特許第5873181号(P5873181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873181
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】光アイソレータを備える一体化光学構造
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/50 20060101AFI20160216BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20160216BHJP
   G02B 6/126 20060101ALI20160216BHJP
   G02F 1/095 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   H01S5/50 610
   H01S5/026 610
   G02B6/126
   G02F1/095
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-536216(P2014-536216)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公表番号】特表2014-532980(P2014-532980A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2012070563
(87)【国際公開番号】WO2013057138
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】1159501
(32)【優先日】2011年10月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】デュアン,ガンハ
(72)【発明者】
【氏名】ブリエ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ゲントナー,ジャン−ルイ
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−266947(JP,A)
【文献】 特開2010−123688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
G02B 6/12−6/126
G02B 27/28
G02F 1/01−1/095
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
nドープ半導体層、pドープ半導体層、および前記nドープ半導体層と前記pドープ半導体層との間に配設された活性ゾーンを有する導波路を備える少なくとも1つのSOA光増幅器であって、
磁気光学層、下部絶縁層、および上部絶縁層を有し、SOIベースと前記SOA光増幅器の導波路との間に配設された少なくとも1つの光アイソレータに関連する少なくとも1つのSOA光増幅器を備える一体化光学構造であり、
前記磁気光学層は、前記下部絶縁層と前記上部絶縁層との間に配設されている、一体化光学構造。
【請求項2】
前記光アイソレータの磁気光学層が、強磁性金属材料の層である、請求項1に記載の一体化光学構造。
【請求項3】
前記光アイソレータの磁気光学層が、Fe−Co金属合金層である、請求項2に記載の一体化光学構造。
【請求項4】
前記光アイソレータの磁気光学層が、磁気酸化物の層である、請求項1に記載の一体化光学構造。
【請求項5】
前記上部絶縁層および前記下部絶縁層は、窒化シリコンSiと酸化シリコンSiOの中から選ばれた絶縁材料から構成されている、請求項1に記載の一体化光学構造。
【請求項6】
前記導波路の前記nドープ半導体層および前記pドープ半導体層は、III−V族半導体材料から製造されている、請求項1に記載の一体化光学構造。
【請求項7】
前記導波路の活性エリアが、多重量子井戸構造を備える、請求項1に記載の一体化光学構造。
【請求項8】
少なくとも1つの光アイソレータおよび少なくとも1つのSOA光増幅器を備える請求項1に記載の少なくとも1つの一体化光学構造を有する光デバイス。
【請求項9】
SOIベース上に絶縁材料の第1の層を堆積させるステップと、
絶縁材料の前記第1の層上に磁気光学層を堆積させるステップと、
前記磁気光学層上に絶縁材料の第2の層を堆積させるステップと、
絶縁材料の前記第2の層に半導体ダイを付着させるステップと、
光導波路を作製するために前記半導体ダイを処理するステップと
を含む請求項1に記載の一体化光学構造を構築する方法。
【請求項10】
前記磁気光学層は、陰極スプレー法によって堆積される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
磁気光学的効果を増大させることを可能にする構造を前記磁気光学層に与えるために、前記磁気光学層はエッチングされる、請求項9および10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
化学的および機械的研磨法を使用して絶縁材料の層の表面を平滑化するように意図された少なくとも1つの作業を含む請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書によってその優先権が米国特許法第119条に基づいて主張される2011年10月20日出願のフランス特許出願第1159501号に基づく。
【0002】
本発明は、オプトエレクトロニク構成要素などの光デバイス、詳細には光集積回路、すなわちPICに一体化(integrated)するように意図された光アイソレータに関する。これらの光デバイスは、主に高速デジタル電気通信の分野で使用される。本発明はまた、そのような光アイソレータを製造する方法に及ぶ。
【背景技術】
【0003】
光アイソレータは、一方向では高減衰を有し、逆方向では低減衰を有する非可逆的受動デバイスであり、光アイソレータは、光を一方向のみに透過することを可能にするが、光が逆方向に伝播するのを防止することを可能にする。この理由で、光アイソレータは、特に高速での光ファイバ伝送で反射光ビームおよび寄生光ビームの悪影響をなくすのに不可欠な素子である。
【0004】
今日、市販の製品は、そのチップに一体化されたどんな光アイソレータも含まない。オプトエレクトロニク構成要素、具体的には光集積回路、すなわちPICの製造業者は、解決策を待ち受けている。本文の残りの部分では、「一体化構成要素」という用語は、デバイスにモノリシックに組み込まれる構成要素を指し、デバイスの構成要素と共有される基板によって支持される構成要素を意味する。
【0005】
2つのタイプの光アイソレータを研究した。第1のタイプの光アイソレータは、光アイソレータとして働くことのできるように非可逆的光学的効果を実装し、その最も良く知られたものはファラデー効果である。外部磁場を施したとき、磁気光学材料と呼ばれるいくつかの材料は、光の偏光方向を変更する。この第1のタイプの光アイソレータは通常、(i)ファラデー効果を有する磁気ガーネット結晶、(ii)定義済みの磁場を印加する永久磁石、および(iii)所与の偏光方向を有する光(入射光)のみが通過することを可能にすると共に、入射光の偏光方向と直交する偏光方向を有する光の通過をブロックする偏光素子から構成される。この第1のタイプの光アイソレータは、その一体化バージョンがまだ入手可能ではない複数の構成要素を必要とするので、光デバイスに一体化することが困難である。
【0006】
第2のタイプの光アイソレータとして、その複素光学指数が非可逆的である吸収光アイソレータがある。磁場の存在下で、鉄−コバルト金属合金などのいくつかの強磁性材料の光学指数は、光が伝播する方向に依存する。したがって、その伝播方向に応じて、光はより強く、または弱く減衰されることになる。この第2のタイプの光アイソレータは、具体的に半導体レーザ源を備える光デバイスに一体化するのに十分に適している。
【0007】
この第2の種類の光アイソレータでは、強磁性金属は、多くの場合、入射方向を含めて20dBよりも高い光パワー損失を導入する。したがって、こうした光パワー損失を補償するために、半導体光増幅器、すなわちSOAを一体化しなければならない。したがって、SOAによってもたらされる光信号の増幅により、第1の入射光伝播方向で強磁性材料の光パワー損失を相殺することが可能となる。伝播の反対方向では、光が後方に移動するのを避けるために、強磁性材料の減衰は依然として支配的である。
【0008】
また、この第2のタイプの光アイソレータは通常、(i)nドープ半導体材料層、(ii)それを取り囲む層よりも高い光学指数を有する増幅活性部分、および(iii)pドープ半導体材料層のスタックから構成された光増幅器SOAを備える。光アイソレータを一体化するために、SOAの導波路の上部または側部に強磁性金属を堆積させることができる。
【0009】
強磁性金属がSOAの導波路の上部に堆積する場合、光信号の伝播モードが強磁性金属と相互作用する必要があるので、ストリップの高さが非常に重要である。これは、導波路の厚さが、増幅活性層から強磁性金属を分離する距離を決定するからである。この場合、多くの場合InGaAsの三元半導体材料製である電気的接触層と、導波路の上に配置される電気的接触搬送金属層の両方による、かなりの光パワー損失がある。
【0010】
強磁性金属がSOAの導波路の側部に堆積する場合、堆積させるステップと、その後に続くエッチングするステップで一般に実施される強磁性金属層堆積作業が、非常に重要な作業である。エッチングによって材料を除去するステップは、このタイプの光アイソレータで実施するには非常に困難であることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術から知られている第2のタイプの光アイソレータの欠点を示さないこのタイプの光アイソレータを備える一体化光学構造を開示することである。
【0012】
本発明の別の目的は、具体的には、SOA光増幅器の電力消費の低減に寄与する光パワー損失の低減によってその性能が改善された光アイソレータを備える一体化光学構造を開示することである。
【0013】
本発明の別の目的は、製造するのがより容易であり、より安価である光アイソレータを備える一体化光学構造を開示することである。
【0014】
本発明の対象は、
nドープ半導体層、pドープ半導体層、およびnドープ半導体層とpドープ半導体層との間に配設された活性ゾーンを有する導波路を備える少なくとも1つのSOA光増幅器であって、
下部絶縁層と上部絶縁層との間に配設された磁気光学層を備える、SOIベースとSOA光増幅器導波路との間に配設された少なくとも1つの光アイソレータと関連する、少なくとも1つのSOA光増幅器を備える一体化光学構造である。
【0015】
光アイソレータの一体化光学構造は、「III−V on SOI」(SOI:Silicon On Isolator)と呼ばれる、シリコン・ベースの基板上にIII−V半導体材料を一体化するハイブリッド技術を使用する。この状況では、従来技術のようにIII−V半導体導波路の上部または側部に磁気光学層を有するのではなく、磁気光学層が導波路の活性ゾーンの下に配設される。
【0016】
一実施形態によれば、光アイソレータの磁気光学層は、強磁性金属材料の層である。強磁性材料は、鉄、コバルト、ニッケル、Feベースの合金(具体的にはフェライト)、および/またはCoと、CuMnAl、CuMnIn、CuMnSnなどの式XYZを有するHEUSLER合金とを含む。好ましくは、光アイソレータの磁気光学層は、平衡原子組成Fe50Co50を有する金属合金層である。
【0017】
別の実施形態によれば、光アイソレータの磁気光学層は、磁気酸化物層(ガーネット、ペロブスカイトなど)である。
【0018】
第1の態様によれば、上部絶縁層および下部絶縁層は、窒化シリコンSiNと酸化シリコンSiOとの間から選ばれた絶縁材料から構成される。
【0019】
第2の態様によれば、導波路のnドープ半導体層およびpドープ半導体層は、III−V族の半導体材料、具体的にはリン化インジウムInPまたはガリウム砒素GaAsから構成される。
【0020】
第3の態様によれば、導波路の活性エリアは、多重量子井戸を有する構造を備える。
【0021】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの光アイソレータおよび少なくとも1つのSOA光増幅器を備える、前述の少なくとも1つの一体化光学構造を備える光デバイスを得ることである。
【0022】
本発明の別の目的は、前述の一体化光学構造を作製する方法を得ることである。この方法は、以下のステップを含む。
SOIベース上に絶縁材料の第1の層を堆積させるステップと、
絶縁材料の第1の層上に磁気光学層を堆積させるステップと、
磁気光学層上に絶縁材料の第2の層を堆積させるステップと、
絶縁材料の第2の層に半導体ダイを付着させるステップと、
光導波路を作製するために半導体ダイを処理するステップ。
【0023】
好ましくは、磁気光学層は陰極スプレー法によって堆積する。
【0024】
有利には、磁気光学的効果を増大させることを可能にする構造を磁気光学層に与えるために、磁気光学層がエッチングされる。
【0025】
一変形形態によれば、方法は、CMP(化学的および機械的研磨法)法を使用して絶縁材料の層の表面を平滑化するように意図された少なくとも1つの作業を含む。
【0026】
本発明は、
増幅活性エリアに電流を注入することが磁気光学層から分離され、それにより、磁気光学層の最適化とは無関係に、増幅活性エリアに電流を注入することを最適化することが可能となること、
光デバイスを生産する技術が、III−V on SOIハイブリッド一体化に基づき、したがってアイソレータの製造が従来技術よりもずっと容易になり、それによって光アイソレータをシリコンPIC光集積回路上で使用することができること
を含むいくつかの利点を有する。
【0027】
本発明は、オプトエレクトロニク構成要素、具体的にはPIC光集積回路の製造業者によって使用されることが意図される。
【0028】
当然ながら非限定的な例として、添付の図面で与えられる一実施形態の以下の説明を読むとき、本発明の他の特徴および利点が明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】光アイソレータを備える一体化光学構造の一実施形態の横方向斜視図を示す図である。
図2a】光アイソレータを備える一体化光学構造の別の実施形態のそれぞれ上部および側部から見た図である。
図2b】光アイソレータを備える一体化光学構造の別の実施形態のそれぞれ上部および側部から見た図である。
図3】光アイソレータを備える一体化光学構造を作製する方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当然ながら、これらの図は本発明を示すためだけの働きをするので、図示する様々な要素の寸法は、必ずしも原寸に比例しない。
【0031】
図1に、ハイブリッド技術「III−V on SOI」によって作製された光アイソレータを備える一体化光学構造を示す。SOI技術は、シリコンSiの半導体上部薄層と、シリコンSiの半導体下部厚層との間に、SiOなどの、酸化シリコンSiOの電気的絶縁層を挿入することからなり、アセンブリがSOIベースを構成する。
【0032】
光アイソレータ1がSOIベース2上に一体化され、SOIベース2は、結晶シリコンSi層3、または任意の他の半導体基板を備え、それが、絶縁層4、例えばシリカSiOなどの酸化シリコンSiO製の絶縁層4によって覆われ、その上部が、第2の結晶シリコンSi層5で覆われる。通常、シリコン層の厚さは、せいぜい0.5μmであり、酸化シリコン層の厚さは約2μmである。
【0033】
光アイソレータ1は、半導体下部nドープIII−V層7、例えばリン化インジウムInPベースのもの、活性エリア8、および半導体上部pドープIII−V層9、例えばやはりリン化インジウムInPベースのもののスタックから製造される光導波路6に関連付けられる。半導体材料III−Vは、具体的にはリン化インジウムInPまたはガリウム砒素GaAsでよい。活性エリア8は、例えばMQW(Mutliple Quantum Wells:多重量子井戸)構造を備える。
【0034】
SOA10は、半導体多層構造を有する導波路6を備え、その上部が、例えばInGaAs三元半導体材料製の上部電気的接触層11で覆われる。上部電気的接触層11は、それ自体、金属接点を通じてSOA増幅半導体構造の活性層に電流を注入することを可能にする金属フィルム12で被覆される。この場合、下部半導体層7は、SOA光増幅器10に関する下部電気接触層の役割を果たす。次いで、金属層13を下部半導体層7上に付着させ、電流が続行することを可能にすることができる。それによって、多重量子井戸を有するSOA半導体光増幅器構造に電流を注入することによって光損失を補償することができる。
【0035】
光アイソレータ1は、上部絶縁層14および下部絶縁層15、例えばSiなどの窒化シリコンSi製、または酸化シリコンSiO製のものを備える。好ましくは、絶縁層はSiO製である。強磁性金属の磁気光学層16が、上部絶縁層14と下部絶縁層15の間に挟まれる。磁気光学層16は、例えば、鉄−コバルト[Fe:Co]金属合金などの強磁性金属を含み、鉄の原子百分率が、50%から90%の間に含まれ、好ましくは、金属合金は平衡原子組成Fe50Co50である。磁気光学層16は、光導波路6内を伝播する光波17の減衰を生み出す。強磁性の金属磁気光学層16は、光信号が伝播する方向に垂直に磁化される。ここでは、磁気光学層16は、強磁性金属合金[Fe:Co]製の磁気光学層16が、求められた表面を占有するのを許すように、堆積させるステップと、その後に続くエッチングするステップとを含む方法によって構築される。III−V半導体を有する導波路6を備えるSOA光増幅器10により、光増幅を得ることが可能となると共に、強磁性金属16は、光アイソレータとして働くために、屈折率または非可逆的損失を導入する。
【0036】
この実施形態では、導波路の幅は、例えば0.5μmから2μmまで変化することができる。好ましくは、磁気光学層16、例えば強磁性金属合金[Fe:Co]は、30nmから150nmの間の厚さを有し、例えばシリカSiO製の、磁気光学層16の上に配置され、磁気光学層16と接触する上部絶縁層14および下部絶縁層15は、厚さ約30nmを有する。
【0037】
ここでは、III−V半導体に基づく光導波路6は、SOI技法を使用して構築されたベース2上に一体化されるIII−V半導体と光アイソレータ1との間の結合を可能にする典型的な層状構造を有する。しかし、TMモード(Transverse Magnetic:強磁性金属の損失および屈折率が非可逆的であるモード)と、金属磁気光学層16との間の十分な結合を有するために(磁気光学層16内のモード閉込め因子の0.5%超で)、非常に狭いIII−V導波路6(2μm未満の幅)を構築し、またはIII−V材料の層状垂直構造を変更することが必要である。
【0038】
III−V材料の層状垂直構造が変更されない場合、図2aおよび2bに示すような導波路構造がある。そのような構造は、増幅器の2つの極限領域20Aおよび20Bを備え、その中では、III−V導波路は通常、幅2μmを有する。この構造はまた、その幅が約0.5μmである中央アイソレータ領域21をも備える。この構造は最終的に、2つの中間領域22Aおよび22Bを備え、その中では、2つの円錐が、アイソレータ領域と増幅器領域との間の遷移を可能にする。極限領域20Aおよび20Bでは、光学モードが、光アイソレータと相互作用することなくSOA光増幅器内で伝播する。中央領域31では、そのプロファイルが変更された光学モードが、光アイソレータ内を部分的に伝播する。
【0039】
例えば2つの光デバイス間の絶縁を可能にするために、光アイソレータの一体化光学構造をPIC光集積回路に挿入することができる。
【0040】
本発明はまた、強磁性金属ではなく、磁気光学ガーネット(YIG、BIG、Ce:YIGなど)などの、磁気酸化物製の磁気光学層を使用して、光絶縁体一体化光学構造を構築するのに使用することができる。この状況では、ガーネット層が、ベースSOIを覆う下部絶縁層上に堆積し、または付着する。
【0041】
図3に、一体化光学構造を製造する方法を概略的に示す。磁気光学層の性質の如何に関わらず、一体化光学構造の構築は同様の方式で進む。
【0042】
この方法は、SOIベース30を作製することによって始まる。次に、堆積させる第1のステップ40の間に、SOIベース30の表面を覆うように、SOIベース30上に酸化シリコンSiOなどの絶縁材料の厚層を作製する。次いで、化学的および機械的研磨、すなわちCMP法をアセンブリに適用し、平坦な表面を得る。この結果、SOIベース30の上部は、30nmから150nmの間の厚さを有する下部絶縁層31で覆われる。
【0043】
次いで、堆積させる第2のステップ41の間に、例えば陰極スプレー法により、磁気光学層32を下部絶縁層31上に堆積させる。有利には、磁気光学的効果を増大させることを可能にする構造を与えるために、磁気光学層32をエッチングする。そのような構造の一例は、磁気光学層が周期的にエッチングされるブラッグ格子であり、ブラッグ格子により、磁気光学的効果が波長範囲内で増大する。
【0044】
堆積させる第3のステップ42を使用して、上部絶縁層33を得るために、エッチングした磁気光学層32の上部に、絶縁材料の第2の層、例えば酸化シリコンSiOを堆積させる。新しいアセンブリの表面はそれ自体、CMP方法によって平坦にされる。
【0045】
最後に、第4のステップ43の間に、磁気光学層32、例えば強磁性金属またはガーネット製のものの上部に堆積した上部絶縁層33上にIII−V半導体ダイ34を付着させる。SOA光増幅器のIII−V活性導波路を作製するためにIII−V半導体ダイ34を処理し、その存在により、この種類の光アイソレータで光パワー損失を相殺することが可能になる。
図1
図2a
図2b
図3