特許第5873377号(P5873377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873377
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】コンクリート面の模様の形成
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/60 20060101AFI20160216BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20160216BHJP
   B28B 11/24 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C04B41/60
   C04B40/02
   B28B11/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-88528(P2012-88528)
(22)【出願日】2012年4月9日
(65)【公開番号】特開2013-216539(P2013-216539A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】592086880
【氏名又は名称】丸栄コンクリート工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100081628
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 桂
(72)【発明者】
【氏名】岡本 享久
(72)【発明者】
【氏名】八木 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 昌平
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 肇
(72)【発明者】
【氏名】三輪 啓司
【審査官】 佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−247765(JP,A)
【文献】 特開2001−270756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/60
B28B 11/24
C04B 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート成形体は初期養生後に熱養生するコンクリート製品の製造法において、
熱養生は、熱湯中で行う熱湯養生にし、
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面の模様形成予定面にマスキングフイルムを貼って模様形成予定面を部分的に被覆し、
マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は熱湯養生し、模様形成予定面は、マスキングフイルムで被覆している部分を熱湯に接触させず、マスキングフイルムで被覆していない部分を熱湯に接触し、
熱湯養生の開始後にマスキングフイルムを剥ぎ取り、模様形成予定面は接湯時間を部分的に変え、
コンクリート面は、熱湯養生中の接湯時間の違いによって、明度を部分的に変え、明度差による模様を形成することを特徴とするコンクリート面の模様の形成法。
【請求項2】
マスキングフイルムは複数枚にし、複数枚のマスキングフイルムは模様形成予定面に重ねて貼り、
熱湯養生の開始後、各マスキングフイルムの剥ぎ取り時になると、積層状態の複数枚のマスキングフイルムから最上層のマスキングフイルムを順次剥ぎ取り、接湯時間の差を3段階以上にし、
コンクリート面は、3段階以上の明度差による模様を形成することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート面の模様の形成法。
【請求項3】
マスキングフイルムは、熱湯養生時の熱に耐えるフイルムに孔又は切り欠きを形成し、孔又は切り欠きの部分を、コンクリート面を覆わない非被覆部にし、フイルムの部分を、コンクリート面を覆う被覆部にすることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート面の模様の形成法。
【請求項4】
コンクリート製品は、超高強度繊維補強コンクリート製品にすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のコンクリート面の模様の形成法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート面に白華現象を利用して模様を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
1.白華現象を利用した模様の形成
特許文献1に開示の技術は、セメント製品の着色表面に析出する白色の炭酸カルシウムの量、白華の量を制御し、着色表面の色彩を部分的に変化させて模様を形成する。
【0003】
セメント製品は、表層部と基層部からなり、表層部のみに着色材を配合している。表層部は、着色表面に着色の濃淡で模様を形成している。模様の形成法は、次の通りである。
第1工程:セメント製品は、成形して脱型し、空気中で養生する。
第2工程:セメント製品は、表層部の着色表面の白華抑制部分を樹脂フイルム又は樹脂塗膜で被覆する。着色表面の白華抑制部分は、空気中に露出しない。着色表面の白華促進部分は、被覆せず、空気中に露出する。このセメント製品は、水槽に入れ、基層部を水没し、表層部を水面上に出す。表層部は、着色表面を水で湿潤状態にする。湿潤状態の着色表面は、白華促進部分に空気の微風を当てる。
第3工程:セメント製品は、水槽から出し、着色表面の白華促進部分に空気の微風を当てつつ加湿器で加湿する。加湿後、空気中で乾燥する。乾燥後、着色表面の白華抑制部分を被覆していた樹脂フイルム又は樹脂塗膜は、除去する。
すると、セメント製品の着色表面は、白華促進部分では白華の析出量が多くて着色が淡くなり、白華抑制部分では白華の析出量が少なく着色が濃くなる。
第2工程と第3工程の模様付け工程が一回では着色の濃淡差が不十分なときには、第2工程と第3工程を繰り返す。
【0004】
2.超高強度繊維補強コンクリート
社団法人土木学会は、強度や靭性が特に高い「超高強度繊維補強コンクリート」について「設計・施工指針(案)」を発行している。超高強度繊維補強コンクリートは、構造物のコンクリート製品の薄肉化を可能にする。超高強度繊維補強コンクリート製品の薄肉部材を用いた構造物などが実用化されている。その薄肉部材には、椅子やテーブルのような家具の板状部材がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−247765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[課 題]
構造物などのコンクリート製品、例えば超高強度繊維補強コンクリート製品は、コンクリート面に模様を形成して意匠性を高めることが望まれる。また、多様な模様を簡単に高い能率で形成することが望まれる。
【0007】
[着 眼]
超高強度繊維補強コンクリート成形体は、初期養生後、熱養生が行われる。熱養生は、土木学会発行の「設計・施工指針(案)」に規定の基準ないし標準では、90℃の温度で48時間である。水蒸気中で行う蒸気養生である。
【0008】
[発 見]
本発明者は、初期養生後の熱養生に熱湯養生を選択して実験したところ、超高強度繊維補強コンクリート成形体は、熱養生を熱湯中で行うと、コンクリート面が熱湯と接触する時間が長くなるに従って、コンクリート面が白くなって明度が高くなることが判明した。図1に実験結果を示すように、コンクリート面は、明度と接湯時間が正の相関を示す。
コンクリート面は、熱湯養生時に、消石灰Ca(OH) 2が存在し、熱湯中の二酸化炭素CO2と接触する時間、接湯時間が長くなるに従って、白色の炭酸カルシウムCaCO3の析出量、白華の量が増加するものと推察される。
【0009】
[構 想]
1.熱湯養生中の接湯時間の違いに基づく明度差による模様の形成
コンクリート面は、明度を部分的に変化させて模様を形成するため、初期養生後の熱湯養生時に接湯時間を部分的に変えることにする。そのため、熱湯養生時にコンクリート面を部分的に被覆するマスキングフイルムを使用する。
マスキングフイルムは、コンクリート面を覆う被覆部と、コンクリート面を覆わない非被覆部を設ける。熱湯養生時の熱に耐えるフイルムは、孔又は切り欠きを形成し、孔又は切り欠きの部分を非被覆部にし、フイルムの部分を被覆部にする。
【0010】
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面にマスキングフイルムを貼ってコンクリート面を部分的に被覆する。マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は、熱湯中で養生する。コンクリート面は、マスキングフイルムで被覆している部分が熱湯に接触しない。マスキングフイルムで被覆していない部分が熱湯に接触する。熱湯養生の開始後、熱湯養生の途中又は終了時にマスキングフイルムは、コンクリート面から剥ぎ取る。
コンクリート面は、マスキングフイルムで被覆した部分が非被覆の部分より接湯時間が短くなる。接湯時間が部分的に異なることになる。その結果、マスキングフイルムで被覆した部分が非被覆の部分より明度が低くなる。コンクリート面は、明度が部分的に異なることになる。明度差で模様が形成される。
マスキングフイルムで被覆した部分、低明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの被覆部と同一になる。非被覆の部分、高明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの非被覆部と同一になる。
【0011】
マスキングフイルムで被覆した部分は、明度をマスキングフイルムの剥ぎ取り時期、接湯時間の長さで選択する。その際、図1の線図に示す明度と接湯時間の関係を参照する。コンクリート面の高明度部分と低明度部分の明度差は、マスキングフイルムで被覆した部分と非被覆の部分との接湯時間の差で選択する。高明度部分と低明度部分の形状寸法は、マスキングフイルムの非被覆部と被覆部の形状寸法で選択する。明度差による模様は、明度差と形状寸法を簡単に所望の通りにすることができる。多様な模様を簡単に形成することができる。
熱湯養生時にマスキングフイルムを使用しても、熱湯養生の時間が長くなるわけではない。模様の形成は、能率が高い。
【0012】
2.2段階の明度差による模様の形成
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面の模様形成予定面に1枚のマスキングフイルムを貼る。模様形成予定面は、高明度予定部分にマスキングフイルムの非被覆部を配置し、低明度予定部分をマスキングフイルムの被覆部で被覆する。マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は、熱湯養生する。模様形成予定面は、マスキングフイルムの非被覆部が位置する高明度予定部分が熱湯に接触する。マスキングフイルムの被覆部が重なった低明度予定部分は、熱湯に接触しない。熱湯養生の開始後、熱湯養生の途中又は終了時に、マスキングフイルムは、模様形成予定面から剥ぎ取る。剥ぎ取り時が熱湯養生の途中であるときは、剥ぎ取り後、模様形成予定面は、低明度予定部分も熱湯に接触して熱湯養生を継続する。
【0013】
熱湯養生の終了時、模様形成予定面は、接湯時間が高明度予定部分で長く、低明度予定部分で短い。高明度予定部分は高明度に、低明度予定部分は低明度になる。その高明度部分と低明度部分は、図1の線図に示すように、接湯時間によって定まる明度になる。高明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの非被覆部と同一になる。低明度部分は、形状寸法がマスキングフイルムの被覆部と同一になる。模様形成予定面は、高低の2段階の明度差が生じ、2段階の明度差による模様が形成される。
【0014】
3.3段階の明度差による模様の形成
模様の明度差を高中低の3段階にするときは、マスキングフイルムは2枚にする。2枚のマスキングフイルムは、コンクリート面の模様形成予定面に重ねて貼る。積層する。模様形成予定面に直接貼る第1マスキングフイルムは、模様形成予定面の高明度予定部分と中明度予定部分に重なる部分を非被覆部にし、低明度予定部分に重なる部分を被覆部にする。第1マスキングフイルムの上に貼る第2マスキングフイルムは、模様形成予定面の高明度予定部分に重なる部分を非被覆部にし、中明度予定部分と低明度予定部分に重なる部分を被覆部にする。
【0015】
2枚のマスキングフイルム付きのコンクリート成形体は、熱湯養生する。模様形成予定面は、第1マスキングフイルムの非被覆部と第2マスキングフイルムの非被覆部が位置する高明度予定部分が熱湯に接触する。第2マスキングフイルムの被覆部が重なった中明度予定部分と低明度予定部分は、熱湯に接触しない。熱湯養生の開始後、熱湯養生の途中の第1剥ぎ取り時になると、上層の第2マスキングフイルムは、下層の第1マスキングフイルム面から剥ぎ取る。剥ぎ取り後、模様形成予定面は、高明度予定部分の外に中明度予定部分も熱湯に接触して熱湯養生を継続する。その後、熱湯養生の途中又は終了時の第2剥ぎ取り時になると、第1マスキングフイルムは、模様形成予定面から剥ぎ取る。第2剥ぎ取り時が熱湯養生の途中であるときは、剥ぎ取り後、模様形成予定面は、低明度予定部分も熱湯に接触して熱湯養生を継続する。
【0016】
熱湯養生の終了時、模様形成予定面は、接湯時間が高明度予定部分、中明度予定部分、低明度予定部分の順で長くなる。高明度予定部分は高明度に、中明度予定部分は中明度に、低明度予定部分は低明度になる。接湯時間の差、明度差が3段階になる。高明度部分は、形状寸法が第2マスキングフイルムの非被覆部と同一になる。低明度部分は、形状寸法が第1マスキングフイルムの被覆部と同一になる。中明度部分は、形状寸法が、第1マスキングフイルムの非被覆部と第2マスキングフイルムの被覆部が重なる部分と同一になる。模様形成予定面は、高中低の3段階の明度差が生じ、3段階の明度差による模様が形成される。
【0017】
4.4段階の明度差による模様の形成
模様の明度差を4段階にするときは、マスキングフイルムは3枚にする。各マスキングフイルムは、それぞれ、形成予定の模様に合わせて、被覆部と非被覆部を設ける。3枚のマスキングフイルムは、コンクリート面の模様形成予定面に重ねて貼る。積層する。熱湯養生の開始後、各マスキングフイルムの剥ぎ取り時になると、積層状態のマスキングフイルムから最上層のマスキングフイルムを順次剥ぎ取る。模様形成予定面は、接湯時間の差が4段階になり、4段階の明度差が生ずる。4段階の明度差で模様が形成される。
【0018】
5.5段階以上の明度差による模様の形成
模様の明度差を5段階以上にするときは、マスキングフイルムを4枚以上にし、接湯時間の差を5段階以上にする。その他は、同様に行う。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1.コンクリート成形体は初期養生後に熱養生するコンクリート製品の製造法において、
熱養生は、熱湯中で行う熱湯養生にし、
コンクリート成形体は、熱湯養生前に、コンクリート面の模様形成予定面にマスキングフイルムを貼って模様形成予定面を部分的に被覆し、
マスキングフイルム付きのコンクリート成形体は熱湯養生し、模様形成予定面は、マスキングフイルムで被覆している部分を熱湯に接触させず、マスキングフイルムで被覆していない部分を熱湯に接触し、
熱湯養生の開始後にマスキングフイルムを剥ぎ取り、模様形成予定面は接湯時間を部分的に変え、
コンクリート面は、熱湯養生中の接湯時間の違いによって、明度を部分的に変え、明度差による模様を形成することを特徴とするコンクリート面の模様の形成法。
2.上記1のコンクリート面の模様の形成法において、
マスキングフイルムは複数枚にし、複数枚のマスキングフイルムは模様形成予定面に重ねて貼り、
熱湯養生の開始後、各マスキングフイルムの剥ぎ取り時になると、積層状態の複数枚のマスキングフイルムから最上層のマスキングフイルムを順次剥ぎ取り、接湯時間の差を3段階以上にし、
コンクリート面は、3段階以上の明度差による模様を形成することを特徴とする。
3.上記1又は2のコンクリート面の模様の形成法において、
マスキングフイルムは、熱湯養生時の熱に耐えるフイルムに孔又は切り欠きを形成し、孔又は切り欠きの部分を、コンクリート面を覆わない非被覆部にし、フイルムの部分を、コンクリート面を覆う被覆部にすることを特徴とする。
4.上記1、2又は3のコンクリート面の模様の形成法において、
コンクリート製品は、超高強度繊維補強コンクリート製品にすることを特徴とする
【発明の効果】
【0020】
コンクリート面に多様な模様を簡単に高い能率で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の基になるコンクリート面の明度と熱湯養生中の接湯時間の関係を示す線図。
図2】本発明の実施形態におけるコンクリート製品の椅子の平面図で、上面の模様を省略した図。
図3】同椅子の正面図。
図4】同椅子の座板上面の模様形成面の拡大平面図。
図5】実施形態におけるコンクリート面の模様の形成法に用いる第1マスキングフイルムの平面図。
図6】同コンクリート面の模様の形成法に用いる第2マスキングフイルムの平面図。
図7】同椅子の座板の模様形成予定面に第1、第2マスキングフイルムを重ねて貼った状態の平面図。
図8】同第1マスキングフイルム面から第2マスキングフイルムを剥ぎ取った状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[コンクリート製品の椅子(図2図4参照)]
実施形態のコンクリート製品は、超高強度繊維補強コンクリート製品の椅子にしている。椅子は、図2図3に示すように、座板1と脚部2からなる。背もたれのないスツールにしている。
【0023】
座板1と脚部2は、超高強度繊維補強コンクリート製品の部材にし、別々に成形している。座板1は、下面にインサートでネジ孔を開口している。脚部2は、上端の受け盤に下から上にボルト3を貫通している。ボルト3は、座板1のネジ孔に螺合している。座板1は、脚部2の上にボルト3で固定している。
【0024】
座板1は、円板状の部材にし、上面の全面を模様形成面4にしている。円形状の模様形成面4は、図4に示すように、高中低の3段階の明度差による模様を形成している。模様は、桜の花びらを表す部分、山を表す部分と、背景を表す部分で構成している。桜の花びらを表す部分は、高明度部分6にしている。山を表す部分は、桜の花びらを表す部分と重なる部分を除いた部分を中明度部分7にしている。背景を表す部分は、低明度部分8にしている。模様は、高明度部分6、中明度部分7と低明度部分8からなる。低明度の黒い背景の中に中明度の山があり、中明度の山に重なって高明度の白い桜の花と花びらがある。
模様形成面4は、図4では、低明度部分8に格子状のハッチングを、中明度部分7に平行斜線のハッチングを付けている。高明度部分6には、ハッチングを付けていない。
【0025】
[超高強度繊維補強コンクリート製品の製造法]
超高強度繊維補強コンクリート用の生コンクリートを用意する。材料は、プレミックスの粉体、補強用繊維の有機系短繊維、水と減水剤にする。プレミックスの粉体は、土木学会発行の「設計・施工指針(案)」に規定の標準配合粉体にする。この粉体は、セメントを基材にする。実施例では、太平洋セメント株式会社が「Ductal」の商標で販売している粉体である。材料の粉体、有機系短繊維、水と減水剤は、練り混ぜ、生コンクリートにする。生コンクリートは、骨材を含まない。
型枠は、座板1を成形する型枠と、脚部2を成形する型枠を用意する。両型枠内には、鉄筋を配置しない。座板1用の型枠内には、インサートを配置する。両型枠には、それぞれ、生コンクリートを打ち込む。型枠に充填したコンクリートは、型枠内で初期養生する。初期養生は、室温の空気中で48時間行う。初期養生後、脱型する。
【0026】
脱型直後、型枠から出したコンクリート成形体は水槽の水に没入し、水槽の水は加熱して昇温する。昇温は、毎時15℃の速度で行う。水槽の水は、温度90℃の熱湯になると、その温度を維持する。コンクリート成形体は、温度90℃の熱湯中で養生する。温度90℃の熱湯養生は、48時間行う。熱湯養生後、コンクリート成形硬化体は、熱湯から取り出し、室温の空気中に放置する。すると、コンクリート成形硬化体は、徐々に降温する。また、自然乾燥する。超高強度繊維補強コンクリート製品の座板1と脚部2が製造される。
座板1上面の模様形成面4、即ちコンクリート成形体上面の模様形成予定面に対しては、熱湯養生中に、実施形態のコンクリート面の模様の形成法を実施する。
【0027】
[コンクリート面の模様の形成法(図5図8参照)]
2枚のマスキングフイルムを用意する。フイルムは、熱湯養生時の熱に耐える耐熱性フイルムにし、熱湯養生時の熱に耐える耐熱性接着剤を片面に付けた接着用フイルムにする。実施例では、片面に糊を付けた塩化ビニールフイルムである。2枚のマスキングフイルムは、方形状にする。寸法は、座板1の模様形成面4即ちコンクリート成形体の模様形成予定面より大きくする。
【0028】
コンクリート成形体の模様形成予定面に直接貼る第1マスキングフイルム11は、図5に示すように、模様形成面4の高明度部分6即ち模様形成予定面の高明度予定部分と中明度部分7即ち中明度予定部分に重なる部分を非被覆部12にし、模様形成面4の低明度部分8即ち低明度予定部分に重なる部分を被覆部13にする。非被覆部12は、第1マスキングフイルム11に切り抜いた山形状の孔にする。被覆部13は、模様形成予定面に接着する第1マスキングフイルム11のフイルム部分にする。
【0029】
第1マスキングフイルム11の上に貼る第2マスキングフイルム16は、図6に示すように、模様形成面4の高明度部分6、模様形成予定面の高明度予定部分に重なる部分を非被覆部17にし、模様形成面4の中明度部分7と低明度部分8、中明度予定部分と低明度予定部分に重なる部分を被覆部18にする。非被覆部17は、第2マスキングフイルム16に切り抜いた花びら形状の孔にする。被覆部18は、第1マスキングフイルム11を介して模様形成予定面に重なる第2マスキングフイルム16のフイルム部分にする。
【0030】
座板1の模様形成面4、コンクリート成形体の模様形成予定面は、脱型直後、熱湯養生前、図7に示すように、2枚のマスキングフイルム11、16を位置付けして重ねて貼る。第1マスキングフイルム11は、模様形成予定面に貼る。第2マスキングフイルム16は、第1マスキングフイルム11の上面に貼る。第1マスキングフイルム11の非被覆部12の山形状の孔と第2マスキングフイルム16の非被覆部17の花びら形状の孔は、重ねる。山形状の孔と花びら形状の孔は、連通する。
【0031】
2枚のマスキングフイルム11、16付きのコンクリート成形体は、積層状態のマスキングフイルム11、16を上側にして水槽内に配置し、水槽内の熱湯中で養生する。すると、模様形成予定面は、第1マスキングフイルム11の非被覆部12と第2マスキングフイルム16の花びら形状の非被覆部17が重なって位置する花びら形状の高明度予定部分のみが熱湯に接触する。第2マスキングフイルム16の被覆部13が重なった中明度予定部分と低明度予定部分は、熱湯に接触しない。
【0032】
熱湯養生の開始後、第1剥ぎ取り時になると、第2マスキングフイルム16は、第1マスキングフイルム11の上面から剥ぎ取る。すると、模様形成予定面は、高明度予定部分の外に中明度予定部分も熱湯に接触する。図7に示すように、第1マスキングフイルム11の山形状の非被覆部12が位置する高明度予定部分と中明度予定部分のみが熱湯に接触する。その接湯状態で熱湯養生を継続する。
【0033】
その後、熱湯養生の終了時に近い第2剥ぎ取り時になると、第1マスキングフイルム11は、模様形成予定面から剥ぎ取る。すると、模様形成予定面は、低明度予定部分も熱湯に接触する。全面が熱湯に接触する。その接湯状態で熱湯養生を継続する。
【0034】
熱湯養生時間、48時間が経過すると、コンクリート成形硬化体は、熱湯から取り出し、室温の空気中に放置する。すると、模様形成面4付きの座板1が製造される。座板1は、模様形成予定面が模様形成面4になり、高明度予定部分が高明度部分6に、中明度予定部分が中明度部分7に、低明度予定部分が低明度部分8になる。図4に示した高中低の3段階の明度差による模様が形成される。
【0035】
[変形例]
1.上記の実施形態において、座板1の模様形成面4は、上面のコンクリート面の全面にしているが、コンクリート面の一部にする。
2.上記の実施形態において、マスキングフイルム11、16は、模様形成面4より大きくしているが、模様形成面4より小さくする。模様形成面4より小さいマスキングフイルムは、外周縁の外側を非被覆部にする。
3.上記の実施形態において、模様の明度差は、3段階にしているが、2段階又は4段階以上にする。例えば、9段階にする。
4.上記の実施形態において、背もたれのない椅子は、座板1と脚部2、すべての部材をコンクリート製品にしているが、座板1だけ、一部の部材だけコンクリート製品にする。
5.上記の実施形態において、コンクリート製品は、背もたれのない椅子にしているが、背もたれのある椅子にする。又は、テーブルやその他の家具にする。
6.上記の実施形態において、コンクリート製品は、超高強度繊維補強コンクリート製品にしているが、超高強度ではない繊維補強コンクリート製品、又は、繊維補強ではないコンクリート製品にする。
7.上記の実施形態において、明度差による意匠は、桜の意匠にしているが、紅葉の意匠にする。又は、その他の意匠にする。
【符号の説明】
【0036】
1 座板
2 脚部
3 ボルト
4 模様形成面
6 高明度部分
7 中明度部分
8 低明度部分
11 第1マスキングフイルム
12 非被覆部
13 被覆部
16 第2マスキングフイルム
17 非被覆部
18 被覆部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8