特許第5873330号(P5873330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873330
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】二層型クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20160216BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61Q1/14
   A61K8/31
   A61K8/03
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-290001(P2011-290001)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-139402(P2013-139402A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】村上 希恵
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−213724(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080389(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/004952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリヒドロキシC12−C22脂肪酸とジペンタエリスリトールのトリエステル、(B)油成分及び(C)水を含有し、成分(A)の含有量が0.001〜5質量%である二層型クレンジング化粧料。
【請求項2】
界面活性剤を実質的に含有しない請求項1記載の二層型クレンジング化粧料。
【請求項3】
ポリヒドロキシC12−C22脂肪酸とジペンタエリスリトールのトリエステルが、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルである、請求項記載の二層型クレンジング化粧料。
【請求項4】
(B)成分が、揮発性油剤を含有するものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の二層型クレンジング化粧料。
【請求項5】
揮発性油剤が、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種以上である、請求項4記載の二層型クレンジング化粧料。
【請求項6】
(B)成分中の揮発性油剤の含有割合が30〜100質量%である、請求項4又は5記載の二層型クレンジング化粧料。
【請求項7】
さらに(D)水溶性塩類を含有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の二層型クレンジング化粧料。
【請求項8】
さらに(E)水溶性色素を含有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の二層型クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二層型クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料を除去するためのクレンジング化粧料としては、液状油等を主成分とする油性クレンジング化粧料、油性成分を界面活性剤により乳化してクリーム状や乳液状にした乳化タイプのクレンジング化粧料、さらに水性成分や水溶性高分子を主成分とする水性クレンジング化粧料等が用いられてきた。しかし、これらの剤型には、昨今の化粧崩れしにくく化粧もちの良いメイクアップ化粧料に対する除去能が十分ではない、使用中・使用後の感触に劣る、除去効果に優れていても水により簡単に洗い流せない等、何らかの問題点があった。
【0003】
さらに、クレンジング化粧料には、上記の機能面や使用感触の面からの要求の他、外見的にも魅力的であるという審美的な面からの要求も多くなってきている。このような外見的に魅力的な剤型として、二層型化粧料が注目されている。二層型化粧料は、使用時に振とう・攪拌することにより容易に乳化混合され、放置すれば容易に再分離する化粧料である。このような乳化型化粧料は、使用する一定時間は均一な乳化状態を保持し、使用後は使用前と同じ状態の二層に完全に分離することが求められる。
【0004】
二層型のクレンジング化粧料に関する試みとしては、両性界面活性剤と2種以上の非イオン性界面活性剤との併用技術(特許文献1参照)、N−長鎖アシル塩基性アミノ酸誘導体及びその酸付加塩を用いる技術(特許文献2参照)、さらには2種の増粘剤と水溶性塩との併用技術(特許文献3参照)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記の例では二層型とすることはできるものの、水層と油層が共に液状を呈する場合には、きれいに二層に分離しないといった問題や、製剤の保存安定性に劣り、二層系を維持しがたいといった問題があった。そこで、共に液状層である場合の試みとして、塩化ベンザルコニウムを配合する技術が開示されている(特許文献4〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−121130号公報
【特許文献2】特開2004−196713号公報
【特許文献3】特開2007−269674号公報
【特許文献4】特開平6−211628号公報
【特許文献5】特開2001−213724号公報
【特許文献6】特開2010−222321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの二層型クレンジング化粧料は、二層分離性・除去効果・使用性に優れるものであるが、塩化ベンザルコニウムは、殺菌・消毒に用いられるカチオン性界面活性剤であって、化粧料に配合する際には配合上限が規制されており、皮膚への刺激性・安全性を考慮すると、組成物中に含有される塩化ベンザルコニウムは少量もしくは含有されないことが望ましい。また、塩化ベンザルコニウムを配合すると、着色のために配合した色素が凝集を起こしてしまう場合があった。
従って、水層と油層の二層からなり、振とうにより容易に乳化状態となり、使用に影響しない適度な時間を経てから二層に分離し、審美性に優れ、化粧落とし効果や使用感触が良好で、安全性の高い二層型クレンジング化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、油性分と水にトリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルを組み合わせることにより、振とうにより容易に乳化状態となり、使用に影響しない適度な時間を経てから二層に分離する二層型化粧料となること、そして係る二層型化粧料がクレンジング化粧料として、落ちにくいメイクアップ化粧料の除去効果に優れ、使用後の乾燥感を抑え、潤いのある良好な使用感を有し、さらに皮膚刺激も抑えられることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチル、(B)油性分及び(C)水を含有する二層型クレンジング化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、使用時の乳化混合を損なうことなく二層分離状態が安定に保たれた、外観に優れ、メイクアップ化粧料の除去効果に優れ、使用感触が良好で、安全性の高い二層型クレンジング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0012】
本発明で使用する(A)トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルは、ポリヒドロキシ脂肪酸とジペンタエリスリトールのトリエステルである。ポリヒドロキシ脂肪酸は、ヒドロキシ脂肪酸の重合物であり、ヒドロキシ脂肪酸としては、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシべへニン酸等の炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。このうち、炭素数16〜20のものが好ましく、さらに炭素数18のヒドロキシステアリン酸が好ましい。ヒドロキシ脂肪酸の重合度は、平均重合度で2〜12が好ましく、より好ましくは4〜12であり、さらに好ましくは6〜12である。具体的な(A)成分としては、トリポリヒドロキシラウリン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシミリスチン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシパルミチン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリヒドロキシべへニン酸ジペンタエリスリチルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、本発明ではポリヒドロキシステアリン酸とジペンタエリスリトールとのトリエステルであるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが好ましく用いられる。市販品としては、例えば、サラコスWO−6(日清オイリオグループ社製)が挙げられる。
【0013】
本発明の二層型クレンジング化粧料における(A)トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルの含有量は、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、0.001〜10質量%(以下、単に%と略す。)の範囲が好ましく、より好ましくは0.001〜5%の範囲であり、さらに好ましくは0.005〜3%の範囲であり、さらに好ましくは0.01〜1%の範囲である。これらの範囲内であれば、混合時の均一性により優れ、振とう後の二層への分離速度をより適度にコントロールでき、分離後はより安定な二層分離状態を維持することが可能となる。
【0014】
本発明で使用する(B)油成分は、本発明の二層型クレンジング化粧料において油層を形成するものである。本発明における油成分は、水との相溶性が低く、水と混合したときに分離する油分を指し、特に限定されないが、例えばエステル油、炭化水素油、植物油、シリコーン油、高級脂肪酸、エーテル油、高級アルコール等が挙げられる。これらのうち、本発明ではメイクアップ化粧料の除去効果に優れることから、揮発性油剤を用いることが好ましい。係る揮発性油剤としては、化粧品に配合し得る揮発性油分であれば特に限定されないが、例えば、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられる。さらにこれらのうちでも軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、デカメチルシクロペンタシロキサンが、メイクアップ化粧料の除去効果に加え、使用時のべたつきや刺激感のないものが得られることから特に好ましく用いられる。
【0015】
本発明の二層型クレンジング化粧料における(B)油成分の含有量は、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、10〜85%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜80%の範囲であり、さらに好ましくは30〜70%の範囲である。これらの範囲内であれば、メイクアップ化粧料の除去効果に優れ、使用時のべたつきや刺激感のないものが得られる。また、(B)油成分中の揮発性油剤の含有割合は、メイクアップ化粧料の除去効果の点から30〜100%が好ましく、40〜100%がより好ましく、50〜100%がさらに好ましい。
【0016】
本発明で使用する(C)水は、本発明の二層型クレンジング化粧料において水層を形成するものである。本発明の二層型クレンジング化粧料における(C)水の含有量は、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、10〜80%の範囲が好ましく、より好ましくは15〜70%であり、さらに好ましくは15〜60%の範囲である。この範囲内であれば、使用後の乾燥感を抑え、潤いのある良好な使用感を有するものが得られる。
【0017】
本発明の二層型クレンジング化粧料には、上記必須成分に加えて、(D)水溶性塩類を含有させることが好ましい。水溶性塩類は油層と水層の界面の安定化に寄与するため、本発明の二層型クレンジング化粧料において二層分離状態の安定的保持に効果的に作用する。水溶性塩類は、酸と塩基との中和反応によって生じるイオン性化合物で、水に溶解してイオンに解離するものであって、無機塩類、有機塩類を使用することができる。無機塩類としては塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸とアルカリ金属、アンモニウム等との塩が挙げられ、具体的には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などが挙げられる。有機塩類としては、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸とアルカリ金属、アンモニウム等との塩が挙げられる。本発明では、これらの各種塩類から1種以上を用いることができるが、無機塩類を用いるのが好ましく、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物を用いると、二層界面が白濁しにくいものが得られるため好ましい。
【0018】
本発明の二層型クレンジング化粧料における(D)水溶性塩類の含有量は、二層界面の安定化の点から、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、
0.001〜5%の範囲が好ましく、より好ましくは0.005〜1%であり、さらに好ましくは0.01〜0.5%の範囲である。
【0019】
塩化ベンザルコニウムを配合した従来の二層型クレンジング化粧料では、着色のために配合した水溶性色素が油層と水層の界面へ乳化物として凝集を起こし美観を損ねる場合があった。しかし、本発明の二層型クレンジング化粧料では、そのような現象が生じないため、着色成分として(E)水溶性色素を配合して、より美観に優れた二層型クレンジング化粧料とすることが可能である。ここで水溶性色素とは、油層と比較して水層への溶解性が高い色素を指し、化粧料一般に使用可能な色素であれば特に限定されない。本発明では、水溶性色素として、水溶性タール系色素が好ましく用いられる。具体的な水溶性タール系色素としては、例えば赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色105号の(1)、赤色105号の(2)、赤色106号、赤色213号、赤色214号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色205号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、紫色401号、黒色401号等が挙げられ、特に赤色106号、赤色227号、赤色401号、赤色504号、青色1号、緑色3号、緑色201号、紫色401号が、安定性、安全性により優れることから、好ましく用いられる。
【0020】
本発明の二層型クレンジング化粧料における(E)水溶性色素の含有量は、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、0.000005〜0.1%の範囲が好ましく、より好ましくは0.00001〜0.05%であり、さらに好ましくは0.00005〜0.01%の範囲である。
【0021】
本発明の二層型クレンジング化粧料には、上記各種成分の他に、通常用いられる他の成分を適宜加えることができる。例えば、エデト酸塩等のキレート剤、保湿剤、美白剤、血行促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、感触向上剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、動植物抽出物等を挙げることができ、これらを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0022】
本発明の二層型クレンジング化粧料は、安全性が懸念される界面活性剤を含有しなくとも振とうにより均一な乳化状態となり、次いで静置することで安定な二層分離状態が形成される。従って、本発明の二層型クレンジング化粧料は界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。
【0023】
本発明の二層型クレンジング化粧料は常法に従って、所定の成分を適宜混合することによって得られ、混合する順序によらず、全成分を均一に混合・分散することにより製造することができる。
【0024】
本発明の二層型クレンジング化粧料は、化粧料一般の除去に有用であるが、特に油性成分を主成分とする、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、アイブロウ等のアイメイクアップ化粧料、口紅等の口唇化粧料において優れた除去効果を発揮する。また、ファンデーション、サンスクリーン等のベースメイク化粧料を除去するためにも好適に使用することができる。
【0025】
本発明の二層型クレンジング化粧料には、化粧料の充填に適した容器であればいかなる形状、材質の容器を用いることが可能であるが、本発明の特徴である二層に分離して外観に優れるという点が生かされることから、無色若しくは有色の透明若しくは半透明の容器を用いるのが好ましい。
【0026】
(A)トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチル、(B)油成分及び(C)水を含有する本発明の二層型クレンジング化粧料の実施形態に関し、本発明は以下<1>〜<11>の二層型クレンジング化粧料であることが好ましい。
【0027】
<1>(A)成分が、ポリヒドロキシC12−C22脂肪酸とジペンタエリスリトールのトリエステルであり、好ましくはトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルである、前記の二層型クレンジング化粧料。
<2>(B)成分が、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン及びメチルトリメチコンから選ばれる1種以上であり、好ましくは軽質流動イソパラフィン、イソドデカン及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種以上である、前記<1>の二層型クレンジング化粧料。
<3>さらに(D)水溶性塩類として、無機塩類、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物を含有する、前記<1>又は<2>の二層型クレンジング化粧料。
<4>さらに(E)水溶性色素として、水溶性タール系色素、好ましくは赤色106号、赤色227号、赤色401号、赤色504号、青色1号、緑色3号、緑色201号及び紫色401号から選ばれる1種以上を含有する、前記<1>〜<3>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
<5>(A)成分の含有量が、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、0.001〜10%、好ましくは0.001〜5%、より好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.01〜1%の範囲である、前記<1>〜<4>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
<6>(B)成分の含有量が、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、10〜85%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%の範囲である、前記<1>〜<5>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
<7>(B)成分中の揮発性油剤の含有割合が、30〜100%、好ましくは40〜100%、より好ましくは50〜100%である、前記<1>〜<6>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
<8>(C)成分の含有量が、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、10〜80%、好ましくは15〜70%、より好ましくは15〜60%の範囲である、前記<1>〜<7>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
<9>(D)成分の含有量が、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、0.001〜5%、好ましくは0.005〜1%、より好ましくは0.01〜0.5%の範囲である、前記<3>〜<8>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
<10>(E)成分の含有量が、二層型クレンジング化粧料の総量を基準として、0.000005〜0.1%、好ましくは0.00001〜0.05%、より好ましくは0.00005〜0.01%の範囲である、前記<4>〜<9>いずれかの二層型クレンジング化粧料
<11>無色若しくは有色の透明若しくは半透明の容器に充填された、前記<1>〜<10>いずれかの二層型クレンジング化粧料。
【実施例】
【0028】
以下、実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、実施例における配合量は全て質量%である。
【0029】
表1に記載の配合組成よりなる二層型クレンジング化粧料を常法により調製してガラス製透明容器に充填し、下記の方法にて各種評価を実施した。
【0030】
<評価項目>
(A)振とう後の二層への分離速度
(B)二層分離性
(C)化粧料の除去効果
(D)使用時のべたつきのなさ
(E)使用時の刺激感のなさ
(F)使用後のうるおい感
【0031】
<評価方法>
評価項目(A)については、試料を上下に10回振とう後、二層に分離するまでの時間を下記判定基準(1)に基いて評価した。評価項目(B)については、試料を上下に10回振とうし、1時間経過後の油層と水層の界面の状態を目視観察して、下記判定基準(2)に基いて評価した。評価項目(C)〜(F)については、女性専門パネラー20名に通常のメイクアップ料を使用した後、試料をコットンに2gとり、メイクアップ料を除去してもらい、下記判定基準(3)に基いて各評価項目毎に評価してもらった。評価結果を表1に併せて示す。尚、評価項目(C)〜(F)の結果は、パネラー全員の評点から算出した平均点で示した。
【0032】
・判定基準(1)
◎:5分以上30分未満
○:3分以上5分未満
△:1分以上3分未満
×:1分未満で分離するか、30分以上分離しない
・判定基準(2)
◎:二層の界面が分離していることがはっきり分かる
○:界面が少しぼやけているが分離がはっきり分かる
△:界面に少量の乳化物が認められる
×:三層に分離している(上層:油層、中層:乳化物、下層:水層)又は混合している
・判定基準(3)
5:非常に良い
4:良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
【0033】
【表1】
【0034】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1〜13の二層型クレンジング化粧料は、振とう後の二層への分離速度、二層分離性に優れた性能を示していた。加えて、クレンジング効果に優れるとともに、使用時のべたつきのなさ、刺激感のなさ、使用後のうるおい効果においても優れた性能を示していた。表中、1E−04は10-4を示す。
【0035】
一方、(A)成分を欠くか、又は従来の界面活性剤等を配合した比較例1〜4では、評価試験のいずれかの項目又は振とう後の二層への分離速度、二層分離性において低い評価を示しており、本発明の目的を達成できなかった。実施例3は実施例2に水溶性色素を配合した例であるが、外観に表情が感じられ審美性に優れていた。一方、同じく水溶性色素を配合した比較例3では、油層と水層の界面に水溶性色素として配合した青色1号に由来する青色の乳化物が生じてしまい、実施例3と比較して審美性に劣っていた。
【0036】
以下、本発明の二層型クレンジング化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。
【0037】
実施例14(ポイントメイクアップリムーバー)
(配合成分) (配合量)
トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 0.5
(サラコスWO−6;日清オイリオグループ社製)
軽質流動イソパラフィン 30.0
トリス(トリメチルメトキシ)メチルシラン 10.0
イソノナン酸イソノニル 10.0
オリーブ油 0.1
ヒマワリ油 0.1
アーモンド油 0.1
オレンジ油 0.1
ジプロピレングリコール 2.5
塩化ナトリウム 0.15
リン酸一カリウム 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.05
ホエイエキス 0.1
(ホエイCPA;一丸ファルコス社製)
豆乳発酵液 0.1
(豆乳発酵液;三省製薬社製)
カンゾウエキス 0.1
(カンゾウ抽出液;丸善製薬社製)
カロット液汁 0.1
(ホモ フルーツ キャロット/N;エスペリス社製)
シイクワシャー果皮エキス 0.1
(シークワーサーエキスBG;日油社製)
センブリエキス 0.1
(センブリ抽出液−S;丸善製薬社製)
青色1号 0.0001
フェノキシエタノール 0.3
精製水 残 部
【0038】
実施例15(クレンジングローション)
(配合成分) (配合量)
トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 1.0
(サラコスWO−6;日清オイリオグループ社製)
デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0
流動パラフィン 10.0
ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール 10.0
スクワラン 5.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
塩化ナトリウム 0.15
リン酸一カリウム 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.05
シソエキス 0.1
(シソ抽出液SQ;丸善製薬社製)
シルク抽出液 0.1
(シルクプロテインエキス;一丸ファルコス社製)
ラミナリアオクロロイカエキス 0.1
(LAMINAINE−BG;Biotech Marine社製)
L−アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム 0.01
グリシン 0.0001
L−プロリン 0.0001
L−アラニン 0.0001
赤色401号 0.00006
フェノキシエタノール 0.3
精製水 残 部
【0039】
実施例14、15の二層型クレンジング化粧料を常法に従って調製し、実施例14はガラス製透明容器に、実施例15はガラス製半透明容器に充填した。実施例14、15の二層型クレンジング化粧料についても、振とう後の二層への分離速度、二層分離性、化粧料の除去効果、使用時のべたつきのなさ、刺激感のなさ、使用後のうるおい効果において、優れた特性を有し、また審美性においても優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によって、水層と油層の二層からなり、振とうにより容易に乳化状態となり、使用に影響しない適度な時間を経てから二層に分離する、審美性に優れ、化粧落とし効果や使用感触が良好で、安全性の高い二層型クレンジング化粧料を提供することが可能である。