特許第5873369号(P5873369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873369
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】建物の張出構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   E04B1/348 L
   E04B1/348 N
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-73007(P2012-73007)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-204283(P2013-204283A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一挙
(72)【発明者】
【氏名】一志 将人
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−144391(JP,A)
【文献】 特開2004−044172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/00
E04B 2/56
E04B 7/02
E04F 10/00 − 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱及び大梁からなる構造部を有する建物本体と、
前記建物本体から屋外側に張り出すように設けられる袖壁部と、
同じく前記建物本体から屋外側に張り出すように設けられる張出屋根部と、
を備え、前記張出屋根部が、前記袖壁部に連続しかつ前記袖壁部の側面のうち一側面から延びるように設けられている建物の張出構造であって、
前記張出屋根部は、前記構造部に対して片持ち状態で連結される屋根フレームを有し、この屋根フレームにより前記張出屋根部が支えられており、
前記袖壁部において、袖壁面材が取り付けられる下地となる袖壁フレームは、その上下方向において前記張出屋根部に連続する高さに設けられる上フレーム部と、その上フレーム部の下側に設けられる下フレーム部とを有しており、
前記屋根フレームに対して前記上フレーム部及び前記下フレーム部のいずれかが連結されており、
前記袖壁フレームにおいて、前記袖壁部の各側面のうち張出屋根部側の側面には、前記下フレーム部の上下方向の寸法に応じた縦寸法を有する前記袖壁面材が取り付けられるとともに、張出屋根部側でない側面には、前記上フレーム部及び前記下フレーム部の上下方向の寸法に応じた縦寸法を有する前記袖壁面材が取り付けられていることを特徴とする建物の張出構造。
【請求項2】
前記屋根フレームは、前記構造部における柱の仕口部分に片持ち状態で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の張出構造。
【請求項3】
前記下フレーム部の上面部が前記屋根フレームに連結されることで、前記袖壁フレームが前記建物本体に対して固定されていることを特徴とする請求項2に記載の建物の張出構造。
【請求項4】
前記上フレーム部及び前記下フレーム部のいずれかには、当該フレーム部を前記屋根フレームに対して連結する連結部材が設けられており、
前記屋根フレームと前記連結部材とにそれぞれ挿通孔が形成され、その挿通孔に固定具が挿通されて前記屋根フレームに対して前記上フレーム部及び前記下フレーム部のいずれかが連結されており、
前記屋根フレーム及び前記連結部材の各挿通孔のうち少なくとも一方は、前記屋根フレームの張出方向が長手方向となる長孔となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物の張出構造。
【請求項5】
前記屋根フレームは、前記構造部から延びる一対の片持ち梁と、これら一対の片持ち梁の間に配置され、各片持ち梁の先端部に各々連結される連結梁とを有し、
前記一対の片持ち梁のうち一方の片持ち梁側に前記袖壁部が設けられているのに対し、他方の片持ち梁側には前記袖壁部が設けられていないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の張出構造。
【請求項6】
前記建物の屋根部は陸屋根であり、その陸屋根の一部として前記張出屋根部が設けられており、
前記陸屋根の周縁部に上方に突出してパラペットが設けられており、
前記上フレーム部は、前記パラペットの下地になるパラペット下地部を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物の張出構造。
【請求項7】
前記建物本体は、複数の柱と、その柱の上下両端に連結された大梁とを有してなる複数の建物ユニットにより構成され、
前記袖壁部と前記張出屋根部とは、前記建物ユニットから屋外側に張り出すように設けられており、
前記屋根フレームは、前記建物ユニットの柱及び大梁のいずれかに片持ち状態で連結されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の張出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物本体の外側に袖壁部と張出屋根部とを設けた建物の張出構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物本体の外側に袖壁部を設け、意匠性の向上や目隠し、防風、防音等を図るようにした建物が知られている。また、袖壁部の上端部に張出屋根部(軒部)を一体的に連続させて設けた建物が知られている。袖壁部と張出屋根部とを有する建物として、例えば特許文献1のユニット式建物では、建物ユニットの骨組みに対して袖壁パネルを接合するとともに、その袖壁パネルの下部を基礎により支持する構成としている。そして、袖壁パネルの先端上部により屋根の軒先を支持する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−144391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のとおり袖壁パネルにより屋根の軒先を支持する構成では、張出屋根部である軒部を支持する上で袖壁パネルが必須であり、袖壁パネルが存在していないと軒部の構造強度が不十分になるおそれがある。そのため、軒部の下方において複数箇所に袖壁パネル(袖壁部)を設けることが必要となり、建物の張出構造として設計上の制約が生じるという不都合がある。
【0005】
また、建物本体に袖壁部と張出屋根部とを設ける建物において、次のような不都合も考えられる。つまり、張出屋根部の軒先方向の一端部に袖壁部を連続して設ける構成を想定すると、袖壁部の両側面のうち一方には張出屋根部があり、他方には張出屋根部が無いといった構成となる。この場合、袖壁部において、張出屋根部のある側の側面と張出屋根部のない側の側面とで袖壁面材が設けられる範囲が相違する。要するに、張出屋根部のある側の側面では、張出屋根部が存在する高さ位置において袖壁面材が不要となるのに対し、張出屋根部のない側の側面では、張出屋根部が存在する高さ位置にも袖壁面材が必要となる。そのため、袖壁部に取り付ける袖壁面材として、どこも同サイズの袖壁面材を用いると、袖壁部の外壁面において横方向に延びる目地(袖壁面材同士の接合端部)ができ、それに起因して見栄えが損なわれるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、袖壁部の設置に関して設計上の制約が生じないようにし、しかも袖壁部と張出屋根部との相互の位置関係によらず袖壁面材を好適に取り付けることができる建物の張出構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0008】
第1の発明は、
柱及び大梁からなる構造部を有する建物本体と、
前記建物本体から屋外側に張り出すように設けられる袖壁部と、
同じく前記建物本体から屋外側に張り出すように設けられる張出屋根部と、
を備え、前記張出屋根部が、前記袖壁部に連続しかつ前記袖壁部の側面のうち一側面から延びるように設けられている建物の張出構造であって、
前記張出屋根部は、前記構造部に対して片持ち状態で連結される屋根フレームを有し、この屋根フレームにより前記張出屋根部が支えられており、
前記袖壁部において、袖壁面材が取り付けられる下地となる袖壁フレームは、その上下方向において前記張出屋根部に連続する高さに設けられる上フレーム部と、その上フレーム部の下側に設けられる下フレーム部とを有しており、
前記屋根フレームに対して前記上フレーム部及び前記下フレーム部のいずれかが連結されており、
前記袖壁フレームにおいて、前記袖壁部の各側面のうち張出屋根部側の側面には、前記下フレーム部の上下方向の寸法に応じた縦寸法を有する前記袖壁面材が取り付けられるとともに、張出屋根部側でない側面には、前記上フレーム部及び前記下フレーム部の上下方向の寸法に応じた縦寸法を有する前記袖壁面材が取り付けられていることを特徴とする建物の張出構造。
【0009】
上記構成では、張出屋根部は、建物本体の構造部に対して片持ち状態で連結される屋根フレームを有しており、この屋根フレームにより張出屋根部が支えられている。そのため、袖壁部により張出屋根部(軒部)が支持されている構成とは異なり、仮に袖壁部の存在がなくても、張出屋根部の構造強度を確保できる。ゆえに、袖壁部の設置位置や設置個数について設計上の自由度が増すこととなる。
【0010】
また、屋根フレームに対して上フレーム部及び下フレーム部のいずれかが連結されており、その連結によって、構造部に対して袖壁部を固定することができる。
【0011】
また、張出屋根部に連続して一体的に設けられる袖壁部において、張出屋根部が設けられる側と設けられない側とで袖壁面材の縦寸法を相違させる構成とした。つまり、袖壁フレームにおいて、袖壁部の各側面のうち張出屋根部側の側面には、下フレーム部の上下方向の寸法に応じた縦寸法を有する袖壁面材が取り付けられるとともに、張出屋根部側でない側面には、上フレーム部及び下フレーム部の上下方向の寸法に応じた縦寸法を有する袖壁面材が取り付けられる構成とした。この場合、袖壁部の各側面で必要となる袖壁面材の縦寸法が相違しても、その寸法の違いに対応させて袖壁面材を各々取り付けることができる。これにより、袖壁部の外壁面において、横方向に延びる目地(上下の袖壁面材同士の接合端)を無くす又は減らすことができ、目地によって見栄えが損なわれるといった不都合を抑制できる。
【0012】
なお、袖壁面材として縦縞模様の意匠面を有する壁材を用いる場合には、横方向に延びる目地が存在するとそれが一層目立つことになる。この点、上記のとおり袖壁部の外壁面において、横方向に延びる目地(袖壁面材同士の接合端部)を無くしたので、縦縞模様の壁材を用いる場合にあっても、目地の存在による見栄えの低下を抑制できる。
【0013】
以上により、袖壁部の設置に関して設計上の制約が生じないようにし、しかも袖壁部と張出屋根部との相互の位置関係によらず袖壁面材を好適に取り付けることができることとなる。
【0014】
第2の発明は、
前記屋根フレームは、前記構造部における柱の仕口部分に片持ち状態で連結されていることを特徴とする。
【0015】
屋根フレームを構造部における柱の仕口部分に連結することで、それ以外の、例えば屋根フレームを大梁に連結する構成に比べて、屋根フレームの支持強度を高めることができる。
【0016】
第3の発明は、
前記下フレーム部の上面部が前記屋根フレームに連結されることで、前記袖壁フレームが前記建物本体に対して固定されていることを特徴とする。
【0017】
下フレーム部の上面部が屋根フレームに連結される構成にすることで、屋根フレームと下フレーム部とを上下に並べて配置できる。そのため、例えば構造部の柱の外側に袖壁部を設けることで、屋根フレームと袖壁フレームとを共に柱外側に配置する必要が生じても、その配置を行う上で好都合な構成となる。
【0018】
例えば、建物本体において出隅部分に袖壁部を設ける場合、構造部の柱の外側に袖壁部が設けられることとなるが、かかる構成において、屋根フレームと袖壁フレームとを共に柱外側(出隅部分)に配置することができる。
【0019】
第4の発明は、
前記上フレーム部及び前記下フレーム部のいずれかには、当該フレーム部を前記屋根フレームに対して連結する連結部材が設けられており、
前記屋根フレームと前記連結部材とにそれぞれ挿通孔が形成され、その挿通孔に固定具が挿通されて前記屋根フレームに対して前記上フレーム部及び前記下フレーム部のいずれかが連結されており、
前記屋根フレーム及び前記連結部材の各挿通孔のうち少なくとも一方は、前記屋根フレームの張出方向が長手方向となる長孔となっていることを特徴とする。
【0020】
袖壁フレームは、建物本体の構造部に対して直接組み付けられるのではなく、屋根フレームを介して組み付けられる。この場合、屋根フレームや袖壁フレームの各部で寸法誤差が生じると、建物本体に対して所望の位置に袖壁フレームを配置できないことが生じると考えられる。この点、上記構成によれば、屋根フレーム及び連結部材の各挿通孔のうち少なくとも一方が長孔になっているため、仮に寸法誤差が生じていても、相互の位置調整が可能となり、建物本体に対して所望の位置に袖壁フレームを組み付けることができる。
【0021】
第5の発明は、
前記屋根フレームは、前記構造部から延びる一対の片持ち梁と、これら一対の片持ち梁の間に配置され、各片持ち梁の先端部に各々連結される連結梁とを有し、
前記一対の片持ち梁のうち一方の片持ち梁側に前記袖壁部が設けられているのに対し、他方の片持ち梁側には前記袖壁部が設けられていないことを特徴とする。
【0022】
上記構成では、張出屋根部において張出屋根部の軒先方向に延びる屋根フレーム(連結梁)の一端側には袖壁部が設けられ、他端側には袖壁部が設けられていない。これにより、建物本体の外側において逆L字状の張出部が形成されている。この場合、上記のとおり張出屋根部は屋根フレーム自体により支持されているため、袖壁部の有無に関係なく張出屋根部の構造強度を確保でき、袖壁部の位置は任意となる。ゆえに、張出屋根部と袖壁部とを用いて建物の意匠性を向上させる場合において有利なものとなっている。
【0023】
第5の発明は、
前記建物の屋根部は陸屋根であり、その陸屋根の一部として前記張出屋根部が設けられており、
前記陸屋根の周縁部に上方に突出してパラペットが設けられており、
前記上フレーム部は、前記パラペットの下地になるパラペット下地部を有していることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、屋根部のパラペット部分を含む範囲で、上下に一体の袖壁面材を取り付けることができる。これにより、屋根部を陸屋根とする建物について見栄えの向上を図ることができる。
【0025】
第6の発明は、
前記建物本体は、複数の柱と、その柱の上下両端に連結された大梁とを有してなる複数の建物ユニットにより構成され、
前記袖壁部と前記張出屋根部とは、前記建物ユニットから屋外側に張り出すように設けられており、
前記屋根フレームは、前記建物ユニットの柱及び大梁のいずれかに片持ち状態で連結されていることを特徴とする。
【0026】
建物ユニットは、それ自体高強度なラーメン構造を有している。そのため、建物ユニットの柱及び大梁のいずれかに屋根フレームを連結する構成とすれば、張出屋根部の構造強度を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】建物の概略を示す斜視図。
図2】建物ユニットの構成を示す斜視図。
図3】二階袖壁部の主要な構成を分解して示す分解斜視図。
図4】袖壁フレームを建物本体に取り付けた状態を示す斜視図。
図5図1におけるA−A線断面図。
図6図5の構成を一部省略して示す断面図。
図7】一階袖壁部の主要な構成を分解して示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、複数の建物ユニットにより構築される二階建てのユニット式建物での具体化を想定しており、ユニット式建物の外面に張出屋根部と袖壁部とからなる張出構造が設けられている。
【0029】
まずは図1を用いて建物10の概略を説明する。建物10は、複数の建物ユニットからなる一階部11と、同じく複数の建物ユニットからなる二階部12とを有し、その二階部12の上方には、フラットルーフ(陸屋根)タイプの屋根部13が設けられている。屋根部13には、その周縁部に上方に突出してパラペット14が設けられている。屋根部13の一部は、建物10の一側面において二階部12の外壁よりも外側に張り出しており、それが張出屋根部15となっている。張出屋根部15は軒部に相当し、屋根張出方向(建物外壁に直交する方向)が短辺、それに直交する軒先方向(建物外壁に平行となる方向)が長辺となる長尺状をなすものとなっている。
【0030】
また、建物10の外面において張出屋根部15が設けられる外面側(張出面側)には、その張出屋根部15の長手方向の一端部から鉛直方向に延びる袖壁部16が設けられている。袖壁部16は、基礎Kから張出屋根部15までの範囲で設けられている。張出屋根部15について袖壁部16との位置関係で言えば、張出屋根部15は、袖壁部16に連続しかつ袖壁部16の側面のうち一側面から延びるように設けられている。要するに、建物10では、複数の建物ユニットからなる建物本体の外側に張出屋根部15と袖壁部16とが設けられており、これら張出屋根部15と袖壁部16とにより、建物10の正面視において逆L字状の張出部が形成されている。
【0031】
張出屋根部15は、建物本体の一面(例えば正面側)において水平方向の一端側から他端側に延びる範囲で設けられており、袖壁部16は、建物本体の出隅部分に設けられている。
【0032】
建物ユニットについては周知であるが、その構成を簡単に説明する。図2に示す建物ユニット20においては、その四隅に柱21が配され、各柱21の上端部及び下端部がそれぞれ4本の天井大梁22、床大梁23により連結されている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格フレーム(構造部)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
【0033】
建物ユニット20の長辺部(桁面)に沿って延びかつ相対する一対の天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部に沿って延びかつ相対する一対の床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。また、図示は省略するが、建物ユニット20において建物10の外壁部に相当する部位には、外壁面材と下地フレームとからなる外壁パネルが固定されている。
【0034】
図2には、張出屋根部15が設けられる建物ユニット20を図示しており、柱21の上端部分(仕口部分)には片持ち状態で屋根フレームとしての張出梁ユニット43が固定されている。張出梁ユニット43は、一対の片持ち梁44と、これら一対の片持ち梁44の間に配置され、各片持ち梁44の先端部に各々連結された連結梁45と、を有している。これら各梁44,45はいずれも溝形鋼よりなる。片持ち梁44は、その長手方向の一端(基端部)が、建物ユニット20における柱21の仕口部分に設けられた固定金具46(図3参照)に固定され、建物ユニット20から水平方向外側に延びるようにして設けられている。本実施形態では、建物ユニット20における2本の柱21にそれぞれ片持ち梁44が連結されている。
【0035】
次に、袖壁部16の詳細な構成を説明する。袖壁部16は、一階部11の建物ユニットの外側に取り付けられる一階袖壁部16Aと、二階部12の建物ユニットの外側に取り付けられる二階袖壁部16Bとから構成されている。ここでは、二階袖壁部16Bについて詳しく説明する。図3は、二階袖壁部16Bの主要な構成を分解して示す分解斜視図である。図4は、袖壁フレーム31を建物本体に取り付けた状態を示す斜視図であり、そのうち(a)は袖壁フレーム31に外壁面材41を取り付けていない状態を示し、(b)は袖壁フレーム31に外壁面材41を取り付けた状態を示している。また、図5図1におけるA−A線断面図であり、図6図5の構成を一部省略して示す断面図である。
【0036】
図3及び図4に示すように、二階袖壁部16Bは、その概略構成として、二階袖壁部16Bの下地を構成する袖壁フレーム31と、その袖壁フレーム31の外側に固定される複数の外壁面材41(41a,41b,41c)とを有している。そして、袖壁フレーム31が張出梁ユニット43を介して建物ユニットの柱21に対して固定されることで、二階袖壁部16Bが建物本体(二階部分の建物ユニット)に対して取り付けられている。
【0037】
袖壁フレーム31は、その上下方向において張出屋根部15に連続する高さに設けられる上フレーム部31aと、その上フレーム部31aよりも下方となる下フレーム部31bとを有している。これら各フレーム部31a,31bについて以下詳述する。
【0038】
下フレーム部31bは、上下方向に延びる一対の縦材32と、その一対の縦材32に架け渡して設けられる複数の横材33とを有しており、縦材32の下端部には底部材34が固定され、上端部には天板部材35が固定されている。そして、全体として縦長の略直方体状をなしている。縦材32は、断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部が互いに向き合うように配置されている。縦材32は、そのウエブ部の幅(フレーム幅)により袖壁部16の壁厚み幅が規定されており、両縦材32のフランジ部に、山形鋼(L形鋼)又は溝形鋼よりなる複数の横材33が連結されている。
【0039】
上フレーム部31aは、下フレーム部31bの天板部材35の上面に、上方に突出するようにして固定されている。上フレーム部31aは、溝形鋼からなる複数の鋼材が相互に連結されて構成されており、より具体的には、複数の縦材36が天板部材35の上面に溶接等により固定されるとともに、それら縦材36の上端部同士が横材37により連結されている。
【0040】
上フレーム部31aは、下フレーム部31bと共に外壁面材41の取付下地面を形成するものであり、これら各フレーム部31a,31bの縦材32,36により上下に連続する連続面が形成されている。上フレーム部31aの縦材36及び横材37は、二階袖壁部16Bにおいて張出屋根部15の反対側、及び袖壁先端側の2つの側面に設けられており、これにより、上フレーム部31aは、上記の2側面に外壁面材41の取付下地面を形成するものとなっている。
【0041】
また、図4に示すように、上フレーム部31aは、建物ユニットへの取付状態で、上側の一部が建物ユニットよりも上方に突き出ており、その突出部分が、パラペット14の下地になるパラペット下地部となっている。なお、図4では、建物本体(建物ユニット)の上方の屋根形成部分の構成を省略しているが、建物本体の上方には上フレーム部31aのパラペット下地部に連続して、別のパラペット下地部が設けられている。
【0042】
袖壁フレーム31には、その四方の側面のうち建物本体(建物ユニット)側の側面以外の3面に、外壁面材41がそれぞれ取り付けられている。すなわち、外壁面材41は、二階袖壁部16Bにおいて内側(すなわち張出屋根部15と袖壁部16との入隅部側)に取り付けられる内側面材41aと、外側(すなわち入隅部とは反対側)に取り付けられる外側面材41bと、袖壁部16の壁先端部に取り付けられる先端面材41cとからなる。このうち先端面材41cは、短手方向の両端部に折れ曲がり部を有しており、断面コ字状をなしている。
【0043】
3つの外壁面材41a〜41cのうち内側面材41aは、下フレーム部31bの上下方向の寸法に応じた縦寸法を有しており、その縦寸法(上下方向の長さ)は底部材34から天板部材35までの長さと同じになっている。これに対し、外側面材41b及び先端面材41cは、上下のフレーム部31a,31bが一体となった状態での上下方向の寸法に応じた縦寸法を有している。つまり、外側面材41b及び先端面材41cは、内側面材41aよりも上下方向の長さが大きく、その縦寸法が底部材34から上フレーム部31aの上端までの長さと同じになっている。
【0044】
ここで、外壁面材41a〜41cは、いずれも同様の壁材よりなり、その外表面には縦縞模様が付されている。つまり、外表面には、縦方向に多数の溝又は突起が付されている。そして、袖壁フレーム31における壁取付面である3面では、それぞれ上下方向に見て各1枚ずつの壁材が取り付けられるようになっている。
【0045】
また、下フレーム部31bにおいて天板部材35の上面には、張出梁ユニット43との連結を行うための連結部材としての連結金具38が取り付けられている。連結金具38は、所定間隔で複数箇所(本実施形態では2カ所)に設けられている。図5及び図6に示すように、連結金具38は、天板部材35の上面に当接した状態で取り付けられる取付板部38aと、その取付板部38aから鉛直方向に起立する起立板部38bとを有しており、これら各板部38a,38bには挿通孔38c,38dがそれぞれ設けられている。また、連結金具38の取付相手である天板部材35にも挿通孔35aが設けられている。そして、天板部材35の上面に連結金具38が載置され、各挿通孔35a,38cに固定具としてのボルトBが螺着されることにより、天板部材35の上面に連結金具38が固定されている。
【0046】
一方で、張出梁ユニット43において片持ち梁44には、その溝部側に、上下フランジに架け渡した状態で中間金具48が固定されている。中間金具48は、袖壁フレーム31側の連結金具38と同じ間隔で複数箇所(本実施形態では2カ所)に設けられている。また、中間金具48には挿通孔48aが設けられている。
【0047】
そして、建物本体(建物ユニット)に張出梁ユニット43が固定された状態で、片持ち梁44の中間金具48に対して、袖壁フレーム31側の連結金具38が当接され、各挿通孔38d,48aに固定具としてのボルトBが螺着される。これにより、張出梁ユニット43に対して袖壁フレーム31が連結されている。
【0048】
ここで、連結金具38の挿通孔38dは、片持ち梁44の張出方向が長手方向となる長孔となっている。そのため、片持ち梁44に対する袖壁フレーム31の相対位置(片持ち梁44の長手方向における袖壁フレーム31の位置)が、挿通孔38dの長手寸法の範囲内で調整可能となっている。つまり、袖壁フレーム31は、建物本体に対して直接組み付けられるのではなく、張出梁ユニット43を介して組み付けられている。この場合、袖壁フレーム31や張出梁ユニット43の各部で寸法誤差が生じると、建物本体に対して所望の位置に袖壁フレーム31を配置できないことが生じると考えられる。この点、連結金具38の挿通孔38dを長孔(片持ち梁44の張出方向が長手方向となる長孔)としたため、仮に寸法誤差が生じていても、建物本体に対して所望の位置に袖壁フレーム31を組み付けることができる。
【0049】
なお、片持ち梁44に対する袖壁フレーム31の相対位置(片持ち梁44の長手方向における袖壁フレーム31の位置)を調整可能とするとの構成からすれば、各挿通孔38d,48aのうち挿通孔48aを長孔にする、又は両方の挿通孔38d,48aを長孔にするとの構成を採用することも可能である。
【0050】
張出屋根部15の構成を図5を用いて簡単に説明する。張出屋根部15において、建物本体から延びる一対の片持ち梁44の上には、それら両片持ち梁44に架け渡すようにして、連結梁55と同方向に延びる複数の屋根小梁(図示略)が設けられており、その屋根小梁の上に、屋根面の構成部材が設けられている。具体的には、屋根小梁の上に、野地板51や断熱材52、屋根シート53等が積層状態で設けられている。断熱材52は例えばポリスチレンフォームからなる硬質系断熱材である。屋根シート53は例えば軟質ポリ塩化ビニル製シート(DNシート)である。なお、符号54は、屋根上の雨水等を排出するための排水ポート(排水桶)であり、符号55は、排水ポート54から外部への排水を行うための配水管である。また、符号56は笠木である。
【0051】
張出屋根部15の骨組みである張出梁ユニット43や屋根小梁等の下方には、軒天板58が取り付けられている。軒天板58は、図示しない軒天下地木に対してビス等により取り付けられている。また、二階袖壁部16Bの外壁面材41aと軒天板58との見切り(境界)部分には、その見切り部分を隠す見切り材57が設けられている。張出屋根部15の構成としてその他に、図3において図示を省略しているが、張出梁ユニット43の外側には、袖壁部16の先端壁面に連続する一連の外壁面を構成する外壁面材が取り付けられている。
【0052】
次に、一階袖壁部16Aについて図7により簡単に説明しておく。一階袖壁部16Aは、一階袖壁部16Aの下地を構成する袖壁フレーム61と、その袖壁フレーム61の外側に固定される複数の外壁面材62とを有している。袖壁フレーム61は、概ね二階袖壁部16Bにおける袖壁フレーム31の下フレーム部31bと同様の構成を有しており、一対の縦材63と、複数の横材64と、底部材65と、天板部材66とを有している。そして、袖壁フレーム61の三方の側面に外壁面材62がそれぞれ取り付けられている。袖壁フレーム61の上端部には、溝形鋼よりなる梁部67が一体的に設けられており、その梁部67の一端が建物ユニットにおける柱21の仕口部分に固定されることで、一階袖壁部16Aが建物本体(一階部分の建物ユニット)に対して取り付けられている。
【0053】
袖壁フレーム61は、基礎K(特に張出基礎部K’)の上に載置された状態で配置され、アンカーボルト等により張出基礎部K’に対して固定されている。そして、袖壁フレーム61の上に、ブラケット(図示略)等を介して二階袖壁部16Bの袖壁フレーム31が連結されるようになっている。
【0054】
張出屋根部15及び袖壁部16からなる張出部を構築する際には、以下の手順で施工作業が行われる。
【0055】
先に複数の建物ユニットにより基礎K上に建物本体が構築される。そして、一階部11に一階袖壁部16Aが設置される。このとき、一階袖壁部16Aは、少なくとも一面の外壁面材62を除いて袖壁フレーム61に外壁面材62が取り付けられており、一階部11への袖壁設置後に、未取付になっていた外壁面材62が取り付けられる。なお、一階袖壁部16Aは、工場において、袖壁フレーム61及び外壁面材62(ただし一面を除く)を一体化した袖壁ユニットとして構築され、建物ユニットと共にトラック等により施工現場に搬送されるものとなっている(二階袖壁部16Bも同様)。
【0056】
その後、建物本体に対して張出梁ユニット43が取り付けられる。このとき、建物ユニットには溶接等により固定金具46が先付け(工場付け)されており、その固定金具46に対して張出梁ユニット43が取り付けられる。なお、トラック輸送による寸法制限がクリアされていれば、建物ユニットに対して張出梁ユニット43を先付け(工場付け)しておくことも可能である。
【0057】
その後、一階袖壁部16Aの上に二階袖壁部16Bが設置される。つまり、二階袖壁部16Bについて一階袖壁部16Aとの上下の連結がなされるとともに、張出梁ユニット43に対する連結が行われる。このとき、二階袖壁部16Bは、少なくとも一面の外壁面材41(例えば外側面材41b)を除いて袖壁フレーム31に外壁面材41が取り付けられており、二階部12への袖壁設置後に、未取付になっていた外壁面材41(外側面材41b)が取り付けられる。
【0058】
そして、上記のとおり袖壁部16が構築された後、張出屋根部15の各部構成が取り付けられる。この張出屋根部15が完成することで、張出部が完成する。
【0059】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0060】
張出屋根部15は、建物本体の建物ユニット(構造部)に対して片持ち状態で連結される張出梁ユニット43を有しており、この張出梁ユニット43により張出屋根部15が支えられる構成とした。そのため、袖壁部により張出屋根部15が支持されている構成とは異なり、仮に袖壁部の存在がなくても、張出屋根部15の構造強度を確保できる。ゆえに、袖壁部の設置位置や設置個数について設計上の自由度が増すこととなる。
【0061】
また、張出屋根部15に連続して一体的に設けられる二階袖壁部16Bにおいて、張出屋根部15が設けられる側と設けられない側とで外壁面材41の縦寸法を相違させる構成とした。この場合、二階袖壁部16Bの各側面で必要となる外壁面材41の縦寸法が相違しても、その寸法の違いに応じて外壁面材41を各々取り付けることができる。これにより、二階袖壁部16Bの外壁面において、横方向に延びる目地(外壁面材41同士の接合端部)を無くすことができ、目地によって見栄えが損なわれるといった不都合を抑制できる。
【0062】
特に本実施形態では、外壁面材41が縦縞模様の意匠面を有するものであり、横方向に延びる目地が存在するとその目地が一層目立つことになる。この点、上記のとおり二階袖壁部16Bの外壁面において、横方向に延びる目地(外壁面材41同士の接合端部)を無くしたので、縦縞模様の壁材を用いる場合にあっても、目地の存在による見栄えの低下を抑制できる。
【0063】
以上により、二階袖壁部16Bの設置に関して設計上の制約が生じないようにし、しかも二階袖壁部16Bと張出屋根部15との相互の位置関係によらず外壁面材41を好適に取り付けて、建物外観の見栄えの低下を抑制することができる。
【0064】
張出梁ユニット43は、建物ユニットにおける柱21の仕口部分に片持ち状態で連結されるものとなっている。そのため、張出梁ユニット43を天井大梁22に連結する構成に比べて、張出梁ユニット43の支持強度を高めることができる。こうして張出梁ユニット43の支持強度が高まることにより、ひいては二階袖壁部16Bの支持強度も高まることとなる。
【0065】
ここで、建物ユニットの柱21の外側に二階袖壁部16Bを設けることにすると、張出梁ユニット43と袖壁フレーム31とを共に柱21の外側に配置する必要が生じる。この点、下フレーム部31b(天板部材35)の上面部を張出梁ユニット43に連結する構成にすることで、張出梁ユニット43と下フレーム部31bとを上下に並べて配置でき、張出梁ユニット43と袖壁フレーム31とを共に柱21の外側に配置する上で好都合な構成となる。
【0066】
下フレーム部31bと張出梁ユニット43とを連結金具38を介して連結する構成とし、その連結金具38の挿通孔38dを、張出梁ユニット43の張出方向が長手方向となる長孔とした。これにより、張出梁ユニット43に対する袖壁フレーム31の取付位置を微調整することが可能となり、仮に袖壁フレーム31や張出梁ユニット43の各部で寸法誤差が生じていても、建物本体に対して所望の位置に袖壁フレーム31を組み付けることができる。
【0067】
張出梁ユニット43において一対の片持ち梁44のうち一方の片持ち梁44側に袖壁部16を設けているのに対し、他方の片持ち梁44側には袖壁部16を設けない構成とした。上記構成では、建物本体の外側において逆L字状の張出部が形成される。この場合、上記のとおり張出屋根部15は張出梁ユニット43により支持されているため、袖壁部16の有無に関係なく張出屋根部15の構造強度を確保でき、袖壁部16の位置は任意となる。ゆえに、張出屋根部15と袖壁部16とを用いて建物の意匠性を向上させる場合において有利なものとなっている。
【0068】
袖壁フレーム31の上フレーム部31aは、パラペット14の下地になるパラペット下地部を有している。したがって、袖壁フレーム31では、屋根部13のパラペット部分を含む範囲で、上下に一体の外壁面材41を取り付けることができる。これにより、屋根部13を陸屋根とする建物について見栄えの向上を図ることができる。
【0069】
建物ユニット20は、それ自体高強度なラーメン構造を有している。そのため、建物ユニット20の柱21に張出梁ユニット43を連結する構成とすれば、張出屋根部15の構造強度を一層高めることができる。
【0070】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、張出梁ユニット43に下フレーム部31b(詳しくは天板部材35)を連結することで、建物本体に対して袖壁フレーム31を固定する構成としたが、これを変更し、張出梁ユニット43に上フレーム部31a(例えば縦材36)を連結することで、建物本体に対して袖壁フレーム31を固定する構成としてもよい。この場合、袖壁フレーム31と張出梁ユニット43とを連結する連結金具38が、上フレーム部31aに設けられる。なお、連結金具38を、上フレーム部31aと下フレーム部31bとの両方に設けることも可能である。
【0072】
・上記実施形態では、張出梁ユニット43を、建物ユニットにおける柱21の仕口部分に連結する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、張出梁ユニット43を、建物ユニットにおいて柱21の仕口部分以外に連結したり、天井大梁22に連結したりする構成でもよい。
【0073】
・袖壁面材として、縦縞模様以外の外表面を有する壁材を用いてもよい。例えば、横縞模様の壁材を用いたり、縦横に延びる溝や突起を有する格子模様の壁材を用いたりしてもよい。又は、外表面に凹凸が無く無地の壁材を用いてもよい。これらいずれの場合にあっても、上記のとおり横方向に延びる目地がなくなれば、見栄えの向上が可能になるとともに、目地部分での止水作業が減り、施工性の向上が可能となる。
【0074】
・上記実施形態では、二階建て建物の二階部分(最上階部分)の袖壁部について発明の適用例を説明したが、最上階以外に設けられる袖壁部に本発明を適用することも可能である。この場合、建物本体の外側に庇状に張り出す張出屋根部と、袖壁部とを一体化させて張出部を構成するようにしてもよい。例えば、一階部分に逆L字状の張出部を設ける場合、その張出部の袖壁フレームが、建物の基礎の上に載置されるとよい。
【0075】
・上記実施形態では、張出屋根部の軒先方向の一端に袖壁部を設けることで、張出部を逆L字状に設けたが、これ以外に、張出屋根部の軒先方向の両端部に袖壁部を設けることで、張出部を門形状に設けるようにしてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、ユニット式建物について本発明を適用した具体例を説明したが、ユニット式建物以外の建物について本発明を適用することも可能である。例えば、鉄骨軸組工法の建物や、木造在来工法にて構築される建物について本発明を適用することが可能である。また、屋根の形態は、陸屋根以外に、傾斜屋根であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…建物、13…屋根部、14…パラペット、15…張出屋根部、16…袖壁部、20…建物ユニット、21…柱、31…袖壁フレーム、31a…上フレーム部、31b…下フレーム部、35a…挿通孔、38…連結金具(連結部材)、38d…挿通孔、41…外壁面材(袖壁面材)、43…張出梁ユニット(屋根フレーム)、44…片持ち梁、45…連結梁、48a…挿通孔、B…ボルト(固定具)、K…基礎。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7