(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シャフト型リニアモータは、電機子がコアを備えない、いわゆるコアレスリニアモータであるため、発生する駆動力(ノズル部材の推進力)が比較的小さい。そのため、例えば実装効率を高めるためにノズル部材をより高速で駆動させようとすると、電機子(コイル)の大型化が必要となり、ノズル部材の配列の狭ピッチ化やヘッドユニットの小型化が阻害される。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、複数のノズル部材が前後2列に配列された状態でヘッドユニットに搭載される部品実装装置において、ノズル部材をより高速で昇降駆動できるようにしながら、ノズル部材の狭ピッチ化やヘッドユニットの小型化を図ることができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明の部品実装装置は
、第1方向に一列に並ぶ複数
のノズル部材を
含む第1ノズル列
と、前記第1方向に一列に並ぶ複数のノズル部材を含みかつ前記第1ノズル列に対して前記第1方向と直交する第2方向に並ぶ第2ノズル列と、
前記第1ノズル列のノズル部材
を昇降駆動する
第1リニアモータと、
前記第2ノズル列のノズル部材を昇降駆動する第2リニアモータとを有するヘッドユニットを備え、
前記第1リニアモータおよび前記第2リニアモータはそれぞれ、リニアモータ本体と、このリニアモータ本体を支持するフレーム部材と、を含み、
前記リニアモータ本体は、前記フレーム部材に固定される固定子
と、この固定子に対して前記第2方向に対向して配置される可動子
と、前記フレーム部材に取り付けられて前記可動子を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、を含み、前記固定子は、前記第2方向にそれぞれ延びかつ上下方向に並ぶ複数のティースを有するコアと、当該コアの各ティースに装着されるコイルとを備える電機子
であり、前記可動子は、前記固定子に対向する側の表面極性が交互に異なるように上下方向に配列される複数の永久磁石を含む界磁子
であり
、前記ノズル部材は、前
記可動子
に連結されており、前記第
1リニアモータ
および前記第
2リニアモー
タは、
それぞれ前記リニアモータ本体の可動子の上下方向の位置を検出するリニアエンコーダを含み、かつ、前記第2方向において可動子同士が
互いに近接し
て当該可動子の外側に
それぞれ固定子およびリニアエンコーダが位置するように前記ヘッドユニットに搭載されているものである。
【0007】
この部品実装装置によれば、ノズル部材を駆動する
第1、第2リニアモータは、コアとコイル
を備えた電機子(固定子)
により構成されるいわゆるコア付リニアモータであるため、小型の電機子(固定子)を備えたコンパクトな構成で比較的大きい推進力、すなわちノズル部材の駆動力を得ることが可能となる。しかも、
第1、第2リニアモータは、可動子と固定子とが第2方向に並ぶ構成であり、第1方向の占有スペースを抑えることが可能であるため、各ノズル列におけるノズル部材同士を第1方向に狭ピッチで配列することが可能となる。また、ノズル部材が連結される可動子同士が第2方向に近接するように、第1ノズル列の
ノズル部材を駆動する第1リニアモータと第2ノズル列の
ノズル部材を駆動する第2リニアモータとが配置されるため、ノズル列間(つまり、第2方向)についてもノズル部材同士を狭ピッチで配列することが可能となる。
【0008】
この部品実装装置において、前
記可動子は、前記固定子に対向する対向面を有して上下方向に延び、かつ前記支持部材により移動可能に支持される軸状部材を備え、この軸状部材の前記対向面に前記複数の永久磁石が固定され
たものであり、前記リニアエンコーダは、前記可動子のうち前記対向面と同じ側に固定される磁気スケールと、前記固定子に対して上下方向に並ぶように前記フレーム部材に設けられかつ前記磁気スケールを読み取る磁気センサとを含む
ものである。
【0009】
この構成によれば、
第1、第2リニアモータ
に関して、可動子の表面(固定子に対向する面)から支持部材の底面(フレーム部材に対する固定面)までの寸法をより小さくできるため、ノズル列間のノズル部材同士を第2方向により狭ピッチで配列することが可能となる。
【0010】
なお、上記の部品実装装置において、前記第
1リニアモータ
のリニアモータ本体と前記第
2リニアモータ
のリニアモータ本体とは第2方向に並んで配置されるものであってもよいが、前記第
1リニアモータ
のリニアモータ本体と前記第
2リニアモータ
のリニアモータ本体とが前記第1方向に互いにオフセットされているものであってもよい。
【0011】
また、上記の部品実装装置において、
前記第1リニアモータは、前記第1方向に並列に配置される複
数の前記リニアモータ本体
と、これら複
数のリニアモータ本体
にそれぞれ対応する複数の前記リニアエンコーダと、これら複数のリニアモータ本体および複数のリニアエンコーダを一体に支持する、前記フレーム部材である一つの第1フレーム部材
とを有し、前
記第2リニアモータは、前記第1方向に並列に配置される複
数の前記リニアモータ本体
と、これら複
数のリニアモータ本体
にそれぞれ対応する複数の前記リニアエンコーダと、これら複数のリニアモータ本体および複数のリニアエンコーダを一体に支持する、前記フレーム部材である一つの第2フレーム部材
とを有するのが好適である。
【0012】
このような構成によれば、各ノズル列について、複数のノズル部材を駆動するリニアモータについて、それらのフレーム部材が共通化される。そのため、フレーム部材の占有スペースを抑制して、ヘッドユニットの小型化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の部品実装装置は、いわゆるコア付リニアモータを用いてノズル部材を昇降駆動するようにした上で、第1方向の占有スペースを抑制するように各リニアモータを構成するとともに、ノズル列間で可動子同士が近接するように各ノズル列のリニアモータ同士を配置したので、従来のものに比べてノズル部材を高速で昇降駆動することができる一方で、良好にノズル部材の配列の狭ピッチ化やヘッドユニットの小型化も図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0016】
図1は、本発明に係る部品実装装置を平面図で概略的に示している。なお、
図1及び後に説明する図面には、方向関係を明確にするためにXYZ直角座標軸が示されている。
【0017】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置されてプリント配線板(PWB;Printed
wiring board)等の基板3をX方向に搬送する基板搬送機構2と、部品供給部4、5と、部品実装用のヘッドユニット6と、このヘッドユニット6を駆動するヘッドユニット駆動機構と、部品認識のための撮像ユニット7等とを備える。
【0018】
前記基板搬送機構2は、基台1上において基板3を搬送する一対のコンベア2a、2aを含む。これらコンベア2a、2aは、同図の右側から基板3を受け入れて所定の実装作業位置(同図に示す位置)に搬送し、図略の保持装置により当該基板3を保持する。そして、実装作業後、当該基板3の保持を解除し、この基板3を同図の左側に搬出する。
【0019】
前記部品供給部4、5は、前記基板搬送機構2の両側(Y方向両側)に配置されている。これら部品供給部4、5のうち一方側の部品供給部4には、基板搬送機構2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ4aが配置されている。これらテープフィーダ4aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながら基板搬送機構2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。一方、他方側の部品供給部5には、X方向に所定の間隔を隔ててトレイ5a、5bがセットされている。各トレイ5a、5bには、後述するヘッドユニット6による取出しが可能となるように、各々、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品が整列して載置されている。
【0020】
前記ヘッドユニット6は、部品供給部4、5から部品を取り出して基板3上に実装するものであり、基板搬送機構2および部品供給部4,5等の上方に配置されている。
【0021】
前記ヘッドユニット6は、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向およびY方向に移動可能とされている。このヘッドユニット駆動機構は、基台1上に設けられる一対の高架フレーム1a、1aにそれぞれ固定され、Y方向に互いに平行に延びる一対の固定レール9と、これら固定レール9に支持されてX方向に延びるユニット支持部材12と、このユニット支持部材12に螺合挿入されてY軸サーボモータ11より駆動されるボールねじ軸10とを含む。また、ユニット支持部材11に固定され、ヘッドユニット6をX方向に移動可能に支持する固定レール13と、ヘッドユニット6に螺合挿入されてX軸サーボモータ15を駆動源として駆動されるボールねじ軸14とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、X軸サーボモータ15の駆動によりボールねじ軸14を介してヘッドユニット6をX方向に移動させる共に、Y軸サーボモータ11の駆動によりボールねじ軸10を介してユニット支持部材12をY方向に移動させ、その結果、ヘッドユニット6を一定の領域内でX方向およびY方向に移動させる。
【0022】
前記ヘッドユニット6は、
図2及び
図3に示すように、X方向に沿って並ぶ二つの前列ヘッド16a、16bと、この前列ヘッド16a、16bの背後において同様にX方向に沿って並ぶ二つの後列ヘッド17a、17bとを備えている。前列ヘッド16a、16b及び後列ヘッド17a、17bは、後に詳述するが、何れも多軸リニアモータを備えたユニットである。前列ヘッド16a、16bは、それぞれX方向(本発明の第1方向に相当する)に一列に並びかつZ方向に延びる三本の駆動シャフト18を備えており、後列ヘッド17a、17bは、それぞれX方向に一列に並びかつZ方向に延びる二本の駆動シャフト18を有している。これにより、ヘッドユニット6には、合計10本の駆動シャフト18が前後方向(Y方向;本発明の第2方向に相当する)に二列に振り分けられた状態で、具体的には前列6本、後列4本に振り分けられた状態で設けられている。当例では、前列ヘッド16a、16bの各ノズル19(駆動シャフト18)により形成されるノズル列が本発明の第1ノズル列に相当し、後列ヘッド17a、17bの各ノズル19(駆動シャフト18)により形成されるノズル列が本発明の第2ノズル列に相当する。なお、前列ヘッド16a、16bの各駆動シャフト18と後列ヘッド17a、17bの各駆動シャフト18とは互いにX方向にオフセットされており、これにより10個のノズル19(駆動シャフト18)が全体として千鳥状に配列されている。
【0023】
各駆動シャフト18の先端(下端)には部品吸着用のノズル19が取付けられている。各ノズル19は、それぞれ電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置および大気の何れかに連通可能とされている。これにより、前記ノズル19に負圧が供給されることで当該ノズル19による部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着状態が解除される。当例では、この駆動シャフト18及びノズル19が本発明のノズル部材に相当する。
【0024】
各ノズル19(駆動シャフト18)は、ヘッドユニット6に対して昇降(Z方向の移動)および中心軸回り(R方向)の回転が可能とされ、昇降駆動機構および回転駆動機構によりそれぞれ駆動される。これらの駆動機構のうち昇降駆動機構は各ヘッド16a〜17bに各々組み込まれている。なお、昇降駆動機構を含む各ヘッド16a〜17bの構成、及びノズル19の回転駆動機構の構成については、後に説明する。
【0025】
前記撮像ユニット7は、各ノズル19による部品の保持状態を画像認識するために、部品供給部4、5から取り出された部品を実装に先立ち撮像するものである。この部品撮像ユニット7は、前記基台1上であって前記トレイ5a、5bの間の位置に配置されている。この撮像ユニット7は、基台1上に固定的に配置されており、各ノズル19に保持された部品をその下側から撮像するカメラ(イメージセンサ)と、部品に対して撮像用の照明を与える照明装置とを備えており、部品供給部4、5からの部品吸着後、前記ヘッドユニット6が当該撮像ユニット7の上方を移動する際に、各ノズル19の保持部品を撮像し、その画像データを図外の制御装置に出力するようになっている。
【0026】
次に、ヘッドユニット6および各ヘッド16a〜17bの具体的構成について説明する。
【0027】
ヘッドユニット6は、上記の通り、前列ヘッド16a、16b及び後列ヘッド17a、17bの合計4つのヘッド16a〜17bを備えている。
図3及び
図4に示すように、これらヘッド16a〜17bのうち右側(−X方向側)に位置するヘッド16a、17a同士は前後方向(Y方向)に互いに隣接しており、同様に、左側に位置するヘッド16b、17b同士は前後方向に隣接している。そして、この状態で各ヘッド16a〜17bがヘッドユニット6のヘッドフレーム61に固定されている。
【0028】
以下、主に
図5〜
図7を参照しながら、前列ヘッド16aを例に、当該ヘッド16a〜17bの構成について説明する。
【0029】
前列ヘッド16aは、概略的には、3軸構成の多軸リニアモータと、この多軸リニアモータ(以下、単にリニアモータと略す)によって上下に個別に駆動される3本の前記駆動シャフト18と、各駆動シャフト18の下端部に取り付けられる前記ノズル19と、リターンスプリング20と、リニアエンコーダ32とを備えている。
【0030】
リニアモータは、固定子24、可動子26及び当該可動子26を移動可能に保持する支持部材28を含むリニアモータ本体22と、当該リニアモータ本体22が組み込まれるフレーム部材30とから構成されており、3個のリニアモータ本体22と、これらリニアモータ本体22にそれぞれ対応する3つのリニアエンコーダ32及び3つのリターンスプリング20とが共通の前記フレーム部材30に組み込まれた構成を有する。そして、各リニアモータの可動子26にそれぞれ前記駆動シャフト18が連結され、各リニアモータ本体22によりそれぞれノズル19(駆動シャフト18)がZ方向に昇降駆動されると共に、リニアモータ本体22の停止時には、リターンスプリング20の付勢力でそれぞれノズル19が所定の上昇端位置に保持されるように構成されている。
【0031】
詳細に説明すると、前記フレーム部材30は、Y方向を法線方向とするエンドブロック310と、エンドフレーム310のX方向両側に配置される一対のサイドプレート312と、両サイドプレート312をエンドフレーム310との間でY方向に挟むフロントブロック314とを備えた、Z方向に貫通する箱形の形状を有する。これらブロック310、314及びプレート312は、何れもアルミ合金等の非磁性材料から形成されている。
【0032】
各リニアモータ本体22は、上記の通り固定子24、可動子26及び支持部材28を含む。固定子24は、Z方向に延びるヨーク、及びこのヨークの側部から後側(−Y方向側)に向かい直角に延びる多数のティースを一体に有する櫛型のコア241と当該コア241の各ティースに装着されるコイル242とを備えた電機子から構成されている。各リニアモータ本体22の固定子24は、X方向に並列に並べられた状態で、それぞれ前記フロントブロック314に固定されている。すなわち、フレーム部材30は、各固定子24を支持している。なお、
図6、
図7中の符号244は、各固定子24(コイル242)に対してそれぞれ駆動用の電流を供給するための配線である。
【0033】
一方、可動子26は、前記固定子24に対してY方向に横並びに設けられている。可動子26は、前記固定子24に対向する対向面を有し、Z方向に延びる断面矩形の軸状部材261と、この軸状部材261の前記対向面に固定される界磁子としての複数の永久磁石262と、前記駆動シャフト18が取り付けられる取付ブロック263とを備えている。
【0034】
前記複数の永久磁石262は、表面側(すなわち固定子24側)の極性が交互に異なるように、軸状部材261の上端(+Z方向側端)から一定の範囲にZ方向に沿って固定されている。軸状部材261のうち前記永久磁石262が固定される領域よりも下側(
−Z方向側端)には、前記取付ブロック263が取り付けられている。この取付ブロック263は、矩形断面のスリーブ部263aと、スリーブ部263aの下端部分に連設されるシャフト取付部263bとを一体に有する構造体である。そして、このシャフト取付部263bに対して前記駆動シャフト18の上端部が固定されている(図
4参照)。また、シャフト取付部263bの上端前面には、Y方向に沿って前方に突出するスタッドピン264が立設されており、前記リターンスプリング20の一端部が取り付けられている。リターンスプリング20は、スリーブ部263aの内部を通って、他端部をスリーブ263aの上方に臨ませている。
【0035】
各リニアモータ本体22の可動子26は、X方向に並列に並べられ、それぞれ前記電機子(固定子24)に対して界磁子(永久磁石262)がY方向に対向するように、詳しくは、固定子24と可動子26との間(正確には櫛形のコア241の可動子側端部と永久磁石262の固定子側表面との間)に所定のギャップが形成されるように配置された上で、それぞれ長手方向(軸状部材261の長手方向;Z方向)にスライド可能となるように、前記エンドブロック310に固定された複数の前記支持部材28に装着されている。すなわち、各支持部材28は、リニアモータ本体22毎にフレーム部材に取り付けられ、各可動子26を上下方向にそれぞれ独立に移動可能に支持する。なお、
図7中では、支持部材28は、最も手前側(−X方向側)に位置する可動子26を保持するもののみ図示されており、他は省略されている。そして、前記リターンスプリング20の他端部が、図略のボルトでフロントブロック314に取り付けられている。これにより、当該リニアモータでは、図外の制御装置から各リニアモータ本体22の固定子24(電機子)に所定の駆動電流が与えられると、詳しくは、各コイル242に位相の異なる三相電流が与えられると、各コイル242に磁界が生成されて前記固定子24と可動子26との間に当該可動子26をZ方向に移動させる推進力が発生し、この推進力により可動子2(駆動シャフト18)がフレーム部材30に対してZ方向に移動するようになっている。そして、各コイル242に対して電流供給が遮断されると、前記リターンスプリング20の弾発力により、前記軸状部材261がZ軸に沿って上方に付勢され、これにより可動子26(駆動シャフト18)がその可動領域の上端位置に保持されるようになっている。
【0036】
前列ヘッド16aは、図
2に概略的に示すように(
図7では省略している)、前記フレーム部材30(エンドブロック310)に固定される遮蔽部材29をさらに備えている。遮蔽部材29は、隣接するリニアモータ本体22間の相互作用、例えば可動子26が連れ動きする等の悪影響を防止するためのものであり、隣接する可動子26の間にそれぞれ介在する遮蔽壁を備えた断面コ字型の部材であり、全体が磁性体から形成されている。
【0037】
なお、軸状部材261および支持部材28は、レール部材とこのレール部材に移動自在に装着されるスライダとを備えた所謂リニアガイドと称されるガイド装置により構成されている。つまり、このガイド装置のレール部材により前記可動子26を構成する前記軸状部材261が構成され、フレーム部材30に固定支持されるスライダにより前記支持部材28が構成されている。この構成により、各リニアモータ本体22は、可動子26(駆動シャフト18)を安定的にかつ円滑にZ方向に移動させることが可能に構成されている。また、前記軸状部材261(レール部材)は、磁性材料から構成されており、これにより、上記リニアモータでは、軸状部材261が界磁子(永久磁石262)のバックヨークを兼ねた構成となっている。また、各リニアモータ本体22の支持部材28は、図
2に示すように、隣設されるリニアモータ本体22の支持部材28同士が上下にずれた千鳥状の配置とされており、これにより隣接するリニアモータ本体22の固定子24及び可動子26がX方向により接近して配置されるようになっている。
【0038】
リニアエンコーダ32は、リニアモータ本体22の可動子26のZ方向の位置を検出するためのものであり、MRセンサやホールセンサ等の磁気センサを備えたセンサ基板321と、前記磁気センサにより読み取り可能な磁気的な目盛りが記録されたプレート状の磁気スケール322とを含む。リニアエンコーダ32は、各リニアモータ本体22に対応して設けられている。具体的には、
図7に示すように、各固定子24の下側(−Z方向側)にそれぞれ位置するように3個のセンサ基板321が並列に並べられた状態で前記フロントブロック314に固定されている。そして、各可動子26の前記取付ブロック263(スリーブ部263a)の前側に平坦な取付面がそれぞれ形成され、各取付面に前記磁気スケール322がそれぞれ固定されている。これにより、リニアモータの駆動時には、各センサ基板321の磁気センサが対応する磁気スケール322をそれぞれ読み取ることによって、図外の制御装置により各可動子26の位置が制御されるようになっている。
【0039】
以上は、ヘッドユニット6の右側に位置する前列ヘッド16aの構成について説明したが、左側に位置する前列ヘッド16bも同等の構成を有する。また、後列ヘッド17a、17bも、リニアモータ本体22の数が2つである点を除き、前記前列ヘッド16aと同等の構成を有する。なお、当実施形態では、前列ヘッド16a、16bのリニアモータ
が本発明の第1リニアモータに相当し、後列ヘッド17a、17bのリニアモータが本発明の第2リニアモータに相当し、前列ヘッド16a、16bの各リニアモータのフレーム部材30が本発明の第1フレーム部材に相当し、後列ヘッド17a、17bの各リニアモータのフレーム部材が本発明の第2フレーム部材に相当する。
【0040】
前列ヘッド16a、16bと後列ヘッド17a、17bとは、
図5に示すように、フレーム部材30のエンドブロック310同士が当接するように背中合わせに配置された状態、すなわち、リニアモータ本体22の可動子26同士が近接し、当該可動子26の外側に固定子24同士が位置するように配置された状態でヘッドユニット6のヘッドフレーム61に固定されている。なお、前列ヘッド16a、16b及び後列ヘッド17a、17bは、ヘッドユニット6の正面視の状態(+Y方向側から見た状態)で前後のノズル19(駆動シャフト18)が交互に並ぶように、前列ヘッド16a、17aの各リニアモータ本体22と後列ヘッド17a、17bの各リニアモータ本体22とがX方向にオフセットされた構成を有している。
【0041】
各ヘッド16a〜17bの駆動シャフト18は、
図4に示すように、当該駆動シャフト18をその中心軸回り(R方向)に回転可能に保持するシャフト保持部材181を介して前記可動子26の取付ブロック263に組み付けられ、さらに、Z方向の移動及び中心軸回り(R方向)に回転がそれぞれ可能となる状態で、長手方向の途中部分がヘッドフレーム61の図外の保持部に保持されている。そして、前記ヘッドフレーム61に固定される図外の2つのR軸サーボモータ42a、42b(
図3に示す)に装着される駆動プーリと各駆動シャフト18にスプライン結合で装着される図外の従動プーリとにわたって所定の順序で駆動ベルトが掛け渡されることにより、各ヘッド16a〜17bのノズル19(駆動シャフト18)が特定のグループ毎に一体に回転駆動されるように前記回転駆動機構が構成されている。
【0042】
上記の部品実装装置では、次のようにして部品の実装が行われる。
【0043】
まず、ヘッドユニット6が部品供給部4、5上に移動して各ノズル19による部品の吸着が行われる。具体的には、所定のノズル19が例えばテープフィーダ4aの上方に配置された後、リニアモータにより駆動シャフト18が昇降駆動され、これによりノズル19が下降してテープ内の部品を吸着して取出す。この際、可能な場合には、複数のノズル19により同時に部品の取出しが行われる。部品の吸着が完了すると、所定の経路に沿ってヘッドユニット6が部品撮像ユニット7の上方を経由してから基板3上に移動する。この移動中に、各ノズル19による部品の吸着状態が画像認識されて実装時の補正量が演算されるとともに、吸着された部品の方向を所定角度にすべく、駆動シャフト18がシャフト保持部材181により回動される。そして、ヘッドユニット6が前記補正量を織り込んだ基板3上の最初の実装位置に到達すると、リニアモータにより駆動シャフト18が昇降駆動されて基板3上に部品が実装され、以降、ヘッドユニット6が順次実装位置に移動することにより基板3上に残りの吸着部品が実装されることとなる。
【0044】
上述した部品実装装置によれば、各ノズル19(駆動シャフト18)を昇降駆動するリニアモータ(リニアモータ本体22)が、コア241とこれに装着されるコイル242とから電機子(固定子24)が構成されるいわゆるコア付リニアモータであるため、比較的小さな電機子(固定子24)を備えたコンパクトなリニアモータ(リニアモータ本体22)で比較的大きい推進力、すなわちノズル19の昇降駆動力を得ることができる。しかも、リニアモータ(リニアモータ本体22)は、固定子24と可動子26とがY方向に並ぶ構成であってX方向の占有スペースを抑えることが可能であるため、各ヘッド16a〜17bにおいて、各ノズル19(駆動シャフト18)をX方向に狭ピッチで配列することができる。また、リニアモータ本体22の可動子26同士が近接し、当該可動子26の外側に固定子24同士が位置するように前列ヘッド16a、16bと後列ヘッド17a、17bとが配置されているので、前列のノズル19と後列のノズル19とをY方向に狭ピッチで配列することもできる。特に、リニアモータ(リニアモータ本体22)の可動子26は、軸状部材261に永久磁石262が積層された構成であって支持部材28によって直接フレーム部材30に移動可能に固定されているので、可動子26の表面(固定子に対向する面)から支持部材28の底面(エンドブロック310に対する固定面)までの寸法が非常に小さく、この点でも前列のノズル19と後列のノズル19とをY方向に狭ピッチで配列することもできる。従って、この部品実装装置によれば、従来のこの種の部品実装装置(特許文献1に記載のもの)と比べると、ノズル19(駆動シャフト18)をより高速で昇降駆動することができる一方で、良好にノズル部材の配列の狭ピッチ化やヘッドユニットの小型化を図ることができる。
【0045】
また、このリニアモータでは、上記の通り、軸状部材261が磁性材料から構成されて、これによって軸状部材261が界磁子(永久磁石262)のバックヨークを兼ねた構成となっているので、別途、専用のバックヨークを設ける必要がない。従って、別途、専用のバックヨークを設ける構成に比べると、可動子26の表面(固定子に対向する面)から支持部材28の底面(エンドブロック310に対する固定面)までの寸法が縮小される。従って、この点でも、前列ヘッド16a、16bのノズル19と後列ヘッド17a、17bの各ノズル19とをY方向に狭ピッチで配列することができる。
【0046】
また、上記リニアモータは、多軸リニアモータであって、固定子24、可動子26及び支持部材28からなる3つ(又は2つ)のリニアモータ本体22が中空箱型の共通のフレーム部材30の内部に並列に並べられた状態で一体的に組み込まれ、各固定子24、及び各支持部材28がそれぞれ共通のフレーム部材30に固定支持されている。このような構成によれば、互いに独立した構造のリニアモータを複数個並設する構成、つまり、リニアモータ本体22同士を完全にフレーム等で仕切る構成にくらべるとフレーム部材30の占有スペースを抑制することができ、これによりリニアモータ全体がリニアモータ本体22の並び方向にコンパクト化される。従って、このようにリニアモータがコンパクト化される分、ヘッドユニット6の小型化を図ることができるという利点もある。
【0047】
また、上記の部品実装装置によれば、リニアモータ本体22の可動子26同士が近接し、当該可動子26の外側に固定子24同士が位置するように前列ヘッド16a、16bと後列ヘッド17a、17bとが配置されている、つまり、銅損による発熱が生じる固定子24(電機子)同士が離間するように前後のリニアモータが配置されているので、ヘッドフレーム61の特定部分が熱変形することが効果的に防止される。従って、当該熱変形に起因するノズル19(駆動シャフト18)の駆動誤差の発生を未然に防止して部品実装を精度良く行うことが可能になるという利点もある。
【0048】
なお、以上説明した部品実装装置は、本発明にかかる部品実装装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態は、ヘッドユニット6は、3軸(2軸)構成の多軸リニアモータ、すなわち、3つ(2つ)のリニアモータ本体22が共通のフレーム部材30に組み込まれたリニアモータによりノズル19(駆動シャフト18)を駆動する構成であるが、勿論、単軸リニアモータによりノズル19(駆動シャフト18)を駆動する構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態は、前列ヘッド16a、16bの各ノズル19(駆動シャフト18)と後列ヘッド17a、17bのノズル19(駆動シャフト18)とがX方向にオフセットされているが、勿論、前後のノズル19がX方向の同位置でY方向に並ぶ構成であってもよい。但し、実施形態のように前列のノズル19と後列のノズル19とがX方向にオフセットされる構成、つまり、上記のように前列のリニアモータ本体22と後列のリニアモータ本体22とがX方向にオフセットされる構成によれば、前後のリニアモータ本体22がX方向の同位置でY方向に並ぶ構成に比べて、前後のリニアモータの固定子24(電機子)同士を離間させることができる。従って、ヘッドフレーム61の熱変形を防止する観点では、上記実施形態のように前列のノズル19と後列のノズル19とがX方向にオフセットされる構成が有利である。
【0051】
また、上記実施形態のリニアモータでは、軸状部材261が磁性材料から構成されることにより、軸状部材261が界磁子(永久磁石262)のバックヨークを兼ねた構成となっているが、勿論、軸状部材261と永久磁石262との間に専用のバックヨークを介装するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態のリニアモータでは、各固定子24と、スライダにより構成される各支持部材28とを直接フレーム部材30に固定支持するようにしているが、中間物を介してフレーム部材30に固定支持するようにしてもよい。