(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873372
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ヘッドライトの配光制御装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20160216BHJP
B60Q 1/08 20060101ALI20160216BHJP
B60Q 1/12 20060101ALI20160216BHJP
B60Q 1/14 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
B60Q1/08
B60Q1/12 B
B60Q1/14 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-81367(P2012-81367)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209035(P2013-209035A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健人
(72)【発明者】
【氏名】石垣 和真
(72)【発明者】
【氏名】大塚 裕史
(72)【発明者】
【氏名】森谷 貴行
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−030673(JP,A)
【文献】
特表2004−500279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
B60Q 1/08
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方を撮影する撮像手段と、
自車両前方を照射すると共に、ハイビーム照射状態とロービーム照射状態とに切換可能な照射手段と、
前記撮像手段からの信号が入力され、前記照射手段を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記撮像手段により撮影された画像中から自車両前方に存在する光源と該光源の輝度と該画像中における該光源の座標位置を検出する光源検出手段と、
前記撮像手段で撮像される画像中の座標位置に応じてロービーム照射状態に切換えるためのしきい値を設定すると共に、ハイビーム照射状態における配光強度の弱い領域では配光強度の強い領域に比して該しきい値が高くなるように設定するしきい値設定手段と、
前記しきい値設定手段で設定されたしきい値の中から、前記光源検出手段で検出された光源の前記画像中での座標位置に応じた特定しきい値を決定するしきい値決定手段と、
前記光源検出手段により検出された光源の輝度が、前記しきい値決定手段で決定された特定しきい値以上である場合に、前記照射手段を制御してロービーム照射状態に切換える照射制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
自車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記しきい値設定手段は、前記車速検出手段で検出される自車両の車速が早い場合は遅い場合に比して前記しきい値が低くなるように補正する、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
自車両の周囲環境の照度を検出する周囲環境照度検出手段を備え、
前記しきい値設定手段は、ハイビーム照射状態における配光エリアのうち周辺領域のしきい値を、前記周囲環境照度検出手段によって検出される自車両の周囲環境の照度が所定値以上である場合には高くなるように補正する、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
自車両の操舵方向を検出する操舵方向検出手段をさらに備え、
前記しきい値設定手段は、前記操舵方向検出手段で検出される自車両の操舵方向に応じて前記しきい値を変更補正する、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項5】
請求項1、請求項3、請求項4のいずれか1項において、
自車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記照射制御手段は、前記車速検出手段で検出される自車両の車速が所定車速以下のときは、前記しきい値設定手段によるしきい値の設定にかかわらずロービーム状態となるように切換制御を行う、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記照射制御手段は、前記光源検出手段で検出された光源が画像中において上方向または画像両端方向へ移動する場合は、前記しきい値設定手段によるしきい値の設定にかかわらずハイビーム状態を維持するように制御する、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記コントローラは、前記画像中での光源がヘッドライトであるのかテールライトであるのかを判別するライト判別手段をさらに備え、
前記しきい値設定手段は、前記光源検出手段により検出された光源が前記ライト判別手段によりヘッドライトであると判別されたときは前記しきい値変更を行う一方、検出された光源が前記ライト判別手段によりテールライトであると判別されたときはしきい値変更を行わないようにされている、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記コントローラは、前記画像中での光源がヘッドライトであるのかテールライトであるのかを判別するライト判別手段をさらに備え、
前記しきい値設定手段は、画像中における光源の座標位置に応じたしきい値の変更量を、光源が前記ライト判別手段によりヘッドライトであると判別されたときと光源がテールライトであると判別されたときとで相違させる、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
光源が前記ライト判別によりヘッドライトであると判別されたときのしきい値変更量が、光源が前記ライト判別手段によりテールライトであると判別されたときのしきい値変更量以上とされている、ことを特徴とするヘッドライトの配光制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライトの配光制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両特に自動車にあっては、夜間走行時での良好な前方視界を確保するために、ヘッドライトの照射状態を通常はハイビームにする一方、対向車両や先行車両という前方車両が存在する場合に、ハイビームからロービームへと自動的に切換えることが行われている。具体的には、前方車両の(光源)存在の確認のために、車両前方を撮像する撮像手段で撮像された画像中の光源の輝度が、あらかじめ設定されたしきい値(所定輝度)以上であるときは、前方車両の光源が存在するときであるとして、自動的にロービームに切換えることが行われている。
【0003】
夜間走行時での前方車両の検出のため、特許文献1、特許文献2には、カメラによって自車両の前方を撮影するようにして、撮影された画像から、光源がヘッドライトであるのかテールライトであるのかの判定を行うようにしたものが開示されている。また、特許文献3には、ハイビーム状態の配光パターンを変更可能として、自車両前方の物体検出結果に応じてハイビームの配光パターンを変更制御するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−40615号公報
【特許文献2】特開2008−293116号公報
【特許文献3】特開2007−179969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前方を撮像した画像中の光源の輝度が所定のしきい値以上である場合に、ただちに前方車両の光源であると判定するようにした場合、街灯やリフレクタのような前方車両の光源でない場合にも不必要に前方車両の光源であると誤判定してしまう可能性が高くなる。このような誤判定を防止するために、所定のしきい値以上の輝度を有する光源について、その移動状態等を観察することにより、前方車両の光源であるか否かをより精度よく判定することが可能となるが、最終判定までに遅れを要することになる。すなわち、前方車両の光源であるか否かを精度よく判定しようとすれば遅れを生じてしまう一方、精度のよい判定を行わないようにすると、不必要にロービームへ切換えられてしまうことになる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、前方車両の乗員に対して眩しさを与えないようにすることと、不必要にロービームへ切換えられてしまうことの防止とを、共に高い次元で満足できるようにしたヘッドライトの配光制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、ハイビームの配光強度の強い領域と弱い領域とで、前方車両の光源であると判定するための判定しきい値を変更するようにしてある。具体的には、本発明にあっては、請求項1に記載のように、
自車両前方を撮影する撮像手段と、
自車両前方を照射すると共に、ハイビーム照射状態とロービーム照射状態とに切換可能な照射手段と、
前記撮像手段からの信号が入力され、前記照射手段を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記撮像手段により撮影された画像中から自車両前方に存在する光源
と該光源の輝度と該画像中における該光源の座標位置を検出する光源検出手段と、
前記撮像手段で撮像される画像
中の座標位置に応じてロービーム照射状態に切換えるためのしきい値を設定すると共に、ハイビーム照射状態における配光強度の弱い領域では配光強度の強い領域に比して該しきい値が高くなるように設定するしきい値設定手段と、
前記しきい値設定手段で設定されたしきい値の中から、前記光源検出手段で検出された光源の
前記画像中での座標位置に応じた特定しきい値を決定するしきい値決定手段と、
前記光源検出手段により検出された光源の輝度が、前記しきい値決定手段で決定された特定しきい値以上である場合に、前記照射手段を制御してロービーム照射状態に切換える照射制御手段と、
を備えている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、ハイビームの配光の強度が強くて前方車両の乗員に対して眩しさを与える度合が強いときは、前方車両の光源であると判定されやすくして、前方車両の乗員に対して眩しさを与えてしまう事態をすみやかに防止することができる。この一方、ハイビームの配光の強度が弱い領域にあっては、前方車両が存在したとしても、さほど眩しさを与えないので、前方車両の光源であると判定されにくくして、つまり配光強度の弱い領域にある光源の挙動をさらに追跡できるようにして、不必要にロービームへ切換えてしまう機会を減少させることができる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
自車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記しきい値設定手段は、
前記車速検出手段で検出される自車両の車速が早い場合は遅い場合に比して前記しきい値が低くなるように補正する、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、前方車両の光源であると判定されやすい方向への補正となるが、これにより、自車両の車速が早くて対象光源との接近速度が速くなることに対応して、前方車両の乗員に対して眩しさを与えないようにする上で好ましいものとなる。
【0009】
自車両の周囲環境の照度を検出する周囲環境照度検出手段を備え、
前記しきい値設定手段は、ハイビーム照射状態における配光エリアのうち周辺領域のしきい値を、
前記周囲環境照度検出手段によって検出される自車両の周囲環境の照度が所定値以上である場合には高くなるように補正する、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、配光エリアの周辺の光源については、前方車両の光源であると判定されにくい方向への補正となるが、これにより、周囲環境の照度を高めている街灯等のノイズによって不必要にロービーム照射状態へと切換えられてしまう機会を低減する上で好ましいものとなる。
【0010】
自車両の操舵方向を検出する操舵方向検出手段をさらに備え、
前記しきい値設定手段は、
前記操舵方向検出手段で検出される自車両の操舵方向に応じて前記しきい値を変更補正する、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、例えば右方向へ操舵したときは、右方向側に対して眩しさを与えてしまう可能性が高くなる。このような眩しさを与える方向の変更に対応してしきい値を適切に変更して、眩しさを与えないようにすることと、不必要にロービームへ切換えられてしまう機会の低減とを共に高い次元で満足させることができる。
【0011】
自車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記照射制御手段は、
前記車速検出手段で検出される自車両の車速が所定車速以下のときは、前記しきい値設定手段によるしきい値の設定にかかわらずロービーム状態となるように切換制御を行う、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、自車両の車速が低いときは、ハイビームにする必要性が低いので、このときはロービームへ切換えて、前方車両の乗員に対して眩しさを与えてしまうことを確実に防止する上で好ましいものとなる。
【0012】
前記照射制御手段は、前記光源検出手段で検出された光源が画像中において上方向または画像両端方向へ移動する場合は、前記しきい値設定手段によるしきい値の設定にかかわらずハイビーム状態を維持するように制御する、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、自車両が前方へ向けて走行しているときは、街灯やリフレクタ等の固定光源は、画像の上方向へ移動するか、画像の左端方向あるいは右端方向へ移動するので、このような固定光源を前方車両の光源であると誤判定してしまう事態を防止することができる。
【0013】
前記コントローラは、前記画像中での光源がヘッドライトであるのかテールライトであるのかを判別するライト判別手段をさらに備え、
前記しきい値設定手段は、前記光源検出手段により検出された光源が前記
ライト判別手段によりヘッドライト
であると判別されたときは前記しきい値変更を行う一方、検出された光源が
前記ライト判別手段によりテールライト
であると判別されたときはしきい値変更を行わないようにされている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、前方車両のヘッドライトについては、路肩にある街灯等の固定光源との識別を行う必要性が高くなるので、しきい値変更を行って固定光源との区別を行う一方、テールライトのときは固定光源との識別を行う必要性が低いため(誤検出の可能性が低いため)、しきい値変更を行わないようにして制御系の負担軽減等の上で好ましいものとなる。
【0014】
前記コントローラは、前記画像中での光源がヘッドライトであるのかテールライトであるのかを判別するライト判別手段をさらに備え、
前記しきい値設定手段は、画像中における光源の
座標位置に応じたしきい値の変更量を、光源が
前記ライト判別手段によりヘッドライト
であると判別されたときと
光源がテールライト
であると判別されたときとで相違させる、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、固定光源との識別必要性の相違に応じて、ヘッドライト用のしきい値とテールライト用のしきい値とを適切に設定することができる。
【0015】
光源が
前記ライト判別によりヘッドライト
であると判別されたときのしきい値変更量が、光源が
前記ライト判別手段によりテールライトであると判別されたときのしきい値変更量以上とされている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、請求項8対応した効果を得るための具体的なしきい値設定例が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前方車両の乗員に対して眩しさを与えないようにすることと、不必要にロービームへ切換えられてしまうことの防止とを、共に高い次元で満足できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態を示すもので、ハイビーム状態とロービーム状態とを示す簡略説明図。
【
図3】画像中でのしきい値設定例を概略的に示す図。
【
図4】
図3のX線方向におけるしきい値の設定例を示す特性図。
【
図6】
図3のX線方向におけるしきい値の別の設定例を示す特性図。
【
図7】本発明の第2の制御例を示すフローチャート。
【
図8】
図7の制御例の説明図で、画像中におけるヘッドライト光源と固定光源の位置を示す図。
【
図9】
図7の制御例の説明図で、減算用しきい値の設定例と
図8に示す光源の輝度を示す特性図。
【
図10】画像中におけるテールライト光源の位置を示す図。
【
図11】テールライトについての減算用しきい値の設定例と、
図10に示す光源の輝度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、自車両となる車両Vは、そのフロント部分(実施形態では車室内のルーフ部の前端部高所)に、前方を撮影する撮像手段としてのカメラ1が装備されている。このカメラ1は、例えばCCDカメラとされて、
このカメラ1によって撮像された画像中から、後述するコントローラによって車両前方の光源とその輝度とその位置(画像中における光源の座標位置)とを検出するものとなっている。勿論、車両Vの前端部には、照射手段としてのヘッドライト2が装備されており、このヘッドライト2はハイビームHBとロービームLBとの間で切換可能となっている。勿論、カメラ1の撮影距離は、少なくともハイビームHBの前端位置(実質的な照射光到達距離)を撮影可能なように、その撮影範囲(画角)が設定されている。
【0019】
図2は、車両Vに装備された制御系統例を示す。この
図2において、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUには、前記カメラ1からの信号の他、各種センサあるいは機器類3〜7からの信号が入力される。具体的には、3は、車両Vの走行速度を検出する車速センサである。4は、車両Vのヨーレートを検出するヨーレートセンサである。5は、車両Vのステアリング舵角を検出する舵角センサである。6は、アクセル開度を検出するアクセル開度センサである。7は、GPSや地図情報を搭載したナビゲーションシステムである。
【0020】
コントローラUは、前方車両が存在する場合に自動的にハイビームHBからロービームLBへと切換える機能と、前方車両が検出されない場合に自動的にロービームLBからハイビームHBへ切換える機能を有する。これに加えて、コントローラUは、後述するように、カメラ1で撮影された画像中への光源の位置の相違に応じて、画像中の光源が前方車両の光源(ヘッドライトあるいはテールライト)であるか否かの判定基準を変更制御するようになっている。
【0021】
図3は、カメラ1で撮影された画像中におけるハイビーム(ハイビーム照射状態)での配光例が示される。この
図3において、中心にある領域αは、ハイビームでの配光強度がもっとも強い領域となる(強度高領域)。領域βは、領域αの周囲にあって、2番目に配光強度の強い領域となる(強度中領域)。領域γは、領域βの周囲にあって、3番目に配光強度の強い領域である(強度低領域)。領域δは、領域γの周囲にあって、4番目に配光強度の強い領域である(強度低低領域)。
【0022】
図3に示す画像中おいて、ロービームへの切換判定用となるしきい値(輝度対応)が設定されるが、このしきい値は、上記領域α〜δ間において相違するように設定されている。すなわち、領域αでのしきい値がもっとも低く(小さく)、領域βでのしきい値が2番目に低く、領域γでのしきい値が3番目に低く、領域δでのしきい値が4番目に低くなるように設定されている。このような領域α〜δ間でのしきい値の相違設定の詳細例が、
図4に示される。この
図4においては、
図3の左右方向(X線方向)に沿ったしきい値設定例となっているが、
図3上下方向においても同様な設定とされる
(画像中の座標位置に応じたしきい値設定)。
【0023】
図4の設定例では、領域αについては、しきい値がKαとして設定される。領域βについては、しきい値がKβとして設定される(Kβ>Kα)。領域γについては、しきい値がKγとして設定される(Kγ>Kβ)。領域δについては、しきい値がKδとして設定される(Kδ>Kβ)。なお、
図4のようなしきい値設定は、コントローラU(の記憶媒体)にデータベースとして記憶されている。
【0024】
次に、コントローラUの制御例について、
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。
また、コントローラUは、特許請求の範囲における光源検出手段と、しきい値設定手段と、しきい値決定手段と、照射制御手段と、ライト判別手段との各機能を有するものとなっている。まず、Q1において、CCDカメラ1で撮像された画像中に光源が検出されたか否かが判定される。このQ1の判別でNOのときは、Q1の判別が繰り返される。
【0025】
Q1の判別でYESのときは、Q2において、画像中における光源の位置に応じて、
図4のように設定されたしきい値の中から特定のしきい値が設定(選択)される。すなわち、画像中において、光源が領域αに存在するときは、しきい値としてKαが選択される。光源が領域βに存在するときは、しきい値としてKβが選択される。光源が領域γに存在するときはしきい値としてKγが選択される。光源が領域δに存在するときはしきい値としてKδが選択される。
【0026】
Q2の後、Q3において、画像中の光源の輝度が算出される。この後、Q4において、Q3で算出された光源の輝度が、Q2で設定(選択)されたしきい値未満であるか否か(しきい値以上であるか否か)が判別される。このQ4の判別でNOのとき、すなわち光源の輝度が選択されたしきい値以上であるときは、前方車両の光源であると判定されたときであり、このときはQ7において、配光制御される(ロービームへと切換制御される)。
【0027】
Q4の判別でYESのときは、Q5において、光源の解析が行われる。この解析は、特に固定光源と移動物体としての前方車両の光源とを区別するための解析処理で、固定光源としては、街灯のような自発光光源やリフレクタ等の反射によって光る間接光源とを含むものである。具体的には、例えば画像の上方向、左端方向あるいは右端方向へ位相する光源は、固定光源であると解析される。より具体的には、自車両の前方への走行に応じて、左側の路肩に存在する街灯やリフレクタは画像中を左方向あるいは左上方向へ移動する動きとなり、右側路肩に存在する街灯やリフレクタは右方向あるいは右上方向に移動する動きとなる。また、リフレクタのような間接発光光源については、ヘッドライトの照射方向を変更したり、瞬間的にロービームに切換える等、照射状態を変更した際に、輝度が大きく変化される光源はリフレクタであると解析することができる。なお、上記のような解析手法はあくまで一例であり、その他の解析手法を適宜採択できる。
【0028】
前記Q5の後、Q6において、Q5での解析結果に基づいて、光源が前方車両の光源であるか否かが判別される。このQ6の判別でYESのときは、Q7において、ロービームへと切換えられる。また、Q6の判別でNOのときは、Q1に戻る。
【0029】
図5は、
図4の変形例を示すものである。すなわち、
図4では、各領域α〜δ間でのしきい値設定が、階段式に一気に変化されるが、
図5では、隣り合う領域間でのしきい値変更が徐々に行われるように設定されている。なお、
図4,
図6共に、
図3の左右方向(X線)に沿ったしきい値設定例が示されるが、
図3上下方向においても、領域α〜δ間において
図4と同様な相違を有するように設定されているものである。勿論、ハイビームでの配光強度に応じて区別される領域数としては、領域α〜δの4つに限らず、2、3,あるいは5以上の領域に分ける等適宜設定できるものである。
【0030】
図7は、本発明の第2の制御例を示すもので、光源が前方車両のヘッドライトのときは前述したしきい値変更を行う一方、光源が前方車両のテールライトのときは、しきい値変更を行わないようにしてある。すなわち、ヘッドライトについては、路肩にある街灯やリフレクタを前方車両のヘッドライトと誤判定してしまう可能性が高くなるが、テールライトについては赤色で識別されてこのような誤判定の可能性が極めて低いことから、しきい値の変更を行わないようにしてある。
【0031】
図7の制御例について順次説明すると、まずQ11において、画像中に光源が検出されたか否かが判別される。このQ11の判別でNOのときは、Q11に戻る。Q11の判別でYESのときは、Q12において、光源が赤色であるか否かが判別される。光源が赤色であるか否かの判定は、前述した特許文献にも開示されており、またCCDカメラ1にヘッドライト用とテールライト用とのシャッターを有するもの等を用いることにより、赤色光源の判定を行うことが可能である。
【0032】
前記Q12の判別でYESのときは、Q13において、赤色領域が二値化された後、Q14において、ラベリングされる。この後、Q15において、テールライト候補の光源として出力される(追跡解析の対象とされる)。
【0033】
前記Q12の判別でNOのときは、Q16において、光源の輝度から、後述するように設定された減算用しきい値が減算される。この後、Q17において、高輝度領域が二値化される。この後、Q18においてラベリングされた後、Q19において、ヘッドライト候補の光源として出力される(追跡解析の対象とされる)。
【0034】
前記Q16での減算用しきい値は、例えば
図9に示すように設定され、ハイビームにおける配光強度の強い領域ほど減算用しきい値が低く(小さく)なるように設定されている。
図9に示されるヘッドライト(の光源)およびリフレクタor街灯(の光源)は、画像中では
図8のように位置されている(
図8では、ハイビームでの配光が横長な略楕円形とされている)。
【0035】
図9での減算用しきい値の設定から明かなように、光源がヘッドライトの場合は、その輝度が減算用しきい値よりも十分に高く(大きく)なっている。したがって、ロービームへの切換用となるヘッドライト用しきい値を一定値とした状態で、上記減算後のヘッドライトの光源の輝度が、上記一定値とされたヘッドライト用しきい値以上となり、ロービームへと切換制御される。これに対して、リフレクタや街灯のように画像の左右端部に位置された光源は、減算用しきい値によってその輝度が大きく減算されるため、ロービームへの切換用となる一定値とされたしきい値よりも低く(小さく)なり、ロービームへの切換えが阻止されることになる。
【0036】
一方、光源がテールライトの場合については、減算用しきい値は設定されず、またヘッドライト用しきい値とは別個に設定された一定値となるテールライト用しきい値と比較されて、テールライト用しきい値以上のときに、ロービームへと切換えられる。なお、減算用しきい値をヘッドライトの光源輝度から減算するということは、ロービームへの切換判定用となるしきい値(
図4,
図6に示すしきい値)を変更するのと同様の意味合いをなすものである。
【0037】
テールライトについても、ヘッドライトの場合と同様に減算用しきい値を設定することができ、その設定例が
図11に示される。この
図11は、画像中におけるテールライトの光源位置が
図10のような場合に対応している(
図10では、ハイビームでの配光が横長な略楕円形とされている)。ただし、テールライトにおける減算用しきい値の変更量は、ヘッドライトにおける減算用しきい値の変更量以下あるいは未満となるように設定されている。つまり、画像(画素位置)をxy座標系で示し、ヘッドライトにおける減算用しきい値をIA(x,y)とし、テールライトにおける減算用しきい値をIB(x,y)としたとき、次のような関係を満足するように設定される。
【0038】
IA(x,y)≧IB(x,y)
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。車両前方を照射する照射手段としては、ヘッドライト2の他に、ヘッドライト2とは別個に設けられた照度の大きい(高い)補助灯であってもよい。撮像手段としては、CCDカメラに限定されるものでなく、夜間に光源とその輝度を検出可能なものであれば適宜の形式のものを利用できる。
【0039】
自車両の車速が早い場合(
車速センサ3により検出される車速で、例えば40km/h以上の車速のときで、)は、車速が遅い場合に比して、ロービームへの切換判定用のしきい値を低くなるように補正してもよい(ロービームへ切換えやすい方向の補正となる)。また、自車両の車速が所定車速よりも遅い場合(例えば36km/h以下のとき)は、しきい値設定にかかわらず、ロービームを維持するようにしてもよい(ハイビームとする必要性が低いため)。さらに、所定の高車速(例えば70km/h以上のとき)以上のときには、高速道路や自動車専用道路あるいは見通しのよい道路を走行中であると考えられるので、運転者のマニュアル操作によってロービームが選択されない限り、ハイビームを維持するようにしてもよい。
【0040】
自車両の周囲環境の照度
(周囲環境の照度を検出する照度検出手段は図示略)があらかじめ設定された所定値以上のときは、街灯を前方車両の光源(特にヘッドライト)として誤判定してしまう事態を生じやすいので、この場合は、ハイビームの配光エリアのうち周辺領域のしきい値を高くなるように補正してもよい(ロービームへ切換えにくくする方向への補正)。
【0041】
自車両の操舵方向
(舵角センサ5により検出される舵角の方向)に応じて、しきい値を変更補正してもよい。具体的には、例えば右方向へ操舵したときは、
図4,
図6のしきい値を全体的に右方向へオフセットさせるようにしてもよい(左方向へ操舵したときは左方向へオフセットする)。そして、操舵量が大きくなるほど上記オフセット量が大きくなるようにしてもよい。このようにすることによって、操舵方向に前方車両が存在したときにすみやかに対応することができる(すみやかにロービームへと切換ることができる)
画像中の光源が、上方向、左端方向(特に左上方向)、右端方向(特に右上方向)に移動する場合は、光源が固定光源であるとして、しきい値設定にかかわらずハイビーム状態を維持するようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、前方車両の乗員に対して眩しさを与えてしまうことの防止と、不必要にロービームへ切換えてしまうことの防止とを、共に高い次元で満足させることができる。
【符号の説明】
【0043】
V:車両(自車両)
V2:対向車両
U:コントローラ
HB:ハイビーム
LB:ロービーム
α:領域(配光強度・高)
β:領域(配光強度・中)
γ:領域(配光強度・低)
δ:領域(配光強度・低低)
Kα:しきい値(領域α用)
Kβ:しきい値(領域β用)
Kγ:しきい値(領域γ用)
Kδ:しきい値(領域δ用)
1:カメラ(撮像手段)
2:ヘッドライト(照射手段)
3:車速センサ
5:ステアリング舵角センサ
7:ナビゲーションシステム