(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873211
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】一回転で作動する持続性スプレーポンプ機構
(51)【国際特許分類】
F04B 9/14 20060101AFI20160216BHJP
B65D 83/76 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
F04B9/14 B
B65D83/76 110
【請求項の数】27
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-504535(P2015-504535)
(86)(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公表番号】特表2015-520076(P2015-520076A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】US2012032294
(87)【国際公開番号】WO2013151548
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2015年4月6日
(31)【優先権主張番号】13/439,510
(32)【優先日】2012年4月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515269888
【氏名又は名称】オルターナティヴ・パッケージング・ソリューションズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ALTERNATIVE PACKAGING SOLUTIONS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク,ウィリアム,シドニー
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−538139(JP,A)
【文献】
特公平06−088619(JP,B2)
【文献】
実開平06−027650(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/14
B65D 83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器からの製品の持続性吐出を生起するためのパワーアセンブリであって、
前記容器の開口端部に付着された容器キャップと、
前記容器キャップに取り付けられ、およびそこから前記容器内に垂下するシリンダカップと、
前記シリンダカップ内で往復運動するピストンハウジングと、
前記ピストンハウジングによって担持されると共に、ポンプチャンバを画成する前記シリンダカップ内において摺動密閉関係で、前記ピストンハウスに伴って往復運動する、ピストンと、
前記ピストンハウジング内に延びている回転可能な打込みねじと、
前記容器の上端部に回転可能に取り付けられたアクチュエータスリーブと、
前記アクチュエータスリーブと前記打込みねじとの間に接続されたクラッチ手段であって、前記アクチュエータスリーブが回転された場合に、前記打込みねじを回転させる係合位置と、前記アクチュエータスリーブの回転を引き起こすことなく、前記打込みねじの回転を可能にする解放位置とを有するクラッチ手段と、
前記アクチュエータスリーブおよび打込みねじが回転された場合に、前記ピストンハウジングおよびピストンを第1の方向で往復運動させて、製品を前記ポンプチャンバ内に引き込ませるように、前記打込みねじと前記ピストンハウジングとの間に係合された第1の手段および前記ピストンハウジングと前記シリンダカップとの間に係合された第2の手段と、
前記ピストンハウジングの前記第1の方向での運動時に、エネルギを蓄積するエネルギ蓄積装置であって、前記ピストンハウジングおよびピストンを、前記第1の方向と逆の第2の方向に付勢して、前記ポンプチャンバ内の前記製品を加圧するエネルギ蓄積装置と、
前記ポンプチャンバからの製品の流れを制御するように前記ポンプチャンバと接続されたノーマルクローズのバルブと、
アクチュエータが押し下げられた場合に、前記バルブを開いて、前記ポンプチャンバからの製品の放出を可能にするように前記バルブと接続された往復運動アクチュエータと、を備えるパワーアセンブリ。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータが押し下げられた場合に、前記クラッチ手段を外し、それによって、前記ピストンが前記第2の方向に動いた場合に、前記アクチュエータスリーブの回転を引き起こすことなく、前記打込みねじを回転させることができるように前記クラッチ手段に接続される、請求項1に記載のパワーアセンブリ。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記クラッチ手段が係合され且つ前記バルブが閉じられる上方位置と、前記クラッチ手段が外され且つ前記バルブが閉じられる中間位置と、前記クラッチ手段が外され且つ前記バルブが開かれる下方位置とを有し、それにより、製品が前記ポンプチャンバから放出される前に前記クラッチ手段が外され、前記ピストンが前記第2の方向への動きを始める、請求項2に記載のパワーアセンブリ。
【請求項4】
前記クラッチ手段は、
その上方周縁部にリング状の歯車の歯を備えた環状壁部を有するクラッチディスクと、
前記打込みねじの上端部の環状フランジであって、前記フランジは、前記クラッチディスクと前記環状フランジが互いに接触した場合に、前記クラッチディスクの前記歯車の歯とかみ合う位置で、その下方周縁部にリング状の歯車の歯を有する環状フランジと、
前記クラッチディスクの歯車の歯を、前記環状フランジの歯車の歯に係合させ、および前記アクチュエータを非押し下げ位置へ戻す方向に前記クラッチディスクを付勢するように、前記クラッチディスクに係合されたアクチュエータ戻しばねと、を備える、請求項3に記載のパワーアセンブリ。
【請求項5】
アクチュエータソケットが、前記アクチュエータが押し下げられた場合に前記アクチュエータに伴って往復運動するために前記アクチュエータに接続され、前記アクチュエータソケットは、前記アクチュエータが押し下げられた場合に、前記クラッチディスクが前記打込みねじの前記環状フランジから離して往復運動して、前記クラッチディスクの前記歯車の歯と前記環状フランジの前記歯車の歯との係合が解除されるように、前記クラッチディスクに接続されている、請求項4に記載のパワーアセンブリ。
【請求項6】
前記打込みねじと前記ピストンハウジングとの間に係合された前記第1の手段は、前記打込みねじの外側のらせん状ねじ山に係合された前記ピストンハウジングの内側にらせん状ねじ山を備え、
前記ピストンハウジングと前記シリンダカップとの間に係合された前記第2の手段は、前記ピストンハウジングの環状フランジの外周部のノッチと係合された前記シリンダカップの内部に軸方向スプラインを備える、請求項5に記載のパワーアセンブリ。
【請求項7】
前記エネルギ蓄積装置は、前記容器キャップと、前記ピストンハウジング上の前記環状フランジとの間に係合されたばねを備える、請求項6に記載のパワーアセンブリ。
【請求項8】
前記ピストンおよび前記打込みねじはそれぞれ、軸方向穴部を有し、前記ピストンおよび前記打込みねじはそれぞれ、前記軸方向穴部を貫通して延びており、前記軸方向穴部は、互いに連通すると共に前記ポンプチャンバと流体的に連通し、
前記バルブは、前記打込みねじを通って前記軸方向穴部と流体的に連通する前記打込みねじの上端部の弁座管と、前記アクチュエータソケットによって担持されたステムバルブとを備え、前記ステムバルブは、通常は、前記弁座管を通る流れを遮断するように前記弁座管内に延びているが、前記アクチュエータが押し下げられた場合には、前記弁座管を流れることができるように、前記弁座管から外部に移動可能である、請求項7に記載のパワーアセンブリ。
【請求項9】
前記アクチュエータスリーブの内面のタブは、前記アクチュエータソケットの外側のスロットに係合され、および前記アクチュエータソケットの外側のタブは、前記アクチュエータスリーブが回転された場合に、前記アクチュエータソケットに回転を伝えるように、前記アクチュエータスリーブの内部のスロットに係合される、請求項8に記載のパワーアセンブリ。
【請求項10】
前記アクチュエータスリーブを前記容器キャップに保持することで前記容器に保持するように、前記アクチュエータスリーブの内面の戻り止めは、前記容器キャップの環状フランジと係合される、請求項9に記載のパワーアセンブリ。
【請求項11】
前記アクチュエータの下面から垂下するポストは、前記アクチュエータを前記アクチュエータソケットに保持するように、前記アクチュエータソケットの上端部でソケットに摩擦的に係合される、請求項10に記載のパワーアセンブリ。
【請求項12】
前記ピストンは、前記打込みねじを貫通する前記穴部に同心円筒状に係合された延長端部と、前記打込みねじを貫通する前記穴部と摺動密閉関係の、前記延長端部上の広げられた密閉フランジとを有する、請求項11に記載のパワーアセンブリ。
【請求項13】
前記打込みねじと前記ピストンハウジングとの間に係合された前記第1の手段は、前記打込みねじの外側のらせん状ねじ山と係合された前記ピストンハウジングの内側のらせん状ねじ山を備え、および
前記ピストンハウジングと前記シリンダカップとの間に係合された前記第2の手段は、前記ピストンハウジングの環状フランジの外周部のノッチに係合された前記シリンダカップの内側の軸方向スプラインを備える、請求項1に記載のパワーアセンブリ。
【請求項14】
前記エネルギ蓄積装置は、前記容器キャップと、前記ピストンハウジング上の環状フランジとの間に係合されたばねを備える、請求項1に記載のパワーアセンブリ。
【請求項15】
前記ピストンおよび前記打込みねじはそれぞれ、軸方向穴部を有し、前記ピストンおよび前記打込みねじはそれぞれ、前記軸方向穴部を貫通して延びており、前記軸方向穴部は互いに連通すると共に前記ポンプチャンバと流体的に連通し、および
前記バルブは、前記打込みねじを貫通する前記軸方向穴部と流体的に連通する、前記打込みねじの上端部の弁座管と、前記アクチュエータによって動かされるように接続されたステムバルブとを備え、前記ステムバルブは、通常は、前記弁座管を通る流れを遮断するように前記弁座管内に延びているが、前記アクチュエータが押し下げられた場合には、前記弁座管を流れることができるように前記弁座管から外部に移動可能である、請求項1に記載のパワーアセンブリ。
【請求項16】
前記クラッチ手段は、
環状壁部の上方周縁部にリング状の歯車の歯を備えた環状壁部を有するクラッチディスクと、
前記打込みねじの上方端部上の環状フランジであって、前記クラッチディスクと前記環状フランジが互いに接触した場合に、前記クラッチディスクの歯車の歯とかみ合う位置において、当該環状フランジの下方外縁部上にリング状の歯車の歯を有する環状フランジと、
前記クラッチディスクの歯車の歯と、前記環状フランジの歯車の歯とを係合する方向に前記クラッチディスクを付勢し、および前記アクチュエータを非押し下げ位置へ戻すように、前記クラッチディスクに係合されたアクチュエータ戻しばねと、を備える、請求項13に記載のパワーアセンブリ。
【請求項17】
アクチュエータソケットは、前記アクチュエータが押し下げられた場合に、前記アクチュエータに伴って往復運動するために前記アクチュエータに接続され、前記アクチュエータソケットは、前記アクチュエータが押し下げられた場合に、前記打込みねじ上の前記環状フランジから前記クラッチディスクを離して往復運動させるように前記クラッチディスクに接続される、請求項16に記載のパワーアセンブリ。
【請求項18】
前記アクチュエータは、前記クラッチ手段が係合され且つ前記バルブが閉じられる上方位置と、前記クラッチ手段が外され且つ前記バルブが閉じられる中間位置と、前記クラッチ手段が外され且つバルブが開かれる下方位置とを有し、それにより、製品が前記ポンプチャンバから放出される前に前記クラッチ手段が外され、前記ピストンが前記第2の方向への動きを始める、請求項14に記載のパワーアセンブリ。
【請求項19】
前記アクチュエータスリーブは、細長く、およびその下方端部において、前記容器キャップを通り過ぎて、前記容器の上方端部を越えて延びる、請求項1に記載のパワーアセンブリ。
【請求項20】
外側スリーブが、前記アクチュエータスリーブの中心部を覆って施される、請求項19に記載のパワーアセンブリ。
【請求項21】
容器からの製品の持続性吐出を生起するためのパワーアセンブリであって、
前記容器に対する回転のために取り付けられた回転可能なアクチュエータスリーブと、
製品を前記容器からポンプチャンバ内に引き込ませるために前記アクチュエータスリーブの回転により前記ピストンが第1の方向に往復運動するように、前記アクチュエータスリーブとピストンとの間に接続された駆動手段と、
前記ピストンの前記第1の方向での往復運動がエネルギ蓄積手段にエネルギを蓄積させるように、前記ピストンに接続されたエネルギ蓄積手段であって、前記ポンプチャンバ内の製品を加圧するために、前記第1の方向と反対側の第2の方向に前記ピストンに付勢するエネルギ蓄積手段と、
前記ポンプチャンバからの製品の吐出を遮断するノーマルクローズ位置と、製品の吐出を可能にする開位置とを有するステムバルブと、
アクチュエータが押し下げられた場合に、前記ステムバルブをその開位置へ動かすように前記ステムバルブに接続された往復運動可能なアクチュエータと、
前記駆動手段に接続された脱進機構であって、前記ピストンの前記第2の方向での動きが前記アクチュエータスリーブの動きを引き起こさないために前記駆動手段を外すように、前記アクチュエータの押し下げによって作動される脱進機構と、を備える、パワーアセンブリ。
【請求項22】
前記駆動手段は、前記アクチュエータスリーブの回転によって回転されるように接続されたクラッチディスクと、打込みねじが前記クラッチディスクによって回転されるように、相互に係合された歯車の歯を介して前記クラッチディスクに接続された打込みねじと、前記打込みねじが回転された場合に往復運動されるように接続されたピストンハウジングであって、前記ピストンが前記ピストンハウジングによって担持されているピストンハウジングとを備える、請求項21に記載のパワーアセンブリ。
【請求項23】
前記脱進機構は、前記クラッチディスクと、前記クラッチディスクと前記打込みねじとの間の前記相互に係合された歯車の歯と、前記アクチュエータとを含み、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが押し下げられた場合に、前記クラッチディスクを前記打込みねじから離して往復運動させて、前記歯車の歯の係合が解除されるように、前記クラッチディスクに接続されている、請求項22に記載のパワーアセンブリ。
【請求項24】
前記ピストンハウジングは、シリンダカップ内で往復運動可能であり、前記ピストンおよびシリンダカップは、前記ポンプチャンバを画成し、
前記打込みねじとピストンハウジングとの間の相互に係合されたらせん状ねじ山と、前記ピストンハウジングの外部と前記シリンダカップの内面との間の軸方向溝およびスプラインとは、前記アクチュエータスリーブおよび打込みねじが回転された場合に、前記ピストンハウジングおよびピストンを、第1の休止位置から第2の位置へ往復運動させて、製品を前記容器から前記ポンプチャンバ内に引き込ませる、請求項23に記載のパワーアセンブリ。
【請求項25】
アクチュエータ戻しばねは、前記クラッチディスクの歯車の歯を、前記打込みねじの歯車の歯に係合させ、および前記アクチュエータを非押し下げ位置へ戻す方向に前記クラッチディスクを付勢するように前記クラッチディスクに係合される、請求項24に記載のパワーアセンブリ。
【請求項26】
前記アクチュエータ戻しばねは、前記クラッチディスクの下に係合されたコイルばねを備える、請求項25に記載のパワーアセンブリ。
【請求項27】
アクチュエータソケットは、前記アクチュエータと前記クラッチディスクとの間に接続され、
前記打込みねじは、前記アクチュエータソケットと前記クラッチディスクとの間に位置する環状フランジを有し、
前記アクチュエータ戻しばねは、板ばねを備え、前記板ばねは、前記打込みねじと一体形成されると共に前記打込みねじと前記アクチュエータソケットとの間で作用する、請求項25に記載のパワーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサに関し、具体的には、機械的に付勢され、非化学的手段によって加圧される持続性スプレーディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
化学的に駆動されるスプレーディスペンサおよび機械的に作動するスプレーディスペンサはともに、便利であるため長年使用されており、いまだに人気がある。しかし、化学的高圧ガスを使用するエアロゾルディスペンサに注がれる視線は厳しさを増し、また、環境に及ぼす悪影響ならびにその取り扱いに付随する危険や関連する安全上の問題点により、制限が課せられている。また、従来の非化学的機械的スプレーディスペンサは、容積が大きく、一般的に、動作において多くのステップを要し、特に、関節炎等の障害に苦しむ人たちのような病人にとっては作動させるのが困難になるため、典型的には、化学的に駆動されるエアロゾルと比較して不利である。また、大量の部材と、該部材を製造するための大量の材料とを必要とし、そのことが、エネルギコストを増加させ、製造コストを非常に高くしている。このことも同様に、消費者製品の低価格帯での利用に対してコストを高くしすぎている。さらに一般的には、缶内に袋がある、または缶内にピストンがある装置を含む加圧式の高圧ガス駆動エアロゾルシステムからの変更は、敬遠されている。
【0003】
いくつかの機械的に作動するエアロゾル装置は、まず、一定量の製品を得、その後一定期間にわたって該製品を所要量放出するための圧力を生成するパワーチャンバ内に移動させるステップを必要とする格納チャンバを組み込んでいる。そのような種類の装置は、エネルギ的に非効率であり、時間が経つにつれ、または使用期間によって劣化し、独特の材料構造、および現在では、フィンガポンプや化学的エアロゾルバルブを用いる望ましい多くの製品とともに使用するための動的性質のため、コストがかかりすぎる。缶内に袋がある装置は、化学的エアロゾル放出の特性をすべて備えていない複雑なシステムである。
【0004】
例えば、米国特許出願公開第4,387,833号明細書(特許文献1)および米国特許出願公開第4,423,829号明細書(特許文献2)は、上記の欠点のいくつかを呈している。
【0005】
Spatzによる米国特許出願公開第4,147,280号明細書(特許文献3)は、製品をスプレーとして放出するために、独自操作のための二重セパレートらせん状部およびカップを必要とする。Capra等による米国特許出願公開第4,167,041号明細書(特許文献4)、米国特許出願公開第4,174,052号明細書(特許文献5)、米国特許出願公開第4,174,055号明細書(特許文献6)および米国特許出願公開第4,222,500号明細書(特許文献7)、Hammet等による米国特許出願公開第4,872,595号明細書(特許文献8)、Hutcheson等による米国特許出願公開第5,183,185号明細書(特許文献9)、およびBlakeによる米国特許第6,708,852号明細書(特許文献10)はすべて、格納チャンバを必要とする。また、Blakeは、作動させるのに複数の動作を必要とする。
【0006】
その他、興味深いと思われる米国特許出願公開第4,423,829号明細書(特許文献11)および米国特許出願公開第4,387,833号明細書(特許文献12)を参照されたい。これらはすべて、現在の市場用途において高いレベルで大量生産した場合、商品の受入れおよび実現可能性に対する価格に欠点がある。
【0007】
上記の特許文献で示されているこうした装置に関する努力にもかかわらず、一般的な用途において、化学的に付勢されるディスペンサと同程度に、製品を放出する、使用がより便利で、より安く、コンパクトで機械的に付勢される持続性スプレー機構が依然必要とされている。具体的には、従来の化学的および機械的に付勢されるエアロゾルディスペンサに見られる欠点のない一回転で作動する持続性スプレーポンプ放出システムが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第4,387,833号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第4,423,829号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第4,147,280号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第4,167,041号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第4,174,052号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第4,174,055号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第4,222,500号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第4,872,595号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第5,183,185号明細書
【特許文献10】米国特許第6,708,852号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第4,423,829号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第4,387,833号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、さまざまな特徴の中でもとりわけ、その動作のために化学的高圧ガスに依存せず、従来の機械的に作動するエアロゾルディスペンサに用いられる装填チャンバ技術の必要性をなくし、従来の放出システムを作動させるのに必要な複数のステップを減らし、利便性において、化学的に付勢されるディスペンサシステムに近く、および/または従来のフィンガポンプおよびトリガー作動式ポンプと同程度のサイズを有する持続性スプレーディスペンサである。
【0010】
本発明の機械的に作動するディスペンサは、現時点でフィンガポンプを用いる製品のために、掴むことのできる部分を含むネックまたはネック仕上げを備え、その部材数は単一ストロークポンプと同程度である。また、該ディスペンサは、従来の機械的に付勢されるディスペンサよりも持続期間の長いスプレーを実現できる。
【0011】
本発明の持続性スプレーディスペンサは、製品を加圧して、それを放出する状態にするための、アクチュエータの回転または部分回転時に、該製品の持続性吐出を得るように、製品の容器に取り付けることができるパワーアセンブリを備えている。該パワーアセンブリは、該アクチュエータが回されると放出される製品に圧力をかけるためのさまざまなエネルギ蓄積装置、例えば、ばね、ガスまたは弾性体とともに用いることができる。
【0012】
該パワーアセンブリは、アクチュエータスリーブの回転が、ピストンを第1の方向で往復運動させて、製品を容器からポンプチャンバ内に引き込むために、該ピストンを有する駆動手段を介して接続された回転可能なアクチュエータスリーブを備えている。該ピストンの第1の方向での往復運動は、該ピストンに作用してそれを、第1の方向と逆の第2の方向に付勢し、該ポンプチャンバ内の該製品を加圧するエネルギ蓄積手段にエネルギを蓄積する。ステムバルブは、該ポンプチャンバからの製品の吐出を遮断するノーマルクローズ位置と、製品の吐出を可能にする開位置とを有している。往復動型アクチュエータは、該ステムバルブに接続されており、該アクチュエータが押し下げられると、該ステムバルブをその開位置に動かす。製品が該ポンプチャンバから減っていくにつれて、該エネルギ蓄積手段は、該ピストンを押して休止位置に戻し、別の吐出サイクルの準備をする。また、該駆動手段内に接続された脱進機構も、該アクチュエータの押し下げによって作動され、該ピストンの第2の方向での動きが該アクチュエータスリーブの動きを引き起こさないように、該駆動手段を外す。
【0013】
該駆動手段は、該アクチュエータスリーブの回転によって回転されるように接続されたクラッチディスクと、該クラッチディスクによって回転されるように、相互に係合する歯車の歯を介して該クラッチディスクと接続された打込みねじと、該打込みねじが回転すると往復運動するように接続されたピストンハウジングとを備えている。該ピストンは、シリンダカップ内での往復運動のためのピストンハウジングによって担持され、該シリンダカップは、該ポンプチャンバを画成している。
【0014】
該脱進機構は、該クラッチディスクと、該クラッチディスクと該打込みねじとの間の該相互に係合する歯車の歯と、該アクチュエータとを含む。該アクチュエータが押し下げられると、該アクチュエータは、該クラッチディスクを該打込みから離して往復運動させ、該歯車の歯から外す。
【0015】
該打込みねじとピストンハウジングとの間の相互に係合するらせん状ねじ山と、該ピストンハウジングの外部と該シリンダカップとの間の軸方向溝およびスプラインは、該アクチュエータスリーブが回転されると、該ピストンハウジングおよびピストンを、第1の休止位置から第2の位置へ往復運動させて、製品を該容器から該ポンプチャンバ内に引き込む。該ピストンのこの動作もまた、該ポンプチャンバ内に引き込まれた該製品に圧力をかけるエネルギを該エネルギ蓄積手段に蓄積する。本願明細書に記載されている具体的な実施例において、放出される該製品のフル装填は、該アクチュエータスリーブの約360°だけの回転によって、該ポンプチャンバ内に引き込むことができるが、必要に応じて、該システムは、該アクチュエータスリーブが、より小さな角度によって回転され、または、必要に応じてより大きな角度によって回転されると、放出される製品のフル装填を生起するよう設計することができる。さらに、該アクチュエータスリーブを、放出される製品のフル装填に満たない装填を生起するために、フル回転に満たない回転によって回転させることができる。
【0016】
そのエネルギ蓄積コンポーネントは、該ディスペンサの形態のばねと、この出願で開示されているその構成要素とを備えているが、それぞれ2007年2月6日および2008年7月14日に出願された本出願人による同時係属米国出願第11/702,734号明細書および同時係属米国出願第12/218,295号明細書に開示されているような空気圧または弾性のコンポーネントおよび方法を代替的に備えることができ、それらの開示内容全体は、参考として本開示で援用される。どちらのタイプのエネルギ蓄積装置が用いられても、該装置は、好ましくは、該ピストンが、その休止位置にあるときに、予め応力が加えられ、または、予め圧縮され、その結果、適切な圧力が該ポンプチャンバ内の製品にかかり、該ピストンが、その休止位置に、またはほぼ休止位置にあるときに、該製品の適切な吐出が生起される。
【0017】
本発明の機械的に作動する機構により、消費者はアクチュエータスリーブを一回転させ、スプレーアクチュエータを押し下げ、噴霧または吐出される製品の持続性吐出を生起することができる。また、製品が該ポンプチャンバ内に引き込まれた後、該ディスペンサは、該ディスペンサのどの方向にも製品を放出するように作動することができる。さらに、本願明細書に記載されている機構は、かなり小さなネック仕上げに用いることができ、また、ピストン径とシリンダ径の比は、かなり小さな力でのより容易な動作を可能にするように設定される。それらの力は、該ピストンが、その所定の経路に沿って動く際の、該打込みねじとピストンハウジングとの境界、及び該ピストンハウジングとシリンダカップとの間で受ける摩擦力のみで構成されている。
【0018】
本発明のディスペンサにおいて、該脱進機構は、他に放出サイクル中の該エネルギ蓄積手段の駆動力の影響下で、該ピストンの戻り運動によって生じる、該アクチュエータスリーブの「スピンバック」を回避する。
【0019】
これらの新たな機構は、標準的なスプレーアクチュエータ、または、例えば、米国特許第6,609,666号明細書および米国特許第6,543,703号明細書に示されているアクチュエータとともに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願明細書に記載されているディスペンサの正面立面図である。
【
図2】製品を所要量放出する準備ができている圧縮装填位置にあるポンプおよびエネルギ蓄積装置を示す、
図1の線2−2に沿った、わずかに拡大した長手方向断面図である。
【
図3】
図2の機構のさらに拡大した部分断面図である。
【
図4】
図3と同様の拡大断面図であり、アクチュエータが押し下げられ、および製品を所要量放出するためにステムバルブが開かれ、ピストンが、その休止位置に戻っている状態の機構を示す。
【
図5】アクチュエータスリーブの回転時に、アクチュエータソケットを回転させる、アクチュエータスリーブとアクチュエータソケットとの間の部材の係合を示す、
図4の線5−5に沿った部分拡大断面図である。
【
図7】
図1〜
図5のアセンブリに用いられる容器キャップの側面立面図である。
【
図11】
図1〜
図5の機構に用いられるピストンシリンダカップの側面立面図である。
【
図13】
図11の矢印13の方向で見た、ピストンシリンダカップの端面図である。
【
図14】本願明細書に記載されている機構に用いられているピストンハウジングの側面立面図である。
【
図15】
図14の矢印15の方向で見た、ピストンハウジングの端面図である。
【
図17】本発明の機構に用いられる打込ねじの側面立面図である。
【
図18】
図17の矢印18の方向で見た、打込ねじの端面図である。
【
図19】
図17の矢印19の方向で見た、打込ねじの端面図である。
【
図20】
図17の線20−20に沿った長手方向断面図である。
【
図22】本発明の機構に用いられるピストンの拡大側面立面図である。
【
図25】本発明の機構に用いられるステムバルブの側面立面図である。
【
図26】
図25の矢印26の方向で見た、ステムバルブの端面図である。
【
図31】本発明の機構に用いられるアクチュエータスリーブの側面立面図である。
【
図32】
図31の矢印32の方向で見た、アクチュエータスリーブの端面図である。
【
図34】アクチュエータスリーブの上部後方等角図である。
【
図35】アクチュエータスリーブの拡大底部等角図である。
【
図36】本発明の機構に用いられるアクチュエータソケットの側面立面図である。
【
図37】
図35の矢印36の方向で見た、アクチュエータソケットの端面図である。
【
図40】アクチュエータソケットの拡大した上部等角図である。
【
図41】本発明の脱進機構に用いられるクラッチディスクの側面立面図である。
【
図42】
図41の線42−42に沿った長手方向断面図である。
【
図45】本発明の機構に用いられるアクチュエータの側面立面図である。
【
図48】図示の実施形態において、アクチュエータスリーブが回転されて、製品がポンプチャンバ内に吸引され、エネルギ蓄積装置にエネルギが蓄積される、すなわち、ぜんまいばねが圧縮される前の静止時の機構の長手方向部分断面図である。
【
図49】アクチュエータスリーブが約8分の1回転、部分的に回されている状態の機構の部分断面図である。
【
図50】アクチュエータスリーブが約4分の1回転回されている状態の機構の部分断面図である。
【
図51】アクチュエータスリーブが約8分の3回転回されている状態の機構の部分断面図である。
【
図52】アクチュエータスリーブが約半回転回されている状態の機構の部分断面図である。
【
図53】フル装填されて、製品を放出する準備ができている状態の機構の部分断面図である。
【
図54】アクチュエータが部分的に押し下げられてクラッチが外されているが、ステムバルブは依然として密閉位置にある状態を示す、
図53の機構の拡大した部分断面図である。
【
図55】アクチュエータが完全に押し下げられて、ステムバルブが非密閉位置に移動して、その結果、製品がポンプチャンバから吐出ノズルを介して外部へ流れることができる状態の機構の拡大した部分断面図である。
【
図56】製品が圧力チャンバから出て、ピストンが、その休止位置に戻り、クラッチが外れている間に、ステムバルブが再び密閉位置に戻っている状態の機構の拡大した部分断面図である。
【
図57】アクチュエータ、ピストン、およびステムバルブがすべて休止位置に戻り、駆動歯車が再び係合して、別の放出サイクルの準備ができている状態の機構の拡大した部分断面図である。
【
図58】アクチュエータスリーブが、外側被覆クッション式スリーブを有し、容器の上端部を越える距離だけ下方に延びている、本開示による変更されたディスペンサの正面立面図である。
【
図59】
図58の線59−59に沿った長手方向断面図である。
【
図60】製品を放出する準備ができているフル装填位置のシステムを示す、
図58および
図59のディスペンサの拡大した部分断面図である。
【
図61】
図60と同様の図であり、ポンプチャンバからの製品の吐出を可能にする、アクチュエータが押し下げられ、ステムバルブが開いている状態、およびその休止位置に戻っているピストンを示す図である。
【
図62】アクチュエータスリーブとアクチュエータソケットとの間に係合する部材を示す、
図61の線62−62に沿った、拡大した部分断面図である。
【
図64】
図58〜
図62のアセンブリに用いられる変更されたアクチュエータスリーブの側面立面図である。
【
図65】アクチュエータスリーブの後方立面図である。
【
図66】アクチュエータスリーブの上方後部等角図である。
【
図68】
図64の矢印68の方向で見た、アクチュエータスリーブの底部端面図である。
【
図70】
図58〜
図62のアセンブリに用いられるアクチュエータソケットの側面立面図である。
【
図71】
図70の矢印71の方向で見た、アクチュエータソケットの上部端面図である。
【
図72】
図71の線72−72に沿った長手方向断面図である。
【
図73】
図71の線73−73に沿った長手方向断面図である。
【
図74】アクチュエータソケットの上部等角図である。
【
図75】アクチュエータソケットの底部等角図である。
【
図82】本発明の実施形態の
図58〜
図62で用いられるシリンダキャップの側面立面図である。
【
図83】
図82の線83−83に沿った長手方向断面図である。
【
図86】本願明細書に記載されているどのような形態でも用いることができる打込みねじの代替的形態の上部等角図である。
【
図88】
図87の線88−88に沿った長手方向断面図である。
【
図89】製品をポンプチャンバ内に引き込むように作動する前の休止位置で示す、
図86の変更された打込みねじを組み込んだ機構の構成の拡大した長手方向部分断面図である。
【
図90】
図89と同様の図であり、部分的に回されたアクチュエータスリーブと、ピストンハウジングと、製品をポンプチャンバ内に引き込むために、その休止位置から部分的に動かされたピストンとを示す図である。
【
図91】
図90と同様の図であり、約4分の1回転回されたアクチュエータスリーブと、ピストンハウジングと、製品をポンプチャンバ内に引き込む方向にさらに動かされたピストンとを示す図である。
【
図92】
図91と同様の図であり、約8分の3回転回されたアクチュエータスリーブを示す図である。
【
図93】
図92と同様の図であり、ほぼ半回転回されたアクチュエータスリーブと、ほぼフル装填されたポンプチャンバとを示す図である。
【
図94】
図48と同様の長手方向断面図であり、フル装填され、および製品を放出する準備ができている位置にある機構を示す図である。
【
図95】
図94と同様の図であり、打込みねじから外すために、クラッチディスクを動かすように部分的に押し下げられたアクチュエータを示す図である。
【
図96】
図95と同様の図であり、付勢ばねがピストンを動かして、製品をポンプチャンバから放出するようステムバルブを開くために完全に押し下げられたアクチュエータを示す図である。
【
図97】
図96と同様の図であり、アクチュエータが、ステムバルブを十分に閉じるように、その休止位置に戻されているが、クラッチディスクは、打込みねじから外されたままの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の上記の目的ならびに他の目的は、いくつかの図面にわたって、同様の参照符号が同様の部材を示している添付図面とともに解釈すれば、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0022】
本発明の第一の好適な実施形態は、
図1〜
図57において、全体として符号10で示されている。この実施形態において、ポンプ機構12およびアクチュエータ機構13を備えるパワーアセンブリ11は、製品を加圧して容器Cから放出するため、該容器の上端部に取り付けられている。
【0023】
ポンプ機構12は、容器Cの上端部に固着されている容器キャップ60に取り付けられたシリンダカップ50の下方端部内のポンプチャンバ40内での該ピストンの往復運動のための円筒形ピストンハウジング30によって担持された管状ピストン20を備えている。シリンダカップ50の底端部は、浸漬管151からの製品の流出と、該ポンプチャンバ内への該製品の流入を可能にするが、該ポンプチャンバから該浸漬管への逆流は防止するために、該浸漬管151に接続された一方向ボール逆止弁150を収容している。
【0024】
図3〜
図5と
図7〜
図13から最も良く分かるように、ピストンハウジング30の上端部は、容器キャップ60上の第1の環状壁部62の内側縁から上方に延びている第1の円筒形壁部61内に摺動可能に収容され、円筒形カップ50の上端部は、管状壁部62の外側縁から垂下する第2の円筒形壁部63にねじ込まれている。垂直方向にオフセットされ、および第1の環状壁部から径方向外側に離間された第2の環状壁部65の外側縁から垂下する第3の円筒形壁部64は、該容器キャップを該容器に固定するために、該容器の上端部にねじ込まれている。第1の円筒形壁部61の上端部における、径方向内側に曲げられたフランジ66は、該ピストンハウジングを該容器キャップに組付けて保持するように、該ピストンハウジングの上端部の上で内側に延びており、また、アクチュエータスリーブ保持フランジ67は、後述するように、アクチュエータスリーブを該容器キャップに組付けて保持するために、該アクチュエータスリーブ上の戻り止めに係合するための垂下円筒形壁部64上で、該容器キャップの上部から外側に延びている。外側スカート68は、垂下壁部64に関して外側に離間されて環状壁部65の外縁部から垂下している。該スカートの外側面は、該容器の外側面と実質的に同一平面上にあり、滑らかな外側仕上げを該ディスペンサにもたらしている。製品が該容器から減っていく際に該容器を通気させるため、該容器キャップの第2の環状壁部65と、該容器の上端部との間に通気ガスケット160が係合されている。
【0025】
該ピストンハウジングとピストンは、該ピストンハウジング内に同軸に延びている打込みねじ70によって往復運動するようになっている。
図18〜
図21から最も良く分かるように、該打込みねじは、そこを貫通して軸方向に延びている穴71と、その上端部で径方向外側に延びている管状フランジ72の下面に歯車の歯73から成るリングを備えた該フランジとを有している。弁座管74は、穴71の上端部において、該打込みねじの上端部から上方へ延び、また、円筒形壁部75は、該弁座管に関して同軸に上方へ延びている。フランジ72の下の該打込みねじの上端部の外側のらせん状ねじ山76は、該ピストンハウジングのらせん状ねじ山31と係合され、また、シリンダカップ50の内面のスプライン51は、該ピストンハウジングの回転を制限するために、該ピストンハウジング上のフランジ33の外周部のノッチ32内に係合され、それにより、該打込みねじが回転すると、相互に係合したらせん状ねじ山は、該ピストンハウジングとピストンを第1の方向で往復運動させて該ポンプチャンバの容積を増大させ、製品をそれに引き込ませる。
【0026】
図3〜
図5と
図22〜
図24から最も良く分かるように、ピストン20は、そこを貫通する軸方向穴21と、該ピストンハウジングの下端部に固着された本体部22とを有している。該ピストンの細長い上端部23は、該打込みねじの穴71に延びており、打込みねじ穴71からピストン20を通る製品の漏れを防ぐため、穴71に摺動可能に密封されたその上端部に、外側に広がったシール24を有している。該ピストンの下端部の、広がったシールリング25は、該ピストンハウジングの下端部の下で外側に延び、ポンプチャンバ40の内面と摺動密封関係にある。
【0027】
ピストンハウジング30とピストン20が上方へ往復運動して、製品がポンプチャンバ40内に引き込まれると、該ピストンハウジング上のフランジ33と、該容器キャップ上の管状壁部62との間に係合された付勢ばね140が圧縮され、エネルギを蓄積し、該ピストンハウジングおよびピストンを戻り方向へ押し込んで、該ポンプチャンバ内の該製品に圧力をかける。
【0028】
ステムバルブ80は、
図3〜
図5と
図25〜
図30を見て最も良く分かるように、そこから垂下しているバルブ部材81を有し、その底端部の外側に広がったシール82が、該打込みねじ上の該弁座管74内に摺動可能に収容され、密閉されている。円筒形延長部83は、弁部材81と同軸関係で垂下し、該弁座管の周りで上方に延びている円筒形壁部75の内面に摺動可能に密封されたその下端部に、外側に広がったシール84を有している。シール82が弁座管74内に係合されている限り、ポンプチャンバ40からの製品の流出は遮断される。中心穴85および環状チャネル86は、後述するように、該ステムバルブをアクチュエータソケット100に固定するために、該ステムバルブの上端部に形成されている。該ステムバルブが開位置にあるとき、該打込みねじの穴から該ステムバルブを通る製品の流れを可能にするために、流路87が、該ステムバルブを貫通して、該中心穴と環状チャネルとの間に形成されている。広がったシール82が、弁座管74の長さの範囲内のどこかにある限り、該ステムバルブは閉位置にあり、そこを通る流れが防止されるが、広がったシール82が、該弁座管の内面の下に延びていれば、該バルブは開き、該ステムバルブを通る上方への流れが可能になる。
【0029】
アクチュエータ機構13は、回転可能なアクチュエータスリーブ90を回転させるためにアクチュエータソケット100に接続された該アクチュエータスリーブと、該打込みねじに解放可能に接続され、および該アクチュエータスリーブが回転すると、該打ち込みねじを回転させるために、該アクチュエータソケットにクラッチディスク120を固定する複数のラッチ123を有する該打ち込みねじに接続された該クラッチディスクと、該アクチュエータが少なくとも部分的に押し下げられると、該アクチュエータソケットと該クラッチディスクを往復運動させて、該クラッチディスクを該打込みねじから外すように、また、該アクチュエータが完全に押し下げられると、該ステムバルブを開くように該アクチュエータソケットに取り付けられたステムバルブ80を往復運動させるため、該アクチュエータソケットに取り付けられたアクチュエータ130とを備えている。
【0030】
アクチュエータスリーブ90は、
図3〜
図5と
図31〜
図35から最も良く分かるように、円形ベース92を備えた円筒形側壁91と、その上部に、アクチュエータ130がそこを介して収容される矩形状開口部94を有する上部93とを有している。直径方向で対向しているタブ95Aおよび95Bは、開口部94の両側において、該側壁の上端部から該ハウジング内に垂下し、また、そのベースの近傍の両側において、該ハウジングの内面の、近接して離間された平行なタブ96および97のペアは、概して垂直方向でタブ95Aおよび95Bと位置合わせされている、直径方向で対向しているスロット98Aおよび98Bを画成している。該円形ベースの内側の複数の円周方向に離間した戻り止め99は、該アクチュエータスリーブを該容器キャップ上に保持するために、容器キャップ60の上端部の環状フランジ67の外縁部の下に係合される。
【0031】
アクチュエータソケット100は、
図3〜
図5および
図36〜
図40から最も良く分かるように、径方向外側に広がる段状の環状フランジ102をその底端部に備えた直立円筒形側壁101を有している。短い円筒形壁部103は、フランジ102の外縁部から垂下し、また、その外周で離間した関係で該フランジのベースを貫通して形成された複数のスロット104が、クラッチディスク120上のラッチ123(
図41〜
図44)を受け容れクラッチディスクをアクチュエータソケットに係止する。壁部103上の径方向外側に形成された拡大部110は、壁部103の内部周辺に、以下で説明する該クラッチディスク上のリブ126を受け容れるための外周に離間したスロット111を形成している。該アクチュエータソケットのベースにおいて、壁部103の直径方向の両側から外側に突出しているタブ105Aおよび105Bは、該アクチュエータスリーブが回転すると、該アクチュエータソケットに回転を伝えるために、該アクチュエータスリーブのベースの内部で、スロット98Aおよび98Bに係合されている。側壁101の外側面のそれぞれ直径方向の両側に沿って上方に延びている、間隙を介して垂直方向に延びている平行フランジ106Aおよび106Bのペアは、チャネル107Aおよび107Bを画成しており、そのチャネル内には該アクチュエータスリーブが回転すると、該アクチュエータソケットに回転を伝えるために、該アクチュエータスリーブの内側上面のタブ95Aおよび95Bが収容される。壁101の上端部は、その中心から上方に延びている第1の円筒形ソケット109Aと、その第1のポストの横で上方に延びている第2のより小さな円筒形ソケット109Bとを有する端壁108によって閉じられている。ポスト112は、ソケット109Aと同軸に位置合わせされた壁108の中心から垂下し、また、円筒形壁部113は、ポスト112に対して外側に離間した同心関係で壁108から垂下している。放出サイクル中、製品が該アクチュエータソケットを通って流れるように、壁108を貫通して、ポスト112と壁113との間の空間に、複数の開口部114が形成されている。
【0032】
該アクチュエータを該アクチュエータソケットに保持するために、アクチュエータ130の垂下ポスト131,132は、それぞれソケット109Aおよび109Bに摩擦的に係合される。端壁108の中心から下方に延びているピン112は、ステムバルブ80の上端部の中心穴85に摩擦的に係合され、円筒形壁部113は、該ステムバルブを該アクチュエータソケットに対して保持するために、穴85を囲む環状チャネル86に摩擦的に係合される。
【0033】
クラッチディスク120は、
図3〜
図5と
図41〜
図44から最も良く分かるように、その内側縁から垂下している円筒形壁部122と、その外周部で間隙を介してその外側縁から上方に突出している複数のラッチ123とを有する環状壁部121を備えている。該アクチュエータソケットが回転すると、該クラッチディスクへの回転伝達を支援するために、壁122の外側面の複数の長手方向に向けられて配置されたリブ126は、アクチュエータソケット100のスロット111に係合する。垂下円筒形壁部122は、容器キャップ60から上方に突出している第1の円筒形壁部61上で回転可能かつ軸方向に摺動可能であり、環状壁部121は、該打込みねじの環状フランジ72の下に位置し、該クラッチディスクの環状壁部121と、該容器キャップの第1の環状壁部62との間に係合されたアクチュエータ戻しばね125によって、打込みねじフランジ72の下面の歯車の歯73に係合するその上面に、歯車の歯124から成るリングを有している。
【0034】
アクチュエータ130のポスト131および132は、それぞれその中に、穴131Aおよび132Aを有している。穴131Aは、その内側端で、図示されていない機械的分解ユニット(mecahnical breakup unit:MBU)まで延びている流路133と連通しているが、穴132Aは、その内側端で、行き止まりになっている。
【0035】
製品をポンプチャンバ40内に引き込んで、それを後の放出のために加圧するパワーアセンブリ11の動作を
図48〜
図53に示す。
図48には、該ポンプチャンバの底部にピストン20があるその休止位置にある該機構が図示されている。アクチュエータスリーブ90が、
図49〜
図53に示すその作動可動域を介して回転するにつれて、アクチュエータソケット100、クラッチディスク120および打込みねじ70が回転し、ピストンハウジング30およびピストン20が上方へ引っ張られて、製品が浸漬管151を通ってボール弁150を通過して該ポンプチャンバに引き込まれる。また、該ピストンハウジングのこの動きは、付勢ばね140を圧縮し、それによって、該ポンプチャンバ内の該製品に圧力がかかる。該製品は、該ポンプチャンバの底部におけるボール弁150と、該打込みねじ穴の上部におけるステムバルブ80とによって、該ポンプチャンバ内と、該ピストンおよび打込みねじの穴とに閉じ込められる。
【0036】
該ポンプチャンバから該加圧された製品を送り出す該パワーアセンブリの動作を
図53〜
図57に示す。
図53において、該ピストンおよびピストンハウジングは、該ポンプチャンバがフル装填されている状態の位置にあり、また、アクチュエータ130は、その休止位置にある。
図54に示すように、まず、該アクチュエータが押し下げられると、アクチュエータソケット100、ステムバルブ80およびクラッチディスク120が下方へ移動され、該クラッチディスクの歯車の歯124が、該打込みねじの歯車の歯73から外れる。また、該クラッチディスクの下方への動きは、アクチュエータ戻しばね125を圧縮する。この間、弁座管74の長さのため、ステムバルブ部材81の底端部のシール82は、該弁座管内に摺動可能に係合したままで、該クラッチディスクが該アクチュエータソケットから外れるまで、該ポンプチャンバ内に製品を閉じ込め、該ピストンおよびピストンハウジングの動きを防ぎ、それによって、該ピストンおよびピストンハウジングが、それらの休止位置に向かって動いた場合に別に発生するであろう該打込みねじおよびアクチュエータスリーブの回転が防止される。
図55および
図56に示すように、アクチュエータ130のさらなる押し下げは、シール82を弁座管74から外して、ばね140によって、該ポンプチャンバからの該製品引き出を可能にする。このとき、該クラッチディスクが該打込みねじから外れるため、該ピストンおよびピストンハウジングの、休止位置への戻り動作は、該アクチュエータソケットおよびアクチュエータスリーブの回転を引き起こすことなく、該打込みねじの回転を引き起こすことが可能である。
【0037】
アクチュエータ130の解放時、アクチュエータ戻しばね125は、
図57に示すように、クラッチディスク120、アクチュエータソケット100およびアクチュエータ130を、休止位置に戻るよう促す。これにより、ステムバルブ80のシール82が、まず、弁座管74に入って、製品の該ディスペンサからのさらなる流出を防ぎ、その後、歯車の歯73と歯124が再び係合して、該機構にさらなる放出サイクルの準備をさせる。該ポンプチャンバからの製品の放出は、単一の動作で実行することができ、または、該ポンプチャンバが空になるまで、複数のステップで実行することができる。
図57は、その休止位置に戻って、上述したように、別の放出の準備ができている該パワーアセンブリを示す。
【0038】
変更したディスペンサアセンブリ200を
図58〜
図85に示す。この実施形態は、そのアクチュエータスリーブ、アクチュエータソケット、アクチュエータおよびシリンダキャップの構造に、および該アクチュエータスリーブが回転したときに、該アクチュエータソケットの回転を引き起こすための、該アクチュエータスリーブとアクチュエータソケットとの間に係合される構造に、1つ以上の違いがあることを除いて、前述の実施形態と実質的に同様に構成され機能する。ピストン20、円筒形ピストンハウジング30、ポンプチャンバ40、シリンダカップ50、クラッチディスク120、アクチュエータ戻しばね125、付勢ばね140、一方向ボール逆止弁150および浸漬管151を含む該アセンブリの他のすべてのコンポーネントは、前述の実施形態の同じ部材と同様に、または実質的に同様に構成され、同じように機能する。
【0039】
ディスペンサアセンブリ200において、アクチュエータスリーブ201は、第一の実施形態におけるアクチュエータスリーブ90と比較して細長く、その底端部において、容器Cの外部で下方に向かってかなりの距離にわたって延びている。比較的軟らかい材料から成る外側スリーブ202は、該アクチュエータスリーブの中央外側部に配置され、および該アクチュエータスリーブを掴んでそれを回すことを容易にするために、その直径方向両側に、わずかに凹んだ掴み領域203および204を有している。好適な構造において、該スリーブは、該アクチュエータスリーブに外側被覆されている。このスリーブは、必要に応じて省いてもよい。
【0040】
図58〜
図69から最も良く分かるように、該アクチュエータスリーブは、該容器の側壁の上端部に近接して回転可能に収容される円形ベースを備えた側壁205を有している。該側壁は、該側壁の長い部分が容器Cの前部に向けて配置される状態で、角度の付いた下方端部206で終端している。該側壁の上端部208は、卵形の水平方向断面を有し、その上部に、(後述する)アクチュエータがそこを介して収容される長方形開口部209を有している。壁部210および211は、開口部209の両側から下方へ延び、短いタブ212および213は、壁部210および211の底縁部の中心から下方へ突出している。補強ウェブ214は、壁部210,211と、ハウジング側壁205の隣接する上端部との間に延びている。近接離間されて長手方向に延びている平行リブ215および216は、該ハウジングの内側上面において、タブ212および213の真下のその両側にあり、およびそれらのタブと概して垂直方向で位置合わせされ、垂直方向に延びる細長いスロット217および218を画成し、また、複数の円周方向に離間されている戻り止め219が、リブ215および216の下のわずかな距離だけ離れて、およびそれらのリブから円周方向にオフセットされて、ハウジング側壁205の内側にある。
【0041】
この実施形態におけるアクチュエータソケット220は、
図59〜
図63と
図70〜
図75から最も良く分かるように、端壁108から上方に延びている円筒形ソケット221および222が、第一の実施形態におけるソケット109Aおよび109Bと比較して高さが低いことを除いて、前述した実施形態におけるアクチュエータソケット100と同じものである。アクチュエータソケット220の他のすべての部材は、前述の実施形態と同じであり、同じように機能し、また、それらの部材には、前述の実施形態における対応する部材と同じ参照数字が付けられている。したがって、フランジ102のベースを貫通して形成された複数のスロット104は、クラッチディスク120を該アクチュエータソケットに固定するために、該クラッチディスクのラッチ123を受け容れる。該アクチュエータソケットのベースにおいて、壁部103の直径方向両側から外側に突出しているタブ105Aおよび105Bは、該アクチュエータスリーブの側壁の内部でスロット217および218に係合し、また、タブ212および213は、該アクチュエータスリーブが回転すると、該アクチュエータソケットに回転を伝えるために、側壁205の外側面のそれぞれ直径方向両側に沿って上方に延びている、垂直方向に延びる平行フランジ106Aおよび106Bの間に画成されたチャネル107Aおよび107B内に延びている。ピン112は、端壁108の中心から下方へ延び、また、円筒形保持壁部113は、前述した実施形態と全く同様に、ステムバルブ80との協働のために、ピン112に対して同心関係で下方に延びている。したがって、ピン112は、ステムバルブ80の上端部において、中心穴85に摩擦的に係合し、保持壁部113は、該ステムバルブを該アクチュエータソケットに対して保持するために、穴85を囲む環状チャネル86内に摩擦的に係合される。
【0042】
この実施形態におけるアクチュエータ230は、前述の実施形態におけるアクチュエータ130と実質的に同様に構成されている。該アクチュエータは、本質的に、アクチュエータ230の垂下ポスト231,232が、前述の実施形態におけるポスト131および132よりもわずかに短いという点が異なっている。その他の点では、アクチュエータ230は、前述のアクチュエータ130と同様に機能する。したがって、ポスト231および232は、該アクチュエータを該アクチュエータソケットに対して保持するために、アクチュエータソケット220内で、それぞれ、ソケット221および222に摩擦的に係合される。
【0043】
該アセンブリ全体は、外側に垂下する円筒形壁部68が省かれているという点だけ、前述の容器キャップ60と異なる、変更された容器キャップ240によって容器Cに対して保持される。他の全ての点において、容器キャップ240は、前述の容器キャップと同様に構成され、同様に機能し、対応する部材には、同じ参照数字が付けられている。
【0044】
本発明による変更されたパワーアセンブリを
図86〜
図97に示す。本発明のこの構成は、板ばね部材300,301が打込みねじ70’の環状フランジ72’の上部に一体形成されていることを除いて、上述した
図1〜
図57に示す本発明の第1の構成と同様に構成され、同様に機能する。それらの板ばね部材は、クラッチディスク120とアクチュエータソケット100との間で作用し、および該アクチュエータソケット、クラッチディスクおよびアクチュエータ130を、それらの上方の休止位置へ動かすためのアクチュエータ戻しばねとして機能する。板ばね部材300,301は、図に示すように、戻しばね125とともに用いることができ、本願明細書に開示した最初の2つの実施形態に用いてもよく、または、単独で用いてもよく、戻しばね125は省いてもよい(図示せず)。
【0045】
上で述べたように、
図89は、アクチュエータ130およびピストン20が、休止位置にあり、打込みねじ70’のフランジ72’の下面の歯車の歯73が、クラッチディスク120の環状壁部121の上部の歯車の歯124に係合し、ステムバルブ80が、閉位置にある状態の該機構を示す。
【0046】
図91〜
図93は、前述したのと同じ方法で、該クラッチディスクおよび打込みねじを回転させてピストン20を上昇させ、ポンプチャンバ40を増大させて製品をその中に引き込むための回転のさまざまな段階における該アクチュエータスリーブを示す。また、該ピストンのこの動きは、付勢ばね140を圧縮して、ピストンハウジング30のフランジ33に抗して、ポンプチャンバ40内の該製品に圧力をかける方向に該ピストンを動かすように作用するエネルギを蓄積する。
【0047】
図94は、アクチュエータ130が、その上昇した休止位置にあり、ピストン20が、ポンプチャンバ40を増大させて、その中に製品のフル装填を引き込むように動き、および付勢ばね140が、該ポンプチャンバ内の該製品に圧力をかける方向に該ピストンハウジングを圧縮して付勢する状態の、フル装填されて、放出サイクルの準備ができている該機構を示す。
【0048】
図95は、該クラッチディスクの歯車の歯124を、該打込みねじの歯車の歯73から外すように部分的に押し下げられたアクチュエータ130と、閉位置にあるままのステムバルブ82とを示す。
【0049】
図96は、付勢ばね140がピストン20を動かして、ポンプチャンバ40から製品を放出するように、ステムバルブ82を開くために完全に押し下げられたアクチュエータ130を示す。該機構のこの状態において、該クラッチディスクは、該打込みねじから外れたままである。
【0050】
図97において、該ピストンは、ポンプチャンバ40から全ての製品を送り出して、休止位置に戻っている。この図に示すように、アクチュエータ戻しばね125および300,301が圧縮された状態で、該アクチュエータは、完全に押し下げられたままであり、ステムバルブ82は、開位置のままであり、該クラッチディスクは、該打込みねじから外れたままである。該アクチュエータが、休止位置に戻ることができるように解放されると、該アクチュエータ戻しばねは、該クラッチディスクは、該打込みねじから外れたままであるが、該ステムバルブを十分に閉じるよう、まず該クラッチディスクおよびそれに伴って該アクチュエータソケットおよびステムバルブを動かす。該ステムバルブのこの早めの閉止は、該ポンプチャンバからの製品の漏れを防ぎ、該クラッチディスクと打込みねじが再び係合される前に、該ピストンが、休止位置の方へ移動するのを防止し、それによって、該アクチュエータスリーブが、休止位置への戻り動作中に、該ピストンによって回転させられないようにする。該アクチュエータの完全な解放により、該打込みねじが該クラッチディスクに再び係合可能になる。
【0051】
本開示の全ての実施形態に用いられている共通のポンプ機構は、デザイン的に左向きまたは右向きのどちらでも可能である、該アクチュエータスリーブの一回転または部分回転のみを要する。該アクチュエータスリーブの回転は、該ピストンを、該ポンプシリンダ内で上方へ移動させて、製品を該ポンプチャンバ内に引き込むとともに、該エネルギ蓄積手段にエネルギを蓄積させる。重要なのは該ステムバルブを開いて、該ポンプチャンバから製品を放出するための該アクチュエータの押し下げも、該ピストンが該アクチュエータスリーブの回転を引き起こすことなく、休止位置に戻ることができるように、該ピストンと該アクチュエータスリーブとの間で該駆動手段を引き離すことである。
【0052】
本願明細書に図示および記載されているようなばね機構、または、本出願人による同時係属中の米国特許出願第11/702,734号明細書に図示および記載されている空気圧機構または弾性機構を含むいくつかの異なる種類のエネルギ蓄積手段のうちのいずれか1つを、上記共通のポンプ機構に適応させることができ、それらの開示内容全体は参考として本願明細書で援用される。それぞれが、同じ結果を生じさせるであろうが、異なるエネルギ蓄積手段を用いることができるようにすることにより、いくつかの機能的利点が得られる。例えば、さまざまな粘性の製品に適合させるのに望ましい、または必要な圧力および力の範囲により、異なるエネルギ蓄積手段を選択することができるであろう。
【0053】
空気圧エネルギ蓄積手段の場合、最初の静止圧力は、特定の要件に適合させるように容易に変えることができる。ばね仕掛けの装置の場合、付勢力を変更するために、新たなばねを供給しなければならない。また、該シリンダ穴およびピストンの直径に対する対応する変更も可能であろう。
【0054】
図から分かるように、一定の範囲内の製品のための完全に新しいシステムを設計および/または開発する必要なく、本願明細書に記載されているディスペンサシステムによってもたらされる柔軟性がかなりある。また、その送給機構を、従来の機械的に作動するポンプまたはトリガーとともに用いて、全体のコストを下げ、完全に新しいシステムを構成する必要性をなくしてもよい。提示した実施形態に関しては、通気が必要であるが、無気システムを採用してもよい。本開示から、従来のエアロゾルシステムに匹敵する利便性をもたらすことも理解される。本願明細書に記載されているディスペンサの場合、製品の短期間の噴出を得るためだけに、アクチュエータを繰り返し往復運動させて指の疲労を感じる必要性はない。本願明細書に記載されている実施形態は、現時点では手頃な価格で入手できない持続性噴霧および利便性をもたらす。
【0055】
図示されているように、上記の実施形態に関する多くの変更例および組合せを構成することができ、それらの実施形態は、当業者が容易に思い付くため、本開示を図示および上述されている構造およびプロセスに厳密に限定することは望ましくない。したがって、以下のクレームによって定義される本開示の範囲内にあるすべての適当な変更例および等価物に関する手段を講じてもよい。「備える」、「備えている」、「含む」および「含んでいる」という用語は、この明細書および以下のクレームにおいて用いる場合、所定の形状構成またはステップの存在を明記することが意図されているが、その他の1つ以上の形状構成、ステップまたはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。