特許第5873219号(P5873219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5873219情報処理装置、電子クーポン処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873219
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】情報処理装置、電子クーポン処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20160216BHJP
【FI】
   G06Q30/02 140
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-529948(P2015-529948)
(86)(22)【出願日】2013年8月30日
(86)【国際出願番号】JP2013073267
(87)【国際公開番号】WO2015029207
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2015年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 聡
(72)【発明者】
【氏名】板橋 慈
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−065109(JP,A)
【文献】 特開2003−108851(JP,A)
【文献】 特開2010−049347(JP,A)
【文献】 特開2006−235962(JP,A)
【文献】 特開2013−030159(JP,A)
【文献】 特開2002−239212(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0173372(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0054993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別番号ごとに電子クーポンの配布数および利用数を記憶するクーポン管理テーブルと、前記電子クーポンの識別番号ごとに所定の商品の購入に対して与えられる特典と前記特典を更新する複数の更新ルールとを記憶するクーポン設定テーブルとを有する記憶部と、
ユーザ端末からの要求に応じて前記電子クーポンを前記ユーザ端末に配布するクーポン配布部と、
所定の時間周期ごとに前記記憶部に記憶された前記配布数と前記利用数から前記電子クーポンの利用率を算出し、当該利用率をもとに前記記憶部に記憶された複数の更新ルールから1種類の更新ルールを前記時間周期ごとに前記特典に適用するクーポンメンテナンス部と
を具備し、
前記更新ルールは、前記利用率の初期の上限閾値および初期の下限閾値を含み、
前記クーポンメンテナンス部は、前記時間周期の経過に伴い、前記上限閾値が下がるように当該上限閾値の設定を変更し、前記下限閾値が上がるように当該下限閾値の設定を変更する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、
前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた閾値を下回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げる
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、
前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げる
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、
前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを下げる
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、
前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた第1の閾値を下回ったとき、および、前記算出された利用率が予め決められた第2の閾値(但し、第2の閾値>第1の閾値)を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げる
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が各々、前記利用率が算出される周期内の値であって、
前記クーポンメンテナンス部は、前記記憶部に記憶された前記配布数と前記利用数から前記周期毎の利用率を算出し、この利用率の1周期前の利用率に対する変化量を前記電子クーポンの利用率として算出し、当該利用率をもとに前記電子クーポンの前記特典を更新する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記クーポンメンテナンス部は、前記利用率の低下の変化量を算出し、この変化量が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げる
情報処理装置。
【請求項8】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記クーポンメンテナンス部は、前記利用率の増大の変化量を算出し、この変化量が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げる
情報処理装置。
【請求項9】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記クーポンメンテナンス部は、前記利用率の増大の変化量を算出し、この変化量が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを下げる
情報処理装置。
【請求項10】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記クーポンメンテナンス部は、前記周期内の配布数が予め決められた配布数閾値に達しているかどうかによって前記変化量の閾値を可変し、前記周期内の配布数が前記配布数閾値に達しているときの前記変化量の閾値を、前記周期内の配布数が前記配布数閾値に達していないとの前記変化量の閾値よりも高く設定する
情報処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記クーポンメンテナンス部は、前記電子クーポンの前記特典を更新するとともに当該電子クーポンの利用条件を更新する
情報処理装置。
【請求項12】
識別番号ごとに電子クーポンの配布数および利用数を記憶するクーポン管理テーブルと、前記電子クーポンの識別番号ごとに所定の商品の購入に対して与えられる特典と前記特典を更新する複数の更新ルールとを記憶するクーポン設定テーブルとを記憶部に記憶させ、
ユーザ端末からの要求に応じて前記電子クーポンを前記ユーザ端末に配布し、
所定の時間周期ごとに前記記憶部に記憶された前記配布数と前記利用数から前記電子クーポンの利用率を算出し、当該利用率をもとに前記記憶部に記憶された複数の更新ルールから1種類の更新ルールを前記時間周期ごとに前記特典に適用し、
前記更新ルールは、前記利用率の初期の上限閾値および初期の下限閾値を含み、
前記時間周期の経過に伴い、前記上限閾値が下がるように当該上限閾値の設定を変更し、前記下限閾値が上がるように当該下限閾値の設定を変更する
電子クーポン処理方法。
【請求項13】
識別番号ごとに電子クーポンの配布数および利用数を記憶するクーポン管理テーブルと、前記電子クーポンの識別番号ごとに所定の商品の購入に対して与えられる特典と前記特典を更新する複数の更新ルールとを記憶するクーポン設定テーブルとを有する記憶部と、
ユーザ端末からの要求に応じて前記電子クーポンを前記ユーザ端末に配布するクーポン配布部と、
所定の時間周期ごとに前記記憶部に記憶された前記配布数と前記利用数から前記電子クーポンの利用率を算出し、当該利用率をもとに前記記憶部に記憶された複数の更新ルールから1種類の更新ルールを前記時間周期ごとに前記特典に適用するクーポンメンテナンス部
としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記更新ルールは、前記利用率の初期の上限閾値および初期の下限閾値を含み、
前記クーポンメンテナンス部は、前記時間周期の経過に伴い、前記上限閾値が下がるように当該上限閾値の設定を変更し、前記下限閾値が上がるように当該下限閾値の設定を変更する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを用いた通信販売システムにおいて利用される情報処理装置、電子クーポン処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で配布され、ショップサイトからの商品を購入しようとする際に割引券として利用される電子クーポンとそのサービスが知られている。
【0003】
電子クーポンの処理方法として、電子クーポンの利用状況に応じて、その電子クーポンに付随するサービスの内容をクーポン単位で変えるというものがある。例えば、特許文献1では、電子クーポンの提携店舗で、その電子クーポンが利用したかどうかに応じて、その電子クーポンに付随するサービスの料金(駐車場料金)の割引率をクーポン単位で変える技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、ユーザがその電子クーポンを取得した時刻から利用した時刻までの経過時間に応じて、電子クーポンの割引率などの特典条件を段階的に変えたり、ユーザがその電子クーポンを利用した時刻から新たな電子クーポンの取得要求までの経過時間に応じて、その新たな電子クーポンの特典条件を段階的に変えたりすることが開示されている。要するに、この先行技術は、例えば、電子クーポンをよく使うユーザに対する電子クーポンの特典条件を個別に良くしたりするなど、ユーザ毎に上記の各経過時間に応じて電子クーポンの特典条件を変えるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−212308号公報
【特許文献2】特開2011−197882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子クーポンは、商取引の活性化による売上高の向上などを目的として採用される仕組みである。しかし、電子クーポンによる効果は、その電子クーポンに明示される割引率や利用条件など、電子クーポンに設定される実質的な特典の内容により大きく左右されたりするものの、これまで、例えば、最適な特典をどのように設定すればよいかといった、踏み込んだ検討は十分されてこなかった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、電子クーポンの仕組みとして、より実用性に優れ、商取引の当事者双方のメリットを増大させることに寄与する情報処理装置、電子クーポン処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一形態に係る情報処理装置は、所定の商品の購入に対してユーザに与えられる特典が明示された電子クーポンの配布数および利用数を記憶する記憶部と、ユーザ端末からの要求に応じて前記電子クーポンを前記ユーザ端末に配布するクーポン配布部と、前記記憶部に記憶された前記配布数と前記利用数から前記電子クーポンの利用率に関する情報を算出し、この情報をもとに前記電子クーポンの前記特典を更新するクーポンメンテナンス部とを具備する。
【0009】
上記の情報処理装置において、前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた閾値を下回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げるものであってよい。
【0010】
上記の情報処理装置において、前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げるものであってよい。
【0011】
上記の情報処理装置において、前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた閾値を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを下げるものであってよい。
【0012】
上記の情報処理装置において、前記記憶部に記憶される前記配布数および前記利用数が前記電子クーポンの配布開始からの累計的な値であり、前記クーポンメンテナンス部は、前記算出された利用率が予め決められた第1の閾値を下回ったとき、および、前記算出された利用率が予め決められた第2の閾値(但し、第2の閾値>第1の閾値)を上回ったとき、前記電子クーポンの前記特典のレベルを上げるものであってよい。
【0013】
上記の情報処理装置において、前記クーポンメンテナンス部は、少なくとも、前記電子クーポンの配布開始からの累計の配布数が予め決められた閾値に達していない期間、前記第1の閾値を所定量高い値に変更し、前記第2の閾値を所定量低い値に変更するものであってよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子クーポンの仕組みとして、より実用性に優れ、商取引の当事者双方のメリットを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る通信販売システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】販売管理サーバ10の特に電子クーポンに関する処理のための機能的な構成を示すブロック図である。
図3】クーポン基本テーブル113の構成を示す図である。
図4】クーポン利用状況管理テーブル115の構成を示す図である。
図5】クーポン設定/更新ルール111における更新ルールの構成を示す図である。
図6】電子クーポン配布用のウェブページ60の例を示す図である。
図7】ユーザ端末20に表示される商品販売用のウェブページ70の例を示す図である。
図8】商品の購入のための手続き画画の中の1つであるクーポン利用確認ページ80の例を示す図である。
図9】クーポンメンテナンス部127による電子クーポンのメンテナンス処理のフローチャートである。
図10】更新ルールAが適用された電子クーポンの利用率の推移を示す図である。
図11図10と同じく更新ルールAが適用された電子クーポンの利用率の別の推移を示す図である。
図12】更新ルールBが適用された電子クーポンの利用率の別の推移を示す図である。
図13】変形例1による電子クーポンの利用率の推移と閾値の変化の例を示す図である。
図14】第2の実施形態において、電子クーポンの所定の周期期間毎の利用率とその変化量の推移を示す図である。
図15】第2の実施形態において用いられるクーポン利用状況管理テーブル115Aの構成を示す図である。
図16】販売管理サーバ10のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
なお、ここでは、本発明を、インターネットを利用して商品を販売する通信販売システムに適用した場合について説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
[1.通信販売システムの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信販売システムの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、通信販売システム1は、販売管理サーバ10、ユーザ端末20、ショップ端末30、およびデータベース40を含む。販売管理サーバ10は、通信ネットワーク2を介して、ユーザ端末20及びショップ端末30と接続可能とされている。
【0018】
販売管理サーバ10は、ショップ端末30より提供された商品の紹介、商品の購入など、商品の通信販売に関するサービスをウェブ上で提供するための各種処理を行う。また、販売管理サーバ10は、少なくとも一部の商品の通信販売において電子クーポンを利用した割引きなどのサービスの処理を行う。すなわち、販売管理サーバ10は、ショップ端末30のユーザからの依頼に応じて電子クーポンの設定を行う電子クーポン設定処理、設定された電子クーポンをウェブページを通じてユーザに配布する電子クーポン配布処理、商品の購入に際して電子クーポンに定義された特典を決済などに反映させる電子クーポン特典処理などを行うことが可能である。これら電子クーポンに関する処理については後で詳細を説明する。
【0019】
販売管理サーバ10は、例えば、サーバ用のコンピュータなどのハードウェア要素と、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、その他のデータなどのソフトウェア要素とで実現される。
【0020】
ユーザ端末20は、販売管理サーバ10に通信ネットワーク2を通じて接続し、商品に関するウェブページの閲覧、商品の購入などの要求を送信し、これらの要求に対する販売管理サーバ10からの応答を受け取る。また、ユーザ端末20は、販売管理サーバ10に対して電子クーポンの獲得を販売管理サーバ10に要求したり、商品の購入に際し、電子クーポンの利用を販売管理サーバ10に要求したりすることが可能である。
【0021】
ショップ端末30は、販売管理サーバ10に通信ネットワーク2を通じて接続し、販売する商品に関する情報の販売管理サーバ10へのアップロードや、電子クーポンの設定のための販売管理サーバ10への各種要求の送信などに利用される。
【0022】
ユーザ端末20およびショップ端末30は、具体的には、携帯電話機(スマートフォンを含む)、携帯情報端末(タブレット型コンピュータを含む)、又はパーソナルコンピュータなどである。
【0023】
なお、販売管理サーバ10、ユーザ端末20およびショップ端末30の具体的なハードウェア構成については後で説明する。
【0024】
販売管理サーバ10はデータベース40にアクセス可能である。データベース40には、商品の通信販売のための処理および電子クーポンに関する処理のために必要な各種のデータが蓄積される。すなわち、販売管理サーバ10は、データベース40にアクセスして、データベース40への各種のデータの格納、更新、検索、消去などの各種の操作を行うことが可能である。データベース40に記憶されるデータについては後で説明する。
【0025】
なお、データベース40は、販売管理サーバ10に構築されていてもよいし、販売管理サーバ10とは別のサーバに構築されていてもよい。本実施形態では、販売管理サーバ10の内部に構築されたデータベース40を販売管理サーバ10からアクセスするような構成を想定する。
【0026】
[2.販売管理サーバ10の機能的な構成]
次に、販売管理サーバ10の機能的な構成について説明する。
図2は、販売管理サーバ10の特に電子クーポンに関する処理のための機能的な構成を示すブロック図である。なお、販売管理サーバ10の機能的な構成とは、販売管理サーバ10のCPUがメインメモリに格納されたプログラムを実行することによってコンピュータハードウェア上で実現される構成のことを言う。
【0027】
同図に示すように、販売管理サーバ10は、データベース部11と処理部12とを有する。
データベース部11は、例えばRAM(Random Access Memory)、ストレージデバイスなど、データを記憶可能なデバイスを用いて構成される。
【0028】
データベース部11には、クーポン設定/更新ルール111、クーポン基本テーブル113、およびクーポン利用状況管理テーブル115が設けられる。
【0029】
クーポン設定/更新ルール111には、ショップ端末30のユーザからの要求により電子クーポンを設定するための設定ルールと、電子クーポンの特典および利用条件を電子クーポンの利用状況などに応じて更新するための更新ルールが保存される。更新ルールについては後で説明する。
【0030】
クーポン基本テーブル113には、配布中の電子クーポンに関する情報が登録されるテーブルである。ここで「配布中の電子クーポン」とは、既に電子クーポン配布用のウェブページにユーザがユーザ端末20からアクセスして、獲得できる状態に置かれた電子クーポンのことである。
【0031】
図3は、クーポン基本テーブル113の構成を示す図である。
クーポン基本テーブル113のレコードは、少なくとも、電子クーポンのID(クーポンID)、ショップID、商品ID、特典、利用条件などで構成される。
【0032】
クーポンIDは、各々の電子クーポンに割り当てられる識別番号である。
ショップIDは、ショップを識別する情報である。
商品IDは、商品を識別するための情報である。
特典は、電子クーポンを利用した商品の購入時にユーザに与えられる利点であり、具体的には、例えば商品の単価に対する割引率、割引額などである。
利用条件は、電子クーポンを利用した商品の購入の際にユーザに課せられる条件である。利用条件は、例えば電子クーポンを利用できる有効期間、決済方法、最低購入数など、様々であり、同時に複数の利用条件が1つの電子クーポンに与えられることもある。
【0033】
図2の説明に戻る。
クーポン利用状況管理テーブル115は、各々の電子クーポンの利用状況を管理するための情報が登録されるテーブルである。
【0034】
図4はクーポン利用状況管理テーブル115の構成を示す図である。
クーポン利用状況管理テーブル115のレコードは、クーポンID、配布数、利用数、ルールIDなどで構成される。
【0035】
クーポンIDは、クーポン基本テーブル113に登録されるクーポンIDと同じである。
配布数は、電子クーポンの累積の配布数である。
利用数は、電子クーポンの累積の利用数である。なお、累積とは、電子クーポンの配布開始から現時点までのトータル数を意味する。
利用数の値を配布数の値によって割ることによって利用率の値が得られる。
ルールIDは、当該クーポンIDに適用された更新ルールの識別情報である。
【0036】
図5は、クーポン設定/更新ルール111における更新ルールの構成を示す図である。
更新ルールは、例えば、ルールID、利用率の閾値と、更新方法を示す情報などで構成される。
利用率の閾値は、利用率を評価するために用いられる。利用率の閾値は、更新ルールの種類によっては下限閾値のみであったり、下限閾値と上限閾値の両方であったりする。
更新方法を示す情報は、電子クーポンの利用率を上記の閾値をもとに評価することによって当該電子クーポンの特典や利用条件を更新することが判定された場合に、これら特典や利用条件をどのように更新するかといった情報である。例えば、「割引率を1%増やす」、「割引率を1%減らす」、「決済方法の制約を緩和する/無くす」、「購入数の制約を緩和する/無くす」といった情報で構成される。
【0037】
このような更新ルールは予め1種類以上用意されている。各々の更新ルールにはルールIDが割り当てられ、電子クーポンの設定時にショップ端末30のユーザによって適宜選択される。あるいは、予め決められた1種類の更新ルールが設定されるようにしてもよい。
【0038】
再び、図2の説明に戻る。
処理部12は、CPU、メインメモリ、ネットワーク接続デバイス、これらを動作させるオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、デバイス制御用のプログラムなどで構成される
【0039】
処理部12は、機能的な構成として、クーポン設定部121と、クーポン配布部123と、クーポン利用監視部125と、クーポンメンテナンス部127とを有する。
【0040】
クーポン設定部121は、ショップ端末30のユーザからの要求に応じて、商品に紐付ける電子クーポンに関する情報を、クーポン設定/更新ルール111に保存された設定ルールに従って設定する。設定された電子クーポンに関する情報は、クーポン基本テーブル113に新規のレコードとして登録される。すなわち、クーポン設定部121は、設定された電子クーポンに対してクーポンIDを割り当て、ショップID、商品ID、特典、利用条件などをクーポン基本テーブル113に新規のレコードとして登録する。ここで、商品ID、特典、利用条件は、電子クーポンの設定時に設定ルールに従ってショップ端末30のユーザによって設定された情報である。また、設定された電子クーポンはクーポン配布部123によって電子クーポン配布用のウェブページに掲載される。以後、ユーザ端末20のユーザからの電子クーポンの獲得要求に対して電子クーポンをそのユーザ端末に応答(配布)することが可能となる。
【0041】
また、クーポン設定部121は、電子クーポンのクーポンIDと、ルールIDをクーポン利用状況管理テーブル115に登録して新たなレコードを登録する。ここで、ルールIDはクーポン設定/更新ルール111に保存された設定ルールに従ってショップ端末30のユーザによって適宜指定された情報である。以降、この電子クーポンがクーポン利用監視部125による利用状況の管理対象となる。
【0042】
クーポン配布部123は、電子クーポン配布用のウェブページを介して、各ユーザ端末20のユーザからの電子クーポンの獲得要求に対して電子クーポンをダウンロードによって配布する処理を行う。クーポン配布部123は、電子クーポンの配布が発生する都度、クーポン利用状況管理テーブル115において該当するレコードの配布数の値をインクリメントする。
【0043】
クーポン利用監視部125は、商品の購入用のウェブページを通じて、商品の購入の際に電子クーポンが利用されたことを受けてクーポン利用状況管理テーブル115において該当するレコードの利用数の値をインクリメントする処理を行う。
【0044】
クーポンメンテナンス部127は、クーポン利用状況管理テーブル115を参照して各々のクーポンIDの利用率を算出し、算出された利用率と更新ルールをもとに、特典などを更新すべきクーポンIDを判定する。クーポンメンテナンス部127は、該当するクーポンIDを判定すると、クーポン基本テーブル113上の該当するレコードの特典および利用条件を更新ルールにおける更新方法に従って更新する処理を行う。
【0045】
[3.通信販売システムの動作]
(3−1.電子クーポンの配布)
次に、ショップで販売される商品をユーザが電子クーポンによる特典を受けて購入するまでの基本的な動作を説明する。
【0046】
まず、ユーザ端末20が販売管理サーバ10にアクセスして、電子クーポン配布用のウェブページをダウンロードして表示部に表示させる。
【0047】
図6は、電子クーポン配布用のウェブページ60の例を示す図である。
この電子クーポン配布用のウェブページ60には、例えば、電子クーポンの対象となる商品名、ショップ名、特典内容、利用条件(有効期間)など、電子クーポンに関する情報が掲載されている。この電子クーポン配布用のウェブページ60には、対象の電子クーポンをユーザ端末20のユーザに獲得させるためのクーポン獲得ボタン61が設けられている。このクーポン獲得ボタン61がユーザによってクリックされると、ユーザ端末20から販売管理サーバ10に当該電子クーポンのクーポン獲得要求が送信される。
【0048】
販売管理サーバ10は、クーポン配布部123にて、このクーポン獲得要求を受け取る。クーポン配布部123は、クーポン獲得要求の要求元であるユーザ端末20に、対象の電子クーポンのクーポンIDを含むクーポン獲得応答を返信する。ユーザ端末20のCPUは、クーポン獲得応答を受け取ると、このクーポン獲得応答に含まれるクーポンIDを、ユーザ端末20内の不揮発性メモリなどの記憶部に保存する。これにより、ユーザは電子クーポンを獲得し、商品の購入際に利用できるようになる。
なお、クーポン獲得応答により、クーポンIDだけではなく、図3のクーポン基本テーブル113の該当するレコードの内容をユーザに返信するようにしてもよい。
【0049】
販売管理サーバ10のクーポン配布部123は、クーポン獲得応答の送信後、クーポン利用状況管理テーブル115において該当するレコードの配布数の値をインクリメントする。ここで、該当するレコードとは、ユーザ端末20に送信したクーポンIDを含むレコードである。これにより販売管理サーバ10は、電子クーポンの配布を1つ完了したことになる。
【0050】
(3−2.電子クーポンを利用した購入手続き)
ユーザ端末20のユーザは、電子クーポンの対象である商品を購入したい場合には、商品販売用のウェブページへのアクセスをCPUに指示する。なお、商品販売用のウェブページへのアクセスは、例えば、電子クーポン配布用のウェブページにハイパーリンクとして設けられた位置情報(商品販売用のウェブページへのURL)を用いて行うことが可能である。
【0051】
図7は、ユーザ端末20の表示部に表示される商品販売用のウェブページ70の例を示す図である。
この商品販売用のウェブページ70には、商品の写真画像、商品名、商品の詳細情報、単価、注文数、そして購入ボタン71が設けられている。
【0052】
この商品販売用のウェブページにおいて、ユーザ端末20のユーザによって購入ボタン71がクリックされると、ユーザ端末20から販売管理サーバ10に購入手続き要求が送信される。販売管理サーバ10は、この購入手続き要求を受けると、商品の購入のための手続きに関する処理を行う。例えば、販売管理サーバ10は、商品の購入のための手続き画画を生成し、ユーザ端末20に送信する。
【0053】
図8は、商品の購入のための手続き画画の中の1つであるクーポン利用確認ページ80の例を示す図である。このクーポン利用確認ページ80は、商品の購入のための手続きの流れの中で生成され、ユーザ端末20に送信される。
【0054】
このクーポン利用確認ページ80には、ユーザが現在獲得している電子クーポンに関する情報81、この電子クーポンによる特典を使って商品を購入した場合を想定した支払い価格82、そしてクーポン利用ボタン83などが設けられている。
【0055】
ユーザ端末20のユーザによってクーポン利用ボタン83がクリックされると、クーポン利用要求が販売管理サーバ10に送信される。販売管理サーバ10は、このクーポン利用要求を受けると、電子クーポンの特典を使った商品購入のための手続きの処理を行う。
【0056】
販売管理サーバ10のクーポン利用監視部125は、この電子クーポンの特典を使った商品購入のための手続きの完了を監視している。クーポン利用監視部125は、手続きの完了を知ると、クーポン利用状況管理テーブル115において該当するレコードの利用数の値をインクリメントする。
以上が、電子クーポンを利用した購入手続きの流れの説明である。
【0057】
(3−3.電子クーポンのメンテナンス)
図9は、クーポンメンテナンス部127による電子クーポンのメンテナンス処理のフローチャートである。
【0058】
クーポンメンテナンス部127は、所定の時間周期で自動的に起動され、電子クーポンの特典および利用条件を最適化すべく、以下の処理をクーポンID毎に実行する。なお、所定の時間周期とは、例えば、12時間、1日(24時間)、2日(48時間)、1週間などである。勿論、これらよりも短くても長くてもよい。
【0059】
クーポンメンテナンス部127は、クーポン利用状況管理テーブル115を参照してクーポンID毎の電子クーポンの利用率(累積の利用率)を算出する(ステップS101)。利用率は累積の利用数の値を累積の配布数の値で割って得た値である。なお、計算された利用率において、小数点以下は、例えば切捨てとする。
【0060】
クーポンメンテナンス部127は、算出された利用率を、対応するクーポンIDに対して予め設定された更新ルールに定められた閾値をもとに評価する(ステップS102)。ここで、利用率の評価とは、閾値との大小関係を判定することを言う。この評価によって、特典および利用条件の更新の必要のあるクーポンIDを検出する(ステップS103)。
【0061】
クーポンメンテナンス部127は、更新する必要のあるクーポンIDを判定すると、クーポン基本テーブル113上の該当するレコードの特典および利用条件を更新ルールに含まれる更新方法の情報に従って更新する(ステップS104)。そしてクーポンメンテナンス部127は、更新内容を電子クーポン配布用のウェブページ60、商品販売用のウェブページ70、およびクーポン利用確認ページ80などに明示的に反映する。
【0062】
以上の処理を、クーポン基本テーブル113およびクーポン利用状況管理テーブル115に登録されているクーポンID毎に実行する(ステップS105)。
なお、この実施形態では、配布される全ての電子クーポンが更新処理の対象とされている場合を想定しているが、更新処理の対象外の電子クーポンも存在してもよい。この場合、少なくともクーポン利用状況管理テーブル115に、当該更新処理の対象外の電子クーポンのクーポンIDは登録されない。
【0063】
(3−4.更新ルールについて)
更新ルールとしては、例えば次のようなものがある。
【0064】
更新ルールA:
累積の利用率が上限閾値を超えた場合、または下限閾値を下回った場合、電子クーポンの特典のレベルを上げたり、利用条件を緩和したりする。
利用率の上限閾値、下限閾値、特典のレベルの上げ方、利用条件の緩和の仕方には、様々なバリエーションが考えられるため、更新ルールAはさらに細かい複数の更新ルールに分けられていてもよい。特典のレベルの上げ方とは、割引率や割引額をどれだけ上げるかというルールである。利用条件の緩和の仕方とは、例えば、購入数や決済方法などの制約を緩和したり、なくしたりするなどのルールである。
【0065】
更新ルールB:
累積の利用率が上限閾値を超えた場合、電子クーポンの特典のレベルを下げたり、利用条件を厳しくしたりする。
利用率の上限閾値、特典のレベルの下げ方、利用条件を厳しくする仕方には、様々なバリエーションが考えられるため、更新ルールBはさらに細かい複数の更新ルールに分けられていてもよい。特典のレベルの下げ方とは、割引率や割引額をどれだけ下げるかというルールである。利用条件を厳しくする仕方とは、例えば、購入数や決済方法などの制約を加えるなどのルールである。
【0066】
[4.利用率の推移の例]
(4−1.例その1)
図10は更新ルールAが適用された電子クーポンの利用率の推移を示す図である。
更新ルールAは、上限閾値と下限閾値を有し、利用率が上限閾値と下限閾値との範囲から逸脱した場合に特典の更新を行うというものである。t1−t6は利用率が評価されるタイミングを示す。この例では、t1のタイミングから次第に利用率が低下して行き、t5のタイミングで利用率がついに下限閾値を下回ったことをクーポンメンテナンス部127が判定し、電子クーポンの特典のレベルを上げるように更新した場合を示している。
【0067】
このように電子クーポンの利用率が下がりすぎたときに特典のレベルを上げて電子クーポンの特典のレベルを上げることによって、低下傾向にあった電子クーポンの利用率の回復を図り、ショップの売り上げの向上を図ることができる。
【0068】
(4−2.例その2)
図11は、図10と同じく更新ルールAが適用された電子クーポンの利用率の別の推移を示す図である。この例では、t1のタイミングから次第に利用率が上昇して行き、t5のタイミングで利用率がついに上限閾値を上回ったことをクーポンメンテナンス部127が判定し、電子クーポンの特典のレベルを上げるように更新した場合を示している。
【0069】
このように電子クーポンの利用率が上がりすぎた場合にも特典のレベルを上げることによって、ショップが大量仕入れによる薄利多売の販売方針を念頭においている場合に、その薄利多売の販売方針に合わせるように電子クーポンの特典のレベルを更新することができる。これにより、ショップの売り上げの向上を期待できる。
【0070】
(4−3.例その3)
図12は、更新ルールBが適用された電子クーポンの利用率の別の推移を示す図である。この例でも、t1のタイミングから次第に利用率が上昇して行き、t5のタイミングで利用率がついに上限閾値を上回ったことがクーポンメンテナンス部127によって判定される。例その2との相違点は、この例その3では、電子クーポンの特典のレベルを下げるように更新する点にある。
【0071】
このように利用率が上がりすぎたときに特典のレベルを下げたり、利用条件を厳しくしたりすることは、供給量に制約がある商品を電子クーポンの対象とする場合に適用可能である。すなわち、特典のレベルを下げたり、利用条件を厳しくしたりすることによって電子クーポンの利用率を抑えるようにコントロールできる。これにより、例えば、商品の需要が過大となることによってユーザへの商品の供給が滞るといった事態を抑止できる。
【0072】
[5.本実施形態の効果等]
以上のように、本実施形態の販売管理サーバ10は、電子クーポンの利用率をもとに電子クーポンの特典や利用条件を適宜更新することによって、ショップの売り上げの向上や、ユーザへの商品供給の滞りなどを抑止できる。
【0073】
ここで、利用率をもとに電子クーポンの特典や利用条件を調整することの有効性を検討する。商品を購入しようとしているユーザは、電子クーポンによる特典や利用条件とは無関係にその商品の購入を決めているユーザと、電子クーポンによる特典や利用条件次第でその商品を購入しようと考えるユーザとに大別されると考えられる。しかし、後者のユーザが全体ユーザの大半を占めることが多い。したがって、電子クーポンの特典や利用条件と利用率との間には、ある程度の相関があるということができる。よって、利用率をもとに電子クーポンの特典や利用条件を適切に調整すれば、利用率を妥当な範囲に収束させることができ、ショップの売り上げを向上させ、ユーザへの商品供給の滞りなどを抑止できる。
【0074】
また、本実施形態では、電子クーポンの利用数の値を評価することはあえて行っていない。これは、利用数を閾値で評価するようにすると、閾値の設定が困難であることが予想される。例えば、経過時間に応じて閾値を変えなければならないし、商品毎に利用数は大きく異なってくることも予想されるため、適切な閾値の設定が困難であるからである。
【0075】
<変形例1>
次に、第1の実施形態の変形例を説明する。
電子クーポンの配布開始から累積の配布数がまだ少ない初期の期間の利用率は、それ以降の累積の配布数が多くなってきた期間の利用率に比べ、"1"の利用数の重みの違いによって、大小極端な値に偏りやすい。
【0076】
そこで、クーポンメンテナンス部127は、累積の配布数がまだ少ない期間(あるいは経過時間が短いとき)は、利用率の上限閾値を所定量高くし、下限閾値を所定量低くするなど、上限閾値と下限閾値との間の範囲を均等に拡げる等の調整を行うようにしてもよい。
【0077】
図13は、この変形例1による電子クーポンの利用率の推移と閾値の変化の例を示す図である。
この例では、t1のタイミングに対して上限閾値U1と下限閾値D1が設定され、t2のタイミングに対して上限閾値U2(U2<U1)と下限閾値D2(D2>D1)が設定され、t3より以後の各々のタイミングに対して上限閾値U3(U3<U2)と下限閾値D3(D3>D2)が設定された場合を示している。すなわち、時間の経過につれて累積の配布数が次第に増して行くことによって、上限閾値はU1→U2→U3の順に下がり、下限閾値はD1→D2→D3の順に上がるようにそれぞれ設定が変更される。
【0078】
この方式によると、例えば、電子クーポンの配布から間もないt1のタイミングでかなり低い利用率が算出されたものの、このとき下限閾値D1も低く設定されていたため電子クーポンの特典などの更新が必要であるとは判定されずに済む。これにより、電子クーポンの配布開始から初期の期間において電子クーポンの特典等が不当に更新されることを抑制することができる。
【0079】
なお、図13の例では、t5のタイミングで利用率が下限閾値D3を下回ったことがクーポンメンテナンス部127によって判定され、更新ルールAの更新方法に従って電子クーポンの特典のレベルが上げられている。
【0080】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態では、利用率を評価するのではなく、「利用率の変化量」を評価対象としたものである。
利用率の変化量を評価対象とした場合、第1の実施形態のように配布開始からの累積的な利用率から変化量を求めていたのでは、時間経過につれて利用率の変化量が次第に小さくなるため正確な評価が困難である。そこで第2の実施形態では、所定の周期期間毎の配布数と利用数から求められる利用率(所定の周期期間毎の利用率)の変化量を評価対象とする。
【0081】
図14は第2の実施形態において、電子クーポンの所定の周期期間毎の利用率とその変化量の推移を示す図である。
クーポンメンテナンス部127は、クーポンID毎の電子クーポンの所定の周期期間毎の配布数および利用数をそれぞれ所定の周期のタイミングt1−t6で参照して利用率を算出し、前回算出した利用率に対する変化量Δを求める。クーポンメンテナンス部127は、求めた変化量Δを更新ルールにおける変化量評価用の閾値と比較し、変化量Δが閾値を超えている場合に、電子クーポンの特典や利用条件を当該更新ルールにおける更新方法に従って更新する。
【0082】
図15は第2の実施形態において用いられるクーポン利用状況管理テーブル115Aの構成を示す図である。
クーポン利用状況管理テーブル115Aのレコードは、クーポンID、今回の周期期間内の配布数、今回の周期期間内の利用数、前回の利用率、ルールIDなどで構成される。第1の実施形態で用いられるクーポン利用状況管理テーブル115のレコードとの相違点は、配布数および利用数が累積的な値ではなく周期期間毎の値である点と、前回の利用率がレコードに追加されたことにある。前回の利用率とは、前回の周期のタイミングで計算された利用率である。この前回の利用率に対して、今回の周期のタイミングで計算された利用率がどれだけ変化したかを計算した結果が変化量として得られる。利用率の変化量の算出後、今回の周期のタイミングで計算された利用率で前回の利用率が上書きされる。さらに、今回の周期期間内の配布数、今回の周期期間内の利用数は"0"にリセットされる。
【0083】
なお、第2の実施形態において用いられる更新ルールにおける閾値は、利用率の変化量に対して比較される値であるという点で第1の実施形態の更新ルールと少なくとも相違する。また、利用率の変化量は実際には利用率の低下の変化量と増大の変化量とに分けられる。利用率の変化は低下と増大が高い頻度で繰り返される可能性があるため、第1の実施形態で用いられる更新ルールAのように、利用率が大きく低下しても増大しても電子クーポンの特典を上げるといった更新の仕方は第2の実施形態において不向きである。第2の実施形態において好適な更新ルールとしては、例えば、利用率の低下の変化量を評価するための閾値と、算出された利用率の低下の変化量が閾値を超えた場合の特典などの更新方法との組み合わせなどが考えられる。以後これを「更新ルールC」と呼ぶこととする。
【0084】
また、第2の実施形態において用いられる更新ルールCにおいて、利用率の低下の変化量を評価するための閾値は、周期期間内の配布数が少ないほど大きい可変値とすることが望ましい。例えば、周期期間内の配布数に対しての閾値(配布数閾値)を決めておき、周期期間内の配布数が配布数閾値に達していない場合には、利用率の低下の変化量を評価するための閾値を大きくする。これによって、配布数が少ない期間に算出された利用率による評価誤りを低減できる。
【0085】
図14に戻って、第2の実施形態における電子クーポンのメンテナンスの動作の具体例を説明する。
更新ルールとしては更新ルールCが採用された場合を想定する。
利用率の低下の変化量の計算は、所定の周期のタイミングt1−t6においてそれぞれ実行される。
【0086】
まず、クーポンメンテナンス部127は、t1のタイミングで利用率を算出する。利用率は、周期期間1内の利用数を周期期間1内の配布数で割った値である。t1のタイミングは初めて利用率を算出するタイミングであるため、利用率の低下の変化量は求めない。クーポンメンテナンス部127は、求めた利用率をクーポン利用状況管理テーブル115の前回の利用率として登録し、同じレコードの配布数および利用数の値を"0"にリセットする。
【0087】
続いて、クーポンメンテナンス部127は、t2のタイミングで利用率を算出する。このときの利用率は、周期期間2内の利用数を周期期間2内の配布数で割った値である。クーポンメンテナンス部127は、求めた利用率とクーポン利用状況管理テーブル115の前回の利用率とから利用率の低下の変化量−Δ2を算出する。
【0088】
また、クーポンメンテナンス部127は、周期期間2内の配布数と、この配布数に対して予め決められた配布数閾値とを比較する。このとき周期期間2内の配布数が配布数閾値に達しているかどうかによって、今回の利用率の低下の変化量−Δ2に対する閾値が決定される。変形例2では、周期期間内の配布数が配布数閾値に達しているときは利用率の低下変化量に対する閾値としてΔzを採用し、周期期間内の配布数が配布数閾値に達していないときは利用率の低下変化量に対する閾値としてΔz’を採用することとする。但し、Δz<Δz’である。
【0089】
ここでは、周期期間2内の配布数が配布数閾値に達していない場合を想定して説明を進める。したがって、利用率の低下の変化量−Δ2に対する閾値としてΔz’が採用される。クーポンメンテナンス部127は、t2のタイミングで算出された利用率の低下の変化量−Δ2が閾値Δz’に達しているかどうかを判定する。もし利用率の低下の変化量−Δ2が閾値Δz’に達しているならば、クーポンメンテナンス部127は、電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行い、達していないならば電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行わない。
【0090】
図14の例では、t2のタイミングで算出された利用率の低下の変化量−Δ2が閾値Δz’に達していないため、電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行わない場合を想定している。
【0091】
次に、クーポンメンテナンス部127は、t3のタイミングで利用率を算出する。このときの利用率は、周期期間3内の利用数を周期期間3内の配布数で割った値である。図14の例では、求めた利用率がクーポン利用状況管理テーブル115の前回の利用率より増大した場合を想定している。この場合、クーポンメンテナンス部127は、電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行わない。
【0092】
次に、クーポンメンテナンス部127は、t4のタイミングで利用率を算出する。クーポンメンテナンス部127は、求めた利用率とクーポン利用状況管理テーブル115の前回の利用率とから利用率の低下の変化量−Δ4を算出する。このときの利用率は、周期期間4内の利用数を周期期間4内の配布数で割った値である。
【0093】
また、クーポンメンテナンス部127は、周期期間4内の配布数と予め決められた配布数閾値とを比較する。この例では、周期期間4内の配布数が配布数閾値に達している場合を想定している。そのため、利用率の低下の変化量−Δ4に対する閾値としてΔzが採用される。クーポンメンテナンス部127は、t4のタイミングで算出された利用率の低下の変化量−Δ4が閾値Δzに達しているかどうかを判定する。もし利用率の低下の変化量−Δ4が閾値Δzに達しているならば、クーポンメンテナンス部127は、電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行い、達していないならば電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行わない。この例では、t4のタイミングで算出された利用率の低下の変化量−Δ4が閾値Δzに達していないため、電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行わない場合を想定している。
【0094】
次に、クーポンメンテナンス部127は、t5のタイミングで利用率を算出する。クーポンメンテナンス部127は、求めた利用率とクーポン利用状況管理テーブル115の前回の利用率とから利用率の低下の変化量−Δ5を算出する。このときの利用率は、周期期間5内の利用数を周期期間5内の配布数で割った値である。
【0095】
クーポンメンテナンス部127は、周期期間5内の配布数と予め決められた配布数閾値とを比較する。この例では、周期期間5内の配布数が配布数閾値に達している場合を想定している。そのため、利用率の低下の変化量−Δ5に対する閾値としてΔzが採用される。クーポンメンテナンス部127は、t5のタイミングで算出された利用率の低下の変化量−Δ5が閾値Δzに達しているかどうかを判定する。この例では、t5のタイミングで算出された利用率の低下の変化量−Δ5が閾値Δzに達しているため、電子クーポンの特典や利用条件が更新される場合を想定している。
【0096】
次に、クーポンメンテナンス部127は、t6のタイミングで利用率を算出する。図14の例では、求めた利用率がクーポン利用状況管理テーブル115の前回の利用率より増大しているため、電子クーポンの特典や利用条件を更新する処理を行わないことになる。
【0097】
以上のように、利用率の低下変化量をもとに電子クーポンの特典や利用条件を適宜更新することによって、ショップの売り上げの向上や、ユーザへの商品供給の滞りなどを抑止できる。また、この第2の実施形態によれば、利用率そのものを評価する第1の実施形態に比べ、利用率の変化に対して迅速に反応を示す。このため、例えば、他のショップで同じ商品がより安価に販売されたりするなど、何らかの事情で電子クーポンの利用が急激に減った現象に対し、より迅速に電子クーポンの特典や利用条件を更新するなどの対応をとることができる。
【0098】
<変形例2>
第2の実施形態では、更新ルールCに従って、利用率の低下の変化量を評価し、この変化量が大きくなったときに電子クーポンの特典のレベルを上げることとした。その変形例としては、
1.利用率の増大の変化量を評価し、その変化量が閾値を越えたときに、電子クーポンの特典のレベルを上げたり、利用条件を緩和したりするようにしてもよい。(薄利多売の販売方針への切り替えのため)
2.利用率の増大の変化量を評価し、その変化量が閾値を越えたときに、電子クーポンの特典のレベルを下げたり、利用条件を厳しくするようにしてもよい。(供給量が制限された商品販売のため)
【0099】
<変形例3>
販売管理サーバ10のクーポンメンテナンス部127は、電子クーポンの特典および利用条件のいずれか一方の更新が発生したとき、電子クーポン獲得しているが利用していないユーザのユーザ端末20に、当該電子クーポンの特典、利用条件の更新に関する情報を通知するようにしてもよい。
電子クーポンを獲得してまだ利用していないユーザは、変更前の特典、利用条件しか知らない場合が多いので、その更新内容をユーザに通知することで、電子クーポンにアクセスしたタイミングの違いによって、電子クーポンに提示されている特典や利用条件の違いによるユーザ間の不平等性を低減できる。
【0100】
<販売管理サーバ10、ユーザ端末20およびショップ端末30のハードウェア構成>
最後に、販売管理サーバ10、ユーザ端末20およびショップ端末30のハードウェア構成について説明する。
【0101】
図16は、販売管理サーバ10のハードウェア構成を示す図である。
販売管理サーバ10は、CPU131、システムバス132、ROM133、RAM134、ネットワーク接続部135、入力部136、出力部137、ストレージデバイス138、メディアI/F部139などを有する。CPU(Central Processing Unit)13は、メインメモリとして用いられるRAM134にロードされたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを解釈実行して、ネットワーク接続部135、入力部136、出力部137、ストレージデバイス138、メディアI/F部139などとの間で各種の情報のやりとりや各種の演算処理を実行する。
【0102】
ネットワーク接続部135はインターネットなどの通信ネットワーク2接続するための処理を行う。入力部136および出力部137はユーザインタフェースのための手段であり、主にユーザ端末20およびショップ端末30において不可欠なハードウェア要素である。入力部136および出力部137は、例えば、タッチパネルディスプレイなどして組み込まれることもある。あるいは、キーボード、マウスなどの入力専用デバイスと、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示専用デバイスとの組み合わせであってもよい。
【0103】
ストレージデバイス138は、例えば、ハードディスクドライブなどの不揮発性メモリで実現される。メディアI/F部139は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、あるいは半導体メモリなどのリムーバブルメディア3の着脱を可能としたものである。販売管理サーバ10、ユーザ端末20およびショップ端末30は、このリムーバブルメディア3から読み込んだアプリケーションプログラムを導入したり、逆に内部のデータをリムーバブルメディア3に保存したりすることができる。
【0104】
この販売管理サーバ10のハードウェア構成は、ユーザ端末20およびショップ端末30においても同様である。
【符号の説明】
【0105】
1…通信販売システム
2…通信ネットワーク
10…販売管理サーバ
11…データベース部
12…処理部
20…ユーザ端末
30…ショップ端末
111…クーポン設定/更新ルール
113…クーポン基本テーブル
115…クーポン利用状況管理テーブル
121…クーポン設定部
123…クーポン配布部
125…クーポン利用監視部
127…クーポンメンテナンス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16