特許第5873383号(P5873383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873383
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】成形品の製造方法および切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/00 20060101AFI20160216BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20160216BHJP
   B26D 7/10 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B26D3/00 601A
   B26D1/06 Z
   B26D7/10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-99162(P2012-99162)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-226613(P2013-226613A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】峯 敬人
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−285796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/00− 3/30
B26D 1/00− 1/24
B26D 7/00−11/00
B26D 5/00− 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形された成形材から余剰部分を切断して成形品を得る製造方法であって、
前記余剰部分の切断予定部位に隣接する部位に、加熱された切刃を前記成形材の表面側から切り込むことで、該切断予定部位に沿って切り込みを形成し、
加熱された切刃によって前記切断予定部位で前記成形材の表面側から切断するようにした
ことを特徴とする成形品の製造方法。
【請求項2】
刃先が片刃である前記切刃を用い、前記余剰部分側に傾斜刃面を向けた切刃によって前記成形材を切断するようにした請求項1記載の成形品の製造方法。
【請求項3】
樹脂成形された成形材から余剰部分を切断する切断装置であって、
前記成形材を支持する支持手段と、
前記支持手段に支持された前記成形材の板厚方向に進退動可能な切刃を有する切断手段とを備え、
前記支持手段は、前記余剰部分の切断予定部位に隣接する部位が前記切刃に臨む第1位置と該切断予定部位が前記切刃に臨む第2位置との間で、前記成形材を変位するよう構成され、
前記切断手段は、加熱手段で加熱された前記切刃によって前記第1位置にある前記成形材の余剰部分に表面側から切り込みを形成すると共に、加熱手段で加熱された切刃によって第2位置にある成形材の切断予定部位を表面側から切断するよう構成された
ことを特徴とする切断装置。
【請求項4】
前記切刃は、刃先が片刃であり、
前記切刃は、刃先の傾斜刃面を前記余剰部分側に向けて前記成形材を加工するよう配設された請求項3記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、切刃によって余剰部分を切断して得られる成形品の製造方法およびこれに用いられる切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インジェクション成形などによって所定形状に成形された樹脂成形材は、余剰部分を切り落とす切断工程を経て製品(樹脂成形品)とされることがある。ここで、樹脂成形材を切断する方法としては、ヒータ等の加熱手段で加熱した切刃(所謂熱刃)によって樹脂成形材を溶断することが一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。このような熱刃110による切断方法は、図示しない支持具に支持された樹脂成形材100に対して、該樹脂成形材100の意匠面となる表面100a側から加熱された熱刃110を近づけ(図6(a)参照)、熱刃110を樹脂成形材100の板厚方向に進行させることで、熱刃110から加わる熱によって樹脂成形材100を柔らかくしつつ該熱刃110で樹脂成形材100を押し切っている(図6(b)参照)。そして、樹脂成形材100から熱刃110を遠ざけて(図6(c)参照)、余剰部分101が切り離されて得られた樹脂成形品102を支持具から取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−5799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した熱刃110による切断では、樹脂成形材100を熱で柔らかくしつつ熱刃110を該樹脂成形材100に押し込むので、熱刃110に押し退けられた樹脂が表面100a側に突出するように盛り上がる(図6(b)参照)。すなわち、得られた樹脂成形品102の切断端には、「カエリ」とも呼ばれるバリ103が生じてしまう難点がある。このようなバリ103が樹脂成形品102にあると見栄えが悪く、またバリ103が引っ掛かるおそれがあるので、研磨等によりバリ103を除去する工程が必要となって手間がかかってしまう。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、切断端がきれいな成形品を得られる製造方法およびこれに用いられる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の成形品の製造方法は、
樹脂成形された成形材から余剰部分を切断して成形品を得る製造方法であって、
前記余剰部分の切断予定部位に隣接する部位に、加熱された切刃を前記成形材の表面側から切り込むことで、該切断予定部位に沿って切り込みを形成し、
加熱された切刃によって前記切断予定部位で前記成形材の表面側から切断するようにしたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、切断予定部位に隣接して予め切り込みを形成した後に切刃で切断することで、加熱された切刃による切断に伴うカエリ等の不良の発生を抑えることができる。すなわち、得られた成形品の切断端を、研磨等の後加工を施すことなく、きれいに仕上げることができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、刃先が片刃である前記切刃を用い、前記余剰部分側に傾斜刃面を向けた切刃によって前記成形材を切断するようにしたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、切断に際して余剰部分側に傾斜刃面を向けた片刃を用いることで、カエリ等の不良の発生をより抑えることができる。
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項3に係る発明の切断装置は、
樹脂成形された成形材から余剰部分を切断する切断装置であって、
前記成形材を支持する支持手段と、
前記支持手段に支持された前記成形材の板厚方向に進退動可能な切刃を有する切断手段とを備え、
前記支持手段は、前記余剰部分の切断予定部位に隣接する部位が前記切刃に臨む第1位置と該切断予定部位が前記切刃に臨む第2位置との間で、前記成形材を変位するよう構成され、
前記切断手段は、加熱手段で加熱された前記切刃によって前記第1位置にある前記成形材の余剰部分に表面側から切り込みを形成すると共に、加熱手段で加熱された切刃によって第2位置にある成形材の切断予定部位を表面側から切断するよう構成されたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、切断予定部位に隣接して予め切り込みを形成した後に切刃で切断するので、加熱された切刃による切断に伴うカエリ等の不良の発生を抑えることができる。すなわち、得られた成形品の切断端を、研磨等の後加工を施すことなく、きれいに仕上げることができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記切刃は、刃先が片刃であり、
前記切刃は、刃先の傾斜刃面を前記余剰部分側に向けて前記成形材を加工するよう配設されたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、刃先が片刃の切刃による加工に際して、余剰部分側に傾斜刃面を向けて加工することで、カエリ等の不良の発生をより抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る成形品の製造方法によれば、切断端がきれいな成形品を得られる。また本発明に係る切断装置によれば、成形材をきれいに切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は基本コンソール本体を示す概略斜視図であり、(b)は基本コンソール本体から得られた変更コンソール本体を示す概略斜視図である。
図2】実施例に係る切断装置を示す概略図である。
図3】実施例の製造方法の説明図であって、(a)は基本コンソール本体を支持手段にセットして第1位置に位置合わせした状態を示し、(b)は切り込みを形成している状態を示す。
図4】実施例の製造方法の説明図であって、(a)は切り込みを形成した状態を示し、(b)は基本コンソール本体を第1位置から第2位置に位置合わせした状態を示す。
図5】実施例の製造方法の説明図であって、(a)は余剰部分の切断途中を示し、(b)は切刃が側壁部を貫通した状態を示し、(c)は余剰部分を切り離した状態を示す。
図6】従来の切断方法の説明図であり、(a)は切断前の状態であり、(b)は切断中の状態であり、(c)は切断後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る成形品の製造方法および切断装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0013】
車両の車室には、小物を収納可能な収納部などを備えたフロアコンソールが前部座席の間に配設される。図1に示すように、フロアコンソールを構成するコンソール本体10は、左右方向に間をあけて対向配置された一対の側壁部12,12と、両側壁部12,12間を繋ぐように形成され、上方に開口する箱状の収納部14とを備えている。コンソール本体10は、板状に形成された両側壁部12,12が車室の床面から立ち上がるように設置され、各側壁部12における一方の板面(表面)12aが車室側に露出する意匠面となり、他方の板面(裏面)12bが車室側から視認不能になっている。実施例では、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を素材としたインジェクション成形等の型成形によってコンソール本体10が成形され、この型成形に際して両側壁部12,12の高さが二輪駆動用の車両に合わせて設定される。そして、四輪駆動用の車両は、床面の高さが二輪駆動用の車両よりも高いので、二輪駆動用のコンソール本体10における両側壁部12,12の下部を切り落とすことで、四輪駆動用のコンソール本体11を形成している。このように、実施例では、成形材としてのコンソール本体(基本コンソール本体という)10の余剰部分13を、実施例に係る切断装置20を用いて切断することで、成形品としてのコンソール本体(変更コンソール本体という)11を製造している。従って、1つの型設備によって二輪駆動および四輪駆動の2つの仕様のコンソール本体10,11に対応することができる。
【0014】
図2に示すように、実施例に係る切断装置20は、基本コンソール本体10を支持する支持手段22と、基本コンソール本体10を加工する切刃30を有する切断手段28と、基本コンソール本体10の切断部位周辺を保持する受け手段36とを備えている。支持手段22は、両側壁部12,12の間に架設された収納部14を下から受ける支持台24を有し、この支持台24がエアシリンダ等の昇降駆動手段26によって昇降動可能になっている。そして、支持手段22は、支持台24を昇降動することで、側壁部12の余剰部分13の中で切断予定部位Sに隣接した部位を切刃30に臨ませる第1位置(図2の実線および図3参照)と側壁部12の切断予定部位Sを切刃30に臨ませる第2位置(図2の二点鎖線、図4および図5参照)との間で、基本コンソール本体10を上下に変位し得るよう構成される。また、支持手段22は、基本コンソール本体10が第1位置となる高さおよび基本コンソール本体10が第2位置となる高さの夫々において、昇降駆動手段26により支持台24を停止保持し得るようになっている。実施例では、側壁部12の切断予定部位Sよりも下方に延在する余剰部分13において該切断予定部位Sの下側に隣接する部位が第1位置で切刃30に臨み、支持台24を下降して基本コンソール本体10を第2位置に移動させる。
【0015】
図2に示すように、基本コンソール本体10における左右の側壁部12,12に対応して、支持台24を挟む左右両側に切断手段28が夫々配設され、各側壁部12が対応する側の切断手段28で加工される。なお、両切断手段28,28は、同じ構成であり、左右対称に形成された両側壁部12,12に対応して両切断手段28,28も左右対称な関係で配置されている。切断手段28は、切刃30と、この切刃30を加熱するヒータ等の加熱手段32と、切刃30を進退動する進退駆動手段34とを備えた所謂熱刃である。切刃30は、支持手段22に支持された基本コンソール本体10の側壁部12の表面12a側に配設され、進退駆動手段34によって側壁部12の板厚方向に進退動される。すなわち、支持手段22により基本コンソール本体10が変位する方向と進退駆動手段34により切刃30が進退する方向とが、略直交する関係になっている。そして、切断手段28は、側壁部12の外側方に退避した退避位置(図3(a)参照)から切刃30を側壁部12へ向けて前進させて、側壁部12の表面12a側から加熱した切刃30の刃先を切り込むようになっている。ここで、切断手段28は、第1位置にある基本コンソール本体10の側壁部12に対して、前記退避位置と切刃30の刃先を側壁部12の板厚の範囲内で止める切り込み位置(図3(b)参照)との間で進退動するよう構成される。また、切断手段28は、第2位置にある基本コンソール本体10の側壁部12に対して、前記退避位置と切刃30の刃先が側壁部12を貫通する切り離し位置(図5(b)参照)との間で進退動するよう構成される。すなわち、切断手段28は、加熱手段32により加熱された切刃30によって、第1位置にある側壁部12の余剰部分13に該側壁部12を貫通しない切り込み16を形成する一方、第2位置にある側壁部12を切断予定部位Sで切断するようになっている。
【0016】
前記切刃30は、前後方向に長い側壁部12の前後方向に設定された切断予定部位S(図1参照)に合わせて、前後方向に刃先が連なる平刃が用いられている。また、切刃30は、刃先の片方の面(傾斜刃面30aという)が傾斜すると共に別の面(平刃面30bという)が平らに刃付けされた片刃が用いられる。そして、切刃30は、側壁部12の加工に際して、傾斜刃面30aが側壁部12において切り離される余剰部分13側に向くと共に平刃面30bが側壁部12において残される製品部分側に向くように配設される(図2図5参照)。すなわち、実施例では、傾斜刃面30aが下方を向くと共に平刃面30bが上方に向くように切刃30が配設され、支持手段22による基本コンソール本体10の変位方向と切刃30の厚み方向が揃うと共に平刃面30bが側壁部12の板厚方向に延在している。
【0017】
図2に示すように、受け手段36は、側壁部12の表面12a側に配設された切刃30に対して該側壁部12を挟んだ反対側となる裏面12b側に配設されている。実施例の切断装置20では、支持台24の下側に一対の受け手段36,36が配設され、両受け手段36,36が、支持台24に支持された基本コンソール本体10の両側壁部12,12の内側に配置される。なお、両受け手段36,36は、同じ構成であり、左右対称に形成された両側壁部12,12に対応して両受け手段36,36も左右対称な関係で配置される。受け手段36は、側壁部12の裏面12bに合わせて形成された受け面38を有し、この受け面38が側壁部12の裏面12bに当接して側壁部12の裏面12b側への変位を規制するようになっている。また、受け面38は、支持台24の昇降に伴う側壁部12の昇降変位を許容するよう形成され、側壁部12が受け面38に沿って昇降するようになっている。受け手段36には、切刃30に相対する位置に該切刃30を受け入れ可能な凹部40が設けられている。凹部40は、切刃30の厚みと同じか僅かに大きく形成されると共に切刃30の刃先に合わせて前後方向に延在するよう形成され、側壁部12を貫通した切刃30と整合するようになっている。なお、凹部40は、側壁部12を貫通した切刃30の刃先が当たらないように深さが設定される。
【0018】
図2に示すように、切断装置20は、支持手段22で支持された基本コンソール本体10を押さえる押圧手段42を備えている。押圧手段42は、支持台24に相対するよう該支持台24の上方に配設された押圧片44と、この押圧片44を支持台24に対して進退動するエアシリンダ等の押圧駆動手段46とから構成される。押圧片44は、支持台24に載置された基本コンソール本体10から上方に離間した離間位置(図2の二点鎖線参照)と、基本コンソール本体10に上方から押し当てる押圧位置(図2の実線参照)との間で押圧駆動手段46により昇降動される。押圧手段42は、支持台24の昇降動に合わせて押圧片44を昇降動可能になっており、第1位置および第2位置との両方で基本コンソール本体10を押圧片44と支持台24との間で挟んで保持し得るようになっている。
【0019】
次に、実施例に係る製造方法について、前述した実施例の切断装置20を用いて行う場合で説明する。両方の切刃30,30を退避位置に退避させると共に、押圧片44を支持台24の上方に退避させた状態で、基本コンソール本体10を支持台24にセットする。そして、押圧駆動手段46により押圧片44を下降して、押圧片44と支持台24との間に基本コンソール本体10を挟むことで、基本コンソール本体10を位置決めする。このとき、支持台24は、上昇位置にあり、支持台24に載置された基本コンソール本体10が第1位置に位置合わせされると共に、受け手段36の受け面38が該側壁部12の裏面12bに当接することで側壁部12が裏面12b側から保持される。このように、セット工程において、基本コンソール本体10の高さを低くするために不要になる側壁部12の余剰部分13が、切刃30に臨むように位置合わせされる(図3(a)参照)。ここで、第1位置に位置合わせされた基本コンソール本体10は、変更コンソール本体11での側壁部12の下端となる切断予定部位Sよりも下方に延在する余剰部分13において、該切断予定部位Sに隣接する部位が切刃30に臨んでいる。
【0020】
加熱手段32によって基本コンソール本体10を構成する樹脂を軟化し得る温度まで切刃30を加熱し、進退駆動手段34によって切刃30を側壁部12の表面12aに向けて前進する。そして、加熱された切刃30を側壁部12の表面12a側から切り込むことで、切断予定部位Sに隣接した部位に該切断予定部位Sに沿って切り込み16を形成する(図3(b)参照)。切刃30は、刃先が側壁部12の板厚の範囲内にある状態で前進を終えた後に、進退駆動手段34の逆駆動により後退して側壁部12から退避する(図4(a)参照)。ここで、切刃30は、傾斜刃面30aを余剰部分13側(下方)に向けると共に平刃面30bを残留させる側に向けて側壁部12に切り込まれる。また、切り込み16は、側壁部12を厚み方向に貫通することなく、側壁部12の表面12aに開口する溝状に形成される。切り込み形成工程では、側壁部12の裏面12b側が受け手段36の受け面38で支持されるので、側壁部12に対する切刃30の表面12a側からの切り込みに際して、側壁部12が裏面12b側にずれず、側壁部12に精度よく切り込み16を形成し得る。
【0021】
前記切り込み16を形成した後、昇降駆動手段26により支持台24を下降位置に下げて、側壁部12の切断予定部位Sが切刃30に臨む第2位置に基本コンソール本体10を位置合わせする(図4(b)参照)。加熱手段32によって基本コンソール本体10を構成する樹脂を軟化し得る温度まで切刃30を加熱し、進退駆動手段34によって切刃30を側壁部12の表面12aに向けて前進する。そして、加熱された切刃30を側壁部12の表面12a側から切り込んで(図5(a)参照)、切断予定部位Sで側壁部12を切断する。切刃30は、刃先が側壁部12の裏面12b側に貫通した状態で前進を終えた後に(図5(b)参照)、進退駆動手段34の逆駆動により後退して側壁部12から退避する(図5(c参照)。ここで、切刃30は、傾斜刃面30aを余剰部分13側(下方)に向けると共に平刃面30bを残留させる側に向けて側壁部12に切り込まれる。このような切断工程において、切断予定部位Sで側壁部12が切断されて、余剰部分13が切り離される(図5(c)参照)。これにより、基本コンソール本体10よりも低くなるように高さ調節された変更コンソール本体11が得られる。なお、切り込み形成工程および切断工程では、2つの切断手段28,28の動作タイミングは特に限定されないが、実施例では、2つの切断手段28,28が同期して対応の側壁部12を加工している。
【0022】
前記切断予定部位Sと切り込み16の形成位置との間隔W(図3(b)参照)は、切刃30の厚みやコンソール本体10の素材や切刃30の加熱温度等に応じて数mmの範囲に設定され、実施例では前記間隔Wが1mmに設定される。すなわち、切り込み16は、切り込み形成工程において切刃30によって側壁部12の残留部分側(上方)へ押し退けられた樹脂が切断予定部位Sにかからない程度に該切断予定部位Sから離して形成する必要がある。また、切断工程における切刃30の差し込みに伴って、切刃30と切り込み16との間の樹脂(樹脂壁18という)が該切り込み16側へ倒れ得る厚みでなければならないので、切り込み16を切断予定部位Sになるべく近付けるとよい。切り込み16の深さFは、側壁部12の板厚の半分以上であるのが好ましく、実施例では側壁部12の板厚の2/3まで切り込み形成工程で切刃30を切り込んでいる。すなわち、切り込み16の深さFが深くなるほど、切断工程において切刃30と切り込み16との間の樹脂が該切り込み16側へ倒れ易くなる。
【0023】
前記切り込み形成工程では、加熱された切刃30により軟化した樹脂が切刃30に押し退けられて側壁部12の表面12a側に突出するように盛り上がることがある(図3(b)参照)。しかし、切り込み形成工程では、余剰部分13における切断予定部位Sから離間した部位に切り込み16を形成するので、切り込み16の形成に伴ってカエリ等が発生したとしても、切断予定部位Sへの影響を防ぐことができる。そして、切断工程において切り込み16の形成位置に隣接した切断予定部位Sに対して切刃30を切り込むと、加熱された切刃30により該切刃30と切り込み16との間の樹脂壁18が軟化して、切刃30の押し込みに伴って樹脂壁18が切り込み16によるスペースを用いて該切り込み16側に倒れる(図5(a)および(b)参照)。すなわち、切断工程において切刃30の押し込みに伴って樹脂に加わる力が樹脂壁18の変位により余剰部分13側に逃されるから、側壁部12の残留部分側に切刃30の押圧力が加わるのを抑制できる。これにより、切断工程において側壁部12の残留部分側に樹脂が盛り上がるのを防止でき、加熱された切刃30による切断に伴うカエリ等の切断端不良の発生を抑えることができる。すなわち、得られた変更コンソール本体11の切断端を、研磨等の後加工を施すことなく、きれいに仕上げることができる。また、刃先が片刃の切刃30による加工に際して、余剰部分13側に傾斜刃面30aを向けて加工することで、平刃面30bに当たる側壁部12の残留部分と比べて余剰部分13側に押圧力を逃すことができ、カエリ等の切断端不良の発生をより抑えることができる。そして、切り込み形成工程において余剰部分13を完全に切り離さず、切断工程で切り込み16が形成された余剰部分13を切り離すので、細かい切りカスの発生を回避できる。
【0024】
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、以下のように変更することができる。
(1)実施例では、基本となるコンソール本体の一部を切断することで、別のコンソール本体を得る例を挙げたが、インストルメントパネル、ドアトリム、ピラーガーニッシュ、フロアコンソール、コンソールリッドなどの車両内装部材に適用可能である。また、車両内装部材以外の樹脂からなる成形材から成形品を得る際にも適用できる。
(2)実施例では、成形材を一端から他端まで切断したが、成形材の一部領域を打ち抜いて成形品を得る際にも適用可能である。例えば、成形材の一部領域の内側を切り離す場合には、環状に閉じた切断予定部位の内周縁に切り込みが形成され、成形材の外周を切り離す場合には、環状に閉じた切断予定部位の外周縁に切り込みが形成される。
(3)切り込みは、成形材が切り離されなければ一部が成形材を貫通していてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 基本コンソール本体(成形材),11 変更コンソール本体(成形品),
12a 表面,13 余剰部分,16 切り込み,22 支持手段,28 切断手段,
30 切刃,30a 傾斜刃面,32 加熱手段,S 切断予定部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6