特許第5873367号(P5873367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873367
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ソフトカプセル皮膜及びソフトカプセル
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20160216BHJP
   A61K 47/42 20060101ALI20160216BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20160216BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61K9/48
   A61K47/42
   A61K47/26
   A23L1/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-72124(P2012-72124)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-203671(P2013-203671A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503315676
【氏名又は名称】中日本カプセル 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】山中 穰
(72)【発明者】
【氏名】山中 利恭
(72)【発明者】
【氏名】須原 渉
(72)【発明者】
【氏名】梅村 英行
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 智弘
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−309525(JP,A)
【文献】 特開2004−175714(JP,A)
【文献】 特開2004−351007(JP,A)
【文献】 特開昭63−280017(JP,A)
【文献】 特開2001−089362(JP,A)
【文献】 特開2004−262774(JP,A)
【文献】 特開2004−196706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/48
A61K 47/00−47/48
A23L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチン、高糖化還元水飴、及び、エリスリトールを含有し、グリセリンを含有しない
ことを特徴とするソフトカプセル皮膜。
【請求項2】
ゼラチン100重量部に対し高糖化還元水飴を35重量部〜42重量部含有し、
高糖化還元水飴に対し7:1〜21:1の重量比でエリスリトールを含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のソフトカプセル皮膜。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑剤としてグリセリンを含有しないソフトカプセル皮膜、及び、該ソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソフトカプセル皮膜には、柔軟性・弾力性が要請される。これは主に、ソフトカプセル皮膜内に封入される内容物は、通常“液体”(溶液または懸濁液)であり、環境の温度変化に伴う体積変化が大きいため、ソフトカプセル皮膜が柔軟性・弾力性に乏しい場合は、内容物の体積変化に起因してソフトカプセル皮膜に割れが生じ、内容物が漏出するおそれがあるからである。そこで、ソフトカプセル皮膜には、柔軟性・弾力性を高めるために可塑剤が添加されるのが一般的であり、可塑剤としては、従来、グリセリンが多用されていた。
【0003】
ところが、グリセリンを含有するソフトカプセル皮膜は、高温・多湿下で軟化し表面が粘着しやすい。そのため、かかるソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルは、保存中にソフトカプセル同士またはソフトカプセルと保存容器とが、付着してしまうことがあった。
【0004】
そこで、本出願人は、ゼラチンを皮膜基剤とし、可塑剤としてグリセリンを含有するソフトカプセル皮膜に、エンドウ蛋白を添加する技術を提案している(特許文献1参照)。この技術によれば、高温・多湿下におけるソフトカプセル皮膜表面の粘着性を、十分に抑制することができる。
【0005】
この従来技術は、ソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与する役割をグリセリンによって担保した上で、高温・多湿下における粘着性をエンドウ蛋白によって抑制するというアプローチであった。本出願人は、これとは別のアプローチとして、グリセリンに代替して(グリセリンを使用することなく)、ソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与できると共に、ソフトカプセル皮膜表面の粘着性を抑制できる新規な可塑剤について研究を進め、本発明に至ったものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、グリセリンに代替してソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与できると共に、ソフトカプセル皮膜表面の粘着性を抑制できる可塑剤を含有するソフトカプセル皮膜、及び、該ソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルの提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるソフトカプセル皮膜は、「ゼラチン、高糖化還元水飴、及び、エリスリトールを含有し、グリセリンを含有しない」ものである。
【0008】
本発明者らは検討の結果、ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセル皮膜に、高糖化還元水飴及びエリスリトールを含有させることにより、ソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与することができ、且つ、ソフトカプセル皮膜表面の粘着性を抑制できることを見出した。これにより、高温・多湿下でソフトカプセル皮膜表面が粘着性を示すグリセリンに代替して、高糖化還元水飴及びエリスリトールを可塑剤として含有し、柔軟性・弾力性を有すると共に、皮膜表面の粘着性が抑制されたソフトカプセル皮膜を提供することができる。
【0009】
加えて、グリセリンは“食品添加物”であるのに対し、還元水飴、エリスリトールは共に食品添加物には該当しない。これにより、グリセリンを含有するソフトカプセル皮膜に比べ、より需要者に受け容れられやすいという利点を有する。
【0010】
本発明にかかるソフトカプセル皮膜は、上記構成において、「ゼラチン100重量部に対し高糖化還元水飴を35重量部〜42重量部含有し、高糖化還元水飴に対し7:1〜21:1の重量比でエリスリトールを含有する」ものとすることができる。
【0011】
ゼラチンに対する高糖化還元水飴の重量割合、及び、高糖化還元水飴とエリスリトールの重量比を上記範囲とすることにより、後述するように、柔軟性・弾力性に優れると共に、皮膜表面の粘着性が有効に抑制されたソフトカプセル皮膜を提供することができる。
【0012】
また、従来のソフトカプセル皮膜では、グリセリンに代替して、または、グリセリンと併用して、ソルビトールが可塑剤として使用されることがあった。ところが、ソルビトールを含有するソフトカプセル皮膜は、乾燥条件によって、ソルビトールの結晶が析出してしまうことがあった。ソフトカプセルは、透明な外観に高い市場的価値を有するため、結晶の析出によってその外観が損なわれることは、重大な問題であった。これに対し、本発明のソフトカプセル皮膜は、ソルビトールと同じく糖アルコールであって、ソルビトールより飽和濃度の低いエリスリトールを含有するものの、後述するように、エリスリトールが析出することはなく、透明な外観が損なわれないという利点も有している。
【0013】
次に、本発明にかかるソフトカプセルは、「上記に記載のソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセル」である。
【0014】
「内容物」は、特に限定されるものではなく、医薬成分、健康食品成分、栄養補助成分などの目的物質を、油脂または油状物質に溶解又は懸濁させたもの、或いは、上記の目的物質自体が油状やペースト状であるものを使用することができる。
【0015】
本発明により、柔軟性・弾力性を有するソフトカプセル皮膜を備え、ソフトカプセル同士の付着や容器との付着が抑制されたソフトカプセルを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の効果として、グリセリンに代替してソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与できると共に、ソフトカプセル皮膜表面の粘着性を抑制できる可塑剤を含有するソフトカプセル皮膜、及び、該ソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態であるソフトカプセル皮膜、及び、該ソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルについて説明する。
【0018】
本実施形態のソフトカプセル皮膜は、ゼラチン、高糖化還元水飴、及び、エリスリトールを含有し、グリセリンを含有しないものである。より具体的には、ゼラチン100重量部に対し高糖化還元水飴を35重量部〜42重量部含有し、高糖化還元水飴に対し7:1〜21:1の重量比でエリスリトールを含有するものである。
【0019】
このようなソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルは、ロータリーダイ式の成形装置を使用して製造することができ、ソフトカプセル皮膜の原液であるカプセル皮膜液を調製する皮膜液調製工程と、ソフトカプセル皮膜の成形と同時にソフトカプセル皮膜内に内容物を充填し封入する成形・充填工程と、成形・充填工程後のソフトカプセルを乾燥させる乾燥工程とを経て、得ることができる。
【0020】
皮膜液調製工程では、皮膜基剤であるゼラチンを加熱しながら水に溶解し、ここに高糖化還元水飴の水溶液、及びエリスリトールの粉末を添加し、流延に適する粘度のカプセル皮膜液を調製する。
【0021】
ロータリーダイ式成形装置は、一般的に、カプセル皮膜液をフィルム状に成形するキャスティングドラムと、外表面に成形鋳型が形成された一対のダイロールと、ダイロール間に配されたくさび状のセグメントと、セグメント内に内容物を圧入すると共にセグメントの先端から内容物を押し出すポンプとを主に具備している。
【0022】
そして、成形・充填工程では、まず、カプセル皮膜液が、キャスティングドラム表面に流延され、ゲル化することによりフィルム化される。次に、形成されたフィルムの二枚が、セグメントに沿って一対のダイロール間に送入される。そして、一対のダイロールの相反する方向への回転に伴い、二枚のフィルムがヒートシールされて上方に開放したカプセルが形成されると、この中にセグメントから押し出された内容物が充填される。これと同時に、二枚のフィルムが上部でヒートシールされ、閉じた内部空間に内容物が充填されたソフトカプセルが形成される。
【0023】
乾燥工程では、ソフトカプセル皮膜が所定の水分含有率となるまで、調湿乾燥機内で乾燥させる。
【0024】
次に、本実施形態のソフトカプセル皮膜を、上記組成とした根拠について説明する。まず、還元水飴とエリスリトールとの比率が異なる、表1に示す組成の試料1〜試料7のシート状ソフトカプセル皮膜を成形した。ここで、表1の組成は、ゼラチン100重量部に対する重量部で示している。ソフトカプセル皮膜は、ゼラチン、還元水飴の70質量%水溶液、及びエリスリトールを、水に溶解させた皮膜液から成形した。還元水飴としては、後述する糖類組成aの高糖化還元水飴を使用した。また、エリスリトールとしては、粉末状エリスリトールを使用した。試料1〜試料6における還元水飴の固形分とエリスリトールとの重量比は、それぞれ3.5:1、7:1、14:1、21:1、28:1、35:1である。なお、試料7はエリスリトールを含有しない組成である。
【0025】
【表1】
【0026】
試料1〜試料7のソフトカプセル皮膜について、下記の方法で、外観、割れ、及び付着性を評価した。評価結果を表1にあわせて示す。
【0027】
<外観>
肉眼による観察により、透明感に優れる場合を「○」(良好)、部分的であっても不透明な箇所がある場合を「×」(不良)で評価した。
【0028】
<割れ>
シート状に成形されたソフトカプセル皮膜を、温度20℃〜30℃、湿度20%〜40%の環境下で48時間乾燥した後、ソフトカプセル皮膜を折り曲げ、肉眼による観察により、亀裂が確認されなかった場合を「○」(良好)、少しでも亀裂が確認された場合を「×」(不良)で評価した。なお、上記条件の乾燥による割れ発生の有無は、ソフトカプセル皮膜の柔軟性・弾力性の指標となるものである。
【0029】
<付着性>
シート状のソフトカプセル皮膜を1cm×1cmの大きさのシート片に切断し、シート片50枚をガラス製9号規格瓶に収容し、次の保存条件で100時間保持した。保存条件は、通常の保存条件より高温・多湿である温度40℃,相対湿度75%の条件(条件A)と、より過酷な高温度である50℃の条件(条件B)の二種類とした。保存後、シート片を瓶から取り出したとき、シート片同士の付着が全くなく一枚一枚が完全に分かれた場合を「○」(良好)、一部のシート片同士が付着していたが手で剥離できる程度であった場合を「△」(やや不良)、一部であっても手で剥離できない程度に付着していた場合を「×」(不良)で評価した。なお、割れの評価で「不良」であった試料については、付着性の評価は行わなかった。
【0030】
表1に示すように、試料2,3,4のソフトカプセル皮膜は、外観、割れ、付着性の評価を総合的に判断して、実用的なものであった。すなわち、ゼラチン100重量部に対して35重量部の還元水飴を含有し、還元水飴とエリスリトールの重量比(還元水飴:エリスリトール)が7:1〜21:1であるソフトカプセル皮膜は、実用的なものであった。特に、還元水飴とエリスリトールの重量比が7:1〜14:1である試料2,3は、外観、割れ、付着性の何れの評価も「良好」であり、ソフトカプセル皮膜として優れていた。
【0031】
また、エリスリトールを含有しない試料7、及び、エリスリトールの含有量が少ない試料5,6は、外観は良好であるものの、割れの評価で「不良」であった。このことから、ソフトカプセル皮膜の柔軟性・弾力性のためには、還元水飴とエリスリトールとの両方を含有することが必要であり、且つ、エリスリトールが少ない場合はソフトカプセル皮膜に十分な柔軟性・弾力性を付与することができないと考えられた。一方、還元水飴に対するエリスリトールの重量比が大きい試料1は、エリスリトールの析出により透明性が低下し、外観が「不良」であった。また、試料1については割れの評価も「不良」であり、エリスリトールが析出してしまうことによって、ソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与するエリスリトールの作用を発揮できないと考えられた。以上より、透明な外観を有し、且つ、柔軟性・弾力性に優れたソフトカプセル皮膜とするためには、還元水飴に対するエリスリトールの重量比として、適切な範囲(ゼラチン100重量部に対して35重量部の還元水飴を含有し、還元水飴とエリスリトールの重量比が7:1〜21:1)が存在し、この範囲では付着も有効に抑制されていると考えられた。
【0032】
次に、ゼラチンに対する還元水飴及びエリスリトールの割合が異なる場合について検討した。還元水飴とエリスリトールの重量比が7:1となるように、ゼラチンに対する還元水飴及びエリスリトールの重量割合を異ならせた表2に示す組成のシート状ソフトカプセル皮膜を成形した。なお、表2の組成は、上記と同様にゼラチン100重量部に対する重量部で示している。また、還元水飴及びエリスリトールは、上記と同一のものを使用した。成形された試料11〜試料17のソフトカプセル皮膜について、上記の方法で、外観、割れ、及び付着性を評価した。評価結果を表2にあわせて示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示すように、試料13,14,15のソフトカプセル皮膜は、外観、割れ、付着性の評価を総合的に判断して、実用的なものであった。すなわち、ゼラチン100重量部に対して35重量部〜49重量部の還元水飴を含有するソフトカプセル皮膜は、実用的なものであった。特に、ゼラチン100重量部に対して還元水飴を35重量部〜42重量部含有する試料13,14は、外観、割れ、付着性の何れの評価も「良好」であり、ソフトカプセル皮膜として優れていた。
【0035】
同様に、ゼラチンに対する還元水飴及びエリスリトールの割合が異なる場合について検討するために、還元水飴とエリスリトールの重量比が21:1となるように、ゼラチンに対する還元水飴及びエリスリトールの重量割合を異ならせた表3に示す組成のシート状ソフトカプセル皮膜を成形した。なお、表3の組成は、上記と同様にゼラチン100重量部に対する重量部で示している。また、還元水飴及びエリスリトールは、上記と同一のものを使用した。成形された試料21〜試料27のソフトカプセル皮膜について、上記の方法で、外観、割れ、及び付着性を評価した。評価結果を表3にあわせて示す。
【0036】
【表3】
【0037】
表3に示すように、試料23,24のソフトカプセル皮膜は、外観、割れ、付着性の評価を総合的に判断して、実用的なものであった。すなわち、ゼラチン100重量部に対して35重量部〜42重量部の還元水飴を含有するソフトカプセル皮膜は、実用的なものであった。
【0038】
以上から、ゼラチン100重量部に対して35重量部〜42重量部の還元水飴、及び、高糖化還元水飴に対する重量比7:1〜21:1のエリスリトールは、ゼラチンに代替して、ソフトカプセル皮膜に柔軟性・弾力性を付与する可塑剤として有用であり、高温・多湿下、及び、過酷な高温下でもソフトカプセル皮膜同士の付着が抑制されていると考えられた。加えて、上記割合の還元水飴及びエリスリトールの添加により、ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセル皮膜の透明で美しい外観が損なわれることはなかった。
【0039】
上記の検討は、還元水飴として、表4に糖類組成を示す高糖化還元水飴(組成a)を使用して行った。次に、糖化の程度(分解の程度)の相違する還元水飴として、高糖化還元水飴(組成b)、中糖化還元水飴、及び、低糖化還元水飴を使用した場合について、高糖化還元水飴(組成a)を使用した場合と対比して示す。これらの還元水飴の糖類組成を表4にあわせて示す。
【0040】
【表4】
【0041】
高糖化還元水飴(組成a)、高糖化還元水飴(組成b)、中糖化還元水飴、低糖化還元水飴をそれぞれ還元水飴として使用し、表5に示す組成のシート状ソフトカプセル皮膜を成形した。なお、表5の組成は、上記と同様にゼラチン100重量部に対する重量部で示している。また、エリスリトールは、上記と同一のものを使用した。成形された試料31〜試料38のソフトカプセル皮膜について、上記の方法で、外観、割れ、及び付着性を評価した。評価結果を表5にあわせて示す。
【0042】
【表5】
【0043】
表5に示すように、単糖類及び二糖類の合計の質量割合が80%以上で単糖類の質量割合が40%以上の高糖化還元水飴(組成a)を使用した試料31,35、及び、単糖類及び二糖類の合計の質量割合が70%以上で単糖類の質量割合が40%以上の高糖化還元水飴(組成b)を使用した試料32,36は、外観、割れ、付着性の評価において何れも良好であったのに対し、中糖化還元水飴を使用した試料33,37、低糖化還元水飴を使用した試料34,38は、外観は良好であったものの、乾燥により割れが生じた。このことから、グリセリンに代替する可塑剤として、エリスリトールと共にソフトカプセル皮膜に含有させる還元水飴としては、糖化の程度の高い高糖化還元水飴を使用する必要があると考えられ、高糖化還元水飴として単糖類と二糖類の合計の質量割合が70%以上で単糖類の質量割合が40%以上の高糖化還元水飴を使用すれば、ソフトカプセル皮膜に十分な柔軟性・弾力性を付与できると共に、効果的に付着を抑制できることが確認された。
【0044】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0045】
例えば、上記では、ロータリーダイ式でソフトカプセル皮膜を成形すると共にソフトカプセルを製造する場合を例示したが、これに限定されず、滴下法によってシームレスソフトカプセル皮膜を成形すると共にシームレスソフトカプセルを製造する場合にも、高糖化還元水飴及びエリスリトールを、グリセリンに代替する可塑剤として使用することができる。
【0046】
なお、本発明は、ソフトカプセル皮膜の可塑剤として、グリセリンに代替して、高糖化還元水飴とエリスリトールを使用することを提案するものであるが、高糖化還元水飴とエリスリトールに加えてグリセリンを含有させて、柔軟性・弾力性を有するソフトカプセル皮膜を製造することは、もちろん可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特許第3802550号公報