(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第2整形部材の均し部材における進行方向に添う切断面の形状は、全体形状を凹曲面にし、開口面を進行方向に向けることにより、均し部材における下側エッジ側で削り取った雪を均し部材の下側エッジ側内壁面に受け入れ、内壁面に添って深部に移動させ、さらに押されて内壁面に添って上昇して、落下するように構成してあることを特徴とする請求項2記載の路肩残雪整形機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のように、路肩の路面上に傾斜状態で積み上げられた残雪を残す場合、次のような危険がある。
残雪が、走行車線と、路肩との区分線(外側線とも称されている)附近の路面上にあると、走行車線を走る車が少し高欄側にふらついたり寄ったりした場合には、スリップして事故を起こす危険があり、さらに、気温上昇によって、或は、走行車線に散布した融雪剤が路肩へ流れることによって、「傾斜状態で積み上げられた残雪」の路面側が溶けて積み上げた雪が走行車線内へ崩れ落ち、走行する車が交通事故を起こす危険がある。
さらに、「傾斜状態で積み上げられた残雪」の斜面上に雪塊があると、斜面上の雪塊が走行車線へ転がり落ちたり、走行する「箱型トラック」の風圧によって斜面上の雪が舞い上がり、走行車線へ落ちることにより事故を誘起する危険がある。
そこで、交通安全の観点から警察機関より、走行車線を走行する自動車の交通事故を誘発しない為、路肩の路面上に傾斜状態で積み上げられた残雪の量を少なくするように指導があり、路肩部分に雪を比較的大量に残すことができなくなり、結局除去作業において、上記時間的、費用的及び雪捨場の面で問題点が生じていた。
【0006】
本件出願の目的は、上記課題を解決するもので、高速道路の除雪作業において、路肩の路面上に「傾斜状態で積み上げられた残雪」を多く残す場合、その傾斜状態で積み上げられた残雪の裾部分の形成される圧縮壁の存在によって、より大量の雪を積み上げて残し、高速道路の路面上から除去する雪の全体量を減らすことのできる路肩残雪整形方法および路肩残雪整形機を提供しようとするものである。
他の目的は、高速道路の除雪作業において、路肩の路面上に「傾斜状態で積み上げられた残雪」を多く残すものであっても、圧縮壁の上の雪を所定斜面に整然と均して多く積み上げて、安心感を醸し出す外観に整形できる路肩残雪整形方法および路肩残雪整形機を提供しようとするものである。
他の目的は、整形作業において、路肩残雪整形機の本体の進行方向に対する負荷は小さく、僅かな力でもって斜面を均しながら進行方向へ押し進めて、整形作業を迅速にできる作業効率の良い路肩残雪整形方法および路肩残雪整形機を提供しようとするものである。
他の課題、目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における路肩残雪整形方法は、路肩4における路面上に、走行車線側から高欄7に向けて上面14が逐次高くなるように、傾斜状態で積み上げられた残雪10を多く残すに当たっては、本体21に対して、第1整形部材40と第2整形部材50とが備えさせてある前進自在の路肩残雪整形機20を用意し、しかも、上記の第1整形部材40は、本体21から一側方に突出させた雪掻集部材43を備えており、雪掻集部材43の突出状態は、下端44が道路面上の残雪を掻き集めることができるように路面4aに近接する状態で、かつ、上面から見た突出方向は、進行方向65に対して、上記路面上の残雪11を高欄7側へ寄せ集めながら上記傾斜状態で積み上げられている残雪10の裾部分12を押し固めるように鈍角θ1に設定してあり、上記の第2整形部材50は、上記本体21における上記雪掻集部材43の元部位置43aより後方位置から、上記雪掻集部材43と同じく側方に突出させた均し部材51を備え、上記均し部材51の突出状態は、上記残雪10の斜状の上面14に対応するように突出部51bが上部に位置するような傾斜状態にしてあり、かつ、上面から見た突出方向は、進行方向65に対して、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を斜め後方に逃すことが可能となるように鈍角θ3に設定してあって、上記路肩残雪整形機20の本体21を、走行車線2と路肩4との区分線6に対して、上記第1整形部材40が沿う状態で進行させ、上記区分線6附近から高欄7に向けての所定巾W1内にある残雪11を、第1整形部材40でもって高欄7側へ掻集めながら、「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の裾部分12に押し付けて、その残雪の裾部分12に「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の崩れ防止用の圧縮壁17を形成しながら進行させると共に、上記第1整形部材40により形成される圧縮壁17の斜め上方に存在することになる傾斜状の残雪13の斜面は、上記第1整形部材40よりも後方に位置する第2整形部材50の均し部材51でもって、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を押し退けながら凹凸14a、14bのある表面を均し、所定の斜面18に整形するものである。
【0008】
本発明における路肩残雪整形機は、路肩4における路面上に、走行車線側から高欄7に向けて上面14が逐次高くなるように、傾斜状態で積み上げられた残雪10を整形する為の前進自在の路肩残雪整形機20であって、路肩残雪整形機20の本体21に対しては、第1整形部材40と第2整形部材50とが備えさせてあって、上記の第1整形部材40は、本体21から一側方に突出させた雪掻集部材43を備えており、雪掻集部材の突出状態は、下端44が道路面上の残雪を掻き集めることができるように路面に近接する状態で、かつ、上面から見た突出方向は、進行方向65に対して、上記路面上の残雪11を高欄7側へ寄せ集めながら上記傾斜状態で積み上げられている残雪10の裾部分12を押し固めるように鈍角θ1に設定してあり、上記の第2整形部材50は、上記本体21における上記雪掻集部材43の元部位置43aより後方位置から、上記雪掻集部材43と同じく側方に突出させた均し部材51を備え、上記均し部材51の突出状態は、上記残雪10の斜状の上面14に対応するように突出部51bが上部に位置するような傾斜状態にしてあり、かつ、上面から見た突出方向は、進行方向65に対して、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を斜め後方に逃すことが可能となるように鈍角θ3に設定してあって、上記整形機20の本体21を、走行車線と路肩4との区分線6に対して、上記第1整形部材40が沿う状態で進行させ、 上記区分線6附近から高欄7に向けての所定巾W1内にある残雪11を、第1整形部材40でもって高欄7側へ掻集めながら、「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の裾部分12に押し付けて、その残雪の裾部分12に「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の崩れ防止用の圧縮壁17を形成しながら進行するように構成してあると共に、 上記第1整形部材40により形成される圧縮壁17の斜め上方位置に存在することになる傾斜状の残雪の斜面は、上記第1整形部材40よりも後方に位置する第2整形部材50の均し部材51でもって、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を押し退けながら凹凸14a、14bのある表面を均し、所定の斜面18に整形できるように構成したものである。
【0009】
また好ましくは、 上記路肩残雪整形機20の本体21には流体の出し入れを自在とする出口23aと入口23bを備える空洞部23を備えさせ、上記残雪10の量に対応して本体21の自重を増減調節自在にしてあるものであればよい。
【0010】
また好ましくは、上記第2整形部材50の均し部材51における進行方向65に添う切断面52の形状は、全体形状を凹曲面にし、開口面52bを進行方向65に向けることにより、均し部材51における下側エッジ53側で削り取った雪を均し部材51の下側エッジ側内壁面に受け入れ、内壁面52aに添って深部に移動させ、さらに押されて内壁面52aに添って上昇して、落下するように構成してあるものであればよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、高速道路の除雪作業において、路肩の路面上に「傾斜状態で積み上げられた残雪」を多く残す場合、 上記路肩残雪整形機20の本体21を、走行車線2と路肩4との区分線6に対して、上記第1整形部材40が沿う状態で進行させ、上記区分線6附近から高欄7に向けての所定巾W1内にある残雪11を、第1整形部材40でもって高欄7側へ掻集めながら、「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の裾部分12に押し付けて、その残雪の裾部分12に「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の崩れ防止用の圧縮壁17を形成しながら進行させると共に、 上記第1整形部材40により形成される圧縮壁17の上方に存在することになる傾斜状の残雪13の斜面は、上記第1整形部材40よりも後方に位置する第2整形部材50の均し部材51でもって、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を押し退けながら凹凸14a、14bのある表面を均し、所定の斜面18に整形するようにした構成なので、 第1点として、区分線6付近から所定巾W1までの雪がなくなり、走行車線を走行する車がふらつくことによる事故を防ぎ、 第2点として、上記圧縮壁17の存在によって、路肩4の路面4a上により大量の雪を残すことができる。即ち、路肩4の路面4a上の「傾斜状態で積み上げられた残雪10」において、上記裾部分12は、区分線6附近の所定巾W1内にある残雪11をかき集められて高欄7側へ加圧されて圧縮壁17となっているので、土台としてしっかりしており、高く積み上げても崩れにくい。
よって、路肩4の路面4a上に「傾斜状態で積み上げられた残雪10」を嵩多く残すことができる特長がある。
このことは、高速道路1の路面上から除去する雪の全体量を減らして、除雪作業にかかる時間を短縮し、迅速に交通再開することができ、しかも、除雪作業にかかる費用を節約することができる経済上の効果がある。
さらに、雪捨て場の確保の苦労を解消する効果がある。
【0012】
さらに、本発明は、上記のように高速道路の除雪作業において、上記圧縮壁17を形成することにより、路肩4の路面4a上に「傾斜状態で積み上げられた残雪10」を比較的多く残すことができるようにすると共に、 上記「傾斜状態で積み上げられた残雪10」に対しては、上記のように先に第1整形部材40で押付け、乱れた表面を第2整形部材50で整形するので、 第3点として、上記圧縮壁17の上に雪を整然と多く積み上げることができる。即ち、上記圧縮壁17の上方の傾斜状態の残雪13の上面14の凹凸14a、14bのある表面を所定斜面に整然と均すことのできる特徴がある。
よって、交通指導の警察機関が、路肩に「傾斜状態で積み上げられた残雪」が多くても、その状態を交通安全の観点から見た場合、雪塊が走行車線へ転がり落ちたり、走行する「箱型トラック」の風圧によって走行車線へ落ちたりせず、安定しているように見え、交通指導員に対して安心感を醸し出す外観上の効果がある。
【0013】
上記したように、 「 第1整形部材40で、傾斜状態で積み上げられた残雪10の裾部分12を高欄7側へ加圧して圧縮壁17を形成する」ことと、
「上記圧縮壁17の上方に位置する傾斜状の残雪13の凹凸14a、14bの斜面を均して所定の斜面18に整形する」ことの2つのことを、
1つの路肩残雪整形機20の本体21を進行させるだけで遂行させるものであっても、
傾斜状態で積み上げられた残雪10における上方の傾斜状の残雪13の斜面の均しは、
「上記第1整形部材40よりも後方に位置する第2整形部材50の均し部材51でもって、上記残雪の傾斜状態の上面14における雪塊15を押し退けながら凹凸14a、14bのある表面を均し、所定の斜面18に整形するようにした」構成なので、路肩残雪整形機20の本体21の進行方向65に対する負荷は小さく、僅かな力でもって斜面14を均しながら進行方向65へ押し進めることができる。
よって、路肩残雪整形機20を進行させる為の駆動手段66は、小型の駆動手段で速やかな実施が可能な特長があり、整形作業を迅速にできる作業効率の良い効果がある。
高速道路全線の長い距離に亘って、迅速に作業して、高速道路の通行止めを早く解除でき、速やかな交通再開をすることができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、高速道路1における片側の車道を示す概略図、
図2は高速道路1の片側車道の平面図で、走行車線2と追越車線3の除雪作業の例を示す概略図を示す。
図1、2に例示する高速道路1に降雪9があった場合、高速道路を通行止めにして除雪作業車8(除雪車8a、散布車8d等)を用いて走行車線2、追越車線3の路面上の雪を除去する。その除去作業としては、
図2に示されるように、走行車線2と追越車線3の路面上の雪を除雪車8aで路肩4側(道路における横断勾配の低い側)に移動させ、路肩4における路面4a上に、走行車線2側から高欄7に向けて上面が逐次高くなるように傾斜状態で積み上げる。そして、積雪の除去された走行車線2と追越車線3の路面上に散布車8dで凍結防止剤、或いは凍結防止溶液を散布する。
なお、当分野において通常、上記傾斜状に積上られる残雪10は、高速道路における横断勾配の低い側に積上げられる。
本願明細書等(特許請求の範囲、明細書、図面等)においては、高速道路の横断勾配を中央分離帯7d側が高く、高欄7側が低く構成されている高速道路を想定し、高欄7側の路肩4に残雪10を積上げる例を図示し説明するが、中央分離帯7d側が横断勾配を低く構成されている高速道路の場合は、残雪10を積上げる側は中央分離帯7d側の路肩4となるので、その場合には、そのように変更して理解すると良い。
【0016】
次に、
図3は、上記高速道路1における走行車線2と追越車線3の路面上の雪を除去し、路肩4における路面4a上に、走行車線2側から高欄7に向けて上面14が逐次高くなるように、傾斜状態で積み上げられた残雪10を示す図で、(B)は(A)におけるIII−III位置拡大断面図を示す。
上記傾斜状に積上られた残雪10において、11は、区分線6付近の路面上から除去すべき所定巾W1の残雪を示す。所定巾W1の寸法としては、走行車線2を走る車が高欄7側にふらついたり寄ったりしても事故を起こすおそれが少ない寸法にすればよく、残雪の量や路肩の巾等により異なるが、例えば、区分線6内側から高欄7側へ200mm位入った位置となる350mm位にしてあってもよい。
12は残雪10の裾部分、13は傾斜状部分、14は傾斜状部分13の上面を示し、上面14には凹部14aや凸部14bがあったり、雪塊15が載っていたりして全体がでこぼことして不安定な状態となっている。
一点鎖線で示す所定ライン16は、区分線6付近から上記所定巾W1分高欄7側へ寄った境目位置を示す。
【0017】
次に、路肩残雪整形機20について
図4〜8を用いて説明する。
図4の路肩残雪整形機20は、路肩4における路面4a上に、走行車線2側から高欄7に向けて上面14が逐次高くなるように、傾斜状態で積み上げられた残雪10を整形する為の前進自在の路肩残雪整形機20であって、路肩残雪整形機20の本体21に対しては、第1整形部材40と第2整形部材50とが備えさせてある。
なお、
図4、5において二点鎖線で示す符号66は、路肩残雪整形機20の本体21を前進及び後退可能にする為の駆動手段66の存在位置を示す。
上記駆動手段66としては、路肩残雪整形機20を路面4aから所定の高さ位置に保持し、かつ、前進させることができる機能をもつ車両であればよく、例えば、周知のフォークリフトを利用すればよい。
【0018】
図5(A)の21は上記路肩残雪整形機20における本体を示し、第1整形部材40と第2整形部材50を所定位置に保持した状態で前進できるように硬質材で構成されている。硬質材としては、金属材等、硬質合成樹脂材等の周知の硬質材を用いて構成すればよい。
本体21の大きさ(各部寸法)としては、駆動手段66の能力によっても異なるが、例えば
図5〜7に示される寸法に形成すればよい。
図5(A)の22は上記本体21のボデー部を示し、その全体形状は上面からみた形状を略正方形の箱体形状にされている。さらに、
図6(B)に表れる側面から見た形状は、本体21の後方に連結する駆動手段66を操作する作業者から見て、路面4aの視認を妨げないように、略台形で、上面前側を前下がりの傾斜面22aに形成されている。
【0019】
次に、上記ボデー部22に必要に応じて備えさせる空洞部23 について
図5を用いて説明する。
上記路肩残雪整形機20の本体21におけるボデー部22には、流体(例えば、水、砂、砂入り小袋等)の出し入れを自在とする出口23aと入口23bを備える空洞部23を備えさせ、上記残雪10の量に対応して本体21の自重を増減調節自在にしてもよい。なお、23cは止水手段が備えられている排水口を示す。
このように構成すると、上記「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の整形作業(詳細は後述する)において、残雪10の量に対応させて路肩残雪整形機20を利用することができる。即ち、
上記残雪10の量が多い場合は、上記ボデー部22の空洞部23に適当な重量の流体、例えば砂袋を入れて本体21の自重を重くして、本体21を前進させ、力強く所定巾W1の残雪を掻き集めながら押し固めることができる。一方、上記残雪10の量が少ない場合は、空洞部23に流体を入れることなく本体21の自重そのままにして、抵抗負荷を小さく本体21を前進させ、軽やかに所定巾W1の残雪を掻き集めながら押し固めることができる。
このことは、残雪10の量が多い場合でも、少ない場合でも、一台の路肩残雪整形機20で整形作業に対応できるという利便性がある特長がある。
なお、上記空洞部23の出口23a、入口23bの形状と大きさは、流体の出し入れ作業をし易いように任意の形状及び大きさに設定すれば良く、例えば直径は400mm位の円形にしてもよい。
【0020】
次に、
図7(B)に表れる26は、駆動手段66としてのフォークリフトを連結する為の駆動手段連結部を示す。駆動手段連結部26は、本体21に対して後側からフォークリフトのフォークを抜き差しできるように、ボデー部22の後面に二カ所凹設して形成されている。上記駆動手段連結部26の開口縁26aの大きさは、フォークリフトのフォークを抜き差し自在で、かつ、フォークを差込んだ状態では本体21を一定の高さ位置に安定的に保持できる大きさに形成するとよい。用いるフォークリフトにより決めればよいが、例えば、縦寸法:165mm、横寸法70mm位に形成してもよい。
【0021】
次に、上記本体21に対して第1整形部材40を支持する為の第1整形部材支持腕28について
図5,6を用いて説明する。
図6(B)の第1整形部材支持腕28は、その元部29をボデー部22に固着し、先部30を一側方(前方)に延出させており、複数の板状部材(上面部材28a、側面部材28b、前面部材28c、底面部材28d、補強部材28e)で一体的に形成されている。
図5(A)の第1整形部材支持腕28における前面部材28cは、第1整形部材40を所定角度で支持できるように、上面から見て進行方向65に対して斜状に構成されている。
図5の31は、第1整形部材40を前面部材28cに対して固着する為のホールド部を示し、その断面形状をL字状で、元部を前面部材28cに対して固着して、第1整形部材40の固着部41を位置させる為の内懐部31aが構成されている。31b、31cは、第1整形部材40取付用の透孔を示す。
【0022】
次に、
図7(A)の33は、第2整形部材50の元部を本体21に対して取付ける為の第2整形部材支持元部を示す。
図7(B)の35は、第2整形部材50の突出部(先部)を本体21に対して取付ける為の第2整形部材支持突部を示す。36、37は、ボデー部22から側方へ突設された第2整形部材支持突部の突出腕を示し、それらの元部36a、37aはボデー部22に固着されている。38は第2整形部材50の突出部連結部材58を取付ける為の連結部材を示し、上記2つの突出腕36、37の先部36b、37bに連結されている。
なお、
図7(B)の39は、補強用の板状の補強材を示し、金具39a等を用いて第2整形部材支持突部35と一体化されている。
【0023】
次に、第1整形部材を
図5〜7を用いて説明する。第1整形部材40は、硬質材で板状に形成されている。硬質材としては、周知の材料、例えば金属材料や任意の硬質樹脂材を用いればよく、好ましくは、再生プラスチック、強化プラスチック等の合成樹脂材を用いるとよい。第1整形部材40の大きさとしては、所定巾W1内にある残雪11をかき集められるような大きさに形成すればよく、所定巾W1の寸法や第1整形部材40の突出方向の程度等により異なるが、例えば
図5に示される寸法に形成すればよい。
図5の41は本体21に対して取付ける為の固着部、41aは固着部41に形成された複数の取付孔を示す。第1整形部材40の本体21に対する取付は、
図5(C)によく表れるように、上記第1整形部材支持腕28のホールド部31に対して、取付手段42を用いて一体的に固着されている。取付手段42としては、図示のように複数のボルト42を用いて着脱自在に固着され、第1整形部材40が摩耗、破損したときに交換作業が容易となっている。なお、取付手段としては、その他周知の手段(かしめ、接着剤による取付)を用いて一体的に固着してもよい。
【0024】
さらに、
図5の第1整形部材40は、本体21から一側方に突出させた雪掻集部材43を備えており、雪掻集部材43の突出状態は、下端44が道路面4a上の残雪11(区分線6附近から高欄7に向けての所定巾W1内にある残雪11)を掻き集めることができるように路面4aに近接する状態で、かつ、上面から見た突出方向は、進行方向65に対して、上記路面4a上の残雪11を高欄7側へ寄せ集めながら上記傾斜状態で積み上げられている残雪10の裾部分12を押し固めるように鈍角に設定してある。
上記近接する状態とは、雪掻集部材43で路面4a上の残雪11を掻き集め、所定巾W1内にある残雪11が除去されるような近接状態であればよい。例えば、下端44を路面4aに接するまで近接させてもよい。或いは、走行車線2と追越車線3に散布された凍結防止溶液で溶ける量の雪を残して掻き集めることができる程度に、下端44と路面4aに僅かな間隙45が存在する近接状態に設定してもよい。
さらに、上記設定してある鈍角としては、上記所定巾W1内にある残雪11を掻き集めて裾部分12に押付けできるような任意の鈍角に設定すればよく、例えば雪掻集部材43の雪掻面43cが進行方向に対して鈍角θ1:160°程度に設定してもよい。
【0025】
次に、
図6に表れている50は第2整形部材を示し、路肩に積上げた雪10の斜面14を削って均せるように硬質材で形成されている。硬質材としては、周知の材料、例えば金属材料や任意の硬質合成樹脂材等を用いればよい。
上記の第2整形部材50は、上記本体21における上記雪掻集部材43の元部位置43aより後方位置から、上記雪掻集部材43と同じく側方に突出させた均し部材51を備え、上記均し部材51の突出状態は、上記残雪10の斜状の上面14に対応するように突出部51bが上部に位置するような傾斜状態にしてある。 即ち、
図5に表れる均し部材51の元部51aは、整形機20を進行方向65に進行させた場合、雪掻集部材43によって圧縮壁17を形成した後、引き続いて圧縮壁17の斜め上方の残雪の斜面14を均せるように、その位置を第1整形部材40の元部43aから所定寸法後方へ配置されている。例えば、所定寸法L1を約500mmの位置に設定してもよい。
図6(A)の均し部材51の突出状態としては、残雪10の斜面14の雪が走行車線2に崩れ落ちないようにする観点からは突出部51bの傾斜角θ2を約45°位、走行する車のドライバーにより安心感を与える観点からは突出部51bの傾斜角θ2を約30°位に設定するとよい。
さらに、
図5に表れる均し部材51の上面から見た突出方向は、進行方向65に対して、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を斜め後方に逃すことが可能となるように進行方向65に対して鈍角θ3に設定してある。鈍角θ3としては、残雪10の量、上面14における凹凸14a、14bや雪塊15の状態等により任意に決めればよいが、例えば、130°〜140°くらいに設定するとよい。
【0026】
次に、
図8に表れる57は、均し部材51の元部51aを本体21に対して取付ける為の連結部材で、元部51aに溶接手段により一体的に結合されている。本体21に対する取付は、上記第2整形部材支持元部33に対して取付孔57a、ボルト57bを利用して着脱自在に取付けられている。58は、均し部材51の突出部51bを本体21に対して取付ける為の突出部連結部材で、均し部材51の突出部51bの先端に一体的に結合し、本体21に対して第2整形部材支持突部35を介して一体的に取付けられている。
なお、均し部材51の傾斜角度θ2を変更自在にしたい場合は、均し部材51の元部51aを第2整形部材支持元部33に対して回動自在に取付け、例えばボルト57bで連結部材57と第2整形部材支持元部33とを枢着し、均し部材51の突出部51bの先部を、予め段階的に位置調節可能に構成された(例えば周知のように段階的位置に複数の取付孔を形成された)連結部材38に対して上下動自在に取付けるようにすればよい。
さらに、予め均し部材51の傾斜角度θ2が相互に異なる第2整形部材50を複数種準備しておき、それらを交換的に本体21に対して装着し、傾斜角度θ2を調節自在にしてもよい。
【0027】
さらに、
図6の均し部材51は、その元部51aを路面から高さH1の位置に設定し、残雪10の斜面14を路面上の高さH1から所定斜面18の角度に均すことのできる例を説明したが、残雪10の斜面14を路面4aからすぐ所定斜面18の角度になるように均して整形するようにしても良い。
その場合は、
図6(A)におけるエッジ53の下端51dが路面4aに接するまでに近づくように設定すればよい。
例えば、
図11(B)に表れる均し裾部材51fを装着すればよい。均し裾部材51fの本体21に対する装着は、第2整形部材支持元部33に対して周知の取付手段、例えば複数のボルトを用いて固着すればよい。
このように構成した場合、
図12のように、残雪10の斜面14を路面4aからすぐ所定斜面18の角度になるように整形することができる。
【0028】
次に、
図8(A)(B)によく表れている上記第2整形部材50の均し部材51における進行方向65に添う切断面52の形状は、全体形状を凹曲面にし、開口面52bを進行方向65に向けることにより、均し部材51における下側エッジ側52cで削り取った雪を均し部材51の下側エッジ53側内壁面に受け入れ、内壁面52aに添って深部に移動させ、さらに押されて内壁面52aに添って上昇して、落下するように(
図8(B)の矢印67〜70参照)構成してもよい。
54は上側エッジ部、59はエッジ部53付近を補強する為の補強板の存在位置を示す。
なお、上記均し部材51の切断面52の全体形状を凹曲面に構成したものを説明したが、残雪10の量が少ない場合や、上面14における凹凸14a、14bや雪塊15少ない状態の場合は、均し部材51の切断面52の全体形状を平坦な薄板状に形成してあってもよい。このように構成した場合も同様に傾斜状の残雪の凹凸14a、14bの斜面14を均して所定の斜面18に整形することができる。
【0029】
次に、必要に応じて選択的に備えさせることのできる第3整形部材60について
図5〜8を用いて説明する。
図6の60は、残雪10における傾斜部分13の天面14cを整形する為の第3整形部材であり、下端部62は、残雪10における傾斜部分13の天面14cを削って形成できるように略水平に形成されている。第3整形部材60の元部60aに形成された取付孔61、61と、連結部材38の取付孔38a、38aを利用してボルトとナットでもって固着されている。
なお、上記第3整形部材60は、最も側方に突出させている配置から、路肩残雪整形機の側方に位置する構造物、例えば高欄7に対する接触緩衝材としての役割も果たすことができる。
【0030】
図7(A)に表れる64aは、上記第2整形部材50の均し部材50で残雪10の斜面を削った余剰の雪や雪塊が本体21の下へ転がって路面4a上に落ちないようにする為の裾部材を示す。
図7(A)の裾部材64aは、第1整形部材40の元部43aから第2整形部材50の元部の間にわたって連続的に取付けられている。
なお、64b、64cは裾部材64aに連続した状態で取付られた裾部材を示す。
【0031】
次に、
図5、
図6(B)を用いて目印手段27を説明する。
図5の27aは目印の存在を示し、運転席から認知できる大きさに形成し、例えば目立つように赤色にしてある。27bは本体21から伸縮自在に構成してある伸縮棹(例えば三脚のような3重筒)の存在を示し、これの先部に上記27aが備えられている。
運転者は整形作業に先立ち、目印27aを区分線6から一定巾(目分量)だけ走行車線2寄りに合わせ、目印27aが区分線6に平行して(沿って)前進するように運転する。
その結果、
図5で説明したように、第1整形部材40は所定巾W1の残雪11を高欄7側に正確な寸法で寄せながら進行できる。
【0032】
上記構成のものを用いて、路肩残雪を整形する作業について説明する。
現場としては、
図3に表れているような路肩4の路面上に残雪10を積上げられた高速道路1である。
現場において、上記路肩4における路面4a上に、走行車線側から高欄7に向けて上面14が逐次高くなるように、傾斜状態で積み上げられた残雪10を多く残すに当たっては、まず、上記した本体21に対して、第1整形部材40と第2整形部材50とが備えさせてある前進自在の路肩残雪整形機20を用意する。
さらに、駆動手段、例えばフォークリフト66も用意し、フォークリフト66を路肩残雪整形機20に連結する。
フォークリフト66を運転して、
図4に表れているように路肩残雪整形機20を道路面上に配置する。その配置は、残雪10における所定巾W1内にある残雪11を第1整形部材40で掻き集められるよう、
図4、
図5(A)に表れるように、第1整形部材40における雪掻集部材43を区分線6にあわせて配置する。
配置が完了したら、 上記路肩残雪整形機20の本体21を、走行車線2と路肩4との区分線6に対して、上記第1整形部材40が沿う状態で進行方向65へ進行させる。
【0033】
図9、10は、上記路肩残雪整形機20で残雪10を整形する過程を説明する為の概略ステップ図を示す。
図9、10における第1〜第6の各ステップは、夫々、残雪10の一地点、例えば
図4の矢印IXで示す地点を路肩残雪整形機20が進行して行った場合の路肩残雪整形機20の各部(
図4の矢印IXA、IXB、IXC、XA、XB、XCの各ポイント)を示す。
図9において、(A)は
図4の矢印IXA位置(整形機20の配置完了時)、(B)は矢印IXB位置、(C)矢印IXCは位置を示す。
図10において、(A)は矢印XA位置、(B)は矢印XB位置、(C)矢印XC位置(整形完了時)を示す。
路肩残雪整形機20を進行方向65へ進行させる。すると、
図5(A)の第1整形部材40は進行方向65に対して角度θ1をもっているので、
図9(A)(B)(C)に順次表れていることからも理解できるように、上記区分線6附近から高欄7に向けての所定巾W1内にある残雪11を、第1整形部材40の雪掻集部材43でもって高欄7側へ掻集めながら、雪掻集部材の雪掻面43cで「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の裾部分12に押し付ける。それにより残雪の裾部分12は加圧され、その残雪の裾部分12に「傾斜状態で積み上げられた残雪10」の崩れ防止用の圧縮壁17が所定ライン16に沿って形成される。
この圧縮壁17の存在は、裾部分12の雪を固くて溶融し難い土台を形成することになり、前述の説明から明らかなように、傾斜状の残雪13の雪崩現象を防ぐ役割を果たすことができる。
【0034】
さらに、上記圧縮壁17を形成しながら進行させると共に、引き続いて、
図9(C)、
図10(A)(B)に順次表れていることからも理解できるように、上記第1整形部材40により形成される圧縮壁17の斜め上方位置に存在することになる傾斜状の残雪13の斜面14は、上記第1整形部材40よりも後方に位置する第2整形部材50の均し部材51でもって、上記残雪10の傾斜状態の上面14における雪塊15を押し退けながら凹凸14a、14bのある表面を均し、所定の斜面18に整形する。即ち、
図9(C)に表れる均し部材51の下側エッジ53よりも突出した凸部14bは削り取られたり、或いは雪塊15は押し退けられたりして、均し部材50における内壁面52aに受止められ、その内壁面52aの余剰の雪は、均し部材51の進行に伴い凹部14aに落ちて凹部14aは埋められていく。
このように、傾斜状態の残雪13の上面14の凹凸14a、14bのある表面は所定斜面に整然と均されるので、交通指導の警察機関が交通安全の観点から見た場合、傾斜状態の残雪13が走行車線2へ転がり落ちたりすることなく、安定しているように見え、交通指導員に対して安心感を醸し出すことができる。
さらに、上記第3整形部材60を備えている場合は、
図10(C)に表れていることからも理解できるように、第3整形部材60でもって残雪10における傾斜部分13の天面14cを削って整形する。すると、より一層傾斜状態の残雪の見栄えが良くなる。