特許第5873327号(P5873327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873327
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】露光用調光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-283476(P2011-283476)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-134316(P2013-134316A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】三好 久司
【審査官】 赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−319098(JP,A)
【文献】 特開2013−54180(JP,A)
【文献】 特開2011−066087(JP,A)
【文献】 特開2010−272631(JP,A)
【文献】 特開平08−008154(JP,A)
【文献】 特表2007−536598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
二次元的に配列させた複数の光変調素子を有し、前記光源からの照明光を被描画体の露光エリアへ導く光変調素子アレイと、
前記複数の光変調素子を制御して、露光エリアに照射される投影光の光量を調整する光量調整手段とを備え、
前記光量調整手段が、投影光の2次元光量分布が光量調整前後において実質的に変化がないように、不使用光変調素子を素子配列領域全体において定め、投影光の光量を全体的に変化させることを特徴とする露光用調光装置。
【請求項2】
前記光量調整手段が、規則的な配列となるように、不使用光変調素子を定めることを特徴とする請求項1に記載の露光用調光装置。
【請求項3】
前記光量調整手段が、不規則な配列となるように、不使用光変調素子を定めることを特徴とする請求項1に記載の露光用調光装置。
【請求項4】
前記光量調整手段が、スノーノイズ状あるいは梨地状となるように、不使用光変調素子を配列させることを特徴とする請求項3に記載の露光用調光装置。
【請求項5】
前記光変調素子アレイによる光量調整されないときに露光エリアに照射される投影光の光量を測定する光量測定手段とをさらに備え、
前記光量調整手段が、定められた目標光量と、測定された投影光の光量とに基づいて、不使用の光変調素子を設定し、
前記光量調整手段が、前記光変調素子アレイによる光量調整されないときの投影光の光量が目標光量を下回らない間、不使用の光変調素子に基づいた投影光の光量調整を行い、
前記光変調素子アレイによる光量調整されないときの投影光の光量が目標光量を下回ると、前記光源の出力を増加させることによって、投影光の光量が目標光量を上回るように前記光源からの照明光の光量を増加させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の露光用調光装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された露光用調光装置を備えた露光装置。
【請求項7】
二次元的に配列させた複数の光変調素子を有し、光源からの照明光を被描画体の露光エリアへ導く光変調素子アレイに対し、前記複数の光変調素子を制御して、露光エリアに照射される投影光の露光量を調整する露光装置の光量調整方法であって、
投影光の2次元光量分布が光量調整前後において実質的に変化がないように、不使用光変調素子を素子配列領域全体において定め、
不使用光変調素子をOFF状態にすることによって、投影光の光量を全体的に変化させることを特徴とする露光装置の光量調整方法。
【請求項8】
露光装置を、
二次元的に配列させた複数の光変調素子を有し、光源からの照明光を被描画体の露光エリアへ導く光変調素子アレイに対し、前記複数の光変調素子を制御して、露光エリアに照射される投影光の光量を調整する光量調整手段と、
投影光の2次元光量分布が光量調整前後において実質的に変化がないように、不使用光変調素子を素子配列領域全体において定める不使用光変調素子設定手段として機能させ、
不使用光変調素子をOFF状態にすることによって、投影光の光量を全体的に変化させるように、前記光量調整手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンを基板等に形成する露光装置に関し、特に、基板に照射する光の光量調整に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置では、フォトレジストなどの感光材料を塗布等した基板に対してパターン光を投影し、感光材料にパターンを形成する。例えば、マイクロミラーを2次元配列させたDMD(Digital Micro-mirror Device)を使用する場合、各マイクロミラーをパターンデータに基づいてON/OFF制御することによって、パターン光を生成することができる。
【0003】
精度よくパターンを形成するためには、露光動作中、一定の照射量で光を基板に照射する必要がある。そのため、露光の合間に測光装置を用いて照度を計測し、放電ランプへの供給電力を調整して定照度点灯制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、照明光の強度並びに波長特性、あるいは感光材料の感度特性に起因して、1つの基板を露光するときに光量ムラが局所的に生じる。また、ランプ温度、基板温度によっても局所的な光量ムラが生じる。このような局所的光量ムラの発生を防ぐため、DMDのミラー群の中で特定のミラーを使用せず、均一な光量を維持する方法が知られている(特許文献2参照)。
【0005】
そこでは、多重露光動作を行うとき、DMDの中で露光時にOFF状態に設定するミラーを、走査ラインに沿ったミラー列ごとに特定する。そして、OFF状態のミラー配列を表すマスクデータを作成する。マスクデータと描画データに基づいてマイクロミラーをON/OFF制御し、基板へ到達する光の総光量が最終的に各場所において均一となるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−072571号公報
【特許文献2】特開2007−316194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
放電ランプなどの光源点灯中、光源出力は短期的な時間間隔(スパン)で変動し、その出力変動は光変調素子アレイの投影エリアとなる露光エリア全体に及ぶ。この不安定な光出力短期変動に対しては、露光エリア全体の光量分布に偏りなく調光しなければならない。特に、単一ショットの露光動作であっても、露光エリア全体の照度調整を行なう必要がある。
【0008】
しかしながら、ランプ出力を調整する方法では、精度よく目標となる光量を維持することが難しい。また、従来技術のように、長期間に渡る安定した光出力を前提とし、総光量に偏りを生じさせないよう、ミラーを局所的にOFF設定する光量調整では、短期的かつエリア全体に及ぶ光出力変動に対処できない。
【0009】
したがって、露光エリア全体に対し、均一で精度ある光量調整が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の露光用調光装置は、光源と、二次元的に配列させた複数の光変調素子を有し、光源からの照明光を被描画体の露光対象エリアへ導く光変調素子アレイと、その光変調素子アレイの投影エリア(露光エリア)に照射される投影光の光量を調整する光量調整手段とを備える。
【0011】
露光用調光装置は、露光装置において基板に照射するパターン光の光量、照度を調整し、例えば、光変調素子アレイを利用してパターンを基板に直接形成可能な露光装置に適用可能である。あるいは、ステッパーなどマスク、レチクル使用の露光装置において、DMD、LCDなどの光変調素子アレイを光量調整用に別途設けることも可能である。
【0012】
光源としては、放電ランプ、レーザ等様々な光源が適用可能であり、例えば、封入水銀量が0.2mg/mm以上である放電ランプが使用される。光変調素子アレイについても、DMD、LCD、SLMなど様々な光変調デバイスを適用することが可能である。
【0013】
本発明の光量調整手段は、露光エリアにおける光量を全体的に変化させるように、不使用光変調素子を素子配列領域全体に定める。ここで、「露光エリアにおける光量を全体的に変化させる」とは、露光エリア内における光量分布に関し、描画データには関係なく、光量調整前後において実質的変化がないことを表す。したがって、光変調素子配列領域全体から見て、不使用の光変調素子は分散、散逸し、局所的な偏在、一部空白部分等がない。また、不使用の光変調素子とは、描画パターンに関係なくOFF状態に設定する光変調素子を示す。
【0014】
したがって、所定の描画データに対し、露光エリア内における光量分布傾向(2次元的な相対的光量分布)が定められた場合、光量調整されたとしても、その相対的な光量分布傾向に変化なく、全体的に光量が増加、あるいは減少する。
【0015】
例えば、不使用の光変調素子の配列を、露光対象エリアに対し均質に散在させる、すなわち、素子領域全体に渡って略均等に拡散配置し、散在させるのがよい。すなわち、露光対象エリア全般に渡って均等に光量増減を行なえるように、不使用の光変調素子の配列を定めることが可能である。
【0016】
不使用光変調素子の配列に関しては、規則的な配列、不規則な配列いずれも可能である。例えば、規則配列の場合、市松状、ドット状に配列し、不規則配列の場合、スノーノイズ状、梨地状に配列することが可能である。不規則配列では、ある微小領域で見ると素子配列に偏りが存在するが、比較的大きな分割領域で見れば略均一に散在し、マクロ的に見て実質的に略一様な距離間隔の配置となっている。また、このような配列は、等間隔で規則的に並べた不使用の光変調素子の配列をそれぞれ微小にずらした分布状態に相似する。
【0017】
調光装置には、露光エリアの光量を測定する光量測定手段を設けることができる。例えば、露光対象エリアの一部、あるいはエリア全体について光量を測定することが可能である。ただし、照度、積算照射量などの測定も、ここでは光量測定に含まれるものとする。例えば、光変調素子をすべて使用して照射される投影光の光量を測定する。光量の測定方法は任意であり、エリア内の各微小領域における光量を平均して求めることも可能である。
【0018】
光変調素子アレイに基づいた光量調整においては、定められた目標光量と、露光対象エリアにおいて測定された投影光の光量とに基づいて、不使用の光変調素子を設定することができる。不使用の光変調素子が多いほど投影光の光量が下がることから、目標光量に合わせて、使用/不使用の光変調素子を設定すればよい。例えば、光量調整手段は、目標光量と測定された投影光の光量との比に基づいて、不使用の光変調素子を定めることができる。
【0019】
上述したマスクレス露光装置では、露光対象エリアを被描画体に対して相対移動させる走査手段と、露光対象エリアの位置に応じたパターンデータに基づき、光変調素子アレイに設けられた複数の光変調素子を制御する露光制御手段を備えることが可能である。この場合、露光制御手段は、不使用の光変調素子の配列を示す調光フィルタデータと、パターンデータとを組み合わせた露光データに基づいて、複数の光変調素子を制御することができる。
【0020】
目標光量は、パターン形成において要求される光量であり、感光体の感度特性、露光方法等に基づいて定められる。露光動作としては、多重露光(オーバラップ露光)、あるいは、単発のショット露光など様々であり、光変調素子アレイを利用した光量調整も、その露光方法に合わせて行なうことが可能である。
【0021】
光変調素子アレイに基づく光量調整は、任意のタイミングで実行可能であり、それに合わせて光量測定を行なってもよい。例えば、ロットごと、一定経過時間ごと、処理基板の一定枚数ごと、あるいは1枚の基板ごとに光量調整を行なうことが可能である。
【0022】
光変調素子アレイに基づく光量調整では、要求されるパターン解像度、感光体の感度特性、露光方法などにより、不使用の光変調素子の数を調整して減光できる程度(ここでは、光量調整範囲という)には制限がある。したがって、光量調整手段は、光変調素子アレイによる投影光の光量調整範囲に従って、照明光の光量を増加させるのが望ましい。
【0023】
多重露光動作における同一エリアの総露光回数などを考慮すれば、光量調整範囲は、使用可能な光変調素子全体に対する使用する光変調素子の割合(使用率)が20%〜100%に定めることが可能である。この範囲において、解像度に差が生じないようにすることができる。一方、DMD、汎用フィルムなどのデバイス、感光体特性などを考慮すると、解像度に差が生じないようにするため、光量調整範囲を65%〜100%の範囲に定めるのが良い。
【0024】
例えば、光量調整手段は、擬似乱数に従って、略一様かつ不規則な不使用の光変調素子配列を定めることができる。この場合、単に計算方法に従って自動的に算出するだけではなく、より好ましい配列となるように修正を加えるのが良い。例えば擬似乱数に従って定められた不使用の光変調素子が少なくとも2つ、あるいは3つ隣接している場合、不使用の光変調素子を再設定するのがよい。また、擬似乱数に従って不使用の光変調素子を定め、定められた不使用の光変調素子が重複している場合、不使用の光変調素子を再設定することもできる。
【0025】
また、光量調整手段は、設定された不使用の光変調素子の配列を示す調光フィルタデータをメモリに格納することが可能である。露光動作時に描画データと調光フィルタデータとを組み合わせることが可能であり、また、あらかじめ測定光量に応じた調光フィルタデータを用意することも可能となる。
【0026】
本発明の露光用調光方法は、二次元的に配列させた複数の光変調素子を有し、光源からの照明光を被描画体の露光エリアへ導く光変調素子アレイに対し、露光エリアにおける光量を全体的に変化させるように、不使用光変調素子を素子配列領域全体において定め、不使用光変調素子をOFF状態にすることによって、投影光の光量を調整することを特徴とする。
【0027】
本発明のプログラムは、露光装置を、二次元的に配列させた複数の光変調素子を有し、光源からの照明光を被描画体の露光エリアへ導く光変調素子アレイに対し、露光エリアにおける光量を全体的に変化させるように、不使用光変調素子を素子配列領域全体において定める不使用光変調素子設定手段と、不使用光変調素子をOFF状態にすることによって、投影光の光量を調整する光量調整手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、露光装置において、常に適切な光量によって露光動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態である露光装置の概略的ブロック図である。
図2】コントローラによって実行される調光処理を示したフローチャートである。
図3A】不使用ミラーのない調光フィルタデータを示した図である。
図3B】不規則に不使用ミラーを配列させたときの調光フィルタデータを示した図である。
図3C】規則的に不使用ミラーを配列させたときの調光フィルタデータを示した図である。
図4】放電ランプの使用時間経過に伴う投影光の光量、入力電力、DMDの使用率を示したグラフである。
図5】ステップ&リピート方式による描画処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0031】
図1は、本実施形態である露光装置の概略的ブロック図である。
【0032】
露光装置10は、フォトレジストなどの感光材料を表面に形成した基板SWに直接パターンを形成するマスクレス露光装置であって、光源である放電ランプ20、DMD(Digital Micro-mirror Device)22を備えている。放電ランプ20から放射される照明光に基づいて基板SWを照射し、基板SWの表面に塗布あるいは貼り付けられた感光体に対してパターンを形成する。
【0033】
放電ランプ20は、ここではショートアーク型水銀ランプであり、放電管内に0.2mg/mm以上の水銀が含まれている。常時点灯している放電ランプ20から放射される光は、照明光学系(図示せず)を経てDMD22に導かれる。DMD22は、数μm〜数十μmの微小矩形状マイクロミラーをマトリクス状に2次元配列させた光変調素子アレイ(ここでは、1024×1280)であり、DMD駆動回路24によって駆動される。
【0034】
図示しないワークステーションから送信されてくるCAD/CAMデータなどのベクタデータは、ラスタ変換回路26において2次元ドットパターンのラスタデータに変換される。そして、露光データ生成回路28では、後述する調光フィルタデータとラスタデータとを合成した露光データが生成される。
【0035】
DMD22では、DMD駆動回路24から送られてくる露光データに基づいて、各マイクロミラーがそれぞれ選択的にON/OFF制御される。ON状態のマイクロミラーにおいて反射した光は、投影光学系(図示せず)を経て、パターン像の光として基板SWに照射される。
【0036】
基板SWは、ステージ駆動機構14によって走査方向に移動する。基板SWが相対移動している間、露光動作を所定の露光ピッチで行うことにより、パターンが基板全体に形成される。基板SWの位置は、位置検出センサ15によって検出される。
【0037】
露光装置10は、ステージ12上に投影される光の光量を測定する測光装置34を備え、測光駆動部35によって位置制御される。露光動作が行なわれていないとき、測光駆動部35は、測光装置34を光路上に配置し、測定が終了すると測光装置34を退避位置へ移動させる。ただし、測光装置34をステージ12に取り付け、基板SWの移動に合わせて光量測定することも可能である。
【0038】
コントローラ30は、露光データ生成タイミング、DMD駆動等、露光動作全体を制御し、メモリ32から調光に関するデータが読み出される。露光動作の制御プログラムは、コントローラ30内のROM(図示せず)に格納されている。
【0039】
また、コントローラ30は、調光処理(光量調整処理)機能を備えており、DMD22に対するミラー制御および放電ランプ20に対する出力制御を組み合わせることにより、調光処理を実行する。放電ランプ20のライフサイクル、すなわち点灯始動してから寿命による点灯終了までの期間全体に渡る間、コントローラ30は、測定された光量に基づき、ミラー制御、ランプ出力制御を実行し、基板SWに投影、照射する光の光量を調整する。
【0040】
以下では、図2〜4を用いて、調光処理について説明する。
【0041】
図2は、コントローラによって実行される調光処理を示したフローチャートである。
【0042】
調光処理を行うタイミングとしては、新しい放電ランプを取り付けたとき、感度の異なる感光材料の基板を処理するときなど様々であり、ロットごと(製品単位)、一定枚数基板処理するごと、一定期間ごとに調光処理を行うことも可能である。ここでは、一定期間ごとに調光処理が実行される。
【0043】
ユーザの入力操作等によって調光処理が開始されると、放電ランプ20が点灯した状態で測光装置34が光路上に移動し、光量測定を行なう(S101)。このとき、DMD22において描画に使用可能なミラー(以下、有効ミラーという)全てをON状態にして、光量を測定する。したがって、測光装置34では、有効ミラー全てON状態の光による光量が、その投影エリア(露光エリア)を対象として計測される。なお、有効ミラーとは、DMDの全ミラーのうち、描画に使用しないことがあらかじめ定められたミラー(DMD周縁部のミラー等)を除いたミラーを表す。
【0044】
光量の測定後、測定された光量があらかじめ定められた光量(以下、目標光量という)以上であるか否かが判断される(S102)。測定光量が目標光量以上であると判断されると、DMD22の有効ミラー全体の中で実際に描画のため使用するミラーの割合(以下、使用率という)が算出される(S104)。
【0045】
使用率100%の場合、描画エリアを構成する有効ミラー全体がON状態であり、OFF状態に設定するミラー数が増えるほど(使用ミラーの数が下がるほど)、使用率が下がる。ここでの調光処理は、基板SWに投影する光の光量を目標光量に合わせることであり、測定された光量を基準にして減光の程度、すなわち使用率を定める。
【0046】
ここで、ミラーの使用率をR、有効ミラー全数ON状態で測定される光量をL1、目標光量をL0とすると、使用率Rは、光量比(R=L0/L1)によって求められる。そして、使用率Rが定められると、描画時に不使用とする、すなわちパターンに関係なくOFF状態にするミラーが特定、設定される(S104)。
【0047】
このとき、基板SWに投影される光の光量を、局所的ではなく全体的に増加もしくは減少させるため、DMDの有効ミラー全体から見て、局所的に偏りがなく、略一様な分布となって分散するように抽出する。具体的には、不規則な配列となるように不使用ミラーを選択するか、もしくは規則的な配列となるように不使用ミラーを選択する。
【0048】
不規則的な不使用ミラー配列の場合、ミラー領域全体の中で2次元的に略一様分布となるように不使用ミラーが決定される。すなわち、DMD22の有効ミラーエリア内で略均等な距離間隔で不使用ミラーが配列し、局所的な集中なく均質に不使用ミラーが散らばった分散状態で配置されるように、不使用ミラーの配列が決定される。その一方で、光の干渉によるモアレを防ぐため、規則的、周期的とならないように不使用ミラーがランダムに配列されている。
【0049】
このような配列によれば、露光エリア全体を俯瞰すると均一とみなせる程度に不使用ミラーが拡散分布する。露光エリアの微小エリア(例えば、5×5ミラー)で区分すると、各微小エリアにおける不使用ミラーの個数に多少の偏りがあったとしても、より大きな領域(例えば、200×200ミラー)で区分すると、各領域の不使用ミラーの個数はほぼ等しくなり、略一様に分布する。
【0050】
不規則的配列の不使用ミラーを選定するため、ここでは擬似乱数が使用される。例えば、一様乱数を用いた改良型レーマー法に基づいて乱数を発生させることが可能である。有効ミラーの数をN、不使用ミラーの数をn(=N(1−R))とすると、有効ミラーM、M、・・・、Mの中から擬似乱数を使って不使用ミラーを選択、抽出すればよい。これをn回繰り返すことにより、不使用ミラーが決定される。このとき、パターンデータに関係なく有効ミラー全体から不使用ミラーを決定する。
【0051】
ただし、すでに抽出されたミラーが再度選択された場合には、不使用ミラーの抽出が再度行なわれる。また、不使用ミラーとして抽出されたミラーの中で互いに隣接するミラーが所定の数だけ存在する場合、その選択を無効にして再度不使用ミラーを抽出する。なお、不使用ミラーの選択を無効とする隣接ミラーの数は、使用率に応じて調節する。
【0052】
このように不使用ミラーの配列を表すデータ(ここでは、調光フィルタデータという)が使用率Rに基づいて算出、作成され、調光フィルタデータはメモリ32に保存される(S106)。以下、図3A図3Cを用いて、調光フィルタデータについて説明する。
【0053】
図3Aは、不使用ミラーのない調光フィルタデータを示した図である。図3Bは、不規則に不使用ミラーを配列させたときの調光フィルタデータを示した図である。図3Cは、規則的に不使用ミラーを配列させたときの調光フィルタデータを示した図である。
【0054】
図3Aでは、有効ミラーすべてを使用したときの調光フィルタを図示している。黒い部分がミラーON状態を表しており、使用率100%のためにエリア内は黒一色である。図3Bでは、使用率R=80%、すなわち不使用ミラーの割合が20%であるスノーノイズ(砂嵐)状/梨地状の調光フィルタデータが図示されている。
【0055】
図3Bに示すように、不使用ミラーは、ミラー領域に対して略一様な分布で略均等な距離間隔で散在しており、その一方で、ミラー領域全体から見ると規則的な配列にはなっていない。マクロ的に見て、不使用ミラーが均一に拡散している。
【0056】
一方、不規則的な不使用ミラーの配列を採用する代わりに、規則的な不使用ミラー配列を採用することも可能である。例えば、市松状、ドット状に不使用ミラーを配列し、等間隔に不使用ミラーを配置することができる。図3Cでは、不使用ミラーが市松状に規則配列されている。
【0057】
このように用意された調光フィルタデータと、描画用のパターンデータとを重ね合わせることにより、投影エリアの光量減少を伴ったパターン形成をすることができる。調光フィルタデータは、パターンデータに依存しない。
【0058】
上述した調光フィルタデータにより、投影光の光量がその投影エリア全体において実質的均一に調整される。すなわち、規則的、あるいは不規則な不使用ミラーの配列いずれにおいても、露光エリアの光量は全体的に均一に変化し、光量調整前後によって露光エリア内における光量分布の傾向は実質変化することはなく、エリア全体に渡る光量増加、減少があるのみである。
【0059】
あるいは別の言い方をすれば、描画用のパターンデータに応じた露光エリア内における2次元的に光量分布が、調光フィルタデータを重ね合わせても実質的に変化せず、絶対的な光量だけが全体的に増減する。描画パターンに影響与えることなく精度よく光量調整を行なうことができる。
【0060】
この露光エリア内における相対的光量分布傾向の維持は、光量状況を検出することによっても表現できる。たとえば、露光エリアを複数の分割領域に区分し、各領域を光量に応じて順序づけ、そして、各分割領域の光量を比較して最大光量を得る領域、最小光量を得る領域を定めたときに光量調整前後でその光量に応じた順序が変化しない場合、露光エリア全体として均一な光量調整がされていると言える。また、最大光量と最小光量の比が、光量調整前後で実質的に変化しない場合も、均一な光量調整が行われていると言える。
【0061】
以上に示した不規則、規則的ミラー配列の調光フィルタデータを、使用率に合わせて用意し、光量調整時に求められた使用率に応じて調光フィルタデータが選択的にメモリから読み出される。
【0062】
一方、ステップS103において測定された光量が目標光量より少ない場合、DMD22を使った光量調整を行なうことができない。すなわち、測定される光量は有効ミラーすべてをON状態でも目標光量に到達しないため、不使用ミラー選定によって目標光量に一致させることができない。
【0063】
これは、放電ランプ20の使用経過に伴う出力低下であり、比較的長い点灯時間経過後に生じる。このような状態になった場合、放電ランプ20の出力がアップするように、ランプへの入力電力が調整される(S103)。
【0064】
具体的には、放電ランプ20からの照明光の光量が目標光量よりも所定量多い基準光量となるように、ランプ入力電力が調整される。例えば、測定光量が目標光量の120%の光量に到達するまでランプ入力電力を上げる。そして、再び調光フィルタデータが作成される。放電ランプ20の出力が一度調整されると、測定光量が目標光量より再び下回るまで、そのまま入力電力は一定に維持される。
【0065】
図4は、放電ランプの使用時間経過に伴う投影光の光量、入力電力、DMDの使用率を示したグラフである。
【0066】
図4に示すように、放電ランプ20の使用開始時の入力電力(初期電力)は、目標光量より高い基準光量を得る電力に設定されている。この入力電力を一定に維持しながら、DMD22を利用した光量調整(減光)によって、投影光の光量を目標光量L0に調整する。
【0067】
放電ランプ20の点灯中、放電ランプ20の出力は細かく変動することがあり、それに合わせてミラー使用率も増減する。しかしながら、点灯時間が長くなると、放電ランプ20の出力は徐々に低下していく。それに伴い、ミラー使用率も徐々に上昇していく。
【0068】
そして、測定光量が目標光量L0を下回ったとき、ランプ入力電力を増加させ、再び基準光量になるまで入力電力をVDだけ増加させる。新たに設定された入力電力を維持しながら、ミラー使用率を算出して光量調整を行う。
【0069】
その結果、図4に示すように、ランプ入力電力一定の期間、ミラー使用率が増減しながらも100%に向けて上昇して最終的にほぼ100%になるまでに達し、これが繰り返される。なお、ミラー使用率をすべて100%としたときの光量を、図4では2点鎖線L1で示している。
【0070】
このように、DMDを利用した調光処理を所定時間間隔で行いながら、DMD調光処理時間間隔よりも長いスパンで、ランプ入力電力を段階的に増加させ、最終的には上限となる最大電力までアップする。放電ランプ20の使用開始から寿命による使用終了まで、基板SWの投影エリアに対する光量、照度は、常に描画に適切な目標光量L0で維持される。
【0071】
ところで、パターンの必要とされる解像度を考慮すると、DMD22を使った減光には限度があり、使用率Rに下限値を設ける必要がある。使用率Rの下限値は、DMD22のチルト角度、画素数、画素サイズ、投影光学系の倍率、解像度、感光体の感度などによって定められる。ここでは、要求される解像度に差が生じない調整範囲を定めており、その使用率Rの下限値RZは、65%に定められている。
【0072】
したがって、放電ランプ20の出力を増加させるとき、使用率Rが下限値RZ=65%より小さくならないようにする必要がある。本実施形態では、出力増加のときに参照される基準光量が下限値RZに対応しており、ランプ出力が増加する度に使用率Rは下限値RZまで下がる。その結果、ランプ出力増加の間では、使用率Rが下限値RZ=65%〜100%までの光量調整範囲が利用される。
【0073】
図5は、ステップ&リピート方式による描画処理を示したフローチャートである。
【0074】
基板SWが移動する間、投影エリア(露光エリア)の相対位置が検出され、生成されたパターンデータに応じたパターンを投影すべき基板上のエリアに露光エリアが到達すると、基板SWが停止する(S201〜S203)。そして、ベクタデータからラスタデータが生成される(S204)。
【0075】
そして、メモリ32から調光フィルタデータが読み出されると、ラスタデータと調光フィルタデータの重ね合わせ(論理積)により、露光データが生成される(S205、S206)。露光データがDMD駆動回路24へ送られることにより、パターン光が投影される(S207)。描画が終了するまで、このような露光動作が繰り返し行なわれる(S208、S209)。
【0076】
このように本実施形態によれば、光量調整を行なう場合、DMD22の有効ミラーをON状態にして投影光の光量を測定し、測定された光量と目標光量との比である使用率Rを定める。そして、使用率Rに基づいて、不使用ミラーの配列を示す調光フィルタデータを生成する。このとき、不使用ミラーは、光量変化がエリア全体として実質的均一となるように配列されている。
【0077】
不使用ミラーの配列が、露光対象エリア全体に対して2次元的に略均等に分散した配列となり、露光エリア内における光量分布が光量調整前後において変わらず、エリア全体に対して一定量の光量増加/減少を実現することができる。
【0078】
DMD22を使った光量調整における使用ミラーの割合、すなわち使用率については、露光条件でいずれかの要件を満たす範囲で設定することも可能である。使用率の範囲は、DMDのサイズ、画素ピッチ、分解能、DMDチルト角度、フォトレジストなど感光体の多重露光限度回数などに従う。例えば、20%〜100%の範囲で設定可能である。
【0079】
また、調光フィルタデータを使用率に応じて予め作成してメモリに記憶させ、測定された光量と目標光量との比から、対応する調光フィルタデータを選択するように構成してもよい。さらには、テスト露光を事前に行ない、その結果に基づいて調光フィルタデータを選択してもよい。
【0080】
調光フィルタデータに基づいてOFF状態に設定される不使用ミラーを除いたミラーについては、パターンデータに基づいてON/OFF設定されるが、使用環境に応じて有効ミラーの一部を随時OFF設定してもよい。
【0081】
露光動作方式については、ステップ&リピートの代わりに連続的スキャン方式を適用しても良い。また、多重露光方式の代わりに、単一のショット露光を行なう方式であってもよい。さらに、DMD以外の光変調素子アレイを用いてもよく、放電ランプ以外の光源を適用することも可能である。また、マスク、レクチルを用いた露光装置において、DMDなど光変調素子アレイを専用フィルタデバイスとして別途装備する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 露光装置
20 放電ランプ
21 ランプ駆動部
22 DMD
28 露光データ生成回路
30 コントローラ
34 測光装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5