特許第5873286号(P5873286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873286
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20160216BHJP
   A01G 9/02 20060101ALI20160216BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A01G7/00 601A
   A01G7/00 601Z
   A01G9/02 103K
   A01G9/20 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-229276(P2011-229276)
(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公開番号】特開2013-85519(P2013-85519A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】594044406
【氏名又は名称】司電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】三好 國司
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−268377(JP,A)
【文献】 特開平7−274728(JP,A)
【文献】 特許第4657683(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 9/00 − 9/02
A01G 9/14 − 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から隔離された植物栽培室と、この植物栽培室内に配置された複数のプランターと、前記プランターの植物が植えられる育成面と対向する位置に配設された照明装置と、前記プランターの土壌温度を個別に制御できる土壌温度制御装置と、前記プランターに設けられた土壌温度を測定するセンサと、からなり、
前記土壌温度制御装置は、冷温水を前記プランターの土壌に供給する水供給パイプラインと、水を所定の温度に制御する冷温水発生器と、この冷温水発生器で所定の温度に制御された水を蓄える水槽と、この水槽から前記パイプラインに水を供給するポンプと、前記水槽と前記パイプラインと設けられた開閉が制御されるバルブと、を備え、前記センサの出力により、前記バルブの開閉を制御し、前記プランター毎に所定の温度の水を水供給パイプラインから供給することを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記冷温水発生器と水槽間で水を循環させ水を所定の温度に設定する請求項に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
前記プランタは、排水に適した傾斜を有して配置され、余剰水が排水タンクに排出される請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工光を照射して植物を育成する植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、外部から隔離された空間において、人工光を照射して植物を育成する植物育成工場が建設されている。このような植物育成工場では、外部から閉鎖された空間で野菜を育成することができるので、農薬を使用することなく病原菌や害虫による被害を効果的に抑制することができる。
【0003】
現在の植物工場は、基本的に閉鎖的又は半閉鎖的な空間内における光量や室温、湿度を一括して制御することで植物の成長をコントロールし、その空間内において収穫可能な程度に植物を成長させる。特許文献1には、様々な植物に適用できる植物栽培システムが示されている。この特許文献1には、地上部の区画と地下部の区画など複数の区画を備え、それぞれの区画で環境条件を変えて、様々な植物に適用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−120555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1のもでは、複数区画を設ける必要があり、システムが複雑化するとともに大型化し、コストが嵩むとともに小さなスペースでは設置することができないという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、小さなスペースで種々の育成植物を育成できる植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の植物栽培装置は、外部から隔離された植物栽培室と、この植物栽培室内に配置された複数のプランターと、前記プランターの植物が植えられる育成面と対向する位置に配設された照明装置と、前記プランターの土壌温度を個別に制御できる土壌温度制御装置と、前記プランターに設けられた土壌温度を測定するセンサと、からなり、前記土壌温度制御装置は、冷温水を前記プランターの土壌に供給する水供給パイプラインと、水を所定の温度に制御する冷温水発生器と、この冷温水発生器で所定の温度に制御された水を蓄える水槽と、この水槽から前記パイプラインに水を供給するポンプと、前記水槽と前記パイプラインと設けられた開閉が制御されるバルブと、を備え、前記センサの出力により、前記バルブの開閉を制御し、前記プランター毎に所定の温度の水を水供給パイプラインから供給することを特徴とする。
【0008】
また、前記冷温水発生器と水槽間で水を循環させ水を所定の温度に設定するように構成できる。
【0009】
また、前記プランターは、排水に適した傾斜を有して配置され、余剰水が排水タンクに排出されるように構成すればよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、植物栽培室内に配置された複数のプランターの土壌温度を個別に制御できるので、育成植物毎に適した土壌温度が設定できる。このため、種々な育成植物を小さなスペースで育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施形態における植物栽培装置を示す模式的に断面にした正面図である。
図2】この発明の実施形態における植物栽培装置を示す模式的に断面にした左側面図である。
図3】この発明の実施形態における植物栽培装置を示す模式的に断面にした右側面図である。
図4】この発明の実施形態における植物栽培装置の水系統を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0013】
図1ないし図3に示すように、植物栽培装置1は、外部から隔離可能な植物栽培室1aを有する筐体を備える。植物栽培室1aには、図示しない扉が設けられ、この扉を開放して、植物栽培室1a内に配置されたプランター2a、2bの育成面にそれぞれ育成植物が植栽される。
【0014】
植物栽培室1aは扉を閉めると外部と隔離され、植物を育成中は外部からの病原菌や害虫が植物栽培室内1a内に入り込まないように構成されている。植物栽培室1aの天井面には、プランター2a、2bの育成面と対向するように照明装置3が配置されている。この照明装置3は、蛍光灯やLED照明が用いられる。照明装置3は、自然界のように段階的に照度は上がり、段階的に照度が下がるように制御が可能である。
【0015】
植物栽培室1aの下部には、このプランター2a、2b内の土壌温度を制御する制御機構が配置されている。この植物栽培装置1の底面には、キャスター1cが設けられ、植物栽培装置1を所定の位置に容易に移動できるように構成されている。
【0016】
この植物栽培装置1aのプランター2a、2bには、土壌が収容され、この土壌を後述するように育成植物に応じてその温度が別々に設定することができる。
【0017】
この実施形態では、土壌温度制御装置にて温度制御された水がプランター2a、2b内に与えられ、それぞれのプランター2a、2bの土壌温度が所定の温度に設定される。
【0018】
土壌温度制御装置は、冷温水をプランター2a、2bの土壌に供給する水供給パイプライン11aと、水を所定の温度に制御する冷温水発生器10と、これらの動作を制御する制御装置20を備える。
【0019】
冷温水発生器10は、所定の温度に制御された水を蓄える水槽11を備える。冷温水発生器10は、例えば、夜間電力を使用して運転され、冷温水発生器10と水槽11とパイプ10aで接続され、このパイプ10aを介して冷温水発生器10と水槽11内を循環させ、所定の温度に設定する。冷温水発生器10と水槽11との間はポンプ21により、パイプ23を介して水が循環される。水槽11とポンプ21の間には制御装置20により開閉が制御されるバルブ23が設けられている。バルブ23を閉めることにより、水が水槽11から冷温水発生器10側への逆流するのを防止する。このポンプ21は、例えば、100V、15Wの出力のものを用いる。
【0020】
土壌温度が設定値に達すると冷温水発生器10は停止する。このため、図示はしないがプランター2a、2bには土壌温度を測定するセンサが設けられている。このセンサからの出力が制御装置20に与えられ、バルブ23〜27、ポンプ21、22および冷温水発生器10の動作が制御される。冷温水発生器10の運転時間のインターバルは、例えば、2時間である。すなわち、2時間運転、2時間停止の運転制御が行われる。
【0021】
水槽11からプランター2a、2bには、水供給パイプライン11aを介して冷温水が与えられる。冷温水はポンプ22より水供給パイプライン11aに与えられる。このポンプ22は、例えば、100V、6Wの出力である。この実施形態においては、プランター2aと水供給パイプライン11aとの間に制御装置20により開閉制御されるバルブ25が設けられている。
【0022】
このバルブ25の開閉により、プランター2bには、水が供給されるが、プランター2aへの水の供給を停止することができる。このように、一方の水の供給を制御することで、プランタ2aとプランタ2bの土壌温度を別々に設定することができる。
【0023】
プランター2a、2bと水槽11との間には、制御装置20により開閉制御されるバルブ26、27が設けられ、プランター2a、2bから水槽11へ水の流入を制御している。
【0024】
側面の上部には、モニタ4が設けられ、このモニタ4に植物の生育状態を表示させる。
【0025】
また、プランター2a、2bは、排水に適した傾斜を有して配置され、余剰水が排水タンク40に排出されるように構成されている。
【0026】
植物栽培装置1の側面には2箇所に排気ファン31、32が設けられ、冷温水発生器10が駆動するときには、排気ファン31が駆動して冷温水発生器10の熱を外部に排気する。また、ポンプ21又はポンプ22が駆動した際には、排気ファン32が駆動してポンプ21又はポンプ22の熱を外部に排気する。
【0027】
また、図示しないが、この実施形態においては、天井部に4箇所の排気ファンを設け、照明装置3の点灯数量に応じて別々に駆動させるように構成できる。
【0028】
上記した実施形態では、プランター2a、2bの土壌に水を供給して土壌温度を設定しているが、水を直接供給するのではなく、パイプの上又は土壌の中にパイプを配設し、パイプ内部に冷温水を流し、パイプからの熱により土壌温度を制御するように構成してもよい。また、上記した実施形態では、2つのプランターを設けた例を挙げているが、プランターの数は必要に応じて3つ以上に構成することも可能である。その場合には、プランターの数に応じて水供給パイプライン設けることになる。
【0029】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 植物栽培装置
1a 植物栽培室
2a、2b プランター
3 照明装置
10 冷温水発生器
10a パイプ
11 水槽
図1
図2
図3
図4