(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
戸袋の内部に収容された開放位置と、戸袋の外部へ突出した閉止位置とへ移動可能に設けられた車両用ドアが、前記戸袋との間の隙間に異物が挟まった戸挟み状態であることを検出するための戸挟み検出装置であって、
弾性部材からなり前記戸袋の開口部に前記車両用ドアに面して設けられた戸袋弾性部材と、
前記戸袋弾性部材に取り付けられた戸袋圧電材と、
前記戸袋圧電材から発生する電荷量の変化を検知することにより、前記車両用ドアが戸挟み状態であることを検出する検出器と、
を備え、
前記戸袋圧電材が、前記戸袋弾性部材の外側面であって前記戸袋の内部側に取り付けられていることを特徴とする戸挟み検出装置。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の進行方向に向かって両側部には、乗客が乗降用に使用する車両用ドアが開閉可能に設けられている。この車両用ドアの開閉方式としては、戸板が左右方向にスライドする引き戸方式が一般的であって、特に、相対向して設けられた一対の戸板が互いに近接または離間するようにして開閉する方式が広く用いられている。
【0003】
ここで、車両用ドアの開閉方向両側には、戸板を収容可能な戸袋がそれぞれ設けられている。そして、車両用ドアの開放時には、互いに離間した一対の戸板が開閉方向両側の戸袋の内部にそれぞれ収容される。一方、車両用ドアの閉止時には、一対の戸板が戸袋の外部へそれぞれ突出することにより互いに近接する。
【0004】
また、戸袋の開口部には、戸板との間の隙間を覆うようにして、ゴム材からなるいわゆる戸袋ゴムが設けられる(例えば、特許文献1を参照)。この戸袋ゴムは、車両用ドアを開く際に、乗客の体や所持品等の異物(以下、単に「異物」と呼ぶ)が前記隙間に挟まるのを抑止する役割を果たすものである。また、戸袋ゴムは弾性変形するので、万が一隙間の内部に異物が挟まった場合でも、異物を隙間の外部へ容易に引き抜くことができる。
【0005】
しかし、この戸袋ゴムの存在に拘らず、前記隙間に異物が挟まって引き抜けなくなる場合がある。この場合、車両用ドアの開放動作が途中で止まり、鉄道車両の正常運行に影響を及ぼす恐れがあるので、車両用ドアにおいては、前記隙間に異物が挟まった不完全な開放状態、すなわち戸挟み状態であることを早急かつ確実に検出することが必要とされる。そこで従来、特許文献1に示すように、前記隙間の内部における戸袋ゴムより内側の位置に、戸挟み状態を検出可能な戸挟み検出装置を設置することが提案されている。そして、この戸挟み検出装置によって戸挟み状態が検知されると、車掌等が車両用ドアを閉じて戸挟み状態を解消するようになっている。
【0006】
ここで、特許文献1では、この戸挟み検出装置として、いわゆるテープスイッチ(登録商標)を用いている。このテープスイッチは、テープ状の感圧スイッチであって、異物が接触して圧力が作用した箇所で上下一対の電極が接触することにより、ON状態となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載された従来の戸挟み検出装置は、戸袋の開口部に設けられる戸袋ゴムとは別に、戸袋の内部にテープスイッチを設置することで構成される。従って、異物が戸袋ゴムの位置を越えて戸袋の内部にまで到達しなければ戸挟み状態が検出されないため、戸挟み状態の検出タイミングが遅れるという問題がある。また、戸袋ゴムとは別に戸挟み検出装置を設置するため、部品点数が増加するとともに、戸袋が大型化するという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、このような事情を考慮してなされたものであり、少ない部品点数で且つ戸袋が大型化することもなく、戸袋の開口部における戸挟み状態の発生を早いタイミングで検出可能な戸挟み検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係る戸挟み検出装置は、戸袋の内部に収容された開放位置と、戸袋の外部へ突出した閉止位置とへ移動可能に設けられた車両用ドアが、前記戸袋との間の隙間に異物が挟まった戸挟み状態であることを検出するための戸挟み検出装置であって、弾性部材からなり前記戸袋の開口部に前記車両用ドアに面して設けられた戸袋弾性部材と、前記戸袋弾性部材に取り付けられた戸袋圧電材と、前記戸袋圧電材から発生する電荷量の変化を検知することにより、前記車両用ドアが戸挟み状態であることを検出する検出器と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、車両用ドアと戸袋との間に異物が挟まった戸挟み状態になると、戸袋の開口部に設けられた戸袋弾性体が異物に押圧されることによって弾性変形する。そうすると、この戸袋弾性体の弾性変形に伴って、それに取り付けられた戸袋圧電材にも変形が生じ、これにより戸袋圧電材に対して応力が作用する。これにより、戸袋圧電材から発生する電荷量が変化し、その電荷量の変化が検出器によって検出される。これにより、戸袋弾性体の弾性変形とほぼ同時という早いタイミングで、戸袋部における戸挟み状態の発生を検出することができる。
【0012】
また、本発明に係る戸挟み検出装置は、前記戸袋弾性部材が中空に形成され、前記戸袋圧電材が、前記戸袋弾性部材の内側面に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、戸袋圧電材は戸袋弾性部材の内部に収容され、外部には露呈しない。従って、戸袋部に挟まった異物が戸袋圧電材に直接接触することによって戸袋圧電材が損傷することがない。また、戸袋弾性部材と戸袋圧電材とを一体的に構成することにより、部品点数を少なく抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係る戸挟み検出装置は、前記戸袋圧電材が、前記戸袋弾性部材の外側面であって前記戸袋の内部側に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、戸袋圧電材は戸袋の外部側へは露呈しない。従って、戸袋部に挟まった異物が戸袋圧電材に直接接触することによって戸袋圧電材が損傷することがない。また、戸袋弾性部材と戸袋圧電材とを一体的に構成することにより、部品点数を少なく抑えることができる。更に、戸袋圧電材の戸袋弾性部材への取り付け作業を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る戸挟み検出装置は、前記戸袋圧電材から発生する電荷を電圧に変換して前記検出器に入力するチャージアンプを更に備えることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、戸袋圧電材で発生する電荷の変化をチャージアンプで電圧に変換することによって、電荷の変化を検出器で正確に検出することができる。
【0018】
また、本発明に係る戸挟み検出装置は、前記戸袋圧電材が、前記戸袋弾性部材の長手方向に渡って設けられていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、戸袋圧電材が戸袋弾性部材の長手方向に渡って設けられているので、戸袋弾性部材の長手方向に沿ってどの位置に異物が挟まっても、戸袋圧電材には変形が生じる。従って、異物の挟まった位置によらず、車両用ドアが戸挟み状態であることを確実に検出することができる。
【0020】
また、本発明に係る戸挟み検出装置は、中空の弾性部材からなり、前記車両用ドアの閉止方向先端部に設けられた戸先弾性部材と、前記戸先弾性部材の内側面に取り付けられた戸先圧電材と、を更に備え、前記検出器が、前記戸先圧電材から発生する電荷量の変化を検知することにより、前記車両用ドアが閉止時に異物が挟まった戸挟み状態であることを更に検出することを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、車両用ドアが閉止時に戸挟み状態である場合、戸先弾性部材は、挟まった異物に押圧されることによって凹状に弾性変形する。従って、戸先弾性部材の内側面に設けられた圧電材も変形し、圧電材から生じる電荷量が変化することにより、検出器が戸挟み状態を検出する。これにより、戸袋部だけでなく戸先部においても、戸挟み状態を検出することができる。
【0022】
また、本発明に係る戸挟み検出装置は、前記戸先圧電材が、前記車両用ドアの厚み方向中央部に設けられていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、車両用ドアが正常に閉止した状態において、戸先弾性部材における車両用ドアの厚み方向中央部から離間した位置に乗客やその所持品が接触した場合、戸先弾性部材の当該接触位置が凹状に弾性変形しても、そこから離間した位置に設けられた戸先圧電材には変形が生じない。従って、戸先圧電材で生じる電荷は変化せず、検出器が誤って戸挟み状態を検出することもない。これにより、戸先部における戸挟み状態の発生を、精度良く検知することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る戸挟み検出装置によれば、少ない部品点数で且つ戸袋が大型化することもなく、戸袋の開口部における戸挟み状態の発生を早いタイミングで検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第一実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態の一例について説明する。まず、本発明の第一実施形態に係る戸挟み検出装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る戸挟み検出装置10を備えた車両用ドア装置1について、通常の開放状態における戸袋部を拡大した概略断面図である。
【0027】
車両用ドア装置1は、
図1に示すように、開閉方向に沿ってスライド可能に設けられた車両用ドア2と、中空に形成された戸袋3と、戸袋3の開口部3aに設けられた戸挟み検出装置10とを備えている。尚、
図1に詳細は示さないが、この車両用ドア装置1は、開閉方向に相対向するようにして一対がそれぞれ設けられている。
【0028】
車両用ドア2は、
図1に示すように、平板状の戸板21と、この戸板21の開放方向に向かって先端部に設けられた戸先ゴム22(戸先弾性部材)とを有している。このうち、戸先ゴム22は、ゴム材からなり、断面略半円形状を有する中空の部材である。そして、図に詳細は示さないが、この戸先ゴム22は、戸板21の高さ方向全長に亘って設けられている。このような構成によれば、車両用ドア2の閉止時には、相対向する一対の戸先ゴム22同士が互いに接触することにより、閉止時の衝撃が緩和されるようになっている。また、一対の車両用ドア2の間に異物が挟まった場合でも、戸先ゴム22を弾性変形させることによって異物を容易に抜き取ることができる。
【0029】
このように構成される車両用ドア2は、
図1に示すように、電動モータ4によって駆動されることにより、戸袋3の内部に収容された開放位置から戸袋3の外部へ突出した閉止位置へと移動可能となっている。そして、この電動モータ4の動作が、制御部5によって制御されている。
【0030】
戸袋3は、
図1に示すように、車内側に配置された内板31と、車外側に配置された外板32とを有している。そして、この内板31と外板32との間には、ドア収容空間6が形成されている。このドア収容空間6の幅は、車両用ドア2を構成する戸板21の厚みより大きく形成されている。これにより、内板31と戸板21の間には、所定幅の車内側隙間61が形成される。一方、外板32と戸板21との間にも、所定幅の車外側隙間62が形成される。また、内板31には、開口部3aに面する角部を切り欠くことにより、断面略矩形形状のゴム取付溝311が形成されている。
【0031】
戸挟み検出装置10は、戸袋部において車両用ドア2が戸挟み状態であることを検知する役割を果たすものである。この戸挟み検出装置10は、
図1に示すように、中空の戸袋ゴム11(戸袋弾性部材)と、この戸袋ゴム11の内部に設けられる戸袋圧電材12とを備えている。
【0032】
戸袋ゴム11は、ゴム材からなる中空の部材である。この戸袋ゴム11は、
図1に示すように、断面略台形形状を有し、相対向して互いに平行な上辺部111及び下辺部112と、上辺部111と下辺部112の一端部同士を接続する垂直部113と、上辺部111と下辺部112の他端部同士を接続する傾斜部114とを有している。また、戸袋ゴム11の組成は、例えば、母材である天然ゴムの表面に、耐久性の高いクロロプレンゴムを配したものである。尚、戸袋ゴム11の断面形状や大きさは、本実施形態に限定されず適宜設計変更が可能である。
【0033】
このように構成される戸袋ゴム11は、
図1に示すように、内板31のゴム取付溝311に対し、上辺部111と垂直部113とをそれぞれ密着させるようにして固定されている。これにより、戸袋ゴム11は、その下辺部112が内板31の開口側端面31aと略面一であって、且つ、その傾斜部114が内板31の内側面31bよりも車両用ドア2側に突出した状態となっている。また、図に詳細は示さないが、戸袋ゴム11は、戸袋3の内板31の高さ方向全長に亘って設けられている。
【0034】
戸袋圧電材12は、媒体中に複数の圧電粒子が分散された板状の部材であって、より詳細には、媒体に加わる電界の方向と複数の圧電粒子の分極方向とが同一になるように、電界の方向に沿って圧電粒子が連続して配向されたものである。この戸袋圧電材12としては、例えば、シリコーンゴムなどの媒体内にチタン酸ジルコン酸鉛などの圧電粒子が厚さ方向に連続して配向された圧電ゴムが挙げられる。
【0035】
圧電粒子は、圧電効果を示す粒子である。この圧電粒子は、機械的応力が加わると応力に応じた電気分極を発生して電界を発生(正効果)し、電界を加えて電気分極を発生させると電界の大きさに応じた歪みを発生(逆効果)する圧電効果を示す。圧電粒子は、例えば、媒体がゴムであるときには、ゴム中に連続して配向されている。この圧電粒子は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、又は水晶等の粒子である。
【0036】
媒体は、圧電粒子を保持する母材(マトリックス)である。この媒体は、加わる電界の方向に複数の圧電粒子が連続して配向されるようにこれらの圧電粒子を保持しており、複数の圧電粒子が複数列になって並ぶように保持されている。媒体は、例えば、シリコーンゴム又はウレタンゴムなどの熱硬化型又は二液硬化型のゴム、スチレン系、オレフィン系又は塩化ビニル系の熱可塑性エラストマー、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのオレフィン系又は塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、加熱硬化前のエポキシ又はポリエステルなどの熱硬化性樹脂、シリコーンオイル又はエチレングリコール(不凍液)などの液体が好ましい。また、媒体としては、柔軟性及びたわみ性に優れたゴムが特に好ましく、ゴムに比べて柔軟性及びたわみ性の利点は失われるが寸法及び成型の自由度があり、圧電セラミックスに比べてもろくなく、高たわみを示す樹脂が好ましい。
【0037】
ここで、圧電ゴムは、例えば、クロロプレンゴム等のゴム材とチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミック粉末とを混合する混合工程と、この混合工程後の混合物を加硫する加硫工程と、この加硫工程後の混合物の両端部に電圧を印加してこの混合物を分極させる分極工程とによって製造される。
【0038】
図2は、戸袋圧電材12の構成を示す概略正面図である。戸袋圧電材12は、略矩形の圧電ゴム部121と、この圧電ゴム部121の幅方向両端部に長手方向に沿ってそれぞれ設けられた一対の電極122と、一対の電極122にそれぞれ電気的に接続された一対の配線123と、を備えるものである。このように構成される戸袋圧電材12は、
図1に示すように、その圧電ゴム部121が、戸袋ゴム11を構成する下辺部112の内側面112aに高さ方向に沿って貼り付けられている。
【0039】
図3は、戸挟み検出装置10の回路構成を示す模式図である。尚、この
図3では、前述のように相対向して設けられる一対の車両用ドア装置1がそれぞれ有する戸袋圧電材12を図示している。戸挟み検出装置10は、戸袋圧電材12を構成する一対の配線123がそれぞれ接続されたチャージアンプ13と、このチャージアンプ13に対して電気的に接続された検出器14とを有している。ここで、チャージアンプ13は、戸袋圧電材12から発生する電荷を電圧に変換する役割を果たすものである。また、検出器14は、チャージアンプ13から入力された電圧の変化を検知する役割を果たすものである。
【0040】
次に、本発明の第一実施形態に係る戸挟み検出装置10の作用効果について、
図4から
図6に基づいて説明する。
図4に示すように、戸挟み検出装置10を備えて相対向する一対の車両用ドア装置1の開放時に、内板31と戸板21との間に形成される車内側隙間61に、異物Oが挟まる場合がある。この場合、この異物Oに押圧されることにより、戸袋ゴム11は、その下辺部112が凹状に弾性変形するとともに、傾斜部114が車両用ドア2に向かって凹状に撓むように弾性変形する。
【0041】
そうすると、
図4に示すように、戸袋ゴム11の下辺部112の内側面112aに貼り付けられた戸袋圧電材12も、下辺部112の弾性変形に追従することにより、その圧電ゴム部121が中間部で折れ曲がるようにして弾性変形する。これにより、圧電ゴム部121から発生する電荷量がそれぞれ変化し、この電荷量の変化が
図3に示すチャージアンプ13によって電圧の変化に変換される。そして、この電圧の変化が検出器14によって検出されると、
図4に示す制御部5は、戸袋圧電材12に変形が生じたと判断する。
【0042】
また、車両用ドア装置1の閉止時に、内板31と戸板21との間に形成される車内側隙間61に異物Oが挟まると、車両用ドア2を駆動する電動モータ4において負荷が増大する、すなわち電流値が大きくなる。制御部5は、前述のように戸袋圧電材12に変形が生じたことを検出し、且つ、電動モータ4の負荷が増大したことを検出すると、車内側隙間61に異物Oが挟まった戸挟み状態が発生していると判断する。
【0043】
そして、このように戸挟み状態が検出されると、図に詳細は示さないが、自動的に或いは車掌の操作により車両用ドア2が閉じられることにより、戸挟み状態が解消される。尚、戸挟み検出装置10は、鉄道車両の停車時にのみ動作して戸挟み状態を検出し、鉄道車両の走行中は動作しない。これにより、鉄道車両の走行中に誤って戸挟み状態が検出されないようになっている。
【0044】
図5は、戸袋圧電材12を構成する圧電ゴム部121について、作用する荷重と発生する変位との関係、及び作用する荷重と発生する電荷との関係を調べるために用いる動的加振試験装置20を示す概略斜視図である。この動的加振試験装置20は、試験片としての圧電ゴム部121を挟持する上下一対の電極20Aと、これら電極20Aにそれぞれ電気的に接続された一対の配線20Bと、一対の電極20Aを支持して上下方向への振動を加える試験機本体20Cとを有している。
【0045】
このように構成される動的加振試験装置20によれば、試験機本体20Cから圧電ゴム部121に対して所定の大きさの振動が加えられるとともに、それに応じて圧電ゴム部121で発生する変位及び電荷がそれぞれ測定される。ここで、
図6は、圧電ゴム部121についての試験結果を示すグラフであって、(a)は作用する荷重と発生する変位との関係を、(b)は作用する荷重と発生する電荷との関係をそれぞれ示している。このうち、(a)によれば、圧電ゴム部121に荷重が作用すると、それに伴って圧電ゴム部121には所定量の変位が生じている。また、(b)によれば、圧電ゴム部121に荷重が作用すると、それに伴って圧電ゴム部121には所定量の電荷が生じている。
【0046】
尚、本実施形態では、車両用ドア2の駆動源を電動モータ4とし、電流値の増加によって駆動源での負荷の増大を検出した。しかし、駆動源として電動モータ4に代えて不図示のエアーシリンダーを用い、これを駆動源としてこれに代えて、エアーシリンダー等を駆動源として空気圧によって車両用ドアを作動させるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、戸袋圧電材12の変形と電動モータ4の負荷増大の両方を検出して初めて戸挟み状態の発生と判断した。これによれば、誤検出を少なくして戸挟み状態をより確実に検出することができる。しかし、これに代えて、戸袋圧電材12の変形と電動モータ4の負荷増大の何れか一方を検出することで戸挟み状態の発生と判断するようにしてもよい。これによれば、戸挟み状態をより短時間で検出することができる。
【0048】
また、本実施形態では、一対の車両用ドア装置1が互いに向かい合った両開きの構成として説明したが、車両用ドア装置1を片開きの構成とすることも可能である。
【0049】
また、本実施形態では、車両用ドア装置1の開閉方向を水平方向としたが、これに限られず、開閉方向を上下方向とすることも可能である。この場合、上方または下方に設けられる戸袋3に戸挟み検出装置10を設ければよい。また、本発明に係る戸挟み検出装置10を、バス等に設けられるいわゆるグライドスライドドアに適用することも可能である。
【0050】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る戸挟み検出装置の構成について説明する。
図7は、本発明の第二実施形態に係る戸挟み検出装置40を備えた車両用ドア装置1について、通常の開放状態における戸袋部を拡大した概略断面図である。
【0051】
第二実施形態に係る戸挟み検出装置40は、
図7に示すように、開閉方向に沿ってスライド可能に設けられた車両用ドア2と、中空に形成された戸袋3と、戸袋3の開口部3aに設けられた戸挟み検出装置40とを備えている。ここで、本実施形態に係る戸挟み検出装置40を、第一実施形態に係る戸挟み検出装置10と比較すると、戸挟み検出装置40の構成だけが異なっている。それ以外の構成については第一実施形態と同じであるため、同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。
【0052】
戸挟み検出装置40は、
図7に示すように、戸袋3の内板31に設けられた戸袋ゴム41(戸袋弾性部材)と、この戸袋ゴム41の外側面411であって戸袋3の内部側に取り付けられた戸袋圧電材12とを備えている。尚、戸袋圧電材12の構成は、第一実施形態と同じである。
【0053】
戸袋ゴム41は、
図7に示すように、断面略矩形形状を有し、その先端部が略円弧形状に形成されている。そして、このように構成される戸袋ゴム41は、内板31に形成されたゴム取付溝312に対し、その基端部が固定されている。これにより、戸袋ゴム41は、車両用ドア2の側へ突出している。
【0054】
次に、本発明の第二実施形態に係る戸挟み検出装置40の作用効果について、
図8に基づいて説明する。
図8に示すように、戸挟み検出装置40を備えて相対向する一対の車両用ドア装置1の開放時に、内板31と戸板21との間に形成される車内側隙間61に、異物Oが挟まる場合がある。この場合、この異物Oに押圧されることにより、戸袋ゴム41は、その中間部で折れ曲がるようにして弾性変形する。
【0055】
そうすると、
図8に示すように、戸袋ゴム41の外側面411に取り付けられた戸袋圧電材12も、戸袋ゴム41の弾性変形に追従することにより、その圧電ゴム部121が中間部で折れ曲がるようにして弾性変形する。これにより、圧電ゴム部121から発生する電荷量がそれぞれ変化し、この電荷量の変化が
図3に示すチャージアンプ13によって電圧の変化に変換される。そして、この電圧の変化が検出器14によって検出されると、
図4に示す制御部5は、戸袋圧電材12に変形が生じたと判断する。その後、制御部5は、第一実施形態と同様に、戸袋圧電材12に変形が生じたことを検出し、且つ、電動モータ4の負荷が増大したことを検出した時に、戸挟み状態が発生していると判断する。
【0056】
この第二実施形態の戸挟み検出装置40によれば、戸袋圧電材12が戸袋3の外部側へは露呈しない。従って、戸袋部に挟まった異物Oが戸袋圧電材12に直接接触することによって戸袋圧電材12が損傷することがない。また、戸袋圧電材12が戸袋ゴム41の外側面411に取り付けられるので、内側面に取り付ける場合と比較すると、戸袋圧電材12の戸袋ゴム41への取り付け作業を容易に行うことができる。
【0057】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る戸挟み検出装置の構成について説明する。
図9は、本発明の第三実施形態に係る戸挟み検出装置50を備えた車両用ドア装置1の戸先部を示す分解斜視図である。
【0058】
第三実施形態に係る戸挟み検出装置50は、第一実施形態に係る戸挟み検出装置10と比較すると、戸袋部に戸袋圧電材12が設けられている点で共通するが、車両用ドア2の戸先部に戸先圧電材51が設けられている点で異なっている。それ以外の構成は第一実施形態と同じであるため、同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。また、戸先圧電材51の構成や特性は、戸袋圧電材12と同じである。
【0059】
図9に示すように、車両用ドア2を構成する戸板21の戸先部、すなわち閉止方向先端部には、横断面で略矩形形状を有する嵌合凹部211が、戸板21の高さ方向すなわち閉止方向に略直交する方向に延びるように形成されている。この嵌合凹部211は、その内部における溝幅よりも開口部212における溝幅の方が若干狭く形成されている。
【0060】
そして、
図9に示すように、この嵌合凹部211に対して戸先ゴム52(戸先弾性部材)が装着される。戸先ゴム52は、ゴム材からなる長尺な部材であって、中空の本体部521と、この本体部521から突出して設けられた嵌合凸部522とを有している。ここで、本体部521は、横断面で略半円形状を有し、その内部を長手方向に渡って貫通するようにして、横断面で略半円形状の空洞523が形成されている。一方、嵌合凸部522は、
図1に示すように、横断面で略矩形形状を有し、その大きさは戸板21の嵌合凹部211と比較して略等しいか若干大きい程度に形成されている。この戸先ゴム52の組成は、戸袋ゴム41の組成と同様である。
【0061】
そして、
図9に示すように、戸先ゴム52を構成する本体部521の内側面521aに、戸先圧電材51が高さ方向に沿って貼り付けられている。より詳細には、戸先圧電材51は、本体部521の内側面521aのうち円弧形状を有する部分であって戸板21の厚み方向中央部に貼り付けられている。
【0062】
図10は、戸挟み検出装置50の回路構成を示す模式図である。戸挟み検出装置50の回路構成を、第一実施形態に係る戸挟み検出装置10の回路構成と比較すると、戸袋圧電材12を構成する一対の配線123がチャージアンプ13及び検出器14に接続されている点で共通している。しかし、戸挟み検出装置50の回路構成は、このチャージアンプ13及び検出器14に対し、戸先圧電材51を構成する一対の配線123が更に接続されている点で異なっている。
【0063】
次に、本発明の第三実施形態に係る戸挟み検出装置50の作用効果について、
図10に基づいて説明する。戸挟み検出装置50を備えて相対向する一対の車両用ドア装置1が閉止した場合、戸挟み検出装置50を構成して相対向する一対の戸先ゴム52の間に、乗客の所持品等の異物Oが挟まる場合がある。この場合、この異物Oに押圧されることによって、異物Oを挟んで両側に位置する一対の戸先ゴム52は、閉止方向に向かって凹状にそれぞれ弾性変形する。
【0064】
そうすると、
図10に示すように、これら一対の戸先ゴム52の内側面521aにそれぞれ貼り付けられた一対の戸先圧電材51も、戸先ゴム52の弾性変形に追従するようにして、その圧電ゴム部121が閉止方向に向かって凹状にそれぞれ弾性変形する。これにより、圧電ゴム部121から発生する電荷量がそれぞれ変化し、この電荷量の変化がチャージアンプ13によって電圧の変化に変換される。そして、この電圧の変化を検出器14が検出することにより、圧電ゴム部121に変形が生じた、すなわち一対の車両用ドア2の間に異物Oが挟まっている戸挟み状態であることが検出される。このように、戸挟み検出装置50によれば、車両用ドア2の戸袋部と戸先部の両方において、戸挟み状態の発生を検出することができる。
【0065】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。