【文献】
Brocato/Beautopia, USA,Leave-in Deep Voluming Treatment,Mintel GNPD,2007年 3月,ID677801,URL,http://www.gnpd.com/sinatra/gnpd/frontpage/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書は、本発明を詳細に示し、明確に請求することによって結論付けられるが、本発明の実施形態は次の記述によって更によく理解されるものと考えられる。本発明の全ての実施形態では、特に記述のない限り、全ての百分率は、組成物全体の重量によるもの(重量%)である。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。全ての範囲は、包含的であり、かつ組み合わせ可能である。有効桁数は、指示される量に対しても、測定値の精度に対しても、限定を示すものではない。特に指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと解される。全ての測定は、25℃でかつ周囲条件で行われることが分かる。ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%の条件を意味する。列挙される成分についてのこうした重量はすべて活性レベルに基づいたものであり、特に断らないかぎり、市販の物質に含有される可能性のある基剤又は副生成物は含まれない。
【0010】
本明細書で用いられる用語「ヘアケア組成物」とは、毛髪及び/又は毛髪の下の皮膚に施される組成物であって、毛髪の処理又はケアを行うために用いられる組成物を包含する組成物である。用語「ヘアケア組成物」により想到される製品としては、限定するものではないが、アフターシェーブトニック及びローション、クリーム、乳液、発泡体、ヘアコンディショナ(リンスオフ及びリーブオン)、毛髪着色剤、ヘアトニック、液体、ローション、ムース、噴射型ローション、シャンプー、及び一時的あごひげ毛染め剤などが挙げられる。
【0011】
「育毛刺激剤」には、育毛刺激剤を含有している有効な量の組成物を、有効な結果が得られる期間にわたり所望の領域に局所的に塗布した場合に、成長期を増加させ得る又は延長させ得る、あるいは哺乳類の育毛に関する成長期を増加させる見た目を提供する、任意の材料が含有される。育毛刺激と関連して使用されるすべての関係のある用語は、本明細書に記載の組成物を暴露させずとも観察される又は予測されるものに関連して観察される効果を意味するものと理解される。これらの観察としては、限定するものではないが、毛幹及び毛嚢の直径を増大させること、毛髪の本数を増やすこと、白髪の出現を遅延させること、より長い毛髪を育成すること、及び/又は損傷のより少ない毛髪を有することが挙げられる。
【0012】
「より豊かでより濃い毛髪の外観を向上させる」は、有効量の本発明の組成物を、有効な結果が得られる期間にわたって所望の部位に局所的に塗布したとき、毛髪の対象部位(例えば、頭皮)における毛嚢及び/又は毛幹の直径が、統計的に有意な量増大することを意味する。
【0013】
「白髪が現れるのを遅らせる」は、灰色の毛髪が現れる速度を遅らせることを意味する。白髪(すなわち、毛髪の自然な白化又は灰色化)は、毛幹中のメラニンの減少と関連付けられるものと認識される。白髪の発生又は程度は加齢と相関し、したがって灰色の毛髪の出現を遅延又は減少させることで若々しい外観が提供される。灰色の毛髪の出現率は、目視観察により、並びに日本国特許第2005−296352(A)号(資生堂に譲渡)に記載の方法により測定することができる。この計数法は前頭頭皮のいずれかの側の50mm×10mmの区域を指定することと、その区域内の全ての毛髪を収集することと、その区域から切断された1000本の毛髪を数えることと、を含む。白髪及び顔料を有する毛髪の両方を数える。この方法を毎月、又は所望のように繰り返し、灰色の毛髪の割合(%)を算出する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「哺乳類の毛髪」は、哺乳類の体の任意の部分上の毛髪を含み、顔、頭又は体の毛を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、頭皮、頭部、首、あごひげ、口ひげ、眉及びもみあげの毛髪を挙げることができる。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「局所的塗布」は、本発明の組成物を、作用を受ける毛髪がそこから成長するケラチン性組織の表面上に塗布又はのばすことを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」は、そのように記述されている組成物又はそれらの成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応、等を引き起こすことなく、哺乳類の角質組織と接触して用いるのに適していることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」は、毛髪の被験領域内の毛幹の直径を統計的に有意に増すために、及び/又は毛髪密度(面積あたりの毛髪数)を統計的に有意に増すために、及び/又は灰色の毛髪の現れるのを統計的に有意に遅らせるために十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「可溶化剤」は、本開示の育毛刺激剤を可溶化する溶媒又は溶媒系溶液を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、「アピゲニン」には、それらの塩又は複合体が包含される。アピゲニン塩の例としてはアミン塩が挙げられる。
【0020】
簡潔に述べると、当業者により一般的に知られている通り、毛髪サイクルは三相より構成される。第一相、すなわち発育相は、成長期であり、平均して3〜4年の間持続する。第二相は、2〜3週間の生育停止から構成される。この相は退行期と呼ばれる。休止期と呼ばれる最後の相では、毛髪は抜け落ちる。この相は、3〜4ヶ月の時間をかけて毛嚢の球状の領域が縮小し、毛幹が離れ、皮膚表面に向けて放出されることにより、かなりゆっくりと生じるものである。
【0021】
本発明の一実施形態を踏まえると、アピゲニン、及び任意選択的に1つ以上の育毛刺激剤を含むヘアケア組成物を、頭皮及び/又は頭皮上の毛髪基部に塗布することで、より健康で若々しい外観を毛髪にもたらす。出願者らは、毛髪の増量した外見が望まれる領域に1つ以上の育毛刺激剤を局所適用することで、より厚みの増した外観及び/又は毛髪のより豊かな外観及び/又は白髪の出現の遅延を有することにより領域の外観が実際に改善され得ることを見出した。
【0022】
理論に束縛されることを望むものではないが、各種育毛刺激剤を局所適用することで、(1)毛嚢における炎症サイクルを妨害し、又は阻害し、毛嚢の成長期を延長することができる;(2)アクアポリン3(「AQP3」)の高発現を刺激し、毛軸及び毛嚢をより濃くさせることができる;及び/又は(3)毛髪のメラニン産生細胞におけるメラニン産生を刺激し、灰色の毛髪の出現を遅延させることができる、ものと考えられている。したがって、ヘアケア組成物の局所的用は、毛髪の成長期を終える速度を緩慢にさせること、AQP3の高発現を刺激すること、灰色の毛髪の出現を遅延させること、又はこれらの組み合わせの助けにもなり得る。毛幹及び毛嚢の直径増大は、より濃くより豊かな毛髪の外観をもたらす。更に、毛髪の直径は加齢とともに減少することが知られているので、局所的塗布はより若々しい見た目の毛髪の外観をもたらすことができ、灰色の毛髪が現れるのを遅らせることができる。
【0023】
本発明のヘアケア組成物の局所的塗布は成長期の延長を助けることができる。成長期の延長は、成長期から休止期への移行を阻止することによって又は成長期から休止期への移行を阻害することによって達成され得る。毛嚢は育毛期(成長期)か休止期のどちらかにある。毛嚢のほとんどは成長期にある。成長期は、通常、約2年〜10年間持続し、平均持続期間は3〜4年間であり、この期間は各種要因に応じて変化し得る。反対に、休止期は随分短く、典型的には約3ヶ月〜4ヶ月持続し得るものである。一般に人の毛嚢の約94%は成長期にあり、6%は休止期にある。一ヶ月に毛嚢の約2%が成長期から休止期に移行し、それと同時に毛嚢の約2%が休止期から成長期に移行する。本発明のヘアケア組成物を塗布することにより、成長期を終える約2%の毛嚢を阻止又は遅延して、成長期にある毛嚢の割合を増やすことができる。成長期にある毛嚢の量の増加は頭部の毛髪密度を増す。成長期の長さを約2週間〜約2.5ヶ月増加できると考えられる。毛髪密度(頭皮の特定の面積の毛髪数)の増加は測定可能である。本発明の一実施形態では、毛髪密度は毛髪約2本/cm
2、好ましくは約3本/cm
2増すことになり、幾つかの実施形態では4本/cm
2 2以上増すことになる。成長期、毛髪密度及び毛髪直径の増加、並びに白髪の現れの遅れによる利益の結果として、人の毛髪の見た目を3年以上若返らせることになる。
【0024】
A.ヘアケア組成物
一態様では、本発明は、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させるために使用することができるヘアケア組成物を提供する。ヘアケア組成物は、少なくとも1つの育毛刺激剤を含む。本発明の実施形態に従い、育毛刺激剤は、安全かつ有効な量でフラボノイド化合物、アピゲニン(4’,5,7−トリヒドロキシフラボン又は5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オンとしても既知)を含む。ヘアケア組成物は、自身の中にアミン官能基を有する可溶化剤、及び水性キャリアを更に含有し、組成物は約3.0〜約10の範囲のpHを有する。任意に、ヘアケア組成物には、更に、他の皮膚科学的に許容可能な添加剤及び/又は何らかの所望の好適な任意成分を含ませることができる。
【0025】
1.アピゲニン
本発明のヘアケア組成物は、フラボノイド、アピゲニンを含有し、アピゲニンは多様な種類の植物及び野菜に存在する非変異原性のシトラスバイオフラボノイドである。例としては、グレープフルーツ、パセリ、タイム、カモミール、りんご、セロリ、バジル、オレガノ、タラゴン、コリアンダー、ノコギリソウ、昆布、やぶ椿及びパッションフラワーが挙げられるが、これらに限定されない。アピゲニンは、数多くの他のフラボノイド類、カテキン類、及びその他の天然に生じる化合物とともに、数多くの植物及び野菜に見出すことができ、これらの材料中のアピゲニンの総濃度は大幅に変化し、かつこれらの材料には本発明に有用であるほど十分にアピゲニンが存在していない場合がある。そのため、本発明に関し、アピゲニンは精製された状態であり、かつ他の化合物を実質的に不含である。本明細書で使用するとき、「他の実質的に不含」は、アピゲニンが少なくとも50重量%の純度であることを意味する。例えば、一実施形態によると、アピゲニンは少なくとも90重量%の純度、少なくとも95重量%の純度、又は少なくとも98重量%の純度であり得る。本発明のためには、合計組成物に基づいてアピゲニン自体が最低でも0.005%の量で存在しなくてはならない。アピゲニンは、約0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、又は4%超の量で存在し得る。アピゲニンは、典型的には、約5%、4%、3%、2.5%、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%未満の量で存在する。
【0026】
2.可溶化剤
アピゲニンはその純粋な形態では固体であり、かつ水並びに製薬、化粧品、及び食添製剤に好適なほとんどすべての溶媒に対し不溶性(すなわち、溶解度1mg/mL未満)である。そのため、アピゲニンは、可溶化剤を使用して原液(すなわち、予混合物)から調製する必要があり、すなわち、基剤との相溶性が1つの主な課題となる。このような可溶化剤の選択は、容易に判断されない。例えば、アピゲニンは、塩基性水性溶液に可溶性であることが知られているが、pHを酸により調整することで、アピゲニンは溶液から沈殿する。そのため、所望のpH範囲内で、安定なヘアケア組成物を維持する補助となる可溶化剤の性能が、他の更なる検討事項となる。したがって、本発明の他の態様では、アピゲニンを可溶化させて、これを数多くの異なる製品、特に液体、ペースト、ゲル、又はクリームなどの流体に組み込むのを容易にさせる理想的な可溶化剤を選択するための方法が提供される。言うまでもなく、本明細書に記載の方法は、他の実質的に不溶性のフラボノイド(例えば、ルテオリン)、及び他の実質的に不溶性の育毛刺激剤にも応用することができる。
【0027】
本実施形態の可溶化法について選択された溶媒は、Charles Hansen in「Hansen Solubility Parameters:A User's Handbook」by Charles M.Hansen,CRC Press(2007)and in「The CRC Handbook and Solubility Parameters and Cohesion Parameters,」edited by Allan F.M.Barton(1999)により説明される溶解パラメータ及び凝集特性に基づくものである。各材料は3D空間における3点により定義され、これらの3点は以降に定義される通りのハンセン溶解度パラメータ(HSP)として知られる。
【0028】
溶解度パラメータは、理論的に算出された数値定数であり、溶媒材料を特定の溶質に溶解させる能力を予測する際に有用なツールである。溶媒の溶解度パラメータが、溶質の溶解度パラメータの範囲内に収まる場合、すなわち、材料が溶解する場合、溶質の可溶化が生じる可能性がある。ハンセンの経験的及び理論的に導かれる3つの溶解度パラメータには、分散力項(δ
D)、極性又は双極子間力項(δ
P)、及び水素結合項(δ
H)がある。3つのパラメータ(すなわち、分散、極性、及び水素結合)はそれぞれ溶解性、又は溶媒性能に関係する異なる特性を表す。組み合わせることで、この3つのパラメータは、溶媒の全体的な強度及び選択性の尺度となる。これまでに記載の3つのパラメータの二乗和の平方根である、合計ハンセン溶解度パラメータは、溶媒の溶解能についてのより一般的な説明を提供する。個々の及び合計溶解度パラメータ単位はMPa
0.5で与えられる。
【0029】
成分の溶解度パラメータは、次に通常の3次元グラフにプロットすることができる。配置(δ
D、δ
P、δ
H)を基に、半径を投影し、溶解領域を包含する球を形成する。パラメータがこの空間内に存在する任意の溶媒は、対象とする溶質を溶解するはずのものである。成分1のHSP座標(すなわち、溶質)と、成分2のHSP座標との間の距離(溶媒)は、本明細書においてRaと表記する。3D距離、すなわちRaは次式により定義され、
Ra
2=4(δ
D1−δ
D2)
2+(δ
P1−δ
P2)
2+(δ
H1−δ
H2)
2
【0030】
Charles M.Hansen Consulting(Horsholm、Denmark、hansen−solubility.com)のソフトウェアHSPIP ver.3.1.06の適合法を使用し、アピゲニンのHSP及び溶解度領域を最適化する。表1の底部で採点法を使用し、32の様々な可能性のある溶媒に対するアピゲニンの溶解度を定性的実験により決定した。HSPiP内の当てはめ関数において、スコア1を有する溶媒、及びスコア2〜5を有する溶媒を、それぞれ「良好」及び「不向き」な溶媒として分類した。HSPiPにおける当てはめ手順によりHSPiP用の固有の値を得ることができなかったことから、デフォルトの当てはめアルゴリズムを50回行い、以降の手順を使用して、このセットから最良のHSP値を特定した。
1.半径を限定することができなかったことから、半径分布の95%よりも大きな半径に当てはまるものは、これらの50回の施行から除外する(≦8.5MPa
0.5)。
2.残りの当てはまるものについてはδ
D、δ
P、δ
Hの範囲を求める。
3.上記Ra式を使用し、この点に最も近接するよう当てはめを行う。
4.HSP用に工程2からδ
D、δ
P、δ
H値を選択し、半径用に工程3からRa値を選択した。
【0031】
このプロトコルを使用し、アピゲニンHSP値及び溶媒半径を求めた所、δ
D=18.7、δ
P=13.5、δ
H=13.9及びRa=6.8であった(すべてMPa
0.5)。この球により、溶媒を包含する初期領域からアピゲニンの溶解性を求める。(注:本明細書では、HSPiP v.3.1.06を使用し、1)プログラムの内部データベースに利用可能なデータがないか検索する;2)データベース内にデータが存在しない場合にはY−MB法を使用し見積もる;又は3)上記手順を用いる(アピゲニンのみ);によりすべてのHSPを求めた。)
【0033】
ソフトウェアCOSMOtherm、ver.C21_0111_a(COSMOlogic GmbH & Co.KG,Leverkusen,Germany,www.cosmologic.de.)を使用し、独立して、アピゲニン溶解度の数値予測を算出することもできる。これらの見積もりを使用して、HSP空間中の球領域の概算値が空間を「良好な」な溶媒(球の内側)と、「不向き」な溶媒(級の外側)とに分割するかどうか確認する。上記の実験的溶解度測定において使用した同様の32の溶媒についてLog10(Χ
sol)を算出することもでき、Χ
solは、モルフラクション溶解度(溶質モル数/総モル数)である。アピゲニン及びこれらの溶媒を含有させるために、COSMOthermによる算出において以下の手順を使用した:
1.プログラム上の一致度により各化合物の3D構造配座を生成した(R.S.Pearlman,「Concord,」distributed by Tripos International,St.Louis,Missouri,63144,USA,tripos.com)。
2.これらの構造配座は、PM3を最小化し、かつそれぞれその後、気相及び空間誘電によりCOSMO BP86−TZVP極小化を行う。
3.BP86−TZVPエネルギー及びCOSMO電荷密度をCOSMOtherm溶解度モジュールの入力値として使用する。
【0034】
Log10(Χ
sol)のは、3セットのHSP値、すなわちδ
D、δ
P、δ
H並びにそれらの外積に対する逆関数である。δ
P、δ
H、及びδ
Pxδ
Hのみが有意である場合、この溶解はアピゲニンにとって非常に重要な溶解性パラメータではないことを示唆する、結果として、球状領域は実際の所、より円筒形の領域に類似する。選択した溶媒における溶解性が>5%である場合、δ
D(分散度)は約12〜22(MPa)
0.5の範囲となり、極性項及び水素結合項(δ
P及びδ
H)は半径約6.8(MPa)
0.5、δ
P=13.5(MPa)
0.5、δ
H=13.9(MPa)
0.5に当てはまる。
【0035】
ハンセン溶解度パラメータを有し、かつ可溶化剤として使用することのできる可溶化剤の非限定例としては、トリエタノールアミン(CAS番号102−71−6);ジエタノールアミン(CAS番号203−868−0);エタノールアミン(CAS番号141−43−5);N−メチルホルムアミド(CAS番号123−39−7);2−ジメチルアミノエタノール(CAS番号203−542−8);2−ジメチルアミノ−2−プロパノール(108−16−7);エチレンジアミン(CAS番号107−15−3);2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(CAS番号124−68−5);ラウロカプラム(CAS番号59227−89−3);及びジメチルカプラミド(Spectrasolv、CAS番号14433−76−2)が挙げられる。ハンセン溶解度パラメータを有し、かつ1つ以上の可溶化剤と組み合わせて使用することのできる溶媒の非限定例としては、ジプロピレングリコール(CAS番号110−98−5);プロピレングリコール(hydrolite(商標)5、CAS番号5343−92−0);ブチレングリコール(CAS番号107−88−0);1,4−ブタンジオール(CAS番号110−63−4);3−アリールオキシ−1,2−プロパンジオール(CAS番号123−34−2);ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(CAS番号29911−28−2);1,2−ヘキサンジオール(CAS番号6920−22−5);ジメチルイソソルビド(Arlasolve(商標)CAS番号5306−85−4);エタノール(CAS番号64−17−5);1,3−ブタンジオール(CAS番号107−88−0);1,3−プロパンジオール(CAS番号504−63−2);2,2'−チオジエタノール(CAS番号111−48−8);及び1,6−ヘキサンジオール(CAS番号629−11−8)が挙げられる。表2には、実験により観察されたアピゲニンの溶解性に従い、各種可溶化剤及び溶媒並びにそれらの各HSP値の要約を提供する。
【0036】
【表2】
a−データベースに存在せず−Y−MB法により見積もり
【0037】
可溶化剤の一態様に従うと、可溶化剤は少なくとも1つのアミン官能基を可溶化剤の中に含有する。適宜に、アミン官能基は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又はアミドから選択することができる。一実施例に従うと、可溶化剤は、複数のアミン官能基を含有する。他の実施例に従うと、可溶化剤は、ヒドロキシル官能基を含有する。別の実施例に従うと、可溶化剤は、複数のヒドロキシル官能基を含有する。別の実施例に従うと、可溶化剤は、少なくとも1つのアミン官能基及び少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含有する。例えば、可溶化剤は、アミン官能基及び2又は3つのヒドロキシル官能基を含有し得る。一実施例では、可溶化剤はトリエタノールアミンである。他の例では、可溶化剤はジメチルカプラミドである。
【0038】
別の実施形態によると、ヘアケア組成物は、複数の可溶化剤を含有し得る。例えば、可溶化剤の相乗的な組み合わせを使用して溶解度特性の向上を達成する並びにそれによりアピゲニン及びその他の追加の育毛刺激剤の濃度の向上を達成することができることが想定される。
【0039】
別の実施形態によると、可溶化剤
自体は、総組成物に基づき少なくとも0.15%の量で存在する。可溶化剤は、約0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%、又は12%超の量で存在し得る。可溶化剤は、典型的には、約12%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.2%、又は0.15%以下の量で存在する。
【0040】
更に別の実施形態に従うと、ヘアケア組成物は、更に1つ以上の溶媒、例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−アリールオキシ−1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、ジメチルイソソルビド、エタノール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2'−チオジエタノール、及び1,6−ヘキサンジオール、又はこれらの組み合わせなどを含有し得る。
【0041】
更に別の実施形態に従うと、ヘアケア組成物には、米国特許出願公開番号第2010/0120871号に開示されるものなどの1つ以上の追加の育毛刺激剤を更に含有させることができる。適宜に、追加の育毛刺激剤の非限定例としては、インドール化合物、キサンチン化合物、ビタミンB
3化合物、パンテノール化合物、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0042】
A.インドール化合物
ヘアケア組成物には更にインドール化合物を含有させることができる。本明細書で使用するとき、「インドール化合物」は、1種以上のインドール、それらの誘導体、それらの混合物又はそれらの塩を意味する。したがって、組成物には、約0.1%〜約10%のインドール化合物、約0.5%〜約5%のインドール化合物、又は約1%〜約2%のインドール化合物を含有させることができ、例えば、この割合は、最終的なヘアケア組成物の総重量に基づく重量%である。
【0043】
B.キサンチン化合物
ヘアケア組成物には更にキサンチン化合物を含有させることができる。本明細書で用いられる「キサンチン化合物」は、1種類以上のキサンチン、それらの誘導体、及びそれらの混合物を意味する。本明細書で有用であり得るキサンチン化合物は、カフェイン、キサンチン、1−メチルキサンチン、テオフィリン、テオブロミン、それらの誘導体、及びそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。したがって、組成物には、約0.1%〜約10%のキサンチン化合物、約0.5%〜約5%のキサンチン化合物、又は約1%〜約2%のキサンチン化合物を含有させることができ、例えば、この割合は、最終的なヘアケア組成物の総重量に基づく重量%である。例えば、ヘアケア組成物には更に約0.75%のカフェインを含有させることができる。
【0044】
C.ビタミンB
3化合物
ヘアケア組成物には更にビタミンB3化合物を含有させることができる。本明細書で使用するとき、「ビタミンB
3化合物」は、ニコチン酸、ナイアシンアミド、ニコチニルアルコール、その誘導体及びこれらの混合物を意味する。ビタミンB
3化合物は、実質的に純物質として、又は、天然(例えば、植物)原料からの好適な物理的及び/又は化学的単離により得られた抽出物として含まれてよい。適宜に、組成物には、約0.1%〜約25%のビタミンB
3化合物;約0.5%〜約15%のビタミンB
3化合物;又は約3.5%〜約7.5%のビタミンB
3化合物を含有させることができ、例えば、この割合は、最終的なヘアケア組成物の総重量に基づく重量%である。例えば、ヘアケア組成物には更に約2.5%のビタミンB
3を含有させることができる。
【0045】
D.パンテノール化合物
ヘアケア組成物には、更にパンテノール化合物を含ませることができる。本明細書で使用するとき、用語「パンテノール化合物」は、パンテノール、1種類以上のパントテン酸誘導体、及びそれらの混合物を包含する。パンテノール化合物の非限定例としてはD−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタミド)、D,L−パンテノール、パントテン酸及びそれらの塩(例えば、カルシウム塩)、トリ酢酸パンテニル、ローヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、パントイルラクトース、ビタミンB複合体、又はそれらの混合物が挙げられる。適宜に、組成物には約0.01重量%〜約5重量%のパンテノール化合物;約0.03重量%〜約3重量%のパンテノール化合物;約0.05重量%〜約2重量%のパンテノール化合物;又は約0.1重量%〜約1重量%のパンテノール化合物を含ませることができ、例えば、この割合は、最終的なヘアケア組成物の総重量に基づく重量%である。例えば、ヘアケア組成物には更に約0.15%のパンテノールを含有させることができる。
【0046】
本発明別の態様に従うと、ヘアケア組成物は、オレアノール酸及び/又はビオチニル−GHKを含まないものであってよく、これは米国特許第20060067905号に記載のものと反対である。
【0047】
3.担体
本発明の別の態様に従うと、ヘアケア組成物は、更に少なくとも約20重量%の水性キャリアを含有する。一実施形態によると、水性キャリアは、例えば脱塩水又は蒸留水から調製することができる。水性キャリアに使用することのできる、他の許容可能なキャリアとしては、アルコール化合物、例えば、エタノールなどが挙げられるが、これに限定されない。一実施形態によると、組成物は、アルコール、ジプロピレングリコール、及び/又は水を含む。
【0048】
ヘアケア組成物は、約3.0〜約10の範囲のpHを有し、これは、標準的な水素電極を使用し、25℃にて組成物のpHを直接測定することにより測定することができる。適宜に、ヘアケア組成物のpHは、例えば、約6〜約9の範囲内であってよい。
【0049】
4.任意成分
本発明の組成物はまた、必要に応じて任意の好適な任意成分を更に含んでよい。例えば、組成物は、任意選択的に他の活性又は不活性成分を含むことができる。
【0050】
組成物は、ピリチオン亜鉛、ミノキシジル、シリコーン、コンディショニング剤、及び他の好適な材料のような他の一般的な毛髪成分を含んでもよい。CTFA化粧品成分ハンドブック、第4版(米国化粧品工業会(Washington、D.C.)により出版)(2004年)(以降「CTFA」と参照)は、本明細書に記載の組成物に添加することのできる多様な非限定的な成分を記載する。これらの成分の分類例としては、研磨剤;吸着剤;芳香剤、顔料、着色剤/染料、精油、皮膚感覚剤、収斂剤等の美的成分(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウィッチヘーゼル留出物);抗ニキビ剤;固化防止剤;消泡剤;抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカーバメート);酸化防止剤;結合剤;生物学的添加物;緩衝剤;充填剤;キレート化剤;化学添加物;染料;美容収斂剤;美容殺生剤;変性剤;薬用収斂剤;外用鎮痛剤;被膜形成剤又は材料、例えば、組成物の被膜形成特性及び持続性を支援するためのポリマー(例えば、エイコセンのコポリマー及びビニルピロリドンのコポリマー);不透明化剤;pH調整剤;噴射剤;還元剤;封鎖剤;皮膚漂白及び美白剤;皮膚コンディショニング剤;レオロジー改質剤、ヘアコンディショニング剤、及び界面活性剤が挙げられる。
【0051】
一実施形態では、組成物は、組成物の持続性を向上させるためのレオロジー改質剤を含み、望まれないような身体の他の領域上に、衣類上に、又は家具上に滴り落ちるようなことがなく、かつ皮膜形成剤としての機能も果たすことにより、毛嚢及び周辺組織へのアピゲニンの送達を増加させる。任意の好適なレオロジー改質剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系レオロジー改質剤を使用することができる。レオロジー改質剤の他の非限定例としては、アクリルアミド/アクリレートアンモニウム共重合体(及び)ポリイソブテン(及び)ポリソルベート20;アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80;アクリレート共重合体;アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー;アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー;アクリレート/ステアレス−20イタコネートコポリマー;ポリアクリレートアンモニウム/イソヘキサデカン/PEG−40ヒマシ油;C12〜16アルキルPEG−2ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルエチルセルロース(HM−EHEC);カルボマー;架橋されたポリビニルピロリドン(PVP);ジベンジリデンソルビトール;ヒドロキシエチルエチルセルロース(EHEC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);メチルセルロース(MC);メチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC);PEG−150/デシルアルコール/SMDIコポリマー;PEG−150ステアリルアルコール/SMDIコポリマー;ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス−7;ポリアクリレート13/ポリイソブテン/ポリソルベート20;ポリアクリレートクロスポリマー−6;ポリアミド−3;ポリクオタニウム−37(及び)水素添加ポリデセン(及び)トリデセス−6;ポリウレタン−39;アクリレートナトリウム/アクリロジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミド;クロスポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート60;ポリアクリレートナトリウムが挙げられる市販のレオロジー改質剤の例としては、ACULYN(商標)28、Klucel M CS、Klucel H CS、Klucel G CS、SYLVACLEAR AF1900V、SYLVACLEAR PA1200V、Benecel E10M、Benecel K35M、Optasense RMC70、ACULYN(商標)33、ACULYN(商標)46、ACULYN(商標)22、ACULYN(商標)44、Carbopol Ultrez 20、Carbopol Ultrez 21、Carbopol Ultrez 10、Carbopol 1342、Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Sepimax Zen、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
本発明の製剤は通常のヘアケア組成物中にも存在し得る。それらは溶液、分散液、エマルション、粉末、タルク、カプセル形態、球体、スポンジャー(sponger)、固形剤形、発泡体、及び他の送達機構の形態であってもよい。本発明の組成物はヘアトニック、コンディショナ、トリートメント、及びスタイリング製品のようなリーブオンヘア製品、コンディショナ、シャンプー、及びトリートメント製品のようなリンスオフヘア製品、並びに毛髪に塗布可能であり好ましくは頭皮に塗布可能な任意の他の形態であってもよい。
【0053】
本明細書で開示されるとき、ヘアケア組成物はアピゲニンを含有する。実施形態中には、1つ以上のインドール化合物、1つ以上のキサンチン化合物、1つ以上のビタミンB
3化合物、及び/又は1つ以上のパンテノール化合物が存在し、アピゲニンは、単相又は単独の製品であってよく、あるいはアピゲニンは別個の相又は別個の製品であってよい。2つの生成物が使用される場合、それらの生成物をともに同時に使用してもよく、順に使用してもよい。順の使用は1つの生成物の使用直後のような短時間に行われてもよく、数時間又は数日の期間にかけて行われてもよい。
【0054】
一実施形態によると、ヘアケア組成物は、0.005%超〜約5%のアピゲニン;約0.15%〜約12%の可溶化剤;少なくとも約20%の水性キャリア;並びに約0%〜約5%のコンディショニング剤;約0%〜約5%の保湿剤;約0%〜約10%の浸透剤;約0%〜約50%の有機溶媒;約0%〜約10%の中和剤;約0%〜約20%のレオロジー改質剤;約0%〜約20%の界面活性剤;約0%〜約3%の芳香剤;約0重量%〜約3重量%の美観向上剤、又は約0重量%〜約10重量%の分割剤を含有する。別の実施形態によると、ヘアケア組成物は、約0.1%〜約5%のコンディショニング剤;約0.5%〜約5%の保湿剤;約0.05%〜約10%の浸透剤;約0.5%〜約50%の有機溶媒;約0.1%〜約10%の中和剤;約0.5%〜約20%のレオロジー改質剤;約0.1%〜約20%の界面活性剤;約0.1%〜約3%の芳香剤;約0.1%〜約3%の美観向上剤、又は約0.1%〜約10%の分割剤を更に含有する。
【0055】
B.ヘアケア組成物の製造方法
本発明の別の実施形態に従うと、ヘアケア組成物の製造法は、アピゲニンを可溶化剤に溶解させるのに十分な温度にてアピゲニン及び可溶化剤を混合して予混合物を形成する工程;予混合物を水性キャリアと組み合わせてヘアケア組成物を形成する工程;並びに任意選択的に、酸により約3〜約10の範囲内にヘアケア組成物のpHを調整する工程、を包含する。予混合物は、アピゲニン及び1つ以上の可溶化剤を組み合わせることにより製造される。可溶化エネルギー(例えば、撹拌、音波処理、粉砕、加熱など)を適用して、溶解工程を促進させてもよい。例えば、アピゲニンとトリエタノールアミンとの予混合物は、アピゲニン及びトリエタノールアミンを単一の容器内で組み合わせ、混合物を70℃に加熱しつつ溶液が透明になるまで撹拌することにより製造できる。予混合物の製造法の方法例の一態様に従うと、組み合わせたアピゲニン及びトリエタノールアミンは、IKA RET CV−S1ミキサを用い50〜100rpmにて混合することができる。他の態様に従うと、組み合せたものは、IKA Eurostar PWR CV−S1ミキサを用い300〜500rpmにて混合される。
【0056】
方法の一態様に従うと、アピゲニン対可溶化剤の重量比は、約1:50〜約1:4の範囲である。例えば、重量比は、約1:45、約1:40、約1:35、約1:30、約1:25、約1:20、約1:15、約1:10、約1:8、約1:5、又は引用した値間の範囲内であってよい。可溶化剤の重量には、予混合物の製造に使用した全ての可溶化剤の重量が包含される。
【0057】
別の態様に従うと、pHは、酸を用い約3〜約10の範囲内の所望の値に調整される。例えば、pHは、約4、約5、約6、約7、約8、約9、又は引用した値間の範囲内であってよい。一実施形態によると、pHは、酸により約6.5〜約9の範囲内に調整される。酸の例としては、クエン酸などのカルボン酸、及び塩酸などの鉱酸が挙げられる。
【0058】
別の態様に従うと、方法は更に、レオロジー改質剤をヘアケア組成物に加えて約30cP〜約50,000cPの範囲内のレオロジー値を得る工程を包含する。例えば、レオロジー値は、約50cP、約100cP、約300cP、約500cP、約1,000cP、約10,000cP、約25,000cP、又は引用した値間の範囲内であってよい。レオロジー改質剤の例としては、商品名ACULYN(商標)28、Klucel M CS、Klucel H CS、Klucel G CS、SYLVACLEAR AF1900V、SYLVACLEAR PA1200V、Benecel E10M、Benecel K35M、Optasense RMC70、ACULYN(商標)33、ACULYN(商標)46、ACULYN(商標)22、ACULYN(商標)44、Carbopol Ultrez 20、Carbopol Ultrez 21、Carbopol Ultrez 10、Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Sepimax Zen、Carbopol 1342で市販のこれらのもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
C.より濃くより豊かな毛髪の出現を増加させるための及び/又は灰色の髪の出現を遅延させるための方法
本発明の更に別の実施形態に従うと、毛幹及び毛嚢直径を増大させるための;毛嚢密度を増加させるための;及び/又は灰色の毛髪の出現を遅延させるための方法が提供される。これは、より濃い及び/又はより豊かな毛髪の外観をもたらすことができ、灰色の毛髪の発症が遅れている外観をもたらすことができる。1つの態様において、この方法は、ヘアケア組成物を、毛髪成長部位の皮膚表面に塗布することを含む。例えば、ヘアケア組成物は頭皮に塗布することができる。別の実施形態では、本方法は、有効量のアピゲニンを含むヘアケア組成物を、より濃い及び/又はより豊かな毛髪の出現を増加させること又は灰色の毛髪の出現を遅延させる必要のある哺乳類の皮膚の一領域に局所的に塗布することを含む。
【0060】
更にもう1つの実施態様において、本方法は、処方計画に従って本組成物を塗布する工程であって、
(a)頭皮を洗浄して頭皮を清潔にする工程、
(b)組成物をこの清潔な頭皮に局所適用する工程、を含む。
【0061】
ヘアケア組成物は毎日、又は毎週、又は多様な処方計画で使用することができる。ヘアケア組成物は夜及び午前中など、1日1回以上使用してもよい。製品は毛髪の洗浄後(湿潤している又は乾燥している毛髪も同様)に使用することができ、これはすなわち、特定の日数で組成物を1日に1回以上使用すること、又は一週間につきほんの数回使用することを意味する。ヘアケア組成物は1日に3回、1日に2回、1日に1回、週に6回、週に5回、週に4回、週に3回、週に2回、又は週に1回使用してもよい。幾つかの実施形態では、ヘアケア組成物は週に4回、5回、又は7回使用される。
【0062】
ヘアケア組成物は女性が使用しても男性が使用してもよい。ヘアケア組成物は、育毛促進をあるいはより健康的な又はより若い見た目の毛髪を有することを所望している個人により望ましく使用することができる。例えば、ヘアケア組成物は、脱毛症であると診断を受けた対象者に対し使用することができる。ヘアケア組成物は、およそ20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳、又は50歳より上の年齢の対象者に使用してもよい。ヘアケア組成物は、約70、65、60、55、又は50歳未満の対象者に使用してもよい。したがって、ヘアケア組成物は、約20〜70歳、約30〜60歳、及び約35〜55歳の年齢の対象者に使用することができる。毛髪直径は年齢が20歳を超すと減り始める可能性があるので、これらの年齢以降に、より健康的な毛髪及びより豊かでより濃い毛髪の外観を向上することが望まれる可能性がある。毛髪直径は減り続け、対象者によっては年齢が30歳又は40歳以降に、より激しく減ることがある。加えて、遺伝的特徴に依存して、灰色の毛髪は早ければ20歳で、しかし一般には30歳又は40歳で現れ始める。
【0063】
製剤及び実施例
以下は本発明の非限定的な実施例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。
【0064】
実施例においては、特に指定のない限り、全ての濃度が重量%として列挙されており、希釈剤、充填剤などの微量物質は除外し得る。そのため、列挙した配合は、列挙した成分及びこのような成分に関連するいかなる微量物質をも含む。当業者にとって明白なように、このような微量成分の選択は、本明細書に記載したように本発明を作るために選択した特定成分の物理的及び化学的特質によって変わることになる。トリエタノールアミンはTEAと略記する。
【0066】
本発明の実施形態に従ってヘアケア組成物の配合例を製造する際に使用される添加剤例を表4に提供する。
【0068】
その他の分割剤、例えば、トリエチレングリコール(0〜10%)、炭酸プロピレン(0〜10%)、又はヘキシレングリコール(0〜10%)など;並びに他の浸透向上剤、例えば、オレイン酸(0〜5%)又は酢酸ビタミンE(0〜1%)。
【0069】
アピゲニン及び可溶化剤の予混合物を使用しヘアケア組成物を製造するために、成分及び予混合物を混合する順番例を表5に提供する。添加順に記載される成分についての参照は、表4の登録番号によるものである。
【0071】
生体外皮膚浸透性についての一般的なプロトコル
フランツセル拡散アッセイを使用し、局所適用型処方により、アピゲニンなどの活性成分の生体外皮膚浸透性を評価した。この方法は、スキンケア産業において、皮膚浸透性評価及び皮膚吸収安全性評価の際に広くで使用されるものである。Franz,T.J.Percutaneous absorption.On the relevance of in vitro data.J.Invest.Dermatol.64:190〜195,1975;Franz,et al.The use of excised human skin to assess the bioequivalence of topical products.Skin Pharmacol.Physiol.22:276〜286,2009;and OECD Guideline(#428)for the Testing of Chemicals,Adopted 13 April,2004を参照されたい。拡散アッセイ法の概要を以降に記載する:
ヒト死体の分層皮膚(Allosource、Englewood、CO)又は豚皮膚皮板を周囲条件で解凍し、適切な大きさの小片に切り分け、次に37℃に維持して標準的なフランツ型拡散セル(0.79cm
2表面積)に積載する。受容区画[約5mL]には、1%ポリソルベート−20及び0.02%ヨウ化ナトリウムを含有させたリン酸緩衝生理食塩水(PBS−pH 7.4)を充填し、皮膚を2時間平衡化させる。積載した皮膚を通す
3H
2O流をもとに、処置に対してセルを無作為化する(5分毎に150μLの
3H20を適用し、除去する)。処置期間にわたって、水流に従い各セルを等級付けし、かつセルを分配することにより拡散セルを無作為化し、各群には観察した水流範囲にわたってセルを含有させる。各処置群は典型的には6サンプルを有する。
【0072】
試験製品/配合物のアリコートを適切な放射活性物質(すなわち、
14C−ナイアシンアミド)により、約3μCi/300mg製品アリコートで標識し、混合し、Ultima Gold[Perkin−Elmer]液体シンチレーションカクテル(LSC)及び液体シンチレーションカウンター(Tri−Carb 2500 TR Liquid Scintillation Analyzer、PerkinElmer、Boston、MA)を使用し、総放射活性について三つ組でアッセイする。
【0073】
皮膚には、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用し5μLの製品を局所的に投与する。ピペットチップを使用し、製品を皮膚表面(0.79cm
2)に穏やかに広げる。適用から各時点(すなわち、2時間、4時間、及び6時間)でレセプター溶液を回収し、交換し、最終的には24時間が経過した時点で回収した。皮膚は規定された場合には6時間及び適用後24時間の時点でも回収される。各試験区間で最後にレセプター溶液を回収した後、各皮膚サンプルはPBS/Tween 20を染み込ませたワットマンろ紙により2回、及び70%/30%エタノール/水を染み込ませたろ紙により1回拭き取りし、吸収されていない(残留)組成物を除去する。切開により、表皮は残りの真皮から切り離す。皮膚切片を50℃にて一晩0.50〜1.25mLのSoluene−350(Perkin Elmer、Boston、MA)に溶解し、前述の通りに液体シンチレーションカウンターにより、すべてのレセプター溶液回収物、ろ紙拭き取り物、並びに可溶化組織切片を計数した。放射性トレーサーの使用が不可である実験では、LCMSなどの分析法を対象とする活性成分のために展開する。
【0074】
各セルの各成分の1分あたりの崩壊数(DPM)は、ブランクにより補正し、要約し、所与のセルに対し、回収された総放射性標識値を得る。次に、各区画のDPMを回収された総放射性標識値に対して正規化し、各区画に対し「放射性標識回収率」パラメータを得る(質量平衡用に、それぞれ、レセプター回収溶液、表皮、真皮、及び拭き取ったろ紙)。すべての各回収物の合計としての総レセプター値により、各回収時点に対し、時点に対する各回収物の合計として累積レセプター値を算出する。総皮膚値は、表皮(角質層を含む)及び真皮の値を合計したものであり、総浸透値は、皮膚及び累積レセプター値を合計したものである。皮膚浸透性データは、典型的には投与量(%)、回収された投与量(%)(質量平衡について正規化)及び/又はug/cm
2として表現される。
【0075】
本発明の実施形態に従うサンプルを調製し、上記の生体外皮膚浸透性プロトコルにより試験することができる。サンプルAは、0.32重量%アピゲニン、50重量%エタノール、7.5重量%Aculyn(商標)28、38.72重量%水、2.46重量%トリエタノールアミン、1重量% Wakana HE、及び0.75重量%クエン酸を含有し、かつ7.0のpHを有するものである。サンプルBは、1重量%アピゲニン、50重量%エタノール、7.5重量% Aculyn(商標)28、32.8重量%水、7.7重量%トリエタノールアミン、1重量% Wakana HE、及び2.42重量%クエン酸を含有し、かつ7.2のpHを有するものである。比較サンプルは、1重量%アピゲニン、20重量%エタノール、10重量% Hydrolite(登録商標)−5、50重量%ジプロピレングリコール、10重量% Tween 80、8重量% Arlasolve(商標)DMI PC、及び1重量% Klucelを含有し、かつ7.0のpHを有するものである。
【0076】
表6は、本発明アピゲニン含有組成物が、従来の可溶化剤を使用する既知の組成物と比較して、皮膚浸透性の向上を示すことを例示する。
【0078】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0079】
本発明の、「発明を実施するための形態」において引用される全ての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0080】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。