特許第5873206号(P5873206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5873206
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】建設機械のエンジンの高温水冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20160216BHJP
   B63B 25/04 20060101ALI20160216BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20160216BHJP
   F01P 3/18 20060101ALI20160216BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20160216BHJP
   F01P 7/10 20060101ALI20160216BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20160216BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B60K11/04 B
   B63B25/04 E
   B63B25/04 104
   E02F9/00 M
   F01P3/18 A
   F01P3/18 G
   F01P3/18 Q
   F01P3/18 V
   F01P5/06 510A
   F01P7/10 Z
   F28F1/32 V
   F28F1/32 W
   F28F9/26
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-119336(P2015-119336)
(22)【出願日】2015年6月12日
【審査請求日】2015年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515160932
【氏名又は名称】愛和機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】五十川 義樹
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−235673(JP,A)
【文献】 実開平07−025218(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の上部旋回体に設けた機械部には、外気吸込み部、及び吸込み外気の排気部を備え、この吸込み部の内側に設けた第2ラジエータの風下側に、前記機械部の取付板の一面に設けた第1ラジエータを併設し、この第1ラジエータに、冷却用のファンと、エンジンとを、順次、併設し、このファンの働きによる前記吸込み外気は、前記第2ラジエータより、少なくとも、前記第1ラジエータに当る構成とし、
前記エンジンの高温水を、前記第1ラジエータを経由し、前記第2ラジエータに送り、この高温水を、冷却する建設機械のエンジンの高温水冷却装置において、
前記第1ラジエータのチューブ、及び/又は、フィンの密度に対し、前記第2ラジエータのチューブ、及び/又は、フィンの密度を粗にするとともに、前記第2ラジエータに当った前記吸込み外気は、前記取付板の一面に設けたインタークーラー、及びオイルクーラーにも当たる構成とした建設機械のエンジンの高温水冷却装置。
【請求項2】
前記第1ラジエータのチューブをランダムな形態に配置し、前記第2ラジエータのチューブを整列に配置し、この第1ラジエータに対して、この第2ラジエータのチューブ、及び/又は、フィンの密度を粗にする構成とした請求項1に記載の建設機械のエンジンの高温水冷却装置。
【請求項3】
前記上部旋回体の運転室に、消火器のスイッチを配置し、当該上部旋回体に設けた消火器のノズルを、前記エンジンに向かって、近接して設ける構成とした請求項1、又は2に記載の建設機械のエンジンの高温水冷却装置。
【請求項4】
前記第2ラジエータは、前記機械部にある前記取付板の他面に設置した燃料クーラーと、前記機械部の側面内側との間のスペースに配置する構成とした請求項1から3のいずれか一項に記載の建設機械のエンジンの高温水冷却装置。
【請求項5】
前記建設機械は、船舶の貨物倉において、高温下でチップの搬送を図るために使用される構成とした請求項1から4のいずれか一項に記載の建設機械のエンジンの高温水冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の貨物倉において、高温下でチップの搬送、及び/又は、整地等を図るために使用される建設機械のエンジンの高温水冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の貨物倉において、高温下でチップの搬送等のために使用される建設機械のエンジンは、高温水の冷却が十分でなく、オーバーヒートの要因と成る。これを回避するためには、通常、短時間、例えば、3〜4時間程度で休憩する方法とか、他の建設機械を使用するとかの調整が必要となり、作業性の低下と、機材の搬入、及び/又は、配置等が煩雑となり、この解決が望まれている。
【0003】
以上の状況を回避するための手段として、複数基のラジエータを配置する先行文献を挙げ、概述する。
【0004】
文献(1)は、特開2002−257495号公報に記載の「複数熱交換器の接続構造」であって、自動車用のエンジン冷却水冷却用熱交換器と、カークーラー用の熱交換器とを配置し、両熱交換器の接続構造に関し、従来のエンジンルーム内に設置されるエンジン冷却水冷却用ラジエータと、カークーラー用コンデンサとは、適宜間隔を有して両者間が一体的に締結固定されている。即ち、両熱交換器は、エンジン冷却水冷却用熱交換器と、カークーラー用の熱交換器であり、それぞれ個別の役割がある(別物である)。
【0005】
また、文献(2)は、特開2014−133550号公報に記載の「車両用熱交換装置」であって、内燃機関(エンジン)の冷却に用いられる高温側ラジエータのメインクーラと、走行用モータを制御するインバータ、ターボチャージャの過給器の冷却に用いられる低温側ラジエータ、及びコンデンサのサブクーラと、を備える車両用熱交換装置である。この発明は、二基のラジエータを備えるが、文献(1)と同様に、それぞれ個別の役割がある。
【0006】
また、船舶の貨物倉において、高温下でチップの搬送等のために使用される建設機械には、緊急時の対策として、主として、エンジンに向かって消火液を噴射する消火装置が備えられている。しかしながら、運転室(運転室)から離れた箇所に装備されていることから、手間取ることが指摘されている。そのために、運転室から操作できる装置が望まれている。これに関し、運転室から操作できる先行文献を挙げ、概述する。
【0007】
文献(3)は、特開2004−8365号公報に記載の「自動車用消火器」であって、運転室に消火器とそのノズル部を、それぞれ配置し、運転室においての使用である。しかし、通常は、火災(火)は、エンジン等の駆動機構部で発生する蓋然性が多く、消火対処に問題があると考えられる。
【0008】
文献(4)は、特開平8−266659号公報に記載の「車輌消火システム」であって、電気系統が焼損しても、運転室のスイッチ操作で、バッテリーから消火器に給電し、電気系統が不能になった際にも自動消火ができる自動消化装置である。しかし、電気回路による指令と動作であり、電気回路が消失した際の動作が確保できないことが問題と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−257495号公報
【特許文献2】特開2014−133550号公報
【特許文献3】特開2004−8365号公報
【特許文献4】特開平8−266659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
文献(1)と文献(2)とは、数基のラジエータ(熱交換器)を配置することが開示されているが、特定の機器(機械、又は装置等)に対して、複数基設ける構造でない。従って、本発明が意図する貨物倉における建設機械の熱対策と、併せて稼働時間延長を図るには、十分でないことが判明した。
【0011】
また、文献(3)は、運転室での使用であり、エンジンでないことと、貨物倉での使用を意図しておらず、本発明の意図とは異なると思料される。
【0012】
そして、文献(4)は、回路を介して消火器の操作を図ることから、火災が発生した段階で、回路(操作・連絡手段)が消失する蓋然性が強く、操作不能となり、問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した、従来の課題とか、問題点とかを解消し、貨物倉での使用に最適な装備を備えた建設機械の提供であり、請求項1〜に記載した発明の内容である(構造である)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、建設機械の上部旋回体に設けた機械部には、外気吸込み部、及び吸込み外気の排気部を備え、吸込み部の内側に設けた第2ラジエータの風下側に、機械部の取付板の一面に設けた第1ラジエータを併設、第1ラジエータに、冷却用のファンと、エンジンとを、順次、併設し、ファンの働きによる吸込み外気は、第2ラジエータより、少なくとも、第1ラジエータに当る構成とし
エンジンの高温水を、第1ラジエータを経由、第2ラジエータに送り、高温水を、冷却する建設機械のエンジンの高温水冷却装置において、
第1ラジエータのチューブ、及び/又は、フィンの密度に対し、第2ラジエータのチューブ、及び/又は、フィンの密度を粗にするとともに、第2ラジエータに当った吸込み外気は、取付板の一面に設けたインタークーラー、及びオイルクーラーにも当たる構成とした建設機械のエンジンの高温水冷却装置であり、貨物倉での使用に最適な装備(エンジン冷却水専用の二基のラジエータ)を備えた建設機械を提供できることと、これにより、従来に比し、長い時間に亙り、同じ機械で作業ができ、コストの削減と、利便性の向上が図れる特徴がある。また、船舶の停泊時間の短縮化と低コスト化に寄与できる。さらに、第1ラジエータの密度に対して、第2ラジエータの密度を粗とすることで、第2ラジエータに当った吸込み外気は、取付板の一面に設けたインタークーラー、及びオイルクーラーにも当たり、インタークーラー、及びオイルクーラーの冷却の効率化が図れ、また、目詰り解消とを図り、かつ貨物倉に収容されたチップの取扱いに有益な建設機械を提供できる実益がある。
【0016】
請求項の発明は、第1ラジエータのチューブをランダムな形態に配置し、第2ラジエータのチューブを整列に配置し、第1ラジエータに対して、第2ラジエータのチューブ、及び/又は、フィンの密度を粗にする建設機械のエンジンの高温水冷却装置であり、請求項の特徴達成とともに、貨物倉に収容されたチップの取扱いに、及び/又は、チップの搬送、或いは掻き寄せに有益な建設機械を提供できる実益がある。
【0017】
請求項の発明は、上部旋回体の運転室に、消火器のスイッチを配置し、上部旋回体に設けた消火器のノズルを、エンジンに向かって、近接して設ける建設機械のエンジンの高温水冷却装置であり、請求項1の特徴達成とともに、貨物倉で使用するに最適な建設機械を提供できる実益がある。
【0018】
請求項の発明は、機械部にある取付板の他面に設置した燃料クーラーと、機械部の側面内側との間のスペースに配置する建設機械のエンジンの高温水冷却装置であり、請求項1の特徴達成とともに、横長(横方向が長い形態)で、縦短(縦方向が短い形態)の燃料クーラーを、縦短を横置きに配置し、第2ラジエータ用のスペースを形成し、このスペースに設置する建設機械の上部旋回体を提供できる実益がある。
【0019】
請求項の発明は、建設機械は、船舶の貨物倉において、高温下でチップの搬送を図るために使用される建設機械のエンジンの高温水冷却装置であり、請求項1の特徴達成とともに、少なくとも、貨物倉でのチップの搬送等に有効性を発揮できる建設機械を提供できる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】船舶の貨物倉で作業する建設機械の縮尺俯瞰図である。
図2-1】建設機械の一例を示した俯瞰図である。
図2-2】建設機械の他の一例を示した側面図である。
図2-3】建設機械の機械部の開閉扉の一例を示した拡大側面図である。
図3】機械部の要部の天井部を省略した平面図である。
図4-1】第1ラジエータと第2ラジエータとの関係を示した正面図である。
図4-2】図4−1の平面図である。
図4-3】図4−1の俯瞰図である。
図5-1】(イ)は、第1ラジエータの要部の拡大正面図である。(ロ)は、第1ラジエータの要部の拡大平面図である。
図5-2】(イ)は、第2ラジエータの要部の拡大正面図である。(ロ)は、第2ラジエータの要部の拡大平面図である。
図5-3】(イ)は、従来のラジエータの要部の拡大正面図である。(ロ)は、従来のラジエータの要部の拡大平面図である。
図6】少なくとも、エンジンと冷却水・高温水との関係を示したフローチャート図である。
図7-1】消火器のON、OFFを司るスイッチの一例を示した拡大斜視図である。
図7-2】消火器のノズルの一例を示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2−1と図2−2において、建設機械1(建設機械をベースとして改良したことに鑑み、この名称を使用するが、何ら限定されるものでない)は、キャタピラ部2を備えた下部基台100と、下部基台100に旋回可能に設けた運転室3と機械部5(チャンバー)と、並びアーム部6等とを備えた上部旋回体101とで構成されている。
【0023】
図2−3と、図3図4−1〜図4−3、並びに図6において、機械部5(チャンバー)の側面側には、メッシュ、及び開口孔でなる空気通路500a(外気吸込み部)を一つ、又は複数備えた開閉扉500を付設し、かつ上面側には、図示しない、リブで補強した(人が乗ることも可能な強さを備えた)天井部501を設けるとともに、機械部5には、開閉扉500に向かって、順次、配置した、マフラー10、並びにエンジン11(マフラー10の下側)と、このエンジン11の次に配置したファン12と、このファン12により吸込んだ外気等の風が、二次的に当たる第1ラジエータ13と(後述する第2ラジエータ18を通過した吸込み外気等の風が当ることを意味する。また、第1ラジエータ13は、第2ラジエータ18に縦並び(図3参照)に併設する)、この第1ラジエータ13に横並び(図3参照)に配置したインタークーラー15と、オイルクーラー16と、続いて仕切り用取付板17(枠)を介して取付け、かつファン12の吸込み外気が、直接、当たるように配備した第2ラジエータ18と、第2ラジエータ18に横並びに配置した燃料クーラー20とを設ける。尚、吸込み外気は、機械部5の隙間(排気部)より、外部に排気される。
【0024】
エンジン11と、第1ラジエータ13とは、ホース21(配管)を介して接続し、エンジン11の高温水が、この第1ラジエータ13に送られる。また、図示しない、オイルタンクとオイルクーラー16の冷却器とは、ホース22で、又は運転室3の図示しないクーラーとインタークーラー15の冷却器とは、ホース23で、それぞれ繋ぐ構造である。尚、第2ラジエータ18とエンジン11との間には冷却水を送るホース25が付設される。
【0025】
また、図3の略現実に即した寸法を示した平面図を参考として説明すると、第2ラジエータ18に横並び(図3参照)に配置したインタークーラー15と、オイルクーラー16との間には、空気通路500aより、ファン12の力で吸込んだ外気(空気)であり、かつ第2ラジエータ18を通過した外気、及び/又は、他の吸込み部(機械部5の隙間)より吸込んだ外気を、この第2ラジエータ18と、インタークーラー15と、オイルクーラー16とに、望ましくは、等しく供給する。そのために、本発明では、第1ラジエータ13の構造を、例えば、次のようにする。即ち、第1ラジエータ13のフィン1302は、例えば、図5−1(イ)の正面視した構造であり、フィン1302を、略6mm間隔とし、これに対して、後述するが、第2ラジエータ18のフィン1802を、例えば、図5−2(イ)の正面視した構造であり、フィン1302を、略6mm間隔とする(参考として、後述するように、従来のラジエータのフィンは、例えば、図5−3(イ)の正面視した構造であり、フィンは、略2mm間隔である)。また、第1ラジエータ13のチューブ1300を、例えば、図5−1(ロ)の平面視した構造であり、ランダムな形態、例えば、市松模様、千鳥形態等の形態とした配置とする。例えば、同図5−1(ロ)に示したように、図示の如く、上下において、ずれた形態で配置されている。即ち、前述した如く、第2ラジエータ18を通過した外気が、第1ラジエータ13にそのままの流れで入らず(チューブ1300のランダムな形態と、このランダムな形態とフィン1302との組合せによる抵抗で)、幾分、流れにくくなり、分散された(拡散された)状態で、インタークーラー15と、オイルクーラー16とに流れる。このインタークーラー15と、オイルクーラー16の冷却に役立てる。
【0026】
また、第2ラジエータ18は、図5−2(ロ)に示したように、平面視して、直線状に整然とした配置とした理由は、ファン12の風で、外気を吸込み易くすることと、吸込み力の弱体化を少なくすることに有る。
【0027】
尚、図6に示すように、第2ラジエータ18とエンジン11との間には、冷却水を送るホース25が付設される。図中Pはポンプ等の圧送機を示す。
【0028】
本発明では、燃料クーラー20を機械部5の取付板17に縦方向に、変更して設置して、仕切り板と開閉扉500との間にスペースBを確保し、このスペースBを利用して、新たな第2ラジエータ18の設置を達成したことも特徴である。例えば、従来の建設機械1、又は規定の寸法と構造の建設機械1には、改良が容易であり、コストの低廉化と、装置の有効利用等から最適である。
【0029】
図4−1〜図4−3と図5−1(イ)、(ロ)〜図5−2(イ)、(ロ)において、第1ラジエータ13と第2ラジエータ18とに関して説明すると、第1ラジエータ13と第2ラジエータ18とは、ともに高温水(冷却水の温度が高くなった状態を云う)、又は冷却水(高温水の温度が低くなった状態を云う)が流れる多数本のチューブ1300、1800と、チューブ1300、1800を枠組し、かつ高温水、冷却水を受入れ、かつプールする、例えば、上下側に空間部(流入ホース、流出ホース)を備えた枠体1301、1801と、このチューブ1300、1800間に配備されたフィン1302、1802とで構成する。そして、第1ラジエータ13と第2ラジエータ18との密度(チューブ1300、1800、及び/又は、フィン1302、1802との格子密度、又は個別密度)を比較すると、第1ラジエータ13>第2ラジエータ18との関係となり、第2ラジエータ18は、第1ラジエータ13に比し、密度を粗にし、ファン12の働きによる外気(吸込み外気「風」)、及び運転室3内の空気等が直接当たるので、冷却効果を上げることと、また、密度を粗にし、チップAによる目詰まり解消(第2ラジエータ18が、開閉扉500側にあることを考慮して)とを意図する。この好ましい、一例では、図5−1(イ)、(ロ)に示すように、第1ラジエータ13のチューブ1300間を略8mmとし、フィン1302間を略6mmとするが、チューブ1300をランダムな形態とすることで、本数を増やす構造である。これに対して、図5−2(イ)、(ロ)に示すように、第2ラジエータ18のチューブ1800間を略8mmとし、フィン1802間を略6mmとするが、チューブ1800を整列した形態とする。従って、第1ラジエータ13のチューブ1300は、第2ラジエータ18のチューブ1800の倍に配置される。即ち、チューブ1300間とチューブ1800間は、共に略8mmとするが、第1ラジエータ13のチューブ1300を、ランダムな形態とすることで、面積比で、チューブ1300の数は、チューブ1800の略2倍とする。この第1ラジエータ13の密度を密とすることで、第2ラジエータ18等を通った外気を、第1ラジエータ13を始めとして、インタークーラー15と、オイルクーラー16とに吸込み可能とする。このインタークーラー15と、オイルクーラー16との冷却に役立てる。また、第1ラジエータ13のフィン1302間は略6mm、第2ラジエータ18のフィン1802間は略8mmとし、図5−3(イ)、(ロ)に示した、従来のフィン間隔略2mmに比し、間隔を広くすることで、冷却効果の向上と、目詰まり解消を図る。尚、チューブ1300間とチューブ1800間との間隔と、従来のチューブ間の間隔は同じである。また、チューブ1800と、従来のチューブとは、同じ配列である。以上の構造であり、容積は、第1ラジエータ13が略7l(リットル)で、第2ラジエータ18が略10l(リットル)となる。また、従来のラジエータは、略6l(リットル)となる。即ち、第1ラジエータ13と第2ラジエータ18とを設けて高温水を多く受け入れて、フィン1302、1802との接触面積が少なくなったこと(熱交換の減少)をカバーする構造である。換言すると、この第1ラジエータ13、及び第2ラジエータ18と、吸込み外気との接触面積を確保し、従来に比して、第1ラジエータ13、及び第2ラジエータ18に収容した多い高温水量の冷却効果を図ることにある。
【0030】
尚、図示しないが、第1ラジエータ13には、開閉できるカバーを、ファン12側に設けて、ファン12の風によりチップAを飛散させて、目詰まり解消を図る。また、図6と、図4−1〜図4−3に基づいて、高温水と冷却水との流れを説明すると、エンジン11を冷やし、働きを終えた高温水は、ホース21により、第1ラジエータ13の一方(方向は関係しない)の枠体1301に流れ、そこからチューブ1300に流れた後、一次冷却水となり、他方(方向は関係しない)の枠体1301に流れ、かつ一時的に貯留される。その後、一次冷却水は、ホース19により、第2ラジエータ18の一方の枠体1801に流れ、そこからチューブ1800に流れた後、二次冷却水となり、他方の枠体1801に流れ、かつ一時的に貯留される。この二次冷却水は、ホース25を経由してエンジン11に流れて、冷却に役立てる。
【0031】
図2−1〜図2−2と、図3、並びに図7−1、図7−2に示してある消火器30関連に関して説明すると、消火器30は上部旋回体101の部屋102(工具室)に収容されており、操作杆31は運転室3に設置されている。また、各ノズル32は、例えば、エンジン11か、その近傍に向かって消火液を噴射するために、図3に示す配置とする。そして、操作杆31の指令(引上げ)は、ケーブル33で消火器30の摘みに連絡する装置として、仮に、火災の発生、高熱等の緊急時においても、従来のスイッチとか、電気回路等と異なり、確実に伝達できる構造と、安全性の確保と緊急対応可能にする。
【0032】
図3に示してあるエアーエレメントケース35は、第2ラジエータ18の開放側面に向かって設けており、この第2ラジエータ18へのチップAの付着を無くすようにしてある。
【0033】
前述した各構造は、本発明の好ましい一例の説明である。従って、本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0034】
1 建設機械
100 下部基台
101 上部旋回体
102 部屋
2 キャタピラ部
3 運転室
5 機械部
500 開閉扉
500a 空気通路
501 天井部
6 アーム部
10 マフラー
11 エンジン
12 ファン
13 第1ラジエータ
1300 チューブ
1301 枠体
1302 フィン
15 インタークーラー
16 オイルクーラー
17 取付板
18 第2ラジエータ
1800 チューブ
1801 枠体
1802 フィン
19 ホース
20 燃料クーラー
21 ホース
22 ホース
23 ホース
25 ホース
30 消火器
31 操作杆
32 ノズル
33 ケーブル
35 エアーエレメントケース
A チップ
B スペース
【要約】      (修正有)
【課題】作業性の低下と、機材の搬入、及び/又は、配置等が煩雑となる課題を解決することができる建設機械のエンジンの高温水冷却装置を提供する。
【解決手段】建設機械のエンジン11の高温水冷却装置は、建設機械の上部旋回体の機械部5にエンジン11と冷却用のファン12とを設け、ファン12の吸込み方向に、第2ラジエータ18・第1ラジエータ13とを隣接して設け、第2ラジエータ18には、ファン12吸込み外気が直接当るように配置し、第2ラジエータ18を通過した外気が第1ラジエータ13に当る配置とし、エンジン11の高温水を、第1ラジエータ13を経由して、第2ラジエータ18に送り、順次、冷却するエンジン11の高温水冷却装置であり、貨物倉の使用に最適な建設機械の提供と、長時間に亙り、同じ機械で作業ができ、コストの削減が図れる。船舶の停泊時間の短縮化と低コスト化に寄与できる。
【選択図】図3
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6
図7-1】
図7-2】