【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[課 題]
構造物などのコンクリート製品、例えば超高強度繊維補強コンクリート製品は、コンクリート面に模様を形成して意匠性を高めることが望まれる。また、多様な模様を簡単に高い能率で形成することが望まれる。
【0007】
[着 眼]
超高強度繊維補強コンクリート成形体は、初期養生後、熱養生が行われる。熱養生は、土木学会発行の「設計・施工指針(案)」に規定の基準ないし標準では、90℃の温度で48時間である。水蒸気中で行う蒸気養生である。
【0008】
[発 見]
本発明者は、初期養生後の熱養生に熱湯養生を選択して実験したところ、超高強度繊維補強コンクリート成形体は、熱養生を熱湯中で行うと、コンクリート面が熱湯と接触する時間が長くなるに従って、コンクリート面が白くなって明度が高くなることが判明した。
図1に実験結果を示すように、コンクリート面は、明度と接湯時間が正の相関を示す。
コンクリート面は、熱湯養生時に、消石灰Ca(OH)
2が存在し、熱湯中の二酸化炭素CO
2と接触する時間、接湯時間が長くなるに従って、白色の炭酸カルシウムCaCO
3の析出量、白華の量が増加するものと推察される。
【0009】
[構 想]
1.熱湯養生中の接湯時間の違いに基づく明度差による模様の形成
コンクリート面は、明度を部分的に変化させて模様を形成するため、初期養生後の熱湯養生時に接湯時間を部分的に変えることにする。そのため、熱湯養生時にコンクリート面を部分的に被覆するマスキングフイルムを使用する。
マスキングフイルムは、コンクリート面を覆う被覆部と、コンクリート面を覆わない非被覆部を設ける。熱湯養生時の熱に耐えるフイルムは、孔又は切り欠きを形成し、孔又は切り欠きの部分を非被覆部にし、フイルムの部分を被覆部にする。
【0010】
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面にマスキングフイルムを貼ってコンクリート面を部分的に被覆する。マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は、熱湯中で養生する。コンクリート面は、マスキングフイルムで被覆している部分が熱湯に接触しない。マスキングフイルムで被覆していない部分が熱湯に接触する。熱湯養生の開始後、熱湯養生の途中又は終了時にマスキングフイルムは、コンクリート面から剥ぎ取る。
コンクリート面は、マスキングフイルムで被覆した部分が非被覆の部分より接湯時間が短くなる。接湯時間が部分的に異なることになる。その結果、マスキングフイルムで被覆した部分が非被覆の部分より明度が低くなる。コンクリート面は、明度が部分的に異なることになる。明度差で模様が形成される。
マスキングフイルムで被覆した部分、低明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの被覆部と同一になる。非被覆の部分、高明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの非被覆部と同一になる。
【0011】
マスキングフイルムで被覆した部分は、明度をマスキングフイルムの剥ぎ取り時期、接湯時間の長さで選択する。その際、
図1の線図に示す明度と接湯時間の関係を参照する。コンクリート面の高明度部分と低明度部分の明度差は、マスキングフイルムで被覆した部分と非被覆の部分との接湯時間の差で選択する。高明度部分と低明度部分の形状寸法は、マスキングフイルムの非被覆部と被覆部の形状寸法で選択する。明度差による模様は、明度差と形状寸法を簡単に所望の通りにすることができる。多様な模様を簡単に形成することができる。
熱湯養生時にマスキングフイルムを使用しても、熱湯養生の時間が長くなるわけではない。模様の形成は、能率が高い。
【0012】
2.2段階の明度差による模様の形成
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面の模様形成予定面に1枚のマスキングフイルムを貼る。模様形成予定面は、高明度予定部分にマスキングフイルムの非被覆部を配置し、低明度予定部分をマスキングフイルムの被覆部で被覆する。マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は、熱湯養生する。模様形成予定面は、マスキングフイルムの非被覆部が位置する高明度予定部分が熱湯に接触する。マスキングフイルムの被覆部が重なった低明度予定部分は、熱湯に接触しない。熱湯養生の開始後、熱湯養生の途中又は終了時に、マスキングフイルムは、模様形成予定面から剥ぎ取る。剥ぎ取り時が熱湯養生の途中であるときは、剥ぎ取り後、模様形成予定面は、低明度予定部分も熱湯に接触して熱湯養生を継続する。
【0013】
熱湯養生の終了時、模様形成予定面は、接湯時間が高明度予定部分で長く、低明度予定部分で短い。高明度予定部分は高明度に、低明度予定部分は低明度になる。その高明度部分と低明度部分は、
図1の線図に示すように、接湯時間によって定まる明度になる。高明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの非被覆部と同一になる。低明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの被覆部と同一になる。模様形成予定面は、高低の2段階の明度差が生じ、2段階の明度差による模様が形成される。
【0014】
3.3段階の明度差による模様の形成
模様の明度差を高中低の3段階にするときは、マスキングフイルムは2枚にする。2枚のマスキングフイルムは、コンクリート面の模様形成予定面に重ねて貼る。積層する。模様形成予定面に直接貼る第1マスキングフイルムは、模様形成予定面の高明度予定部分と中明度予定部分に重なる部分を非被覆部にし、低明度予定部分に重なる部分を被覆部にする。第1マスキングフイルムの上に貼る第2マスキングフイルムは、模様形成予定面の高明度予定部分に重なる部分を非被覆部にし、中明度予定部分と低明度予定部分に重なる部分を被覆部にする。
【0015】
2枚のマスキングフイルム付きのコンクリート成形体は、熱湯養生する。模様形成予定面は、第1マスキングフイルムの非被覆部と第2マスキングフイルムの非被覆部が位置する高明度予定部分が熱湯に接触する。第2マスキングフイルムの被覆部が重なった中明度予定部分と低明度予定部分は、熱湯に接触しない。熱湯養生の開始後、熱湯養生の途中の第1剥ぎ取り時になると、上層の第2マスキングフイルムは、下層の第1マスキングフイルム面から剥ぎ取る。剥ぎ取り後、模様形成予定面は、高明度予定部分の外に中明度予定部分も熱湯に接触して熱湯養生を継続する。その後、熱湯養生の途中又は終了時の第2剥ぎ取り時になると、第1マスキングフイルムは、模様形成予定面から剥ぎ取る。第2剥ぎ取り時が熱湯養生の途中であるときは、剥ぎ取り後、模様形成予定面は、低明度予定部分も熱湯に接触して熱湯養生を継続する。
【0016】
熱湯養生の終了時、模様形成予定面は、接湯時間が高明度予定部分、中明度予定部分、低明度予定部分の
順で長くなる。高明度予定部分は高明度に、中明度予定部分は中明度に、低明度予定部分は低明度になる。接湯時間の差、明度差が3段階になる。高明度部分は、形状寸法が第2マスキングフイルムの非被覆部と同一になる。低明度部分は、形状寸法が第1マスキングフイルムの被覆部と同一になる。中明度部分は、形状寸法が、第1マスキングフイルムの非被覆部と第2マスキングフイルムの被覆部が重なる部分と同一になる。模様形成予定面は、高中低の3段階の明度差が生じ、3段階の明度差による模様が形成される。
【0017】
4.4段階の明度差による模様の形成
模様の明度差を4段階にするときは、マスキングフイルムは3枚にする。各マスキングフイルムは、それぞれ、形成予定の模様に合わせて、被覆部と非被覆部を設ける。3枚のマスキングフイルムは、コンクリート面の模様形成予定面に重ねて貼る。積層する。熱湯養生の開始後、各マスキングフイルムの剥ぎ取り時になると、積層状態のマスキングフイルムから最上層のマスキングフイルムを順次剥ぎ取る。模様形成予定面は、接湯時間の差が4段階になり、4段階の明度差が生ずる。4段階の明度差で模様が形成される。
【0018】
5.5段階以上の明度差による模様の形成
模様の明度差を5段階以上にするときは、マスキングフイルムを4枚以上にし、接湯時間の差を5段階以上にする。その他は、同様に行う。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1.コンクリート成形体は初期養生後に熱養生するコンクリート製品の製造法において、
熱養生は、熱湯中で行う熱湯養生にし、
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面の模様形成予定面にマスキングフイルムを貼って模様形成予定面を部分的に被覆し、
マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は熱湯養生し、模様形成予定面は、マスキングフイルムで被覆している部分を熱湯に接触させず、マスキングフイルムで被覆していない部分を熱湯に接触し、
熱湯養生の開始後にマスキングフイルムを剥ぎ取り、模様形成予定面は接湯時間を部分的に変え、
コンクリート面は、熱湯養生中の接湯時間の違いによって、明度を部分的に変え、明度差による模様を形成することを特徴とするコンクリート面の模様の形成法。
2.上記1のコンクリート面の模様の形成法において、
マスキングフイルムは複数枚にし、複数枚のマスキングフイルムは模様形成予定面に重ねて貼り、
熱湯養生の開始後、各マスキングフイルムの剥ぎ取り時になると、積層状態の複数枚のマスキングフイルムから最上層のマスキングフイルムを順次剥ぎ取り、接湯時間の差を3段階以上にし、
コンクリート面は、3段階以上の明度差による模様を形成することを特徴とする。
3.上記1又は2のコンクリート面の模様の形成法において、
マスキングフイルムは、熱湯養生時の熱に耐えるフイルムに孔又は切り欠きを形成し、孔又は切り欠きの部分を、コンクリート面を覆わない非被覆部にし、フイルムの部分を、コンクリート面を覆う被覆部にすることを特徴とする。
4.上記1、2又は3のコンクリート面の模様の形成法において、
コンクリート製品は、超高強度繊維補強コンクリート製品にすることを特徴とする
。