特許第5873375号(P5873375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5873375ソフトカプセル及びソフトカプセルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873375
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ソフトカプセル及びソフトカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20160216BHJP
   A61J 3/07 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A61K9/48
   A61J3/07 G
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-84858(P2012-84858)
(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2013-213014(P2013-213014A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】503315676
【氏名又は名称】中日本カプセル 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】山中 穰
(72)【発明者】
【氏名】山中 利恭
(72)【発明者】
【氏名】須原 渉
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 康博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達則
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−047548(JP,A)
【文献】 特表2002−537358(JP,A)
【文献】 特表2003−510269(JP,A)
【文献】 特表2009−520797(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/070578(WO,A1)
【文献】 特開平4−210626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/48
A61J 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜に、内容物が充填されたソフトカプセルであって、
前記継ぎ目に交差するように外周面に沿って、帯状フィルムが巻回されている
ことを特徴とするソフトカプセル。
【請求項2】
前記帯状フィルムは、前記継ぎ目に沿う方向の中央位置で前記継ぎ目に交差するように巻回されている
ことを特徴とする請求項1に記載のソフトカプセル。
【請求項3】
カプセル皮膜液から形成されたフィルムを、ロータリーダイ式成形装置で成形することにより、継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜を成形すると共に、該ソフトカプセル皮膜内に内容物を充填し、
内容物が充填された前記ソフトカプセル皮膜の外周面に沿って、帯状フィルム用皮膜液を前記継ぎ目に交差するように帯状に塗布し、
塗布された前記帯状フィルム用皮膜液をゲル化させて帯状フィルムを形成させる
ことを特徴とするソフトカプセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトカプセル、及び、該ソフトカプセルを製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソフトカプセルでは、カプセル被膜が損傷し内容物が漏出することがある。これは、ソフトカプセル皮膜内に封入される内容物が液体(溶液または懸濁液)であるため、環境の温度変化に伴う体積変化が大きいことに、主に起因している。また、落下などにより外部から衝撃が加わった際に、ソフトカプセル皮膜が変形すると、局部的に大きな応力が作用し、その箇所でソフトカプセル皮膜に割れが発生することがある。
【0003】
特に、ロータリーダイ式でソフトカプセル被膜を成形する場合は、皮膜液から形成された二枚のシート状フィルムが一対のダイロール間に配され、内容物が充填されると共に二枚のフィルムがヒートシールされる。そのため、ヒートシールにより形成される継ぎ目(接合部)は、他の部分より厚さが薄く強度が低くなり、継ぎ目に添ってソフトカプセル被膜が破断し、内容物が漏出する傾向がある。
【0004】
このような問題を解決することを目的として、従来、カプセル被膜を厚くする試みがなされてきた。また、成形されたカプセル被膜に内容物が充填されたソフトカプセルを、更に皮膜液に浸漬することにより、カプセル皮膜を複数層の構造とする技術も提案されている(特許文献1参照)。これは、皮膜液への浸漬によって、カプセル皮膜の表面に外側層をコーティングすると共に、厚さの薄い接合部を皮膜液で埋めることにより接合部の厚さを増加させ、接合部の強度を高めることを意図したものである。
【0005】
しかしながら、単層のソフトカプセル被膜を厚くし、或いは、特許文献1の技術のようにカプセル被膜を複数層の構造とする場合は、ソフトカプセルの崩壊性が低下するおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、崩壊性が低下するおそれなく内容物の漏出が抑制されたソフトカプセル、及び、該ソフトカプセルを製造するためのソフトカプセルの製造方法の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるソフトカプセルは、「ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜に、内容物が充填されたソフトカプセルであって、前記継ぎ目に交差するように外周面に沿って、帯状フィルムが巻回されている」ものである。
【0008】
ハードカプセルでは、旧来、ボディとキャップとの接合部を帯状フィルムで封緘することが行われている。しかしながら、これに類する帯状フィルムを、ソフトカプセルに適用するという発想は、従来なかった。本発明は、ソフトカプセルの外周面に沿って帯状フィルムが巻回された構成を採用したが、これは、ハードカプセルの技術に接したソフトカプセルの技術の当業者が、これまで想到することがなかった構成である。しかも、ハードカプセルでは、ボディとキャップとの接合部に沿って帯状フィルムが巻回されているのに対し、本発明では、ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目に、交差する方向に帯状フィルムが巻回される。
【0009】
上記構成により、他の部分より厚さが薄く強度的に弱い部分である「継ぎ目」に沿って、ソフトカプセル皮膜を破断させようとする力に、継ぎ目に交差するように巻回された帯状フィルムが対抗する。これにより、内容物の体積変化に伴いソフトカプセル皮膜が膨張しようとする際、或いは、外力を受けてソフトカプセル皮膜が変形しようとする際に、継ぎ目に沿ってソフトカプセル皮膜が破断することが抑制される。すなわち、帯状フィルムによって、ソフトカプセルの強度を高め、内容物の漏出を抑制することができる。
【0010】
また、帯状フィルムは、ソフトカプセル皮膜の外周面のごく一部を被覆しているに過ぎないため、内容物の漏出を防止することを目的としてソフトカプセル皮膜の全体を厚くしていた従来技術、或いは、ソフトカプセル皮膜を複層化した従来技術と比べると、ソフトカプセル皮膜の崩壊性に及ぼす影響がほとんどないという利点を有する。
【0011】
加えて、帯状フィルムとソフトカプセル皮膜の外表面との間には、帯状フィルムの厚さ分の段差ができる。これにより、ソフトカプセルを容器等に保存する際、ソフトカプセル皮膜の外表面どうしの接触面積、及び、ソフトカプセル皮膜の外表面と容器の内表面との接触面積が小さくなる。従って、帯状フィルムの存在により、ソフトカプセル同士の付着やソフトカプセルの容器への付着が抑制される。
【0012】
なお、ソフトカプセル皮膜内に多量の内容物を充填しようとすると、ソフトカプセルの形状が外側に膨らむようにソフトカプセル皮膜が引き伸ばされ、継ぎ目の厚さが更に薄くなって強度が低下し、より損傷しやすくなることがある。そこで、従来では、内容物を多量に充填したい場合は、ソフトカプセル皮膜を成形するダイを大型にすることにより、カプセル皮膜の内部空間に余裕を持たせ、カプセル皮膜の膨張を抑制していた。そのため、内容物の充填量に応じて、大きさの異なるダイが多種類必要となり、コストが嵩むという問題があった。これに対し、本発明では、内容物の充填量を多少増加させたとしても、帯状フィルムで外側から巻き締められていることによって、ソフトカプセル皮膜が引き伸ばされる程度が抑えられる。これにより、所定のサイズのソフトカプセル皮膜に充填できる内容物の量の自由度が高く、成形用のダイの種類を少なくすることができる。
【0013】
また、帯状フィルムに着色料を添加すれば、ソフトカプセル皮膜全体を着色する場合に比べて、簡易にソフトカプセルに識別性を持たせることができる。更に、帯状フィルムに甘味剤、矯味剤、香料などを添加すれば、これらの添加剤をソフトカプセル皮膜に含有させる場合に比べて、簡易にソフトカプセルに味付けや香り付けをすることができる。
【0014】
本発明にかかるソフトカプセルは、上記構成において、「前記帯状フィルムは、前記継ぎ目に沿う方向の中央位置で前記継ぎ目に交差するように巻回されている」ものである。
【0015】
ロータリーダイ式の成形装置では、カプセル皮膜液から形成された二枚のフィルムがヒートシールされて上方に開放したソフトカプセル皮膜が成形され、この開放部分を介して、装置における内容物充填用セグメントから押し出された内容物がソフトカプセル皮膜内に充填された後、開放していた部分がヒートシールされる。このように成形されるソフトカプセル皮膜において、「継ぎ目に沿う方向の中央位置」は、内容物充填用セグメントから内容物が充填され、最後にヒートシールされる部分に相当し、ソフトカプセル皮膜の厚さが最も薄くなりやすい位置である。換言すれば、継ぎ目において「継ぎ目に沿う方向の中央位置」は、強度的に最も弱い部分であり、最も破断しやすい部分である。
【0016】
また、オーバル型など外側に膨出した形状のソフトカプセル皮膜では、「継ぎ目に沿う方向の中央位置」が最も外側に膨出しており、外部から衝撃力を受けやすい部分である。
【0017】
本構成では、ソフトカプセル皮膜において強度的に最も弱く、外力を受けやすい部分が、帯状フィルムで補強される。これにより、外力に抗する強度をより高め、ソフトカプセル皮膜の破断による内容物の漏出を、より有効に抑制することができる。
【0018】
次に、本発明にかかるソフトカプセルの製造方法は、「カプセル皮膜液から形成されたフィルムを、ロータリーダイ式成形装置で成形することにより、継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜を成形すると共に、該ソフトカプセル皮膜内に内容物を充填し、内容物が充填された前記ソフトカプセル皮膜の外周面に沿って、帯状フィルム用皮膜液を前記継ぎ目に交差するように帯状に塗布し、塗布された前記帯状フィルム用皮膜液をゲル化させて帯状フィルムを形成させる」ものである。
【0019】
本構成のソフトカプセルの製造方法によれば、上記の優れた作用効果を奏する上記構成のソフトカプセルを、製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の効果として、崩壊性が低下するおそれなく内容物の漏出が抑制されたソフトカプセル、及び、該ソフトカプセルを製造するためのソフトカプセルの製造方法を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態のソフトカプセルの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態であるソフトカプセル10、及び、ソフトカプセル10を製造するためのソフトカプセルの製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)について説明する。
【0023】
本実施形態のソフトカプセルは、図1に示すように、ロータリーダイ式成形装置で成形されたことにより形成された継ぎ目2を有するソフトカプセル皮膜1に、内容物が充填されたソフトカプセル10であって、継ぎ目2に交差するように外周面に沿って、帯状フィルム5が巻回されているものである。また、帯状フィルム5は、継ぎ目2に沿う方向の中央位置Pで継ぎ目2に交差するように巻回されている。なお、本実施形態のソフトカプセル10では、帯状フィルム5は継ぎ目2に対して直交する方向に巻回されている。
【0024】
かかる構成のソフトカプセルは、以下の製造方法で製造することができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、カプセル皮膜液から形成されたフィルムを、ロータリーダイ式成形装置で成形することにより、継ぎ目を有するソフトカプセル皮膜を成形すると共に、ソフトカプセル皮膜内に内容物を充填し、内容物が充填されたソフトカプセル皮膜の外周面に沿って、帯状フィルム用皮膜液を継ぎ目に交差するように帯状に塗布し、塗布された帯状フィルム用皮膜液をゲル化させて帯状フィルムを形成させるものである。また、帯状フィルム用皮膜液の塗布は、継ぎ目に沿う方向の中央位置で、継ぎ目に対して交差するように(本実施形態では、継ぎ目に対して直交する方向に)行われる。
【0025】
より具体的には、本実施形態の製造方法は、ソフトカプセル皮膜の原液であるカプセル皮膜液を調製するカプセル皮膜液調製工程と、帯状フィルムの原液である帯状フィルム用皮膜液を調製する帯状フィルム用皮膜液調製工程と、ロータリーダイ式の成形装置によりソフトカプセル皮膜の成形と同時にソフトカプセル皮膜内に内容物を充填し封入する成形・充填工程と、成形・充填工程後のソフトカプセルを乾燥させるカプセル乾燥工程と、ソフトカプセル皮膜の外周面に沿って、帯状フィルム用皮膜液を塗布する皮膜液塗布工程と、塗布された帯状フィルム用皮膜液をゲル化させるゲル化工程とを具備している。
【0026】
カプセル皮膜液調製工程及び帯状フィルム用皮膜液調製工程では、それぞれ皮膜基剤を溶媒に溶解し、皮膜液とする。これらの皮膜液には、可塑剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、香料、光隠ぺい剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。皮膜基剤としては、ゼラチンの他、ヒプロメロース(HPMC)、澱粉、寒天など非ゼラチンの皮膜基剤を使用可能であるが、カプセル皮膜液と帯状フィルム用皮膜液とで共通の皮膜基剤を使用すれば、ソフトカプセル皮膜と帯状フィルムとの親和性が高く、好適である。その場合でも、添加剤の種類や添加量に関しては、カプセル皮膜液と帯状フィルム用皮膜液とで異ならせることができ、例えば、着色剤、甘味剤、矯味剤、香料は、帯状フィルム用皮膜液のみに添加する構成とすることができる。また、帯状フィルム用皮膜液では、可塑剤の添加割合をカプセル皮膜液より小さくすることができる。
【0027】
成形・充填工程は、ロータリーダイ式の成形装置を使用して行う。ここで、一般的なロータリーダイ式成形装置は、カプセル皮膜液をフィルム状に成形するキャスティングドラムと、外表面に成形鋳型が形成された一対のダイロールと、ダイロール間に配された内容物充填用のくさび状セグメントと、セグメント内に内容物を圧入すると共に、セグメントの先端から内容物を押し出すポンプとを主に具備している。そして、まず、高温に保持されてゾル状態にあるカプセル皮膜液が、キャスティングドラム表面に流延され、冷却されてゲル化することによりフィルム化される。次に、形成されたフィルムの二枚が、セグメントに沿って一対のダイロール間に送入される。その後、一対のダイロールの相反する方向への回転に伴い、二枚のフィルムがヒートシールされて上方に開放したソフトカプセル皮膜が形成され、この中にセグメントから押し出された内容物が充填される。これと同時に、二枚のフィルムが上部でヒートシールされ、閉じた内部空間に内容物が封入されたソフトカプセルが形成される。
【0028】
なお、内容物としては、医薬成分、生薬成分、健康食品成分、栄養補助成分を、特に限定することなく使用することができる。
【0029】
乾燥工程では、ソフトカプセル皮膜内に封入された内容物及びソフトカプセル皮膜の水分含有率が、所定の水分含有率となるまで、乾燥器内でソフトカプセルを乾燥させる。
【0030】
皮膜液塗布工程では、まず、乾燥したソフトカプセルの向きを揃える方向規制が行われる。方向規制されたソフトカプセルは、移送スラットの凹部内に配され、凹部の一部に貫通している孔部を介して支持台の上面に当接し、移送スラットの水平方向への移動に伴い、支持台上を転がりながら移動する。支持台の下方には、帯状フィルム用皮膜液を収容したパンが配され、帯状フィルム用皮膜液に一部を浸漬させた塗布用ローラが、移送スラットの移動方向とは反対方向に向かって回転している。そして、支持台の一部には貫通孔部が形成されており、この部分で塗布用ローラの上端の高さが、支持台の上面の高さ以上となるように設定されている。従って、移送スラットの移動に伴い、支持台上を転がるソフトカプセルが塗布用ローラ上を通過する際、ソフトカプセル皮膜の外周面に沿って、帯状フィルム用皮膜液が帯状に塗布される。
【0031】
このとき、継ぎ目に沿う方向の中央位置で、且つ、継ぎ目に対して直交する方向に、塗布用ローラがソフトカプセルに接触するように、ソフトカプセルの位置がガイドされる。また、所望する帯状フィルムの幅(例えば、2mm〜5mm)に応じて、塗布用ローラの幅が選択される。また、ソフトカプセル皮膜の外周面に帯状フィルムを巻回する周回数は、移送スラットの移動速度と、塗布用ローラの回転速度により調整することができる。
【0032】
ゲル化工程では、乾燥、冷却、またはその併用により、ソフトカプセル皮膜の外周面に塗布された帯状フィルム用皮膜液をゲル化させる。これにより、皮膜液が帯状フィルムとなり、上記構成のソフトカプセルが得られる。
【0033】
このように製造された上記構成のソフトカプセルは、ソフトカプセル皮膜を継ぎ目に沿って破断させようとする力に帯状フィルムが対抗するため、内容物の体積変化に伴いソフトカプセル皮膜が膨張しようとする際、或いは、外力を受けてソフトカプセル皮膜が変形しようとする際に、継ぎ目に沿ってソフトカプセル皮膜が破断することが抑制される。
【0034】
特に、本実施形態のソフトカプセルでは、継ぎ目に沿う方向の中央位置を通るように帯状フィルムが巻回されており、ソフトカプセル皮膜において強度的に最も弱く、外力を受けやすい部分が、帯状フィルムで補強されている。これにより、ソフトカプセル皮膜の継ぎ目に沿った破断による内容物の漏出を、より有効に抑制することができる。
【実施例】
【0035】
ゼラチンを皮膜基剤としてカプセル皮膜液を調製し、ロータリーダイ式成形装置を用いて、オーバル型、カプセルサイズNo.3のソフトカプセル皮膜を成形し、内容物として大豆レシチン液を充填した。内容物が充填されたソフトカプセル皮膜を乾燥させた後、ゼラチンを皮膜基剤として調製した帯状フィルム用皮膜液を、継ぎ目に沿う方向の中央位置を通り継ぎ目に直交する方向に、ソフトカプセル皮膜の外周面に沿って塗布した。塗布した帯状フィルム用皮膜液を、常温乾燥によりゲル化させて、幅3.43mmの帯状フィルムとした。以上により製造されたソフトカプセルを、実施例のソフトカプセルとした。一方、帯状フィルム用皮膜液の塗布を行わずに製造し、帯状フィルムを備えないこと以外は実施例のソフトカプセルと同一であるソフトカプセルを、対照例とした。なお、レシチンは界面活性作用を有し、内容物充填用セグメントからの液切れも良くないため、ヒートシールされるべき部分のフィルムに付着しやすい。そのため、レシチンを内容物とするソフトカプセルは、継ぎ目に接合不良が生じやすいソフトカプセルの例である。
【0036】
実施例及び対照例のソフトカプセルについて、強度(破断荷重)を測定した。測定には、木屋式硬度計(藤原製作所製)を使用し、加圧子の降下速度1mm/秒の条件で測定を行った。なお、水分含有率の差異による影響を排除するため、ソフトカプセル皮膜中の水分含有率(乾燥減量法による)が6%となるまで、減圧下で乾燥したソフトカプセルを強度の測定に供した。
【0037】
その結果、実施例のソフトカプセルは、20kgf(約196N)の荷重をかけてもソフトカプセル皮膜が破断しなかったのに対し、対照例のソフトカプセルは19kgf(約186N)で、継ぎ目に沿って破断した。以上から、帯状フィルムによってソフトカプセル皮膜の強度が高められ、継ぎ目に沿った破断による内容物の漏出が、有効に抑制されていることが確認された。
【0038】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0039】
例えば、上記では、オーバル型のソフトカプセル被膜に帯状フィルムが巻回された実施例を例示したが、これに限定されず、オブロング型など他の形状のソフトカプセルにも、本発明を適用することができる。なお、ラウンド型(球型)のソフトカプセルの場合も、規格では長径と短径を有し、方向規制は可能であるため、これを排除するものではない。また、仮に、ラウンド型のソフトカプセルの場合に方向規制を行わないとしても、継ぎ目に交差する方向に帯状フィルムが巻回される確率は高いと考えられる。
【符号の説明】
【0040】
1 ソフトカプセル皮膜
2 継ぎ目
5 帯状フィルム
10 ソフトカプセル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2007−320875号公報
図1