特許第5873139号(P5873139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三晃海洋開発株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5873139-高所送水用重力式自動逆洗砂ろ過装置 図000002
  • 特許5873139-高所送水用重力式自動逆洗砂ろ過装置 図000003
  • 特許5873139-高所送水用重力式自動逆洗砂ろ過装置 図000004
  • 特許5873139-高所送水用重力式自動逆洗砂ろ過装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873139
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】高所送水用重力式自動逆洗砂ろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/00 20060101AFI20160216BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20160216BHJP
   B01D 29/60 20060101ALI20160216BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20160216BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B01D29/08 520A
   B01D29/08 530D
   B01D29/08 540A
   B01D29/36 B
   B01D29/38 510B
   B01D29/38 520A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-129225(P2014-129225)
(22)【出願日】2014年6月24日
【出願変更の表示】実願2014-2711(U2014-2711)の変更
【原出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-223586(P2015-223586A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】511140529
【氏名又は名称】三晃海洋開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】濱 博昭
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3187530(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3183824(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3183599(JP,U)
【文献】 特開2012−050944(JP,A)
【文献】 特開2001−276518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/
B01D29/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に、ろ過時にはろ過水貯水槽であり、逆洗時には逆洗用水の水槽となる逆洗用水水槽(2)を設け、
該水槽(2)の下部にろ過室(3)を設け、
該ろ過室(3)の下部に処理水水槽(4)を設け、
これら三室を一体に積層した高所送水型重力式自動逆洗砂ろ過装置であって、
前記逆洗用水水槽(2)の内部には、一端の開口部(5a)が処理水水槽(4)内に開口し、他端の開口部(5b)が該逆洗用水水槽(2)内に開口する逆洗用水管(5)を設け、
該逆洗用水管(5)内には、逆洗用水管内の逆洗電動弁(A)を設け、
かつ、前記処理水水槽(4)の側壁面には、開口部(4a)が処理水水槽(4)内に開口し、
前記逆洗用水水槽(2)の側壁面から該水槽(2)外に伸びる第1の処理水加圧高所送水管(6)を設け、
さらに、前記逆洗用水水槽(2)の内部には、上方に処理水満水位置を検知するHELセンサー(S1)、下方には処理水の無水状態を検知するLELセンサー(S2)を設け、
前記ろ過室(3)の内部には、底面にはろ過材(3a)を敷設し、
該室(3)側壁面には、取水ポンプ(P)で稼働し、かつ、接点付圧力計(E)を配備した生海水流入自動制御電動弁(D)を有する生海水送水管(7)と、
逆洗水を外部に排出する逆洗水放出管(8)を設け、
前記処理水水槽(4)には、第2の処理水加圧高所送水管(9)を設けると共に、
排出弁を有する排出管(10)と、逆洗水タイマー放出電動弁(F)を有する逆洗水放出管(11)を設け、
高架水槽(X)へ、処理水を送水する際に、前記第1の処理水加圧高所送水管(6)を使用するか、
あるいは、第2の処理水加圧高所送水管(9)を使用するか、
あるいは、前記第1の処理水加圧高所送水管(6)と第2の処理水加圧高所送水管(9)とを併用する
ことを特徴とする高所送水型重力式自動逆洗砂ろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高所送水用重力式自動逆洗砂ろ過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海水等の水をろ過するろ過装置は、ろ過装置本体に連通する取水管より砂や不純物が混じった海水を吸引することにより、ろ過室内のろ過材のろ過機能に支障を来す場合があり、その都度、あるいは定期的にろ過室等の各室に通じるマンホールを開けて作業員が装置内に入り込み、ろ過材の取り替え、若しくは補修や点検をしており、その作業は極めて煩雑であった。
【0003】
それに対して、濾材層よりも下流側から逆洗水を通すことにより濾材の洗浄を行なう逆洗型の圧力濾過機は存在する。例えば、特許文献1のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4313497号公報
【0005】
しかし、高所へ送水するための高所送水型重力式ろ過装置においても、逆洗砂ろ過装置も備えたものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、逆洗時には、自動的に逆洗砂ろ過作業が行なえ、また、ろ過時には処理水水槽からポンプ圧により2ケ所から高所へ送水を行なうことのできる高所送水用重力式自動逆洗砂ろ装置を提供・開発するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の観点にかかる高所送水用重力式自動逆洗砂ろ装置は、
上部に、ろ過時にはろ過水貯水槽であり、逆洗時には逆洗用水の水槽となる逆洗用水水槽を設け、該水槽の下部にろ過室を設け、該ろ過室の下部に処理水水槽を設け、これら三室を一体に積層した高所送水型重力式自動逆洗砂ろ過装置であって、
前記逆洗用水水槽の内部には、一端の開口部が処理水水槽内に開口し、他端の開口部が該逆洗用水水槽内に開口する逆洗用水管を設け、
該逆洗用水管内には、逆洗用水管内の逆洗電動弁を設け、
かつ、前記処理水水槽の側壁面には、処理水水槽より伸びる第1の処理水加圧高所送水管を設け、
さらに、前記逆洗用水水槽の内部には、上方に処理水満水位置を検知するHELセンサー、下方には処理水の無水状態を検知するLELセンサーを設け、
前記ろ過室の内部には、底面にはろ過材を敷設し、該室側壁面には、取水ポンプで稼働し、かつ、接点付圧力計を配備した生海水流入自動制御電動弁を有する生海水送水管と、 逆洗水を外部に排出し、前記接点付圧力計と連動する圧力異常放出弁を配備した逆洗水排出電動弁を有する逆洗水放出管を設け、
前記処理水水槽には、第2の処理水加圧高所送水管を設けると共に、排出弁を有する排出管と、逆洗水タイマー放出電動弁を有する逆洗水放出管を設け、
高架水槽へ、処理水を送水する際に、前記第1の処理水加圧高所送水管を使用するか、あるいは、第2の処理水加圧高所送水管を使用するか、あるいは前記第1の処理水加圧高所送水管と第2の処理水加圧高所送水管とを併用する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、逆洗時には、逆洗用水水槽(2)内の満水に張った水を、逆洗用水管(5)の一体の開口部(5b)より、矢印(イ)方向に送水し、他端の開口部(5a)により処理水水槽(4)内に送水し、水は該処理水水槽(4)の開口部(5a)より矢印(ロ)に向け、ろ過材(3a)を挿通してろ過室(3)内に移動し、ろ過材内の矢印(ハ)方向に移動し、やがて、矢印(ニ)方向に移動して逆洗水放出管(8)より放出されるものである。
【0009】
逆洗時の濁度が高い逆洗水は、ろ過室(3)より自然に放出される。また、逆洗時の濁度が高い汚水は、逆洗水タイマー放出電動弁(F)の作用により放出が可能であり、処理海水と濁度が高い汚水とが混合されないよう構成している。
【0010】
また、逆洗用水水槽(2)に設けたLELセンサー(S2)により、処理海水の満水位置を感知させ、逆洗用水管(5)内の逆洗自動弁(A)と連動させ、いつでも逆洗できるよう、逆洗水を確保しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施例を示し、逆洗時の作動状態を示す説明図である。
図2】この発明の一実施例を示し、ろ過時の作動状態を示す説明図である。
図3】この発明の一実施例を示し、高架水槽への設置状態を示す平面図である。
図4】この発明の一実施例を示し、高架水槽への設置状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明について詳細に説明する。尚、この考案においては、以下の記述に限定されるものではなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例】
【0013】
次に、この発明の一実施例を図面に従って説明すると、この発明である高所送水型重力式自動逆洗砂ろ過装置(100)は、上部に、ろ過時にはろ過水貯水槽であり、逆洗時には逆洗用水の水槽となる逆洗用水水槽(2)を設け、該水槽(2)の下部にろ過室(3)を設け、該ろ過室(3)の下部に処理水水槽(4)を設け、これら三室を一体に積層して構成したものである。尚、これらを構成する素材は、FRPでもコンクリートでもよい。
【0014】
先ず、前記逆洗用水水槽(2)は、その内部に、一端の開口部(5a)が処理水水槽(4)内に開口し、他端の開口部(5b)が該逆洗用水水槽(2)内に開口する逆洗用水管(5)内に開口されており、該逆洗用水管(5)内には、逆洗用水管内の逆洗電動弁(A)を設けている。
【0015】
また、前記処理水水槽(4)の側壁面には、開口部(4a)が処理水水槽(4)内に開口し、前記逆洗用水水槽(2)の側壁面から該水槽(2)外に伸びる処理水加圧高所送水管(6)の一部が位置するよう設けられている。
【0016】
さらに、前記逆洗用水水槽(2)の内部には、上方付近に、処理水満水位置を検知するHELセンサー(S1)、下方付近には処理水の無水状態を検知するLELセンサー(S2)を設けている。
【0017】
次に、前記ろ過室(3)は、その内部には、底面にはろ過材(3a)を敷設し、該室(3)側壁面には、取水ポンプ(P)で稼働し、かつ、接点付圧力計(E)を配備した生海水流入自動制御電動弁(D)を有する生海水送水管(7)を設けている。
【0018】
また、前記ろ過室(3)の内部には、逆洗水を外部に排出し、前記接点付圧力計(E)と連動する圧力異常放出弁(C)を配備した逆洗水排出電動弁(B)を有する逆洗水放出管(8)を設けている。
【0019】
最後に、前記処理水水槽(4)は、その内部に、第1の処理水加圧高所送水管(6)の開口部(4a)が開かれており、該水槽(4)の側壁面には、排出弁を有する排出管(10)と、逆洗水タイマー放出電動弁(F)を有する逆洗水放出管(11)を設けている。
【0020】
これら第1の処理水加圧高所送水管(6)と第2の処理水加圧高所送水管(9)とは、いずれも、高架水槽(X)へ、処理海水を送水するものであり、前者の処理水加圧高所送水送水管(6)は、5mより送水可能であり高さ15mまで送水することができる。また、後者の処理水加圧高所送水管(9)は、0.5mより送水可能である。
【0021】
ろ過装置の下部でも5m位置の吐出管より送水できるため、前記第1の処理水加圧高所送水管(6)を使用するか、あるいは、第2の処理水加圧高所送水管(9)を使用するか、2ケ所から選定できるよう構成したものである。
【0022】
尚、図1図2における(12)は、それぞれマンホールであり、逆洗用水水槽(2)(ろ過時は、ろ過水貯水槽という)、ろ過室(3)そして処理水水槽(4)内に、清掃・修理等のメンテナンスの際に出入りするものである。平素は蓋で堅牢に閉鎖されている。
【0023】
逆洗用水管(5)と加圧式処理水水槽(4)内の耐圧は、2kg/cm2 以上の耐圧とする。
【0024】
次に、この発明における逆洗時の動作を図1に基づいて説明すると、接点付圧力計(E)の圧力指示により逆洗、あるいはタイマーにより強制逆洗する。
その作動操作は、
1) 生海水送水管(7)の送水ポンプ(P)を停止する。
2) 生海水流入自動制御電動弁(D)を「閉」にする。
3) 処理海水(処理水)加圧高所送水電動弁(G)を「閉」にする。
4) 逆洗水排出電動弁(B)を「開」にする。
5) 逆洗用水電動弁(A)を「開」にする。
6) LELセンサー(S2)が感知(逆洗終了)
7) 逆洗用水電動弁(A)を「閉」にする。
8) 逆洗水排出電動弁(B)を「閉」にする。
9) 処理海水(処理水)加圧高所送水電動弁(G)を「開」にする。
【0025】
次に、この発明におけるろ過時の動作を図2に基づいて説明すると、ろ過運転の指示は 1) 逆洗用水電動弁(A)を「開」にする。
2) 処理海水(処理水)加圧高所送水電動弁(G)を「閉」にする。
3) 第1の処理水加圧高所送水管(6)は、送水不可とする。
4) 生海水流入自動制御電動弁(D)を「開」にする。
5) 取水ポンプ(P)をONにする。
6) 逆洗用水水槽(2)が満水になると、HELセンサー(S1)が感知する。
7) 逆洗用水電動弁(A)を「閉」にする。
8) 処理海水(処理水)加圧高所送水電動弁(G)を「開」にする。
9) 第1の処理水加圧高所送水管(6)は、送水可能とする。
【0026】
尚、第1の処理水加圧高所送水管(6)より送水の場合は、第2の処理水加圧高所送水管(9)は、「閉」とする。また、第1の処理水加圧高所送水管(6)と第2の処理水加圧高所送水管(9)の両方を使用する場合は、制御関係の検討を必要とする。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明によると、高所送水型重力式自動逆洗砂ろ過装置の技術を確立し、実施・販売することにより産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0028】
100 高所送水型重力式自動逆洗砂ろ過装置
2 逆洗用水水槽
3 ろ過室
4 処理水水槽
5 逆洗用水管
5a 一端の開口部
5b 他端の開口部
6 第1の処理水加圧高所送水管
7 生海水送水管
8 逆洗水放出管
9 第2の処理水加圧高所送水管
10 排出弁を有する排出管
11 逆洗水放出管
12 マンホール
A 逆洗電動弁
B 逆洗水排出電動弁
C 圧力異常放出弁
D 生海水流入自動制御電動弁
E 接点付圧力計
F 逆洗水タイマー放出電動弁
G 処理水加圧高所送水弁
P ポンプ
S1 HELセンサー
S2 LELセンサー
X 高架水槽
図1
図2
図3
図4