%、ブロックスチレン=7%。
【0087】
ガラス転移の測定は、5.5℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0088】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して238%(方法1)および201%(方法2)が得られる。
【0089】
実施例2:TMEDA/DOPの使用
乾燥シクロヘキサン(21303.39g)を、空気を含まない、窒素をパージした40Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(837.86g)、スチレン(1018g)、TMEDA(0.9522mmol)およびDOP(1.3811mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=0.421;DOP/活性ブチルリチウム=0.611)。
【0090】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で2.2593mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。150分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を終了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0091】
固体量を決定するために、試料を、二方コックおよび針を備えたサンプリング管により引き出した。99.14%の変換を測定した。
【0092】
得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=716266、Mw=924048、D=1.29。微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.5%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=38.7%、ブロックスチレン=17%。
【0093】
ガラス転移の測定は、−12℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0094】
実施例3:TMEDA/DOPの使用
乾燥シクロヘキサン(5124.2g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。
【0095】
1,3−ブタジエン(315.9g)、スチレン(389.5g)、TMEDA(2.0387mmol)およびDOP(1.1787mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=1.696;DOP/活性ブチルリチウム=0.981)。
【0096】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.202mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、150分後に、サンプリングし、モノマ変換が99.27%であることを決定することにより確認した。得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=579450、Mw=802548、D=1.385。ブタジエン(3.34g)、続いて、NMP(1.159mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0097】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=56.2、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=52.4%、ブロックスチレン=7%。
【0098】
ガラス転移の測定は、6.1℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0099】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して235%(方法1)および188%(方法2)が得られる。
【0100】
実施例4:TMEDA/DOPの使用
乾燥シクロヘキサン(20951.95g)を、空気を含まない、窒素をパージした40Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(1282g)、スチレン(1573.83g)、TMEDA(8.3477mmol)およびDOP(4.8388mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=1.793;DOP/活性ブチルリチウム=1.039)。
【0101】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で4.6556mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、140分後に、サンプリングし、モノマ変換が99.69%であることを決定することにより確認した。得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=621431、Mw=791497、D=1.274。ブタジエン(3.34g)、続いて、NMP(1.159mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0102】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.2%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=53.2%、ブロックスチレン=7%。
【0103】
ガラス転移の測定は、−5.8℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0104】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して229%(方法1)および215%(方法2)が得られる。
【0105】
実施例5:DOP/TMEDA(比0.33)の使用
乾燥シクロヘキサン(5200.58g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(316.18g)、スチレン(390.89g)、TMEDA(3.574mmol)およびDOP(1.1773mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=2.967;DOP/活性ブチルリチウム=0.977)。
【0106】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2046mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。300分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を終了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0107】
固体量を決定するために、試料を、二方コックおよび針を備えたサンプリング管により引き出した。98.06%の変換を測定した。
【0108】
得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=522906、Mw=706231、D=1.35。微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.8、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=51.4%、ブロックスチレン=6%。
【0109】
ガラス転移の測定は、−9.9℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0110】
実施例6:DOP/TMEPA(比3.33)の使用
乾燥シクロヘキサン(5194.45g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(316.08g)、スチレン(392.11g)、TMEDA(0.3647mmol)およびDOP(1.1776mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=0.302;DOP/活性ブチルリチウム=0.975)。
【0111】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2075mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、120分後に、サンプリングし、モノマ変換が99.37%であることを決定することにより確認した。ブタジエン(4.04g)、続いて、NMP(1.21mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0112】
得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=594011、Mw=731376、D=1.231。微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.9、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=49.9%、ブロックスチレン=7%。
【0113】
ガラス転移の測定は、−0.8℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0114】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して207%(方法1)が得られる。
【0115】
実施例7:DOP/TMEDA(比1.67)の使用
乾燥シクロヘキサン(5187.95g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(316.08g)、スチレン(391.71g)、TMEDA(0.7125mmol)およびDOP(1.1776mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=0.601;DOP/活性ブチルリチウム=0.993)。
【0116】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.1861mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、120分後に、サンプリングし、モノマ変換が100%であることを決定することにより確認した。
【0117】
得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=639375、Mw=794175、D=1.242。ブタジエン(3.24g)、続いて、NMP(1.22mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0118】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=54.5、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=52.8%、ブロックスチレン=7%。
【0119】
ガラス転移の測定は、2.8℃で1つのガラス転移温度を示す。修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して189%(方法1)が得られる。
【0120】
実施例8:DOP/TMEDA(比0.18)の使用
乾燥シクロヘキサン(5220.87g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。1,3−ブタジエン(323.08g)、スチレン(400.33g)、TMEDA(2.0638mmol)およびDOP(0.3614mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=1.702;DOP/活性ブチルリチウム0.298)。
【0121】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2124mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、180分後に、サンプリングし、モノマ変換が99.9%であることを決定することにより確認した。ポリマをGPCにより分析した:Mn=526290、Mw=779925、D=1.482。ブタジエン(3.34g)、続いて、NMP(1.837mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0122】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=55.1、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=45.4%、ブロックスチレン=9%。
【0123】
ガラス転移の測定は、−1.2℃で1つのガラス転移温度を示す。修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して191%(方法1)が得られる。
【0124】
実施例9:DOP/TMEDA(比0.35)の使用
乾燥シクロヘキサン(5257.45g)を、空気を含まない、窒素をパージした10Lステンレス鋼反応器に添加した。
【0125】
1,3−ブタジエン(319.98g)、スチレン(396.32g)、TMEDA(2.042mmol)およびDOP(0.7172mmol)を反応器に送り込んだ(TMEDA/活性ブチルリチウムmol/mol=1.681;DOP/活性ブチルリチウム=0.590)。
【0126】
混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。系中の不純物をブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終点を認識し、nBL,pmの量で1.2147mmolのn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を、ポンプにより約1分以内に添加することにより重合を開始させた。その後、重合が開始した。反応器内の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応の完了を、150分後に、サンプリングし、モノマ変換が98.97%であることを決定することにより確認した。
【0127】
得られたポリマをGPCにより分析した:Mn=580671、Mw=811981、D=1.4。ブタジエン(3.24g)、続いて、NMP(1.2526mmol)を添加した。15分後、停止剤としてメタノールを添加することにより反応を完了させた。IRGANOX 1520を抗酸化剤として導入した。
【0128】
微細構造およびスチレンブロック量をH−NMRにより測定した。下記結果が得られた:スチレン=56.2、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン画分に対して計算)=52.4%、ブロックスチレン=7%。
【0129】
ガラス転移の測定は、3.2℃で1つのガラス転移温度を示す。
【0130】
修飾率の分析により、比較例2(100%)に対して212%(方法1)が得られる。
【0131】
上記で引用される特許および非特許文献の全ての全内容は、参照により本明細書に組み込まれるが、ただし、本明細書とは矛盾した開示または定義が生じた場合は、本明細書の開示または定義が優先すると見なされる。
【0132】
前記詳細な説明および添付の図面は、説明および図示のために提供されたものであり、添付の特許請求の範囲を制限することを意図しない。本明細書で説明される現在のところ好ましい実施形態における多くの改変は、当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4